〜ハードモード〜
M県E市。海を渡った新天地で心機一転頑張ろう! なんて思えるのは学生の頃まで。社会人二〇年目のいい歳したおじさんが間違っても言えることではない。先のプロジェクトが頓挫し、責任を取らされる意味で左遷。エリート街道から転げ落ちた俺を待っていたのは、窓際の特等席だった。本社から来たエリート様といった同僚や部下の視線が痛い。大した仕事が降られないのは来て間もないからか扱いに困るからか。この扱いは苛立つところだが仕方ない。むしろ居心地の悪い職場から定時で帰れるのはある意味救いと言える。しかしこんな生活が定年まで続くと思うと憂鬱で、その前に首を斬られたらと思うと更に憂鬱だ。
家に帰れば息子のユウと二人。妻は実家へ帰省中。離婚はそう遠くないだろう。本社での出世の道絶たれ給料も下がった。こないだまでの給料をこっちでもらえるようになるのが先か代謝が先か。金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。
こっちで暮らすようになって、ユウと話す機会が増えた。ユウがやっていたゲームを暇つぶしにやってみたところこれが面白く、ハマってしまったのだ。また、ゲームのキャラクターは可愛く、セクシーな子が多い。俺がガキの頃では身の回りにこんなものがあふれているなんてまず考えられなかった。これでは俗にいう“草食系男子”が増えるのも無理もない。
そんなこんなで息子と話が合うようになり、一緒にゲームをする休日が増えた。そんな折、家から五分の場所にあるMバンクホールにて、大規模な最新ゲームの発表会『ザ・ゲームショウ』が開催されると聞いて息子と行くことに。朝四時に起こされたのは辛かったが、親子の触れ合いに積極的なユウを見ると嬉しかった。
しかし、話が合うようになったと言っても歳の差は埋められない。人混みの中をスイスイ抜けていくユウについていくのが精いっぱい。さらにふっとほんの一瞬目を離したせいで、姿を見失ってしまった
「おーい、ユウー! どこだー!?」
呼びかけてもこの人混みではどうにもならない。どうせ家は近いんだ。腹が減ったら帰ってくるだろうと切り替えた私は、自分のペースでブースを見て回ることにした。アプリ連動型トレーディングカードゲームのお披露目会をしているというブースでは、ディフォルメされたタコの着ぐるみがくるくる回っていた。カードゲームは絵柄は綺麗だがルールを覚えるのが大変。ユウもやっていないのでは、覚えても遊び相手がいない。そう出来ないりゆうを浮かべつつも、つい発表の最後まで見てしまった。今度試しに一パックくらい買ってみるのもいいかもしれない。
時刻は12時。そろそろ昼食にするかと思い来た道を引き返していると、遠くにユウを見つけた。声をかけたが遠すぎたかこっちには気づかず歩いていってしまう。しかもそれは出口とは反対側。どこへ行くのだろう? とにかく今度は離されまいと必死に人混みをかき分け、会場の端の方へと進む。声をかければ気づきそうな程人がまばらになって、ユウの先を進む……シスター? が目に留まった。どうやらユウはあのシスターについていっているらしい。気になって、声をかけないまま尾行を続ける。二人は階段を上がっていくが、二階は会場じゃないはずだ。
階段を上がった二人がひょいと曲がって姿を隠した。駆け出せば目立つと思いゆっくり後を追ったが、結果裏目。階段を上った先に二人の姿はない。
「おーい、ユウー! どこだー!?」
返事はない。どこかの部屋に入ったのだろうか。スマホで電話をかけてみるが、出ない。もっともユウは基本的にスマホをドライブモードにしているから普段通りと言えば普段通りなのだが。
「困ったな」
ユウも成人してないとはいえもう子供でもない。家も近いし、頬っておいても大丈夫だとは思う。しかし知らない人に連れていかれて姿を消したというのは、事件と判断するべきだ。
「あの、どうかされました?」
スタッフを呼ぼうと引き返し始めたその時、後ろから声が聞こえた。綺麗な声だ。振り返ればさっきユウの前を歩いていたシスター。金髪碧眼の絵にかいたような美女だ。
「えっと、ユウは……さっき一緒に歩いていた男の子、うちの子なんですよ。今どこに?」
「お父様でしたか。これはご心配をおかけしました。お子さんなら今、VRゲームの体験プレイ中でございます。そのゲームというのがまだ開発段階でなかなか公に出せないものでして……こうしたイベントでランダムにテスターを選んで、体験版をプレイしてもらってるんですよ」
流暢な日本語。しかしその内容は半分ほどしか入らない。修道衣に浮き出る彼女の身体のラインがどうにも綺麗で、つい目が行ってしまいそうになるからだ。
「どうでしょう? お父様も是非、タ・イ・ケ・ン、してみませんか?」
ユウの居場所は分かった。これで安心して家に帰れるというもの。だが、せっかく体験していかないかと勧められているんだ。“なかなか公に出せないもの”らしいし、やってみるのも悪くない。そう考えた俺は、言われるがまま彼女について行き第四会議室へと入った。こざっぱりとした室内にはテレビのゲーム特集で見たことのあるヘッドセットと、片手で操作できるというリモコン、もといコントローラー。そしてベルトが用意されていた。
「最先端の技術で、ファンタジーの世界を最高にリアルに表現したゲーム、ハーデストセイバーEX。プレイヤーは勇者として魔界に降り立ち、冒険の果てに魔王を倒すというものです。詳しいストーリーは、製品版までお待ちください」
ヘッドセットを被ると、相も変らぬ会議室が見える。どうやらヘッドセットのカメラで取り込んだ映像の様だ。
「失礼します。」
シスターが私の前にしゃがみ込み、何やらカチャカチャと取り付けている。これからいかがわしいことでも始まりそうな雰囲気に、私は息子が起き上がらないよう努めて意識をそらした。
「これは安全ベルトです。ゲーム中は何があっても外さないでください」
頷くとコントローラーのスタートボタンを押すように言われ、その通り先端にあるボタンを押した。するとどうだろう。突然目の前が真っ暗になった。
『ハーデストッセイバー! イーエーックス!』
そして現れるタイトル画面。音声ガイダンスが難易度の選択を迫る。イージーとハードとのことだが、名前がハーデストということでハードを選択した。続いてプレイヤーネームの設定。自分な名前を言うときちんと認識された。驚く間もなくさながら画面の奥へと飛び込んでいくかのようにタイトル画面が迫り、後ろに過ぎていった。
やがて見えてきたのは、闇に覆われた大地。踏みしめる土も身に受ける風も本物の様だ。技術はここまで進歩しているのかと「感嘆」というよりも「呆然」――想像を絶したことによる呆然をもって立ち尽くす。空には厚い雲がひしめき、見渡せば所々にシワシワの枯れ樹がうな垂れている。遠くには古めかしい城。かなりの大きさだ。
「あれ、随分歳食った勇者が来たものね」
声に振り返ると、女の子が宙に浮いて俺を見下していた。バグだろうか? いや、よく見るとその背中には羽がある。コウモリのような黒い羽。肌は紫がかっていて、股の間では黒い尻尾が揺れて見える。悪魔とみて間違いないだろう。ということは敵。いくら可愛らしかろうとも、斬らねばならない相手。俺はいつの間にか剣に変わっていたコントローラーを構えた。
「アハっ♪ ヤル気満々って感じ? いーよ。付き合ったげる。ところで貴方、名前は?」
「テツヒコだ」答える間もその赤い瞳から目はそらさない。空を飛んでいる敵は一度見失うと厄介。昔RPGで出てきたセイレーンの「とびまわる」にどれだけ翻弄されたことか。
「ふーん、ま、頑張ってねテっちゃん。私ったら、プレイヤーキラーの才能あるっぽいし、ただのザコだと思ってたら痛い目見るかもねっ」
ケラケラ笑いながら手に黒い球を生み出して飛ばす小悪魔。飛ばしてくる球は剣で受けながら、なんとかその姿を見失わないよう注意する。
「ほらほら、私はここだよ? 勇者様ぁ」
次々と飛んでくる球を受け流す。おそらくあと何発かしのげば相手は疲れて降りてくる。何かのゲームではそうだった。そして案の定、悪魔は何発か球を投げた後地面に足を付いた。今がチャンスだ。
「すっごーい! 歳の割に頑張るじゃん! 偉いよ、勇者ちゃん♪」
ズキン、と胸の奥で何かがはじける感覚。悪魔の見た目は幼い女の子。人間で言うと小学生の中学年くらいに見える。そしてその幼気さをフルに使った甘えるような声。こんな小さな子に剣を振るうなんて……
いや、しっかりしろ俺。見た目に惑わされるな。相手は悪魔。倒すべき敵。これはゲーム。良心の呵責も死の恐怖も感じなくていいんだ。
「あれ、どうしたの? やっぱり、老体にはキツかった?」
近づいてくる悪魔に剣を振るうが、どうしてもひょいとかわされてしまう。馬鹿な、こんなに近くにいるのに、当てられない。終いには彼女の腕に剣を弾き飛ばされてしまった。
「ほら、こっち見て? 勇者サマ♪」
ここにきてようやく気付いた。俺は悪魔から目を離さないように注意していたつもりだった。でも実際は違う。目を離せなくなっていたんだ。しかしもう遅い。絡み合う視線を毒がつたって入り込んだかのように、徐々に体が痺れてくる。俺は、どうなるんだ? 殺されてゲームオーバー? くそっ。こんなことならイージーモードにするべきだった。
「待ちなさーい!」
遠くから飛んできたそれは、目の前の悪魔に激突し、突き飛ばした。何事かと瞬きすると、その正体が悪魔と同じくらいに見える女の子であることがわかる。とんがり帽子にホウキを持って、まるで魔法使いだ。そう思ってみると、服もなんだかそれっぽい。くりくりとした目の少女は俺を庇うように前に立ち、大声をあげた。
「これ以上、指一本触れさせないんだから!」
悪魔は体の土を払いながら起き上がる。そしてムッとした顔でこっちを睨みつけてくるが、目の前の少女のお尻は一ミリも俺に近づかない。
「ちぇっ、邪魔が入っちゃった。ここはひとまず引いてあげる。じゃーねー☆」
“やったあ!”はしゃぐ少女が振り返って抱き着いてきた。俺は咄嗟に受け入れこそしたものの、何が何やら分からない。
「あっと、ごめんなさい突然! 私はモーグ。見ての通り魔女をやってます。勇者様が危ないって聞いて、飛んできました」
明るい笑顔の彼女は可愛らしく、こんな娘がいればと思ってしまうほどだ。
「俺はテツヒコ。さっきこの世界に来たばかりで……さっきのは何なんだ?」
「あれはデビル。この辺で悪さばっかりしてるんです。危ないところでした」
安堵のため息をつくモーグ。しばらくはこの子と一緒に旅をしたほうがよさそうだ。ナビゲーターがいた方がこの世界の――もといゲームのルールを一早く理解できるし、この先魔法が効かない敵が出てこないとも限らない。その時は俺が守ってやらねば。
「ありがとう。本当に助かったよ。よかったら、しばらく旅につきあってくれないか? よかったらでいいんだけど」
「いいんですか!?」飛び跳ねて喜ぶモーグは愛でたくなる可愛さだ。頭を撫でたら怒るだろうか。しかしぷくーっと膨れておこる彼女もきっと可愛いに違いない。
「私、旅するならテツヒコさんのようながっしりした人と一緒がいいなって思ってたんです。なんだか安心しますし……」
嬉しいことを言ってくれる。都合がよすぎて逆に妖しい気もするが、これはゲーム。ある程度のご都合主義は避けられない。ならば、ここはそのご都合主義に大きく甘えようじゃな いか。
「とりあえず街に戻りましょ。こっちに――」
走りかけたモーグがこてんと倒れる。慌てて駆け寄ると、酷くつらそうな顔をしていた。インフルエンザで床に臥せている時のような苦悶の表情。顔は赤く、息も荒い。
「どうした!? しっかりするんだ!」
「ら、大丈夫です。ちょっと魔力を、切らしちゃっただけ……ほきゅーすれば、すぐ、よくなりましゅ……」
心配をかけまいとしているのか無理に作る笑顔が俺には辛い。出来ることなら力になってやりたいが……「いったいどうすれば」
「ちゅー、して?」
モーグの口から思いがけない言葉が飛び出した。思わず素っ頓狂な声を上げてしまったが、それでモーグが楽になるのならいくらでもしよう。唇同士を重ねると、モーグはその細い腕で俺に抱き着き、っ!? 口の中に舌を入れてきた!? とても子供とは思えない行為に混乱しながら、舌を通じて伝わってくる熱いものに喉がとろける快感を覚える。このままずっと小さな唇を吸い、舌をしゃぶっていたくなる。が、しかし、モーグの方から体を突き放された。残念だが、おかげで正気を取り戻す。
「す、すまないモーグ! つい」
モーグはふるふると首を振り、潤んだ瞳でまっすぐ俺を見つめてくる。そして“あついの”と言いながら着ているものを脱ぎ始めた。
「待って! こんなところで脱いじゃダメだ!」
止めようとするが、彼女は既に小さな胸とぷっくりしたお腹を晒している……触ってみたい。小さい女の子の彫刻なんて見たことはないが、あればきっとこのような感じだろう。綺麗な形をしている。それでいて触れば間違いなく心地よい弾力で迎え入れてくれるはずだ。
「テツヒコさぁん……私に、魔力。わけてください……」
とうとうパンツだけになったモーグは俺の身体を抱き倒し、耳元で囁く。そしてするすると彼女の顔が目の前、胸筋、へそへと下がり――
「モーグ、待ってくれ。もしかして魔力って」
言う間にも彼女はあろうことか俺のズボンの股座に頬ずりをしている。この時初めて気づいたが、、なんと俺のペニスは過去に類を見ないほど、ズボンの上からでもわかるほどに勃起していた。馬鹿な。刺激されたとはいえ相手は子供。固くなるはずがない。でも実際デニム生地越しに伝わるモーグの温もりに声が出てしまう。
「ねぇ、いいでしょ? 濃い魔力いーっぱい、注いで?」
ふくらみをあむあむと甘噛みするモーグの手は、なんと彼女自身の股へと伸びている。なんて姿だ。そんなことをしてはいけない。なのに、俺は注意できない。そればかりかこんな幼い子のあられもない姿に興奮している。妻も息子もいると言うのに。しかし幸いなことに、これはゲーム。現実じゃない。いわば夢の中のようなものだ。そしてこのゲーム、間違いなくアダルトゲーム。なら、いいじゃないか。
俺は仰向けのままでベルトを外す。絶対に取るなと言われたが関係ない。外さないと本番ができないじゃないか。これもテストの一環だ。犯されるために生み出されたキャラを犯して何が――
「テツヒコさん……ありがと」
……だめだ。いくらゲームと言えど、俺には乱暴に犯すことなんてできない。背徳感が俺を後押ししているのは確かだが、それ以上に俺はモーグを助けたい、よくしてあげたい、夢中になってしまっている。その気持ちは二度と引きかえせはしない。俺はズボンを脱ぎ捨てた。
「待ってろ、モーグ」
モーグのあそこは毛の一本も生えていない。黒ずみもない綺麗な割れ目が愛液に濡れていやらしい。そんな彼女を後ろから抱き上げ、ペニスをスジに沿わせる。
「いくぞ」
鏡があれば脚を広げられて恥ずかしいところを大っぴらにしている彼女の赤い顔が見られただろう。俺は抱える小さな身体を上下させつつ腰を振る。愛液と我慢汁が潤滑油となって棒とスジが擦れるのを助ける。
「あっ、いい。そこいぃ」
甘い嬌声に腰の動きが勢いづく。やがて亀頭が俺達の液に導かれ、スジの奥にある狭い穴へと入り始めた。
「ひぎっ……」
「大丈夫かい?」
「うんっ! らいじょうぶ……つづけて?」
さすがにキツいが、ズン、ズンと一突きごとに深く入っていく。そのたびにモーグが身体をよじらせて鳴く。もう止まらない。興奮は高まるばかりだ。どこかからピピピピピと音が聞こえるが、関係ない。今俺はモーグと一つになって愛し合っているんだ。それより大事なことなんてない。
“食らいついて離さない”そう例えられるほどのモーグの中。今にして思えばセックス自体久々だ。長らく使っていなかった俺のペニスは早くもイキそうになっている。
「モーグっ! もうっ!」
「うんっ! 私もっ! 出してっ! ちょうだいっ! ちょうだいっ!」
腰の動きがさらに早まり、モーグを掴む手に力が籠る。イク。もうイク。達する。中に出る。イク――。
“ぜっちょう の いちげき” どこかからそんな声が響いた気がした。でもあまりにも微かすぎる。小さな割れ目の奥に、熱い精子を注ぎ込む快感に打ち震える俺には、子宮の奥へと送り込むようなおペニスを根元まで突っ込む俺にはとても。
モーグもピンと体を仰け反らせていて、その姿は俺のペニスを再度固くさせる。
「モーグ、まだ魔力不足かい?」
「ううん、でも、もっと欲しい」
一度彼女を下ろし、体位を変える。今度は正常位。覆いかぶさるとモーグは俺の乳首に吸い付いた。もどかしさを抑えながら、ペニスの先を再び割れ目へとあてがう。それだけでイッたばかりの俺達はさらなる興奮と快感の高みへと昇っていく。あとはもう、二人で愛し合うだけ。この先ずっとずっと――
HARDEST SABER EX 体験版 HARDモード -GAME OVER-
家に帰れば息子のユウと二人。妻は実家へ帰省中。離婚はそう遠くないだろう。本社での出世の道絶たれ給料も下がった。こないだまでの給料をこっちでもらえるようになるのが先か代謝が先か。金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。
こっちで暮らすようになって、ユウと話す機会が増えた。ユウがやっていたゲームを暇つぶしにやってみたところこれが面白く、ハマってしまったのだ。また、ゲームのキャラクターは可愛く、セクシーな子が多い。俺がガキの頃では身の回りにこんなものがあふれているなんてまず考えられなかった。これでは俗にいう“草食系男子”が増えるのも無理もない。
そんなこんなで息子と話が合うようになり、一緒にゲームをする休日が増えた。そんな折、家から五分の場所にあるMバンクホールにて、大規模な最新ゲームの発表会『ザ・ゲームショウ』が開催されると聞いて息子と行くことに。朝四時に起こされたのは辛かったが、親子の触れ合いに積極的なユウを見ると嬉しかった。
しかし、話が合うようになったと言っても歳の差は埋められない。人混みの中をスイスイ抜けていくユウについていくのが精いっぱい。さらにふっとほんの一瞬目を離したせいで、姿を見失ってしまった
「おーい、ユウー! どこだー!?」
呼びかけてもこの人混みではどうにもならない。どうせ家は近いんだ。腹が減ったら帰ってくるだろうと切り替えた私は、自分のペースでブースを見て回ることにした。アプリ連動型トレーディングカードゲームのお披露目会をしているというブースでは、ディフォルメされたタコの着ぐるみがくるくる回っていた。カードゲームは絵柄は綺麗だがルールを覚えるのが大変。ユウもやっていないのでは、覚えても遊び相手がいない。そう出来ないりゆうを浮かべつつも、つい発表の最後まで見てしまった。今度試しに一パックくらい買ってみるのもいいかもしれない。
時刻は12時。そろそろ昼食にするかと思い来た道を引き返していると、遠くにユウを見つけた。声をかけたが遠すぎたかこっちには気づかず歩いていってしまう。しかもそれは出口とは反対側。どこへ行くのだろう? とにかく今度は離されまいと必死に人混みをかき分け、会場の端の方へと進む。声をかければ気づきそうな程人がまばらになって、ユウの先を進む……シスター? が目に留まった。どうやらユウはあのシスターについていっているらしい。気になって、声をかけないまま尾行を続ける。二人は階段を上がっていくが、二階は会場じゃないはずだ。
階段を上がった二人がひょいと曲がって姿を隠した。駆け出せば目立つと思いゆっくり後を追ったが、結果裏目。階段を上った先に二人の姿はない。
「おーい、ユウー! どこだー!?」
返事はない。どこかの部屋に入ったのだろうか。スマホで電話をかけてみるが、出ない。もっともユウは基本的にスマホをドライブモードにしているから普段通りと言えば普段通りなのだが。
「困ったな」
ユウも成人してないとはいえもう子供でもない。家も近いし、頬っておいても大丈夫だとは思う。しかし知らない人に連れていかれて姿を消したというのは、事件と判断するべきだ。
「あの、どうかされました?」
スタッフを呼ぼうと引き返し始めたその時、後ろから声が聞こえた。綺麗な声だ。振り返ればさっきユウの前を歩いていたシスター。金髪碧眼の絵にかいたような美女だ。
「えっと、ユウは……さっき一緒に歩いていた男の子、うちの子なんですよ。今どこに?」
「お父様でしたか。これはご心配をおかけしました。お子さんなら今、VRゲームの体験プレイ中でございます。そのゲームというのがまだ開発段階でなかなか公に出せないものでして……こうしたイベントでランダムにテスターを選んで、体験版をプレイしてもらってるんですよ」
流暢な日本語。しかしその内容は半分ほどしか入らない。修道衣に浮き出る彼女の身体のラインがどうにも綺麗で、つい目が行ってしまいそうになるからだ。
「どうでしょう? お父様も是非、タ・イ・ケ・ン、してみませんか?」
ユウの居場所は分かった。これで安心して家に帰れるというもの。だが、せっかく体験していかないかと勧められているんだ。“なかなか公に出せないもの”らしいし、やってみるのも悪くない。そう考えた俺は、言われるがまま彼女について行き第四会議室へと入った。こざっぱりとした室内にはテレビのゲーム特集で見たことのあるヘッドセットと、片手で操作できるというリモコン、もといコントローラー。そしてベルトが用意されていた。
「最先端の技術で、ファンタジーの世界を最高にリアルに表現したゲーム、ハーデストセイバーEX。プレイヤーは勇者として魔界に降り立ち、冒険の果てに魔王を倒すというものです。詳しいストーリーは、製品版までお待ちください」
ヘッドセットを被ると、相も変らぬ会議室が見える。どうやらヘッドセットのカメラで取り込んだ映像の様だ。
「失礼します。」
シスターが私の前にしゃがみ込み、何やらカチャカチャと取り付けている。これからいかがわしいことでも始まりそうな雰囲気に、私は息子が起き上がらないよう努めて意識をそらした。
「これは安全ベルトです。ゲーム中は何があっても外さないでください」
頷くとコントローラーのスタートボタンを押すように言われ、その通り先端にあるボタンを押した。するとどうだろう。突然目の前が真っ暗になった。
『ハーデストッセイバー! イーエーックス!』
そして現れるタイトル画面。音声ガイダンスが難易度の選択を迫る。イージーとハードとのことだが、名前がハーデストということでハードを選択した。続いてプレイヤーネームの設定。自分な名前を言うときちんと認識された。驚く間もなくさながら画面の奥へと飛び込んでいくかのようにタイトル画面が迫り、後ろに過ぎていった。
やがて見えてきたのは、闇に覆われた大地。踏みしめる土も身に受ける風も本物の様だ。技術はここまで進歩しているのかと「感嘆」というよりも「呆然」――想像を絶したことによる呆然をもって立ち尽くす。空には厚い雲がひしめき、見渡せば所々にシワシワの枯れ樹がうな垂れている。遠くには古めかしい城。かなりの大きさだ。
「あれ、随分歳食った勇者が来たものね」
声に振り返ると、女の子が宙に浮いて俺を見下していた。バグだろうか? いや、よく見るとその背中には羽がある。コウモリのような黒い羽。肌は紫がかっていて、股の間では黒い尻尾が揺れて見える。悪魔とみて間違いないだろう。ということは敵。いくら可愛らしかろうとも、斬らねばならない相手。俺はいつの間にか剣に変わっていたコントローラーを構えた。
「アハっ♪ ヤル気満々って感じ? いーよ。付き合ったげる。ところで貴方、名前は?」
「テツヒコだ」答える間もその赤い瞳から目はそらさない。空を飛んでいる敵は一度見失うと厄介。昔RPGで出てきたセイレーンの「とびまわる」にどれだけ翻弄されたことか。
「ふーん、ま、頑張ってねテっちゃん。私ったら、プレイヤーキラーの才能あるっぽいし、ただのザコだと思ってたら痛い目見るかもねっ」
ケラケラ笑いながら手に黒い球を生み出して飛ばす小悪魔。飛ばしてくる球は剣で受けながら、なんとかその姿を見失わないよう注意する。
「ほらほら、私はここだよ? 勇者様ぁ」
次々と飛んでくる球を受け流す。おそらくあと何発かしのげば相手は疲れて降りてくる。何かのゲームではそうだった。そして案の定、悪魔は何発か球を投げた後地面に足を付いた。今がチャンスだ。
「すっごーい! 歳の割に頑張るじゃん! 偉いよ、勇者ちゃん♪」
ズキン、と胸の奥で何かがはじける感覚。悪魔の見た目は幼い女の子。人間で言うと小学生の中学年くらいに見える。そしてその幼気さをフルに使った甘えるような声。こんな小さな子に剣を振るうなんて……
いや、しっかりしろ俺。見た目に惑わされるな。相手は悪魔。倒すべき敵。これはゲーム。良心の呵責も死の恐怖も感じなくていいんだ。
「あれ、どうしたの? やっぱり、老体にはキツかった?」
近づいてくる悪魔に剣を振るうが、どうしてもひょいとかわされてしまう。馬鹿な、こんなに近くにいるのに、当てられない。終いには彼女の腕に剣を弾き飛ばされてしまった。
「ほら、こっち見て? 勇者サマ♪」
ここにきてようやく気付いた。俺は悪魔から目を離さないように注意していたつもりだった。でも実際は違う。目を離せなくなっていたんだ。しかしもう遅い。絡み合う視線を毒がつたって入り込んだかのように、徐々に体が痺れてくる。俺は、どうなるんだ? 殺されてゲームオーバー? くそっ。こんなことならイージーモードにするべきだった。
「待ちなさーい!」
遠くから飛んできたそれは、目の前の悪魔に激突し、突き飛ばした。何事かと瞬きすると、その正体が悪魔と同じくらいに見える女の子であることがわかる。とんがり帽子にホウキを持って、まるで魔法使いだ。そう思ってみると、服もなんだかそれっぽい。くりくりとした目の少女は俺を庇うように前に立ち、大声をあげた。
「これ以上、指一本触れさせないんだから!」
悪魔は体の土を払いながら起き上がる。そしてムッとした顔でこっちを睨みつけてくるが、目の前の少女のお尻は一ミリも俺に近づかない。
「ちぇっ、邪魔が入っちゃった。ここはひとまず引いてあげる。じゃーねー☆」
“やったあ!”はしゃぐ少女が振り返って抱き着いてきた。俺は咄嗟に受け入れこそしたものの、何が何やら分からない。
「あっと、ごめんなさい突然! 私はモーグ。見ての通り魔女をやってます。勇者様が危ないって聞いて、飛んできました」
明るい笑顔の彼女は可愛らしく、こんな娘がいればと思ってしまうほどだ。
「俺はテツヒコ。さっきこの世界に来たばかりで……さっきのは何なんだ?」
「あれはデビル。この辺で悪さばっかりしてるんです。危ないところでした」
安堵のため息をつくモーグ。しばらくはこの子と一緒に旅をしたほうがよさそうだ。ナビゲーターがいた方がこの世界の――もといゲームのルールを一早く理解できるし、この先魔法が効かない敵が出てこないとも限らない。その時は俺が守ってやらねば。
「ありがとう。本当に助かったよ。よかったら、しばらく旅につきあってくれないか? よかったらでいいんだけど」
「いいんですか!?」飛び跳ねて喜ぶモーグは愛でたくなる可愛さだ。頭を撫でたら怒るだろうか。しかしぷくーっと膨れておこる彼女もきっと可愛いに違いない。
「私、旅するならテツヒコさんのようながっしりした人と一緒がいいなって思ってたんです。なんだか安心しますし……」
嬉しいことを言ってくれる。都合がよすぎて逆に妖しい気もするが、これはゲーム。ある程度のご都合主義は避けられない。ならば、ここはそのご都合主義に大きく甘えようじゃな いか。
「とりあえず街に戻りましょ。こっちに――」
走りかけたモーグがこてんと倒れる。慌てて駆け寄ると、酷くつらそうな顔をしていた。インフルエンザで床に臥せている時のような苦悶の表情。顔は赤く、息も荒い。
「どうした!? しっかりするんだ!」
「ら、大丈夫です。ちょっと魔力を、切らしちゃっただけ……ほきゅーすれば、すぐ、よくなりましゅ……」
心配をかけまいとしているのか無理に作る笑顔が俺には辛い。出来ることなら力になってやりたいが……「いったいどうすれば」
「ちゅー、して?」
モーグの口から思いがけない言葉が飛び出した。思わず素っ頓狂な声を上げてしまったが、それでモーグが楽になるのならいくらでもしよう。唇同士を重ねると、モーグはその細い腕で俺に抱き着き、っ!? 口の中に舌を入れてきた!? とても子供とは思えない行為に混乱しながら、舌を通じて伝わってくる熱いものに喉がとろける快感を覚える。このままずっと小さな唇を吸い、舌をしゃぶっていたくなる。が、しかし、モーグの方から体を突き放された。残念だが、おかげで正気を取り戻す。
「す、すまないモーグ! つい」
モーグはふるふると首を振り、潤んだ瞳でまっすぐ俺を見つめてくる。そして“あついの”と言いながら着ているものを脱ぎ始めた。
「待って! こんなところで脱いじゃダメだ!」
止めようとするが、彼女は既に小さな胸とぷっくりしたお腹を晒している……触ってみたい。小さい女の子の彫刻なんて見たことはないが、あればきっとこのような感じだろう。綺麗な形をしている。それでいて触れば間違いなく心地よい弾力で迎え入れてくれるはずだ。
「テツヒコさぁん……私に、魔力。わけてください……」
とうとうパンツだけになったモーグは俺の身体を抱き倒し、耳元で囁く。そしてするすると彼女の顔が目の前、胸筋、へそへと下がり――
「モーグ、待ってくれ。もしかして魔力って」
言う間にも彼女はあろうことか俺のズボンの股座に頬ずりをしている。この時初めて気づいたが、、なんと俺のペニスは過去に類を見ないほど、ズボンの上からでもわかるほどに勃起していた。馬鹿な。刺激されたとはいえ相手は子供。固くなるはずがない。でも実際デニム生地越しに伝わるモーグの温もりに声が出てしまう。
「ねぇ、いいでしょ? 濃い魔力いーっぱい、注いで?」
ふくらみをあむあむと甘噛みするモーグの手は、なんと彼女自身の股へと伸びている。なんて姿だ。そんなことをしてはいけない。なのに、俺は注意できない。そればかりかこんな幼い子のあられもない姿に興奮している。妻も息子もいると言うのに。しかし幸いなことに、これはゲーム。現実じゃない。いわば夢の中のようなものだ。そしてこのゲーム、間違いなくアダルトゲーム。なら、いいじゃないか。
俺は仰向けのままでベルトを外す。絶対に取るなと言われたが関係ない。外さないと本番ができないじゃないか。これもテストの一環だ。犯されるために生み出されたキャラを犯して何が――
「テツヒコさん……ありがと」
……だめだ。いくらゲームと言えど、俺には乱暴に犯すことなんてできない。背徳感が俺を後押ししているのは確かだが、それ以上に俺はモーグを助けたい、よくしてあげたい、夢中になってしまっている。その気持ちは二度と引きかえせはしない。俺はズボンを脱ぎ捨てた。
「待ってろ、モーグ」
モーグのあそこは毛の一本も生えていない。黒ずみもない綺麗な割れ目が愛液に濡れていやらしい。そんな彼女を後ろから抱き上げ、ペニスをスジに沿わせる。
「いくぞ」
鏡があれば脚を広げられて恥ずかしいところを大っぴらにしている彼女の赤い顔が見られただろう。俺は抱える小さな身体を上下させつつ腰を振る。愛液と我慢汁が潤滑油となって棒とスジが擦れるのを助ける。
「あっ、いい。そこいぃ」
甘い嬌声に腰の動きが勢いづく。やがて亀頭が俺達の液に導かれ、スジの奥にある狭い穴へと入り始めた。
「ひぎっ……」
「大丈夫かい?」
「うんっ! らいじょうぶ……つづけて?」
さすがにキツいが、ズン、ズンと一突きごとに深く入っていく。そのたびにモーグが身体をよじらせて鳴く。もう止まらない。興奮は高まるばかりだ。どこかからピピピピピと音が聞こえるが、関係ない。今俺はモーグと一つになって愛し合っているんだ。それより大事なことなんてない。
“食らいついて離さない”そう例えられるほどのモーグの中。今にして思えばセックス自体久々だ。長らく使っていなかった俺のペニスは早くもイキそうになっている。
「モーグっ! もうっ!」
「うんっ! 私もっ! 出してっ! ちょうだいっ! ちょうだいっ!」
腰の動きがさらに早まり、モーグを掴む手に力が籠る。イク。もうイク。達する。中に出る。イク――。
“ぜっちょう の いちげき” どこかからそんな声が響いた気がした。でもあまりにも微かすぎる。小さな割れ目の奥に、熱い精子を注ぎ込む快感に打ち震える俺には、子宮の奥へと送り込むようなおペニスを根元まで突っ込む俺にはとても。
モーグもピンと体を仰け反らせていて、その姿は俺のペニスを再度固くさせる。
「モーグ、まだ魔力不足かい?」
「ううん、でも、もっと欲しい」
一度彼女を下ろし、体位を変える。今度は正常位。覆いかぶさるとモーグは俺の乳首に吸い付いた。もどかしさを抑えながら、ペニスの先を再び割れ目へとあてがう。それだけでイッたばかりの俺達はさらなる興奮と快感の高みへと昇っていく。あとはもう、二人で愛し合うだけ。この先ずっとずっと――
HARDEST SABER EX 体験版 HARDモード -GAME OVER-
17/08/18 23:54更新 / 小浦すてぃ
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