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その1 |
空は一面ペイントソフトで塗りつぶしたかのごとくピンク、周りの草木も異様な姿形をしている、俺はコックピットからそんな異様な景色を視認していた。
「該当する地形データなし、さてどうしたもんかな...」 俺の名前は丹寺 奏。宇宙自由連盟軍の戦闘機パイロット。敵の攻撃を避けるためにワープを試みたのはいいが、なぜかこの奇妙な場所に飛ばされたのだ。 しかも結局ワープ前に敵の弾は当たってしまい、この場所に不時着を余儀なくされた。 「そういえばこの機体には新しいワープアウトシステムが装備されていると聞いたが...まさかそれが不具合を起こしたとかなのか?まあまずは、拠点の構築だな」 俺はそういうとコックピットの椅子から立ち、おもむろに座面を開けた。中には『SFFA』と書かれた大きなリュックサックが一つとキャリーバッグがいくつかある。この中には不時着時に救援を待つためのある種のサバイバルグッズが入っている。 俺はリュックサックをからい、上のハッチから外に出てリュックサックを置いたあと、キャリーバッグを外に持っていくために、コックピットに戻ろうとした。 翼の上で空を見上げると、突然上空にいた影が大きくなっていった... いや、これは近づいてきてるんだ。そう気付いた時には、もうその『影』は目前まで来ていた。 「おとこだーーーーーーー!!!」 「うわあ危ねえ!」 俺はとっさに回避行動を取った。それが原因で、影の正体が見事に翼に激突した。 「いたたた...いきなり避けるなんてひどいよー!」 その影の正体は、端的に言えば「鳥人」であった。ピンク色の肌触りがよさそうな羽、異様な大きさの胸、鳥の物と思わしき足。そして、目を疑うほどの美少女だ。 こいつがなんなのかは分からないが、まあ一つだけ言わせてもらうというなら... 「誰なんだよお前は!そんで唐突に上空から突っ込んできた奴にひどいなんて言われたかねーよ!」 「私?私はジャブジャブのアミュ!お兄さんのお名前は?今何してるの?」 ジャブジャブってなんだ?住んでいる町とかの名前か?種族名か?まあいいや。 「俺は丹寺奏。ここに不時着して今は簡易的な拠点を作っている」 「フジチャク...?何それ?」 「お前も鳥なんだから分かるだろ...いや、分からないか。うーん、何と説明すればいいか...」 少し悩んだ末、こいつでも分かりそうな例えを考え出した。 「そうだな、この大きな物が飛んでる時、何かのせいでどこかしらが壊れた時に予定とは違うところに停まるって感じだな」 「なるほど!お兄さんはこの大きなのでお空飛んでたんだね!すごい!」 うーん、正しい!正しいけど違う!お前の聞いてたところはそこじゃ無いだろうが!! 「それでなんでこの大きなのでお空が飛べるの?教えて!」 「それはだな...」 ―――― こんな感じの会話をしばらく続けた。この会話により、彼女、アミュの事もいくつか分かってきた。 どうやらこの娘は、好奇心が非常に旺盛らしく、俺の元いた世界の事や、俺の好みなんかを色々聞いてきた。 また、非常に陽気な性格で、話しているこちらも楽しかった。 ただ、分かった事で一つ問題がある。彼女は性欲が高いようで、ちょくちょく俺の手や足に股をすりつけてきたり、俺の手を彼女の胸の所に持っていこうとしたりする。 「さて、そろそろ拠点の設営を始めないと。アミュ、手伝ってくれるか?」 「うん、いいよ!お兄さんのお家作ってあげる!」 アミュは張り切っている。大きめのテントを張るだけと言う事は黙っておかなければ... ―――― 「わーい、お兄さんのお家かんせーい!」 「手伝ってくれてありがとうな、おかげで早く完成した」 「どういたしまして!」 「それじゃあ、連絡を済ませたら飯にするか...一旦外に出る」 俺は外に出て、アンテナのついた機械に繋がっているマイクを手に持った。 「こちら丹寺奏、臨時連絡。ただいまの時刻は時計が正しければ1134。1044、撤退のためワープアウトを行うも被弾、地形データの無い場所へワープアウトし、そのまま不時着。1048、現地の住民と遭遇。住民は極めて友好的。1133、現地住民の助けもあり予定より早く設営完了。以上」 俺は臨時連絡を終えると、司令部へ送信を行った。しかし、スクリーンには[CAUTION:NO SIGNAL]と映し出された。 何度再試行しても、映し出されるのは無慈悲なNO SIGNALの文字。 「なぜだ...ネットワークに繋がらない...?」 「お兄さん、ごはん食べないの?」 アミュがテントの中から顔を出してこちらに話しかけてきた。同時に、俺の意識は考察から引きずりだされる。 「ああ、すまん。少し考え事をしていて...飯、食おうか」 ―――― テントに戻った俺はキャリーバッグを横にして、ロックを解除し開ける。中には大きめの缶詰やパウチが大量に入っている。 その中の一つ、『ラーメン(豚骨)』と書かれたパウチを開け、フォークに麺をからめ口に持っていく。 「お兄さんのごはん、変わった形してるんだね。美味しいの?」 「ん?そうだな、普通の飯に比べればまずいが、それでも食えないレベルじゃない。まあ、なるべく日持ちさせるための飯だからうまさは二の次だ」 「そうなの?良かったら、私のごはん食べる?元気出るよ!」 そういうとアミュは、真っ赤なハート型の木の実らしき物を差し出してきた...こ、これ食っても大丈夫なのか? 「いや、気持ちだけもらっておくよ...」 こんな世界の食い物など、ロクな物ではなさそうな気がする。 「そっかー...でも、もし食べたくなったら言ってね!私、これがいっぱいある場所知ってるの!」 「やっぱりこれ木の実なのか...」 飯を食い終わり定時連絡も終え、俺は娯楽端末でゲームをしていた。通信はやはり不通だった。 アミュがあぐらを掻いた俺の足の上に乗ってくるため、はっきりいって非常にプレイしづらい。シミュレーションゲームじゃなかったらろくにプレイ出来なかったであろう。 さらに、大きくなってしまった俺のモノにアミュはあそこをこすり付けるため、喘ぎ声を聞きながらプレイする破目になってしまった。 「はぁ♥はぁ♥おまんここすれて気持ちいい♥」 「よし、全員チェックアウトしたな。セーブして、もう一回ロードして...」 声だけ聞くとセーブとかロードが何かの隠語に聞こえてしまうな... 「ねぇ♥ お兄さんは気持ちよくなってないの?♥ 気持ちよくなっちゃったらぁ♥ えっちな声出しちゃっていいんだよ♥」 「いちいち料金設定変えるの面倒くさいな...」 特に反応を示す事なくゲームを続ける。半分は感じているようなそぶりを見せると、より激しくなるからと考えた故だが、もう半分は素だ。 ゲームを続けていると、唐突に飯を食べているときに忘れてしまった疑問が頭に浮かんだ。 「なあアミュ、このあたりに町ってあるのか?」 「町?♥うん、あるよ♥はあっ♥」 「頼むから一旦降りてくれ、話しづらい...」 そういうとアミュは、少し残念そうな顔をしながら俺の足から降りた。 「町はこの丘を下ったところにあるよ、行きたい?」 「ああ、案内頼む」 「おっけー、レッツゴー!」 そういうとアミュはテントを飛び出し、丘を下っていった。 「おーい、準備するから少し待て!」 |