中編
「ふわぁ」
翌朝、ホームルーム前の教室で私は小さくあくびをしました。仮にも学校中の有名人な女子生徒として通っている人が実は男の人だと知ってしまった上、その人に強引に処女を奪われたのです。何事もなかったかのように気楽に寝ていろというのは無茶な相談です。それに明け方になってようやく眠りに入れたと思ったら夢の中で昨日の出来事がフラッシュバックしてしまい、下着をぐしょぐしょに濡らして変な声を上げながら飛び起きる羽目になってしまったのです。おかげでルームメイトからも変な目で見られました。
「ウラちゃんどしたの。なんだか今日は元気ないね?」
クラスメイトのコボルドの娘が心配して話しかけてきました。鼻のいい彼女なら私が昨日男の人に犯されたことを感づいてもおかしくないはずなのですが、何も知らない様子で無邪気に尻尾を振っています。昨日事が済んだ後で黄瀬さんが自分に使っている魔法と同じものを私にかけ、彼の精の匂いを誤魔化したからです。
「ウラちゃんも私みたいに早起きしてお散歩するといいよ。朝日を浴びながら走るのって気持ちいいんだよ」
この娘は陸上部に入っているのですが、ハードな朝練も彼女にかかれば「たのしいお散歩」でしかないそうです。聞くところによると学校や寮の周りを走り込みしながら、同じように通勤前にジョギングするのが日課だったおかげで出会ったという「ご主人様」と路地裏で「交尾」して朝練に戻ってくる余裕ぶりなのだとか。
その時、教室の入り口の方で何やらざわつく声が聞こえてきました。眠気で頭がぼうっとしている私はそれを聞き流します。しかし、その騒ぎは決して私と無関係ではありませんでした。
「その、浜浦さんを呼んでくるように言われたんだけど……」
コボルドの娘とは別のクラスメイトに言われて教室の入り口に目を向けた私は、そこで一気に目を覚ましました。黄瀬さんを背後に従えた赤宮さんが1年の教室まで来ていたのです。私は慌ててお2人の方へと向かいます。
「いいい、一体何のご用でしょうか」
私はまだ完全に回りきっていない頭を急いで稼働させながら喋ります。
「あなた、昨日これを忘れていたでしょう?」
そう言って赤宮さんは小さなケースに入った電子辞書を取り出しました。
「あ」
私はようやく思い出します。そういえば昨日生徒会室に戻ろうとしたのは、書記の先輩にお貸しした電子辞書を返してもらった時に、鞄にしまうのを忘れていた事に後から気付いたからです。
「ありがとうございます」
私が電子辞書のケースを受け取ると、赤宮さんはそんな私の様子をじろじろと見てきました。
「それにしてもあなたその恰好どうしたの。服がよれよれでタイも曲がっているじゃない」
昨日あなた方にレイプされたせいです、などと言えるはずもなく。同じクラスだけでなく両隣のクラスの子達までこちらの様子を遠巻きに伺う視線を感じながら、私は赤宮さんに身だしなみを整えて頂きつつ、針の筵に座るような気持ちで立っている事しかできません。
「まあこんなもんかしら。生徒会に参加するならいつも生徒のお手本になる事を意識しないとね、透子(とうこ)さん」
「……え?」
私が一瞬自分の耳を疑ったその時、周囲で私達の様子を眺めていた子達が再びざわつき始めました。赤宮さんはそれにも気づいていないかのような様子で悠然と歩き去り、その後ろを黄瀬さんが慌てて付いていくのが見えます。誰かがひと際大きい声で囁いているのが私の耳に届きました。
「今、会長が1年生を下の名前で呼んだよね……?」
「1年から聞いたわよ。一体どういう事なのか説明してちょうだい」
放課後、私は2年生の先輩3人から屋上に呼び出されました。ダークエルフの先輩が私に詰め寄ります。
「な、何がと言われましても。私にも何が何だか」
すると、今度は人間の先輩が私を詰ります。
「嘘おっしゃい。随分親しげに呼びかけられていたそうじゃない。心当たりがないとは言わせないわよ」
本当の事を話すわけにもいかずに視線をさ迷わせていると、3人目の先輩と目が合いました。この人は見覚えがあります。私と同じく生徒会庶務をしている2年の先輩(ちなみにこの学校では庶務を務めるのは2年生の秋に新しい生徒会役員を選挙で決める時までです)で、人間の姿をしていますが確かワーバットだったと思います。
そのワーバットの先輩は私と目が合うと、曖昧に苦笑いを浮かべてきました。この人は無理に付き合わされていたのかな、と思ったその時、ダークエルフの先輩がワーバットの先輩に小声――おそらく本人は私に聞こえないくらい小さくしたつもりの声で、何やら話しかけるのが聞こえました。
「ちょっと。あんたも何か言ってやりなさいよ。ファンクラブのリーダーはあんたでしょ」
どうやら彼女は付き合わされたどころかむしろ首謀者だったようです。
「そ、そうだよ。何も無いんだったら、ひ、1人だけ特別扱いされるわけないじゃない」
いかにも気弱そうに震えながら強がってくる口調に、私は妙な親近感を覚えました。こちらも苦笑いで返すと、3人の先輩方を見回して言いました。
「本当に何も知らないんです。私はただ、昨日生徒会室に電子辞書を忘れて、それを届けていただいただけなんです」
「は? まだしらを切るつもり?」
ダークエルフの先輩が、激情しながら私の胸倉に掴みかかろうと手を伸ばしました。
「ひっ」
当然私は咄嗟に逃げようとします。すると、ダークエルフの先輩の腕は本来の狙いから少し外れ、私の左胸をがっしりと掴む形になりました。私の胸に痛みが走り、被虐体質の身体がそれを快感として受け止めます。
「あんっ」
思わず喉の奥から小さな喘ぎ声が漏れてきました。恥ずかしさに顔がかっと熱くなり、私は思わず自分の口を両手で押さえてしまいます。すると、少しの間があってダークエルフの先輩が意地悪な笑みを浮かべてきました。
「何あんた。こんな状況で胸を乱暴に掴まれて感じているわけ?」
そして、ダークエルフの先輩は私の左胸を乱暴に揉みしだいてきました。
「あっ、んっ、やっ」
「わ、私も……」
ワーバットの先輩もおずおずと私の方に手を伸ばしました。その手のひらが私の右胸を確実に掴みます。その時、私の鼻がかすかな匂いを捉えました。私自身の物とは少し違う愛液の匂いです。先輩達も私に乱暴する事で感じているんだ。そう思うと私のスカートの中で下着が湿り気を帯び、私の口から漏れ出す喘ぎ声もひと際高いものになっていきます。
「んっ、ああっ!」
私は腰が抜けてずるずるとへたり込み、人化の術が解けて海和尚の姿で仰向けに倒れました。服装も海神様の巫女服に変わり、秘部を遮る物が無くなったことで恥ずかしい部分が私を見下ろす先輩達の視線の先に晒されます。そこはすっかり濡れきっていて、屋上を吹く風が当たってひんやりとしました。
「見てこの娘。私達にちょっと揉まれただけでこんなにぐしょぐしょにしているわ」
ダークエルフの先輩が右手で私の左足を掴んで持ち上げ、左手の中指を私の陰部に乱暴に突っ込んできます。
「ほら、指がこんなに奥までするっと入っちゃう。この感じ処女じゃないわね。いかにもしっかり風紀を守ってますって真面目そうな格好で赤宮会長に近づきながら、裏ではこんなあられもない格好で夫とイチャイチャしていたわけ。……羨ましいな、クソが」
続いて人間の先輩が、まだダークエルフの先輩の指を咥えている所に更に指を差し込んできました。膣内を爪で乱暴に引っ掻いてきます。私が人間だったら下手すれば大怪我する所ですが、海和尚の身体は頑丈なので程よい痛みと快楽を感じます。
「ほんとだ。あっさり入った。しかもヌルヌルでとても熱い」
「じゃ、じゃあ、私はこっちにしようかな」
私の身体に大きな影が差し、私の胸を隠していた布が捲り上げられると、右胸に何やら毛深くて重みのある物がのしかかってきました。そちらを見上げると、私と同じように人化の術を解いたワーバットの先輩が足で私の胸を揉みしだいています。
「んっ、ふあっ、あっ」
「な、なんだか楽しくなってきちゃった」
「私も。とても熱くなってきた」
「ああっ。もう我慢できない」
ワーバットの先輩は私を足蹴にするような形で右胸を足でいじめ、ダークエルフの先輩は右手で私の左胸をいじりながら左手の指を陰部の中に差し込み、人間の先輩は右手でダークエルフの先輩と一緒に私の陰部をいじりながら左手を自分のスカートの中に入れて淫らな水音を立ててきたりと三者三様に異なるやり方で私の身体をいじります。程なくして私の身体に限界が訪れ、子宮から甘く痺れる感覚が広がってきました。
「あ、イク。何か、きちゃう。あああっ」
「そんな声出されたら、わたしも、イッちゃ、あああっ」
私は目の前が真っ白になるような快感に襲われ、ぷしっ、と音を立てて小さく潮吹きをしました。人間の先輩はダークエルフの先輩と一緒にそれを浴びながら、自分も絶頂を迎えてビクビクと震えます。すると、その人間の先輩の頭にヤギのような小さな角が生え、制服の腰の所の隙間からコウモリのような翼が、スカートの下から先がハート型になった尻尾が飛び出してきました。私達の魔力が放出されている中で絶頂したことで、レッサーサキュバスに変わってしまったようです。その先輩は呆然とした顔でへたり込み、まだ絶頂の余韻が残っているのか小刻みに身体を震わせています。
「あっ。私、魔物に……」
その時、屋上から校舎の中へと階段を降りていく入り口の所から声が聞こえてきました。
「ちょっとあなた達。何やってるの!」
私達が一斉にそちらの方を向くと、1人の人影がこちらへと歩いてくるのが見えます。
「まずい。副会長だ」
「に、逃げないと」
「あっ。1人だけ空飛ぶのズルい」
ワーバットの先輩は翼を使って空へ、ダークエルフの先輩はまだ快楽の余韻で動けない様子のレッサーサキュバスになった先輩に肩を貸してそれぞれ逃げていきます。しかし、黄瀬さんはそんな先輩方を追いかける様子もなく、ただ屋上の真ん中に立っていました。
「あの、その、助けに来て下さったんですか?」
私の問いかけにも答えません。そして足音や羽ばたきの音が遠ざかっていくと、校舎に降りていく階段への扉を乱暴に閉じました。カチリと鍵をかける音が嫌に大きく聞こえてきます。そして黄瀬さんは甲羅の重さで起き上がれない私の所まで歩み寄ってくると、私を見下ろしながらいつになく冷たい声で話しかけてきました。
「ねえ、浜浦さん」
「は、はい。何でしょうか」
「俺も会長に下の名前で呼んでもらうには、どうしたらいいかな?」
苛立ちの滲む声で言うと、黄瀬さんはスカートとショーツを脱ぎ捨てました。昨日私の純潔を無理やりこじ開けたグロテスクな物体が、そこだけ別の生き物であるかのようにビクビクと頭を持ち上げながら強い精の匂いを振り撒いてきます。
「ひっ」
「インキュバスになったら、俺も下の名前で呼んでもらえるようになるかな?」
そう言って陰茎を突き付けてくる黄瀬さんの姿に、私は身体を恐怖で震わせます。しかしその時、私の身体の一部が違う反応を示しました。お腹の奥で子宮が疼いてきたのです。この精を飲みたいと私に訴えかけてくるように。
そんな私の反応に知ってか知らずか、黄瀬さんは私の両脚に手をかけて持ち上げ、昨日と同じように一気に私の身体を貫きました。
「あああああっ!」
昨日の行為で大きく広げられ、ついさっき2年生の先輩方にいじられて温まりトロトロに解れた私の膣は、昨日とは違って純粋な快感を私の全身に走らせました。私は自分の性器が黄瀬さんの陰茎を抱きしめるように締め付け、奥へ奥へと誘うように蠢いているのを感じ、確信します。
(どうしよう。私の身体、黄瀬さんを夫だって認識しちゃってる。この人の精液で妊娠したがってる)
私は自分でも殆ど意識しないうちに、黄瀬さんの動きに合わせてこちらからも腰を揺らしていました。私の愛液が黄瀬さんの陰茎でかき混ぜられ、じゅぽじゅぽと湿った水音を鳴らします。黄瀬さんは腰を動かしながら私の上に屈み込んで私の右胸に吸い付き、舌で乳首を転がしてきました。お腹の中だけでなく胸からも、ビリビリと気持ちいい感じが全身へと広がります。
「ああっ!」
叫ぶと同時に、私の膣はきゅっとひと際強く黄瀬さんの陰茎を締め付けました。全身が気持ちいい電流のような物でいっぱいになり、「気持ちいい」という事以外何も考えられなくなってきます。黄瀬さんの動きが私の奥の方を小刻みに探るような動きに変わり、私のナカに入った物がビクビクと震えてきました。
「もう、出る」
それを聞いた私の両手と両脚は、何か考える暇もなく黄瀬さんに縋りつくように彼を強く抱きしめます。私に突き刺さった物を抜かせまいとするように。程なくして黄瀬さんの背中がぶるりと震え、私の身体の奥に温かくドロリとした物が叩きつけられました。あまりもの快感に、私は再び目の前が真っ白になります。
(あっ。飲んでる。私のアソコ、黄瀬さんの精液を飲みこんでる)
先輩方にいじられて絶頂した時は一瞬だけでしたが、今度はドク、ドクと小刻みに精液を体の中に撃ち込まれるたびに、目の前が真っ白になっては視界を取り戻すという事を繰り返していきます。その動きに合わせ、私の身体は精液を1滴でも多く奥へと出させようとするように黄瀬さんのモノを締め付けました。それは永遠に続くような気さえしたのですが、それでもやはり終わりの時は訪れます。次第に私のナカで精液を吐き出す勢いが弱まり、私の身体を貫く逸物が硬さを失って、すっかり柔らかくなったモノがずるりと私の身体から抜け落ちたのでした。
(気持ちよかった……)
圧倒的な快感の余韻が冷めやらぬまま、私は荒い息を吐きながら、呆然と空を見上げます。すると、その視界の端にまだスカートとショーツを脱いだままの黄瀬さんが割り込んできました。
「ほら。お掃除フェラだ」
そう言って私の口元に陰茎を突き付けてきます。それは射精したばかりで新鮮な精液の匂いを漂わせながら、再び硬さを取り戻し始めていました。私の口の中に唾液が溢れてきます。私は海和尚の本能に従い、突き付けられた物を反射的に咥えました。尿道にわずかに残った精液の味が口の中に広がります。
「んっ、ちゅっ、くちゅ」
「よし。そろそろこの辺でいいだろう」
黄瀬さんは満足したのか、私の口から逸物を抜き取ろうと私の頭に手を掛けました。しかし、私は反射的にその腕を掴み、逆に私の口から腰を離せないようにしてしまいます。
「おい。何する気だ」
黄瀬さんの焦ったような声を聞きながら、私は右手で彼の陰嚢をそっと持ち上げました。私には詳しい知識は無かったのですが、私の指は魔物娘としての本能に導かれるままに動いていきます。
「ちょっと、やめ」
黄瀬さんが逸物を引き抜こうとする動きが完全に止まったのを確かめると、私は口で陰茎を愛撫しながら、同時に両手で睾丸を優しく転がすように刺激します。そして新しく作られた精を陰茎に導くように、親指で睾丸と睾丸の間のへこんだところを優しく撫でました。口の中では舌で裏筋を根元から先端へと優しくなぞり上げます。
「ちょっといい加減に、うくっ」
私が目線を上げると、こちらを見下ろす黄瀬さんと目が合いました。興奮で顔をほんのりと赤く染め、快楽と羞恥と屈辱が混じったような目つきでこちらを睨み付けています。正直フェラをしている今でも顔だけ見ると整った顔立ちをした女の人のようです。それを見た私は今までになく黄瀬さんを可愛いと思ってしまいました。
(そっか。私、こんなかわいい人の子供が出来ちゃうかもしれないんだ)
黄瀬さんの精液でたぷたぷになった子宮が疼き、胸の中で黄瀬さんを愛おしく思う気持ちが広がっていきます。私の愛撫によって精と血液の流れが活発になった男性器が私の口の中で膨らみ、今にも精液が弾け出しそうになるのを感じました。
「また、出るっ」
喉の奥から絞り出すような声で呟く黄瀬さんの視線を見つめ返しながら、私はとどめを刺すように、舌先でカリと裏筋の間の敏感な部分を刺激します。
「くっ」
私の口の中で亀頭が弾け、さっきよりも濃くて勢いのある精液が私の喉の奥に叩きつけられました。
翌朝、ホームルーム前の教室で私は小さくあくびをしました。仮にも学校中の有名人な女子生徒として通っている人が実は男の人だと知ってしまった上、その人に強引に処女を奪われたのです。何事もなかったかのように気楽に寝ていろというのは無茶な相談です。それに明け方になってようやく眠りに入れたと思ったら夢の中で昨日の出来事がフラッシュバックしてしまい、下着をぐしょぐしょに濡らして変な声を上げながら飛び起きる羽目になってしまったのです。おかげでルームメイトからも変な目で見られました。
「ウラちゃんどしたの。なんだか今日は元気ないね?」
クラスメイトのコボルドの娘が心配して話しかけてきました。鼻のいい彼女なら私が昨日男の人に犯されたことを感づいてもおかしくないはずなのですが、何も知らない様子で無邪気に尻尾を振っています。昨日事が済んだ後で黄瀬さんが自分に使っている魔法と同じものを私にかけ、彼の精の匂いを誤魔化したからです。
「ウラちゃんも私みたいに早起きしてお散歩するといいよ。朝日を浴びながら走るのって気持ちいいんだよ」
この娘は陸上部に入っているのですが、ハードな朝練も彼女にかかれば「たのしいお散歩」でしかないそうです。聞くところによると学校や寮の周りを走り込みしながら、同じように通勤前にジョギングするのが日課だったおかげで出会ったという「ご主人様」と路地裏で「交尾」して朝練に戻ってくる余裕ぶりなのだとか。
その時、教室の入り口の方で何やらざわつく声が聞こえてきました。眠気で頭がぼうっとしている私はそれを聞き流します。しかし、その騒ぎは決して私と無関係ではありませんでした。
「その、浜浦さんを呼んでくるように言われたんだけど……」
コボルドの娘とは別のクラスメイトに言われて教室の入り口に目を向けた私は、そこで一気に目を覚ましました。黄瀬さんを背後に従えた赤宮さんが1年の教室まで来ていたのです。私は慌ててお2人の方へと向かいます。
「いいい、一体何のご用でしょうか」
私はまだ完全に回りきっていない頭を急いで稼働させながら喋ります。
「あなた、昨日これを忘れていたでしょう?」
そう言って赤宮さんは小さなケースに入った電子辞書を取り出しました。
「あ」
私はようやく思い出します。そういえば昨日生徒会室に戻ろうとしたのは、書記の先輩にお貸しした電子辞書を返してもらった時に、鞄にしまうのを忘れていた事に後から気付いたからです。
「ありがとうございます」
私が電子辞書のケースを受け取ると、赤宮さんはそんな私の様子をじろじろと見てきました。
「それにしてもあなたその恰好どうしたの。服がよれよれでタイも曲がっているじゃない」
昨日あなた方にレイプされたせいです、などと言えるはずもなく。同じクラスだけでなく両隣のクラスの子達までこちらの様子を遠巻きに伺う視線を感じながら、私は赤宮さんに身だしなみを整えて頂きつつ、針の筵に座るような気持ちで立っている事しかできません。
「まあこんなもんかしら。生徒会に参加するならいつも生徒のお手本になる事を意識しないとね、透子(とうこ)さん」
「……え?」
私が一瞬自分の耳を疑ったその時、周囲で私達の様子を眺めていた子達が再びざわつき始めました。赤宮さんはそれにも気づいていないかのような様子で悠然と歩き去り、その後ろを黄瀬さんが慌てて付いていくのが見えます。誰かがひと際大きい声で囁いているのが私の耳に届きました。
「今、会長が1年生を下の名前で呼んだよね……?」
「1年から聞いたわよ。一体どういう事なのか説明してちょうだい」
放課後、私は2年生の先輩3人から屋上に呼び出されました。ダークエルフの先輩が私に詰め寄ります。
「な、何がと言われましても。私にも何が何だか」
すると、今度は人間の先輩が私を詰ります。
「嘘おっしゃい。随分親しげに呼びかけられていたそうじゃない。心当たりがないとは言わせないわよ」
本当の事を話すわけにもいかずに視線をさ迷わせていると、3人目の先輩と目が合いました。この人は見覚えがあります。私と同じく生徒会庶務をしている2年の先輩(ちなみにこの学校では庶務を務めるのは2年生の秋に新しい生徒会役員を選挙で決める時までです)で、人間の姿をしていますが確かワーバットだったと思います。
そのワーバットの先輩は私と目が合うと、曖昧に苦笑いを浮かべてきました。この人は無理に付き合わされていたのかな、と思ったその時、ダークエルフの先輩がワーバットの先輩に小声――おそらく本人は私に聞こえないくらい小さくしたつもりの声で、何やら話しかけるのが聞こえました。
「ちょっと。あんたも何か言ってやりなさいよ。ファンクラブのリーダーはあんたでしょ」
どうやら彼女は付き合わされたどころかむしろ首謀者だったようです。
「そ、そうだよ。何も無いんだったら、ひ、1人だけ特別扱いされるわけないじゃない」
いかにも気弱そうに震えながら強がってくる口調に、私は妙な親近感を覚えました。こちらも苦笑いで返すと、3人の先輩方を見回して言いました。
「本当に何も知らないんです。私はただ、昨日生徒会室に電子辞書を忘れて、それを届けていただいただけなんです」
「は? まだしらを切るつもり?」
ダークエルフの先輩が、激情しながら私の胸倉に掴みかかろうと手を伸ばしました。
「ひっ」
当然私は咄嗟に逃げようとします。すると、ダークエルフの先輩の腕は本来の狙いから少し外れ、私の左胸をがっしりと掴む形になりました。私の胸に痛みが走り、被虐体質の身体がそれを快感として受け止めます。
「あんっ」
思わず喉の奥から小さな喘ぎ声が漏れてきました。恥ずかしさに顔がかっと熱くなり、私は思わず自分の口を両手で押さえてしまいます。すると、少しの間があってダークエルフの先輩が意地悪な笑みを浮かべてきました。
「何あんた。こんな状況で胸を乱暴に掴まれて感じているわけ?」
そして、ダークエルフの先輩は私の左胸を乱暴に揉みしだいてきました。
「あっ、んっ、やっ」
「わ、私も……」
ワーバットの先輩もおずおずと私の方に手を伸ばしました。その手のひらが私の右胸を確実に掴みます。その時、私の鼻がかすかな匂いを捉えました。私自身の物とは少し違う愛液の匂いです。先輩達も私に乱暴する事で感じているんだ。そう思うと私のスカートの中で下着が湿り気を帯び、私の口から漏れ出す喘ぎ声もひと際高いものになっていきます。
「んっ、ああっ!」
私は腰が抜けてずるずるとへたり込み、人化の術が解けて海和尚の姿で仰向けに倒れました。服装も海神様の巫女服に変わり、秘部を遮る物が無くなったことで恥ずかしい部分が私を見下ろす先輩達の視線の先に晒されます。そこはすっかり濡れきっていて、屋上を吹く風が当たってひんやりとしました。
「見てこの娘。私達にちょっと揉まれただけでこんなにぐしょぐしょにしているわ」
ダークエルフの先輩が右手で私の左足を掴んで持ち上げ、左手の中指を私の陰部に乱暴に突っ込んできます。
「ほら、指がこんなに奥までするっと入っちゃう。この感じ処女じゃないわね。いかにもしっかり風紀を守ってますって真面目そうな格好で赤宮会長に近づきながら、裏ではこんなあられもない格好で夫とイチャイチャしていたわけ。……羨ましいな、クソが」
続いて人間の先輩が、まだダークエルフの先輩の指を咥えている所に更に指を差し込んできました。膣内を爪で乱暴に引っ掻いてきます。私が人間だったら下手すれば大怪我する所ですが、海和尚の身体は頑丈なので程よい痛みと快楽を感じます。
「ほんとだ。あっさり入った。しかもヌルヌルでとても熱い」
「じゃ、じゃあ、私はこっちにしようかな」
私の身体に大きな影が差し、私の胸を隠していた布が捲り上げられると、右胸に何やら毛深くて重みのある物がのしかかってきました。そちらを見上げると、私と同じように人化の術を解いたワーバットの先輩が足で私の胸を揉みしだいています。
「んっ、ふあっ、あっ」
「な、なんだか楽しくなってきちゃった」
「私も。とても熱くなってきた」
「ああっ。もう我慢できない」
ワーバットの先輩は私を足蹴にするような形で右胸を足でいじめ、ダークエルフの先輩は右手で私の左胸をいじりながら左手の指を陰部の中に差し込み、人間の先輩は右手でダークエルフの先輩と一緒に私の陰部をいじりながら左手を自分のスカートの中に入れて淫らな水音を立ててきたりと三者三様に異なるやり方で私の身体をいじります。程なくして私の身体に限界が訪れ、子宮から甘く痺れる感覚が広がってきました。
「あ、イク。何か、きちゃう。あああっ」
「そんな声出されたら、わたしも、イッちゃ、あああっ」
私は目の前が真っ白になるような快感に襲われ、ぷしっ、と音を立てて小さく潮吹きをしました。人間の先輩はダークエルフの先輩と一緒にそれを浴びながら、自分も絶頂を迎えてビクビクと震えます。すると、その人間の先輩の頭にヤギのような小さな角が生え、制服の腰の所の隙間からコウモリのような翼が、スカートの下から先がハート型になった尻尾が飛び出してきました。私達の魔力が放出されている中で絶頂したことで、レッサーサキュバスに変わってしまったようです。その先輩は呆然とした顔でへたり込み、まだ絶頂の余韻が残っているのか小刻みに身体を震わせています。
「あっ。私、魔物に……」
その時、屋上から校舎の中へと階段を降りていく入り口の所から声が聞こえてきました。
「ちょっとあなた達。何やってるの!」
私達が一斉にそちらの方を向くと、1人の人影がこちらへと歩いてくるのが見えます。
「まずい。副会長だ」
「に、逃げないと」
「あっ。1人だけ空飛ぶのズルい」
ワーバットの先輩は翼を使って空へ、ダークエルフの先輩はまだ快楽の余韻で動けない様子のレッサーサキュバスになった先輩に肩を貸してそれぞれ逃げていきます。しかし、黄瀬さんはそんな先輩方を追いかける様子もなく、ただ屋上の真ん中に立っていました。
「あの、その、助けに来て下さったんですか?」
私の問いかけにも答えません。そして足音や羽ばたきの音が遠ざかっていくと、校舎に降りていく階段への扉を乱暴に閉じました。カチリと鍵をかける音が嫌に大きく聞こえてきます。そして黄瀬さんは甲羅の重さで起き上がれない私の所まで歩み寄ってくると、私を見下ろしながらいつになく冷たい声で話しかけてきました。
「ねえ、浜浦さん」
「は、はい。何でしょうか」
「俺も会長に下の名前で呼んでもらうには、どうしたらいいかな?」
苛立ちの滲む声で言うと、黄瀬さんはスカートとショーツを脱ぎ捨てました。昨日私の純潔を無理やりこじ開けたグロテスクな物体が、そこだけ別の生き物であるかのようにビクビクと頭を持ち上げながら強い精の匂いを振り撒いてきます。
「ひっ」
「インキュバスになったら、俺も下の名前で呼んでもらえるようになるかな?」
そう言って陰茎を突き付けてくる黄瀬さんの姿に、私は身体を恐怖で震わせます。しかしその時、私の身体の一部が違う反応を示しました。お腹の奥で子宮が疼いてきたのです。この精を飲みたいと私に訴えかけてくるように。
そんな私の反応に知ってか知らずか、黄瀬さんは私の両脚に手をかけて持ち上げ、昨日と同じように一気に私の身体を貫きました。
「あああああっ!」
昨日の行為で大きく広げられ、ついさっき2年生の先輩方にいじられて温まりトロトロに解れた私の膣は、昨日とは違って純粋な快感を私の全身に走らせました。私は自分の性器が黄瀬さんの陰茎を抱きしめるように締め付け、奥へ奥へと誘うように蠢いているのを感じ、確信します。
(どうしよう。私の身体、黄瀬さんを夫だって認識しちゃってる。この人の精液で妊娠したがってる)
私は自分でも殆ど意識しないうちに、黄瀬さんの動きに合わせてこちらからも腰を揺らしていました。私の愛液が黄瀬さんの陰茎でかき混ぜられ、じゅぽじゅぽと湿った水音を鳴らします。黄瀬さんは腰を動かしながら私の上に屈み込んで私の右胸に吸い付き、舌で乳首を転がしてきました。お腹の中だけでなく胸からも、ビリビリと気持ちいい感じが全身へと広がります。
「ああっ!」
叫ぶと同時に、私の膣はきゅっとひと際強く黄瀬さんの陰茎を締め付けました。全身が気持ちいい電流のような物でいっぱいになり、「気持ちいい」という事以外何も考えられなくなってきます。黄瀬さんの動きが私の奥の方を小刻みに探るような動きに変わり、私のナカに入った物がビクビクと震えてきました。
「もう、出る」
それを聞いた私の両手と両脚は、何か考える暇もなく黄瀬さんに縋りつくように彼を強く抱きしめます。私に突き刺さった物を抜かせまいとするように。程なくして黄瀬さんの背中がぶるりと震え、私の身体の奥に温かくドロリとした物が叩きつけられました。あまりもの快感に、私は再び目の前が真っ白になります。
(あっ。飲んでる。私のアソコ、黄瀬さんの精液を飲みこんでる)
先輩方にいじられて絶頂した時は一瞬だけでしたが、今度はドク、ドクと小刻みに精液を体の中に撃ち込まれるたびに、目の前が真っ白になっては視界を取り戻すという事を繰り返していきます。その動きに合わせ、私の身体は精液を1滴でも多く奥へと出させようとするように黄瀬さんのモノを締め付けました。それは永遠に続くような気さえしたのですが、それでもやはり終わりの時は訪れます。次第に私のナカで精液を吐き出す勢いが弱まり、私の身体を貫く逸物が硬さを失って、すっかり柔らかくなったモノがずるりと私の身体から抜け落ちたのでした。
(気持ちよかった……)
圧倒的な快感の余韻が冷めやらぬまま、私は荒い息を吐きながら、呆然と空を見上げます。すると、その視界の端にまだスカートとショーツを脱いだままの黄瀬さんが割り込んできました。
「ほら。お掃除フェラだ」
そう言って私の口元に陰茎を突き付けてきます。それは射精したばかりで新鮮な精液の匂いを漂わせながら、再び硬さを取り戻し始めていました。私の口の中に唾液が溢れてきます。私は海和尚の本能に従い、突き付けられた物を反射的に咥えました。尿道にわずかに残った精液の味が口の中に広がります。
「んっ、ちゅっ、くちゅ」
「よし。そろそろこの辺でいいだろう」
黄瀬さんは満足したのか、私の口から逸物を抜き取ろうと私の頭に手を掛けました。しかし、私は反射的にその腕を掴み、逆に私の口から腰を離せないようにしてしまいます。
「おい。何する気だ」
黄瀬さんの焦ったような声を聞きながら、私は右手で彼の陰嚢をそっと持ち上げました。私には詳しい知識は無かったのですが、私の指は魔物娘としての本能に導かれるままに動いていきます。
「ちょっと、やめ」
黄瀬さんが逸物を引き抜こうとする動きが完全に止まったのを確かめると、私は口で陰茎を愛撫しながら、同時に両手で睾丸を優しく転がすように刺激します。そして新しく作られた精を陰茎に導くように、親指で睾丸と睾丸の間のへこんだところを優しく撫でました。口の中では舌で裏筋を根元から先端へと優しくなぞり上げます。
「ちょっといい加減に、うくっ」
私が目線を上げると、こちらを見下ろす黄瀬さんと目が合いました。興奮で顔をほんのりと赤く染め、快楽と羞恥と屈辱が混じったような目つきでこちらを睨み付けています。正直フェラをしている今でも顔だけ見ると整った顔立ちをした女の人のようです。それを見た私は今までになく黄瀬さんを可愛いと思ってしまいました。
(そっか。私、こんなかわいい人の子供が出来ちゃうかもしれないんだ)
黄瀬さんの精液でたぷたぷになった子宮が疼き、胸の中で黄瀬さんを愛おしく思う気持ちが広がっていきます。私の愛撫によって精と血液の流れが活発になった男性器が私の口の中で膨らみ、今にも精液が弾け出しそうになるのを感じました。
「また、出るっ」
喉の奥から絞り出すような声で呟く黄瀬さんの視線を見つめ返しながら、私はとどめを刺すように、舌先でカリと裏筋の間の敏感な部分を刺激します。
「くっ」
私の口の中で亀頭が弾け、さっきよりも濃くて勢いのある精液が私の喉の奥に叩きつけられました。
18/09/17 19:52更新 / bean
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