図鑑世界童話全集「金太郎」
昔々、足柄山という山で1人のウシオニが金太郎という息子と一緒に暮らしておりました。金太郎はウシオニの本当の子供ではなく、ウシオニが山の中を歩いている時に拾った人間の赤ん坊で、この男の子の本当の親が誰なのか知る者はいませんでした。それでも、ウシオニは金太郎に自分の糸で作った前掛けを着せて、本当の我が子のように大切に育てておりました。
ジパングに住む妖の中でも力自慢な種族であるウシオニは足柄山の森の中で木こりとして木を切って暮らしており、金太郎も物心が付くと大きなまさかりを担いでウシオニのお母さんの仕事を手伝っておりました。その力は人間の子供とは思えないほどに凄まじく、金太郎を知る山の大人達の中には彼が人間と神の間に生まれてきた子供だったのが天界から落ちてきたのではないか、などと噂する者さえおりました。
ある日、金太郎が山の中を歩いておりますと、妖の子供達の楽しそうな声が聞こえてきました。
「はっけよーい、のこったっ!」
声のする方に行ってみますと兎の妖(編注:これはワーラビットの事だと考えられます)や刑部狸、河童など色々な妖の子供達が集まって相撲を取っておりました。それを見た金太郎も思わず声を掛けます。
「うさぎがんばれ! 狸も負けるな!」
そしていつの間にか自分も妖達に混ざって土俵に上がります。金太郎の凄まじい力には妖の子供も敵わず、皆あっさりと投げ飛ばされてしまいました。すると、金太郎が投げ飛ばした妖達よりも体の大きい熊の妖(編注:こちらはグリズリーの事でしょう)がやってきました。
「お、なんだか見ない顔がいるなあ」
「熊さん、こいつとんでもなく強いよ」
「大丈夫だよ。いくらなんでも熊さんなら負けないよ」
金太郎と熊の妖は他の妖の子供達にせがまれ、土俵の上で向かい合いました。兎が行司役をします。
「はっけよーい、のこったっ!」
他の子供達が言うだけあって熊の妖はさっきまでの相手よりひと際強く、最初は金太郎を投げ飛ばしてしまうかに見えました。しかし、金太郎はそれをぐっと持ちこたえると、熊をあっさりと投げ返してしまいました。
「すごーい。まさか熊さんにも勝っちゃうなんて」
「あんた本当に強いなあ。あんたと毎日相撲を取ったら、あたしも強くなれるかなあ」
この日から、金太郎は山に住む妖の子供達と一緒に遊びまわるようになりました。
それからしばらく経った夏の日の事。足柄山を激しい嵐が襲いました。ようやく嵐が過ぎ去り、金太郎が仲間たちと一緒に山の中に出てみると、川の方から声が聞こえてきました。
「おーい、誰か助けてー」
声のする方に行ってみると、大雨で増水した川の中州に兎が取り残されておりました。川はどんどん勢いを増しており、このままでは中州も水の中に沈んで兎が流されてしまいます。
「待ってろ! 今助ける!」
そう言うと金太郎は自慢のまさかりで岸辺の木を切り倒し、中州との間に橋を架けます。兎はこの橋を伝って中州から無事に抜け出すことができました。
「ありがとう金太郎さん」
「金太郎すごーい。力が強いだけじゃなく、優しくて知恵もあるんだなあ」
兎と熊が金太郎をほめたたえます。
「おいらがすごいんじゃない。おっかあが木こりの技を教えてくれたおかげだよ」
金太郎は照れ臭そうに言いました。
長い月日が経ち、金太郎も15歳になりました。その顔や身体には髭や毛が生え始め、体付きもがっちりした大人の体格に変わってきており、妖の子供達も胸や尻がふっくらとしたふくよかな体型に変わってきました。
しかし、彼は相変わらず裸にウシオニのお母さんが作ってくれた前掛けだけを付けた格好で、妖達と野山を駆け回っておりました。これでは妖達に襲われてしまいそうな気がしますが、そうならないのにはちゃんと理由がありました。
今日も金太郎は地面に円を描いただけの簡単な土俵で、熊と相撲を取っています。
「金太郎さん頑張れー」
「熊さんも負けるなー」
「そおりゃっ!」
金太郎の掛け声と共に熊が勢いよく宙を舞い、土俵の上に仰向けで倒れました。行司役の河童が声を張り上げます。
「金太郎の勝ちー」
「あー。また金太郎さんが勝ったかー」
しかし、これで終わりではありません。いつからか金太郎と熊が相撲を取る時には、他の相手と取り組む時には無い特別な「続き」ができていました。金太郎は仰向けに倒れた熊を更に上から腕ずくで抑えつけ、熊の脚を持ち上げて大きく開きます。熊の顔がほんのりと赤く染まり、開かれたお股からは雄を誘う雌の獣(けだもの)の匂いがむわりと広がって、熊がいつも舐めている花の妖の蜜と同じくらいとろりとした物が垂れてきました。雄の子種を受け入れる準備ができた証です。
金太郎は自分の前掛けを捲り上げると、相手の意思を確認する間もなく、かちかちにそそり立ったまらを熊のほとに突き入れました。これが金太郎が熊と相撲を取る時にだけ行う特別な「続き」。勝者が敗者を犯すのです。今までずっと金太郎が熊に勝ってきたので、この「続き」をするようになってからは毎回金太郎が熊を犯しておりました。
熊は力づくで犯されながらも、その目は悦びに潤み、口からは熱く湿った吐息を嬉しそうに吐き出し、力強い腕で金太郎をぎゅっと抱きしめ、ほとをとろとろに蕩けさせてまらを容易く受け入れます。金太郎もごつごつした大人の腕で熊の肩を抱きしめ、引き締まった足腰を勢いよく振り、その股では大きな金の玉がいつでも雌を孕ませるだけの精を蓄えているぞと誇るように勢いよくぶらぶらと揺れていました。
「あー、すごっ。あんなに大きいのが全部入っちゃうなんて」
「いいなあ。私にも誰かいい人いないかなあ」
「私も男の人に胎の中をぐりぐりされたら、あんな風に気持ちよくなれるのかな」
仲間の若い妖達も、金太郎と熊のまぐわいを食い入るように見つめながら自らの身体を慰めておりました。さっきまで行司役をしていた河童なんかは、大好物のキュウリを下の口で咥え、金太郎の動きを真似するようにして動かして大きな水音を立てています。
やがて金太郎は切羽詰まったような声で言いました。
「出すぞ!」
「そんな。中に出されたら、赤ん坊ができちまう」
熊は口ではそう言いながらも、金太郎を抱きしめる腕を強め、更にはまらがほとから抜けないように脚を絡めます。
「ぐううっ……」
金太郎が呻き声を漏らしたかと思うと、硬く引き締まった尻がきゅっと締まり、腰が力いっぱい熊の身体に押し付けられ、まらが力強く震えて熊の胎におびただしい子種を吐き出しました。
「あっ、熊さんの脚も震えている。達したのかな」
「あんっ。見ている私も、大きいのが、来ちゃう。手がとまんないっ。……ああっ!」
そしていつしか辺りには、何種類もの発情した獣の匂いが入り混じっているのでした。
しばらくして射精が治まると、金太郎はゆっくりとまらを抜き出しました。まらの先と熊のほととの間に、太くて白い橋が架かっています。熊は愛おしそうに金太郎の顔を見つめましたが、金太郎は熊の腰に手をかけると、彼女をひっくり返して四つん這いの体勢を取らせました。
「すまん。まだ治まりそうにない」
それだけ言うと、金太郎はまだまだ硬くそそり立ったまらを再びほとに突き入れました。
「ああっ! そんな。これ以上、奥に、出されたら、本当に、できちまう。あんたみたいに、力強い、子熊、孕んじゃうよおっ!」
そう言って熊は力なく地面をひっかき、口を閉じることもままならずに土俵の上にだらだらとよだれを垂らします。それを後ろから攻め立てる金太郎の動きは、まるで馬の交尾を真似しているような激しさでした。
前掛け1枚の下に子を成せるほど成熟した性器をちらつかせて山の中を歩く金太郎の姿は、もはや一人前の足柄山の獣です。しかし金太郎が熊と相撲を取ったり熊を犯したりするたびに、熊は彼に自分のつがいである事を示す特別な匂いを擦り付けていたので、他の妖が彼を襲う事はありませんでした。
そんなある日、金太郎がいつものように相撲で勢いよく熊を投げ飛ばしておりますと、物々しい武士の鎧を付けた見知らぬ4人組の大人の男達が姿を現しました。その1人が金太郎に声を掛けます。
「君、なかなか筋がいいね。ここにいるおじさんの家来にも相撲が得意な人がいるんだが、試しに1番取り組んでみないか?」
すると、その男が引き連れていた3人のうち、特に体格の大きな男が言いました。
「頼光(よりみつ)様。相手はまだ小さな子供じゃないですか」
「まあそう言わずに頼むよ渡辺。中々見込みがありそうだし、お前の技を受けてもまだ意欲がありそうなら連れて行って鍛えてみるのもいいんじゃないかと思うんだ」
そういうわけで金太郎は渡辺と相撲を取る事にしました。同じく頼光の家来の1人である碓井が行司役をします。
「はっけよーい、のこった!」
金太郎が正面から勢いよく渡辺にぶつかり、渡辺もそれを正面から迎えうちます。渡辺はそのまま体格差を活かして金太郎を投げ飛ばそうとしますが、金太郎は予想以上に力が強くびくともしません。しかし、それは金太郎の方も同じ。今まで相撲を取ったどの相手よりも大きく力の強い渡辺に、金太郎の方も持ちこたえるので精いっぱいな状態です。
そのまま互いに動けなくなった金太郎の背中に、妖達が声援を送ります。
「金太郎、頑張れぇ!」
熊がひと際強く声を張り上げた時、金太郎は渡辺を勢いよく投げ飛ばしました。
「こいつは予想以上だ」
頼光が呟いたその時、ウシオニのお母さんが金太郎を迎えに来ました。
「おーい。晩飯ができたぞー。よかったら熊ちゃんも食べていきなー……って、あれ?」
しかし、ウシオニのお母さんは頼光の姿を見ると驚きに満ちた顔で固まってしまいました。
「もしかして……より、ちゃん?」
「その声は、まさか姉上?」
「姉上?」
そして首をかしげる金太郎や若い妖達を尻目に、頼光とウシオニのお母さんは互いに駆け寄ってかたく抱きしめ合うのでした。
それから、頼光と家来達は金太郎とウシオニのお母さんが暮らしている家で話をすることになりました。ついでによく金太郎と一緒に晩御飯を食べさせてもらっている熊も付いてきます。
ウシオニのお母さんは今まで金太郎に話していなかった自分の身の上を教えてくれました。
彼女と弟の頼光は、元々有力な退魔師の一族に生まれ育ちました。しかし、頼光がまだ幼い頃、彼の姉は妖との戦いで誤ってウシオニの血を浴びてしまい、自らもウシオニに変化してしまいます。一族から妖が出たという事実が広まる事を恐れた一族の長老達はウシオニになった頼光の姉を足柄山に追放し、強力な結界を貼って彼女が山から下りられないようにしていたのです。そして表向きは彼女が妖との戦いで命を落とした事にしたのでした。
「私も、姉上は私が幼い頃に死んだと教えられて育ってきておりました。しかし先日、父上から本当の事を教えられ、更には姉上を討伐するように命じられました。私は父上の命令に疑問を感じ、それに同意してくれたこの3人の家来と共に退魔師の里を抜け、この足柄山にやってきたのです。そしてここで、人間と妖の若者が共に仲良く暮らす姿を目にし、退魔師として妖を排除する以外の道もあるのだという事を悟りました。いや、それだけではありません」
頼光はウシオニのお母さんを抱きしめます。
「私が父上の命令に反発したのにはもうひとつ理由があります。姉上が私の幼い頃に死んだと思いこまされていた間もずっと、私は幼き日の姉上の面影に恋焦がれておりました。実の姉弟でと思われるかもしれませんが、姉上は私にとって初恋の人なんです」
すると、ウシオニのお母さんは答えました。
「私達ウシオニは、本来なら本能のままに人間の男を浚ってきて無理やりにでも犯す妖だ。結界のせいで山から下りる事はずっとできなかったが、その気になれば山に誤って迷い込んできた男を浚うくらいの事ができる機会はいくらでもあった。だけど、私はずっとその本能を必死に抑えてきた。ひとつには金太郎を立派な大人に育てるまではという想いもあったが、もっと大きな理由は、よりちゃん、いや、頼光。私もあんたの事がずっと忘れられなかったからだ」
そして、ウシオニのお母さんと頼光は唇を重ねました。舌が激しく絡み合う水音が広がり、そのままウシオニのお母さんが頼光を押し倒して引きちぎるように彼の鎧を剥ぎ取っていきます。そんな2人の様子を身ながら、金太郎は涙ぐんでおりました。
「おいら、本当は自分がいるせいでおっかあがいい人を探しに行くことができないんじゃないかって悩んでいたんだ。だけど、おっかあにはずっと心に決めた人がいて、やっと会えたんだなあ。本当に良かった」
その時、金太郎の隣にいた熊が彼を押し倒し、馬乗りになりました。
「さっきは相撲の後の『アレ』はおあずけ食らっていたし、2人のまぐわいを見ていたら疼いてきちゃった」
そして熊は右手で金太郎の前掛けを捲り上げ、左手を金太郎の顔に当ててそこに染み付いた花の妖の蜜の匂いを嗅がせました。金太郎の股でまらが勢いよく頭を持ち上げます。
「本当はこういう事はあんたに相撲でちゃんと勝ってからにしたかったけど、もう我慢できない」
熊は力強くそそり立った金太郎のまらを、下の口で一気に咥えます。
「そうだな。おっかあと頼光さんに、可愛い孫熊の顔を見せてやろうな」
金太郎はそんな熊のほとを、力強い足腰で下から勢いよく突き上げるのでした。
「そ、それじゃあ頼光様。私たちは外におりますのでお済みになりましたら声をおかけください」
頼光の家来の1人である卜部はもはや聞こえているかもわからない主人にそっと声をかけると、渡辺や碓井と共に気まずそうにそそくさと外へ出ていきました。
それから、元々優れた退魔師としての技に加え、妖人(インキュバス)としての力を手に入れた頼光は、ウシオニのお母さんを足柄山に縛り付けていた強固な結界を壊しました。金太郎は正式に元服(編注:ジパングにおける成人の儀式の事です)して金時と名を改め、熊のお嫁さんやウシオニのお母さんと共に足柄山を下り、頼光の家来となりました。
金時は渡辺や碓井、卜部と共に頼光四天王として有名になり、ジパングの各地を回って足柄山のように人間と妖が仲良く暮らせるようにと尽力しました。特に大江山という所に住む鬼の集団が多くの人間の男を浚って諍いを起こしていた時なんかは、頼光と四天王の5人で大江山に赴いてアカオニやアオオニ達と共に酒を酌み交わし、諍いを鎮めるという大手柄を立て、その名を広く轟かせました。
この時大江山の鬼の頭領の副官を務めていた茨城というアカオニは、退魔師だった頃の渡辺と力比べをして引き分けた事があったとかで、互いに意気投合して後に結婚したそうです。
ジパングに住む妖の中でも力自慢な種族であるウシオニは足柄山の森の中で木こりとして木を切って暮らしており、金太郎も物心が付くと大きなまさかりを担いでウシオニのお母さんの仕事を手伝っておりました。その力は人間の子供とは思えないほどに凄まじく、金太郎を知る山の大人達の中には彼が人間と神の間に生まれてきた子供だったのが天界から落ちてきたのではないか、などと噂する者さえおりました。
ある日、金太郎が山の中を歩いておりますと、妖の子供達の楽しそうな声が聞こえてきました。
「はっけよーい、のこったっ!」
声のする方に行ってみますと兎の妖(編注:これはワーラビットの事だと考えられます)や刑部狸、河童など色々な妖の子供達が集まって相撲を取っておりました。それを見た金太郎も思わず声を掛けます。
「うさぎがんばれ! 狸も負けるな!」
そしていつの間にか自分も妖達に混ざって土俵に上がります。金太郎の凄まじい力には妖の子供も敵わず、皆あっさりと投げ飛ばされてしまいました。すると、金太郎が投げ飛ばした妖達よりも体の大きい熊の妖(編注:こちらはグリズリーの事でしょう)がやってきました。
「お、なんだか見ない顔がいるなあ」
「熊さん、こいつとんでもなく強いよ」
「大丈夫だよ。いくらなんでも熊さんなら負けないよ」
金太郎と熊の妖は他の妖の子供達にせがまれ、土俵の上で向かい合いました。兎が行司役をします。
「はっけよーい、のこったっ!」
他の子供達が言うだけあって熊の妖はさっきまでの相手よりひと際強く、最初は金太郎を投げ飛ばしてしまうかに見えました。しかし、金太郎はそれをぐっと持ちこたえると、熊をあっさりと投げ返してしまいました。
「すごーい。まさか熊さんにも勝っちゃうなんて」
「あんた本当に強いなあ。あんたと毎日相撲を取ったら、あたしも強くなれるかなあ」
この日から、金太郎は山に住む妖の子供達と一緒に遊びまわるようになりました。
それからしばらく経った夏の日の事。足柄山を激しい嵐が襲いました。ようやく嵐が過ぎ去り、金太郎が仲間たちと一緒に山の中に出てみると、川の方から声が聞こえてきました。
「おーい、誰か助けてー」
声のする方に行ってみると、大雨で増水した川の中州に兎が取り残されておりました。川はどんどん勢いを増しており、このままでは中州も水の中に沈んで兎が流されてしまいます。
「待ってろ! 今助ける!」
そう言うと金太郎は自慢のまさかりで岸辺の木を切り倒し、中州との間に橋を架けます。兎はこの橋を伝って中州から無事に抜け出すことができました。
「ありがとう金太郎さん」
「金太郎すごーい。力が強いだけじゃなく、優しくて知恵もあるんだなあ」
兎と熊が金太郎をほめたたえます。
「おいらがすごいんじゃない。おっかあが木こりの技を教えてくれたおかげだよ」
金太郎は照れ臭そうに言いました。
長い月日が経ち、金太郎も15歳になりました。その顔や身体には髭や毛が生え始め、体付きもがっちりした大人の体格に変わってきており、妖の子供達も胸や尻がふっくらとしたふくよかな体型に変わってきました。
しかし、彼は相変わらず裸にウシオニのお母さんが作ってくれた前掛けだけを付けた格好で、妖達と野山を駆け回っておりました。これでは妖達に襲われてしまいそうな気がしますが、そうならないのにはちゃんと理由がありました。
今日も金太郎は地面に円を描いただけの簡単な土俵で、熊と相撲を取っています。
「金太郎さん頑張れー」
「熊さんも負けるなー」
「そおりゃっ!」
金太郎の掛け声と共に熊が勢いよく宙を舞い、土俵の上に仰向けで倒れました。行司役の河童が声を張り上げます。
「金太郎の勝ちー」
「あー。また金太郎さんが勝ったかー」
しかし、これで終わりではありません。いつからか金太郎と熊が相撲を取る時には、他の相手と取り組む時には無い特別な「続き」ができていました。金太郎は仰向けに倒れた熊を更に上から腕ずくで抑えつけ、熊の脚を持ち上げて大きく開きます。熊の顔がほんのりと赤く染まり、開かれたお股からは雄を誘う雌の獣(けだもの)の匂いがむわりと広がって、熊がいつも舐めている花の妖の蜜と同じくらいとろりとした物が垂れてきました。雄の子種を受け入れる準備ができた証です。
金太郎は自分の前掛けを捲り上げると、相手の意思を確認する間もなく、かちかちにそそり立ったまらを熊のほとに突き入れました。これが金太郎が熊と相撲を取る時にだけ行う特別な「続き」。勝者が敗者を犯すのです。今までずっと金太郎が熊に勝ってきたので、この「続き」をするようになってからは毎回金太郎が熊を犯しておりました。
熊は力づくで犯されながらも、その目は悦びに潤み、口からは熱く湿った吐息を嬉しそうに吐き出し、力強い腕で金太郎をぎゅっと抱きしめ、ほとをとろとろに蕩けさせてまらを容易く受け入れます。金太郎もごつごつした大人の腕で熊の肩を抱きしめ、引き締まった足腰を勢いよく振り、その股では大きな金の玉がいつでも雌を孕ませるだけの精を蓄えているぞと誇るように勢いよくぶらぶらと揺れていました。
「あー、すごっ。あんなに大きいのが全部入っちゃうなんて」
「いいなあ。私にも誰かいい人いないかなあ」
「私も男の人に胎の中をぐりぐりされたら、あんな風に気持ちよくなれるのかな」
仲間の若い妖達も、金太郎と熊のまぐわいを食い入るように見つめながら自らの身体を慰めておりました。さっきまで行司役をしていた河童なんかは、大好物のキュウリを下の口で咥え、金太郎の動きを真似するようにして動かして大きな水音を立てています。
やがて金太郎は切羽詰まったような声で言いました。
「出すぞ!」
「そんな。中に出されたら、赤ん坊ができちまう」
熊は口ではそう言いながらも、金太郎を抱きしめる腕を強め、更にはまらがほとから抜けないように脚を絡めます。
「ぐううっ……」
金太郎が呻き声を漏らしたかと思うと、硬く引き締まった尻がきゅっと締まり、腰が力いっぱい熊の身体に押し付けられ、まらが力強く震えて熊の胎におびただしい子種を吐き出しました。
「あっ、熊さんの脚も震えている。達したのかな」
「あんっ。見ている私も、大きいのが、来ちゃう。手がとまんないっ。……ああっ!」
そしていつしか辺りには、何種類もの発情した獣の匂いが入り混じっているのでした。
しばらくして射精が治まると、金太郎はゆっくりとまらを抜き出しました。まらの先と熊のほととの間に、太くて白い橋が架かっています。熊は愛おしそうに金太郎の顔を見つめましたが、金太郎は熊の腰に手をかけると、彼女をひっくり返して四つん這いの体勢を取らせました。
「すまん。まだ治まりそうにない」
それだけ言うと、金太郎はまだまだ硬くそそり立ったまらを再びほとに突き入れました。
「ああっ! そんな。これ以上、奥に、出されたら、本当に、できちまう。あんたみたいに、力強い、子熊、孕んじゃうよおっ!」
そう言って熊は力なく地面をひっかき、口を閉じることもままならずに土俵の上にだらだらとよだれを垂らします。それを後ろから攻め立てる金太郎の動きは、まるで馬の交尾を真似しているような激しさでした。
前掛け1枚の下に子を成せるほど成熟した性器をちらつかせて山の中を歩く金太郎の姿は、もはや一人前の足柄山の獣です。しかし金太郎が熊と相撲を取ったり熊を犯したりするたびに、熊は彼に自分のつがいである事を示す特別な匂いを擦り付けていたので、他の妖が彼を襲う事はありませんでした。
そんなある日、金太郎がいつものように相撲で勢いよく熊を投げ飛ばしておりますと、物々しい武士の鎧を付けた見知らぬ4人組の大人の男達が姿を現しました。その1人が金太郎に声を掛けます。
「君、なかなか筋がいいね。ここにいるおじさんの家来にも相撲が得意な人がいるんだが、試しに1番取り組んでみないか?」
すると、その男が引き連れていた3人のうち、特に体格の大きな男が言いました。
「頼光(よりみつ)様。相手はまだ小さな子供じゃないですか」
「まあそう言わずに頼むよ渡辺。中々見込みがありそうだし、お前の技を受けてもまだ意欲がありそうなら連れて行って鍛えてみるのもいいんじゃないかと思うんだ」
そういうわけで金太郎は渡辺と相撲を取る事にしました。同じく頼光の家来の1人である碓井が行司役をします。
「はっけよーい、のこった!」
金太郎が正面から勢いよく渡辺にぶつかり、渡辺もそれを正面から迎えうちます。渡辺はそのまま体格差を活かして金太郎を投げ飛ばそうとしますが、金太郎は予想以上に力が強くびくともしません。しかし、それは金太郎の方も同じ。今まで相撲を取ったどの相手よりも大きく力の強い渡辺に、金太郎の方も持ちこたえるので精いっぱいな状態です。
そのまま互いに動けなくなった金太郎の背中に、妖達が声援を送ります。
「金太郎、頑張れぇ!」
熊がひと際強く声を張り上げた時、金太郎は渡辺を勢いよく投げ飛ばしました。
「こいつは予想以上だ」
頼光が呟いたその時、ウシオニのお母さんが金太郎を迎えに来ました。
「おーい。晩飯ができたぞー。よかったら熊ちゃんも食べていきなー……って、あれ?」
しかし、ウシオニのお母さんは頼光の姿を見ると驚きに満ちた顔で固まってしまいました。
「もしかして……より、ちゃん?」
「その声は、まさか姉上?」
「姉上?」
そして首をかしげる金太郎や若い妖達を尻目に、頼光とウシオニのお母さんは互いに駆け寄ってかたく抱きしめ合うのでした。
それから、頼光と家来達は金太郎とウシオニのお母さんが暮らしている家で話をすることになりました。ついでによく金太郎と一緒に晩御飯を食べさせてもらっている熊も付いてきます。
ウシオニのお母さんは今まで金太郎に話していなかった自分の身の上を教えてくれました。
彼女と弟の頼光は、元々有力な退魔師の一族に生まれ育ちました。しかし、頼光がまだ幼い頃、彼の姉は妖との戦いで誤ってウシオニの血を浴びてしまい、自らもウシオニに変化してしまいます。一族から妖が出たという事実が広まる事を恐れた一族の長老達はウシオニになった頼光の姉を足柄山に追放し、強力な結界を貼って彼女が山から下りられないようにしていたのです。そして表向きは彼女が妖との戦いで命を落とした事にしたのでした。
「私も、姉上は私が幼い頃に死んだと教えられて育ってきておりました。しかし先日、父上から本当の事を教えられ、更には姉上を討伐するように命じられました。私は父上の命令に疑問を感じ、それに同意してくれたこの3人の家来と共に退魔師の里を抜け、この足柄山にやってきたのです。そしてここで、人間と妖の若者が共に仲良く暮らす姿を目にし、退魔師として妖を排除する以外の道もあるのだという事を悟りました。いや、それだけではありません」
頼光はウシオニのお母さんを抱きしめます。
「私が父上の命令に反発したのにはもうひとつ理由があります。姉上が私の幼い頃に死んだと思いこまされていた間もずっと、私は幼き日の姉上の面影に恋焦がれておりました。実の姉弟でと思われるかもしれませんが、姉上は私にとって初恋の人なんです」
すると、ウシオニのお母さんは答えました。
「私達ウシオニは、本来なら本能のままに人間の男を浚ってきて無理やりにでも犯す妖だ。結界のせいで山から下りる事はずっとできなかったが、その気になれば山に誤って迷い込んできた男を浚うくらいの事ができる機会はいくらでもあった。だけど、私はずっとその本能を必死に抑えてきた。ひとつには金太郎を立派な大人に育てるまではという想いもあったが、もっと大きな理由は、よりちゃん、いや、頼光。私もあんたの事がずっと忘れられなかったからだ」
そして、ウシオニのお母さんと頼光は唇を重ねました。舌が激しく絡み合う水音が広がり、そのままウシオニのお母さんが頼光を押し倒して引きちぎるように彼の鎧を剥ぎ取っていきます。そんな2人の様子を身ながら、金太郎は涙ぐんでおりました。
「おいら、本当は自分がいるせいでおっかあがいい人を探しに行くことができないんじゃないかって悩んでいたんだ。だけど、おっかあにはずっと心に決めた人がいて、やっと会えたんだなあ。本当に良かった」
その時、金太郎の隣にいた熊が彼を押し倒し、馬乗りになりました。
「さっきは相撲の後の『アレ』はおあずけ食らっていたし、2人のまぐわいを見ていたら疼いてきちゃった」
そして熊は右手で金太郎の前掛けを捲り上げ、左手を金太郎の顔に当ててそこに染み付いた花の妖の蜜の匂いを嗅がせました。金太郎の股でまらが勢いよく頭を持ち上げます。
「本当はこういう事はあんたに相撲でちゃんと勝ってからにしたかったけど、もう我慢できない」
熊は力強くそそり立った金太郎のまらを、下の口で一気に咥えます。
「そうだな。おっかあと頼光さんに、可愛い孫熊の顔を見せてやろうな」
金太郎はそんな熊のほとを、力強い足腰で下から勢いよく突き上げるのでした。
「そ、それじゃあ頼光様。私たちは外におりますのでお済みになりましたら声をおかけください」
頼光の家来の1人である卜部はもはや聞こえているかもわからない主人にそっと声をかけると、渡辺や碓井と共に気まずそうにそそくさと外へ出ていきました。
それから、元々優れた退魔師としての技に加え、妖人(インキュバス)としての力を手に入れた頼光は、ウシオニのお母さんを足柄山に縛り付けていた強固な結界を壊しました。金太郎は正式に元服(編注:ジパングにおける成人の儀式の事です)して金時と名を改め、熊のお嫁さんやウシオニのお母さんと共に足柄山を下り、頼光の家来となりました。
金時は渡辺や碓井、卜部と共に頼光四天王として有名になり、ジパングの各地を回って足柄山のように人間と妖が仲良く暮らせるようにと尽力しました。特に大江山という所に住む鬼の集団が多くの人間の男を浚って諍いを起こしていた時なんかは、頼光と四天王の5人で大江山に赴いてアカオニやアオオニ達と共に酒を酌み交わし、諍いを鎮めるという大手柄を立て、その名を広く轟かせました。
この時大江山の鬼の頭領の副官を務めていた茨城というアカオニは、退魔師だった頃の渡辺と力比べをして引き分けた事があったとかで、互いに意気投合して後に結婚したそうです。
18/06/14 23:58更新 / bean