4話 身も心も朧げに
温泉街の一角、決して大きく豪奢とは言えないがそれでもそこそこの大きさの温泉宿に泊まり、今は2人で湯舟に並んで浸かっている。
風呂ばかりはさすがに器具を外しても良いということで今は外している。
露天風呂なので空が見え、星が綺麗だ。隣の花にはかなわぬが。
セルカ「…ちょっと……恥ずかしいですね……」
周囲には他の観光客だろうか、一応人がいる。最も、この風景は働いている最中何度か目にしているのだが。
こういう時は邪魔をしないのが1番だ。そっとお酒を用意して渡す、そんなことをする時もあった。ここでは働いていないので出来ないが。
「そうですか?元々働いてましたからこの風景には慣れてますし、皆お相手に夢中でしょう。恥ずかしくて目を逸らさない限りは」
さすがに真横にいる人物を直視するのは恥ずかしくて、度々空に目を逸らしていたことを謝る。
とは言っても、客として浸かるのは初めてなのだが。
セルカ「誰かと一緒に入られたことが?」
きっと女性と入ったことがあるのかという質問だろう。ちょっとからかいたくなった。
「えーっと……一緒に働いている方と何回か」
セルカ「そう…でしたか……」
しょんぼりしているのが可愛い。可愛いのでちょっと距離を詰めてみる。
「ええ。お肌が弱い方だとちょっと…なので入って確かめたりしてるんです。後は営業時間の前後に掃除で入りますね。大きいので何人かでひとつの湯舟を担当するんですけどね」
セルカ「あっ……そういうことでしたか………」
膝を立てて、尻尾を巻き付けて俯く彼女。互いの肩が触れる位までまた近づく。
「…そういうば、僕の国では昔から人に愛を伝える時に何かと遠回しの表現をすることがあるんです。誰かを何かに例えて一緒に褒めたり、比較の対象にしたりとか」
セルカ「……ソラさんは……どう思い…ますか?」
尻尾が腕に絡みついてくる。
「……そうですね……大好きですよ。落ち着けますし」
セルカ「……………」
またしても俯く彼女。でもさっきのいじわるの時とは違って絡みついている尻尾はしっかりと腕に巻きついていて、なんだか嬉しそうだった。
「ちょっといじわるでしたか?」
セルカ「…いえ、嬉しかったです…」
ワーム「次はあっちに行ってみましょう?」
男性「いいね。行こっか」
ある程度浸かると次のお風呂を楽しむ人達。透明度の高く、視界の良い屋外のお風呂よりも湯気が立ち込めて、保湿か何かに優れているのか不透明な湯舟に密着するような形で何組かが浸かっていた。
セルカ「……ソラさんは…人の上にいるか人の下にいるか……どちらが合っていると思われますか…?」
身体を寄せ合っているとなんとも抽象的な質問が来た。
立場以外にも人の上下というものは表せるものがある。
「…上か下かというより、横…出来れば真横がいいですね。対等でありたいです」
セルカ「なら…」
そういうとあぐらをかいた上に座る彼女。
セルカ「……どうします?」
考えようによっては彼女が上なのかもしれないし、こちらが下なのかもしれない。
「なら、こうします」
少し背筋を伸ばして彼女を抱きしめ、身体を丸める。比較的小柄な彼女は包み込まれるような形になった。
セルカ「こっ…これは……」
「湯船の中は僕が下ですけど、湯船の上は僕が上ですよね?これが答えの例です」
真っ赤になる顔、強くなったり弱くなったりする力。
自分の立場を決めかねているのだろうか。ワイバーンやドラゴンにはもしかしたら上か下かのどちらしかないのかもしれない。
セルカ「あっちの……壺のお風呂行きませんか…?」
消え入りそうな声と共に翼で指し示すのは人が1人2人入れそうな大きさの壺。
ジパングにもああいうものはあった。
「もちろん。このまま行きますか?」
セルカ「……並んで……歩きましょう?」
移動してもあまり変わらなかった。男性なのになんだか母親に抱かれているような、そんな気持ち良さで。
空「大丈夫ですか?」
働いていたからなのか、この温泉に浸かっていても彼は全く変化が見られない。
こちらはもう限界。早く上がってしまいたい。
「…予定は変わっちゃいますけれど……もうちょっと色々見ませんか?……闘技大会とか…」
空「闘技大会ですか?気になるね。行ってみよう。」
他人行儀の口調から親しみのある口調へ。本人は気づいていないのだろう。
「…旅行が終わったら…帰っちゃう…の?」
帰っちゃうんですか?と言いかけて言い直す。ずっと居てくれたらいいのに。
空「そうですね、今回は旅行の為のお金しかありませんから。もっと必要ですし」
今回はという言葉。期待していいのだろうか。
「………まだ初日ですけれど…とっても楽しかった……もっと…ちゃんといたい……」
空「……………何時でもお付き合いしますよ」
火照りだけでなく自分の熱にも倒れそうになる。支えてくれているその手から伝わる暖かさからも。
「…水風呂でも入りません?」
非常に冷たい。水風呂なんて久しぶりだ。しがみついてくる彼女の熱で余計に身体が触れていない箇所が冷たく感じられる。
「大丈夫?」
水風呂に誘った当の本人は少し震えている。それでも紅くなった顔はそのままだ。
屋内の水風呂なので他の客達の嬌声が聞こえる。
どうやらあの湯が人気なのは特別「見えづらい」かららしい。
セルカ「暖かい…………」
暖かいと言ってくれるのはありがたいが少し心配になる。
「別の場所に移動しよう?」
あの器具のおかげか、全く外れる気配がないので右手も安心して使える。
翼を少し抱え込むような形で抱いて人の少ない湯へ。
浸かると少しビクッと身体を震わせて彼女からも抱きついてくる。
時計を見るとそれなりに夜遅く。時間もちょうどいい頃合いだ。それに合わせて少し風呂場の空気の匂いが甘いものに変わる。
「…どうします?私達も…?」
夜遅くに浸かっている人の為の計らいなのだろうか。そういうことなのだろう。
部屋に戻ってからでも良いが、もしかしたら周りの空気にのまれて受け入れてくれるかもしれない。
承諾されれば組み伏せる形にはなるだろう。人目もはばからずに声を上げ、自らを覆う彼に襲いかかる。
そしてそれは、私が上であることを示すことになる。彼は横を望んでいるのに。
空「やりたいのならどうぞ。何かして欲しい?」
きっと初めてなら吃るなりしただろうに、慣れているかのように答えてくれる。
「いえ……もうちょっとだけ……」
本当はすぐにでも始めたいのだが、一応他の人もいるし、意識がぼおっとしている今は彼に包まれていたい。
ここでやってしまったらこの朦朧とした意識では記憶に残らないだろう。
空「そっか…なら……」
抱きしめる力が強くなり、顔がより近くなる。
胸に耳を当てると早鐘のように鳴る私の鼓動と比べて彼は落ち着き払っている。それを聴くと少し意識がハッキリしてくる。
空「何時でも大丈夫。待ってるよ。次のお風呂行く?」
残っているのは他の客が集まっているお風呂。
立ち上がる彼に支えられ、より明確に肌の触り心地を認識すると──
空「…大丈夫!?」
セルカ「ごめんなさい………」
他の客がいるお風呂へ向かおうと立ち上がると彼女は鼻血を出して倒れてしまった。
長風呂に付き合わせ過ぎたのかもしれない。
他の客も気づき、運び出すのを手伝ってくれた。
全員足腰に力が入っていなかったので助けになったかは別だが。
「謝らなくていいよ。ね?」
ある程度落ち着いたら晩御飯を食べようと声をかけ、少し落ち着く。
それにしても、想像しているより彼女は身体が弱いのだろうか。
それとも、ジパングの知り合いが強すぎるのか。
セルカ「ソラさん……抱っこ……」
浴衣を着せてからしばらく寝転んでいたのだが彼女は身体を起こして親に強請る子供のように翼を伸ばしてくる。
「どうぞ」
どうぞというのは変かもしれないが手を伸ばすと途端に彼女の重みが伝わる。
息も荒く、顔も紅潮している。こちらがあまり積極的では無いので気を使って我慢しているのだろうか。
こうしていられるだけでも満足なので後はどうされようと気にしないのに。
セルカ「ソラさん…確かにお空みたい…上も下もない…ずっと傍にいてくれる……」
さっきまで彼女が紅くなっていたのに次はこっちがかあっと赤くなる。
「甘えんぼのワイバーンちゃんは…しっかり抱きしめないとね」
丸くなる彼女をこれまで以上の力で抱きしめる。ついでにキスも。
セルカ「…………!!」
その時からだろうか。目の前のワイバーンは少し変わったような気がする。
額にされたキス。その瞬間抑えていた疼きが爆発した。
辺りに漂う「メストカゲ」の臭い。
まだ抱きしめられてキスをされただけなのに。
これから食事というのに早速服を汚してしまった。
それが伝わったのだろう。彼も心配しないでと言って着替えだす。
「ごめんなさい…」
空「気にしないでいいよ。着替えもある事だし」
目の前で淡々と着替える姿を見ているとお風呂での事を思い出してしまう。
身体が跳ねる。二度、三度と跳ね、もたれかける相手を失いうつ伏せに倒れていた身体は下半身だけ衝撃で膝立ちに。
満足と罪悪感の混ざった気持ちだった。
力の入らない足腰の代わりに翼で無理やり進み、目の前の「オス」を組み伏せる。
彼の顔に驚きとほんの少しの恐れを見た時、自分のしたことを悟った。
濡れた下半身を引きずった跡は糸を引いて身体と繋がっている。
わざと畳に擦り付けて移動したので少しヒリヒリする。
その時の快感が残っており、今なお小さな爆発を繰り返している。
乱れ、本能と欲望のままに自分を見失う。獲物を捕らえるように意中の男性を組み伏せた事への満足感が何より辛かった。
空「…どうしたの?」
「………………」
怖くないと言えば嘘になる。
これまで見せたどんな顔とも違う、笑顔でもなくただ獲物を捕らえるように飛びかかってきた彼女の顔を見て何をされるのか分からない恐怖は確かにあった。
焦らしていたのはこちらだ。爆発し、彼女の本能が身体を満足させる為の最善の行動に対して、僕は恐れで答えた。
「…どうしたの?」
セルカ「………………」
跨りながら腰を振る彼女。泣きながら翼で自分の身体を持ち上げようとしているが、尻尾で僕の身体と自身の身体を強く結びつけている。
自分の、彼女への好意できっと見えなくなっていたのだろう。彼女からの好意が。
嬉しいが同時に申し訳なく思う。彼女が望むのなら人目の無いどこか離れたところで相手をするべきだった。
「……辛かったね」
どこからそんな力が出たのかはわからないが右手を支えにして上半身を起こし、腰を擦りつけている彼女の頭や尻尾、背中を優しく撫でる。
内からの爆発に耐えかねて大きく揺れる身体。四度、五度と通常ではありえないであろう回数。堪えていた分の跳ね返りだろうか。
セルカ「……ソラさん……ごめんなさい……観光客を怖がらせるなんて………」
怖がったのは事実。何も言えなかった。
魔物の力に競り勝って上半身を起こされた時はかなりびっくりした。それほど力が抜けていたのか、それとも命の危険を感じた動物の本能が生み出した火事場の馬鹿力なのか。
ここで逃げられても文句は言えない。一方的に行為に及ぶのは私達からすれば普通。驚かれはするだろう。ただし、怖がらせはしない。
怖がらせてしまった時点で拒絶されても仕方ない。彼の出ていってしまった部屋で1人泣きながら慰めることになるかと思っていた。
空「…辛かったね」
昂る感情でとうに感覚は無くなっていたが、その声が聞こえた時、安堵と申し訳なさで達してしまった。尻尾や翼に背中を優しく撫でられその度溜まった物を吐き出す身体。
恥ずかしくてたまらない。逃げられても仕方ないと思っていたのに、今度は逃げ出したくてたまらない。
でも抱きしめてくる彼を振りほどく力はない。
「……ソラさん……ごめんなさい……観光客を怖がらせるなんて……」
許しを乞うように出てきた言葉は自分の立場を盾にした言い訳のような謝罪。
何も言わずに水溜まりを生み出す身体を抑えてくれる。
空「…ご飯食べに行く?それとも…?」
彼の問いかけに対して私は何も言えなかった。
ただ私の身体は最後に大きく跳ね、直後お腹が鳴った。
着替えてから部屋を出て、食事場に向かう。
泣き止むまで待ってから彼女の身体を拭いて、服を着せて、手を繋いで歩いてここにいる。
「何か食べる?」
ガイドに対して観光客がこう聞くのも変だが今はそういう関係でも無いだろうし気にはならない。ただ、相当お腹が空いているだろうに食べたくないような意志を示しているのが気になった。
セルカ「……私だけ…私達だけが「メスだけ」の匂いで………他の人達は……」
まだ人間なのでわからないが彼女の言うことから察するに、僕達意外は最後までやりきったようだ。
「そんなに気になる?」
コクリと頷いて反応する。そんな彼女を近くに引き寄せて、料理の注文をする。
何かに気づいたのか店員の魔物娘達もこちらをチラリと見てくる。
誰かに見られる度、彼女は顔を背けた。
料理が出来上がり、私の分まで受け取りに行ってくれた彼。戻ってきた時、少し泣いてしまった。
周りの魔物達、特に同種は私の何かを察知したのか心配そうに見てくる。
みんなが幸せそうに及ぶ中、私達だけが静かに座っていた。
空「ほら、口開けて」
空腹の身体は目の前に差し出された料理に敏感に反応し、ぱくりと一口で食べていく。
空「食欲はあるみたいで良かった」
一口食べては彼に撫でられてを繰り返していると身体が不意に持ち上がる。
あぐらをかいた彼の足の上に身体が乗せられており、お姫様抱っこのような姿勢で彼に頭を支えられている。
落ち着く。こんな姿勢で誰かに支えられたのは何時ぶりだろう。
とても心地よいまどろみ。
ワイバーン「ねぇ、私達もやってみない?」
男性「良いけど、翼大丈夫かい?」
私達を見て真似をしてみたりするカップルもいた。眠くなるのは私だけのようだったが、それは繋がっていないからのようだ。
いつの間にか周囲の恋人達は繋がったままセルカの真似をする人もいた。
嬌声や荒い息で充満していたこの場で声を潜めて静かに及ぶ人が増えてきていた。
厨房からも声が聞こえる。これ以上注文しても料理が出てくるとは思えない。
「今日はありがとう」
寝てしまったパートナーに声をかけそのまま抱き抱えて部屋へ戻る。いつ目が覚めるだろう。
セルカ「………!」
どんな夢を見ているのかはわからないが部屋に戻るまで彼女はずっと尻尾を足で挟んでいた。時折挟んだ足から粘り気のある音を鳴らしていたが。
空「水飲んだ方がいいんじゃない?」
目が覚めると水を貯めていたのかと疑うほどの足を濡らした私の下半身を優しく拭いてくれていた。意識もしっかりしている。
確かに喉が乾いた。
その前に──
「ごめんっ!」
優しく拭いてくれている彼の手を掴み、源泉に栓をしてもらう。
勢いよく当たる指。直前まで動いていたので栓をしてすぐは動いていた。
声が出せない。身体が重い。不思議と汗は出ない。
空「早く水飲んで」
渡された水を飲むと意識がよりハッキリする。心配そうに見てくれている。
空「我慢するのも限界みたいだね」
限界なんてものじゃない。でも進みたくない。進むと終わってしまいそうだだた。
「…辛い……進むと…終わっちゃいそう……」
自分の蜜で濡れた翼で溢れる涙を止めようとするが止まらない。
空「…………」
彼はそっと手を引き抜いて、少し私を見つめると布団を敷いて、私を寝かせてくれた。
ひとつの布団に2人で入る。それを想定されているため、少し大きめになっている。
空「今日はありがとう。そしてこれからも」
「え?…これか」
聞き返す前に貫かれる。求めていた感覚。予想以上の快楽。
「あ……あっ………!」
空「こうしてこうすると…ほら」
一度仰向けになり私を上にする。より深く貫かれる感覚。そして彼自身も上半身を起こす。私自身の重さが私を貫き、上からも彼が覆い被さってくる。二方向から加わる力は1人では体験できない物だった。
初めてなのに痛くない。
瞬く間に私の意識は快楽に堕ちた。
露天風呂でしたような姿勢になると痙攣かと思うほど身体が跳ねた。
こちらが達するまでもなく彼女は堕ちた。
「…幸せそうな顔。このまま最後までやるのは申し訳ないね」
このまま1人で最後までやることはできるが、出来れば彼女が起きている間にしたい。
満足そうに口をほころばせ、上を向き、翼をダラリとさせたその姿は初対面の時とはかなり印象が変わる。
「でも、僕は「メス」だなんて言わないよ」
セルカ「はひっ………!!」
聞こえているのだろうか。気を失っているはずなのに大きく声を上げて達する彼女。
少し力を込めて彼女を押し付ける。
また身体を跳ねさせて、彼女は寝息を立てて今度こそ寝てしまった。
「夢から覚めても夢心地、なんてのはどうだい?」
浴衣をきっちり着せて、布団を変えて一緒に入る。彼女がどうするかは任せよう。
トイレに行きたくなって起きると、ソラさんは寝ていた。脇に避けられた布団を見て全てを察した。慌ててトイレに駆け込む。
「止まらない………」
なぜ一旦止まっていたのだろうか。不思議で仕方ない。
布団に戻るとソラさんの足が目に止まった。
「何度も……ごめんなさい…」
彼の膝を立てる。足を開いてさらに翼で広げる。膝を咥え込むと次は尻尾で彼と自分を結びつけ、濡れたての場所に尻尾の先端を挿し込む。
「ッ……!?」
先端が挿入ると力が抜けてより深く挿入る。尻尾から垂れてくる蜜。
大人なのにこんなことをしているなんて。
「1人だと辛いよ……」
止まらない流れが恥ずかしい。腰は動かせないが、無意識に翼を使って身体を擦りつけている。
空「…どこにも行かないさ…」
起きてしまったかと思ったが寝言だったようだ。
どこにも行かないと言われた瞬間。眠りに落ちた。
「おはよう。立てるかい?」
目覚めると彼女は僕の膝を咥え込み尻尾で固定していた。僕の浴衣と布団はまだ乾いていない。
セルカ「………続き……」
起きるが早いか糸を引いて立ち上がる彼女。
部屋にある湯浴み場で身体を洗いながら続きをする。どうやら少し収まりきってないようだった。
乾いていない部分を洗うがどれだけ洗っても乾かなかった。
床に寝転ばせて少しずつ栓をしていく。自由な尻尾で他の場所を弄っては身体を震わせている。
彼女が幾度となく跳ねた頃、僕も彼女も同時に爆発した。
彼女の方はあまりにも勢いが強すぎて、音を立てて中身を吐き出していた。
セルカ「あっ………全部……」
「またあげるよ」
そのまましばらく繋がっていた。
意外と早起きしていたようで朝ご飯までは時間がだいぶあった。
彼は3回、私は10数回だろうか。ようやく止まった疼きが少し恋しい。どうだったかを聞かれてもイマイチ思い出せない。
朝御飯を食べに部屋を出ると、他の人達もしっぽりしていたこともあって廊下はかなり匂いがした。
空「またかい?」
少しそうなりかけている。まだ大丈夫と返して歩いていく。
手は繋がず、彼に身体を預ける。腰に回された手に尻尾を巻き付ける。
客ワーム「あら?貴女大丈夫だった?」
空「ええ、今は大丈夫みたいです」
なんのことかと聞いてみると、お風呂でのぼせた私を運ぶのを手伝ってくれたらしい。
客ワーム「ごめんなさいね。主人と楽しんでいた途中だったものだから…自分ので滑っちゃうなんて…」
空「いえ。ありがとうございました」
「ありがとうございました」
2人でペコリとお辞儀をして食事をしに。
扉を開けて人が出てくる度に彼に抱きついてしまう。
空「朝御飯食べながら今日の予定考えよっか」
まだ2日目と気持ちを切り替えて歩く。
予想通り、食事が終わるとみんな運動をしている。
私達も少し運動した。
空「大丈夫そうでよかったよ」
なんとか気を失わなかったがそれでも一度始めるとなかなか離れたくない。
結局、引き抜かれると同時に果ててまた着替えさせて貰って、宿を後にした。
空「次はどうする?」
「闘技大会があるんですけど、行ってみない?」
空「良いね。行こっか」
手を差し出す彼。手はとらずに飛びついて抱き抱えてもらう。
「闘技大会、気に入ってくれるといいな」
もうお互い他人行儀の口調じゃなかった。
風呂ばかりはさすがに器具を外しても良いということで今は外している。
露天風呂なので空が見え、星が綺麗だ。隣の花にはかなわぬが。
セルカ「…ちょっと……恥ずかしいですね……」
周囲には他の観光客だろうか、一応人がいる。最も、この風景は働いている最中何度か目にしているのだが。
こういう時は邪魔をしないのが1番だ。そっとお酒を用意して渡す、そんなことをする時もあった。ここでは働いていないので出来ないが。
「そうですか?元々働いてましたからこの風景には慣れてますし、皆お相手に夢中でしょう。恥ずかしくて目を逸らさない限りは」
さすがに真横にいる人物を直視するのは恥ずかしくて、度々空に目を逸らしていたことを謝る。
とは言っても、客として浸かるのは初めてなのだが。
セルカ「誰かと一緒に入られたことが?」
きっと女性と入ったことがあるのかという質問だろう。ちょっとからかいたくなった。
「えーっと……一緒に働いている方と何回か」
セルカ「そう…でしたか……」
しょんぼりしているのが可愛い。可愛いのでちょっと距離を詰めてみる。
「ええ。お肌が弱い方だとちょっと…なので入って確かめたりしてるんです。後は営業時間の前後に掃除で入りますね。大きいので何人かでひとつの湯舟を担当するんですけどね」
セルカ「あっ……そういうことでしたか………」
膝を立てて、尻尾を巻き付けて俯く彼女。互いの肩が触れる位までまた近づく。
「…そういうば、僕の国では昔から人に愛を伝える時に何かと遠回しの表現をすることがあるんです。誰かを何かに例えて一緒に褒めたり、比較の対象にしたりとか」
セルカ「……ソラさんは……どう思い…ますか?」
尻尾が腕に絡みついてくる。
「……そうですね……大好きですよ。落ち着けますし」
セルカ「……………」
またしても俯く彼女。でもさっきのいじわるの時とは違って絡みついている尻尾はしっかりと腕に巻きついていて、なんだか嬉しそうだった。
「ちょっといじわるでしたか?」
セルカ「…いえ、嬉しかったです…」
ワーム「次はあっちに行ってみましょう?」
男性「いいね。行こっか」
ある程度浸かると次のお風呂を楽しむ人達。透明度の高く、視界の良い屋外のお風呂よりも湯気が立ち込めて、保湿か何かに優れているのか不透明な湯舟に密着するような形で何組かが浸かっていた。
セルカ「……ソラさんは…人の上にいるか人の下にいるか……どちらが合っていると思われますか…?」
身体を寄せ合っているとなんとも抽象的な質問が来た。
立場以外にも人の上下というものは表せるものがある。
「…上か下かというより、横…出来れば真横がいいですね。対等でありたいです」
セルカ「なら…」
そういうとあぐらをかいた上に座る彼女。
セルカ「……どうします?」
考えようによっては彼女が上なのかもしれないし、こちらが下なのかもしれない。
「なら、こうします」
少し背筋を伸ばして彼女を抱きしめ、身体を丸める。比較的小柄な彼女は包み込まれるような形になった。
セルカ「こっ…これは……」
「湯船の中は僕が下ですけど、湯船の上は僕が上ですよね?これが答えの例です」
真っ赤になる顔、強くなったり弱くなったりする力。
自分の立場を決めかねているのだろうか。ワイバーンやドラゴンにはもしかしたら上か下かのどちらしかないのかもしれない。
セルカ「あっちの……壺のお風呂行きませんか…?」
消え入りそうな声と共に翼で指し示すのは人が1人2人入れそうな大きさの壺。
ジパングにもああいうものはあった。
「もちろん。このまま行きますか?」
セルカ「……並んで……歩きましょう?」
移動してもあまり変わらなかった。男性なのになんだか母親に抱かれているような、そんな気持ち良さで。
空「大丈夫ですか?」
働いていたからなのか、この温泉に浸かっていても彼は全く変化が見られない。
こちらはもう限界。早く上がってしまいたい。
「…予定は変わっちゃいますけれど……もうちょっと色々見ませんか?……闘技大会とか…」
空「闘技大会ですか?気になるね。行ってみよう。」
他人行儀の口調から親しみのある口調へ。本人は気づいていないのだろう。
「…旅行が終わったら…帰っちゃう…の?」
帰っちゃうんですか?と言いかけて言い直す。ずっと居てくれたらいいのに。
空「そうですね、今回は旅行の為のお金しかありませんから。もっと必要ですし」
今回はという言葉。期待していいのだろうか。
「………まだ初日ですけれど…とっても楽しかった……もっと…ちゃんといたい……」
空「……………何時でもお付き合いしますよ」
火照りだけでなく自分の熱にも倒れそうになる。支えてくれているその手から伝わる暖かさからも。
「…水風呂でも入りません?」
非常に冷たい。水風呂なんて久しぶりだ。しがみついてくる彼女の熱で余計に身体が触れていない箇所が冷たく感じられる。
「大丈夫?」
水風呂に誘った当の本人は少し震えている。それでも紅くなった顔はそのままだ。
屋内の水風呂なので他の客達の嬌声が聞こえる。
どうやらあの湯が人気なのは特別「見えづらい」かららしい。
セルカ「暖かい…………」
暖かいと言ってくれるのはありがたいが少し心配になる。
「別の場所に移動しよう?」
あの器具のおかげか、全く外れる気配がないので右手も安心して使える。
翼を少し抱え込むような形で抱いて人の少ない湯へ。
浸かると少しビクッと身体を震わせて彼女からも抱きついてくる。
時計を見るとそれなりに夜遅く。時間もちょうどいい頃合いだ。それに合わせて少し風呂場の空気の匂いが甘いものに変わる。
「…どうします?私達も…?」
夜遅くに浸かっている人の為の計らいなのだろうか。そういうことなのだろう。
部屋に戻ってからでも良いが、もしかしたら周りの空気にのまれて受け入れてくれるかもしれない。
承諾されれば組み伏せる形にはなるだろう。人目もはばからずに声を上げ、自らを覆う彼に襲いかかる。
そしてそれは、私が上であることを示すことになる。彼は横を望んでいるのに。
空「やりたいのならどうぞ。何かして欲しい?」
きっと初めてなら吃るなりしただろうに、慣れているかのように答えてくれる。
「いえ……もうちょっとだけ……」
本当はすぐにでも始めたいのだが、一応他の人もいるし、意識がぼおっとしている今は彼に包まれていたい。
ここでやってしまったらこの朦朧とした意識では記憶に残らないだろう。
空「そっか…なら……」
抱きしめる力が強くなり、顔がより近くなる。
胸に耳を当てると早鐘のように鳴る私の鼓動と比べて彼は落ち着き払っている。それを聴くと少し意識がハッキリしてくる。
空「何時でも大丈夫。待ってるよ。次のお風呂行く?」
残っているのは他の客が集まっているお風呂。
立ち上がる彼に支えられ、より明確に肌の触り心地を認識すると──
空「…大丈夫!?」
セルカ「ごめんなさい………」
他の客がいるお風呂へ向かおうと立ち上がると彼女は鼻血を出して倒れてしまった。
長風呂に付き合わせ過ぎたのかもしれない。
他の客も気づき、運び出すのを手伝ってくれた。
全員足腰に力が入っていなかったので助けになったかは別だが。
「謝らなくていいよ。ね?」
ある程度落ち着いたら晩御飯を食べようと声をかけ、少し落ち着く。
それにしても、想像しているより彼女は身体が弱いのだろうか。
それとも、ジパングの知り合いが強すぎるのか。
セルカ「ソラさん……抱っこ……」
浴衣を着せてからしばらく寝転んでいたのだが彼女は身体を起こして親に強請る子供のように翼を伸ばしてくる。
「どうぞ」
どうぞというのは変かもしれないが手を伸ばすと途端に彼女の重みが伝わる。
息も荒く、顔も紅潮している。こちらがあまり積極的では無いので気を使って我慢しているのだろうか。
こうしていられるだけでも満足なので後はどうされようと気にしないのに。
セルカ「ソラさん…確かにお空みたい…上も下もない…ずっと傍にいてくれる……」
さっきまで彼女が紅くなっていたのに次はこっちがかあっと赤くなる。
「甘えんぼのワイバーンちゃんは…しっかり抱きしめないとね」
丸くなる彼女をこれまで以上の力で抱きしめる。ついでにキスも。
セルカ「…………!!」
その時からだろうか。目の前のワイバーンは少し変わったような気がする。
額にされたキス。その瞬間抑えていた疼きが爆発した。
辺りに漂う「メストカゲ」の臭い。
まだ抱きしめられてキスをされただけなのに。
これから食事というのに早速服を汚してしまった。
それが伝わったのだろう。彼も心配しないでと言って着替えだす。
「ごめんなさい…」
空「気にしないでいいよ。着替えもある事だし」
目の前で淡々と着替える姿を見ているとお風呂での事を思い出してしまう。
身体が跳ねる。二度、三度と跳ね、もたれかける相手を失いうつ伏せに倒れていた身体は下半身だけ衝撃で膝立ちに。
満足と罪悪感の混ざった気持ちだった。
力の入らない足腰の代わりに翼で無理やり進み、目の前の「オス」を組み伏せる。
彼の顔に驚きとほんの少しの恐れを見た時、自分のしたことを悟った。
濡れた下半身を引きずった跡は糸を引いて身体と繋がっている。
わざと畳に擦り付けて移動したので少しヒリヒリする。
その時の快感が残っており、今なお小さな爆発を繰り返している。
乱れ、本能と欲望のままに自分を見失う。獲物を捕らえるように意中の男性を組み伏せた事への満足感が何より辛かった。
空「…どうしたの?」
「………………」
怖くないと言えば嘘になる。
これまで見せたどんな顔とも違う、笑顔でもなくただ獲物を捕らえるように飛びかかってきた彼女の顔を見て何をされるのか分からない恐怖は確かにあった。
焦らしていたのはこちらだ。爆発し、彼女の本能が身体を満足させる為の最善の行動に対して、僕は恐れで答えた。
「…どうしたの?」
セルカ「………………」
跨りながら腰を振る彼女。泣きながら翼で自分の身体を持ち上げようとしているが、尻尾で僕の身体と自身の身体を強く結びつけている。
自分の、彼女への好意できっと見えなくなっていたのだろう。彼女からの好意が。
嬉しいが同時に申し訳なく思う。彼女が望むのなら人目の無いどこか離れたところで相手をするべきだった。
「……辛かったね」
どこからそんな力が出たのかはわからないが右手を支えにして上半身を起こし、腰を擦りつけている彼女の頭や尻尾、背中を優しく撫でる。
内からの爆発に耐えかねて大きく揺れる身体。四度、五度と通常ではありえないであろう回数。堪えていた分の跳ね返りだろうか。
セルカ「……ソラさん……ごめんなさい……観光客を怖がらせるなんて………」
怖がったのは事実。何も言えなかった。
魔物の力に競り勝って上半身を起こされた時はかなりびっくりした。それほど力が抜けていたのか、それとも命の危険を感じた動物の本能が生み出した火事場の馬鹿力なのか。
ここで逃げられても文句は言えない。一方的に行為に及ぶのは私達からすれば普通。驚かれはするだろう。ただし、怖がらせはしない。
怖がらせてしまった時点で拒絶されても仕方ない。彼の出ていってしまった部屋で1人泣きながら慰めることになるかと思っていた。
空「…辛かったね」
昂る感情でとうに感覚は無くなっていたが、その声が聞こえた時、安堵と申し訳なさで達してしまった。尻尾や翼に背中を優しく撫でられその度溜まった物を吐き出す身体。
恥ずかしくてたまらない。逃げられても仕方ないと思っていたのに、今度は逃げ出したくてたまらない。
でも抱きしめてくる彼を振りほどく力はない。
「……ソラさん……ごめんなさい……観光客を怖がらせるなんて……」
許しを乞うように出てきた言葉は自分の立場を盾にした言い訳のような謝罪。
何も言わずに水溜まりを生み出す身体を抑えてくれる。
空「…ご飯食べに行く?それとも…?」
彼の問いかけに対して私は何も言えなかった。
ただ私の身体は最後に大きく跳ね、直後お腹が鳴った。
着替えてから部屋を出て、食事場に向かう。
泣き止むまで待ってから彼女の身体を拭いて、服を着せて、手を繋いで歩いてここにいる。
「何か食べる?」
ガイドに対して観光客がこう聞くのも変だが今はそういう関係でも無いだろうし気にはならない。ただ、相当お腹が空いているだろうに食べたくないような意志を示しているのが気になった。
セルカ「……私だけ…私達だけが「メスだけ」の匂いで………他の人達は……」
まだ人間なのでわからないが彼女の言うことから察するに、僕達意外は最後までやりきったようだ。
「そんなに気になる?」
コクリと頷いて反応する。そんな彼女を近くに引き寄せて、料理の注文をする。
何かに気づいたのか店員の魔物娘達もこちらをチラリと見てくる。
誰かに見られる度、彼女は顔を背けた。
料理が出来上がり、私の分まで受け取りに行ってくれた彼。戻ってきた時、少し泣いてしまった。
周りの魔物達、特に同種は私の何かを察知したのか心配そうに見てくる。
みんなが幸せそうに及ぶ中、私達だけが静かに座っていた。
空「ほら、口開けて」
空腹の身体は目の前に差し出された料理に敏感に反応し、ぱくりと一口で食べていく。
空「食欲はあるみたいで良かった」
一口食べては彼に撫でられてを繰り返していると身体が不意に持ち上がる。
あぐらをかいた彼の足の上に身体が乗せられており、お姫様抱っこのような姿勢で彼に頭を支えられている。
落ち着く。こんな姿勢で誰かに支えられたのは何時ぶりだろう。
とても心地よいまどろみ。
ワイバーン「ねぇ、私達もやってみない?」
男性「良いけど、翼大丈夫かい?」
私達を見て真似をしてみたりするカップルもいた。眠くなるのは私だけのようだったが、それは繋がっていないからのようだ。
いつの間にか周囲の恋人達は繋がったままセルカの真似をする人もいた。
嬌声や荒い息で充満していたこの場で声を潜めて静かに及ぶ人が増えてきていた。
厨房からも声が聞こえる。これ以上注文しても料理が出てくるとは思えない。
「今日はありがとう」
寝てしまったパートナーに声をかけそのまま抱き抱えて部屋へ戻る。いつ目が覚めるだろう。
セルカ「………!」
どんな夢を見ているのかはわからないが部屋に戻るまで彼女はずっと尻尾を足で挟んでいた。時折挟んだ足から粘り気のある音を鳴らしていたが。
空「水飲んだ方がいいんじゃない?」
目が覚めると水を貯めていたのかと疑うほどの足を濡らした私の下半身を優しく拭いてくれていた。意識もしっかりしている。
確かに喉が乾いた。
その前に──
「ごめんっ!」
優しく拭いてくれている彼の手を掴み、源泉に栓をしてもらう。
勢いよく当たる指。直前まで動いていたので栓をしてすぐは動いていた。
声が出せない。身体が重い。不思議と汗は出ない。
空「早く水飲んで」
渡された水を飲むと意識がよりハッキリする。心配そうに見てくれている。
空「我慢するのも限界みたいだね」
限界なんてものじゃない。でも進みたくない。進むと終わってしまいそうだだた。
「…辛い……進むと…終わっちゃいそう……」
自分の蜜で濡れた翼で溢れる涙を止めようとするが止まらない。
空「…………」
彼はそっと手を引き抜いて、少し私を見つめると布団を敷いて、私を寝かせてくれた。
ひとつの布団に2人で入る。それを想定されているため、少し大きめになっている。
空「今日はありがとう。そしてこれからも」
「え?…これか」
聞き返す前に貫かれる。求めていた感覚。予想以上の快楽。
「あ……あっ………!」
空「こうしてこうすると…ほら」
一度仰向けになり私を上にする。より深く貫かれる感覚。そして彼自身も上半身を起こす。私自身の重さが私を貫き、上からも彼が覆い被さってくる。二方向から加わる力は1人では体験できない物だった。
初めてなのに痛くない。
瞬く間に私の意識は快楽に堕ちた。
露天風呂でしたような姿勢になると痙攣かと思うほど身体が跳ねた。
こちらが達するまでもなく彼女は堕ちた。
「…幸せそうな顔。このまま最後までやるのは申し訳ないね」
このまま1人で最後までやることはできるが、出来れば彼女が起きている間にしたい。
満足そうに口をほころばせ、上を向き、翼をダラリとさせたその姿は初対面の時とはかなり印象が変わる。
「でも、僕は「メス」だなんて言わないよ」
セルカ「はひっ………!!」
聞こえているのだろうか。気を失っているはずなのに大きく声を上げて達する彼女。
少し力を込めて彼女を押し付ける。
また身体を跳ねさせて、彼女は寝息を立てて今度こそ寝てしまった。
「夢から覚めても夢心地、なんてのはどうだい?」
浴衣をきっちり着せて、布団を変えて一緒に入る。彼女がどうするかは任せよう。
トイレに行きたくなって起きると、ソラさんは寝ていた。脇に避けられた布団を見て全てを察した。慌ててトイレに駆け込む。
「止まらない………」
なぜ一旦止まっていたのだろうか。不思議で仕方ない。
布団に戻るとソラさんの足が目に止まった。
「何度も……ごめんなさい…」
彼の膝を立てる。足を開いてさらに翼で広げる。膝を咥え込むと次は尻尾で彼と自分を結びつけ、濡れたての場所に尻尾の先端を挿し込む。
「ッ……!?」
先端が挿入ると力が抜けてより深く挿入る。尻尾から垂れてくる蜜。
大人なのにこんなことをしているなんて。
「1人だと辛いよ……」
止まらない流れが恥ずかしい。腰は動かせないが、無意識に翼を使って身体を擦りつけている。
空「…どこにも行かないさ…」
起きてしまったかと思ったが寝言だったようだ。
どこにも行かないと言われた瞬間。眠りに落ちた。
「おはよう。立てるかい?」
目覚めると彼女は僕の膝を咥え込み尻尾で固定していた。僕の浴衣と布団はまだ乾いていない。
セルカ「………続き……」
起きるが早いか糸を引いて立ち上がる彼女。
部屋にある湯浴み場で身体を洗いながら続きをする。どうやら少し収まりきってないようだった。
乾いていない部分を洗うがどれだけ洗っても乾かなかった。
床に寝転ばせて少しずつ栓をしていく。自由な尻尾で他の場所を弄っては身体を震わせている。
彼女が幾度となく跳ねた頃、僕も彼女も同時に爆発した。
彼女の方はあまりにも勢いが強すぎて、音を立てて中身を吐き出していた。
セルカ「あっ………全部……」
「またあげるよ」
そのまましばらく繋がっていた。
意外と早起きしていたようで朝ご飯までは時間がだいぶあった。
彼は3回、私は10数回だろうか。ようやく止まった疼きが少し恋しい。どうだったかを聞かれてもイマイチ思い出せない。
朝御飯を食べに部屋を出ると、他の人達もしっぽりしていたこともあって廊下はかなり匂いがした。
空「またかい?」
少しそうなりかけている。まだ大丈夫と返して歩いていく。
手は繋がず、彼に身体を預ける。腰に回された手に尻尾を巻き付ける。
客ワーム「あら?貴女大丈夫だった?」
空「ええ、今は大丈夫みたいです」
なんのことかと聞いてみると、お風呂でのぼせた私を運ぶのを手伝ってくれたらしい。
客ワーム「ごめんなさいね。主人と楽しんでいた途中だったものだから…自分ので滑っちゃうなんて…」
空「いえ。ありがとうございました」
「ありがとうございました」
2人でペコリとお辞儀をして食事をしに。
扉を開けて人が出てくる度に彼に抱きついてしまう。
空「朝御飯食べながら今日の予定考えよっか」
まだ2日目と気持ちを切り替えて歩く。
予想通り、食事が終わるとみんな運動をしている。
私達も少し運動した。
空「大丈夫そうでよかったよ」
なんとか気を失わなかったがそれでも一度始めるとなかなか離れたくない。
結局、引き抜かれると同時に果ててまた着替えさせて貰って、宿を後にした。
空「次はどうする?」
「闘技大会があるんですけど、行ってみない?」
空「良いね。行こっか」
手を差し出す彼。手はとらずに飛びついて抱き抱えてもらう。
「闘技大会、気に入ってくれるといいな」
もうお互い他人行儀の口調じゃなかった。
21/09/22 19:47更新 / 白黒トラベラー(旧垢)
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