連載小説
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学内親睦会〜what can I do?〜
ついこの間ホワイトデーでプレゼントを貰えたと思えば、早四月…
先輩方を見送る卒業式も、新入生の皆さんを迎え入れる入学式も、
あっという間に終わってしまいました。今年もお世話になった方々が
たくさん巣立っていき一方でたくさんの新入生がやってきました。

わいわいがやがや

「こちらが職員室、こちらが食堂となっています」
「せんせ〜い、こっちの『使用中』ってなってる部屋って何ですか〜?」

「新入生のみっなさ〜ん!放送委員に興味はな〜い〜?」
「あれ、あのヒト放送室の窓から宣伝してね?マイクなしに;」

「男女どちらも大歓迎!そこの君!陸上部に入ってみないかい?」
「ひゃいぃっ!?あの、私っその、いきなりそんな;」

チェルシー
「さぁさぁ、歴代先輩方の著作はこちらですよ〜?
興味のある方はご一読くださ〜い♪」
「あれ?この表紙絵ってもしかしてあの先生のじゃね?ここ出身だったんだぁ♪」

入学式が終われば次は学校の設備、
部活や委員会などの紹介を行われるものだと思います。
この学校でも『年の差、種族の差を気にせず仲良くしましょう♥』
という理事長、校長のご意向のもと新入生側と先生含む在学生側とが
親睦もかねて積極的に交流に努めています。
担任の先生は自己紹介がてら学内の設備等の紹介を、
在学生の皆さんは部活紹介や委員会紹介を、
ヒトによってはそれ以上に熱を入れているコトも・・・

「ほらほらそこの君、いらっしゃ〜い♪先輩と楽しい事しましょ〜?♥」
「いや、そのぉ…もう尻尾で掴まれてるんですが…」

「君…私で良いの?周りの子達の方が私より肌色良いし活発だし…」
「はい!というか、先生でなきゃ嫌です!僕とお付き合いして下さい!」

「一目惚れです!会ったばかりですが、私を突いて…
ああ;いえ、私とお付き合いしてください、先輩!」
「ええっ!?;出会い頭に何を…」

まぁやはりと言いますか恋人探し、ですね。
これらもこういった時期恒例の流れになっています。
新入生側や在学生側、先生側問わず行動力のある方達は
早速見初めた相手にアプローチをしかけています。
入学時、二年の時、そして今年と見てきましたが
いつ見ても微笑ましい限り・・・

(とばかりも思えないんですよね・・・)

新入生が来るということは学内の事情をよく知らない子たちがやってくる
というわけで、いえそれ自体は悪いことではない、というか当たり前の
ことなのですがねぇ、思いつつも部屋の窓から校庭側を再度見てみれば・・・

ファン
『あの、後藤太一さんですよね?』

太一
『ん?そうだけど』

ファン
『やっぱり!去年の大会で見かけた時から
ファンなんです!握手してもいいですか?』

太一
『ああ、そんなんでよければ・・・』

ぐっ

ファン
『ひゃ〜♪』

・・・っ!ほらやっぱり!去年もそうでしたよね?太一君は
学外でも有名なサッカー王子ということで部活よりも太一君目当てで
寄ってくる輩が多いこと多いこと。ああもうにぎにぎてれてれと、ああもうっ!
太一君も何を気軽に応えちゃってるんですか?私という彼女がありながら〜!


「う〜!」ズズズ・・・

チェルシー
「セ、センパ〜イ?せっかく来てくれた子たちが、
怖がっちゃってるんで抑えていただけると・・・;」


「はっ!ごめんなさい、つい;」

いけないいけない;去年にも同じ様なことをして先輩に怒られたのでした。
入ってきてくださったばかりの子たちをそっちのけにしていては示しがつきません。
今は先輩としての責務を果たさなくては!・・・でもやっぱり太一君には
ファンサービスは程々にしておいてほしいなぁ・・・(じと〜)

太一
「うおっ;」ぞくっ

ファン
「ひえっ;」ぞぞっ

後戸 堅(うしろど けん)
「うん?急にどうしたんだい太一くん?」

太一
「いや、たぶん、ん〜っとぉ、OKしたばかりでゴメンだけど、そろそろいいかな?」

ファン
「い、いえいえ、ありがとうございます・・・(何?この悪寒?)」







チェルシー
「え、それじゃあセンパイはあれからまだエッチしてないんですか!?」


「は、はい、実はそうなんです・・・」

気持ちを落ち着けて一通り紹介を終えてお昼休み中の現在、チェルシーさん
(部活の後輩です)が私と太一君の進展について聞いてきたのでお話しすると
大層驚かれてしまいました。当然ですね;チェルシーさんは学校でのキスに
加えてロリPOPでのディ、ディープキスを目にしているんです。
てっきり既にそこまでの間柄になっていると思っていたのでしょう。
私でも誰か他の方で見かけたらそう思うでしょう。
話して改めて自分でも思い知ったのですが私たちって進められていませんね;

チェルシー
「一応、で聞くんですけどしたくないわけではないんですよね?」


「あ、当たり前です。私だって・・・」

エンジェルだからと誤解されることがありますが私だって魔物娘、
れっきとしたサキュバスです。『そういったこと』に興味がない、
忌避感があるなんてことはなくいずれは太一君と・・・とは考えています。
考えてはいるのですが・・・

チェルシー
「じゃあどうして。あ、プラトニックラブでいきたいとかですか?」


「いえ、そういうわけでも・・・」

???
「ふふん、ズバリ当てちゃおっか?」


「あ、スピカ先生。新しく入る子たちは・・・」

スピカ
「もう全員の届けは受け取ったよ♪」

いきなり会話に入ってきたのはリャナンシーの『スピカ』先生。
私やチェンルシーさんが入っている文学部の顧問の先生です。
つい先程までかなりの数の入部希望の方たちを相手していたはずなのですが
相変わらずその仕事の速さは驚かされるといいますか
その食いつきの早さにも驚かされるといいますか;

スピカ
「それよりもさ、麗ちゃんの悩みだよ。ズバリ不安なんでしょ?」


「・・・はい、その通りです」

チェルシー
「おぉ流石先生。でも不安だなんてまた何でですか?」


「・・・付き合いたての頃に流れを作ろうとしてひどく失敗してしまったんです」

忘れもしない去年の年越し直前のあの日、緊張と恥ずかしさのあまり
目を回してしまったあの日、それ以来いい雰囲気になってもあの失敗が
頭に浮かんできて・・・


「また失敗したり変な空気にしてしまうのでは、太一君に、イ、
嫌な思いをさせてしまうんじゃないかって不安が拭えなくって・・・」しゅん

スピカ
「・・・それ、本気で言ってる?」


「ど、どういう意味ですか?」

チェルシー
「そりゃあだって、たくさんの人の前でディープキスまでしてるじゃないですか?
今さらそこを気にするのかって思っちゃいますよ?」


「う、そ、そうですよ?これまでハグとかキスとかやってきましたけど、
その、するとなると不安になってるんですよ。いけませんか?」

スピカ
「いやいや、ダメとは言ってないよ?キスでもエッチでも初めてってなれば
緊張なり不安なりするもんだもんね。アタシが言いたいのは麗ちゃんは本気で
太一君がそんなこと考える子だって思ってるのかってこと」


「え?」

スピカ
「太一くんがさ、麗ちゃんの精一杯の頑張りを見て気分が悪いだなんて
考えちゃうような子だったらあんなにモテる子じゃなかったと思うよ?
それとも、麗ちゃんの前じゃそんなとこ見せちゃう子?」


「そんなことはありません!家でも学校と同じくらい、
いえそれ以上に優しくて、格好良くて、とっても素敵な男の子なんです」

スピカ
「ほらわかってるじゃん?」ニヤニヤ


「あ、あぁ;(赤)」

スピカ
「不安になるなとも言わないよ?でもさ、そこを気にして
うんうん悩んでる麗ちゃんを太一君は見続けたいと思わないんじゃない?」


「それは、そうかもしれませんが・・・」

スピカ
「というかさ〜、そんなこと言ってるヒマないかもしんないよ?」ちょいちょい

少し困った様にも見える笑顔でそう言いながら
スピカ先生が指差したのは校庭側の窓。
まさか・・・!

がたっ ばっ

新入生
『セ〜ンパイ♪彼女っているんですか?』

太一
『・・・いるよ、どうして急にそんなことを?』

新入生
『いや〜、センパイがかっこいいからお付き合いしたいな〜って♥
そっか〜、彼女さんいるですか〜 (むくぅ)あ、でもでもハーレムって
人間同士でもできますよね?私とも付き合っちゃいます?♥』


「・・・っ!あんのっ!」ズオォォッ

スピカ
「え〜と、校庭の子たちの声ってここまで聞こえるもんだっけ?
さっきから聞き取れてるみたいな反応してるけど;」ひそひそ


チェルシー
「あ〜;いつだったか唇の動きを読んでいるとか言ってましたね。
『私がそばにいない時の太一君の言動を知りたい』とかで・・・」ひそひそ


スピカ
「焚きつける様なことしておいてなんだけど流石にちょっと、怖いかも;」ひそひそ

後ろでひそひそ話しているスピカ先生もまぁ失礼ですがあの女・・・!
先程のファンとは違う方の様ですが堂々ととんでもないことをぬかしやがりますね!
確かにこのご時世ハーレムは認められてるないし推奨はされてはいますが
太一君と私の間でそんなこと許す気はありません!それ以上口を
開く様だったらその脳天に特大の雷を・・・!(バチチッ)

太一
『・・・ゴメンな?俺は麗一筋って決めているんだ。君の気持ちには応えられない』

新入生
『ありゃ〜、ザンネ〜ン、でもちゃんと答えてくれてありがとうございます♪
センパイがダメなら他の人探してみますね?それじゃあ♪』

太一
『あ、あぁうん、まだ人混み多いから気を付けてな〜』


「・・・っ、太一君」じ〜ん

チェルシー
「おぉ、引っ込みました」ひそひそ

スピカ
「どうやら太一君がナイスプレイしてくれたみたいね(^v^;)b」ひそひそ


「・・・先生、ありがとうございました!」

スピカ
「おぉっ;どしたの急に?」


「チェルシーさん、私頑張りますね!」ふんすっ

チェルシー
「あえぇ;は、はい、頑張ってください?」

スピカ先生の教えで、太一君の意思を見せられて気付かされました。
私は不安であった以上に甘えていたんです。あの日目を回してしまった
私に太一君が言ってくれた『無理をしなくていい』という言葉。
その言葉で私は急がなくてもいい、自分たちのペースでってそう考えていました。
でもそれはさっきみたいに太一君に寄ってくる輩が
次々と現れるということになるんです。
もちろん太一君のことですからその度に私との誓いを思い断ってくれるでしょう。
でも私見えていました。去っていくあの子を見る太一君の顔が少し悲しそうに
しているのを。心優しい太一君のことです。断ったことであの子に悲しい思いを
させてしまったと憂いているのでしょう。つまりは太一君自身も悲しい
気持ちになっているということ。このことに気付かないまま甘えていただなんて
私はてんでまだまだでした。そんな気持ちにさせ続けてしまう位なら
私の不安なんて・・・!


「私、決めました!次のお休み、ゴールデンウィークで・・・!」メラメラ

太一君にも先生にも示してもらった以上私、もう迷いません!
待っていてください、太一君!

スピカ
「・・・なんか一人で納得して奮起しているみたいなんだけど;」

チェルシー
「まぁまぁ、悩みがなくなったのならいいじゃあありませんか♪」



太一
「んん?」むずむず

後戸 堅
「おぉまた?もしかしてカゼなんじゃないかい?」

太一
「いや何だろう、さっきとは違う感じで体がムズムズして・・・」
24/04/11 22:36更新 / うたたねこっくりk
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■作者メッセージ
ここまで読んでいただきありがとうございました。

以下本編に登場したキャラ設定や行事の設定などを書いておきます。
興味のあるお方は是非ご覧ください。

スピカ・エイベル:
[種族(立場)]
リャナンシー(文学部顧問)

[年齢,容姿]
ヒミツ(長生きはしているらしい),
淡い青色の髪を後ろ三つ編みにしていて
何故か学校の制服(さらに色違い)を着ていて
ビン底のダテ眼鏡?をかけている。

[性格,口調]
リャナンシーらしく創作活動(彼女の場合は小説)を好み
ネタあつめと称して部員や同僚らの恋バナを積極的に聞きにくる。
またそれらをもとにアドバイスやノウハウをまた別の部員や同僚らに
聞かせたりなどお節介焼きな一面もある。

[補足]
教師であると同時にいち小説家でもありいくつかの著書を出している。
恋愛アドバイス系の本が主であり学内外共に中々の人気を博している。



チェルシー・ニューランズ(同作品内の『バレンタイデー』より再登場):

[追加項目]
・麗と同じく文学部所属でこの度副部長に就任。
・年下の男性を恋人としている。
・不思議の国に行きハートの女王から祝福を
 受けているため性交時の記憶を保てている。



後戸 堅(うしろど けん):
太一と同期のサッカー部員。ゴールキーパー。
それ以外の設定はまだしっかりと定まっていない。

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