クリスマス〜これからはずっとよろしくね〜
「さて、そろそろかな…」
現在自宅の玄関前で仁王立ちして俺はあるヒトを待っている。
別に朝帰りしてくる弟や妹を怒る準備をしているとかそんなのではない。
そもそも俺に兄弟、姉妹の類はいない。
じゃあ誰を待っているかというと・・・
ピンポーン
「おぉ、来た来た」
カチャ キイィ…
「お、お待たせしました、太一君…」
「おう、すっげぇいっぱい持ってきたんだな…;」
ドアを開ければ自分よりも大きなリュックサックを背負った女の子が一人。
彼女は天空麗、つい昨日のクリスマスイブに俺の彼女となったエンジェルである。
「よいっしょ;(ドサァッ)ふぅ;少し遅れてしまいましたね、すいません;」
「いやこんなん背負ってきたってんだったらしょうがねぇよ;
重かったろ?後は運ぶの手伝うぞ」
「いえ、このままでは家には上がれませんので、
一度ここで荷を少し出させて貰っても良いですか?」
「あぁ、確かにこれじゃ入り口につっかえるか;
それじゃあ出すの手伝うぞ、どのチャックから開ける?」
「えっと、それじゃあまずは…」
何で麗がこんな大荷物でまた俺の家にやってきたのか…
事の始まりは昨日から、つまり俺と麗が恋人関係になった夜からなんだけど…
〜回想、昨夜告白後〜
『そ、それじゃあ…これからよろしくお願いします…えへへ』
『…あぁ;こ、こちらこそ、よろしく…』
『…それでは早速準備しなくてはなりませんね♪』
『?、準備って何の?』
『何って…引っ越しの準備に決まっているじゃないですか?』
『えぇっ!?;何でいきなりそんな話に!?;』
『何故って…恋人関係になるのですから同棲は当たり前じゃないですか?』
『あ〜、いやいくら何でも展開が早すぎるっていうか…;』
『ふふ♪お泊まりなら小さい頃にも何度かしましたが、
これからはずっと一緒に暮らせるんですね…♥』
『あれ?いやあの〜、麗さん聞いてます?;』
『善は急げと言いますが、今からでは時間がありませんし、また日を改めますね?
それでは今日は一度帰ります、明日の昼までにはまた来ますので!』バッ
『お〜いちょっと待て!;まだ良いとも言ってな…飛んで行っちまった;』
〜回想終了〜
来た時とは対照的な元気いっぱいな飛び立ちであった。
すっげぇキレイだったなぁ、あの翼…パンチラしてたのがなお良かった…
…ってアホな事まで思い出してる場合じゃねぇな;
「…今更な事だけど、麗がこっちに越してくるんだな…」
「学校に近い方へ越した方が良いと思ったので。太一君の家の方が近いじゃないですか?」
「ああ、なるほどな、それにしても…」
天空が背負ってきたリュックから出てきたのは…
何だろう、家具をまんま小さくした様なものだった。
何言ってんだって?だってそうとしか言い様がねぇよ;
見た目まんまちっちゃいタンスや机だもん。
まぁちっちゃいっていっても小脇が埋まる程の大きさなんだけど、
家具として使うにはやっぱり小さ過ぎる。
だからオモチャかなと思ったけどそれにしては引き出し部分が開いたり、
中から同じく服や教科書をまんま小さくした様な小物が出てきたりと凝っている。
フェアリーとかだったらそのまま着たり読んだり出来るだろうが・・・
「麗…これ何?もしかしてシ◯バニア?」
「違いますよ;私の家具です」
「ゑ?・・・家具?ホントに?」
「はい、今朝まで天空家にあった私の家具です!」
「いや、そりゃまぁシル◯ニア系にしてはでかいなとは思ったけど、
家具にしては小さ過ぎだろ;服なんかこれ麗でも着れないだろ…;」
「流石にこのままの大きさで使っていませんよ、魔法で小さくしてもらったんです」
「え、小さくって・・・誰が?」
「太一君のお父さんが経営している会社の従業員の方にしていただきました。
本当は全部手の平サイズに縮めたかったらしいのですが、
数的に無理があるとのことで代わりにリュックの方を少し大きくしもらいました」
(魔法を使えるとはいえ行動がぶっ飛んでんなぁ〜;)
「持ってきたところでこの後どうするんだよ;これだけの家具入る部屋はウチにないぞ」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。もう少しで来ると思うので」
「?、来るって何が?」
ピンポーン
意図の掴めないまま会話を続けていると玄関からチャイムの音。
こんな時に誰だろう・・・
と一瞬思ったけど、さっき話に親父が出たあたり…うん、何となく想像ついたわ;
「は〜い、どちら様d『失礼しま〜す♫(ドカドカドカ〜)』うおわあぁっ!?;」
やっぱりね〜;開けるやいなやめっちゃ入ってきたのは
ドワーフやゴーレム、グレムリンさらにオートマトン…
このヒトたちは確か親父経営の工場にいる従業員の方々。ってことは・・・
「HAHHAHHA〜!久しぶりだな、我が息子よ!」
「…親父…」
来てたよ;俺の親父、後藤 健豪(ごとう けんごう)、
相変わらず、俺の遺伝子の半分の元とは思えない程の濃いガタイ;
健豪
「おうおう、どうしたぁ!?久しぶりの親子再会だというのに嬉しそうじゃないな?
昔みたいにお父さんの胸に飛び込んできてもいいだろうに…」
太一
「んな事した覚えないんだけどな;」
麗
「お、大勢連れてくるとは聞いていましたがこれ程とは;
健豪さん、今日はよろしくお願いします」
しょうもない話をしてると、後ろから麗がやってきた。
労働者の方々の波に揉まれていたのか、若干息を切らしていた。
健豪
「おう麗ちゃん、よろしくな!」
太一
「ああその引っ越しさぁ、家具縮めて持って来させた所で大きさは戻すんだろ?
あれだけ入るスペースとかこの家には無いぞ?」
健豪
「まぁそうだな、いくら引っ越したいと言っても部屋がないのは事実だ。
そこで・・・あれを見ろ!」
親父の指差す方向を見ると、土木工事用ロボットが家に向かって来ていた。
背中部分には、人がそのまま住めそうな部屋が背負われていた。
太一
「・・・あれ何?」
健豪
「見ての通り部屋だ、つい今朝まで麗ちゃんの家にあった部屋を持ってきたのさ。
ご近所さんに当たらないよう少し縮めて持ってきたけどな」
太一
「部屋なのは見てわかるよ、あれをどうして持ってきたんだって…」
健豪
「んなもん、オマエの家と繋げるために持ってきたんだろうが」
太一
「…えっ!?;つ、繋げる!?この家と?あの部屋を?どうやって!?」
健豪
「それを今からやるんじゃねぇか。まぁ見てろって♪
夕飯どころかおやつの時間までに終わらせてやるさ♪」
麗
「ふふ♪完成が待ち遠しいです♪」
太一
「麗は親父の案には驚かなかったの?;」
麗
「流石に最初に聞いた時は驚きましたよ?;行動が吹っ切れてるなぁって;」
太一
(吹っ切れ様はアナタも相当なものだと思いますよ麗さん;)
健豪
「んじゃあ、早速作業に入ろうと思うんで・・・出てきて下さ〜い!!」
『は〜い!!』ガチャッ
親父が運んできた部屋に向かって声を掛けると、
中から何人かの声が聞こえて扉が開いた。
部屋の中にも従業員がいたのかと思ったが、出てきたのは従業員ではなく・・・
麗
「お父さん!お母さん!姉さんまでどうして!?」
腑和(麗母)
「ふふふ、引っ越しの様子が見たくて来ちゃったわ」
元(麗父)
「それで、どうせ行くなら驚かそうって比良々が言いだしてね」
比良々(麗姉)
「で、あれに入ってやってきたってわけよ♪」
何と麗のご家族だった。これも麗と親父で考えた事かと思ったが
麗の様子からして親父の、というかあちらの家族のサプライズみたいだ。
思わぬ所でご家族とご挨拶…なんて言ってられないな;
太一
「お、お久しぶりです、比良々さんもお元気そうで…;」
比良々
「さん付けなんてやめてよ;昔みたいにヒラ姉ちゃんって呼んで♪」
呼べねぇよ;言ったたんびに『だ〜れの胸が平だって〜?』つって
頭へっ込むかって位にグリグリしてきたじゃん;うぅ、思い出したら震えが;
比良々
「いや〜にしても可愛い弟みたいに思ってた太一くんが、
愛しの妹とよろしくヤる関係になるなんてね〜♥」
麗
「ちょっ;ちょっと姉さん!;太一君の前で何言ってるんですか!?私と太一君はまだ…(赤)」
腑和
「中学が別になってからは滅多に会うこともなかったので
あのまま疎遠になってしまうのではと心配でしたが、今回の事で安心しました♪
麗ったらまともに話せないからってため息ばっかりだったんですよ?」
麗
「お母さんも!昔の事は言わなくても良いじゃないですか;」
元
「太一君、君としてはいきなり過ぎてまだ実感湧いていないかもしれない、
だけどこれからは君が麗の事を守っていっt…むぷ;」
比良々
「父さんったら堅いよ〜;太一くんなんだもん、ヤることヤったら結婚は絶対だって…」
麗
「姉さんっ!!」
比良々ねぇの言葉に声を荒げる麗。懐かしいなこの感じ。
あれから何年も面と向かって会ってなかったけど相変わらずこんな関係なんだな…
比良々
「そんな声を荒げなくても良いじゃん〜;相思相愛なら遅かれ早かれなことじゃん?」
麗
「それはそうだけど…人前で堂々と言う事では…(赤)」
腑和
「あらあら?家にいる時はそういう話は興味津々で聞いていたのn…むぷ;」
麗
「わああぁあっ!?;言っちゃダメェ!!;太一君の前で言っちゃダメェッ!!;(真っ赤)」
比良々
「麗ちゃんったら慌てすぎ(笑)」
元
「好きな人の目の前で赤裸々プライベートトークをされているんだ、仕方ないさ」
比良々
「気持ちはわからないわけじゃないんだけどなぁ〜」
健豪
「あの〜;すいませんが、ドア前で長話されちゃ作業できないんで、
続きはこっちでしてもらいますかい?」
天空一家
『あ;すいません』
親父に言われて、慌てて移動する天空一家。
その後の話は俺も加えられ、そのほとんどが
ヒラ姐からの俺と麗へのイジリ話で盛り上がった。
娘の恋愛成就が一家の悲願だったと言わんばかりの言われ様だった;
そして繋げる作業の方だが、家への負荷、見た目やお隣さんへの配慮、
間取りの若干の変更とチェックする問題は色々あったはずなのに
ものの数時間で終わらせてしまった。
健豪
「どうだ?マジでおやつ前に終わったろ?」
太一
「すっげぇ;もう完ぺき最初っからこういう家だったって風にしか見えねぇよ…」
比良々「随分ぴったりとくっつけたもんだねぇ〜」
その完成度たるやいま言った通り。俺が頼んだわけじゃないが、
『文句無しの出来』とは正にこういう事だろう。
腑和
「ええ本当に…別々だったなんて信じられない程、違和感がありませんね…」
比良々
「ああ、そっちもなんだけど私が言ったのは太一くんと麗ちゃんの部屋。
隣同士ってレベルじゃなくない?」
言われてみれば俺と麗の部屋は隣接というよりは一つの部屋である風に見える。
中では壁一枚で隔てた感じになっているんだろうか?
健豪
「ああ、それは中に入ったらすぐにわかるさ、きっと喜ぶぞ〜?♪」
太一&麗
「「?」」
親父がその顔には似合わないにやにやした笑顔を浮かべている。
・・・こりゃまた余計な事したなあ;
麗一家と一緒にリフォーム後の部屋を見に行くと…
太一
「う、うっおぉ…;こ、これはぁ…;」
麗
「は、わあぁ、うわあぁぁああ・・・!」
思いはしたがマジでやりやがるとは…;
部屋は外から見た通りの内装、つまり俺の部屋と麗の部屋とで分かれてはなく
一つの部屋として統合されていた。全くの違和感なく・・・
健豪
「同棲祝いってことで思い切ってな!ああ、お代とかは気にすんな?
ウチの改装ってことでタダにしといてやるからさ♪」
麗
「素敵…素敵過ぎますっ!!こんな風にしていただけるなんて、
このご恩は一生忘れませんっ!!」
太一
「・・・ありがとう、ございます…;」
本当は『勝手にここまでやるか?』などの文句を言いたかったんだが、
目を歓喜の涙で潤ませ感謝を述べている麗の横で
そんな事を言える気にはなれなかった。
それに結果自体は俺も嬉しくは思っているからな…
それにしても麗はすごい喜び様だな;
これ以上のサプライズがあったら大泣きするんじゃないか?
健豪
「HAHAHA!そんなに喜んくれるたぁ建築家冥利に尽きるってもんだ!
こりゃあ、改築大成功ってことで盛大に祝わなくてはなぁ♪」
腑和
「ふふふ、そうおっしゃると思いまして、前もってお赤飯やお酒は用意しておきました♪」
健豪
「おお♪では早速始めましょうか?」
元
「祝うのは賛成ですけど、僕お酒あまり飲めませんよ?;」
比良々
「あ♪私、法的にも量的にも飲めますよ〜♪お酌しますよ〜?お義父さん♪」
健豪
「いやはは、それは流石に…あっという間かぁ?GAHAHAHA!」
麗
「姉さんたらまたあんな事を言って…(赤)」
太一
「あ、ははは;こりゃ後片付けが大変だな・・・;」
その後飲めや祝えやのどんちゃん騒ぎで
終わった頃には思った通りのごっちゃぶりだった。
つっても片付けはみんな手伝ってくれた(主に麗とそのご両親)んだどさ・・・
しっかしアレだな・・・段階がぽんぽん進みすぎて何だか怖くもなってきた;
こりゃ『その時』が来るのも案外そう遠くないかな?・・・な〜んて、あはは;
現在自宅の玄関前で仁王立ちして俺はあるヒトを待っている。
別に朝帰りしてくる弟や妹を怒る準備をしているとかそんなのではない。
そもそも俺に兄弟、姉妹の類はいない。
じゃあ誰を待っているかというと・・・
ピンポーン
「おぉ、来た来た」
カチャ キイィ…
「お、お待たせしました、太一君…」
「おう、すっげぇいっぱい持ってきたんだな…;」
ドアを開ければ自分よりも大きなリュックサックを背負った女の子が一人。
彼女は天空麗、つい昨日のクリスマスイブに俺の彼女となったエンジェルである。
「よいっしょ;(ドサァッ)ふぅ;少し遅れてしまいましたね、すいません;」
「いやこんなん背負ってきたってんだったらしょうがねぇよ;
重かったろ?後は運ぶの手伝うぞ」
「いえ、このままでは家には上がれませんので、
一度ここで荷を少し出させて貰っても良いですか?」
「あぁ、確かにこれじゃ入り口につっかえるか;
それじゃあ出すの手伝うぞ、どのチャックから開ける?」
「えっと、それじゃあまずは…」
何で麗がこんな大荷物でまた俺の家にやってきたのか…
事の始まりは昨日から、つまり俺と麗が恋人関係になった夜からなんだけど…
〜回想、昨夜告白後〜
『そ、それじゃあ…これからよろしくお願いします…えへへ』
『…あぁ;こ、こちらこそ、よろしく…』
『…それでは早速準備しなくてはなりませんね♪』
『?、準備って何の?』
『何って…引っ越しの準備に決まっているじゃないですか?』
『えぇっ!?;何でいきなりそんな話に!?;』
『何故って…恋人関係になるのですから同棲は当たり前じゃないですか?』
『あ〜、いやいくら何でも展開が早すぎるっていうか…;』
『ふふ♪お泊まりなら小さい頃にも何度かしましたが、
これからはずっと一緒に暮らせるんですね…♥』
『あれ?いやあの〜、麗さん聞いてます?;』
『善は急げと言いますが、今からでは時間がありませんし、また日を改めますね?
それでは今日は一度帰ります、明日の昼までにはまた来ますので!』バッ
『お〜いちょっと待て!;まだ良いとも言ってな…飛んで行っちまった;』
〜回想終了〜
来た時とは対照的な元気いっぱいな飛び立ちであった。
すっげぇキレイだったなぁ、あの翼…パンチラしてたのがなお良かった…
…ってアホな事まで思い出してる場合じゃねぇな;
「…今更な事だけど、麗がこっちに越してくるんだな…」
「学校に近い方へ越した方が良いと思ったので。太一君の家の方が近いじゃないですか?」
「ああ、なるほどな、それにしても…」
天空が背負ってきたリュックから出てきたのは…
何だろう、家具をまんま小さくした様なものだった。
何言ってんだって?だってそうとしか言い様がねぇよ;
見た目まんまちっちゃいタンスや机だもん。
まぁちっちゃいっていっても小脇が埋まる程の大きさなんだけど、
家具として使うにはやっぱり小さ過ぎる。
だからオモチャかなと思ったけどそれにしては引き出し部分が開いたり、
中から同じく服や教科書をまんま小さくした様な小物が出てきたりと凝っている。
フェアリーとかだったらそのまま着たり読んだり出来るだろうが・・・
「麗…これ何?もしかしてシ◯バニア?」
「違いますよ;私の家具です」
「ゑ?・・・家具?ホントに?」
「はい、今朝まで天空家にあった私の家具です!」
「いや、そりゃまぁシル◯ニア系にしてはでかいなとは思ったけど、
家具にしては小さ過ぎだろ;服なんかこれ麗でも着れないだろ…;」
「流石にこのままの大きさで使っていませんよ、魔法で小さくしてもらったんです」
「え、小さくって・・・誰が?」
「太一君のお父さんが経営している会社の従業員の方にしていただきました。
本当は全部手の平サイズに縮めたかったらしいのですが、
数的に無理があるとのことで代わりにリュックの方を少し大きくしもらいました」
(魔法を使えるとはいえ行動がぶっ飛んでんなぁ〜;)
「持ってきたところでこの後どうするんだよ;これだけの家具入る部屋はウチにないぞ」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。もう少しで来ると思うので」
「?、来るって何が?」
ピンポーン
意図の掴めないまま会話を続けていると玄関からチャイムの音。
こんな時に誰だろう・・・
と一瞬思ったけど、さっき話に親父が出たあたり…うん、何となく想像ついたわ;
「は〜い、どちら様d『失礼しま〜す♫(ドカドカドカ〜)』うおわあぁっ!?;」
やっぱりね〜;開けるやいなやめっちゃ入ってきたのは
ドワーフやゴーレム、グレムリンさらにオートマトン…
このヒトたちは確か親父経営の工場にいる従業員の方々。ってことは・・・
「HAHHAHHA〜!久しぶりだな、我が息子よ!」
「…親父…」
来てたよ;俺の親父、後藤 健豪(ごとう けんごう)、
相変わらず、俺の遺伝子の半分の元とは思えない程の濃いガタイ;
健豪
「おうおう、どうしたぁ!?久しぶりの親子再会だというのに嬉しそうじゃないな?
昔みたいにお父さんの胸に飛び込んできてもいいだろうに…」
太一
「んな事した覚えないんだけどな;」
麗
「お、大勢連れてくるとは聞いていましたがこれ程とは;
健豪さん、今日はよろしくお願いします」
しょうもない話をしてると、後ろから麗がやってきた。
労働者の方々の波に揉まれていたのか、若干息を切らしていた。
健豪
「おう麗ちゃん、よろしくな!」
太一
「ああその引っ越しさぁ、家具縮めて持って来させた所で大きさは戻すんだろ?
あれだけ入るスペースとかこの家には無いぞ?」
健豪
「まぁそうだな、いくら引っ越したいと言っても部屋がないのは事実だ。
そこで・・・あれを見ろ!」
親父の指差す方向を見ると、土木工事用ロボットが家に向かって来ていた。
背中部分には、人がそのまま住めそうな部屋が背負われていた。
太一
「・・・あれ何?」
健豪
「見ての通り部屋だ、つい今朝まで麗ちゃんの家にあった部屋を持ってきたのさ。
ご近所さんに当たらないよう少し縮めて持ってきたけどな」
太一
「部屋なのは見てわかるよ、あれをどうして持ってきたんだって…」
健豪
「んなもん、オマエの家と繋げるために持ってきたんだろうが」
太一
「…えっ!?;つ、繋げる!?この家と?あの部屋を?どうやって!?」
健豪
「それを今からやるんじゃねぇか。まぁ見てろって♪
夕飯どころかおやつの時間までに終わらせてやるさ♪」
麗
「ふふ♪完成が待ち遠しいです♪」
太一
「麗は親父の案には驚かなかったの?;」
麗
「流石に最初に聞いた時は驚きましたよ?;行動が吹っ切れてるなぁって;」
太一
(吹っ切れ様はアナタも相当なものだと思いますよ麗さん;)
健豪
「んじゃあ、早速作業に入ろうと思うんで・・・出てきて下さ〜い!!」
『は〜い!!』ガチャッ
親父が運んできた部屋に向かって声を掛けると、
中から何人かの声が聞こえて扉が開いた。
部屋の中にも従業員がいたのかと思ったが、出てきたのは従業員ではなく・・・
麗
「お父さん!お母さん!姉さんまでどうして!?」
腑和(麗母)
「ふふふ、引っ越しの様子が見たくて来ちゃったわ」
元(麗父)
「それで、どうせ行くなら驚かそうって比良々が言いだしてね」
比良々(麗姉)
「で、あれに入ってやってきたってわけよ♪」
何と麗のご家族だった。これも麗と親父で考えた事かと思ったが
麗の様子からして親父の、というかあちらの家族のサプライズみたいだ。
思わぬ所でご家族とご挨拶…なんて言ってられないな;
太一
「お、お久しぶりです、比良々さんもお元気そうで…;」
比良々
「さん付けなんてやめてよ;昔みたいにヒラ姉ちゃんって呼んで♪」
呼べねぇよ;言ったたんびに『だ〜れの胸が平だって〜?』つって
頭へっ込むかって位にグリグリしてきたじゃん;うぅ、思い出したら震えが;
比良々
「いや〜にしても可愛い弟みたいに思ってた太一くんが、
愛しの妹とよろしくヤる関係になるなんてね〜♥」
麗
「ちょっ;ちょっと姉さん!;太一君の前で何言ってるんですか!?私と太一君はまだ…(赤)」
腑和
「中学が別になってからは滅多に会うこともなかったので
あのまま疎遠になってしまうのではと心配でしたが、今回の事で安心しました♪
麗ったらまともに話せないからってため息ばっかりだったんですよ?」
麗
「お母さんも!昔の事は言わなくても良いじゃないですか;」
元
「太一君、君としてはいきなり過ぎてまだ実感湧いていないかもしれない、
だけどこれからは君が麗の事を守っていっt…むぷ;」
比良々
「父さんったら堅いよ〜;太一くんなんだもん、ヤることヤったら結婚は絶対だって…」
麗
「姉さんっ!!」
比良々ねぇの言葉に声を荒げる麗。懐かしいなこの感じ。
あれから何年も面と向かって会ってなかったけど相変わらずこんな関係なんだな…
比良々
「そんな声を荒げなくても良いじゃん〜;相思相愛なら遅かれ早かれなことじゃん?」
麗
「それはそうだけど…人前で堂々と言う事では…(赤)」
腑和
「あらあら?家にいる時はそういう話は興味津々で聞いていたのn…むぷ;」
麗
「わああぁあっ!?;言っちゃダメェ!!;太一君の前で言っちゃダメェッ!!;(真っ赤)」
比良々
「麗ちゃんったら慌てすぎ(笑)」
元
「好きな人の目の前で赤裸々プライベートトークをされているんだ、仕方ないさ」
比良々
「気持ちはわからないわけじゃないんだけどなぁ〜」
健豪
「あの〜;すいませんが、ドア前で長話されちゃ作業できないんで、
続きはこっちでしてもらいますかい?」
天空一家
『あ;すいません』
親父に言われて、慌てて移動する天空一家。
その後の話は俺も加えられ、そのほとんどが
ヒラ姐からの俺と麗へのイジリ話で盛り上がった。
娘の恋愛成就が一家の悲願だったと言わんばかりの言われ様だった;
そして繋げる作業の方だが、家への負荷、見た目やお隣さんへの配慮、
間取りの若干の変更とチェックする問題は色々あったはずなのに
ものの数時間で終わらせてしまった。
健豪
「どうだ?マジでおやつ前に終わったろ?」
太一
「すっげぇ;もう完ぺき最初っからこういう家だったって風にしか見えねぇよ…」
比良々「随分ぴったりとくっつけたもんだねぇ〜」
その完成度たるやいま言った通り。俺が頼んだわけじゃないが、
『文句無しの出来』とは正にこういう事だろう。
腑和
「ええ本当に…別々だったなんて信じられない程、違和感がありませんね…」
比良々
「ああ、そっちもなんだけど私が言ったのは太一くんと麗ちゃんの部屋。
隣同士ってレベルじゃなくない?」
言われてみれば俺と麗の部屋は隣接というよりは一つの部屋である風に見える。
中では壁一枚で隔てた感じになっているんだろうか?
健豪
「ああ、それは中に入ったらすぐにわかるさ、きっと喜ぶぞ〜?♪」
太一&麗
「「?」」
親父がその顔には似合わないにやにやした笑顔を浮かべている。
・・・こりゃまた余計な事したなあ;
麗一家と一緒にリフォーム後の部屋を見に行くと…
太一
「う、うっおぉ…;こ、これはぁ…;」
麗
「は、わあぁ、うわあぁぁああ・・・!」
思いはしたがマジでやりやがるとは…;
部屋は外から見た通りの内装、つまり俺の部屋と麗の部屋とで分かれてはなく
一つの部屋として統合されていた。全くの違和感なく・・・
健豪
「同棲祝いってことで思い切ってな!ああ、お代とかは気にすんな?
ウチの改装ってことでタダにしといてやるからさ♪」
麗
「素敵…素敵過ぎますっ!!こんな風にしていただけるなんて、
このご恩は一生忘れませんっ!!」
太一
「・・・ありがとう、ございます…;」
本当は『勝手にここまでやるか?』などの文句を言いたかったんだが、
目を歓喜の涙で潤ませ感謝を述べている麗の横で
そんな事を言える気にはなれなかった。
それに結果自体は俺も嬉しくは思っているからな…
それにしても麗はすごい喜び様だな;
これ以上のサプライズがあったら大泣きするんじゃないか?
健豪
「HAHAHA!そんなに喜んくれるたぁ建築家冥利に尽きるってもんだ!
こりゃあ、改築大成功ってことで盛大に祝わなくてはなぁ♪」
腑和
「ふふふ、そうおっしゃると思いまして、前もってお赤飯やお酒は用意しておきました♪」
健豪
「おお♪では早速始めましょうか?」
元
「祝うのは賛成ですけど、僕お酒あまり飲めませんよ?;」
比良々
「あ♪私、法的にも量的にも飲めますよ〜♪お酌しますよ〜?お義父さん♪」
健豪
「いやはは、それは流石に…あっという間かぁ?GAHAHAHA!」
麗
「姉さんたらまたあんな事を言って…(赤)」
太一
「あ、ははは;こりゃ後片付けが大変だな・・・;」
その後飲めや祝えやのどんちゃん騒ぎで
終わった頃には思った通りのごっちゃぶりだった。
つっても片付けはみんな手伝ってくれた(主に麗とそのご両親)んだどさ・・・
しっかしアレだな・・・段階がぽんぽん進みすぎて何だか怖くもなってきた;
こりゃ『その時』が来るのも案外そう遠くないかな?・・・な〜んて、あはは;
24/03/14 22:12更新 / うたたねこっくりk
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