始まり
〜魔王城から街幾つか分程離れた村〜
一目惚れだった…
反魔物領にされた村が魔物娘の軍勢に襲われたあの日、
僕ことワタルは襲い来る相手を蹴散らしていた。数体蹴散らしてから
ふと上を見上げた時、その女(ひと)は空に浮いていた。
白い髪と翼、扇情的な服とその隙間から見える色白の肌、
何よりもあの赤い瞳を備えた美貌に見とれていると、彼女は僕に話し掛けてきた。
「あら、アナタ頑張っているのね♪周りのみんなはもう堕ちたのに」
透き通る様な、それでいて鼓膜をしっかりと震わせる綺麗な声だった。
その声で彼女は僕に向けて言葉を続けた。
「あなたもいらっしゃいな♥ そうすれば私が最高の快楽を教えてあげるわよ?」
それに対し、僕が放った言葉は、
「や、やかましい!そんなに欲しけりゃふわふわ浮いてないでそっちから来い!」
…いくらアがっていたとはいえ、惚れた女性に対してあの態度、発言は我ながら無さ過ぎる…
…震えながらだったから格好もついとらんし、
そんなんだからあの女(ヒト)にも呆れられて帰られるんだよ。
ああくそ、あの時もっと話し合えたらなぁ…
(まぁ、やってしまった以上はどうしようもない。ならば次はどうするかさ・・・)
あの後、堕とされてすっかり変わった村の環境に何とか慣れて、
雑貨屋のマツ(親友)君とその嫁さん(エキドナでエナという名前らしい)
から旅用に色々貸してもらい、今旅に向けての準備を整えている最中である。
旅する理由は勿論あの女(ヒト)に会いに行くためである。
エナ「でもわざわざ自分で行かなくとも私が伝えれば、来られると思いますよ?」
ワタル
「いえいえ、幹部様の手を煩わせるわけには
(久しぶりに旅をしたいってのもあるしね)」
エナ「私は別に構いませんのに、まぁ分かりました。どうかお気をつけて」
ワタル「ありがとうございます、ところでマツ君は?」
エナ「あぁ、昨夜ハリきりすぎてしまいまして(照笑)、まだ寝ておりますわ」
ワタル「あっは〜(呆)、お大事にと伝えてください。じゃあ、行ってきます」
気を付けてとは言われたが元々、旅は慣れている方だし、
野営にせよ戦闘にせよ腕はある方だから
野垂れ死にや襲われて死ぬなんて事は基本無い筈、
自分としての問題は会った時きちんと話せるかどうか、
・・・あ、そういえば名前も知らないんだったな(汗)。
じゃあ、まずは自己紹介からしよう、そしてその後に必ず、
「必ず、あなたに想いを伝えます!」
こうして、少年ワタルは村を出るのであった…
〜所変わって魔王城〜
初めてだった…
あの日、私ことティアは反魔物領を堕としていた。姉様達程ではないにしろ、
私も急進派の一人、かなりの数の街を堕としてきた。だからあの時、
あの男(ひと)が抵抗している姿を見ても珍しいとも思わなかった。
ただ何となく一声かけてみようと思った。魔王である母様の娘である私達リリムは
相手に話しかけなくとも姿を見せただけで虜にできるのにだ。
今まで抵抗してきた男たちも私の姿を見ただけで無抵抗になった。
でもあの男(ひと)だけは違った。
正直ビックリしちゃった(困)、私の姿を見ても誘惑してみても
なお抵抗の意思を見せた人はあの男が初めてだったんだもん。
ビックリしすぎて思わずその場から逃げるように去ってしまった。
…変に思われただろうなぁ…
それからというもの、彼の姿が頭から離れなくなった。
彼の姿を思い浮かべる度に体が、特に下腹部が熱くなる、
どうやら私は彼に一目惚れをしたみたいだ。
想いは日ごとに増していき、もやもやとする日が多くなった。
そんな日が続き、ついに私はある事を決心し、
部下であるサラ(サキュバス)とラン(デュラハン)にそのことを話した。
サラ「その男の元へいく?」
ティア「えぇ、もう決めたわ」
ラン「お一人では危険です。私たちもご一緒します」
ティア「大丈夫よ、ちょっと飛んでいけばすぐ着くわ」
サラ「というか、エナさんに知らせれば、連れて来るのでは?」
ティア
「あの人、旦那さんできたんでしょ?
幸せを邪魔しちゃ悪いし、私から会いに行きたいの!」
ラン「残りの反魔物領の制圧はどうされるのですか?」
ティア「そ、それは(汗)…サッと行って、サッと連れてくれば大丈夫よ!」
ラン「いや、今は親と反のバランスが…」
ティア「ああもう!話は彼を連れてきた後!行ってきます!!」
ゴウッ!!(窓から飛んでいく)
ラン「あぁ、ちょっと!…行ってしまいました…」
サラ「でも、ようやく好きになれる人ができたんだもの、仕方ないわ」
ラン「それはそうですが、よりによってあの男だなんて、流石にちょっと…」
サラ「あぁ、そういえばあなた負けてたわね♪その人に」
ラン「それはサラさんも同じでしょうに。そんなことよりも、この後どうします?」
サラ「エナさんに一応連絡しておく?」
ラン「ちょ;ティア様の言葉を聞いてなかったんですか?邪魔をしては悪いと…」
サラ
「でも、ティア様が村に来たときマズくなるかもだし、
ティア様だってスムーズに事を終わらせたいだろうし」
ラン
「あぁ〜まぁそれもそうですね。
では失礼かもしれませんが、連絡をしておきましょう」
連絡中…(方法はテレパシー的な何かかと思ってください)
エナ「あら、サラさん、ランさん、お久しぶりですね♪どうされましたか?」
ラン
「ちょっと伝えたい事がありまして、ティア様がもうすぐそちらへ着かれるのですが、
その時にある人を村の入り口付近で待たせて欲しいのですが…」
エナ「あぁ、そういうことでしたら構いませんが、誰を待たせれば良いのですか?」
サラ「村を堕とす時に特に抵抗してきた人覚えてます?その人なんですが…」
エナ「あら、その人ならつい先程ティア様に会うために旅に行かれましたよ?」
「「ゑ?」」
エナ
「ですから、ティア様にプロポーズされるために旅立たれたのですよ♪
もうとっくに入り口を過ぎた頃でしょうか」
「「・・・エえゑEえエゑEぇぇ!?」」
サラ
「えぇえと(焦)、てことはティア様とあの人両想い!?
ティア様ヤッタじゃないですか♥」
ラン
「イヤそこじゃないでしょう!!(汗)、
すれ違っちゃってるって事ですよ!?、どうしましょう〜(困)」
・
・
・
そんな事が起きてるとは露知らず・・・
「ああ、でもあんな態度取られたんだから、会ったら挑まれちゃうのかしら…。」
まぁいいわ。私もリリムだから弱いなんて事はない、
誘惑なり何なりして骨抜きにしてあげよう、
そしてその後は…
「うふふ♥待ってなさい、必ずあなたを私の虜にしてあげるわ♪」
こうして魔王の娘ティアも旅立ったのであった…
それから二人はすれ違いを何度も繰り返すことになるのだが、それはまた別のお話で
ちょこっとずつ語ることになるでしょう。
とりあえず今回は僕とティアさんの恋の始まりをここに記すとしましょう。
ではまたいつか お元気で。
一目惚れだった…
反魔物領にされた村が魔物娘の軍勢に襲われたあの日、
僕ことワタルは襲い来る相手を蹴散らしていた。数体蹴散らしてから
ふと上を見上げた時、その女(ひと)は空に浮いていた。
白い髪と翼、扇情的な服とその隙間から見える色白の肌、
何よりもあの赤い瞳を備えた美貌に見とれていると、彼女は僕に話し掛けてきた。
「あら、アナタ頑張っているのね♪周りのみんなはもう堕ちたのに」
透き通る様な、それでいて鼓膜をしっかりと震わせる綺麗な声だった。
その声で彼女は僕に向けて言葉を続けた。
「あなたもいらっしゃいな♥ そうすれば私が最高の快楽を教えてあげるわよ?」
それに対し、僕が放った言葉は、
「や、やかましい!そんなに欲しけりゃふわふわ浮いてないでそっちから来い!」
…いくらアがっていたとはいえ、惚れた女性に対してあの態度、発言は我ながら無さ過ぎる…
…震えながらだったから格好もついとらんし、
そんなんだからあの女(ヒト)にも呆れられて帰られるんだよ。
ああくそ、あの時もっと話し合えたらなぁ…
(まぁ、やってしまった以上はどうしようもない。ならば次はどうするかさ・・・)
あの後、堕とされてすっかり変わった村の環境に何とか慣れて、
雑貨屋のマツ(親友)君とその嫁さん(エキドナでエナという名前らしい)
から旅用に色々貸してもらい、今旅に向けての準備を整えている最中である。
旅する理由は勿論あの女(ヒト)に会いに行くためである。
エナ「でもわざわざ自分で行かなくとも私が伝えれば、来られると思いますよ?」
ワタル
「いえいえ、幹部様の手を煩わせるわけには
(久しぶりに旅をしたいってのもあるしね)」
エナ「私は別に構いませんのに、まぁ分かりました。どうかお気をつけて」
ワタル「ありがとうございます、ところでマツ君は?」
エナ「あぁ、昨夜ハリきりすぎてしまいまして(照笑)、まだ寝ておりますわ」
ワタル「あっは〜(呆)、お大事にと伝えてください。じゃあ、行ってきます」
気を付けてとは言われたが元々、旅は慣れている方だし、
野営にせよ戦闘にせよ腕はある方だから
野垂れ死にや襲われて死ぬなんて事は基本無い筈、
自分としての問題は会った時きちんと話せるかどうか、
・・・あ、そういえば名前も知らないんだったな(汗)。
じゃあ、まずは自己紹介からしよう、そしてその後に必ず、
「必ず、あなたに想いを伝えます!」
こうして、少年ワタルは村を出るのであった…
〜所変わって魔王城〜
初めてだった…
あの日、私ことティアは反魔物領を堕としていた。姉様達程ではないにしろ、
私も急進派の一人、かなりの数の街を堕としてきた。だからあの時、
あの男(ひと)が抵抗している姿を見ても珍しいとも思わなかった。
ただ何となく一声かけてみようと思った。魔王である母様の娘である私達リリムは
相手に話しかけなくとも姿を見せただけで虜にできるのにだ。
今まで抵抗してきた男たちも私の姿を見ただけで無抵抗になった。
でもあの男(ひと)だけは違った。
正直ビックリしちゃった(困)、私の姿を見ても誘惑してみても
なお抵抗の意思を見せた人はあの男が初めてだったんだもん。
ビックリしすぎて思わずその場から逃げるように去ってしまった。
…変に思われただろうなぁ…
それからというもの、彼の姿が頭から離れなくなった。
彼の姿を思い浮かべる度に体が、特に下腹部が熱くなる、
どうやら私は彼に一目惚れをしたみたいだ。
想いは日ごとに増していき、もやもやとする日が多くなった。
そんな日が続き、ついに私はある事を決心し、
部下であるサラ(サキュバス)とラン(デュラハン)にそのことを話した。
サラ「その男の元へいく?」
ティア「えぇ、もう決めたわ」
ラン「お一人では危険です。私たちもご一緒します」
ティア「大丈夫よ、ちょっと飛んでいけばすぐ着くわ」
サラ「というか、エナさんに知らせれば、連れて来るのでは?」
ティア
「あの人、旦那さんできたんでしょ?
幸せを邪魔しちゃ悪いし、私から会いに行きたいの!」
ラン「残りの反魔物領の制圧はどうされるのですか?」
ティア「そ、それは(汗)…サッと行って、サッと連れてくれば大丈夫よ!」
ラン「いや、今は親と反のバランスが…」
ティア「ああもう!話は彼を連れてきた後!行ってきます!!」
ゴウッ!!(窓から飛んでいく)
ラン「あぁ、ちょっと!…行ってしまいました…」
サラ「でも、ようやく好きになれる人ができたんだもの、仕方ないわ」
ラン「それはそうですが、よりによってあの男だなんて、流石にちょっと…」
サラ「あぁ、そういえばあなた負けてたわね♪その人に」
ラン「それはサラさんも同じでしょうに。そんなことよりも、この後どうします?」
サラ「エナさんに一応連絡しておく?」
ラン「ちょ;ティア様の言葉を聞いてなかったんですか?邪魔をしては悪いと…」
サラ
「でも、ティア様が村に来たときマズくなるかもだし、
ティア様だってスムーズに事を終わらせたいだろうし」
ラン
「あぁ〜まぁそれもそうですね。
では失礼かもしれませんが、連絡をしておきましょう」
連絡中…(方法はテレパシー的な何かかと思ってください)
エナ「あら、サラさん、ランさん、お久しぶりですね♪どうされましたか?」
ラン
「ちょっと伝えたい事がありまして、ティア様がもうすぐそちらへ着かれるのですが、
その時にある人を村の入り口付近で待たせて欲しいのですが…」
エナ「あぁ、そういうことでしたら構いませんが、誰を待たせれば良いのですか?」
サラ「村を堕とす時に特に抵抗してきた人覚えてます?その人なんですが…」
エナ「あら、その人ならつい先程ティア様に会うために旅に行かれましたよ?」
「「ゑ?」」
エナ
「ですから、ティア様にプロポーズされるために旅立たれたのですよ♪
もうとっくに入り口を過ぎた頃でしょうか」
「「・・・エえゑEえエゑEぇぇ!?」」
サラ
「えぇえと(焦)、てことはティア様とあの人両想い!?
ティア様ヤッタじゃないですか♥」
ラン
「イヤそこじゃないでしょう!!(汗)、
すれ違っちゃってるって事ですよ!?、どうしましょう〜(困)」
・
・
・
そんな事が起きてるとは露知らず・・・
「ああ、でもあんな態度取られたんだから、会ったら挑まれちゃうのかしら…。」
まぁいいわ。私もリリムだから弱いなんて事はない、
誘惑なり何なりして骨抜きにしてあげよう、
そしてその後は…
「うふふ♥待ってなさい、必ずあなたを私の虜にしてあげるわ♪」
こうして魔王の娘ティアも旅立ったのであった…
それから二人はすれ違いを何度も繰り返すことになるのだが、それはまた別のお話で
ちょこっとずつ語ることになるでしょう。
とりあえず今回は僕とティアさんの恋の始まりをここに記すとしましょう。
ではまたいつか お元気で。
21/02/28 23:18更新 / うたたねこっくりk
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