六月のある日〜June Bride〜
「おめでとうー!」
「お幸せにね〜!」
「しっかりやれよ〜!」
「二人とも元気にな〜!」
雲ひとつない晴れ渡る青い空の下、
大勢の人から祝福を受けながら白のドレス姿と黒のタキシード姿で
微笑み合う一組の男女の姿、ああ、なんて美しい光景でしょう。
六月某日、私たちはとある結婚式および披露宴に参加しています。
そう、参加です。私と太一君のではありません。
いずれはとは考えてはいますが、うふふ・・・♥
おっと、話が逸れてしまいましたね;では誰のかというと・・・
???「ウララちゃ〜ん、久しぶり〜♪」
麗「オルテンシアさん、お久しぶりです」
オルテンシア(以下オルテ)
「オルテで良いって♪見ない間に一段と可愛くなったね?
ドレス、似合ってるよ〜♪」なでなで
麗「あ、ありがとうございます(赤)」
比良々(以下ヒララ)
「あれれ〜?私よりも麗に会えた方が嬉しいのかな〜?」
オルテ
「もう、変なヤキモチやかないの;ヒララも久しぶりね?
来てくれて嬉しいわ♪ヒララのドレスもかわいいよ〜♪」ぎゅ〜っ
ヒララ
「あははありがと、ここまでしてくれとは言ってないんだけどな;
こういうのは彼氏、ああいや旦那さんにしてあげなって」
姉さんの大学時代の友人でサキュバスの『オルテンシア・ポーラ』さんと
その恋人の『西条 橙矢(さいじょう とうや)』さん。
こちらのお二人の式にお呼ばれしてやって参りました。
本来は姉さんとその、夫さんやお嫁さん仲間が呼ばれていたそうなのですが、
『服役中』ということもあって全員は、特に夫さんは婚礼の場には呼べないだろう
ということで姉さんが代わりにと誘ってきたのが私ともう一人・・・
太一
「あの、やっぱり俺は場違いなんじゃ;」
ヒララ
「な〜に言ってんの?我が愛しの妹のフィアンセでしょ?
見学してきなって♪モチロン楽しんでってもOKだからね♪」
オルテ
「それヒララが決めることじゃないでしょ?でもまぁそうね、
変に気をつかわなくっていいから存分に楽しんでいってねタイチくん♪」
太一
「う、うす・・・」
二人に歓迎されながらも太一君はまだバツの悪そうな様子を見せています。
おそらくオルテさんや姉さんと深く関わりのない自分がこの場に
居ていいのかと考えているのでしょう。スーツも着慣れていないのか
とてもソワソワした様子でもあります。私はカッコいいと思うのですが。
これはいつか見たいと言った執事姿もさぞ似合うに違いありませんっ!
・・・おっと失礼、またもや話が逸れてしまいましたね;
どうも初めての状況で私も浮かれていますね。しっかりしましょう。
今日この時を心置きなく楽しむには一人だけでは足りません、
まずは太一君の緊張を解いてあげないと!
麗
「太一君、オルテさんや姉さんの言う通り来たからには楽しみましょう?
ほら、何か食べたり誰かと話したりでリラックスしましょう、ね?」きゅっ
太一
「お、おう」
オルテ
「あらあら、話に聞いていたより仲睦まじくしているようじゃない?」
ヒララ
「そだね〜、ちょっと前までは手つなぎだって恥ずかしがってたのに。
やっぱエッチして気持ちが大きくなったのかな〜?♥」
お二人とも、ひそひそ話のつもりかもしれませんがまる聞こえですよ?
というかエッチはおろか手つなぎのくだりだって姉さんには
話していないはずなのですが?さてはお母さんが口を滑らせましたね;
姉さんからの通話でいつも長く話しているなとは思っていましたが全く;
それにしても失礼しちゃいますね、エッチしたからとか気が大きくなったから
とかではありませんよ?人を気遣う気持ちは昔ながら生まれながらに
持っているもので・・・
かくんっ
麗
「あうっ!?;」
ああでも気が大きくなっていたのは合っていた様ですね;
姉さんに『こういうのを履いたら大人っぽくみられるかもよ〜?♪』
と挑発、もといすすめられて履いてみたヒールですが
こんなことなら見栄を張らずにもう少し低めのものにしておけば良かったです。
ああ、これは思いっきり顔を打ってしまいますね・・・
だきっ
・・・あれ?
太一
「だ、大丈夫か?ヒール慣れてないんじゃないか?」
麗
「あ、ありがとうございます(赤)」
オルテ
「まぁ紳士的♪」
ヒララ
「ひゅ〜♪さっすが麗ちゃんの愛しのナイトくんだね♪」
太一
「変な茶化し方しないでください;ありゃ、麗ヒールが・・・」
麗
「え?ああそんな;」
ヒララ
「ありゃ〜、根元からイっちゃってるね;」
太一
「すいません、どっか靴をはきかえれる所ってありますか?」
オルテ
「ああ、あの建物に入れば替え用が
いくつか用意されてたと思うわ。
案内してあげようか?」
太一
「場所がわかれば大丈夫です、それじゃあ一度失礼します。
麗、足痛いとかないか?肩貸そうか?」
麗
「だ、大丈夫です大丈夫です(赤)
自分で歩けますから;すみませんすぐ戻りますので」
ヒララ
「いいよいいよ気にせずイチャイチャしてなって〜♪」
上手くいったみたいなしたり顔で何を言っているんですか?
オルテさんまで意地悪げなニヤニヤした笑顔を浮かべないでください全く;
〜履き替え完了〜
いやはやお恥ずかしいところを見せてしまいました;
言われた場所にて靴を履き替え会場へと戻ってきた現在、
おかげで先ほどよりは動きやすくはなったのですが
心なしか少し視界が低くなったような気がします。
うう、今私お子様のように見られているのではないでしょうか?
今度は私が場違いなのではという気持ちが大きくなってきました・・・
すっ・・・
麗
「あ・・・」
太一
「麗たちから言ってくれたんだろ?
こういう場なんだ楽しもうぜ?
ほ、ほら、お手をどうぞお嬢様(赤)」
あ、うわわっ!これアレですよね?
舞踏会のお誘いをする時などに見る動きですよね?
まさか太一君からやってもらえる日がこんなに早く来るだなんてっ!
麗
「・・・っ!も、もう、太一君ったら(赤)
今ご自分がスーツ姿なのを忘れているんですか?」
太一
「知っててやったんだよ、ガラじゃなかったか?」
麗
「その逆ですよ、似合いすぎですよもう。
他の女の子にやらないでくださいね?」きゅ
不思議なものですね、自分から握った時はそれ程でもなかったのに
握ってもらえると先程までの不安なんか吹き飛んで
安心するという気持ちでいっぱいになっていきます。
いつかこうやって太一君と一緒に、なんて(赤)
ん?何だか視線を感じるような・・・
『ママ〜、あの人たちとってもラブラブだよ?』
『そうね〜、とっても仲良しね〜♪』
『あのこたちもカップルなのかな〜?』
『オルテたちに負けてないんじゃな〜い?』
うぅ、それはそうですよね;ここは祝い事の場なのです。
たくさんの人の目に入っても何らおかしなことではありません。
何だか久しぶりの感覚といいますか学校などで散々味わった感覚といいますか;
ヒララ
「二人とも〜?オルテたちが主役の日なんだよ〜?
ラブラブさで目立つのはアレじゃな〜い?」ニヤニヤ
麗
「め、目立ちたくて目立ったわけじゃあ・・・」
ヒララ
「はいはい、わかってるって♪あ、そろそろお待ちかねの時間じゃない?」
姉さんが楽しそうに目を向けた先には
小さめの花束を持ったオルテさんと、
その周りでソワソワし始まる人たちの姿が。
そういえば式が終わった直後にはなかったですね。
なるほどこのタイミングでしたか。
結婚式で楽しみにされる催しといえば
やはり『コレ』と思う人が多いのではないでしょうか?
オルテ
「さぁ、みんなお待ちかねのブーケトスよ♪
次に幸せになるのは誰かしら〜?」
「私よ〜!」
「ワタシワタシ!」
「こっちに投げて〜!」
ヒララ
「あはは、みんな大興奮だね♪」
麗
「あの、姉さん?もしかして参加するつもりじゃ・・・」
ヒララ
「まっさかぁ♪もし私の方に飛んできてもそん時は麗にパスしたげるよ♪」
麗
「そ、そんな形で手にしても喜べません;」
ヒララ
「そーお?じゃ、麗が張り切んなきゃだね♪ホラ来るよ?」
オルテ「行くわよ〜?そ〜れっ!」
「「「わ〜〜〜っ!!!」」」
空高く放り投げられた花束をみな一様に手を伸ばしています。
確か飛んだり、魔法で引き寄せるのはダメでしたよね?
となるとち、んん、背の低い私では皆さんを差し置いて
というのは難しい気がしてくるのですが、
(あれ、でもこの軌道ですと・・・)
ぽすっ
麗「あっ」
太一「おっ」
ヒララ「あら」
オルテ「まぁ」
何という偶然というか幸運というか
適当に放り投げられたはずのブーケは
吸い込まれるかのように他の皆さんよりは
そこまで手を伸ばせていなかったはずの
私の手元にぽすっと収まるように落ちてきました。
「おめでと〜!」
「いいな〜」
「隣の子とかな〜?」
周囲の皆さんからオルテさん達の時にも負けない位の
惜しみない祝福の声と拍手をいただいてしまいました。
う、う〜ん;よろしいのでしょうか?
あれだけ一生懸命手を伸ばしていた皆さんではなく
こんな棚からぼた餅同然で手にした私が
ここまで祝ってもらえるなんて;
太一
「あ〜はは;俺らの結婚式みたいにになってねぇか?」
麗
「ダ、ダメですよ;オルテさんたちの式なんですから」
太一
「いやや、わかってるけど、さ?
そのぉ、オルテさんたちからも言われてたし、
折角だしもうちょっとそれっぽくしてみないか?」
麗
「?、それっぽくっt(ぐっ)あっ・・・」
・・・ちゅっ
太一
「(すっ)ち、誓いのキス、な〜んつって・・・(赤)」
『『『きゃ〜〜〜っ!!♥♥♥』』』
太一君からのキス、そして大勢からの祝福・・・
ふふ、この状況も久しぶりですね。
でも今度は恥ずかしいとかそんな気持ちは・・・
全くないとは言えませんね;
お顔どころか全身が熱いです、
私きっと太一君に負けないくらい真っ赤になっています。
「あ〜、この感じ前にもあったな(赤)」
「そ、そうですね(赤)」
どうにも私たちの恋路はたくさんの人に
見られがちというか祝福されがちといいますか;
でも不思議なもので、いえ経験を重ねたからでしょう。
恥ずかしい以上に、嬉しいという気持ちが大きくなってきた気がします。
「おあついね〜♥」
「君たちもお幸せにね〜♥」
「私たちも負けていられないわね〜♪」
麗
「・・・ふふ」
太一
「麗?」
麗
「『本番』、楽しみにしていますね?」
太一
「・・・っ!お、おう(真っ赤)」ふい
あらあら、太一君ったらお顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまいました。
私、そんなに恥ずかしいこと言いましたかね?
(あー、目ぇそらしてるの変に思われてるかもなぁ。
でもだってさぁ?ブーケ持ってそれっぽいドレス姿で
そんなこと言われちゃったらさぁ、つい想像したというか
『そう』見えちゃったつうか・・・(赤))
「お幸せにね〜!」
「しっかりやれよ〜!」
「二人とも元気にな〜!」
雲ひとつない晴れ渡る青い空の下、
大勢の人から祝福を受けながら白のドレス姿と黒のタキシード姿で
微笑み合う一組の男女の姿、ああ、なんて美しい光景でしょう。
六月某日、私たちはとある結婚式および披露宴に参加しています。
そう、参加です。私と太一君のではありません。
いずれはとは考えてはいますが、うふふ・・・♥
おっと、話が逸れてしまいましたね;では誰のかというと・・・
???「ウララちゃ〜ん、久しぶり〜♪」
麗「オルテンシアさん、お久しぶりです」
オルテンシア(以下オルテ)
「オルテで良いって♪見ない間に一段と可愛くなったね?
ドレス、似合ってるよ〜♪」なでなで
麗「あ、ありがとうございます(赤)」
比良々(以下ヒララ)
「あれれ〜?私よりも麗に会えた方が嬉しいのかな〜?」
オルテ
「もう、変なヤキモチやかないの;ヒララも久しぶりね?
来てくれて嬉しいわ♪ヒララのドレスもかわいいよ〜♪」ぎゅ〜っ
ヒララ
「あははありがと、ここまでしてくれとは言ってないんだけどな;
こういうのは彼氏、ああいや旦那さんにしてあげなって」
姉さんの大学時代の友人でサキュバスの『オルテンシア・ポーラ』さんと
その恋人の『西条 橙矢(さいじょう とうや)』さん。
こちらのお二人の式にお呼ばれしてやって参りました。
本来は姉さんとその、夫さんやお嫁さん仲間が呼ばれていたそうなのですが、
『服役中』ということもあって全員は、特に夫さんは婚礼の場には呼べないだろう
ということで姉さんが代わりにと誘ってきたのが私ともう一人・・・
太一
「あの、やっぱり俺は場違いなんじゃ;」
ヒララ
「な〜に言ってんの?我が愛しの妹のフィアンセでしょ?
見学してきなって♪モチロン楽しんでってもOKだからね♪」
オルテ
「それヒララが決めることじゃないでしょ?でもまぁそうね、
変に気をつかわなくっていいから存分に楽しんでいってねタイチくん♪」
太一
「う、うす・・・」
二人に歓迎されながらも太一君はまだバツの悪そうな様子を見せています。
おそらくオルテさんや姉さんと深く関わりのない自分がこの場に
居ていいのかと考えているのでしょう。スーツも着慣れていないのか
とてもソワソワした様子でもあります。私はカッコいいと思うのですが。
これはいつか見たいと言った執事姿もさぞ似合うに違いありませんっ!
・・・おっと失礼、またもや話が逸れてしまいましたね;
どうも初めての状況で私も浮かれていますね。しっかりしましょう。
今日この時を心置きなく楽しむには一人だけでは足りません、
まずは太一君の緊張を解いてあげないと!
麗
「太一君、オルテさんや姉さんの言う通り来たからには楽しみましょう?
ほら、何か食べたり誰かと話したりでリラックスしましょう、ね?」きゅっ
太一
「お、おう」
オルテ
「あらあら、話に聞いていたより仲睦まじくしているようじゃない?」
ヒララ
「そだね〜、ちょっと前までは手つなぎだって恥ずかしがってたのに。
やっぱエッチして気持ちが大きくなったのかな〜?♥」
お二人とも、ひそひそ話のつもりかもしれませんがまる聞こえですよ?
というかエッチはおろか手つなぎのくだりだって姉さんには
話していないはずなのですが?さてはお母さんが口を滑らせましたね;
姉さんからの通話でいつも長く話しているなとは思っていましたが全く;
それにしても失礼しちゃいますね、エッチしたからとか気が大きくなったから
とかではありませんよ?人を気遣う気持ちは昔ながら生まれながらに
持っているもので・・・
かくんっ
麗
「あうっ!?;」
ああでも気が大きくなっていたのは合っていた様ですね;
姉さんに『こういうのを履いたら大人っぽくみられるかもよ〜?♪』
と挑発、もといすすめられて履いてみたヒールですが
こんなことなら見栄を張らずにもう少し低めのものにしておけば良かったです。
ああ、これは思いっきり顔を打ってしまいますね・・・
だきっ
・・・あれ?
太一
「だ、大丈夫か?ヒール慣れてないんじゃないか?」
麗
「あ、ありがとうございます(赤)」
オルテ
「まぁ紳士的♪」
ヒララ
「ひゅ〜♪さっすが麗ちゃんの愛しのナイトくんだね♪」
太一
「変な茶化し方しないでください;ありゃ、麗ヒールが・・・」
麗
「え?ああそんな;」
ヒララ
「ありゃ〜、根元からイっちゃってるね;」
太一
「すいません、どっか靴をはきかえれる所ってありますか?」
オルテ
「ああ、あの建物に入れば替え用が
いくつか用意されてたと思うわ。
案内してあげようか?」
太一
「場所がわかれば大丈夫です、それじゃあ一度失礼します。
麗、足痛いとかないか?肩貸そうか?」
麗
「だ、大丈夫です大丈夫です(赤)
自分で歩けますから;すみませんすぐ戻りますので」
ヒララ
「いいよいいよ気にせずイチャイチャしてなって〜♪」
上手くいったみたいなしたり顔で何を言っているんですか?
オルテさんまで意地悪げなニヤニヤした笑顔を浮かべないでください全く;
〜履き替え完了〜
いやはやお恥ずかしいところを見せてしまいました;
言われた場所にて靴を履き替え会場へと戻ってきた現在、
おかげで先ほどよりは動きやすくはなったのですが
心なしか少し視界が低くなったような気がします。
うう、今私お子様のように見られているのではないでしょうか?
今度は私が場違いなのではという気持ちが大きくなってきました・・・
すっ・・・
麗
「あ・・・」
太一
「麗たちから言ってくれたんだろ?
こういう場なんだ楽しもうぜ?
ほ、ほら、お手をどうぞお嬢様(赤)」
あ、うわわっ!これアレですよね?
舞踏会のお誘いをする時などに見る動きですよね?
まさか太一君からやってもらえる日がこんなに早く来るだなんてっ!
麗
「・・・っ!も、もう、太一君ったら(赤)
今ご自分がスーツ姿なのを忘れているんですか?」
太一
「知っててやったんだよ、ガラじゃなかったか?」
麗
「その逆ですよ、似合いすぎですよもう。
他の女の子にやらないでくださいね?」きゅ
不思議なものですね、自分から握った時はそれ程でもなかったのに
握ってもらえると先程までの不安なんか吹き飛んで
安心するという気持ちでいっぱいになっていきます。
いつかこうやって太一君と一緒に、なんて(赤)
ん?何だか視線を感じるような・・・
『ママ〜、あの人たちとってもラブラブだよ?』
『そうね〜、とっても仲良しね〜♪』
『あのこたちもカップルなのかな〜?』
『オルテたちに負けてないんじゃな〜い?』
うぅ、それはそうですよね;ここは祝い事の場なのです。
たくさんの人の目に入っても何らおかしなことではありません。
何だか久しぶりの感覚といいますか学校などで散々味わった感覚といいますか;
ヒララ
「二人とも〜?オルテたちが主役の日なんだよ〜?
ラブラブさで目立つのはアレじゃな〜い?」ニヤニヤ
麗
「め、目立ちたくて目立ったわけじゃあ・・・」
ヒララ
「はいはい、わかってるって♪あ、そろそろお待ちかねの時間じゃない?」
姉さんが楽しそうに目を向けた先には
小さめの花束を持ったオルテさんと、
その周りでソワソワし始まる人たちの姿が。
そういえば式が終わった直後にはなかったですね。
なるほどこのタイミングでしたか。
結婚式で楽しみにされる催しといえば
やはり『コレ』と思う人が多いのではないでしょうか?
オルテ
「さぁ、みんなお待ちかねのブーケトスよ♪
次に幸せになるのは誰かしら〜?」
「私よ〜!」
「ワタシワタシ!」
「こっちに投げて〜!」
ヒララ
「あはは、みんな大興奮だね♪」
麗
「あの、姉さん?もしかして参加するつもりじゃ・・・」
ヒララ
「まっさかぁ♪もし私の方に飛んできてもそん時は麗にパスしたげるよ♪」
麗
「そ、そんな形で手にしても喜べません;」
ヒララ
「そーお?じゃ、麗が張り切んなきゃだね♪ホラ来るよ?」
オルテ「行くわよ〜?そ〜れっ!」
「「「わ〜〜〜っ!!!」」」
空高く放り投げられた花束をみな一様に手を伸ばしています。
確か飛んだり、魔法で引き寄せるのはダメでしたよね?
となるとち、んん、背の低い私では皆さんを差し置いて
というのは難しい気がしてくるのですが、
(あれ、でもこの軌道ですと・・・)
ぽすっ
麗「あっ」
太一「おっ」
ヒララ「あら」
オルテ「まぁ」
何という偶然というか幸運というか
適当に放り投げられたはずのブーケは
吸い込まれるかのように他の皆さんよりは
そこまで手を伸ばせていなかったはずの
私の手元にぽすっと収まるように落ちてきました。
「おめでと〜!」
「いいな〜」
「隣の子とかな〜?」
周囲の皆さんからオルテさん達の時にも負けない位の
惜しみない祝福の声と拍手をいただいてしまいました。
う、う〜ん;よろしいのでしょうか?
あれだけ一生懸命手を伸ばしていた皆さんではなく
こんな棚からぼた餅同然で手にした私が
ここまで祝ってもらえるなんて;
太一
「あ〜はは;俺らの結婚式みたいにになってねぇか?」
麗
「ダ、ダメですよ;オルテさんたちの式なんですから」
太一
「いやや、わかってるけど、さ?
そのぉ、オルテさんたちからも言われてたし、
折角だしもうちょっとそれっぽくしてみないか?」
麗
「?、それっぽくっt(ぐっ)あっ・・・」
・・・ちゅっ
太一
「(すっ)ち、誓いのキス、な〜んつって・・・(赤)」
『『『きゃ〜〜〜っ!!♥♥♥』』』
太一君からのキス、そして大勢からの祝福・・・
ふふ、この状況も久しぶりですね。
でも今度は恥ずかしいとかそんな気持ちは・・・
全くないとは言えませんね;
お顔どころか全身が熱いです、
私きっと太一君に負けないくらい真っ赤になっています。
「あ〜、この感じ前にもあったな(赤)」
「そ、そうですね(赤)」
どうにも私たちの恋路はたくさんの人に
見られがちというか祝福されがちといいますか;
でも不思議なもので、いえ経験を重ねたからでしょう。
恥ずかしい以上に、嬉しいという気持ちが大きくなってきた気がします。
「おあついね〜♥」
「君たちもお幸せにね〜♥」
「私たちも負けていられないわね〜♪」
麗
「・・・ふふ」
太一
「麗?」
麗
「『本番』、楽しみにしていますね?」
太一
「・・・っ!お、おう(真っ赤)」ふい
あらあら、太一君ったらお顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまいました。
私、そんなに恥ずかしいこと言いましたかね?
(あー、目ぇそらしてるの変に思われてるかもなぁ。
でもだってさぁ?ブーケ持ってそれっぽいドレス姿で
そんなこと言われちゃったらさぁ、つい想像したというか
『そう』見えちゃったつうか・・・(赤))
24/07/17 23:58更新 / うたたねこっくりk
戻る
次へ