4章
(次は港町・・・イバラ〜イバラ〜24時間バスの旅お疲れ様でした)
アナウンスが終わると直ぐに止りケンタウロスバスから降り、色々な魔物娘が降りて行くと最後にカラステングのリニッシュと彩登が降りる。
「大丈夫彩登君?」
真っ青な顔でバスから降りる彩登。
「大丈夫じゃない・・・あんなに揺れてしかもスピードも早いし・・・もうリバース寸前なんだよ・・・うぷ」
「ってこんな往来でリバースだけはダメですよ!」
「む、無理・・・」
彩登がリバースしようとしたその時。
「おいこれに出せ」
どこの誰か知らない女性に渡された袋にリバースする彩登。
「よほど我慢してたんだな・・・」
「そうみたいですね、あ、ありがとうございます」
「いいって気にすんな困った時はお互い様ってな・・・じゃな」
意気揚々と港の方角に進む女性。
「ああ・・・ちょっとスッキリした」
「そうですか」
「さっきの人は?」
「もう行きましたよ」
「そうか俺もお礼言いたっかたな」
「ひょっとしたら、港に行けば会えるかもしれませんよ?さっきの人港の方へ行きましたし」
「そ、そうか・・・う」
再びリバースする彩登。
「と、とりあえずもう少し落ちついてから行きましょうか」
「ああ・・・そうしてくれ」
適当にベンチを見つけ座り酔いを覚めるまで座るのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
酔いも無くなり、港の方へ行くと色々な魔物娘が魚を売ってたり、船に乗る切符を売ってたりしている。
「それで、リニッシュさんの知り合いってどんな人?」
「知り合いというより、私の所属する空間調査部の一員なんですよ」
「へ〜」
「まぁすぐに見つかると思うんですが・・・」
辺りを見渡すとバサバサと飛んで近づいてくる人(?)がいた。
「ららら〜リニッシュさ〜ん見つけま〜し〜た〜♪」
身体は人だが足は鳥の爪、腕は翼の少女がぺこりとお辞儀する。
「ルンドさんごめんなさい遅くなって」
「いえいえお気になさらずに〜♪ちょうど知り合いも船に戻ってきたところなので〜♪・・・こほん駄声で失礼ところでそちらの方は?」
リニッシュのとなりにいた彩登を物珍しそうに見るルンド。
「あ、この人は私の助手なんですよまだ入って間もないので今回同行させました」
「そうですか、初めまして私はルンドですどうぞよろしく」
翼を差し出し、握手を求めるルンド。
「お・・・わ、私は彩登っていいます」
そして彩登も手を出し握手する。
「彩登さんですかなかなか面白い音色が聴こえてきそうです、では付いて来てください知り合いが待ってます」
歩いて道案内をするルンド。
「よかったですね徒歩で」
「ほっといてくれ」
歩いてルンドについて行く彩登とリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「テ・キーラさ〜ん♪お待たせしました〜」
ルンドに連れられて船着き場に行くと彩登にエチケット袋をくれた女性がいたただし上半身は人間、下半身はタコのスキュラ娘だった。
「ゴクゴク・・・おうルンド遅かったな・・・って何ださっきの」
「あ、貴女はあの時の」
「ああ〜さっきはありがとうございます」
「いいって気にすんなよ、にしても何の因果かね・・・ルンドの知り合いがあんた達とはね・・・さてまずは自己紹介だあたしはこの海賊船の船長スキュラのテ・キーラだよろしく」
「か、海賊!?」
「る、ルンドさん」
肩をたたき耳元で話すリニッシュ。
「知り合いが海賊なんて聞いてませんよ?」
「あ〜それは聞いてこなかったので言わなくてもいいと思いました」
「え〜」
「聞こえてるよ、なんだい海賊じゃ悪いのかい、うん?」
話し声が聞こえ文句を言うリニッシュを睨むテ・キーラ。
「あ、いえそういう訳では・・・ありません」
「まぁ・・・不安になるのはわかる、海賊だしな・・・だがなあんたらはこれから人魚の海に行くんだろう?あそこの海はなただでさえ気象が荒いんだぜ?行くか行かないはあんたたちしだいだ・・・どうする?」
気性が荒いと言われ怖くなるリニッシュ、しかしそれと反対に彩登の目は輝いていた。
「いいな荒い海か・・・冒険だな!」
「おう冒険だそっちは話がわかるな!」
「おお、俺行くぜ」
え!っという顔をするリニッシュ。
「ほほぅいい根性してんなぁ!気にいったぜガレノア杯(さかずき)用の器持ってこい!」
「アイアイサー船長ぉ」
ガレノアと呼ばれた少女は船の中に入る。
「杯?」
「おう、あたしはな気にいった奴とは杯を交わすって決めてんだ」
「おお生で杯を交わすのは私も始めて見ます」
ワクワクするルンドを見て彩登はそんなに珍しいものという事がわかる。
「う〜ん約束しましたし・・・ここでやめるのも・・・」
一方リニッシュを見るとまだ迷っているのがよくわかる、すると船の中から器と何かの飲み物が入った瓶を持ってきたガレノアが戻ってくる。
「持ってきやしたぁ」
「よし、へへへ」
「あの・・・その瓶の中身は?」
「うんこれか?これはな熟成させるとうまくなる牛乳だ」
「ぎゅ・・・牛乳?」
「ああ」
牛乳を杯に入れ終わり、その器を彩登に渡すテ・キーラ。
「あんた名前は?」
「お・・・私は彩登」
「彩登か・・・良い名だ彩登ここに杯を交わす」
器どうし合わせ、キンっと音が響き牛乳を飲む彩登とテ・キーラ。
「うぉ何だこれ・・・すげー味だ」
「はははそうだろ、言葉じゃ言えないような味だろう・・・でそっちは決めたか?」
リニッシュに目を向けるテ・キーラ、すると自棄になったリニッシュは。
「わかりました!私も覚悟決めてその海に行きます!」
「はははよく言った、ほれ手ェだしな」
手を出し器を受け取るリニッシュ。
「名前はリニッシュって言ったな、んじゃここに杯を交わす」
彩登同じように杯を交わすリニッシュ。
「何この牛乳本当にすごい味」
「ははは、さて彩登にリニッシュ今日からお前たちはあたしたちの仲間だ!歓迎するぜ、安心しなあんたたち二人は必ず人魚の海に連れていく、ガレノア風向き、海の調子はどうだ?」
「アイアイ船長ぉ風および海の調子が良好になる5分前でさぁー」
「いよっしゃ!二人とも乗り込みな出航だぁぁ!」
「「あ、アイアイサー」」
船に乗り込む彩登とリニッシュ、そして帆船に帆が張り始める。
「いいかいあんた達今から行くのは気象の荒い人魚の海だだがな恐れるんじゃないよ!なんたってあたしらは海賊なんだ!気象なんて怖くて海賊なんて出来はしないそうだろう!」
「「「おおおおお」」」
「「「お姉さまーーーー」」」
「「「一生ついていきま〜す!!」」」
「すげぇ気合いだなおい」
「そうですね・・・」
「そんじゃ・・・碇を上げて・・・」
すぅっと空気を吸うテ・キーラ。
「目指すは人魚の海!!出航!!」
碇を上げると同時に船は海へと旅発っていくのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
彩登とリニッシュが海に出ている頃カスミの館の住人達は昼食を食べていた。
「はぁ今頃彩登様達は海だっぺかな〜」
食堂でもしゃもしゃときゅうりを(3本目)食べていた。
「海ってどんなところなんでしょうね〜」
右隣に座っているのはユニコーンのリポアがゆっくりとご飯を食べていた。
「アキさ〜ん私たちも海行きましょうよ〜」
厨房にいるアキに話しかけるリポアしかし。
「・・・」
洗い物をしているアキだが手は動いていない。
「・・・はぁ・・・」
「なんか、ボーっとしてますね〜」
「だな〜」
すると天井からクノイチ、ウィーズが現れる。
「アキ様、アキ様しっかりしてください」
ボーっとしているとは、っとするアキ。
「す、す、すみません・・・私考え事をしていましたら・・・ああ、水道代がもったいないですぅぅぅ」
慌てて蛇口を捻り水を止めるアキ。
「ど、どのくらい流れてました?」
不安げになりながらウィーズに聞いてみるアキ。
「10分と54秒ずっと流れてました。
きっぱり言うとアキの猫耳がしゅんっと下がる。
「あうぅ・・・」
完全に落ち込んだアキは厨房に出て食堂を出る。
「・・・あれはじゅーしょーですねぇ」
「そ、そうなのけ?オラまだ入って間もないけど・・・あれは重症っけ?」
「そうねあれは重症ね」
返却口に皿を返す提灯おばけのミズホ。
「アキってあんまり考え事なんてしないし、ため息も出ないいい子なのよ?あんなアキを見るのは私も初めてよ」
「そうなんか・・・」
ミズホとリポアそしてオトネはう〜んっと考え込む。
「そんなの決まっているじゃないか」
いつの間にいたのか、食堂のすぐ横の壁に立ち持たれながら本を読むラズべリアの姿があった。
「ほほぅお前にはわかるのかラズべリア」
「まぁ肯定できないけどね」
本を閉じ真剣な目で言う。
「ずばり・・・アキさんは今恋に焦がれれているんだよ」
数分の沈黙・・・そしてその沈黙を破ったのは意外にもウィーズだった。
「は・・・ははは何を申せば・・・こ、恋だと!?」
「ああ」
「ふん!バカなことを言うのも休み休みにしろそんな事があるわけないだろう?」
「ああ、だから肯定できないと言っただろう?」
「あの〜恋ってなんです〜?」
「鯉は魚だっぺ、鯉こくって言う料理があってすごくおいしいっぺ」
「いやその鯉じゃないから・・・恋ってあれでしょう?えっと・・・愛し合う・・・事?」
「ああ、正確には他者に好意を抱く事だよ」
「ふん、バカバカしい」
厨房へ入りアキの残した皿を洗い始める。
「私はそんなこと信じなからな、アキ様に限ってそんな事があるはずがない」
「キミは頑固だな」
そういって食堂を出るラズべリア。
「って言うかラズべリア何しにきたのよ・・・」
「ああ、海鈴様どうか・・・どうか彩登様を守ってくおくんだまし」
「そしてあんたは何神頼みしてんのよ」
そして一同は各自部屋に戻ったり外に行ったりして解散したのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
船で揺られ雑用部屋に用意されたベットに横たわるリニッシュっと彩登。しかしリニッシュはげんなりな表情をしていた。
「うう・・・普段から船に乗って・・・船酔い対策をしておけばよかったですね・・・ふ、ふふふ」
不気味に笑うリニッシュを横目でリニッシュを見る彩登。
「大丈夫ですかリニッシュさん」
「ええ・・・これくらい余裕のよッちゃんですよ」
内心絶対大丈夫じゃないなと悟る彩登。
「ていうか彩登君は平気なんですか?」
「俺?俺はほら出すものを出しましたし」
「うう・・・確かに豪快にリバースしてましたね・・・うぷ」
エチケット袋を懐から出しリニッシュに渡し直ぐに離れる彩登。
「ちょっと何おぶつを見て直ぐに離れるようなことしてるんです!?私傷つきまし・・・う・・・おえーーー」
傷つきましたと言おうとすると案の定リバースするリニッシュ。それを見てはいけないと思い片手で両目を隠す彩登。
「だ、大丈夫ですかリニッシュさん?」
リバースが終わったかを確認する彩登。
「え・・・ええ・・・少しスッキリしました」
「そりゃよかった」
ゴミ箱にリバースした袋を捨てるリニッシュするとそれと同時にノック音が聴こえてくる。
「お二人さぁ〜んちょっといいですかい?」
「は、は〜い」
直ぐに雑用部屋の扉を開けるとガレノアと呼ばれる少女がいた。
「船長が呼んでいるんであっしについて来てくだせぇあちなみにあっしはサハギンのガレノアっていいやす以後お見知りおきを」
やる気があるのかないのか分からないトーンでお辞儀をするガレノア。
「それじゃああっしについて来てくだせぃ」
雑用室から出てガレノアについていく二人。
「お二人は・・・人魚の海に何しに行くでさぁ?」
不意にガレノアが立ち止まり不意に彩登とリニッシュを見る。
「え・・・えっと」
「か…観光!そう観光なんだ」
「・・・」
若干無理のあるいいわけでジィーっと彩登を見つめるガレノア。
「・・・なるほど面白れぇなあんた」
「ははは・・・ど・・・どうも」
苦笑いして誤魔化せたっと思いたい彩登そして再び歩き出すガレノア。すると肩をたたかれリニッシュに目を向け彩登に耳打ちする。
(今の言い訳は少しどうかと思いますが)
(仕方無いじゃないですか他にいい訳が思いつかなかったんですから)
はぁっとため息をつき不安になっていくリニッシュ。
※ ※ ※ ※ ※ ※
コンコンッと船長室をノックするガレノア。
「船長ぉ連れてきやした」
『おう、ガレノア連れて来たか彩登、リニッシュ入れ』
「じゃあ、あっしはこれで」
そういっててくてくと歩いて立ち去るガレノア。
「・・・ごく失礼します」
生唾を飲んで扉をあけると椅子に掛け机に足をおいているテ・キーラがいた。
「おうよく来たな、立ち話もなんだ入って来い」
船長室には一人用の椅子とテーブルソファがあり二人はソファに座る。
「ゴクゴクぷは・・・どうだいリニッシュあんたも酒くらいは飲めるだろう?」
差し出されるお酒だが彩登は不意にこれって間接キスでは?と思ってしまうがすぐ正気になる。
「ごめんなさい私仕事中はお酒は飲まないと決めてますので」
きっぱり断るリニッシュすると少しがっかりするテ・キーラ。
「んだよつまんねぇな・・・まぁそんな事はいいんだ」
足をテーブルに置くのをやめ、普通に座ると真剣な目をするテ・キーラ。
「お前たちをここに呼んだのはな・・・そろそろ隠し事はなしにしようや」
ドキッとする二人、幸い顔には出てなく悟られてはいないみたいであった。
「もしここで嘘をつくと・・・」
「う、嘘をつくと?」
「そうだな、まず人魚の海に連れて行って、両手両足を縛って海に突き落とす」
笑っているが本気で言っているのがわかる。
「・・・」
「だが安心しな本当の事を言うならちゃんと人魚の海に連れていくし、もし話してまずい事でも誰にも言わねぇ」
どうやら嘘は通じない事を言葉でわかる。
「本当に言わないって言うなら・・・話します」
「彩登君!?」
「はははお前は本当にバカ正直だな、だがそれが一番いい判断だ」
「・・・私もあきれてもう言葉にできないわ」
「大丈夫だってリニッシュさんは少なくても信用できる人だ」
「・・・それもそうですね」
完全に諦めるリニッシュ。
「じゃあ話しますけど・・・驚かないでくださいね?」
「当り前だあたしをなんだと思ってんだ」
ゴクゴクっと酒を飲むテ・キーラ。
「えっととりあえず俺、この世界の人間じゃありません」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥっと豪快に酒を吹くテ・キーラ。
「・・・」
吹いた先に彩登がいたの言うまでもない。
「この世界の人間じゃないだって?じゃあ何だいあんたは別の世界から来たってことかい」
「そうなります」
嘘だと思うが彩登の目は真剣だったので嘘じゃない事はすぐに分かったテ・キーラ。
「そうか・・・別の世界の人間か・・・まぁ信じるしかないか」
「し、信じてくれるのか?こんな嘘のような事を」
「まぁ信じるしかないだろ?嘘は言ってないんだからな」
「よかったですね彩登君」
「・・・ああ」
「よし・・・さて・・・んじゃそろそろ頃あいか」
おもむろに立ちあがるテ・キーラ、そして船の連絡網ようの配管を開ける。
「お前たちよく聞け!!いまから最短で人魚の海に行くぞ」
配管からアイアイサーという声が聞こえてくるのがわかる。
「さてと・・・ちょっと付いてきな」
?マークを頭に浮かべながら部屋を出るテ・キーラについていく。
「実はな彩登お前には乗って欲しいもんがあるんだ」
「乗って欲しいもの?」
「ああそうだ、これにな」
ついていって船の倉庫に着くと、ガレノアがいた。
「船長ぉ私疲れました」
「あれは出したか?」
「そこに置いてあるでしょう」
ガレノアが指をさす方に目をやると球体で一人乗り用のミニ潜水艦があった。
「これは?」
「ミニ潜水艦、Q君だ」
「おいおい球体だからってその名前はないんじゃ・・・」
「んじゃ・・・ボー×?」
「それは著作権的にダメだと思う・・・ええいもうQ君でいい」
もう色々突っ込む彩登。
「それでこれがなんなんです?まさかこれに乗って海の中に入れって言うんじゃ・・・」
「そうだ」
あっさり答えるテ・キーラ。
「あたしやガレノアはこのまま海に入れる・・・がリニッシュ、彩登は海には入れるが息は持たないだろう?」
言われてみればそうだ海にいくとは言っても海に行くだけじゃダメだと今更気付いた彩登。
「そこでこれだ、このQ君に乗って海底に入るそしてあんたのお目当てを探す簡単だろう?」
「確かにそうだけど・・・これ動くのか?」
「・・・」
何故か黙るテ・キーラ。
「・・・さぁ?」
「おい!ふざけんなよさぁってなんだよさぁって!」
「い・・・いやこれ中古で売っててな面白そうだったんで買ったんだ」
「これ買ったのか!?落ちてたり、海底で拾ったりしてないのかよ」
「てへ(ガレノア)」
「お前が答えるな!!」
「まぁいいじゃねぇか中古で買っただけで一回も使ってないし」
「しかも使ってないのかよ・・・」
はぁっとため息をつく彩登。
「大丈夫よ彩登君私は君を信じてるから」
がしっと肩を持つリニッシュ。
「だから頑張って海の中に行って来てください!」
屈託のない笑顔で頑張って行って来てと言ってるように彩登は思った。
「ふ・・不安だ・・・不安しかねぇ」
顔を引きつる彩登、すると海賊員の一人が走ってこっちに来る。
「頭!人魚の海の数キロ手前に着きました!」
「よし、碇を下すように言うんだ」
アイアイサーと言って海賊員は走っていく。
「さて・・・そんじゃ甲板に行こうか」
「人魚の海にはいかないのか?」
彩登の疑問にテ・キーラは。
「そりゃ甲板にでりゃわかる」
どういう事かわからずとりあえず、甲板へ行こうとすると。
「あ、Q君も忘れんなよ」
「・・・これも持っていくのかよ」
※ ※ ※ ※ ※ ※
Q君を持って甲板へ行く彩登とリニッシュとその他。甲板に着くと肉眼でもわかるくらいに海は荒れていた。
「どうだいここら辺でもギリギリな場所なんだが・・・わかっただろう、荒れているって意味が」
少し先の海だがその先は雷が鳴り渦もあり嵐も起こりそうにも見える。
「人魚の海・・・別名怒る海なんだがいつもあんな風に渦と雷が絶えない」
「確かに凄く荒れてますね・・・」
「けどここまで来たら後には引けない」
Q君をころがして運びそのまま海に落とすとそのまま彩登自身も海に落ちQ君にしがみつく。
「ここまで運んでくれてありがとうテ・キーラさん」
お礼を言ってQ君の船内に入ろうとすると。
「まちな、ガレノアお前彩登に付いてってやれ」
「え」
完全になんで私的な顔をするガレノア。
「文句は聞かないよ?それに海流の動きが一番にわかるだろう?お前が頼りだ」
頼りだという言葉にガレノアの目は大きくなる。
「し・・・仕方ありゃせんね・・・あっしが付いていきやす」
そういって海にダイブするガレノア。
「よろしくなガレノアさん」
「さんなんていりやせん、ガレノアって呼んでくだせぇ」
「わかったガレノア」
Q君に乗り込む彩登。その際に操縦方法を一通り教えてもらっているので動かそうとする。
「えっとこのペダルを・・・漕いでっと・・・」
ペダルを漕ぐと海に潜るQ君、そしてQ君が潜るのを見てガレノアも海に潜る。
「中古の潜水艦で大丈夫なんでしょうか?」
「さぁな・・・あたしたちは待つしかできないしな」
海の中を不安に見つめ二人が無事に戻る事を祈るテ・キーラとリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「すげー・・・甲板で見た時よりもずっと穏やかだ」
海に潜って辺りを見ると予想外に穏やかだった。
「安心するのは早いでさぁ・・・これから荒れ始めるんでさぁ」
「えマジかよ」
するとガレノアの予言通り右横から海流が押すように潜水艦を揺らす。
「うわぁ」
揺れながら何とか体制を戻す彩登。
「こりゃ想像以上かもな」
「想像以上?これからもっと荒れはてますぜぇ?」
「・・・はぁ?」
「あれはほんの序の口でさぁこれから荒れてきますぜぇ?」
するとその通り、海は右から左から海流が安定しない。
「く・・・これ本当にきついぜ」
するとQ君を持ちまっすぐに進むガレノア。
「が、ガレノア!」
「あっしが前に進めるようにQ君を抑えますぜぇ旦那ぁ」
「悪い助かる」
支えられつつ人魚の海に近づいていく彩登とガレノア、そして数十分後海流を抜ける事が出来た。
「・・・な、なんとか抜けたか・・・ガレノア大丈夫か?」
ふと、ガレノアが心配になりQ君の周りを見る彩登しかしガレノアの姿はなかった。
「おいおい・・・ガレノア・・・まさか海流に流されたんじゃ・・・」
心配になる彩登、しかし背後に忍び寄る影に気付くのが遅かった。
「?あれ・・・なんか進んでない・・・」
ペダルは動くが進んでいない事に気づくすると上から海水が漏れ入って来る。
「!?うぉぉぉ水が入って・・・って何かに捕まってるのかこれ」
辺りを見て原因を探すと、後ろに巨大な蟹がいた。
「な・・・か、蟹かあれ!?でかい・・・でかすぎるだろうってんな事言ってる場合じゃないまさか蟹がこのQ君をハサミで押しつぶそうとしてるのか?」
彩登の思っている事は当たっていたらしく、段々海水が上下から入りこみ彩登の胸の位置まで入って来る。
「や・・・やめてよして触らないでビビデ・バビデ・ブーってんなバカことしてる場合じゃねぇ脱出しなきゃ」
しかし脱出しようにも上下に抑えられているので脱出できない。
「く・・・くそ・・・ここまでかよ」
嘆く彩登、そしてQ君はハサミでつぶれた。
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告・・・ではないただのお・ま・け
「次回の鏡のような現代は、夏が来た旅にグルメに温泉特集視聴率は頂きです」
「って嘘はいけません」
「え・・・じゃあ美味しいラーメン屋さん特集ですね」
「違うでしょう」
「う〜ん・・・それじゃあ・・・」
「ていうかどちら様ですか?」
「私?それは次回のお・た・の・し・み」
「え!?あ・・・行っちゃいました・・・」
アナウンスが終わると直ぐに止りケンタウロスバスから降り、色々な魔物娘が降りて行くと最後にカラステングのリニッシュと彩登が降りる。
「大丈夫彩登君?」
真っ青な顔でバスから降りる彩登。
「大丈夫じゃない・・・あんなに揺れてしかもスピードも早いし・・・もうリバース寸前なんだよ・・・うぷ」
「ってこんな往来でリバースだけはダメですよ!」
「む、無理・・・」
彩登がリバースしようとしたその時。
「おいこれに出せ」
どこの誰か知らない女性に渡された袋にリバースする彩登。
「よほど我慢してたんだな・・・」
「そうみたいですね、あ、ありがとうございます」
「いいって気にすんな困った時はお互い様ってな・・・じゃな」
意気揚々と港の方角に進む女性。
「ああ・・・ちょっとスッキリした」
「そうですか」
「さっきの人は?」
「もう行きましたよ」
「そうか俺もお礼言いたっかたな」
「ひょっとしたら、港に行けば会えるかもしれませんよ?さっきの人港の方へ行きましたし」
「そ、そうか・・・う」
再びリバースする彩登。
「と、とりあえずもう少し落ちついてから行きましょうか」
「ああ・・・そうしてくれ」
適当にベンチを見つけ座り酔いを覚めるまで座るのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
酔いも無くなり、港の方へ行くと色々な魔物娘が魚を売ってたり、船に乗る切符を売ってたりしている。
「それで、リニッシュさんの知り合いってどんな人?」
「知り合いというより、私の所属する空間調査部の一員なんですよ」
「へ〜」
「まぁすぐに見つかると思うんですが・・・」
辺りを見渡すとバサバサと飛んで近づいてくる人(?)がいた。
「ららら〜リニッシュさ〜ん見つけま〜し〜た〜♪」
身体は人だが足は鳥の爪、腕は翼の少女がぺこりとお辞儀する。
「ルンドさんごめんなさい遅くなって」
「いえいえお気になさらずに〜♪ちょうど知り合いも船に戻ってきたところなので〜♪・・・こほん駄声で失礼ところでそちらの方は?」
リニッシュのとなりにいた彩登を物珍しそうに見るルンド。
「あ、この人は私の助手なんですよまだ入って間もないので今回同行させました」
「そうですか、初めまして私はルンドですどうぞよろしく」
翼を差し出し、握手を求めるルンド。
「お・・・わ、私は彩登っていいます」
そして彩登も手を出し握手する。
「彩登さんですかなかなか面白い音色が聴こえてきそうです、では付いて来てください知り合いが待ってます」
歩いて道案内をするルンド。
「よかったですね徒歩で」
「ほっといてくれ」
歩いてルンドについて行く彩登とリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「テ・キーラさ〜ん♪お待たせしました〜」
ルンドに連れられて船着き場に行くと彩登にエチケット袋をくれた女性がいたただし上半身は人間、下半身はタコのスキュラ娘だった。
「ゴクゴク・・・おうルンド遅かったな・・・って何ださっきの」
「あ、貴女はあの時の」
「ああ〜さっきはありがとうございます」
「いいって気にすんなよ、にしても何の因果かね・・・ルンドの知り合いがあんた達とはね・・・さてまずは自己紹介だあたしはこの海賊船の船長スキュラのテ・キーラだよろしく」
「か、海賊!?」
「る、ルンドさん」
肩をたたき耳元で話すリニッシュ。
「知り合いが海賊なんて聞いてませんよ?」
「あ〜それは聞いてこなかったので言わなくてもいいと思いました」
「え〜」
「聞こえてるよ、なんだい海賊じゃ悪いのかい、うん?」
話し声が聞こえ文句を言うリニッシュを睨むテ・キーラ。
「あ、いえそういう訳では・・・ありません」
「まぁ・・・不安になるのはわかる、海賊だしな・・・だがなあんたらはこれから人魚の海に行くんだろう?あそこの海はなただでさえ気象が荒いんだぜ?行くか行かないはあんたたちしだいだ・・・どうする?」
気性が荒いと言われ怖くなるリニッシュ、しかしそれと反対に彩登の目は輝いていた。
「いいな荒い海か・・・冒険だな!」
「おう冒険だそっちは話がわかるな!」
「おお、俺行くぜ」
え!っという顔をするリニッシュ。
「ほほぅいい根性してんなぁ!気にいったぜガレノア杯(さかずき)用の器持ってこい!」
「アイアイサー船長ぉ」
ガレノアと呼ばれた少女は船の中に入る。
「杯?」
「おう、あたしはな気にいった奴とは杯を交わすって決めてんだ」
「おお生で杯を交わすのは私も始めて見ます」
ワクワクするルンドを見て彩登はそんなに珍しいものという事がわかる。
「う〜ん約束しましたし・・・ここでやめるのも・・・」
一方リニッシュを見るとまだ迷っているのがよくわかる、すると船の中から器と何かの飲み物が入った瓶を持ってきたガレノアが戻ってくる。
「持ってきやしたぁ」
「よし、へへへ」
「あの・・・その瓶の中身は?」
「うんこれか?これはな熟成させるとうまくなる牛乳だ」
「ぎゅ・・・牛乳?」
「ああ」
牛乳を杯に入れ終わり、その器を彩登に渡すテ・キーラ。
「あんた名前は?」
「お・・・私は彩登」
「彩登か・・・良い名だ彩登ここに杯を交わす」
器どうし合わせ、キンっと音が響き牛乳を飲む彩登とテ・キーラ。
「うぉ何だこれ・・・すげー味だ」
「はははそうだろ、言葉じゃ言えないような味だろう・・・でそっちは決めたか?」
リニッシュに目を向けるテ・キーラ、すると自棄になったリニッシュは。
「わかりました!私も覚悟決めてその海に行きます!」
「はははよく言った、ほれ手ェだしな」
手を出し器を受け取るリニッシュ。
「名前はリニッシュって言ったな、んじゃここに杯を交わす」
彩登同じように杯を交わすリニッシュ。
「何この牛乳本当にすごい味」
「ははは、さて彩登にリニッシュ今日からお前たちはあたしたちの仲間だ!歓迎するぜ、安心しなあんたたち二人は必ず人魚の海に連れていく、ガレノア風向き、海の調子はどうだ?」
「アイアイ船長ぉ風および海の調子が良好になる5分前でさぁー」
「いよっしゃ!二人とも乗り込みな出航だぁぁ!」
「「あ、アイアイサー」」
船に乗り込む彩登とリニッシュ、そして帆船に帆が張り始める。
「いいかいあんた達今から行くのは気象の荒い人魚の海だだがな恐れるんじゃないよ!なんたってあたしらは海賊なんだ!気象なんて怖くて海賊なんて出来はしないそうだろう!」
「「「おおおおお」」」
「「「お姉さまーーーー」」」
「「「一生ついていきま〜す!!」」」
「すげぇ気合いだなおい」
「そうですね・・・」
「そんじゃ・・・碇を上げて・・・」
すぅっと空気を吸うテ・キーラ。
「目指すは人魚の海!!出航!!」
碇を上げると同時に船は海へと旅発っていくのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
彩登とリニッシュが海に出ている頃カスミの館の住人達は昼食を食べていた。
「はぁ今頃彩登様達は海だっぺかな〜」
食堂でもしゃもしゃときゅうりを(3本目)食べていた。
「海ってどんなところなんでしょうね〜」
右隣に座っているのはユニコーンのリポアがゆっくりとご飯を食べていた。
「アキさ〜ん私たちも海行きましょうよ〜」
厨房にいるアキに話しかけるリポアしかし。
「・・・」
洗い物をしているアキだが手は動いていない。
「・・・はぁ・・・」
「なんか、ボーっとしてますね〜」
「だな〜」
すると天井からクノイチ、ウィーズが現れる。
「アキ様、アキ様しっかりしてください」
ボーっとしているとは、っとするアキ。
「す、す、すみません・・・私考え事をしていましたら・・・ああ、水道代がもったいないですぅぅぅ」
慌てて蛇口を捻り水を止めるアキ。
「ど、どのくらい流れてました?」
不安げになりながらウィーズに聞いてみるアキ。
「10分と54秒ずっと流れてました。
きっぱり言うとアキの猫耳がしゅんっと下がる。
「あうぅ・・・」
完全に落ち込んだアキは厨房に出て食堂を出る。
「・・・あれはじゅーしょーですねぇ」
「そ、そうなのけ?オラまだ入って間もないけど・・・あれは重症っけ?」
「そうねあれは重症ね」
返却口に皿を返す提灯おばけのミズホ。
「アキってあんまり考え事なんてしないし、ため息も出ないいい子なのよ?あんなアキを見るのは私も初めてよ」
「そうなんか・・・」
ミズホとリポアそしてオトネはう〜んっと考え込む。
「そんなの決まっているじゃないか」
いつの間にいたのか、食堂のすぐ横の壁に立ち持たれながら本を読むラズべリアの姿があった。
「ほほぅお前にはわかるのかラズべリア」
「まぁ肯定できないけどね」
本を閉じ真剣な目で言う。
「ずばり・・・アキさんは今恋に焦がれれているんだよ」
数分の沈黙・・・そしてその沈黙を破ったのは意外にもウィーズだった。
「は・・・ははは何を申せば・・・こ、恋だと!?」
「ああ」
「ふん!バカなことを言うのも休み休みにしろそんな事があるわけないだろう?」
「ああ、だから肯定できないと言っただろう?」
「あの〜恋ってなんです〜?」
「鯉は魚だっぺ、鯉こくって言う料理があってすごくおいしいっぺ」
「いやその鯉じゃないから・・・恋ってあれでしょう?えっと・・・愛し合う・・・事?」
「ああ、正確には他者に好意を抱く事だよ」
「ふん、バカバカしい」
厨房へ入りアキの残した皿を洗い始める。
「私はそんなこと信じなからな、アキ様に限ってそんな事があるはずがない」
「キミは頑固だな」
そういって食堂を出るラズべリア。
「って言うかラズべリア何しにきたのよ・・・」
「ああ、海鈴様どうか・・・どうか彩登様を守ってくおくんだまし」
「そしてあんたは何神頼みしてんのよ」
そして一同は各自部屋に戻ったり外に行ったりして解散したのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
船で揺られ雑用部屋に用意されたベットに横たわるリニッシュっと彩登。しかしリニッシュはげんなりな表情をしていた。
「うう・・・普段から船に乗って・・・船酔い対策をしておけばよかったですね・・・ふ、ふふふ」
不気味に笑うリニッシュを横目でリニッシュを見る彩登。
「大丈夫ですかリニッシュさん」
「ええ・・・これくらい余裕のよッちゃんですよ」
内心絶対大丈夫じゃないなと悟る彩登。
「ていうか彩登君は平気なんですか?」
「俺?俺はほら出すものを出しましたし」
「うう・・・確かに豪快にリバースしてましたね・・・うぷ」
エチケット袋を懐から出しリニッシュに渡し直ぐに離れる彩登。
「ちょっと何おぶつを見て直ぐに離れるようなことしてるんです!?私傷つきまし・・・う・・・おえーーー」
傷つきましたと言おうとすると案の定リバースするリニッシュ。それを見てはいけないと思い片手で両目を隠す彩登。
「だ、大丈夫ですかリニッシュさん?」
リバースが終わったかを確認する彩登。
「え・・・ええ・・・少しスッキリしました」
「そりゃよかった」
ゴミ箱にリバースした袋を捨てるリニッシュするとそれと同時にノック音が聴こえてくる。
「お二人さぁ〜んちょっといいですかい?」
「は、は〜い」
直ぐに雑用部屋の扉を開けるとガレノアと呼ばれる少女がいた。
「船長が呼んでいるんであっしについて来てくだせぇあちなみにあっしはサハギンのガレノアっていいやす以後お見知りおきを」
やる気があるのかないのか分からないトーンでお辞儀をするガレノア。
「それじゃああっしについて来てくだせぃ」
雑用室から出てガレノアについていく二人。
「お二人は・・・人魚の海に何しに行くでさぁ?」
不意にガレノアが立ち止まり不意に彩登とリニッシュを見る。
「え・・・えっと」
「か…観光!そう観光なんだ」
「・・・」
若干無理のあるいいわけでジィーっと彩登を見つめるガレノア。
「・・・なるほど面白れぇなあんた」
「ははは・・・ど・・・どうも」
苦笑いして誤魔化せたっと思いたい彩登そして再び歩き出すガレノア。すると肩をたたかれリニッシュに目を向け彩登に耳打ちする。
(今の言い訳は少しどうかと思いますが)
(仕方無いじゃないですか他にいい訳が思いつかなかったんですから)
はぁっとため息をつき不安になっていくリニッシュ。
※ ※ ※ ※ ※ ※
コンコンッと船長室をノックするガレノア。
「船長ぉ連れてきやした」
『おう、ガレノア連れて来たか彩登、リニッシュ入れ』
「じゃあ、あっしはこれで」
そういっててくてくと歩いて立ち去るガレノア。
「・・・ごく失礼します」
生唾を飲んで扉をあけると椅子に掛け机に足をおいているテ・キーラがいた。
「おうよく来たな、立ち話もなんだ入って来い」
船長室には一人用の椅子とテーブルソファがあり二人はソファに座る。
「ゴクゴクぷは・・・どうだいリニッシュあんたも酒くらいは飲めるだろう?」
差し出されるお酒だが彩登は不意にこれって間接キスでは?と思ってしまうがすぐ正気になる。
「ごめんなさい私仕事中はお酒は飲まないと決めてますので」
きっぱり断るリニッシュすると少しがっかりするテ・キーラ。
「んだよつまんねぇな・・・まぁそんな事はいいんだ」
足をテーブルに置くのをやめ、普通に座ると真剣な目をするテ・キーラ。
「お前たちをここに呼んだのはな・・・そろそろ隠し事はなしにしようや」
ドキッとする二人、幸い顔には出てなく悟られてはいないみたいであった。
「もしここで嘘をつくと・・・」
「う、嘘をつくと?」
「そうだな、まず人魚の海に連れて行って、両手両足を縛って海に突き落とす」
笑っているが本気で言っているのがわかる。
「・・・」
「だが安心しな本当の事を言うならちゃんと人魚の海に連れていくし、もし話してまずい事でも誰にも言わねぇ」
どうやら嘘は通じない事を言葉でわかる。
「本当に言わないって言うなら・・・話します」
「彩登君!?」
「はははお前は本当にバカ正直だな、だがそれが一番いい判断だ」
「・・・私もあきれてもう言葉にできないわ」
「大丈夫だってリニッシュさんは少なくても信用できる人だ」
「・・・それもそうですね」
完全に諦めるリニッシュ。
「じゃあ話しますけど・・・驚かないでくださいね?」
「当り前だあたしをなんだと思ってんだ」
ゴクゴクっと酒を飲むテ・キーラ。
「えっととりあえず俺、この世界の人間じゃありません」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥっと豪快に酒を吹くテ・キーラ。
「・・・」
吹いた先に彩登がいたの言うまでもない。
「この世界の人間じゃないだって?じゃあ何だいあんたは別の世界から来たってことかい」
「そうなります」
嘘だと思うが彩登の目は真剣だったので嘘じゃない事はすぐに分かったテ・キーラ。
「そうか・・・別の世界の人間か・・・まぁ信じるしかないか」
「し、信じてくれるのか?こんな嘘のような事を」
「まぁ信じるしかないだろ?嘘は言ってないんだからな」
「よかったですね彩登君」
「・・・ああ」
「よし・・・さて・・・んじゃそろそろ頃あいか」
おもむろに立ちあがるテ・キーラ、そして船の連絡網ようの配管を開ける。
「お前たちよく聞け!!いまから最短で人魚の海に行くぞ」
配管からアイアイサーという声が聞こえてくるのがわかる。
「さてと・・・ちょっと付いてきな」
?マークを頭に浮かべながら部屋を出るテ・キーラについていく。
「実はな彩登お前には乗って欲しいもんがあるんだ」
「乗って欲しいもの?」
「ああそうだ、これにな」
ついていって船の倉庫に着くと、ガレノアがいた。
「船長ぉ私疲れました」
「あれは出したか?」
「そこに置いてあるでしょう」
ガレノアが指をさす方に目をやると球体で一人乗り用のミニ潜水艦があった。
「これは?」
「ミニ潜水艦、Q君だ」
「おいおい球体だからってその名前はないんじゃ・・・」
「んじゃ・・・ボー×?」
「それは著作権的にダメだと思う・・・ええいもうQ君でいい」
もう色々突っ込む彩登。
「それでこれがなんなんです?まさかこれに乗って海の中に入れって言うんじゃ・・・」
「そうだ」
あっさり答えるテ・キーラ。
「あたしやガレノアはこのまま海に入れる・・・がリニッシュ、彩登は海には入れるが息は持たないだろう?」
言われてみればそうだ海にいくとは言っても海に行くだけじゃダメだと今更気付いた彩登。
「そこでこれだ、このQ君に乗って海底に入るそしてあんたのお目当てを探す簡単だろう?」
「確かにそうだけど・・・これ動くのか?」
「・・・」
何故か黙るテ・キーラ。
「・・・さぁ?」
「おい!ふざけんなよさぁってなんだよさぁって!」
「い・・・いやこれ中古で売っててな面白そうだったんで買ったんだ」
「これ買ったのか!?落ちてたり、海底で拾ったりしてないのかよ」
「てへ(ガレノア)」
「お前が答えるな!!」
「まぁいいじゃねぇか中古で買っただけで一回も使ってないし」
「しかも使ってないのかよ・・・」
はぁっとため息をつく彩登。
「大丈夫よ彩登君私は君を信じてるから」
がしっと肩を持つリニッシュ。
「だから頑張って海の中に行って来てください!」
屈託のない笑顔で頑張って行って来てと言ってるように彩登は思った。
「ふ・・不安だ・・・不安しかねぇ」
顔を引きつる彩登、すると海賊員の一人が走ってこっちに来る。
「頭!人魚の海の数キロ手前に着きました!」
「よし、碇を下すように言うんだ」
アイアイサーと言って海賊員は走っていく。
「さて・・・そんじゃ甲板に行こうか」
「人魚の海にはいかないのか?」
彩登の疑問にテ・キーラは。
「そりゃ甲板にでりゃわかる」
どういう事かわからずとりあえず、甲板へ行こうとすると。
「あ、Q君も忘れんなよ」
「・・・これも持っていくのかよ」
※ ※ ※ ※ ※ ※
Q君を持って甲板へ行く彩登とリニッシュとその他。甲板に着くと肉眼でもわかるくらいに海は荒れていた。
「どうだいここら辺でもギリギリな場所なんだが・・・わかっただろう、荒れているって意味が」
少し先の海だがその先は雷が鳴り渦もあり嵐も起こりそうにも見える。
「人魚の海・・・別名怒る海なんだがいつもあんな風に渦と雷が絶えない」
「確かに凄く荒れてますね・・・」
「けどここまで来たら後には引けない」
Q君をころがして運びそのまま海に落とすとそのまま彩登自身も海に落ちQ君にしがみつく。
「ここまで運んでくれてありがとうテ・キーラさん」
お礼を言ってQ君の船内に入ろうとすると。
「まちな、ガレノアお前彩登に付いてってやれ」
「え」
完全になんで私的な顔をするガレノア。
「文句は聞かないよ?それに海流の動きが一番にわかるだろう?お前が頼りだ」
頼りだという言葉にガレノアの目は大きくなる。
「し・・・仕方ありゃせんね・・・あっしが付いていきやす」
そういって海にダイブするガレノア。
「よろしくなガレノアさん」
「さんなんていりやせん、ガレノアって呼んでくだせぇ」
「わかったガレノア」
Q君に乗り込む彩登。その際に操縦方法を一通り教えてもらっているので動かそうとする。
「えっとこのペダルを・・・漕いでっと・・・」
ペダルを漕ぐと海に潜るQ君、そしてQ君が潜るのを見てガレノアも海に潜る。
「中古の潜水艦で大丈夫なんでしょうか?」
「さぁな・・・あたしたちは待つしかできないしな」
海の中を不安に見つめ二人が無事に戻る事を祈るテ・キーラとリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「すげー・・・甲板で見た時よりもずっと穏やかだ」
海に潜って辺りを見ると予想外に穏やかだった。
「安心するのは早いでさぁ・・・これから荒れ始めるんでさぁ」
「えマジかよ」
するとガレノアの予言通り右横から海流が押すように潜水艦を揺らす。
「うわぁ」
揺れながら何とか体制を戻す彩登。
「こりゃ想像以上かもな」
「想像以上?これからもっと荒れはてますぜぇ?」
「・・・はぁ?」
「あれはほんの序の口でさぁこれから荒れてきますぜぇ?」
するとその通り、海は右から左から海流が安定しない。
「く・・・これ本当にきついぜ」
するとQ君を持ちまっすぐに進むガレノア。
「が、ガレノア!」
「あっしが前に進めるようにQ君を抑えますぜぇ旦那ぁ」
「悪い助かる」
支えられつつ人魚の海に近づいていく彩登とガレノア、そして数十分後海流を抜ける事が出来た。
「・・・な、なんとか抜けたか・・・ガレノア大丈夫か?」
ふと、ガレノアが心配になりQ君の周りを見る彩登しかしガレノアの姿はなかった。
「おいおい・・・ガレノア・・・まさか海流に流されたんじゃ・・・」
心配になる彩登、しかし背後に忍び寄る影に気付くのが遅かった。
「?あれ・・・なんか進んでない・・・」
ペダルは動くが進んでいない事に気づくすると上から海水が漏れ入って来る。
「!?うぉぉぉ水が入って・・・って何かに捕まってるのかこれ」
辺りを見て原因を探すと、後ろに巨大な蟹がいた。
「な・・・か、蟹かあれ!?でかい・・・でかすぎるだろうってんな事言ってる場合じゃないまさか蟹がこのQ君をハサミで押しつぶそうとしてるのか?」
彩登の思っている事は当たっていたらしく、段々海水が上下から入りこみ彩登の胸の位置まで入って来る。
「や・・・やめてよして触らないでビビデ・バビデ・ブーってんなバカことしてる場合じゃねぇ脱出しなきゃ」
しかし脱出しようにも上下に抑えられているので脱出できない。
「く・・・くそ・・・ここまでかよ」
嘆く彩登、そしてQ君はハサミでつぶれた。
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告・・・ではないただのお・ま・け
「次回の鏡のような現代は、夏が来た旅にグルメに温泉特集視聴率は頂きです」
「って嘘はいけません」
「え・・・じゃあ美味しいラーメン屋さん特集ですね」
「違うでしょう」
「う〜ん・・・それじゃあ・・・」
「ていうかどちら様ですか?」
「私?それは次回のお・た・の・し・み」
「え!?あ・・・行っちゃいました・・・」
12/03/24 04:12更新 / さわ
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