3章
近くの川に足を運び魚釣りをする彩登。
「う〜ん・・・釣れないな」
かれこれ1時間も釣りをしているが何も釣れない。
「はぁ・・・あと1週間待たなきゃいけないのか・・・」
それは約1週間前に遡る。
※ ※ ※ ※ ※ ※
1週間前の夜・・・館の応接間で彩登が座る向かい側に空間異常調査部のリニッシュがいて、そしてお茶を出すアキ。
「そ、粗茶です」
「ありがとうアキちゃん」
彩登にも粗茶を置くと頭を頭を下げ退出して二人きりになる。
「ずず・・・さて貴方・・・この世界の人じゃありませんね」
リニッシュの目が彩登に向ける。
「・・・ああ」
短く答えれる彩登、そして確証があったのか湯呑を置くリニッシュ。
「やっぱり」
再び湯呑を持ちずずっとお茶を飲むリニッシュ。
「・・・それで俺はどうなるんだ?」
自分がこの世界の人間でない以上、もしかしたら連行され牢獄行きなのかと考えた彩登、ところが。
「そうですね・・・まぁ本来なら色々根掘り葉掘り聞きたいところなんですが・・・まぁどうでもいいですね」
「へ・・・」
予想外の答えに口が少し開く彩登。
「だって、別に貴方は私達に気害を出さなそうだし・・・」
「まぁ別に何かしてやろうとは思わないしそれに俺も早く元の世界に戻りたいし・・・何かしらないか?元の世界に戻る方法」
「そんなの知るはずないでしょう?私は空間の湾曲の調査が仕事で貴方の世界に戻る方法なんて知らないわ」
「そうだよな・・・」
はぁっとため息をだし、湯呑に入った茶をを飲む彩登。
「あ・・・いやあるとは考えられないし・・・」
何かを思い出したかのように声を出すリニッシュ。
「何か思い出したしました?」
「あ〜思い出したってっていうかもしかしたらって思っただけなんだけですが・・・人魚の海という海に住む本が好きなネレイスがいるという噂を聞いたんですよ」
「人魚の・・・海?」
「文字通り人魚が住む海です」
「そこに行けば何か情報が得られるのか?」
「確証はありませんけどね」
「・・・」
どうしようか悩む彩登。
「まぁ行くのも行かないのも貴方次第だし・・・」
「・・・よし俺行きます!人魚の海」
あっさり決断する彩登、その決断の早さに顔には出さずに驚くリニッシュ。
「そ・・・そう・・・でもどうやって行くの?」
「・・・あ・・・わからない」
はぁっとため息を吐くリニッシュ。
「行き方もわからない、船もないんですよね?」
「そうだったどうしよう・・・」
困る彩登の姿を見てリニッシュは考えた。
「仕方ありませんね・・・では空間異常調査の方から船を用意します」
「ほ、本当か!?ありがとう!!」
「ただし2つ条件があります」
「!?じょ・・・条件・・・」
「ええ」
「その条件ってなんだ?」
「条件は・・・」
つばを飲み込みその条件とは何か緊張する彩登。
「一つは私も同行させる事」
「・・・ど、同行なんで?」
「だって私が同行しないと、船に乗れないと思うし・・・」
「そ・・・そうか、それもそうだよな、それでもう一つの条件はなんだ?」
「もう一つは私もここに住む事です」
「・・・はぁ?なんでここに住む事がもう一つの条件なんだよ?」
「まぁいろいろ理由はあるんですが、一つは貴方の監視ですかね」
「俺の監視・・・?」
「ええ、貴方はこの世界ににとってイレギュラー・・・問題を起こされると困るんですよ」
あ〜っと思い納得する彩登。
「けど本音はアキの近くにいたいんだろう?」
「う・・・」
適当に言ったつもりがそれが本音だったとは彩登も思わなかった。
「こ、コホンと、とにかくとりあえず私は空間異常調査局に一度戻って船を借りられるか聞いてみるわ」
「ああ、わかった・・・でどのくらいかかる?」
「そうですね・・・早くて一週間、長くて二週間ってところですかね」
「・・・そ、そんなにかかるのかよ」
「もちろんこれから局に戻って、船を借りられるように説得します」
リニッシュの言葉にも一理ありと思い、こうして船を借りられる日まで待つことにした彩登であった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「もう1週間以上たつのか・・・アキさんには無理言って住まわせてもらってるし・・・母さん達心配してるかな」
はぁっとため息をつきながら竿を引き、餌があるかないかを確認して再び釣りを再開すると。
「調子はどうですの?香澄彩登」
街道の方へ顔を向けると、リザードマンのコハルが腕を組んで近づいてきた。
「見りゃわかるだろう、全然釣れない」
「本当ですわね何も入ってませんわ、まぁここの川の魚は釣れる時と、釣れない時がありますからお気になさらない事ね」
「そりゃあありがとさん」
再び餌がないか確認すると餌は付いたままだった。
(・・・少し上流の方に行ってみるか)
釣り道具をまとめ移動の準備する彩登。
「どちら行くつもりですの?」
「ちょっと上流の方に」
「なら私(わたくし)もご同行いたしますわ」
意外な事を言われ少し驚く彩登。
「あ、言っておきますがこの前の事が起きないように付いていくんです、勘違いなさらずに」
「・・・ですよね」
少しため息交じりに上流の方を歩き始める彩登とコハル。
(う〜んなんか話すべきかここは・・・といっても何話せばいいんだこういう時)
彩登は何か仲良くなれるような話題を考えながら歩きつつ、一方のコハルも。
(わ・・・私とした事が・・・何を話し話題を考えずに・・・はぁ)
彩登同じ事を考えていた。
(ってか女の子と会話なんていつ以来だろう・・・まぁ女の子というより魔物娘だが)
(そういえば香澄彩登と話すのはこれが初めてですわね・・・)
(まぁどっちにしても)
(この状況)
((気不味い・・・))
どう接したらいいかも分からずに沈黙が続くすると。
「あばぼわがぼがぼぼば」
上流の川から目を疑う光景を目にする二人。
「ってあの人溺れてる!助けなきゃ」
「助けるってここの川緩やかで別に助けなくても・・・」
コハルの言葉を無視して上着を脱ぎ川に飛び込み魔物娘を助けに行く彩登。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「う〜ん困りましたね・・・約束はしたものの・・・誰も貸してくれませんね・・・はぁ」
空間調査局に戻っていたリニッシュは困っていた、それは自分から大口を叩いたが未だに船借りられないでいたからだ。
「こうなったら・・・強硬手段をとるしか・・・」
「ららら〜どうかしましたか♪リニッシュさ〜ん♪」
不意に声ののする方へ向くと同じ空間調査の員の一人セイレーンのルンドが姿をを見せる。
「ららら〜・・・こほん駄声で失礼」
軽く一礼するルンドそれを見て少しため息を吐くリニッシュ。
「そんなことないと思いますが・・・はぁ」
「何か悩み事ですか?」
気休めになるかリニッシュは人魚の海に行くための船を探しているとルンドに話す。
「なるほど、人魚の海に行きたいんですか」
「ええ、ちょっと調査をしに行きたいんですが・・・なかなか」
「でしたら私の知り合いに頼んでみましょうか?」
目を丸くするリニッシュ。
「ほ、ほんとう!?」
「はい、リニッシュさんにはいつもお世話になってますから・・・ただその知り合いは少し変り者なんです」
「・・・変わり者?」
頭の中に???が浮かぶリニッシュ。
「まぁ会って見ればわかります、ちょうど3日後に帰ってくるみたいなので、その前に私が飛んでお願いしますので」
「そ、そう・・・わかりました・・・それとありがとうルンドさん」
頭を下げるリニッシュ、こうして船の調達ができ安心するリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「こほこほ・・・た・・・助かっただ・・・あんたいい人ネ・・・命の恩人さ」
川から助けた魔物娘は日本でも有名な河童娘だった。
「いや・・・気にすんなって、ところでなんで溺れてたんだ?この川ゆっくりな流れだし溺れる事はないと思うけど?」
疑問に思った事は躊躇なく聞く彩登、すると少ししゅんと落ち込む河童娘。
「じ、実はオラ、湖に住んでたんだけんど、でも誤って川に行く方へ行ったら案の定川に流されてここまでゆっくり流されたんだ」
「な、なんというか・・・色々ツッコミたいんだが要するに流れがあるところじゃ溺れるってことか?」
「そうだ・・・お恥ずかしい」
「なんという愚かな人なんでしょう」
「おいおい、そう言うなよ?」
コハルに目を向ける彩登。
「例え流れがあるところで溺れたっていいだろう?誰だって最初は溺れるんだしよ?」
「お、おお優しい・・・おまはん・・・いい人だな、オラ・・・な、涙が出てきただ・・・」
「大袈裟だな」
「お、大袈裟じゃないっぺ!あんたはオラにとって・・・う、運命の人だ・・・」
頬を赤くしてうっとりした眼で彩登を見る河童娘。
「お熱いですはね〜」
目をじぃ〜と横目でにらむコハル。
「いやいや熱くないからな?」
何を言ってるんだ的な目でコハルを見る彩登。
「そう言えばまだ自己紹介そいてなかっただ、オラオトネよろしくだ」
「オトネか、俺は香澄彩登、そっちのリザードマンはコハルだ」
「以後お見知りおきを」
「コハルさんに、彩登様だな」
「「あ、彩登様!?」」
声を上げ驚く二人。
「そうだ、オラの家訓は命を助けられたらその恩はこの命と同じくらい、精神繊維役に立つ事って言われてるんだ、だから彩登様って呼ぶことにするべ」
「命の恩人って・・・」
「よかったですわね〜彩登様」
完全に白い目で彩登を見た後歩き始めるコハル。
「ではお邪魔虫は退場しますわ」
完全に彩登を置いていくコハル。
(私としたことが・・・何をしているんでしょう・・・考えるのはよしましょう)
※ ※ ※ ※ ※ ※
時は流れ夕暮れ時に荷物をまとめたリニッシュがカスミの館の前にいた。
「アキちゃ〜んいる〜?」
玄関を開けアキを呼ぶリニッシュ、すると本を持ったラズべリアがいた。
「おやおや・・・君は確かリニッシュさんだったかな?」
「あら私の名前を覚えてたんですかこれは光栄です」
「いやいや、名前くらい覚えてないと失礼でしょう?」
「それもそうですね・・・うふふ」
「ふふふ」
二人は笑いながらにらみ合う。
「言っておくがここに住むというなら止めはしない、だが・・・もしアキさんに危害を与えるというなら・・・その身をもって償わせるつもりだから・・・覚悟しておいた方がいいよ?ここの連中はアキさんの事となると血の気が多いから・・・ね」
言葉は優しく言っているつもりであろうがラズべリアの言葉には完全に殺意がこもっていた。
「そうですね、気を付けますご忠告ありがとうございます」
軽く頭を下げるリニッシュ。
「・・・ふん」
本を閉じ自室に戻るラズべリア、そしてラズべリアとすれ違うようにに着物上にエプロンを着たアキが現れる。
「あ・・・リニッシュさん」
まだ恐怖心があるのか若干の距離を取るアキ。
「あ、抱きつきませんからご安心ください」
そう言ってもあまり説得力がないのは当然で怯えながらリニッシュに近づくアキ。
「そんなに怯えられると私少し悲しくなってきます・・・ぐすん」
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・こほん改めてカスミの館へようこそ」
「ありがとうそして今日からよろしくね」
「は、はい・・・ウィーズさん少しいいですか?」
何処からかしゅたっと降りてきたのは忍者服を着たまぎれもないクノイチだった。
(クノイチ・・・本当に色々な魔物娘が住んでるんですね)
「リニッシュさんのお部屋をご案内お願いしますね」
「・・・御意」
「では私は準備がありますのでこちらのウィーズさんについて行ってください、ちゃんとお部屋の事はお話してますので」
「わかりました」
お辞儀をしてその場から移動するアキ。
「・・・こっち」
靴を脱ぎウィーズの後についていくリニッシュ。
「・・・」
「えっとウィーズ・・・って呼べばいいのかしら?」
っキと睨みつけるウィーズ、するといつ何処から出したのかわからないくらいのスピードで首先に苦無を突きつける。
(え・・・な・・・何も見えなかった)
「呼び捨てていいのは・・・アキ様のみ・・・貴様みたいな輩(やから)に呼び捨てにされる呼ばれはない」
「・・・わかりました、ウィーズさん・・・でいいかしら?」
「・・・」
苦無をしまい再び歩き出すウィーズ。
(どうやら血の気が多いのは本当みたいですね・・・)
そしてウィーズに案内された部屋に着きお礼を言うと思ったが目を離すとすでに何処にもいなかった。
「・・・もういないなんてさすがはクノイチですかね」
とりあえず、部屋に入りもってきた荷物を置きベットに横たわる事にしたリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
リニッシュが部屋についてくつろいでいた頃、アキは怒っていた。
「・・・それで・・・これはどういうことですか彩登さん・・・私はちゃ〜んと言いましたよね?魚釣りをお願いしますと」
誰に怒っているのかというと、魚釣りから戻ってきた彩登に怒っているのだ、理由は簡単魚が釣れずに戻りさらにずぶ濡れで、挙句の果てに見ず知らずの河童娘も連れてきているので怒るのも無理はない。
「はい・・・言いました・・・」
ちなみに当の本人は正座中。
「それがどうして河童さんを持って帰って来るんですか?」
「面目次第もございません、魚は全然釣れなかったんです」
「それはわかります・・・ただ何故河童娘さんも一緒なのかをですね」
「ご、ごめんなさいだ・・・どうか彩登様を責めないでくだせぇ」
アキが彩登を叱っていると割って入るオトネ。
「あ、彩登様!?」
「はいオラこの人に命救われたんだ、だから彩登様って呼ぶことにしてるっぺ」
「い、命を助けたんですか彩登さん?」
「え・・・ま、まぁ」
嘘でも本当でもないが、オトネを助けたのは事実なのでそういう事にする事にした彩登。
「・・・はぁわかりました、命を救ったのでは咎めてはいけませんね・・・ウィーズさんお風呂はいつできますか?」
「約10分ほど」
再び何処から現れたのか分からない早さでアキたちのまえに現れるウィーズ。
「ひ、人が・・・あ、現れたべ」
驚きを隠せないオトネと。
(相変わらず何処でも現れるな・・・)
もうすっかり慣れた彩登。
「10分ですね、ではそれまでに濡れた服の代わりと、バスタオルを持って来てくれませんか?」
「すでに持ってきてます」
懐から着替えとタオルを出し彩登に渡す。
「ありがとう」
服とタオルを渡された瞬間彩登に耳打ちをするウィーズ。
「汚点め次はないぞ」
「い、イエッサー」
小さな声でウィーズに返事をする彩登。
「それとオトネさんでしたね、もしよろしければここでしばらく住みませんか?」
「え・・・オラここに住んでいいんけ?」
「はい、彩登さんに助けてもらったんですよね?一緒にいたいですよね?」
「そ、そうだオラ彩登様のそばにいてぇんだ」
「その気持ちわかります」
オトネの手を取りぎゅっと握るアキ。
「一緒に居たいのであれば貴女もここの一員です」
「ほ・・・本当か!!お、おまはんも・・・おまはんもいい人だぁオラ感激だ」
感動して涙を流すオトネ。
「ではこちらへ今から住居者登録しますので付いて来てください」
「わ、わかっただ」
アキの先導についていくオトネ。
彩登から見たら同じ年くらいの友達ができたと思い見守るのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
身体を拭いた後ゆっくり体を温め終わり夕飯の時間となり食堂に向かうと、食堂前にリニッシュとオトネがいた。
「あ、彩登様」
「おう、オトネにリニッシュさんこんなところで何やってんだよ」
「それが少しここで待ってて言うんですよ・・・これはもう新手の焦らしプレイですよ」
「そういう事はあまり言わない方がいいと思うぞ」
こんな会話をしていると食堂からアキが出てくる。
「皆さん集まりましたね待ってました」
満面の笑みで彩登、リニッシュ、オトネに向けるアキ、しかしその笑みはすぐに消え恐怖漂う顔をする。
「今宵は・・・カスミの館の伝統行事・・・では皆さんどうぞ入ってください」
食堂の扉を開けアキ、そして食堂の中を見ると暗く何も見えなかった。
「え、何・・・アキちゃん暗いよ?食堂の中・・・・」
「あ、彩登様・・・オラ怖いべ・・・」
「大丈夫だって怖くないって・・・多分」
「さぁどうぞ・・・今宵はカスミの館・・・」
後ろから三人を押し暗い食堂に入れ扉を閉めるアキ。
「ちょ・・・アキちゃん!?」
暗くて何も見えないので少し怖がるリニッシュに。
「あ・・・ああ・・・・彩登様・・・怖い怖い・・・怖いべーーーー」
彩登にしがみつき離そうとしないオトネに。
「落ちつけ、落ちつくんだオトネ大丈夫だ安心しろ」
必死にオトネを安心させる彩登。
すると突然明りが付きその明るさに目がくらみさらにパン、パン、パンという音がする、そしてだんだん目が慣れると。
「ようこそ、カスミの館へ」
大きな声でカスミの館の住人が勢ぞろいでよくよく目を凝らすと歓迎会会場INカスミの館と書かれていた。
「え・・・」
「これって・・・」
「ひょっとして・・・」
キョトンとした3者の顔に近づくアキ。
「ささどうぞこちらへ今日はカスミの館伝統行事一つ歓迎会なんですから主役の三人がそんなところで座らずにこっちにどうぞ」
ゆっくり立ち上がり、それぞれの椅子に座り。
「では皆さんお手元の飲み物を持ってください」
アキの一言でテーブルにある飲み物を全員持つ。
「新しい住居人に祝して・・・かんぱーーーーーい!!!」
「「「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」」」
宴が始まるのであった。
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告!?
「あう・・・眠いです・・・」
「どうしたアキ寝むそうだけど?」
「あ、彩登さん、い、いえ大丈夫ですよ!」
「けど疲れてるように見えるし・・・俺にできる事があるんなら何でも言ってくれ?」
「ほ、ほんとうですか!?」
「お、おう」
「で、では・・・そ、その・・・ひ、膝枕・・・してもらって・・・いいですか?」
「膝枕?そんなんでいいのか?」
「は、はい」
「それくらいお安い御用だ、ほら」
「あ、ありがとうございます」
「いやいやこれくらい・・・!?」
「どうかしましたか?」
「いや・・・なんかさっきを感じた気が・・・気のせいか・・・」
「はぅぅ・・・幸せです」
「う〜ん・・・釣れないな」
かれこれ1時間も釣りをしているが何も釣れない。
「はぁ・・・あと1週間待たなきゃいけないのか・・・」
それは約1週間前に遡る。
※ ※ ※ ※ ※ ※
1週間前の夜・・・館の応接間で彩登が座る向かい側に空間異常調査部のリニッシュがいて、そしてお茶を出すアキ。
「そ、粗茶です」
「ありがとうアキちゃん」
彩登にも粗茶を置くと頭を頭を下げ退出して二人きりになる。
「ずず・・・さて貴方・・・この世界の人じゃありませんね」
リニッシュの目が彩登に向ける。
「・・・ああ」
短く答えれる彩登、そして確証があったのか湯呑を置くリニッシュ。
「やっぱり」
再び湯呑を持ちずずっとお茶を飲むリニッシュ。
「・・・それで俺はどうなるんだ?」
自分がこの世界の人間でない以上、もしかしたら連行され牢獄行きなのかと考えた彩登、ところが。
「そうですね・・・まぁ本来なら色々根掘り葉掘り聞きたいところなんですが・・・まぁどうでもいいですね」
「へ・・・」
予想外の答えに口が少し開く彩登。
「だって、別に貴方は私達に気害を出さなそうだし・・・」
「まぁ別に何かしてやろうとは思わないしそれに俺も早く元の世界に戻りたいし・・・何かしらないか?元の世界に戻る方法」
「そんなの知るはずないでしょう?私は空間の湾曲の調査が仕事で貴方の世界に戻る方法なんて知らないわ」
「そうだよな・・・」
はぁっとため息をだし、湯呑に入った茶をを飲む彩登。
「あ・・・いやあるとは考えられないし・・・」
何かを思い出したかのように声を出すリニッシュ。
「何か思い出したしました?」
「あ〜思い出したってっていうかもしかしたらって思っただけなんだけですが・・・人魚の海という海に住む本が好きなネレイスがいるという噂を聞いたんですよ」
「人魚の・・・海?」
「文字通り人魚が住む海です」
「そこに行けば何か情報が得られるのか?」
「確証はありませんけどね」
「・・・」
どうしようか悩む彩登。
「まぁ行くのも行かないのも貴方次第だし・・・」
「・・・よし俺行きます!人魚の海」
あっさり決断する彩登、その決断の早さに顔には出さずに驚くリニッシュ。
「そ・・・そう・・・でもどうやって行くの?」
「・・・あ・・・わからない」
はぁっとため息を吐くリニッシュ。
「行き方もわからない、船もないんですよね?」
「そうだったどうしよう・・・」
困る彩登の姿を見てリニッシュは考えた。
「仕方ありませんね・・・では空間異常調査の方から船を用意します」
「ほ、本当か!?ありがとう!!」
「ただし2つ条件があります」
「!?じょ・・・条件・・・」
「ええ」
「その条件ってなんだ?」
「条件は・・・」
つばを飲み込みその条件とは何か緊張する彩登。
「一つは私も同行させる事」
「・・・ど、同行なんで?」
「だって私が同行しないと、船に乗れないと思うし・・・」
「そ・・・そうか、それもそうだよな、それでもう一つの条件はなんだ?」
「もう一つは私もここに住む事です」
「・・・はぁ?なんでここに住む事がもう一つの条件なんだよ?」
「まぁいろいろ理由はあるんですが、一つは貴方の監視ですかね」
「俺の監視・・・?」
「ええ、貴方はこの世界ににとってイレギュラー・・・問題を起こされると困るんですよ」
あ〜っと思い納得する彩登。
「けど本音はアキの近くにいたいんだろう?」
「う・・・」
適当に言ったつもりがそれが本音だったとは彩登も思わなかった。
「こ、コホンと、とにかくとりあえず私は空間異常調査局に一度戻って船を借りられるか聞いてみるわ」
「ああ、わかった・・・でどのくらいかかる?」
「そうですね・・・早くて一週間、長くて二週間ってところですかね」
「・・・そ、そんなにかかるのかよ」
「もちろんこれから局に戻って、船を借りられるように説得します」
リニッシュの言葉にも一理ありと思い、こうして船を借りられる日まで待つことにした彩登であった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「もう1週間以上たつのか・・・アキさんには無理言って住まわせてもらってるし・・・母さん達心配してるかな」
はぁっとため息をつきながら竿を引き、餌があるかないかを確認して再び釣りを再開すると。
「調子はどうですの?香澄彩登」
街道の方へ顔を向けると、リザードマンのコハルが腕を組んで近づいてきた。
「見りゃわかるだろう、全然釣れない」
「本当ですわね何も入ってませんわ、まぁここの川の魚は釣れる時と、釣れない時がありますからお気になさらない事ね」
「そりゃあありがとさん」
再び餌がないか確認すると餌は付いたままだった。
(・・・少し上流の方に行ってみるか)
釣り道具をまとめ移動の準備する彩登。
「どちら行くつもりですの?」
「ちょっと上流の方に」
「なら私(わたくし)もご同行いたしますわ」
意外な事を言われ少し驚く彩登。
「あ、言っておきますがこの前の事が起きないように付いていくんです、勘違いなさらずに」
「・・・ですよね」
少しため息交じりに上流の方を歩き始める彩登とコハル。
(う〜んなんか話すべきかここは・・・といっても何話せばいいんだこういう時)
彩登は何か仲良くなれるような話題を考えながら歩きつつ、一方のコハルも。
(わ・・・私とした事が・・・何を話し話題を考えずに・・・はぁ)
彩登同じ事を考えていた。
(ってか女の子と会話なんていつ以来だろう・・・まぁ女の子というより魔物娘だが)
(そういえば香澄彩登と話すのはこれが初めてですわね・・・)
(まぁどっちにしても)
(この状況)
((気不味い・・・))
どう接したらいいかも分からずに沈黙が続くすると。
「あばぼわがぼがぼぼば」
上流の川から目を疑う光景を目にする二人。
「ってあの人溺れてる!助けなきゃ」
「助けるってここの川緩やかで別に助けなくても・・・」
コハルの言葉を無視して上着を脱ぎ川に飛び込み魔物娘を助けに行く彩登。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「う〜ん困りましたね・・・約束はしたものの・・・誰も貸してくれませんね・・・はぁ」
空間調査局に戻っていたリニッシュは困っていた、それは自分から大口を叩いたが未だに船借りられないでいたからだ。
「こうなったら・・・強硬手段をとるしか・・・」
「ららら〜どうかしましたか♪リニッシュさ〜ん♪」
不意に声ののする方へ向くと同じ空間調査の員の一人セイレーンのルンドが姿をを見せる。
「ららら〜・・・こほん駄声で失礼」
軽く一礼するルンドそれを見て少しため息を吐くリニッシュ。
「そんなことないと思いますが・・・はぁ」
「何か悩み事ですか?」
気休めになるかリニッシュは人魚の海に行くための船を探しているとルンドに話す。
「なるほど、人魚の海に行きたいんですか」
「ええ、ちょっと調査をしに行きたいんですが・・・なかなか」
「でしたら私の知り合いに頼んでみましょうか?」
目を丸くするリニッシュ。
「ほ、ほんとう!?」
「はい、リニッシュさんにはいつもお世話になってますから・・・ただその知り合いは少し変り者なんです」
「・・・変わり者?」
頭の中に???が浮かぶリニッシュ。
「まぁ会って見ればわかります、ちょうど3日後に帰ってくるみたいなので、その前に私が飛んでお願いしますので」
「そ、そう・・・わかりました・・・それとありがとうルンドさん」
頭を下げるリニッシュ、こうして船の調達ができ安心するリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
「こほこほ・・・た・・・助かっただ・・・あんたいい人ネ・・・命の恩人さ」
川から助けた魔物娘は日本でも有名な河童娘だった。
「いや・・・気にすんなって、ところでなんで溺れてたんだ?この川ゆっくりな流れだし溺れる事はないと思うけど?」
疑問に思った事は躊躇なく聞く彩登、すると少ししゅんと落ち込む河童娘。
「じ、実はオラ、湖に住んでたんだけんど、でも誤って川に行く方へ行ったら案の定川に流されてここまでゆっくり流されたんだ」
「な、なんというか・・・色々ツッコミたいんだが要するに流れがあるところじゃ溺れるってことか?」
「そうだ・・・お恥ずかしい」
「なんという愚かな人なんでしょう」
「おいおい、そう言うなよ?」
コハルに目を向ける彩登。
「例え流れがあるところで溺れたっていいだろう?誰だって最初は溺れるんだしよ?」
「お、おお優しい・・・おまはん・・・いい人だな、オラ・・・な、涙が出てきただ・・・」
「大袈裟だな」
「お、大袈裟じゃないっぺ!あんたはオラにとって・・・う、運命の人だ・・・」
頬を赤くしてうっとりした眼で彩登を見る河童娘。
「お熱いですはね〜」
目をじぃ〜と横目でにらむコハル。
「いやいや熱くないからな?」
何を言ってるんだ的な目でコハルを見る彩登。
「そう言えばまだ自己紹介そいてなかっただ、オラオトネよろしくだ」
「オトネか、俺は香澄彩登、そっちのリザードマンはコハルだ」
「以後お見知りおきを」
「コハルさんに、彩登様だな」
「「あ、彩登様!?」」
声を上げ驚く二人。
「そうだ、オラの家訓は命を助けられたらその恩はこの命と同じくらい、精神繊維役に立つ事って言われてるんだ、だから彩登様って呼ぶことにするべ」
「命の恩人って・・・」
「よかったですわね〜彩登様」
完全に白い目で彩登を見た後歩き始めるコハル。
「ではお邪魔虫は退場しますわ」
完全に彩登を置いていくコハル。
(私としたことが・・・何をしているんでしょう・・・考えるのはよしましょう)
※ ※ ※ ※ ※ ※
時は流れ夕暮れ時に荷物をまとめたリニッシュがカスミの館の前にいた。
「アキちゃ〜んいる〜?」
玄関を開けアキを呼ぶリニッシュ、すると本を持ったラズべリアがいた。
「おやおや・・・君は確かリニッシュさんだったかな?」
「あら私の名前を覚えてたんですかこれは光栄です」
「いやいや、名前くらい覚えてないと失礼でしょう?」
「それもそうですね・・・うふふ」
「ふふふ」
二人は笑いながらにらみ合う。
「言っておくがここに住むというなら止めはしない、だが・・・もしアキさんに危害を与えるというなら・・・その身をもって償わせるつもりだから・・・覚悟しておいた方がいいよ?ここの連中はアキさんの事となると血の気が多いから・・・ね」
言葉は優しく言っているつもりであろうがラズべリアの言葉には完全に殺意がこもっていた。
「そうですね、気を付けますご忠告ありがとうございます」
軽く頭を下げるリニッシュ。
「・・・ふん」
本を閉じ自室に戻るラズべリア、そしてラズべリアとすれ違うようにに着物上にエプロンを着たアキが現れる。
「あ・・・リニッシュさん」
まだ恐怖心があるのか若干の距離を取るアキ。
「あ、抱きつきませんからご安心ください」
そう言ってもあまり説得力がないのは当然で怯えながらリニッシュに近づくアキ。
「そんなに怯えられると私少し悲しくなってきます・・・ぐすん」
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・こほん改めてカスミの館へようこそ」
「ありがとうそして今日からよろしくね」
「は、はい・・・ウィーズさん少しいいですか?」
何処からかしゅたっと降りてきたのは忍者服を着たまぎれもないクノイチだった。
(クノイチ・・・本当に色々な魔物娘が住んでるんですね)
「リニッシュさんのお部屋をご案内お願いしますね」
「・・・御意」
「では私は準備がありますのでこちらのウィーズさんについて行ってください、ちゃんとお部屋の事はお話してますので」
「わかりました」
お辞儀をしてその場から移動するアキ。
「・・・こっち」
靴を脱ぎウィーズの後についていくリニッシュ。
「・・・」
「えっとウィーズ・・・って呼べばいいのかしら?」
っキと睨みつけるウィーズ、するといつ何処から出したのかわからないくらいのスピードで首先に苦無を突きつける。
(え・・・な・・・何も見えなかった)
「呼び捨てていいのは・・・アキ様のみ・・・貴様みたいな輩(やから)に呼び捨てにされる呼ばれはない」
「・・・わかりました、ウィーズさん・・・でいいかしら?」
「・・・」
苦無をしまい再び歩き出すウィーズ。
(どうやら血の気が多いのは本当みたいですね・・・)
そしてウィーズに案内された部屋に着きお礼を言うと思ったが目を離すとすでに何処にもいなかった。
「・・・もういないなんてさすがはクノイチですかね」
とりあえず、部屋に入りもってきた荷物を置きベットに横たわる事にしたリニッシュだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
リニッシュが部屋についてくつろいでいた頃、アキは怒っていた。
「・・・それで・・・これはどういうことですか彩登さん・・・私はちゃ〜んと言いましたよね?魚釣りをお願いしますと」
誰に怒っているのかというと、魚釣りから戻ってきた彩登に怒っているのだ、理由は簡単魚が釣れずに戻りさらにずぶ濡れで、挙句の果てに見ず知らずの河童娘も連れてきているので怒るのも無理はない。
「はい・・・言いました・・・」
ちなみに当の本人は正座中。
「それがどうして河童さんを持って帰って来るんですか?」
「面目次第もございません、魚は全然釣れなかったんです」
「それはわかります・・・ただ何故河童娘さんも一緒なのかをですね」
「ご、ごめんなさいだ・・・どうか彩登様を責めないでくだせぇ」
アキが彩登を叱っていると割って入るオトネ。
「あ、彩登様!?」
「はいオラこの人に命救われたんだ、だから彩登様って呼ぶことにしてるっぺ」
「い、命を助けたんですか彩登さん?」
「え・・・ま、まぁ」
嘘でも本当でもないが、オトネを助けたのは事実なのでそういう事にする事にした彩登。
「・・・はぁわかりました、命を救ったのでは咎めてはいけませんね・・・ウィーズさんお風呂はいつできますか?」
「約10分ほど」
再び何処から現れたのか分からない早さでアキたちのまえに現れるウィーズ。
「ひ、人が・・・あ、現れたべ」
驚きを隠せないオトネと。
(相変わらず何処でも現れるな・・・)
もうすっかり慣れた彩登。
「10分ですね、ではそれまでに濡れた服の代わりと、バスタオルを持って来てくれませんか?」
「すでに持ってきてます」
懐から着替えとタオルを出し彩登に渡す。
「ありがとう」
服とタオルを渡された瞬間彩登に耳打ちをするウィーズ。
「汚点め次はないぞ」
「い、イエッサー」
小さな声でウィーズに返事をする彩登。
「それとオトネさんでしたね、もしよろしければここでしばらく住みませんか?」
「え・・・オラここに住んでいいんけ?」
「はい、彩登さんに助けてもらったんですよね?一緒にいたいですよね?」
「そ、そうだオラ彩登様のそばにいてぇんだ」
「その気持ちわかります」
オトネの手を取りぎゅっと握るアキ。
「一緒に居たいのであれば貴女もここの一員です」
「ほ・・・本当か!!お、おまはんも・・・おまはんもいい人だぁオラ感激だ」
感動して涙を流すオトネ。
「ではこちらへ今から住居者登録しますので付いて来てください」
「わ、わかっただ」
アキの先導についていくオトネ。
彩登から見たら同じ年くらいの友達ができたと思い見守るのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
身体を拭いた後ゆっくり体を温め終わり夕飯の時間となり食堂に向かうと、食堂前にリニッシュとオトネがいた。
「あ、彩登様」
「おう、オトネにリニッシュさんこんなところで何やってんだよ」
「それが少しここで待ってて言うんですよ・・・これはもう新手の焦らしプレイですよ」
「そういう事はあまり言わない方がいいと思うぞ」
こんな会話をしていると食堂からアキが出てくる。
「皆さん集まりましたね待ってました」
満面の笑みで彩登、リニッシュ、オトネに向けるアキ、しかしその笑みはすぐに消え恐怖漂う顔をする。
「今宵は・・・カスミの館の伝統行事・・・では皆さんどうぞ入ってください」
食堂の扉を開けアキ、そして食堂の中を見ると暗く何も見えなかった。
「え、何・・・アキちゃん暗いよ?食堂の中・・・・」
「あ、彩登様・・・オラ怖いべ・・・」
「大丈夫だって怖くないって・・・多分」
「さぁどうぞ・・・今宵はカスミの館・・・」
後ろから三人を押し暗い食堂に入れ扉を閉めるアキ。
「ちょ・・・アキちゃん!?」
暗くて何も見えないので少し怖がるリニッシュに。
「あ・・・ああ・・・・彩登様・・・怖い怖い・・・怖いべーーーー」
彩登にしがみつき離そうとしないオトネに。
「落ちつけ、落ちつくんだオトネ大丈夫だ安心しろ」
必死にオトネを安心させる彩登。
すると突然明りが付きその明るさに目がくらみさらにパン、パン、パンという音がする、そしてだんだん目が慣れると。
「ようこそ、カスミの館へ」
大きな声でカスミの館の住人が勢ぞろいでよくよく目を凝らすと歓迎会会場INカスミの館と書かれていた。
「え・・・」
「これって・・・」
「ひょっとして・・・」
キョトンとした3者の顔に近づくアキ。
「ささどうぞこちらへ今日はカスミの館伝統行事一つ歓迎会なんですから主役の三人がそんなところで座らずにこっちにどうぞ」
ゆっくり立ち上がり、それぞれの椅子に座り。
「では皆さんお手元の飲み物を持ってください」
アキの一言でテーブルにある飲み物を全員持つ。
「新しい住居人に祝して・・・かんぱーーーーーい!!!」
「「「「「「かんぱーーーーい!!!」」」」」」
宴が始まるのであった。
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告!?
「あう・・・眠いです・・・」
「どうしたアキ寝むそうだけど?」
「あ、彩登さん、い、いえ大丈夫ですよ!」
「けど疲れてるように見えるし・・・俺にできる事があるんなら何でも言ってくれ?」
「ほ、ほんとうですか!?」
「お、おう」
「で、では・・・そ、その・・・ひ、膝枕・・・してもらって・・・いいですか?」
「膝枕?そんなんでいいのか?」
「は、はい」
「それくらいお安い御用だ、ほら」
「あ、ありがとうございます」
「いやいやこれくらい・・・!?」
「どうかしましたか?」
「いや・・・なんかさっきを感じた気が・・・気のせいか・・・」
「はぅぅ・・・幸せです」
12/03/14 16:54更新 / さわ
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