2章
時間は少し遡り、とあるビルの部屋に何かを調べている。
「観測結果出ました」
一人の魔物娘がに女性に結果を報告する。
「何処?」
「場所はリュウ山です」
「リュウ山・・・確か・・・カスミの館がある場所ですね・・・」
クスッと笑い椅子から立ち上がり一室を出ようとする。
「まさか、リニッシュ様お一人で行かれるおつもりですか?」
「ええ」
「危険ですリュウの山には確か、化け物猫が出ると聞いた事があります」
「化け物猫・・・それはそれで見てみたいわじゃあ行ってきます」
一室から出て廊下に出てエレベータに乗り、屋上へ向かう。
「楽しみだわ・・・化け物猫に突如発生した空間湾曲・・・」
屋上につき、外に出て背中から翼を広げ闇夜に飛んでいく。
※ ※ ※ ※ ※ ※
そして時は戻り朝の10時、彩登とアキは街道を歩いていた。
「日常用品ばっかりだけど・・・これだけでいいのか?」
「はい、ちょうど歯ブラシ粉にシャンプー、リンスとかちょうど切らしてたんです」
「あれ、食糧とかは大丈夫なのか?」
「食糧はいつも山で取ってますから」
「・・・え・・・山って後ろにあるあの山?」
「はいそうですよ」
「・・・」
立ち止まり段々顔が青くなっていく。
「えっと・・・毒キノコとか…?入って・・・ル?」
「毒キノコ?そんなの入ってるはずないでしょう?」
「だ、だよな・・・」
ほっとして歩くのを再開する。
「それにあの山には毒キノコなんて生えてませんから大丈夫ですよ」
「そ、そうかよかった・・・」
「あの彩登さん・・・」
「なに?」
「・・・あぅ・・・な、何でもありません・・・」
首をかしげつつ、館に向かう二人であった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
館の少し手前で一人の魔物娘がいた。
「あれ、誰かいますね」
「ほんとだ・・・何かもめてる様に見えるけど・・・?」
彩登は必死に目を凝らしてやっと見える。
「そうですね・・・ちょっと聞いてますね」
「え聞いてみるって・・・どうやって」
彩登がアキを見ると猫耳を立てていた。
「・・・あ、アキさん?」
「あ、すみません少し黙っててください」
「・・・い、イエっさー」
彩登は黙り、アキを見て本当に聞こえているのか?疑いたくなるが。
「あわわ、なんか館には入れなさそうです・・・」
「え・・・?本当に聞こえてるのか・・・?」
「はい、なんかここら辺にいじょう・・・くうかん・・・わんきょく??が発生して、この館を調べさせろって・・・」
「・・・マジか・・・」
色々本当なのかわからないが、とりあえずアキの言う事は正しそうにも見えた。
「じゃあどうする?これじゃあ入る事は難しいと思うけど・・・」
悩み考える彩登、しかし。
「それでしたら私が先に行きます、彩登さんはこの茂みに隠れててください」
「え、アキさん?」
大人のようにビシビシ歩いていくアキ。
「私が行かなくて、誰が行くんですかここは私に任せてください」
「アキさん・・・」
歩く後ろ姿に静かに見守る彩登は不安しかなかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
館の前では、館の住人、アルプのラズべリアとリニッシュがもめていた。
「ですから先ほどから申し上げてますように家主はまだ帰ってきてません」
「それはつまり?この館には何かある・・・という事ですよね?怪しいですね」
「お言葉ですが怪しいのは貴女の方だと思いますが・・・空間異常調査部なんて聞いたことありませんけど?」
にらみ合う二人、すると。
「あの、館に何か御用ですか?」
「あ、アキさん・・・お帰りなさい」
「ただいま戻りましたラズべリアさん・・・あの館に何か御用ですか?」
アキが話しかけるが、空間異常調査部のリニッシュは固まっていた。
「・・・」
「・・・あの・・・?」
「・・・か・・・」
「・・・か?」
そしてアキに飛びつき抱きしめる。
「可愛いぃィィィィ!!ほっぺもプ二プ二〜猫耳もさらさらしてるぅぅぅ〜お持ち帰りした〜〜〜いぃぃぃぃぃぃ」
「にゃ、にゃあ!!?ちょ・・・ちょっと・・・は、放して・・・放してくださいィィィィィィ(涙)」
抱きついて放そうとしないドタバタして逃げようとするアキ。
「お名前は?お名前はなんていうの??」
「わ、私・・・あ、アキ・・・アキです」
抵抗しつつ、名前をいうしかし一向に放そうとしない。
「アキちゃん・・・いい・・・最高!!もう持って帰るぅぅぅぅ!!」
「いや、持って帰らないでくださいィィィィ・・・ってラズべリアさんも見てないで助けてくださいよぉぉぉぉ」
「・・・は、すまないアキさん・・・こほん、貴女アキさんが嫌がってる・・・そろそろ放してくれないか?」
ラズべリアが言うとっはするリニッシュはアキを放す。
「・・・こ、こほん・・・私とした事が・・・ごめんなさい、改めて自己紹介しますね、私は時空調査部長官カラステングのリニッシュと申します・・・先ほどは失礼しました」
深く頭を下げるリニッシュ、しかしアキは恐怖心が芽生えたかリニッシュから少し距離を取り震えるアキ。
「・・・」
「あ〜あ〜完全に怯えてますね・・・大丈夫ですか?アキさん??」
首を横に振り、大丈夫じゃない事を伝える。
「あ・・・ご、ごめんなさい私可愛いものとか見ると・・・つい癖で・・・ほんとうにごめんなさい」
ちゃんと反省したのか深く頭を下げる。
「・・・も、もう・・・だ、抱きしめたりしません?」
「はいしません!約束します」
「・・・えっと、先ほど何か話をしてたみたいですが・・・何を話していたんですが?」
「はい、実はこの辺りに少々時空の歪みがありまして」
「・・・時空の歪みですか?」
「はい・・・あのもしよければ、館内を少し調べてもいいですか?」
リニッシュの言葉に少し悩むアキ。
目で少しラズべリアの方を見るとラズべリアは目でダメと言っているのがわかる。
「・・・も、申し訳ありませんが、あまり確証のない事で館内を見せるわけにはできません」
頭を下げるアキ。
それを見たリニッシュは少しため息を出す。
「仕方ありませんねわかりました」
背中から翼を広げ飛び立とうとするリニッシュ。
「あ・・・最後に一つ聞いてもよろしいですか?」
何かを思い出したかアキに問いかける。
「なんですか?」
「いえいえたいした事ではないんですが・・・この辺りに化け物猫が出ると・・聞いたのですが心覚えはありませんか?」
「!?そ・・・そうなんですか・・・知りませんでした」
アキの口調に違和感を感じつつ、笑顔を向けるリニッシュ。
「では私は失礼しますね」
バサバサと飛び立つリニッシュ、それを確認するとそこに膝をつくアキ。
「アキさん」
慌てて駆け寄るラズべリア。
「あぅ・・・ラズべリアさん」
「大丈夫ですか?」
「はい・・・大丈夫です、少し驚きましたが・・・平気です」
ゆっくり立ち上がるアキ。
それを心配そうに見つめるラズべリア。
「ところで・・・彩登君・・・だったかな?今どこにいるんだい?」
「あ・・・呼びに行かなきゃ」
※ ※ ※ ※ ※ ※
一方その頃彩登は。
「はぁはぁ・・・」
「何処に行ったの!?マイハニー・・・貴女は私のお嫁になる運命よ!!」
アキの言葉通り草むらに隠れていた彩登だが、突如上半身は女性の体で下半身は蜘蛛(ウシオニ)の女性に追われていた。
(マイハ二ーって俺一応男だから・・・この場合ダーリンだと思うが・・・ってそんな事はどうでもいいや)
「クンクン・・・こっちかしら・・・」
足音が聴こえ始め、こっちに来るのがわかり足音をたてないようにゆっくり移動する彩登、しかし木の枝が足元にある事に気づかずバキ!という音がする。
「やば!」
即座に走り振り返らずに彩登、しかし時すでに遅しウシオニ娘が身体を覆い被り逃げられないようにされる。
「し、しまった」
「み・つ・け・た・・・うふふそのままじ〜っとしててね」
言われた通りじっとする彩登。
それはもし抵抗して何かされるよりましだと判断したからである。
「うふふそうそうお利口さんはもっと好きよ私〜さぁ今から脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
「悪いなそれだけはお断りだ!」
両足で勢いよくウシオニ娘を蹴ると意外と吹き飛び木にぶら下がるウシオニ娘。
「ちょっと!!今からいいこと一緒にしようと思ったのに・・・したくないの?」
「アホかなんでこんなところで壮丁を奉げなきゃならないんだよ」
「いいじゃない減るもんじゃないし」
「減るわ!ふざけんなこの変態蜘蛛!!」
「こうなったら力ずくで奪ってあげる!!覚悟しなさい」
彩登に襲いかかるウシオニ娘。
(何かないか・・・なにか・・・!)
彩登は背中が泥だらけに気付く。
「プレゼントフォーユー!!」
手に少量の泥を持ちそのまま投げるとウシオニ娘の顔に直撃する。
「え・・・前が・・・前が見えない」
そして近づいてくるウシオニ娘を回避して見事に木にぶつかる。
「へ・・・ざまあみろ変態蜘蛛・・・ってかここは何処だ・・・」
辺りを見渡すと木、木、木完全に道に迷った彩登。
「・・・とにかく街道に出ないとな・・・ここにいたら絶対危ないし」
こうして森を出るように歩き出す彩登。
※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃カスミの館のアキと住人たちは食堂で会議をしていた。
内容はもちろん彩登の行方についてだ。
「きっとウシオニ娘の森に入ったのよあの彩登って人」
「それが妥当だと思うよ、問題は彼女たちをどうやって説得するかが問題だよ」
「ウシオニさん達って見境なしに襲ってきますし・・・私怖いですぅ〜」
「わ〜・・・た〜・・・し〜・・・は〜・・・も〜・・・り〜・・・に〜・・・い〜・・・き〜・・・ま〜・・・す〜・・・」
「私は行かない」
「即答かよ、あたしは行くぜ」
「別に行かなくていいですってあんな奴なんかどうでも・・・・ぶつぶつぶつ」
話が段々口論が激化して行く。
「あ、ちょっと皆さん・・・」
激化して行くと同時に誰も人の話を聞こうとしない。
「あの・・・ですから・・・」
そしてアキはつい自分の口から言う。
「いい加減にしてください!!もういいです私一人で行きます!!」
一人食堂から出ていく。
「・・・い、行ってしまった」
「そ、そうだな・・・」
※ ※ ※ ※ ※ ※
森の中を歩きつつよく周りをみる彩登、しかし一向に出口が見えそうになかった。
さらにまだ昼間のはずなのに外が暗くなっていた。
「おかしいな・・・さっきもここ通った気がする・・・」
さすがに不安になっていく彩登、すると何処からか薄気味悪い笑い声が聴こえてくる。
うふふ、見つけた・・・
本当いい感じの娘・・・
これはもう幽閉しないと・・・
「!?だ・・・誰だ」
辺りを見渡すと闇からさっきのウシオニ娘が現れた。
「うふふダメよみんな・・・まずは私が可愛がるんだから」
「さ、さっきの・・・ってみんな?」
スルと薄ら他のウシオニ娘がいた。
「ダメよ」
「そうよ、こんな可愛い娘がいるんなら」
「山分けでしょう」
ぞろぞろと色々なところから現れ気付けば完全に包囲されていた。
「ってこれ囲まれてるし・・・」
右を見ても左を見てもウシオニ娘がいる。
「うふふ諦めて私たちといい事しましょう」
「そうそう、時に諦めることも必要よ」
「・・・悪いな、これでも俺は諦め悪い性格なんだ・・・こんな状況でもな」
「強がってるハニーもいい・・・でも捕まえていいことし・ま・しょう!!」
ウシオニが一斉に彩登に飛びかかる、彩登もさすがに目を瞑ッたその時。
「ちょっと待ったァァァァァ!」
とびかかって彩登との距離が二歩、三歩のところで声がする方を見る。
「だ、誰?」
「何処・・・何処から声が」
「あ、見つけたあそこよ」
一人のウシオニ娘が指をさすところを見るとそこには。
「あ・・・アキさん」
「大丈夫ですか彩登さん」
シュッタっとかっこよく木の上から着地するアキ。
「すみませんがその人を返してください、その人は我が館の大事な家族です」
「な・・・家族ですって」
彩登から離れ、アキに近づいていくウシオニ娘達。
「小さい猫又の分際で・・・言い気にならないでよ」
「そうよそうよ」
「それにハニーは私の・・私たちの物よ」
「邪魔するんなら、容赦しないわよ」
「・・・はぁ」
面倒になったのか、小さくため息を掃くアキ。
その行動にウシオニ娘は激怒した。
「何よそのため息」
「容赦しないわ」
「待っててねハンにー」
「行くわよ!!」
アキに襲いかかるウシオニ娘達。
「アキさん!」
走ってアキの元へ行く彩登、しかし。
「・・・来ないでください私一人で平気です」
そうゆうと突然アキの身体から毛が生えていき、手の形も変わり、身体も大きくなっていく。
「な、何よあ・・・あれ」
当然ウシオニ娘達は驚きを隠せないでいた。
「カスミの館・・・ま、まさか・・・館に住む・・・化け物猫」
「う、うそ・・・じゃああれが」
すると変身が終わったのか、完全に巨大な猫の姿となったアキがいた。
『さぁ・・・命が惜しくば・・・とっとと立ち去れぇぇぇぇ!!』
咆哮のごとく叫ぶと、完全に怯えたウシオニ娘が散り散りに逃げていく。
『・・・』
逃げて行ったのを確認すると、彩登を見るアキ。
「あ・・・ありがとうアキさん」
『・・・ごめんなさい怖いですよね・・・私・・・』
「え」
身体がだんだん小さくなっていき、いつも通りの姿に戻るアキ。
「私・・・家族に捨てられて、恨みとか憎悪が私を変えて・・・気付けばさっきみたいな姿に変われるんです」
「家族に・・・ひどいな」
「だから・・・こわいでしょう私が・・・醜いでしょう?」
気付けばぽろぽろと涙があふれ出るアキ。
それを見て優しくアキを抱きしめる彩登。
「!?あ、彩登さん」
「泣きたい時は、泣いていいんだ・・・それに俺嬉しかった、家族だって言ってくれて」
「あ・・・彩登・・・さん・・・う・・・うぇぇぇぇぇん」
大きな声で泣くアキ。
彩登はそのまま泣き止むのを待っていると。
「・・・やっぱり」
「!?」
「あ、貴女は」
暗がりのからなんと空間調査部のリニッシュの姿があった。
「さてと・・・お話しましょうしょうか・・・アキちゃん」
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告?
「今回から次回予告が追加されるみたいですわ」
「ぶつぶつぶつぶつ・・・」
「ってちょっと貴女、次回予告くらいぶつぶついうのやめなさいよ!」
「うるさい」
「な・・・うるさいって貴女の方がうるさくってよ!」
「次回鏡のような現代3章是非見てくださいね」
「!?もってかれましたわ」
「観測結果出ました」
一人の魔物娘がに女性に結果を報告する。
「何処?」
「場所はリュウ山です」
「リュウ山・・・確か・・・カスミの館がある場所ですね・・・」
クスッと笑い椅子から立ち上がり一室を出ようとする。
「まさか、リニッシュ様お一人で行かれるおつもりですか?」
「ええ」
「危険ですリュウの山には確か、化け物猫が出ると聞いた事があります」
「化け物猫・・・それはそれで見てみたいわじゃあ行ってきます」
一室から出て廊下に出てエレベータに乗り、屋上へ向かう。
「楽しみだわ・・・化け物猫に突如発生した空間湾曲・・・」
屋上につき、外に出て背中から翼を広げ闇夜に飛んでいく。
※ ※ ※ ※ ※ ※
そして時は戻り朝の10時、彩登とアキは街道を歩いていた。
「日常用品ばっかりだけど・・・これだけでいいのか?」
「はい、ちょうど歯ブラシ粉にシャンプー、リンスとかちょうど切らしてたんです」
「あれ、食糧とかは大丈夫なのか?」
「食糧はいつも山で取ってますから」
「・・・え・・・山って後ろにあるあの山?」
「はいそうですよ」
「・・・」
立ち止まり段々顔が青くなっていく。
「えっと・・・毒キノコとか…?入って・・・ル?」
「毒キノコ?そんなの入ってるはずないでしょう?」
「だ、だよな・・・」
ほっとして歩くのを再開する。
「それにあの山には毒キノコなんて生えてませんから大丈夫ですよ」
「そ、そうかよかった・・・」
「あの彩登さん・・・」
「なに?」
「・・・あぅ・・・な、何でもありません・・・」
首をかしげつつ、館に向かう二人であった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
館の少し手前で一人の魔物娘がいた。
「あれ、誰かいますね」
「ほんとだ・・・何かもめてる様に見えるけど・・・?」
彩登は必死に目を凝らしてやっと見える。
「そうですね・・・ちょっと聞いてますね」
「え聞いてみるって・・・どうやって」
彩登がアキを見ると猫耳を立てていた。
「・・・あ、アキさん?」
「あ、すみません少し黙っててください」
「・・・い、イエっさー」
彩登は黙り、アキを見て本当に聞こえているのか?疑いたくなるが。
「あわわ、なんか館には入れなさそうです・・・」
「え・・・?本当に聞こえてるのか・・・?」
「はい、なんかここら辺にいじょう・・・くうかん・・・わんきょく??が発生して、この館を調べさせろって・・・」
「・・・マジか・・・」
色々本当なのかわからないが、とりあえずアキの言う事は正しそうにも見えた。
「じゃあどうする?これじゃあ入る事は難しいと思うけど・・・」
悩み考える彩登、しかし。
「それでしたら私が先に行きます、彩登さんはこの茂みに隠れててください」
「え、アキさん?」
大人のようにビシビシ歩いていくアキ。
「私が行かなくて、誰が行くんですかここは私に任せてください」
「アキさん・・・」
歩く後ろ姿に静かに見守る彩登は不安しかなかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
館の前では、館の住人、アルプのラズべリアとリニッシュがもめていた。
「ですから先ほどから申し上げてますように家主はまだ帰ってきてません」
「それはつまり?この館には何かある・・・という事ですよね?怪しいですね」
「お言葉ですが怪しいのは貴女の方だと思いますが・・・空間異常調査部なんて聞いたことありませんけど?」
にらみ合う二人、すると。
「あの、館に何か御用ですか?」
「あ、アキさん・・・お帰りなさい」
「ただいま戻りましたラズべリアさん・・・あの館に何か御用ですか?」
アキが話しかけるが、空間異常調査部のリニッシュは固まっていた。
「・・・」
「・・・あの・・・?」
「・・・か・・・」
「・・・か?」
そしてアキに飛びつき抱きしめる。
「可愛いぃィィィィ!!ほっぺもプ二プ二〜猫耳もさらさらしてるぅぅぅ〜お持ち帰りした〜〜〜いぃぃぃぃぃぃ」
「にゃ、にゃあ!!?ちょ・・・ちょっと・・・は、放して・・・放してくださいィィィィィィ(涙)」
抱きついて放そうとしないドタバタして逃げようとするアキ。
「お名前は?お名前はなんていうの??」
「わ、私・・・あ、アキ・・・アキです」
抵抗しつつ、名前をいうしかし一向に放そうとしない。
「アキちゃん・・・いい・・・最高!!もう持って帰るぅぅぅぅ!!」
「いや、持って帰らないでくださいィィィィ・・・ってラズべリアさんも見てないで助けてくださいよぉぉぉぉ」
「・・・は、すまないアキさん・・・こほん、貴女アキさんが嫌がってる・・・そろそろ放してくれないか?」
ラズべリアが言うとっはするリニッシュはアキを放す。
「・・・こ、こほん・・・私とした事が・・・ごめんなさい、改めて自己紹介しますね、私は時空調査部長官カラステングのリニッシュと申します・・・先ほどは失礼しました」
深く頭を下げるリニッシュ、しかしアキは恐怖心が芽生えたかリニッシュから少し距離を取り震えるアキ。
「・・・」
「あ〜あ〜完全に怯えてますね・・・大丈夫ですか?アキさん??」
首を横に振り、大丈夫じゃない事を伝える。
「あ・・・ご、ごめんなさい私可愛いものとか見ると・・・つい癖で・・・ほんとうにごめんなさい」
ちゃんと反省したのか深く頭を下げる。
「・・・も、もう・・・だ、抱きしめたりしません?」
「はいしません!約束します」
「・・・えっと、先ほど何か話をしてたみたいですが・・・何を話していたんですが?」
「はい、実はこの辺りに少々時空の歪みがありまして」
「・・・時空の歪みですか?」
「はい・・・あのもしよければ、館内を少し調べてもいいですか?」
リニッシュの言葉に少し悩むアキ。
目で少しラズべリアの方を見るとラズべリアは目でダメと言っているのがわかる。
「・・・も、申し訳ありませんが、あまり確証のない事で館内を見せるわけにはできません」
頭を下げるアキ。
それを見たリニッシュは少しため息を出す。
「仕方ありませんねわかりました」
背中から翼を広げ飛び立とうとするリニッシュ。
「あ・・・最後に一つ聞いてもよろしいですか?」
何かを思い出したかアキに問いかける。
「なんですか?」
「いえいえたいした事ではないんですが・・・この辺りに化け物猫が出ると・・聞いたのですが心覚えはありませんか?」
「!?そ・・・そうなんですか・・・知りませんでした」
アキの口調に違和感を感じつつ、笑顔を向けるリニッシュ。
「では私は失礼しますね」
バサバサと飛び立つリニッシュ、それを確認するとそこに膝をつくアキ。
「アキさん」
慌てて駆け寄るラズべリア。
「あぅ・・・ラズべリアさん」
「大丈夫ですか?」
「はい・・・大丈夫です、少し驚きましたが・・・平気です」
ゆっくり立ち上がるアキ。
それを心配そうに見つめるラズべリア。
「ところで・・・彩登君・・・だったかな?今どこにいるんだい?」
「あ・・・呼びに行かなきゃ」
※ ※ ※ ※ ※ ※
一方その頃彩登は。
「はぁはぁ・・・」
「何処に行ったの!?マイハニー・・・貴女は私のお嫁になる運命よ!!」
アキの言葉通り草むらに隠れていた彩登だが、突如上半身は女性の体で下半身は蜘蛛(ウシオニ)の女性に追われていた。
(マイハ二ーって俺一応男だから・・・この場合ダーリンだと思うが・・・ってそんな事はどうでもいいや)
「クンクン・・・こっちかしら・・・」
足音が聴こえ始め、こっちに来るのがわかり足音をたてないようにゆっくり移動する彩登、しかし木の枝が足元にある事に気づかずバキ!という音がする。
「やば!」
即座に走り振り返らずに彩登、しかし時すでに遅しウシオニ娘が身体を覆い被り逃げられないようにされる。
「し、しまった」
「み・つ・け・た・・・うふふそのままじ〜っとしててね」
言われた通りじっとする彩登。
それはもし抵抗して何かされるよりましだと判断したからである。
「うふふそうそうお利口さんはもっと好きよ私〜さぁ今から脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
「悪いなそれだけはお断りだ!」
両足で勢いよくウシオニ娘を蹴ると意外と吹き飛び木にぶら下がるウシオニ娘。
「ちょっと!!今からいいこと一緒にしようと思ったのに・・・したくないの?」
「アホかなんでこんなところで壮丁を奉げなきゃならないんだよ」
「いいじゃない減るもんじゃないし」
「減るわ!ふざけんなこの変態蜘蛛!!」
「こうなったら力ずくで奪ってあげる!!覚悟しなさい」
彩登に襲いかかるウシオニ娘。
(何かないか・・・なにか・・・!)
彩登は背中が泥だらけに気付く。
「プレゼントフォーユー!!」
手に少量の泥を持ちそのまま投げるとウシオニ娘の顔に直撃する。
「え・・・前が・・・前が見えない」
そして近づいてくるウシオニ娘を回避して見事に木にぶつかる。
「へ・・・ざまあみろ変態蜘蛛・・・ってかここは何処だ・・・」
辺りを見渡すと木、木、木完全に道に迷った彩登。
「・・・とにかく街道に出ないとな・・・ここにいたら絶対危ないし」
こうして森を出るように歩き出す彩登。
※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃カスミの館のアキと住人たちは食堂で会議をしていた。
内容はもちろん彩登の行方についてだ。
「きっとウシオニ娘の森に入ったのよあの彩登って人」
「それが妥当だと思うよ、問題は彼女たちをどうやって説得するかが問題だよ」
「ウシオニさん達って見境なしに襲ってきますし・・・私怖いですぅ〜」
「わ〜・・・た〜・・・し〜・・・は〜・・・も〜・・・り〜・・・に〜・・・い〜・・・き〜・・・ま〜・・・す〜・・・」
「私は行かない」
「即答かよ、あたしは行くぜ」
「別に行かなくていいですってあんな奴なんかどうでも・・・・ぶつぶつぶつ」
話が段々口論が激化して行く。
「あ、ちょっと皆さん・・・」
激化して行くと同時に誰も人の話を聞こうとしない。
「あの・・・ですから・・・」
そしてアキはつい自分の口から言う。
「いい加減にしてください!!もういいです私一人で行きます!!」
一人食堂から出ていく。
「・・・い、行ってしまった」
「そ、そうだな・・・」
※ ※ ※ ※ ※ ※
森の中を歩きつつよく周りをみる彩登、しかし一向に出口が見えそうになかった。
さらにまだ昼間のはずなのに外が暗くなっていた。
「おかしいな・・・さっきもここ通った気がする・・・」
さすがに不安になっていく彩登、すると何処からか薄気味悪い笑い声が聴こえてくる。
うふふ、見つけた・・・
本当いい感じの娘・・・
これはもう幽閉しないと・・・
「!?だ・・・誰だ」
辺りを見渡すと闇からさっきのウシオニ娘が現れた。
「うふふダメよみんな・・・まずは私が可愛がるんだから」
「さ、さっきの・・・ってみんな?」
スルと薄ら他のウシオニ娘がいた。
「ダメよ」
「そうよ、こんな可愛い娘がいるんなら」
「山分けでしょう」
ぞろぞろと色々なところから現れ気付けば完全に包囲されていた。
「ってこれ囲まれてるし・・・」
右を見ても左を見てもウシオニ娘がいる。
「うふふ諦めて私たちといい事しましょう」
「そうそう、時に諦めることも必要よ」
「・・・悪いな、これでも俺は諦め悪い性格なんだ・・・こんな状況でもな」
「強がってるハニーもいい・・・でも捕まえていいことし・ま・しょう!!」
ウシオニが一斉に彩登に飛びかかる、彩登もさすがに目を瞑ッたその時。
「ちょっと待ったァァァァァ!」
とびかかって彩登との距離が二歩、三歩のところで声がする方を見る。
「だ、誰?」
「何処・・・何処から声が」
「あ、見つけたあそこよ」
一人のウシオニ娘が指をさすところを見るとそこには。
「あ・・・アキさん」
「大丈夫ですか彩登さん」
シュッタっとかっこよく木の上から着地するアキ。
「すみませんがその人を返してください、その人は我が館の大事な家族です」
「な・・・家族ですって」
彩登から離れ、アキに近づいていくウシオニ娘達。
「小さい猫又の分際で・・・言い気にならないでよ」
「そうよそうよ」
「それにハニーは私の・・私たちの物よ」
「邪魔するんなら、容赦しないわよ」
「・・・はぁ」
面倒になったのか、小さくため息を掃くアキ。
その行動にウシオニ娘は激怒した。
「何よそのため息」
「容赦しないわ」
「待っててねハンにー」
「行くわよ!!」
アキに襲いかかるウシオニ娘達。
「アキさん!」
走ってアキの元へ行く彩登、しかし。
「・・・来ないでください私一人で平気です」
そうゆうと突然アキの身体から毛が生えていき、手の形も変わり、身体も大きくなっていく。
「な、何よあ・・・あれ」
当然ウシオニ娘達は驚きを隠せないでいた。
「カスミの館・・・ま、まさか・・・館に住む・・・化け物猫」
「う、うそ・・・じゃああれが」
すると変身が終わったのか、完全に巨大な猫の姿となったアキがいた。
『さぁ・・・命が惜しくば・・・とっとと立ち去れぇぇぇぇ!!』
咆哮のごとく叫ぶと、完全に怯えたウシオニ娘が散り散りに逃げていく。
『・・・』
逃げて行ったのを確認すると、彩登を見るアキ。
「あ・・・ありがとうアキさん」
『・・・ごめんなさい怖いですよね・・・私・・・』
「え」
身体がだんだん小さくなっていき、いつも通りの姿に戻るアキ。
「私・・・家族に捨てられて、恨みとか憎悪が私を変えて・・・気付けばさっきみたいな姿に変われるんです」
「家族に・・・ひどいな」
「だから・・・こわいでしょう私が・・・醜いでしょう?」
気付けばぽろぽろと涙があふれ出るアキ。
それを見て優しくアキを抱きしめる彩登。
「!?あ、彩登さん」
「泣きたい時は、泣いていいんだ・・・それに俺嬉しかった、家族だって言ってくれて」
「あ・・・彩登・・・さん・・・う・・・うぇぇぇぇぇん」
大きな声で泣くアキ。
彩登はそのまま泣き止むのを待っていると。
「・・・やっぱり」
「!?」
「あ、貴女は」
暗がりのからなんと空間調査部のリニッシュの姿があった。
「さてと・・・お話しましょうしょうか・・・アキちゃん」
続く
※ ※ ※ ※ ※ ※
次回予告?
「今回から次回予告が追加されるみたいですわ」
「ぶつぶつぶつぶつ・・・」
「ってちょっと貴女、次回予告くらいぶつぶついうのやめなさいよ!」
「うるさい」
「な・・・うるさいって貴女の方がうるさくってよ!」
「次回鏡のような現代3章是非見てくださいね」
「!?もってかれましたわ」
12/03/06 16:32更新 / さわ
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