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森の暗殺者
『森の暗殺者』

 それとは気付かず、アルラウネの甘い誘惑を撥ね除けたリュカは、奥に進むに連れ鬱蒼と生い茂る木々の隙間を縫うようにして歩いていた。
 魔物に警戒を配るのは勿論だが、教団から最初に渡された食料は当然ながら有限の為、食べられる果物を発見したら可能な限り採取しながらの孤独な行軍。本来勇者には、供の仲間や騎士団が同道するものと思われがちだが、実際はそうではない。教団としては、この世界から一刻も早く魔物を一掃したいのが本音であるものの、魔界が拡大し親魔物を掲げる国家が日増しに増えていく昨今、防衛に専念して力を蓄えるべきだという弱腰な論調に偏り、一騎当千の勇者が騎士団を伴い遠征することは滅多に無くなっていた。リュカが一人なのは何も全く期待されていない訳ではなく、共に出す人員が圧倒的に不足していたことが主な原因だったのだ。

 ――それと、僕が保有する主神様から授かった異能も原因の一つだよね。

 主神の加護を得た勇者のみに与えられる、魔法とは全く異なる超常の力。効果は千差万別、呪文を唱えずとも火や水を自在に操る等多岐に渡る。リュカも例に漏れず異能を有している訳だが、強力であるのと反比例して大変使い勝手が悪かった。
 脳裏に蘇った苦い思い出を頭を振って払い落とし、おもむろに周囲を見回した少年の胸を言い知れぬ不安が襲う。

 ――静か過ぎる……

 つい先刻まで耳に届いていた小鳥のさえずり、虫のざわめきが一切聞こえない。不気味な静寂に対して、リュカの手は自然と剣帯へと伸びる。――が、剣柄に指先が触れた刹那、首筋が総毛立つ。ここで彼が選んだのは……。

【@抜剣を諦め素早くしゃがみこむ】or【A抜剣して構える】












【@を選択した場合】

 とっさに全員を地面に深く沈めたリュカの首が存在していた位置を鋭い一撃が一閃し、少年の艶やか金糸を数本奪い去る。あとレイコンマ数秒遅ければ命に関わったかもしれない不意の攻撃を辛くも凌いだリュカは、前転と共に片刃の剣を抜き放った。勢いもそのまま大木を背に立ち上がり、頭髪に絡まった木の葉も気にすることなく、若干荒くなった息を調えつつ上下左右、全方向に意識を配りながら再度の襲撃に備える。

「はっ……はっ……んっく」

 生唾を飲み込み、異様に長く感じる刻の中で、やけに大きくなった心臓の鼓動が自分はまだ生きていることを証明してくれていた。






 時間にして数十秒だったか、はたまた数十分だったのか。暫くして、殺気に似たプレッシャーが突然霧散する。極度の緊張状態から解放され、木の幹にヘたりこむ勇者。

 ――ふぅ……やっぱり、一筋縄じゃいかないな。

 単独での魔界潜入の難しさを身を持って体験し、頬を軽く叩いて気を取り直したリュカは休息も束の間、慎重に慎重を重ねながら再び旅路についた。

【ToBeContinue...】⇒【???】












【Aを選択した場合】

「うあ…………こ、此処は」

 朦朧としながらも意識が覚醒したリュカが居たのは、仄かな灯りに照らされたやや大きめの穴蔵(何故か、簡素ではあるもののテーブル等の調度品が並べられている)。
 抜剣するという隙を襲撃者に与えてしまった幼き勇者は、首筋の急所を的確に穿たれ、一撃で昏倒するという醜態を晒してしまったのだ。携行していた所持品も全て取り上げられ、剣も彼が寝かされていたベッドから遠く離れた隅へと追いやられている。動こうにも両手両足を蔦でキツく縛られており、余程巧く編まれているのか力を入れてもびくともしなかった。
 這ってでも行動を起こそうと身を起こそうとした時、真横から唐突に声を掛けられ――

「逃げても……無駄」
「ひゃあっ!?」

 女の子顔負けの可愛らしい悲鳴を上げた少年は、恥ずかしさに頬を染めながら恐る恐る声のした方向に視線を向ける。と、そこに居たのは両腕に巨大な鎌を備え、感情を全く感じさせない紅く爛々と輝く昆虫特有の複眼と人と変わらぬ眼でこちらを見る魔物、マンティスだった。
 見つめ合うこと数秒、先んじて動いた魔物娘が無駄の一切無い動きでまな板の上の鯉そのもののリュカを易々と組伏せ、いわゆるマウントポジションの体勢に移行する。そうし、畳まれていた鎌がスライドし、光を反射する鋭利な刃が少年の華奢な体に添えられた。

「や、やめ――」
「動くと……死ぬ」
「!!」

 当然の反応として後ずさろうとするが、淡々と告げられた『死』という絶対的な恐怖に身体が硬直してしまう。獲物が大人しくなったのを確認したマンティスは、無表情のまま迷いのない手つきで、且つ中身を全く傷つけずに衣服を切り裂いていく。

「な、何でこんなこと」

 遂に下半身が完全に露出し、羞恥から必死にペニスを隠そうと太股を擦り合わせるリュカ。対して、露わになった男性器を直視しても顔色一つ変えない彼女は、少年に問われるまま事実を口にする。

「私……昨日、産卵期……入った。だから……人間の男、必要」
「え?それって、どういう……な、何をするの!?」

 もう問答は必要ないとばかりに、マンティスはそのしなやかな手で幼く縮んだままの陰茎を愛撫し始めたではないか。
 教団から偏った教育を施されたリュカが知る由もないのだが、魔物にしては非常に珍しく、普段は人間の男性に興味を示さないマンティスがどうしても彼らを必要とする時期がある。それこそが彼女の言う『産卵期』、つまり繁殖の為だけにリュカは連れ浚われたのだ。

「や、やだ……こんなの、知らない。知らないよぉ」
「種付け……終わったら、帰れる」
「んうううぅ……っ♪」

 相手を道具としか見てない彼女達だが、男を悦ばせる手管は魔物である以上十二分に心得ており、亀頭やエラ、裏筋を変わる変わる的確に刺激していく。精通も終えていない初な少年は嫌々と首を振って抵抗の意志を示すが、マンティスの造作もない片手の愛撫だけで捻じ伏せられ、一方的に与えられる未知の快感により漏れ出そうになる嬌声を我慢するので精一杯だった。

「準備……終わった」
「あ……あぁ」

 無駄な抵抗も束の間、リュカのペニスは完全に隆起し血管が浮き出る程、ガチガチに勃起してしまう。年齢とは不釣合いな巨根の先端からは止め処なくカウパー液が漏れ出し、穴蔵の中は淫靡な臭いで満ち始めていた。
 そんな大抵の魔物娘なら淫猥な笑みを浮かべであろう状況だが、マンティスの女は我関せずと自身の秘所を曝け出す。スリットから覗く女性器からは、魔物娘としての本能により既に愛液が滴っていた。
 そうして性交相手の視線が己の局部に集中するのも無視して狙いを定め――一気に腰を振り落とす。

「「〜〜〜〜〜〜!!?」」

 だがここで、愛のなかった筈の只の生殖行為に大きな変化が訪れた。






「ぁ……んぅっ♪」

 リュカの怒張を迎え入れた瞬間、生まれて初めて感じる快感に大きく仰け反る魔物娘。今、自分の脳髄を駆け巡った甘い刺激は何だったのか。その正体を確かめる為にと恐る恐る腰を振ってみるが、結果は同じで寧ろ余計に身体も頭も痺れてしまう始末。
 自分が跨っている人間ならあるいはと、魔性に魅入られ前後不覚に陥って朦朧としている少年の顔を見る。するとどうだろう、今度は胸の鼓動が速まり、頬は熱を帯びて紅く染まっていく。そうして彼女の顔は自然と彼へと近づき――唇が重なった。

「ん……ちゅ♪」
「んぅっ!!?」

 突然の接吻、それも先程までリュカという『個』にまるで興味を示さなかった魔物からの情熱的な求愛行動。腰使いは段違いに激しくなり、淫らな水音が絶え間無く響き渡る。
 逆に童貞だった少年には、舌を直接吸われるようなディープキスや男性器をきつく締め付けられた状態でのピストン運動は刺激が強すぎたらしく、神経が焼き切れたかのように最早されるがまま。遂には雄としての本能なのか、牝の求めに応じて舌を絡ませ合い始めた。

「ちゅぅ♪んじゅる、ちゅる、んぐ……ちゅぱぁ、ちゅ♪」
「んんぅーーっ♪んじゅ、ちゅぶ、はぁぶ……じゅるぅっ♪」

 叩きつけるかのような油送は正に男女逆転の様相で、リュカは倒錯した魔物娘との禁断の悦楽に次第と飲み込まれていく。今の彼にとって勇者としての使命など何の価値もなく、唯一匹の雄となりマンティスと交わる事こそが至上の喜びだった。

「んっ♪んんっ♪れろぉ……♪」
「……♪あむ、じゅるるる……っ♪」

 自ら舌を突き出し吸われ舐めしゃぶられ、名器と呼ぶにふさわしい膣で幾度も幾度もペニスを苛め抜かれる。永遠にこの快感を味わっていたい、そんな破滅的な思考が脳裏を埋め尽くしていく中、努張をマグマの如き塊が駆け上がってくるのを自覚した刹那――

 ――なにかでる!でちゃうよぉ!!

 魔物娘の子宮口めがけて爆発した。

「ひゃうううぅーーーっ♪」
「あは♪一杯、射精てる♪」

 射精が間近だと直前に察知していたマンティスは兎も角、何もかもが未知の経験だったリュカにとって極大のオーガズムは過ぎた劇薬にも等しく、尿道から白濁液が吐き出される度に身体が大きく痙攣する。ただ、魔物娘は逆に快感が増して、貪欲に求め続けるという悪循環が発生してしまう。

「でも……もっと♪♪♪」
「やらぁ……もう、しぼりとりゃないれぇ」
「……駄目♪」

 少年の懇願が愛欲に目覚めたばかりの魔物娘に届く訳もなく、二人だけの狂宴は片割れが失神するまで延々と続いた。






 この後、マンティスが最初に交わした約束を守ったかどうかは――――述べるまでもないだろう。

【ToBeContinue...】⇒【とある勇者の結末U】
12/01/19 23:05更新 / カーネリア
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■作者メッセージ
 もし万が一、更新を楽しみにしてくださっていた方がいたのなら大変申し訳ございませんでした。諸事情によりサイトを閲覧する暇もなく、先日漸く戻って来れた次第でして……。
 それは兎も角、ジパングの魔物娘も徐々に増えており創作意欲が俄然湧き上がり、未完成だったマンティスさんのストーリーが完成しましたので投稿へと至りました。
 問題はここからどうするかなのですが、森林に住まう魔物娘をもっと掘り下げるのか、はたまた次のステージへと進むのか。要望などありましたら、感想でお願いします。

 最後になりますが、リハビリを兼ねて執筆した作品ですので至らない点が多々あるかと思いますが、楽しんで読んで頂ければ幸いです。

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