モニター以外光を発する物がない部屋でキーボードを叩く音だけが響く
日曜深夜3時、月曜早朝とも言うが…そんな時間にネットゲームに勤しむ少年は高校生
金曜、土曜と同様の生活を送り三徹間近の彼の机にはエナジードリンクの空き缶が窮屈そうに並べられている

「目痛え…父さんも母さんも寝たよな？電気付けるか…」

ブツブツと呟きながら席を立とうとした彼の耳に声が届く

『兄さんまだ起きてたの…？明日学校でしょ…ほら、一緒に寝よ？』

ぼんやりと視線を向けると少女が布団の中にくるまっていた
幻聴、幻覚、睡眠不足とはかくも恐ろしい結果をもたらすのだと痛感した彼は大人しく床に着くことにし未だ消えない幻覚の少女と共に眠りについた
いつもより布団が温かく感じられた





「7時よー！！起きなさーい！！！」

「んぁ…もう朝…ッ！？」

母親の声で目を覚ました少年は己に身を寄せ気持ち良さそうに寝息を立てる少女の姿を見て飛び起きる

『ちょっと…急に布団引き剥がさないでよ…』

薄目を開けた少女は不満そうに頬を膨らませるがそこに注意を払えるほど少年の胸中は穏やかではない

「お前、誰だ…」

絞り出された声に少女は─────

『母さーん、兄さんがボケたー』

"いつものこと"かのようにとてとてと階段を降りて行った

辛うじてではあるが精神を落ち着けた彼が制服に着替え1階のリビングへ降りるとそこでは父母が特に少女について触れることもなく日常を過ごしていた

「お父さん、朝食にするわよ」

「新聞…」

父が母の人睨みで黙らされ食事の準備を手伝い始める
とりあえず彼は状況を整理することにした
(まず並べられた食器の数は4人分、こいつが俺だけに見えてる幻覚ってことはなさそうだな…ってことは昨日のアレは睡眠不足が原因じゃなくて実際に会話してたのかよ
つーか父さんも母さんもこいつに反応がねぇ…違和感を覚えてないのか
次に俺がこいつを忘れた可能性は…ないな、うん、ないわ、俺の父母が娘作ってこんな美形が産まれるわけねーだろ、俺の妹だぞ、言ってて悲しいけど
仮に居候だったり血が繋がってなかったりしてもそもそも記憶障害を起こす理由が見当たらない…十中八九やべー奴じゃねーか！)
ここまで考えて朝食の用意が済んだようなので4人で食卓を囲む
今朝はベーコンエッグと白米だ、彼の家族は生粋の米派らしい、それは少女も同じようで表情に変化はないものの美味しそうに頬張っている

『母さん、おかわり』

図々しくも母に米の追加を要求、自分が動く気は全く無いようだ
(俺が同じこと言ったら拳骨とそのおかわりを頂くことになるんだが…)
さらに彼女の要求はそれだけにとどまらなかった

『兄さん…ボク箸持つの疲れた…だから、あー』

雛鳥のように口を開け少年に食事をねだる
怪訝そうに眉をひそめる彼を見て父が助け舟を出す─────尤も、少女にだが

「妹がこう言ってるんだ、飯ぐらい食べさせてやったらいいじゃないか」

異常だ、いくらなんでも常軌を逸している、普段の父親なら自分で食べる方が効率が良いことを長々と説明し始めるところだというのにまるで少女の発言に沿うことが当然かのような言動、これも彼女の仕業なのだろうか

「悪りぃ、もう歯磨いて学校行かないと」

一刻も早くこの場を離れたい一心で彼は家を出た
少し残念そうに俯く少女とそんな少女関連だけ普段と異なる両親を残して





(なんだこれ…)
結論から言うと、残念ながら彼が安寧の時を過ごすことはできなかった
友人らも尽く変になっているのだ、結構な割合で元から変人揃いではあるが

「なぁなぁ！ス◯ラトゥーンって最高だよな！特にヒトからイカになるところ！」
(お前の遊◯王への情熱はどこへ行ってしまったんだ…！俺は興味なかったけど)

「ﾝｸﾞｯﾝｸﾞｯ…ﾌﾟﾊｯ、お前背低いんじゃないか？牛乳飲もうぜ牛乳！ﾝｸﾞｯﾝｸﾞｯ…」
(そのリッターサイズの水筒はなんだ…？そして口元に付いた白いのはなんだ…？ついでに背はお前と同じくらいだぞ)

「4人分の彼女ができたらどうすればいいと思う…？」
(どうもこうも氏ねばいいと思うよ)

「なんで車椅子に乗ってるのかって？ああ…なんでも"盗られたくない"だかなんとか言って下半身を石にされたんだよ…」
(催眠術か何かか…？普通に災難じゃねーか)

「あぅ…幼女…うっ！ちょ、ちょっとトイレに行ってくる！」ﾀﾞｯ
(あいつ今…というかなんだこれは！我が友の秘蔵お姉さんファイルが何故ロリッロリになっているんだｯｯ！！)





「はぁ…はぁ…なんだったんだあれは…」

やっとの思いで帰宅した少年だがそれは解放を意味しない

『おかえり、兄さん…』

正体不明の少女が家に居着いた以上、友人らに起きた異変を他人事と笑い飛ばすことはできない、元より友人の問題を他人事扱いなどできるわけがないのだが


2階の自室にこもろうと階段に足をかけた少年の背中に声がかけられる

『兄さん…お風呂、入ろ…？』

遠慮がちに、しかしどこか強制力を伴って発された声に思わず頷きそうになる

「入りたいなら勝手に入っていいぞ、なんなら沸かしてやろうか？」

それに耐え2歩目を踏み出す

『一緒がいいな…それにもうお湯張っておいたよ』

無視して3歩目

『ボクのこと、知りたくないの…？』

4歩目は風呂場へと向かっていた





「なあお前はなんなんだ、何が目的だ、父さんと母さんに何をした、友達がおかしくなってた理由もお前なのか」

『一斉に聞かれても困るよ…？』

「とぼけるなよ」

珍しく苛ついた様子で短く吐き捨てるように一言、環境の変化は大きなストレスになる
それが人智の及ばぬレベルで突然起きたのなら尚更であろう

「何してるんだ」

少女はこちらに目もくれず髪を洗う少年を背後から愛おしむように抱きすくめていた
突然背中から抱きつかれた少年は驚きつつ不思議な安心感に包まれ少し落ち着いたようだった

『ボクらは…べつに何か悪いことをしようと思ってるわけじゃないんだよ…？ただ、好きな人と幸せに暮らしたい…それだけ』

小柄だと思っていたがそれなりの大きさと異様な柔らかさを持つ双丘が背中に押し付けられ、経験の無い少年は身を捩り少女を引き剥がそうとする、それを気にも留めずさらに強く抱きしめ耳元に唇を寄せて少女は続ける

『お友達のことは…わかるでしょ？ボクだけじゃないんだよ、こっちに来た子、兄さんの両親は、あれが普通、ボクがいることを当たり前だと思わせる…それがボクの能力、
むしろ意図的に兄さんを対象から外してるの…』

「わ、わかった、わかったからもう離せって」

すっかり怒張した息子、少女は囁きながら右手で竿を扱き先端を左手に擦り付けていた
緩やかな動作だというのに既に達しそうな少年は悲鳴を上げる

『んーん…全然分かってない、だから、教えてあげるの…ほら、出しちゃえ…』

甘さを増していく声色とどこまでも優しい刺激に耐えられず背後に感じる柔らかさに身を任せ白濁を噴き上げる

「なんで、こんなこと…」

『"こんなこと"をするために来たんだよ…？これからは1人でしちゃダメ…全部ボクに任せて気持ち良くなるの…』

両の手一杯に出した精液が染み込んでいくように痕跡一つ残さず消える

『ご馳走様、それと…父さんと母さんは今日帰って来ないよ…』

「どうせお前の仕業だろ、飯は…簡単なのでいいか？」

『色気より食い気か…ちぇっ、夕飯はボクが作るから安心してよ、その前にちゃんとお風呂に浸かって温まらなきゃ…耳元でカウントダウンしよっか…？』





いい入浴剤でも使っていたのか肌の調子がいい気がする、普段こんなことを口走れば父が成分を事細かに調べようとするのだが幸い今夜はいない
その代わり今夜は今までいなかった少女と2人きりの夕食だ
不安は、ある
少女の言葉を信じるなら少なくとも害意はない、しかしそれを鵜呑みにできる根拠がない、可愛らしい外見も優しい態度も甘美な快楽も全て罠…充分あり得る
心配も、ある
様子のおかしい友人は自身と違い酷い扱いを受けているのではないか、帰って来ない両親はどこで何をしているのか、同居する家族が3人から4人に増えたら食費や光熱費、水道代はどうなってしまうのか
悩みは尽きないが目の前の少女は分かりづらい笑顔で美味しそうな夕食を並べてくれている
今は信じてみよう、彼はそう思った





(あいつ…！二度と信じてたまるか！！)
少年はネットゲームに勤しむわけでもないのに眠れぬ夜を過ごしていた
布団を脱いでも身体が熱い、部屋の温度計を見る、18℃、決して暑くない温度
その程度であれば気のせいと考えることもできたが下半身の疼きが止まらないのだ
間違いない、あの夕食が原因だろう
しかし毒ならば排出を促せば或いは…少年は少女ではなく緑茶の利尿作用を信じることを決心する
ひたすら茶を飲みトイレに行く、繰り返し繰り返し深夜2時を迎える頃ようやく収まってきた
(さて、明日も学校だ、帰って来たらあいつを叱らないと…)





少女は少女で眠れぬ夜を過ごしていた
(兄さん…兄さんが、欲しい…っ…ぁ、イ、けない…イけないよぉ…兄さんじゃなきゃダメ…なの…)
性器を扱えば扱うほど強力に作用する媚薬やその他諸々を料理に混ぜ、駄目押しに魔法まで使った、当然ながらその効果をより強く受けるのは魔物である少女なのだが…しかしその欲望を理性で押し留め少年との接触を避けるため屋根に登っている
もっと我慢して明日、最高の交尾を楽しむのだ
古い家屋であれば雨漏りしかねない程の愛液を垂れ流し次に手を止めたのは朝日に目が眩むときだった





母が声をかけるより5分程度遅く設定してある目覚まし時計で起きた彼は制服に身を包みリビングへと降りる
そこには頬を紅く染め息を震わせる少女がいた

「おい、お前のせいで随分苦労したんだぞ、そのお前が自分で入れた毒にやられてるんじゃ世話ねーな」

『兄さん…っ、こそ…なんで、治ったなんて勘違い…してるの…？』

緩やかに近づいて来る少女が気づいたときには眼前に迫り口付けていた
それと同時に昨夜感じた以上の熱と疼き、脚に力が入らず立っていられない

「は…な、なんで」

『兄さん頑張ったもんね…でもずっと蓄積してたんだよ…？精を出さなきゃ治るわけないのに媚薬塗れのお茶をあんなに沢山飲んで…ほら、よーしよーし…』

ズボン越しに引っ掻くだけの刺激、それだけでガクガクと腰を震わせ快感から逃げようと後ずさる
それを少女が許すはずもなく留め具を器用に外し露わになった息子を喉奥まで呑み込む
少年は大きくのけぞり先走りを噴き出すが今まで感じたことのない程の快楽を味わっても射精することができない
舌が這い回る感触も喉奥でやわやわと咀嚼される感触も理解出来ない程の快感として脳に直接叩き込まれる
そうしてしばらくし焦点が合わなくなりつつある頃ようやく少女は口を離した

『もっとこうしてたいけど…ボクも我慢できそうにないから種明かしするね…兄さんとボクには今ボクの子宮口が兄さんの亀頭を咥え込まないと絶頂できない魔法をかけてるの…ちなみに今日学校は休みだって…当然だよね、まともに授業なんてできやしないよ…』

「頼む…なんでもいい、出させてくれ…」

『あぁ兄さん…やっと兄さんからボクにお願いしてくれた…でも、でもね…だめ…ボクが兄さんを犯したり兄さんの理性を壊したりするのは簡単…でもそんなのやだよ…ボクそんなのじゃ満足できない…ね？兄さんがボクを選んでボクを犯して…ボクを、妹みたいな女の子じゃなくて…お嫁さんにして…？』

顔を寄せ、身体を擦り付けて愛を流し込まれる
こんなにも愛してくれる子がいて、選択肢などあろうか
互いにドロドロの性器をあてがい、一気に押し込む
体格差などなかったかのように根本まで飲み込まれ先端が強烈な吸い付きに襲われる
溶けるような射精、自身の全てを吐き出す感覚と共にぐったりと少女に身を預ける





『兄さん…ボクの、ボクだけの兄さん…絶対に絶対に離さないからね…♡』

その後、少女を背負ったまま通学し続けた彼が皆勤賞と変態の烙印を貰ったのは少ししてからの話である

■作者メッセージ
誤字があったら教えてくれい！
ボクっ娘なのは性癖でい！