筆者は見た!?冬の魔物娘の退廃せし禁断の性生活!!!? (又は魔物の冬期生態についての(偽)報告書)
とある豪雪地帯のある冬の寒い日。月の無い夜の中で、ただただ世界は白く染まる。
肌に突き刺すほどの冷気が空気に充満し、草木も雪の下で眠りにつき、獣の声さえも聞こえず、静寂だけが森を支配している。
しかしこんな誰もいなさそうな森の中でも、魔物娘たちは得た伴侶と共に過ごしているいる。
ためしに少し注意深く周りを見てみれば――森が切り開かれて出来た雪原に、少し雪が盛られて丘のようになった場所が目に入ることだろう。そしてその丘の天辺にポッカリと穴が数箇所開いているのが判る事だろう。
機会があったら試しにその穴に顔を寄せてみる良い。雪に接して冷たくひり付く頬に、暖かな空気が穴から出てきているのが感じ取れる。
更にはその穴にピッタリと耳を当てよく耳を済ませてみれば、こんな声が聞こえてくる事がある。
「ちゅ……アナタ、寒くない?……アッん、お腹減ってない?」
「レロ……寒くは無いけど、もっときつく蔓で抱きしめてくれ。……ちゅぅ、ちゅぅ、腹は減っていないけど、もっとキミの蜜を飲ませてくれ」
「じゃぁ、もっとピッタリくっ付けるように、ぎゅ〜ってしてあげる♪ほら、蔓の先っぽから蜜を上げるから、あーんして♪♪」
「あ〜、あむッ……じゅぅう、じゅぅぅう――」
「ふぁッ、そんなに強く吸っちゃ駄目ぇ〜♪あはぁん、おまんこにちんぽで栓してるのに、蜜がトロトロ漏れ出ちゃうのぉ〜♪」
もうお分かりだと思うが、穴の正体は冬篭りをしているアルラウネと夫との愛の巣に必要な空気の出入り口。
そう夏の間は大輪の華を地上に広げ一身に太陽の光と伴侶の精を浴びるアルラウネは、冬の間は溜め込んだ栄養を消費しながら、大輪の華で自分自身と伴侶を包み込んで冬の寒さを乗り切るのである。
もしあなたが冬に一人寂しくセンズリのネタを探しているのなら、この仲睦まじい睦言に聞き耳を立ててみるのも一興だろう。
しかし注意する点が二つだけ。
一点目。この穴から吹き出てくる空気には、アルラウネの蜜が揮発した物が多量に含まれているため、この空気を吸い続けるとその場での自慰行為が止まらなくなり、精を全部吐き出し終える頃には凍死寸前になるという事。
二点目。穴からもし睦言が聞こえなかった場合は注意が必要。その穴の下に居るのは伴侶を得られなかったアルラウネである可能性が高い。もし不用意に近づけば、人肌恋しい彼女が穴から蔓を伸ばしてあなたの体に巻きつけて身動きを取れなくし、そして蔓でその空気穴を拡張した後で大輪の華の中へとあなたを引きずり込むだろう。
仮にアルラウネの性行為の盗み聞きを実行し、何らかの不具合がこれを読んでいる者にあったとしても当方は関知しない。
もっとも、凍死寸前になったりアルラウネの夫になった場合、苦情を言いに来る事が出来ない算段の方が高いはずではある。
さて冬のアルラウネの性活ついでに、他の魔物娘の冬生活をもう少し紹介しておくことにしよう。
冬篭りするのは何もアルラウネだけの話ではなく、昆虫型の魔物娘も冬篭りをする。
だがマンティスやアラクネの様な単独行動型だけではなく、集団生活をしているハニービーやホーネットでさえ巣の一番奥で備蓄食料を細々と食べながら、冬の寒さに耐えるために身を寄り合って冬の間を過ごす。そのため彼女たちの冬の性行為は基本的に挿入れっぱなしで、萎えさせない程度にゆっくりと腰を上下してお互いを刺激しつつ、体をゆるゆると貪るだけに留まってしまう。
しかしそんな昆虫の魔物娘にあって、ジャイアントアントだけは例外的な存在。
彼女たちの使用する建築技術は人間以上の水準であるため、彼女たちの作る地下空間の各部屋は火を入れずとも暖かな空気が満ち溢れ、通気孔は雪に埋もれても大丈夫なように何箇所かに設置されている。さらには備蓄用に外気を取り入れて冷蔵する倉庫には大量の食料、地下水脈を通した炊事場には一冬を優に超えるだけの薪、そして万が一の食糧難の為に茸の栽培室まで完備。
そして巣の維持管理と拡張を持ち回りの分担性にし、仕事の無い者たちは部屋でいちゃいちゃしようが、娯楽室で享楽的に遊ぼうと各自の自由という完璧さ。
そんな冬に対して何の心配も無いジャイアントアントたちの生活は、冬篭りをしない魔物娘たち――否、夏場のサキュバスよりも爛れたモノである。
「くんっくんっ……はぁ、やっぱりキミの匂いは何時でも最高だよ」
「もぅ♪オマンコに挿入れながら、何処の匂いを嗅いでるのよ♪」
「胸の谷間に溜まった汗が――ペロッ、ああ美味しい……」
ジャイアントアントの体からは男性をその気にさせるフェロモンが常に噴出しており、外気を出来るだけ遮断している巣の構造上、巣の中の空間には常人ならば一嗅ぎするだけで理性を失わせるほどのフェロモンが充満している。
普段ならばそのフェロモンでは興奮しないはずのジャイアントアントであっても、これほどに濃いフェロモンを吸い続けていると常時発情しているような状態になってしまい、仕事があればそれに集中する事で紛らわす事が出来るものの、自由行動の時には自制が利かずに常に男性と交わろうとしてしまう。
「ほらぁ♪もっと腰を動かしてよぅ♪♪」
「しょうがないなぁ――髪が汗を含んで甘酸っぱい匂いが、スンスン」
――ぱつぱつぱつぱつぱつぱつ……
「もっと、もっとぉ♪ぱんぱんしてぇ♪私のお腹に打ちつけてぇえ♪♪」
更には知っての通りにジャイアントアントの汗には、彼女たちの例のフェロモンが多量に含まれている。
暖かい部屋の中で性行為を行えば、交わる二人は滂沱の如くに汗をかき、それが蒸発してフェロモンが空気中へと拡散し、拡散したフェロモンが巣の中へと堆積して濃くなっていく。フェロモンが濃くなればジャイアントアントとその伴侶が発情し、さらに激しい性行為を行うという循環が発生する。
しかもジャイアントアントは疲れれば疲れるほどに性欲が増すという性癖があり、それがその循環をより一層加速させていく。
「もう、射精しちゃいそうだよ、はぁ〜はぁ〜……」
「射精してもいいからぁん、ちんぽミルク出しながらちんぽでオマンコを抉ってぇ♪♪私の体の奥に子種詰め込んで孕ませて、女王様にさせてぇ♪♪♪」
「射精る――うぁあおぅあ!!」
――びゅるるるるうる〜〜、びゅっびゅぅうう〜〜〜
「ちんぽ動かしてぇよぉ!止まっちゃ嫌ぁなのぉ〜〜!!オマンコごしごししてよぉ〜!!!」
「うぅうぅあぅぁ……」
普通の働き蟻ですらこのような調子なのだから、孕めば更なる精が欲しくなる妊娠可能な女王とその伴侶の場合、文字で描写する限界以上の光景が夫婦の寝室の中に広がってしまう事になる。
それが朝早くに起きてから双方気絶して就寝になる夜更けまでこのような状態が続き、最終的に春前の雪解け間近の巣の様子となると、部屋の中や娯楽室では飽き足らず、持ち回りの仕事中でも交わろうとして、栽培室に炊事場とそれらを繋ぐ通路上でも激しい性行為で気絶したジャイアントアントとそれの連れの醜態が見て取れ、果てには一番フェロモン濃度の高い女王の部屋の前には女王をお世話するはずのジャイアントアントが、余りの濃度にフェロモンを嗅いだだけで絶頂を繰り返して気絶し、黒山の蟻集りが出来上がるほどであるという。
この様に冬の魔物は、それ以外の季節での行動とは一線を画すような行動を取る者が多い。
これを呼んでくれた読者には、是非とも自分の伴侶や近隣の魔物娘の冬の行動に気を配ってみて欲しい。
もしかしたらあなたの知らない世界がそこに広がっているのかもしれない。
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ざしざしと新たな深雪を踏みしめ掻き分け歩く音が一つ。
一つは間隔を開けた重く大きい足音――大人の一般的な歩幅で歩いているらしい音。それが同じ調子で静かな森の中に何度も何度も響き渡る。
その音の持ち主は全身に白色一色の防寒具を身に着け、足にはかんじきを履いた細面の歳若そうな感じの男。
何かを探しているように右へ左へと移動しながら、キョロキョロと周りを見渡していたが、ようやく目当てのものが見つかったのか、彼は一定方向へと歩みを進め始めた。
彼の進む先には真っ白なローブと雪が被さっている尖がり帽子を身に着けたちっちゃな少女が、中空を見つめながら半笑いしつつ手に持った紙に何かを書き込んでいた。
「ぐふふふー。これであちきの記事の評判が上がるわさ」
「マルゥー、こんな時間まで森で何やってんのさ……」
「ふぇ?……げぇー!カンシュー、何時の間に!?」
「態々探しに来たのに、何さその言い草」
余りのマルゥーという名の魔女の言い草にカチンと来たらしいカンシューと呼ばれた男は、マルゥーの手から紙を取り上げてその中身に目を通した。
どうやらまだ書きかけらしいが、とりあえず紙の上部にデカデカと標語らしい文字が書かれている。
「何々?『筆者は見た!冬の魔物娘の退廃せし禁断の性生活!!!?』……なにさこれ?」
「何って、あちきの次の記事だわさよ!」
「またこんな捏造記事を……」
「捏造ってひどい言い草だわさ!ちゃんと透視と聞き耳の魔法を使って、ちゃんと覗き見と盗み聞きした成果だわよ!!」
「それはそれで問題だと思うなぁ……」
マルゥーに紙を返したカンシューは雪の上にどかりと腰を下ろすと、懐から一枚の紙と一本のペンを取り出してから、顔を月の無い空へと向けた。
今日が身を切るほどに寒い日だからか空には雲が一筋も無く、黒いカーテンの上に宝石を散りばめたかのような星空がなんの邪魔も無しにくっきりと良く見える。
そしてカンシューはその星の位置と様子を見ながら、紙に彼が気が付いたことを走り書いていく。
「カンシューの記事は相変わらず星読みなのだわさ?」
「相変わらずは余計。それに意外と当たるって人気あるんだよ」
「ふ〜ん……じゃぁ」
紙束をローブの中に仕舞ったマルゥーは、カンシューの下半身を覆っている防寒具の金具を取り外しに掛かった。
そんな彼女の行動にカンシューは呆れ顔で星読みを続けていた。
「当たるって言うなら、いまセックスしたら、赤ちゃん出来るか占うだわさ♪」
「ただ単に覗き見していて、淫気に中てられたからヤリたくなっただけでしょうに」
「むうぅ〜〜。妻が赤ちゃん欲しいって言ってるのに、そんなドライなのはどうかと思うわさ!」
「……本気で欲しいのかい?」
「愛しい旦那様の子供が欲しくない魔物娘がいると思っているわさ?」
マルゥーの心の中は分かり難いとばかりにはぁっと一つ溜息を吐いてから、カンシューは星読みを再開する。
今回の星読みは普段カンシューが行っている不特定多数の――いわばぼんやりと大雑把で適当な占い方ではない。
目当ては自分自分の宿星とマルゥーの宿星の位置関係と二つの星に関連する星座の配置。それと妊娠や出会いなどに関連する良縁と奇縁を象徴する天体。
それらをカンシューの知識に当てはめつつも総合的に判断し、一つの結論へと結び付けていく。
「で、どうだわさ?」
もうすっかりカンシューの股間は防寒具から曝け出され、マルゥーの小さいながらも細く長めの指がカンシューの陰茎に巻きつき上下に動かすと、カンシューの陰茎には段々と力が篭りそそり立っていく。
そんな彼女の行動を咎める訳でもなく、星読みを終えたカンシューはマルゥーへ意外そうな顔を向けた。
「一発大当たりの相が出てるね」
「ふふっ。ではカンシューの占いが当たる事を祈りながら、満点の星空の中で青姦コースだわね♪」
「寒いから家の中がいいんだけどなぁ……」
「問答無用だわさ♪」
ふっくらと綿のように柔らかい新雪に体を預けたカンシューと、その上に覆いかぶさるように体を倒すマルゥー。
やがて静かな森の中に甲高い喘ぎ声と粘ついた水の奏でる音、そして二人がお互いへ向けて腰を打ちつける音が響き渡る。
そんな二人の様子を覗き見しようとした星が謝って天から滑り落ちたのか、天空の奥から一筋の流れ星が空の端から端まで駆け抜けるように横断していった。
11/11/11 20:55更新 / 中文字