読切小説
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許嫁のマレフドラゴンお嬢様とイチャラブ初体験する話
 その日は朝から、リノは機嫌が良かった。
 なぜ分かるのかって?
 リノは機嫌が良い時は尻尾を思いっきり左右に振る癖があるからだ。

 彼女のフルネームは稀宮(まれみや)リノ。
 種族はマレフドラゴン。
 かわいいかわいい、ぼくの許嫁。

 彼女と将来を誓い合った、たぶん世界一の幸せ者なぼくの名前は綴(つづり)ミツル。
 ……言うな。自分でも"つ"が多いなって思ってるんだから
 親同士が勝手に決めた結婚だけど、お見合いの席でぼくらは一目で恋に落ち、数十分後に親達が様子を見に来た時には完全なバカップルと化していた。

 さて、ここはぼくらが通う学園の屋上。
 時刻は丁度お昼休み。
 いつものようにベンチでお互いのお弁当を"あ〜ん"しあって、ひとしきりラブラブオーラをふりまき終えた後のことだ。

 リノは朝からずっと尻尾を振っていた。
 その回数が453回――朝のホームルーム時点でだ――を超えたところで、ぼくは数えるのを止めていた。
 コボルドみたいでかわいいなどと萌えている場合ではない。
 リノはマレフドラゴンだ。
 尻尾も当然、コボルドのようなフサフサ尻尾ではない。
 というか、ブンブンいう音は絶対ソニックブームだ!
 いい加減止めないとまずい。

「ねえリノ、そろそろ何があったんだか教えてくれよ」

 実はこの質問、本日で3回目である。
 前の2回はいずれも、「うふふ〜」と頬を緩めるばかりで、全く会話にならなかった。

「ミツル様、よくぞ聞いてくださりましたわ!」
「いや、朝から聞いてたんだけど」

 ぼくのツッコミには耳も貸さず、立ち上がる。
 実を言うと、何を言うのか少しだけ察しがついていたのだけど。

「お母様達から、婚前交渉のお許しをいただきましたわ!」

 リノはふんすと薄い胸を張って答えた。

 そう、お見合いから半年、ぼくらは未だに一夜を共に過ごしたことがなかった。
 リノの言葉の意味を理解するまでの数秒間でこれまでを振り返る。

 あっさり婚約成立したあの日、ボタンをひとつふたつ外したところでぼくらを止めた両親たちは、こともあろうに『許可するまでは清い関係でいろ』という命令を下した。
 お見合いに乗り気でなかったはずの子供たちの態度急変に動揺し、冷静に考えさせようとしたというのが理由らしい。絶対に違う気がするけど。
 お互いに名家の跡取りだ。
 様々な事情が複雑に絡み合うこの時代、その場のノリと勢いだけで結婚し、あとで『不都合が生じました』では済まされない立場だというのはぼくらもよく分かっていたので、渋々ながら同意したのだった。

 当然、寝起きもお互いに自分の家だ。
 おまけにぼくらが通う学園は、『学園内での性行為は厳禁』を始めとするお堅い規則に定評がある。
 まあおかげで朝起こしに来たらタイミングが悪かった的なあれやそれやや、お弁当を通じて料理が上達していく姿を見守る(意訳)といったラブコメあるあるシチュエーションをスキップせずに経験できたのだけれど。

 そんなわけでぼくらは、健全なイチャイチャから先に進めない哀しみを自らの手で慰めつつ、この半年間を過ごしてきたのだった。

 数秒経過。回想終わり。
 ぼくは言葉の意味を理解すると同時にベンチから立ち上がり、リノに飛び付いていた。

「だと思った。リノ!やっぱりきみも許可をもらったんだね!」
「ええ、ずっとこの日を待ち望んでおりましたわ!……って、もしかして、ミツル様もお許しをいただいておりましたの?」

 実は昨晩、ぼくも両親から呼び出され、厳かな態度で婚前交渉の許可を言い渡されていたのだ。
 いや、あの時は内容で雰囲気が完全に台無しだったよ。
 ルンルン気分のリノがかわいくて言い出せなかった。

「そうだけど……」
「それを早く言ってくださいませ!これでは勿体ぶったわたくしが、とんだ愚か者になってしまうのでなくて!?」

 途端に機嫌が悪くなるリノ。
 だが、ぷんすかという擬音が似合うむくれ顔はまったく怖くない。
 何をやってもかわいいが来てしまうのは、きっと惚れた弱みというやつだ。

「ごめんごめん、リノがかわいかったんだも、のっ!」
「なっ!?人前で抱っこはおやめなさ、んむっ♥」

 脇を掴んで抱き上げられたことにじたばたして抗議するリノの口を、キスで塞いで黙らせる。
 屋上に上がってきたばかりらしい白澤が、いちゃつくぼくらを呆気にとられた表情で見つめていた。





 その日の夜。
 相談の結果、今夜はぼくの家で過ごすことに決まった。

 やるべきことを片付けた後。
 先に風呂に入ってしまったリノに「用意をいたしますので、待っていてくださいませ」と言われるまま、一人寂しく風呂に入る。
 いつもより念入りに身体を流すのは、たぶんリノに失望されたくないからだ。
 上がったら寝間着に着替えてぼくの部屋の前へ。
 いつも寝起きしている場所のはずなのに、ドアの向こうにリノが居るというだけで、緊張で周りの空気が薄くなったように感じる。

 さあ、おふざけはおしまいだ。
 大丈夫、いつもの"イメージトレーニング"の通りにやればいい。
 一度深呼吸してドアを叩く。

「リノ、入ってもいいかい?」

 返事の代わりにドアが少しだけ開く。
 隙間から見慣れた黒い鱗と鉤爪からなる手が出てきて、ぼくを手招きした。
 促されるまま部屋に足を踏み入れる。
 そこで待っていたリノを一目見た瞬間、ぼくの心臓は初恋のように跳ね上がった。

 リノはどちらかというと、露出の少ない服を好んで着る。
 制服でさえ、いつもブラウスのボタンを一番上まで留めているくらいだ。
 だが今のリノが着ているのは、それらとは正反対の服だった。
 
 首元で二つに分かれた生地は胸とヘソの横を通って股間部で繋がっている。
 布地はかなり細く、ちょっと身じろぎすれば簡単に脱げてしまいそうだ。
 一応、腰の辺りがスカート状になっているが、それでも前と後ろを隠しているだけで、両の太ももが完全に丸見えになっている。
 普段の装いとの落差に、ぼくはクラクラと心地の良いめまいを感じていた。

「ね、ねえ、その恰好は……」

 理性が焼き切れかかっている頭に浮かんだ疑問をどうにか絞り出す。
 リノは片手をぼくの背中に回し、起伏の少ない身体をしなやかにすり寄せながら囁く。

「これはマレフドラゴンの伝統衣装……わたくしの、勝負服ですわ」

 空いた手の鉤爪に促されるままうつむくと、リノの蕩けるような視線と目が合った。

「ミツル様に操を捧げる日のために、ミツル様のオスに奮い立っていただくために……ミツル様に美しいと、愛しいと、想っていただきたくて……ミツル様のために、これを選んだんですの……♥」
「ぼくの、ために……」

 その時、ぼくの興奮の理由が女性がふしだらな格好をしていることから、大好きな女の子がぼくを求めてくれていることに切り替わった。
 ドラゴン属としては小柄なリノの身体を抱き締め返し、角やつむじにキスを落とす。
 再び視線を合わせると、ルビー色の瞳が潤んで揺れた。
 踵でドアを閉めながら、唇を重ねる。
 リノは応えるように翼でぼくの身体を包み込む。

 ただ触れ合わせるだけのキスなら、毎日のようにしてきた。
 "おはようのちゅー"や "また明日のちゅー"だけではない。
 何か感情を昂らせるようなことがある度に、ぼくらは愛しい人の額や頬や唇にキスをしてきた。

 けれども今は、そのときに感じる空高く舞い上がりそうな喜びは感じない。
 まるで頭の芯が溶け落ち、どこまでも沈んでいくような悦びがあった。
 そうだ。このキスは入り口。
 ぼくらはこれからキスよりも深い場所へと沈んでいくのだ。

 リノの尻を掬い上げるように抱き上げ、ベッドへと座らせる。
 押し倒さなかったのは、僅かな理性が彼女にも求められることを望んだからだ。
 互いの抱擁が解け、唇と唇が離れる。

「ミツル様……」
「リノ……」

 ゴツゴツした手がぼくの後頭部に回され、名残を惜しむようにリノの方から口づけしてくる。
 二度目は短く、強く。
 あっという間のことだったけれど、終わった時、ぼくらは全力疾走した後のように頬が上気していた。

 また、リノの瞳が揺れた。
 縦長の瞳孔が妖しく窄まるのが分かる。

 甘えるように、ぼくの胸元に頬を寄せてくる。
 一緒に擦りつけられる角の感触が心地良い。

「脱がして、さしあげますわ」

 後頭部を離れた手が肩口を伝って寝間着のボタンに掛けられる。
 じれったくなるような緩慢な動作でボタンを一つ一つ外していく。
 されるがままになっていると、すぐに肌着が露になった。

 そこからはあっという間に丸裸にされた。
 バンザイの格好になった両腕をシャツが抜けていく。
 薄手のズボンがトランクスごとずり下ろされる。

 反射的に両手で股間を隠したぼくの様子を見て、リノは艶やかに微笑んだ。

「アソコをいただくのはあとのお楽しみ……次はミツル様が脱がしてくださいませ♥」

 両手を広げ、薄い胸を張って見せる。
 その直前、彼女の指が首筋を指したのを、ぼくは見逃してはいなかった。
 誘われるまま首の後ろに手を回す。
 留め具らしい硬い感触を軽く弄るとすぐ手応えがあった。
 首元の目を模した装飾がリノの肌を滑り落ち、膝の上で止まる。
 そこからはスカート部分に手を掛けて細い脚から引き抜いていく。
 前垂れの下に隠されたそこを目に焼き付けながら、"勝負服"をベッドの外へ落とす。

 こうしてぼくらは、生まれたままの姿になった。

「リノの身体、モデルみたいで、すごく綺麗だ」
「ミツル様こそ、細いのにちゃんと筋肉が付いていて、素敵ですわ」

 視姦もそこそこに再びハグを交わす。
 しっとりとした肌を直に感じ合う。
 リノの身体は陽だまりのように温かい。
 小さな胸の奥で、その温もりの源が鼓動を刻んでいるのがはっきりわかる。

「今夜は、愛し合いましょう……♥」

 リノの甘い声が耳朶から入り込み、背筋をわななかせる。
 ぼくの身体が強張った隙を縫い、唇に唇が襲い掛かった。
 すぐに口内にぬるりと生暖かい何かが入り込んでくる。
 獰猛という表現が似合う、激しいキスだった。
 ぼくはそれに舌を伸ばして応える。
 同時にリノの舌が意外なほど長いことを知った。

 彼女の味覚器官はぼくと戯れるように蠢きつつ、口腔を這い回る。
 自分の入り口が愛する者に染められていくにつれて高まる、頭の中をかき回されるような酩酊感を存分に味わってから、押し返す。
 初めて味わうリノの粘膜は、かすかにバラの香りがした。
 さっき自分の口内を染めた何かと同じものを感じながら、許嫁の味を楽しんだ。

 互いに相手の口の中を満たし合ってから、最後は唇と唇の間で舌を絡め合う。
 リノの舌遣いはぼくよりずっと器用だった。
 舌を丸めて集めた唾液を、ぼくの舌の上に落とすところから始まる。
 筋をゆっくり舐め上げたかと思えば、甘噛みで動きを封じて先端を執拗に舐る。
 ぼくもなんとか彼女の舌技を真似ようとするけれど、ぎこちない動きになってしまう。
 それでもリノは時折感じ入るように身を震わせ、「気持ちは伝わっていますわ」とでも言うように舌で愛撫してくれる。
 舌によるじゃれ合いの中で、酩酊感の泥沼の中から、ぼくは交歓する喜びを汲み上げることができた。
 ナメクジの交尾さながらの舌性交は、唐突なリップ音と共に終わった。

 ぼくらの視線が交わる空間で、カクテルされた唾液が逆アーチを作って消える。
 舌と舌を合わせるのがこんなに気持ちいいのに、舌とあそこを、あそことあそこを合わせたらどれくらい気持ちいいのだろう。
 ぼくもリノも、もっと先に進むことを望んでいた。

 二人でベッドの上に倒れ込む。
 わざとらしく頬や鼻先をついばみ、笑い合う。

「こういう時は、殿方がリードするものではなくて?」

 悪戯っぽく口角を上げるリノに背中を押されるように彼女に覆い被さって――止まってしまう。

「恥ずかしいんだ。エッチなところにキスするの」

 唇の周りにばかりキスをしていたのは、ぼくの理性が気恥ずかしさを訴えていたからだ。
 何か、もっとすごい場所にキスをするきっかけが欲しい。

「恥じる必要など、どこにもありませんわ」

 リノが茶目っ気に満ちたバードキスで誘う。
 情欲に出来上がった瞳が、ぼくを確かに見つめ返した。

「ミツル様は、ミツル様の望むままに振舞ってくださいませ。わたくしはミツル様の全てを……それこそ、淫らなミツル様も……受け入れたいんですの……♥」

 それがきっかけだった。
 ぼくはリノの鎖骨に、リノの首から下に、初めてキスをした。

 リノはぼくのしたいようにしていいと言った。
 ならばぼくは、リノを気持ちよくしてあげたい。
 鎖骨からゆっくりと下に降りていく。
 ドラゴンらしくない膨らみの始まりで、ひときわ強く唇を当てて離す。
 キスマークを作るつもりだったのだけれど、肌が少し濡れただけで終わった。

「わたくしがミツル様のものだという証なら、最後に思いっきりつけていただきますから、焦らなくても結構でしてよ」

 自信と、どこか期待を秘めた声が降ってくる。
 ぼくがその意味に気付いた時、へその下で何かに火が点くのを感じた。

「リノ……」

 最後に口を付けた場所から斜め下、なだらかな丘が作る浅い谷間に顔を埋めた。
 ひと呼吸で肺がリノの香りで満たされる。

「ふふ、ミツル様♥」

 リノはまるで慈しむように爪でぼくの髪を梳く。
 視界は肌色で満たされているけれど、彼女が母性に満ちた笑みを浮かべているのは手に取るように理解できた。
 期待していた圧迫感はないけれど、そこには十分すぎる満足感があった。

「わたくしのお胸、匂い以外も愉しんでくださいませ……♥」

 ぼくを胸から引き離し、劣情に濡れた瞳を細めて誘う。
 その時初めて、ぼくはリノの生胸を意識して観察した。
 彼女の胸はあまり大きいとは言えない。
 けれども重力に負けずツンと突き出す小ぶりの乳房には、どこか健康的な魅力があった。
 その頂点では乳輪がぷっくりと膨らみ、さらにその中央で乳首が存在を主張するように勃っている。
 いわゆるパフィーニップルだ。
 
 リノがいつも着ている服の下に、こんなに淫らなおっぱいが隠されていたなんて。
 許嫁のシークレットエリアを見られたという感激は、そのまま彼女の身体をもっと味わいたいという興奮へと繋がり、ぼくを次の行動へと駆り立てる。

 両手で両胸のわずかな乳肉を摘まみ、乳腺をほぐすように、むにゅむにゅと指の間で転がす。

「ふああ……っ♥」

 リノが身体を震わせ、よがり声を漏らす。
 その声色からは、未知の感覚への戸惑いよりも、大好きな人に愛撫をしてもらえたという喜びが感じられた。

 一旦指を緩め、少しだけ上へ。
 そして再びむにゅむにゅ。
 リノの性感が十分高まった所で再び上へを繰り返す。
 乳首に近付いていくにつれ、リノの喘ぎ声も短く、切羽詰まっていく。
 実はなんとなくでやっていたものだが、思ったより効果は大きいようだった。

 乳輪の縁まで辿り着いたところで、攻め方を変えてみる。
 そこから先に直に触れないように摘まみ、左の乳輪に舌を這わせた。

「はんっ♥」

 舌による愛撫に、リノは鋭い反応を返した。
 揉んでいた時も思ったけれど、リノの小さな胸はなかなか感度が良いらしい。
 円を描いてねぶり回し、時折思い出したように右乳を手で弄繰り回す。
 充分唾液で濡らしたところで、満を持して充血した乳首に吸い付いた。

「あああああんっ♥」

 リノが身体を弓なりに反らし、今までで一番大きな声を上げた。
 どうやら軽くイってしまったようだった。
 そのまま浮いた背中を抱いて、追撃に入る。
 飴玉を転がすようにポッチを舌で弾くたび、リノはぼくの腕の中で身体を痙攣させる。
 出るべきものを求めるように吸引すれば、リノはどこか間の抜けた喘ぎ声で応える。
 味はしないし、母乳も出ないけれど、ぼくの心は確かに満たされていった。

 右乳首に何の予告もなく吸い付くと、「はううんっ♥」とまたリノが身を震わせてイった。
 今度は空いている方も意識してこね回す。

 揉んで、摘んで、舐めて、吸って。
 両方の乳首が唾液まみれになる頃には、ぼくは完全にリノのおっぱいの虜になっていた。

 リノの胸を楽しむだけ楽しんだ所で、もっと下へ。
 二度もイっているのに、まだ物足りなそうな顔をしているからだ。
 ぷにぷにと柔らかい腹を真っすぐ進む。
 途中でキュートなヘソに入念に口づけを落とし、下腹部に向かう。

 そうしてとうとう、ぼくは脚と脚の間にある楽園に辿り着いた。
 まずはおっぱいの時と同じくワレメを観察する。
 リノのそこは毛がまったく生えていない。
 文字通りの無毛。
 いわゆるパイパンだ。
 もちっと盛り上がった左右の肉が作る一本筋の間から、どこか品のあるピンクのひだが覗いている。
 無修正の動画を見たことはあるけれど、リノの秘所からはモザイクの向こうにあったもののような汚らしさを全く感じない。
 まるで可憐な花弁だった。

 どこか感動を覚えながら、下から上に向かってひと舐めする。

「あん……っ♥」

 リノは控えめに喘いであっさり脱力した。
 身を委ねるようにだらしなく股を開く。
 マレフドラゴンという高位の種族である彼女が、こんなはしたない姿を見せてくれていることに、ぼくは愛しさと興奮を感じていた。
 その気持ちのままに両手で太ももを押さえ付け、下の口にむしゃぶりつく。
 綻びつつある淵を舐め回して、熱く火照った中に舌を差し込んで、溢れ出す蜜を啜って。

 場所によって変わるリノの反応を確かめていくうち、ぼくは一番感じる場所を探り当てた。
 クレヴァスの上端近く、左右からのひだとひだに埋もれるようにして、小さな突起物があった。
 指でひだを押しのけ、お試し感覚で舌先で突いてみると、リノの身体がびくびくびくっと震え上がった。

「ミ、ミツル様っ♥ そこは……あっ♥」

 ぼくが攻めに入ってから初めて、リノの口が意味のある言葉を紡いだ。
 しかし、「そこは」の先が喘ぎに遮られ、肯定か否定かを示すことはなかった。
 けれども媚びるような響きが、ぼくに続行を選ばせた。
 彼女の反応に嗜虐心を煽られたのかもしれない。

 リノの言う"そこ"を発見した辺りに唇を押し当て、再びひだの中へと舌を送り込む。

「ひゅあ!? はひゃああああんっ♥」

 ぼくが実(さね)の存在を捉えた瞬間、リノは感電でもしたように暴れ出した。
 乳首の時より明らかに反応が過敏だった。
 上目遣いにリノの顔を見ると、目を見開き、浅い呼吸に合わせて声を漏らしていた。
 視線を戻し、目を閉じて舌先に神経を集中させる。
 そのまま矢継ぎ早に牝芯を舐め上げる。

「ミ、ミツル様、お待ちになっ……てっ♥ あっ、あっ、あー♥」

 呆けた声とは対照的に身体が激しく波打ち、ぼくは思わず口を離してしまう。
 直後、リノの秘裂から間欠泉のように液体が噴き出した。
 如何わしい流出音と共に次から次へと溢れてくる。
 ベッドシーツに大きなシミが出来上がった時、リノは焦点の合わない眼で荒く息をしていた。

「あの、大丈夫……?」
「つ、遂に見られてしまいましたわ……」

 ぼくが声を掛けると、リノの顔がくしゃくしゃになり、恥じらいと悦びが交じり合った表情で戻ってきた。

「ミツル様を想ってオナ……一人で致す時、オマ……たでイくといつもこうなってしまいますの……」

 両手で顔を覆うが、鉤爪の間からまさに「穴があったら入りたい」という言葉が似合う赤面が覗いていた。
 いつも自信満々のはずのリノが初めて見せるその姿に、ぼくの暗い征服欲が満たされていくのを感じた。

「ぼく、リノのことをちゃんと気持ちよくできたんだね!」
「そう言っていますのよ!」

 小柄な体格から想像の付かないほど強い力で、無理矢理体勢を入れ替えられる。
 手が除けられた顔がぼくの視界でアップになる。
 そこにはもう、普段の調子が戻っていた。
 視線が合わさったのも束の間、情熱的なキスで唇を塞がれた。
 再び割り込んできた舌を味わった時間は僅か。
 唇が離れると、リノは口角から涎を垂れ落としながら不敵に笑んでいた。

「今度は、わたくしがミツル様によくする番ですわ♥」

 もう待ちきれないと言わんばかりにぼくの身体を下っていく。
 立派とは言えない胸板の頂点に、長い舌を這わせてきた。

「ひうっ!?」

 乳首にぴりりと電流のような感触が走り、思わず変な声が出た。

「ふふふ、殿方もここが感じますのね♥」

 その笑みに嗜虐心を滲ませながら、鉤爪でもう片方の乳首をこね回してくる。
 リノは攻めに回ると意外なほど饒舌になるようだった。
 彼女の手や舌が動く度に、ぼくの胸の奥から頭に向かって何かがこみ上げてくる。
 それが頭の中に満ちた瞬間、ぼくはイってしまうのだと本能的に理解する。

 さあ、ぼくの胸でイかせて。

 けれども、息を吐くことを忘れかけたところで、リノの攻めは止まってしまった。

「リノ……?」

 疑問の声には、無意識のうちに最後までシてほしいという哀願を込めていた。

「まだ、イかせませんわ……♥」

 獲物をいたぶる捕食者の域に入った笑みで、乳首舐めを再開する。
 その手は次に攻める場所を予告するように下へ。
 股間でいきり立つモノを弱く握ると、ゆるゆると上下させ始めた。
 鱗でざらつくリノの手は、それだけで思わぬ快感を生んだ。

 やがて胸を弄んでいた舌の感触も下腹部へ。
 ぼくが攻めていた時と同じようなルートで股ぐらに向かっていく。
 そこにそびえる肉の塔を一瞥して、リノはじゅるりと涎を啜った。

「嗚呼、これがミツル様のオ×ンポ……とっても太くって、長くって、硬くって、素敵……♥」
「言わないでよ気にしてるんだから」

 実はぼくは股間のイチモツが同年代の男子としては大きいのではないかと気にしていた。
 小学生の時、クラスメイトの男子達から、どこで覚えたのか陰で『もっこり』などと呼ばれていたのが影響しているのかもしれない。
 今回だって、今まで下半身のことを思考の外に追いやっていたくらいだ。

「気にする必要なんてありませんわ。こんなに逞しいオチ×ポ、オマ×コに挿れられたらわたくし、きっと気持ちよすぎて頭がどうにかなってしまいますわ♥」

 リノが先端に優しくキスをしてくれる。
 コンプレックスを肯定してくれる未来の奥さんに、性的興奮とは違う何かで心が温まっていくのを感じる。
 そんなぼくの想いを知ってか知らずか、勃起を見つめる彼女の瞳には、明らかにハートマークが浮かんでいた。

「まずはお口でいただいてしまいますわね……♥」

 リノは付け根にぶら下がるフクロを二、三度、浅漬け感覚で揉むと、片方のタマごと口に含んだ。

「……!」

 へその下が吸い込まれるような感触に、ぼくは思わず息を呑む。
 リノはその様子に満足したように目だけで笑い、口の中で転がす。
 んぷあ、と吐き出した後、もう片方を口の中へ。
 これも味わうように舐め回した後、水音と共に追い出した。

 続いて竿の付け根に口を付け、ハーモニカを乱暴に吹き鳴らすように舌先を走らせる。
 カリ首の直前で止まって再び付け根へ。
 リノは鼻先でうまくバランスを取りながら、自分の顔面にペニスを乗せてしまった。
 でろでろに緩んだ口から熱っぽい息がかかる。
 大きく口を開けて舌を思い切り伸ばし、裏筋を舐め上げ始めた。
 肉色のナメクジが這った跡から背筋にかけて、戦慄に似た快感が走る。
 長いようで短い舐(ねぶ)りが最先端に辿り着いた時、鈴口からは涙のように先走りの液が溢れ出していた。

 リノは舌先で透明な汁を軽く舐め取ると、満を持してぼく自身を咥え込んだ。
 頭をゆっくりと上下させながら、肉棒全体をくまなく舐め取っていく。
 男根で初めて味わう彼女の口内は、生暖かかった。
 オナホールというものを使ったことはないけれど、許嫁のフェラはそれよりもずっと素晴らしいものだという確信があった。
 やがて頭部の運動は亀頭にあるカエシ状の部分で止まった。
 まさにぼくのストライクゾーンでだ。

 股間に埋まったリノの頭が再び動き出す。
 今度は小刻みなヘッドバンギングだ。
 同時に舌撃が再開する。
 締まった唇が張ったエラを行き来し、舌で尿道をつつかれる度に、ぼくの腰は跳ね上がりそうになる。
 やがて腰の奥から尿意に似た射精感がこみ上げてきた。

「リノ、ぼく、もう……!」
「ひいれふわ、らひへ、ふらはいわへ♥」

 たぶん『いいですわ、出して、くださいませ♥』と言って、リノはぼくの陰茎を喉に届かんばかりに頬張ると、ずぞずじゅるるると卑しいバキューム音と共に吸い立てた。
 瞬間、ぼくの辛抱は決壊した。
 吸い出されるまま、リノの口の中へと射精する。
 舌の上に流れ出た何かに、彼女の目が驚きで見開かれる。
 初めて誰かによって導かれたそれはしかし、擬音で例えるなら"びゅるっ"という間に終わってしまった。
 しゃぶられている最中、ずっと頭のどこかで、『リノとちゃんと繋がってイきたい』と思っていたおかげかもしれない。
 同時に半分ほど平常心を取り戻した頭が、『精液はそんなに美味しくない』という知識を引き出す。
 ここは気遣いを見せるべきだろう。

「あの、ごめん。口に出しちゃった……」

 だがリノは何も言わず、硬さを保つモノを舌で一心不乱に舐め回す。
 やがてひょっとこのように口を尖らせながら、唇で拭き取るように吸い上げ、仕上げにちゅぽんとぼくのイチモツを解放した。
 そのまましばらく目を閉じて、口の中に残った液体を味わっていたが、やがて意を決したように飲み干した。
 こくん、と喉が鳴る。
 息を胸いっぱいに吸い込み、深く吐いた時、リノはうっとりとした表情を浮かべていた。

「思いきり出してくださっても良かったのに」
「そういうリノだって飲まなくても……」
「ミツル様が悦んでくださった証ですもの。不快なわけ、ありませんわ……♥」

 愛しげにぼくの身体を抱きしめ、頬にキスをしてくれる。
 彼女がぼくの精液を楽しんでくれたという事実に胸が高鳴り、高鳴りは股間に更なる隆起を促す。
 リノはすぐに離れて、仰向けに寝転がる。
 透き通るような銀髪が、ベッドの上に広がる。

「ミツル様、来てください。わたくしを、貴方のメスにしてくださいませ♥」

 あられもなく脚を開いて誘う。
 ぼくはついにその時が来たのだと悟る。
 静かにリノにのしかかり、先端を股のスリットにあてがう。
 すぐに彼女の手が入り口へと導いてくれる。
 ほのかに暖かい鱗と、注意深く立てられた爪からなる感触が、却って心地いい。

 意を決し、陰唇に隠された洞穴へと腰を進めた。
 愛液で濡れそぼったそこは、すんなりとぼくを受け入れた。
 ひだをかき分け、リノの中を押し広げていく。
 途中、わずかに抵抗感を覚えるが、軽く力を込めるとあっさり突き抜けた。
 膣内のぬめりと勢いで、そのまま全部が入ってしまう。

「あぐ……っ、んぎっ……」

 リノが眉をひそめ、歯を食いしばる。
 ぼくと繋がっている部分から、彼女が処女だった証が赤く流れ落ちていた。

「大丈夫? リノ」
「身体が、真っ二つになるかと思いましたわ……」

 リノの目が、涙をこらえていた。
 女の子の初めては痛いという話は聞いていたけれど、相当応える痛みだったらしい。
 初めて見るしおらしいリノの姿に、胸の奥がちくりと痛む。
 彼女を思いやる気持ちのままに、その身体を抱き締めた。

「リノ……痛いなら、やめようか……?」

 リノの脚が、静かにぼくの腰に回される。

「やっとミツル様と一つになれたんですもの。こんなところで、終わりたくなんかありませんわ……」

 目を潤ませながらも気丈に返す。
 この半年間、ずっと待ち望んでいた時が来たのだ。
 身も心も溶け合った先に、何があるのか見たいと思うのは、ぼくも同じだった。
 だからそこに向けて歩きはじめるまでの今この時も、大切にしていきたい。
 動けなくても、できることはある。

「なら、待ってるよ。痛くなくなるまで、このままでいようか」
「ええ、ミツル様……♥」

 抱擁を解いて、右手をリノの左手に重ねる。
 手のひらと手のひらを合わせ、お互いの指の間に自分の指を挟み込むように繋ぐ。
 いわゆるラブ握りだ。

「リノ、好きだよ」
「……!」

 ヒレのような形の耳に囁く。
 リノが息を呑み、膣内が別な生き物のように蠢いた。

「わたくしだって、ミツル様のことがだぁい好き……ですわ♥」

 脳が溶け出しそうな声でリノが応える。
 握り合う手に力が入る。
 愛を囁き合うことはこれまで何度もしてきたけれど、身体を繋げた状態でするそれは、ただ言葉を口にするよりもはるかにぼくの胸を満たしてくれた。

 そこからは、互いの気持ちいい場所をおさらいするように身体をまさぐり合った。
 攻める場所は同じでも、ぼく達は次々と新しい攻め方を見つけ出した。
 例えば乳首と乳首を擦り合わせる。
 「はうっ!」と二人同時に似たような声を上げてしまい、同じ場所が感じることが嬉しくて笑い合った。
 例えば尻肉の間にある窄まりを指先で軽くほじくる。
 リノは「そちらはまた今度のお楽しみにいたしましょう♥」と意地悪く言って、ぼくの尻にやり返した。

 その間も結合部で動きは無くても、ぼくは硬さを保ち、リノは止めどなく愛液を溢れさせていた。

 勿体ぶるような相互愛撫の後、すっかりのぼせきった表情のリノが口を開いた。

「そろそろ、いいですわ……♥」

 動きやすいように脚を緩めてくれる。
 ぼくはリノの太ももを支えながら腰を引き、カリ首でひだの一つ一つの存在を確かめるように進む。

「あんっ♥」
「んうっ!?」

 竿をゾクゾクと戦慄に似たパルスが走る。
 一往復しただけなのに、腰が抜けそうだ。
 リノがぼくの二の腕を掴み、物欲しげな眼差しを向けてくる。
 快感の波が引いたのを見計らって、今度こそとピストンを始めた。
 すでにリノの感じる場所の見当は付いていた。
 "かえし"の部分で肉洞の上側を擦り、先端で最奥を突く。
 まだ中が強張っているのを感じる。
 まずは慣らすようにゆっくりと。
 快感が薄れない程度を意識して。
 それはリノの表情から計り知ることができた。

「あ……っ、ん……っ♥」

 リノが頬を上気させ、切なげに声を上げる。
 ぼくが腰を前後させるのにシンクロして、彼女の口から息が漏れていた。
 やがて緊張がほぐれてきたのか、膣内の動きがただ単純な締め付けから、射精を促すような蠢動へと変わっていく。

 そろそろピストンの速度を上げよう。
 抜き差し運動に文字通り本腰を入れる。

「あっ!? はっ、あっ、あっ、ああんっ♥」

 不完全燃焼のままくすぶっていた快感が一気に解放されたのか、リノがはしたない声を上げる。

「あっ、あっ♥ ああっ♥ ミツル様♥」

 そのなかでどうにか紡いだ意味のある言葉が、ぼくの名前だと理解した途端、結合部に熱が宿った。
 大好きな人に名前を呼んでもらえるのがこんなに嬉しいなんて。
 自然と腰使いが激しくなる。

「リノ、リノ! リノッ!」
「ミツル様、ミツル様! ミツル様♥」

 負けじとぼくも愛しの邪竜様の名前を呼ぶ。
 それはすぐに互いを高め合う言葉の連弾に変わる。

 同時にぼくは理解した。
 ただ快楽を得たいからじゃない。
 リノとの子供が欲しいからだけじゃない。
 リノのことがこんなにも好きなんだと伝えたいから、身体を重ねるのだ。
 それに気付いた瞬間、感情が口から溢れ出した。

「リノ、愛してる」

 赤い瞳を真っすぐ見つめながら言った。
 "好き"と"愛してる"の違いなんて、ぼくには分からない。
 けれども、今この時に言うべき言葉は、"好き"よりも"愛してる"の方がしっくりくる気がした。
 途端にリノの秘所がぎゅっと締まり、肉棒の先端にぐにっと弾力があるものが当たった。

「あああああっ♥ ミツル様のオ×ンポが、わたくしの赤ちゃんのお部屋にっ、キスしてますわ……♥」

 リノが感極まった声を上げる。
 その言葉から、今ぼくの鈴口に情熱的に吸い付いているものが子宮口であることを知った。
 つがいとの子を成すという本能レベルでぼくを求めてくれているこのマレフドラゴンに、愛しさで胸がいっぱいになる。

「こっちでもキスしよう」

 唇を差し出すと、リノは軽く唇を重ね合わせ、間に空いた僅かな空間で舌を絡めてくれる。
 これまでのキスと比べて密着度は薄いけれど、それで十分だった。

 ぼくは極限まで硬くなったモノで、リノの子宮を全力で押し返す。
 いよいよラストスパートだ。
 カリ首でリノの腹の裏側を擦るイメージで上下させ、時折子宮口リングを捏ね回すような円運動を加える。

「愛しています、ミツル様♥」

 リノは手足でしがみ付き、膣道を蜜で満たしてぼくに応えてくれる。
 そこからは再び言葉の連弾になった。

「リノ、愛してる」
「愛しています、ミツル様♥」
「リノ、愛してる」
「愛しています、ミツル様♥」
「リノ、愛してる」
「愛しています、ミツル様♥」

 やがて股間から背筋を通って、尿意に似た感覚が込み上げてきた。
 悦びの時が近いことを悟る。

「ミツル様、イくのですか、イくのですね♥」
「うん、イきそう、みたい……」

 興奮で上擦った声での問いに、どうにか答えをしぼり出す。
 そこからはもう、リノの中に出すことしか考えられなくなった。
 ぼくはただ腰を振り、リノは触覚と聴覚で煽り立てる。

 そしてその時は唐突に訪れた。
 リノが「あ゛っ」というこれまで明らかに違う喘ぎ声と共に、ぼくの腰に絡めた脚に力を込めた。
 ぼくは引き寄せられるままリノの最奥を亀頭で貫く。
 それがスイッチとなったように、ただでさえ狭いクレヴァスがきつくきつく締まる。
 射精中枢から確かに電撃が走り、ぼくはリノの胎内に精を放った。

「ううっ、リノ、リノ……!」
「ミ、ミツル様ぁああああああああああんっ♥」

 フェラの時とは文字通り桁違いの量の精液で肉壺を満たしていく。
 それがリノへの愛の証になることをぼくは確信していた。

 ぼくとリノは抱き締め合い、身体を隙間なく密着させる。

「リノ……リノ……」
「ミツル様……ミツル様……」

 くどいほどに名前を呼び合い、キスを繰り返す。
 射精が終わった後も、ぼく達は繋がったまま絶頂の余韻に浸っていた。





 萎えてきたのを見計らって、ゆっくりと結合を解いた。
 うな垂れたモノを引き抜くと、リノのワレメから白濁液が溢れ出した。

「いっぱい、出ましたわね……♥」

 リノが満足げに微笑む。
 その様子にもっとしたいという気持ちが少しだけ湧くけれど、身体の方が限界を訴えていた。
 でもせめて、眠ってしまうまではいちゃついていたかった。
 横向きに寝転がり、腕を差し出すとリノが嬉しそうに頭を乗せてくれた。
 こうして同じベッドで許嫁と寝るというのは、新鮮な気分だった。

「ねえミツル様、"初めて"のご感想はいかがですの?」

 目に少しだけ不安を滲ませながら尋ねてくる。
 素面に戻ってきたことで、自分がちゃんとぼくを気持ちよくできたのか、考える余裕ができたのだろう。
 ぼくも興奮が引いてきたことで、初めてのセックスを冷静に振り返ることができた。
 いろいろ言いたいことはあるけれど、一番言いたいことはすぐに出てきた。

「その……シてる時のリノ、すごく、可愛かった……」

 リノはあらまあ、と表情だけで言った後、はにかみながらぼくに身を預けてきた。

「ミツル様も、とーってもカッコ良かったですわ♥」

 そういうリノの声は、どこか弾んでいた。

 これからぼく達は毎晩のように身体を重ねることになるだろう。
 それは新しい楽しみが増えるということを意味していた。

「ミツル様、わたくし達は一つのつがい……ずっとずっと愛し合うオスとメスでおりましょう」
「うん、結婚してからも、パパとママになってからも、ラブラブセックスしようね」

 歯が浮くような台詞を言えてしまうのはきっと、ぼく達の心に一つになれた喜びが焼き付いているからだ。

 この分だとぼくとリノの間に子供ができるまであっという間だろう。
 いや、学生の身分のうちにそうなってしまったら、それはそれで困ったことになるのだが、想像している分には楽しい。
 そうだ。リノと心も身体も繋がり合える日々は、きっと楽しいに違いない。

「これからもよろしく。リノ、愛してるよ」
「ええ、わたくしもですわ。愛しております、ミツル様♥」

 行為の最中、何度も口にした言葉を交わす。
 その時リノは確かに、満たされた女の顔をしていた。

(おわり)
24/10/18 22:46更新 / 正木大陸

■作者メッセージ
どうも初めまして、正木大陸と申します。

えっちい話を書きたいなと思ってネットの海を彷徨っているうちに、
ここに辿り着きました。

とりあえず一発目はピンときた娘とイチャコラする話にしようと思い、
本作と相成りました。

マレフドラゴンちゃんを一目見て「こいつはですわ系お嬢様だな」となったのに、
観測した限りではそんなキャラのマレフドラゴンSSがなく、
だったら自分が書いてやるという決意と、
かねてからの親が勝手に決めた結婚だけど、好き合ってる許嫁と
イチャイチャする妄想を詰め込んだ結果、
約1万5千字の本作が爆誕しました。

最後に、元からの遅筆故
こちらへの投稿頻度は控えめになるかもしれませんが、
これからよろしくお願いします

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