森の中
「フン、所詮はこの程度か」
私は剣を鞘に収め、踵を返した。
眼前には気を失い地に伏す若者。
兜の上から剣の平で叩き付けただけだ。鍛えている様だし、このまま介抱せずに放置しておいても直ぐに目を覚ますだろう。
倒した相手にはもう用は無い。いや、私に容易く倒される程度の相手には用は無い、と言うべきか。
もう私には十分な時間が残されていないのだから、先を急ぐとしよう。
***
私は力を求め、幼い頃からずっと鍛錬を続けてきた。
人肌恋しくなる事もあったが、戦士の種族としての義務がそれに勝った。
しかしここ最近、自分の物ではない肌の温もりを欲しい、と思う事が増えてきた。
特に武者修行の旅から帰ってきた、それも私よりも遙かに年下の者たちが、旅先で見つけた夫と共に仲睦まじくしているのを見ると、長年ずっと放置してきた私の中の「女」としての部分が、強く疼いた。
半ば本能的な衝動に背を押され、強引に武者修行の旅に出てから早、幾星霜。
名のある戦士や、力自慢の若者の噂を聞けば直ちにその地へと赴き、そして勝負を挑み勝ち続けてきた。
戦士として最も脂がのっていた、研ぎ澄まされた剣の様であった頃も昔の事だ。
膂力の衰えを技と経験で補い、今では技と経験で肉体的な衰えを覆い隠しきれなくなっている。
女としても、華と呼ばれる頃はとっくに過ぎ去っている。
戦士としての義務よりも、女として、あるいは母親としての義務を果たし、その技と経験を次代の娘たちへと継承すべきなのは身にしみて分かりきっている。
ただ、私を打ち負かす事の出来る強い、私に相応しい相手が、見つからないのだ。
例え戦士でなくとも、もしかして私に勝つのではないかという微かな可能性に賭け、男ならば誰でも構わずに戦いを挑む様な旅となっている。
私の中には、母親としての義務を果たせなくなる年齢が徐々に迫ってきているという焦りがあった。
私の戦士としての衰えは、何れ誰かに打ち負かされるという形で明確になるだろう。
しかしその時が来た時、私は義務を果たせるのだろうか?
***
街道とはいえ、通る者はそれほど多い訳でもない。
戦士と限らずとも、妻や恋人の居ない男というだけで、出逢う人数は限られている。だから先ほどの様に、明らかな戦士に出くわす事は、良くて数日に一度だと言える。
そしてその後、誰とも戦いを挑めないままに街道を進み、そろそろ日も落ちようかという頃になって、ようやく一人の少年を見つけた。
軽装で、格別体格が良い訳でも無ければ、身のこなしも凡庸。戦いの訓練を受けた訳でもない、おそらくは近くの村に住むただの農夫の子だろう。
剣を帯び、戦士然とした私の姿を見て、少し怯えている様にも見える。
しかし余裕の無い私は、それでも戦いを挑むしかなく、少年に声を掛ける。
「手合わせを願おう」
少年は、私に背を向けて逃げ出した。
「待てこら!」
追ってどうこうしようという意図があった訳ではない。傍目には明らかに、私が悪者にしか見えない構図なのも分かっている。ただ逃げる者の背を追うという血が成せる、訓練以前に身についていた反射的な行動だった。
街道から外れ、森の中へと分け入る。
森の中は既にかなり薄暗く、直ぐにこのまま追い続けるべきではないと理性が警鐘を鳴らしていた。
このまま私が追い続ければ、少年は森の奥へと入るだろう。日の落ちた森の奥というのは、少年には危険すぎる。私が間接的に命を奪う事になりかねない。
「すまない! 逃げなくて良い、私はもう立ち去る!」
少年の耳に届くかどうかは分からないが、森の奥へと叫んだ。
そして森から出て街道へ戻ろうとしたその時、頭上から鈍い音が聞こえ次の瞬間、私は地面に叩き付けられていた。
鼻腔には土と緑の匂い。
森故に足下は柔らかな腐葉土で、何処にも怪我らしい怪我は無い。
それは、私の上にその身体の重みを掛ける少年も、同じ様だった。
少年の下敷きになりながら、考えを巡らす。
武器も持たず、例え私が武器を使わずに素手であったとしても同じだ。体格で劣り、技量や経験でも明らかに差がある以上、正面から掛かっても勝ち目など無い。
私を倒すにはそれこそ、木の上から飛び掛かりでもしなければ。
確かに特別身体を鍛えている訳でもないし、戦士としての訓練を受けている訳でも無いだろう。しかし現にこうして私に土を付けたのだ。その機転と勇気は十分褒め称えるに値する物ではないか?
「大丈夫ですか?」
背の上から、少年の心配そうな声がした。
「ああ、大丈夫だ……それで、少し話は変わるが。恋人や許嫁は居るか?」
「え、居ませんけど、あの」
身体を横に捻り、背中の上に居る少年を身体の横に振り落とすと共に仰向けになり、軽く反動を付けて尻尾を使わずそのまま腹筋で上体を起こす。
華奢という訳ではないが、背に感じていた重さからすると、引き締まっていると言うにはもう少し肉が欲しいかもしれない。ただ年の頃を考えるなら骨格も未だ出来ていないのだから、身体を作るのはまだまだこれからだろう。
少年の傍に顔を寄せると、少年が慌てて体温が上がっているのが分かる。木と土の匂いに混じり、火照った少年の肌から微かに立ち上る、汗の匂いの中に間違い無く存在する甘い男の匂い。
子供から男へと移り変わりつつある途上ではあるが、明らかに既に男としての能力を内包しているのが分かる。
「私の夫となれ」
詰めていた息を吐き出し、一気に押し倒す。
とはいえ、勢いで押し倒してしまったものの、この様な事に経験は無い。
そもそも知識すらあまり豊富とは言いかねるのが実情だ。
それでもこの目の前の少年よりは知識はあるだろうし年上として、そもそも押し倒してしまった以上は、私が最後まで主導するしか無い。
しかしさほど知識がある訳でもなく、どうすれば良いのか必死に考える。
とにかく最終的には挿れてしまえば良い。ただそれには先ず準備が要る。
唇を重ねた。
柔らかく温かい感触を唇に感じる。
そのまま頭ごと強く押しつけ、少年の熱い吐息すら分かる強く密着した唇の隙間から舌を滑り込ませる。
舌に纏わり付いてくるぬめる様な少年の唾液を味わい、そして私を味あわせる為に、舌先で口腔をまさぐり少年の舌を探し、その先端に絡みつかせてから、舌を介して唾液を流し込む。
僅かに温度と味の異なる、私と少年の唾液が、少年の口中で混ざり合うのが分かる。
舌だけに感覚が集中し、意識が引き延ばされる様な感覚をしばし満喫した後、頭を引き唇を離す。唇が離れた後もほんの僅かな時間だけ、舌先だけが少年の口腔に残り、舌を私の口中へと戻すと、混ざり合った唾液が僅かに光を受けながら糸を引いた。
息が荒くなっているのを感じて、少し息を整える。
興奮しすぎてしまっては、上手く出来るとは思えない。
少年の下腹部の方へと手でまさぐる。
お腹から太腿に一度指先を滑らせてから、両足の間を付け根へと動かしていく。
服の上からでも分かる、硬い感触。
これなら行ける。
両手を少年のズボンを留めている紐に掛けて解き、太腿の半ばまで引き下ろす。
……意外と大きい様な気もするが、実物を見た事など殆ど無い。この大きさが大きいのか小さいのかなどという事は、判断のしようも無い。
ただそれでも別に構わない。他の男のを見る事なんか、もう無いのだろうから。
思い切って口に咥え、ようとして深く咥えすぎ、喉の奥に強い吐き気を感じて反射的に口を離し、咳き込む。
涙目になっているのを感じる。これでは少年にも心配させてしまう。何て様だ。
落ち着いて、今度はゆっくりと先端部分だけを唇で咥える。
そしてそのまま少しずつ深く頭を動かしていくと、唇に触れた部分はそのまま共に動き先端部がめくれ上がり中身が出てくる。
そのつるつるとした中身に舌を触れさせると、少年がびくっと身体を震わせ声を漏らした。
一度咥え直して皮を全てめくり、形状を確かめる様に中身に舌を這わせる。
上側はのっぺりとしていて、下側は複雑な形をしている。先端の割れ目から裏側へと窪みと筋の様なものがあるのだろうか。
時折身体を震わせながら少年が身をよじるのを感じながら、複雑な形状に舌を這わせ、より詳しく形を感じ取ろうとする。
何しろ私の夫のものなのだ。細部まで詳しく知っておかなければならないだろう。
口の中に急に塩味が広がる。
ひょっとして歯で傷つけてしまったのかと一瞬慌てた。しかし戦いで口の中を切った時の様な鉄の味とはどうも違う様だ。
舌先で塩味の濃い場所を探る様に辿ってみると、中身の先端へと辿り着く。
不思議なぬめりを感じながらも先端部分をまさぐると、どうやらこの塩味のぬめりは、割れ目の中から滲み出ているらしいのが分かる。
不意に口の中で強く跳ね、思わず舌と唇で強く咥えると次の瞬間、幾度も跳ねると共に先端から爆ぜるが如く喉の奥に熱い迸りが繰り返し叩き付けられた。
混乱しつつも反射的に口を離し、激しく噎せた。
喉の奥に不思議な苦みと生臭みが残る。
「ご、ごめんなさい、だって、あの、その」
少年が泡を食った様子で謝罪の言葉を繰り返している。
何が起きたのか把握するまで、少し間があった。
そうか、少年の精が、私の口の中に。
気付くと共に後悔する。飲み込まずに、噎せると共に吐き出してしまったではないか。
流石に森の土に塗れては、再び飲み込む事もできまい。
「……すまない。不意を突かれたので」
口にしつつも、そんなのは言い訳に過ぎない。
幾ら不慣れとはいえ、夫の精を無駄にするとは……。
確か精は、一度に何度も放てるというものでは無かった筈だ。
ならば口惜しいが、今は契りを結ぶ事を先ず考えた方が良いのかもしれない。
触れずとも少年の硬さは喪われていないのが分かる。
ならば私の方はどうか。指先を自分の服の中に滑り込ませ秘所を探ると、指先に生温かいぬめりが触れる。
流石に、自らを慰める事すら全くの経験が無いという訳ではないのだから、これがどういう事かは分かる。
口で貪る間に、意外と容易く私の身体は、受け入れる準備を整えていたという事なのだろう。
少年の上に跨がる様に膝立ちになる。
「では、契る、ぞ」
ゆっくりと腰を落とし先ずは服の上から触れさせる。そして左手で股の部分の布地を脇へと避け、右手で私の秘所へと導く。
いよいよだ。
まず感じたのは、痛み。
流石に指とは比べものにならない、それなりの太さのあるものを導き挿れるのだから、引き裂かれんばかりに強引に押し広げられる。
ただ、特に耐えられないほどの痛みではない。
戦士としての訓練は、私の痛みへの耐性を遙かに強めている。
一気に腰を落とすと、何かが引き千切れる様な音が身体の中から聞こえる。
心地良い痛みの中、これでもう私は生娘では無いのだと感じていた。
***
「血が……っ!」
慌てた様な少年の声。
蒼白になり、濁り泡だった赤に染まった、私の太腿から足の付け根に掛けてを見る。
破瓜の血だ。戦士なのだから自分の血にも他人の血にも慣れている。そもそも月のものがある時点で、多少の血には動じないのだが。
とはいえ、女についての知識が無いであろう少年には、多少は衝撃的な事だったのかもしれない。
「大丈夫だ、この程度どうって事は無い。気にするな。それはともかく、行くぞ」
「行くって、何処に?」
私は満足気な笑みを浮かべた。
「お前の家だ。順番が前後してしまったが、お前の両親にちゃんと挨拶しておかないとな」
私は剣を鞘に収め、踵を返した。
眼前には気を失い地に伏す若者。
兜の上から剣の平で叩き付けただけだ。鍛えている様だし、このまま介抱せずに放置しておいても直ぐに目を覚ますだろう。
倒した相手にはもう用は無い。いや、私に容易く倒される程度の相手には用は無い、と言うべきか。
もう私には十分な時間が残されていないのだから、先を急ぐとしよう。
***
私は力を求め、幼い頃からずっと鍛錬を続けてきた。
人肌恋しくなる事もあったが、戦士の種族としての義務がそれに勝った。
しかしここ最近、自分の物ではない肌の温もりを欲しい、と思う事が増えてきた。
特に武者修行の旅から帰ってきた、それも私よりも遙かに年下の者たちが、旅先で見つけた夫と共に仲睦まじくしているのを見ると、長年ずっと放置してきた私の中の「女」としての部分が、強く疼いた。
半ば本能的な衝動に背を押され、強引に武者修行の旅に出てから早、幾星霜。
名のある戦士や、力自慢の若者の噂を聞けば直ちにその地へと赴き、そして勝負を挑み勝ち続けてきた。
戦士として最も脂がのっていた、研ぎ澄まされた剣の様であった頃も昔の事だ。
膂力の衰えを技と経験で補い、今では技と経験で肉体的な衰えを覆い隠しきれなくなっている。
女としても、華と呼ばれる頃はとっくに過ぎ去っている。
戦士としての義務よりも、女として、あるいは母親としての義務を果たし、その技と経験を次代の娘たちへと継承すべきなのは身にしみて分かりきっている。
ただ、私を打ち負かす事の出来る強い、私に相応しい相手が、見つからないのだ。
例え戦士でなくとも、もしかして私に勝つのではないかという微かな可能性に賭け、男ならば誰でも構わずに戦いを挑む様な旅となっている。
私の中には、母親としての義務を果たせなくなる年齢が徐々に迫ってきているという焦りがあった。
私の戦士としての衰えは、何れ誰かに打ち負かされるという形で明確になるだろう。
しかしその時が来た時、私は義務を果たせるのだろうか?
***
街道とはいえ、通る者はそれほど多い訳でもない。
戦士と限らずとも、妻や恋人の居ない男というだけで、出逢う人数は限られている。だから先ほどの様に、明らかな戦士に出くわす事は、良くて数日に一度だと言える。
そしてその後、誰とも戦いを挑めないままに街道を進み、そろそろ日も落ちようかという頃になって、ようやく一人の少年を見つけた。
軽装で、格別体格が良い訳でも無ければ、身のこなしも凡庸。戦いの訓練を受けた訳でもない、おそらくは近くの村に住むただの農夫の子だろう。
剣を帯び、戦士然とした私の姿を見て、少し怯えている様にも見える。
しかし余裕の無い私は、それでも戦いを挑むしかなく、少年に声を掛ける。
「手合わせを願おう」
少年は、私に背を向けて逃げ出した。
「待てこら!」
追ってどうこうしようという意図があった訳ではない。傍目には明らかに、私が悪者にしか見えない構図なのも分かっている。ただ逃げる者の背を追うという血が成せる、訓練以前に身についていた反射的な行動だった。
街道から外れ、森の中へと分け入る。
森の中は既にかなり薄暗く、直ぐにこのまま追い続けるべきではないと理性が警鐘を鳴らしていた。
このまま私が追い続ければ、少年は森の奥へと入るだろう。日の落ちた森の奥というのは、少年には危険すぎる。私が間接的に命を奪う事になりかねない。
「すまない! 逃げなくて良い、私はもう立ち去る!」
少年の耳に届くかどうかは分からないが、森の奥へと叫んだ。
そして森から出て街道へ戻ろうとしたその時、頭上から鈍い音が聞こえ次の瞬間、私は地面に叩き付けられていた。
鼻腔には土と緑の匂い。
森故に足下は柔らかな腐葉土で、何処にも怪我らしい怪我は無い。
それは、私の上にその身体の重みを掛ける少年も、同じ様だった。
少年の下敷きになりながら、考えを巡らす。
武器も持たず、例え私が武器を使わずに素手であったとしても同じだ。体格で劣り、技量や経験でも明らかに差がある以上、正面から掛かっても勝ち目など無い。
私を倒すにはそれこそ、木の上から飛び掛かりでもしなければ。
確かに特別身体を鍛えている訳でもないし、戦士としての訓練を受けている訳でも無いだろう。しかし現にこうして私に土を付けたのだ。その機転と勇気は十分褒め称えるに値する物ではないか?
「大丈夫ですか?」
背の上から、少年の心配そうな声がした。
「ああ、大丈夫だ……それで、少し話は変わるが。恋人や許嫁は居るか?」
「え、居ませんけど、あの」
身体を横に捻り、背中の上に居る少年を身体の横に振り落とすと共に仰向けになり、軽く反動を付けて尻尾を使わずそのまま腹筋で上体を起こす。
華奢という訳ではないが、背に感じていた重さからすると、引き締まっていると言うにはもう少し肉が欲しいかもしれない。ただ年の頃を考えるなら骨格も未だ出来ていないのだから、身体を作るのはまだまだこれからだろう。
少年の傍に顔を寄せると、少年が慌てて体温が上がっているのが分かる。木と土の匂いに混じり、火照った少年の肌から微かに立ち上る、汗の匂いの中に間違い無く存在する甘い男の匂い。
子供から男へと移り変わりつつある途上ではあるが、明らかに既に男としての能力を内包しているのが分かる。
「私の夫となれ」
詰めていた息を吐き出し、一気に押し倒す。
とはいえ、勢いで押し倒してしまったものの、この様な事に経験は無い。
そもそも知識すらあまり豊富とは言いかねるのが実情だ。
それでもこの目の前の少年よりは知識はあるだろうし年上として、そもそも押し倒してしまった以上は、私が最後まで主導するしか無い。
しかしさほど知識がある訳でもなく、どうすれば良いのか必死に考える。
とにかく最終的には挿れてしまえば良い。ただそれには先ず準備が要る。
唇を重ねた。
柔らかく温かい感触を唇に感じる。
そのまま頭ごと強く押しつけ、少年の熱い吐息すら分かる強く密着した唇の隙間から舌を滑り込ませる。
舌に纏わり付いてくるぬめる様な少年の唾液を味わい、そして私を味あわせる為に、舌先で口腔をまさぐり少年の舌を探し、その先端に絡みつかせてから、舌を介して唾液を流し込む。
僅かに温度と味の異なる、私と少年の唾液が、少年の口中で混ざり合うのが分かる。
舌だけに感覚が集中し、意識が引き延ばされる様な感覚をしばし満喫した後、頭を引き唇を離す。唇が離れた後もほんの僅かな時間だけ、舌先だけが少年の口腔に残り、舌を私の口中へと戻すと、混ざり合った唾液が僅かに光を受けながら糸を引いた。
息が荒くなっているのを感じて、少し息を整える。
興奮しすぎてしまっては、上手く出来るとは思えない。
少年の下腹部の方へと手でまさぐる。
お腹から太腿に一度指先を滑らせてから、両足の間を付け根へと動かしていく。
服の上からでも分かる、硬い感触。
これなら行ける。
両手を少年のズボンを留めている紐に掛けて解き、太腿の半ばまで引き下ろす。
……意外と大きい様な気もするが、実物を見た事など殆ど無い。この大きさが大きいのか小さいのかなどという事は、判断のしようも無い。
ただそれでも別に構わない。他の男のを見る事なんか、もう無いのだろうから。
思い切って口に咥え、ようとして深く咥えすぎ、喉の奥に強い吐き気を感じて反射的に口を離し、咳き込む。
涙目になっているのを感じる。これでは少年にも心配させてしまう。何て様だ。
落ち着いて、今度はゆっくりと先端部分だけを唇で咥える。
そしてそのまま少しずつ深く頭を動かしていくと、唇に触れた部分はそのまま共に動き先端部がめくれ上がり中身が出てくる。
そのつるつるとした中身に舌を触れさせると、少年がびくっと身体を震わせ声を漏らした。
一度咥え直して皮を全てめくり、形状を確かめる様に中身に舌を這わせる。
上側はのっぺりとしていて、下側は複雑な形をしている。先端の割れ目から裏側へと窪みと筋の様なものがあるのだろうか。
時折身体を震わせながら少年が身をよじるのを感じながら、複雑な形状に舌を這わせ、より詳しく形を感じ取ろうとする。
何しろ私の夫のものなのだ。細部まで詳しく知っておかなければならないだろう。
口の中に急に塩味が広がる。
ひょっとして歯で傷つけてしまったのかと一瞬慌てた。しかし戦いで口の中を切った時の様な鉄の味とはどうも違う様だ。
舌先で塩味の濃い場所を探る様に辿ってみると、中身の先端へと辿り着く。
不思議なぬめりを感じながらも先端部分をまさぐると、どうやらこの塩味のぬめりは、割れ目の中から滲み出ているらしいのが分かる。
不意に口の中で強く跳ね、思わず舌と唇で強く咥えると次の瞬間、幾度も跳ねると共に先端から爆ぜるが如く喉の奥に熱い迸りが繰り返し叩き付けられた。
混乱しつつも反射的に口を離し、激しく噎せた。
喉の奥に不思議な苦みと生臭みが残る。
「ご、ごめんなさい、だって、あの、その」
少年が泡を食った様子で謝罪の言葉を繰り返している。
何が起きたのか把握するまで、少し間があった。
そうか、少年の精が、私の口の中に。
気付くと共に後悔する。飲み込まずに、噎せると共に吐き出してしまったではないか。
流石に森の土に塗れては、再び飲み込む事もできまい。
「……すまない。不意を突かれたので」
口にしつつも、そんなのは言い訳に過ぎない。
幾ら不慣れとはいえ、夫の精を無駄にするとは……。
確か精は、一度に何度も放てるというものでは無かった筈だ。
ならば口惜しいが、今は契りを結ぶ事を先ず考えた方が良いのかもしれない。
触れずとも少年の硬さは喪われていないのが分かる。
ならば私の方はどうか。指先を自分の服の中に滑り込ませ秘所を探ると、指先に生温かいぬめりが触れる。
流石に、自らを慰める事すら全くの経験が無いという訳ではないのだから、これがどういう事かは分かる。
口で貪る間に、意外と容易く私の身体は、受け入れる準備を整えていたという事なのだろう。
少年の上に跨がる様に膝立ちになる。
「では、契る、ぞ」
ゆっくりと腰を落とし先ずは服の上から触れさせる。そして左手で股の部分の布地を脇へと避け、右手で私の秘所へと導く。
いよいよだ。
まず感じたのは、痛み。
流石に指とは比べものにならない、それなりの太さのあるものを導き挿れるのだから、引き裂かれんばかりに強引に押し広げられる。
ただ、特に耐えられないほどの痛みではない。
戦士としての訓練は、私の痛みへの耐性を遙かに強めている。
一気に腰を落とすと、何かが引き千切れる様な音が身体の中から聞こえる。
心地良い痛みの中、これでもう私は生娘では無いのだと感じていた。
***
「血が……っ!」
慌てた様な少年の声。
蒼白になり、濁り泡だった赤に染まった、私の太腿から足の付け根に掛けてを見る。
破瓜の血だ。戦士なのだから自分の血にも他人の血にも慣れている。そもそも月のものがある時点で、多少の血には動じないのだが。
とはいえ、女についての知識が無いであろう少年には、多少は衝撃的な事だったのかもしれない。
「大丈夫だ、この程度どうって事は無い。気にするな。それはともかく、行くぞ」
「行くって、何処に?」
私は満足気な笑みを浮かべた。
「お前の家だ。順番が前後してしまったが、お前の両親にちゃんと挨拶しておかないとな」
11/04/21 23:57更新 / 三栖見アレナ