読切小説
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嗚呼、オートマトン様
 電気羊の夢を見ていた。私はどこで生まれたのだろう。はっきりとしているのは、私はこの子を育てなくては、というそういった使命感、そして温かい気持ちだった。

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 オートマトンの彼女が何を考えているのかは、まだ十二年しか生きていない僕にはこれっぽっちもわからない。無表情で、無機質。なんで僕のそばから離れないのかわからなかった。調べたところによれば、古代文明の遺産だとか、そういった遺跡から出土される──そして、現代の技術では一から作ることが極めて困難らしい。多くの人が彼女を売ってくれと僕に迫った。中には、とんでもない大金を持ってきた。

 でも、嫌だった。

「ご主人様、顔色が優れませんが」

 オートマトンの、メイド服を着た彼女がそう問うた。抑揚に乏しい平坦な声音。精緻な絡繰は多少の感情なら再現できるが、彼女は特別無表情だ。

「ううん。なんでもない」

 僕は必死に邪念を振り払う。勉強中に余計なことを考えている場合ではない。

 彼女の無機質な目が僕のペン先を追う。スペルのミスを、そっと冷たい手を重ねて指摘して、直してくれた。無感情なのに、どこか暖かくて優しい声。

「雑念が見られます」

 唐突にそう言われた。僕は「そんなことない」と否定したが、彼女の目はすっかり僕の股間に向けられていた。

「それを、どう説明なさるのでしょう」

「これは……その、」

「コキ捨てさせていただきます」

「だめ! 君は加減を知らないじゃないか!」

「見知らぬ女性と交わるのは衛生上極めて危険です。わたくしが『いい』と判断する方以外との交わりは禁止と、そうおっしゃったはずです」

 こうなると彼女は──いや、あらゆるオートマトンは止まらない。彼女たちの動力源は精液なのだ。つまり、体よく僕を気遣うくせに、本当はただ彼女がムラムラしているというだけだろう。

「無様にお召し物を汚す前に、わたくしが搾り取らせていただきます」

「や、優しくしてね。ほんと、毎日毎日大変で──」

「わたくしに口答えしてはダメです」

 彼女のひんやりとした手が僕の陰茎をぐっと握った。恥ずかしいけれど、僕のちんちんは皮をかぶっている。オートマトンの、作り物なのに……いや、だからこそ精緻な動きが可能な舌先が皮を捲った。にゅるっとした感触が亀頭をまさぐって、熱いくらいに温められた口内でじゅるじゅると吸い上げられる。

「ねえ……っ、だめ……」

「お黙りください。じゅるっ、んぐっ……はぁっ、全く、なんですかこの悪臭は。しっかり洗ってあげてますが、なぜ一日でこんなに……」

 激しい口淫は終わらない。淫靡な音が部屋中に響く。僕は座ったままガクガク腰を震わせた。

「おや、苦しそうですね。ですが、射精はこっちでするようにと毎日言っておりますよね」

 スカートを持ち上げる彼女。対面座位で僕に跨った。そして、何の躊躇いもなく女陰に僕のいちもつを導く。ぐぐ、と抵抗があって、それからじゅるっ、と食われるようにおさまった。

「っ、ぁあっ」

「我慢してください。わたくしはあなた様の、あなた様だけのオートマトン。そうですとも。わたくしだけがご主人様を理解し、必要としている」

 耳元でそう呟く。脳に刻み込むように。

「わたくしだけを愛して。愛してくださいね。ふふっ……わたくし、だけを」

「うぅっ、だめだよ……オート、マトンは……、だって……」

「愛しなさい。ほーらほーら。こうやって、子宮に導かれて、ぐっぐっ、て。優しく、強く絞られるのが大好きですよね。こうやってぐねぐねされて、締め上げられて。んっ、じゅるるっ、んぶっ、じゅぼっ」

 激しいキス。舌が入り込み、口の中を引っ掻き回されて、吸われる。その間も腰は激しく上下していた。ぎしぎしと椅子が鳴り、僕はもう限界だった。口を離して、つい大きな声で言った。

「お願いっ、射精させて!」

「じゃあ、わたくしだけを愛すると、そう誓ってくださいませ」

「あいっ、愛します! オートマトン様の旦那になります! だからっ……」

「いい子ですね。ほーら、びゅーってしなさい」

 ぐっ、と膣肉が締まった。僕は大きく跳ねて、射精する。どくどくと精液が溢れ、彼女はそれでも無表情で、けれど口角を持ち上げた。

「ご主人様、まだまだですよ。わたくしを妻にしたのなら、もっともっと家族サービスしてくださいませ」

「えっ……」

「じゃあ、このまま続けましょう。平気ですよ。ちゃんと、年老いるその時まで、ずっとずっと愛して差し上げます。永遠に、永遠に……」
21/12/06 22:29更新 / 蕾雅之銀狐

■作者メッセージ
初投稿です。まだまだ皆様をご満足させられるかわかりませんが、よろしくおねがいします。

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