連載小説
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1.桜真町へようこそ!
 俺は新田 純八(アラタ ジュンヤ)。
自分で言うのもなんだが特にこれと言って特徴のないごくごく平凡な15歳である。
そんな俺は今年から高校に通うため此処桜真(オウマ)町へ引っ越すこととなったのだ。
親父曰く、特にこれといって特徴の無い町らしい。ただ単に学費が安かったからだそうだ。
そんな俺は持てる程度の手荷物のバックを肩に提げ、地図を頼りに目的地へと歩いていた。

「えーと『てんりゅうそう』・・・此処だな」

そんでもって歩くこと数分、俺は目的地である建物の前に来た。
その名も『天龍荘(てんりゅうそう)』。この町で俺が住むこととなるアパートだ。
しかも親は仕事の都合上引っ越すことは出来ないので実質一人暮らしというやつだ。
親の目も無く自由に羽を伸ばせるというのは思春期を迎えた俺にとってはなんとも開放感溢れるうれしさだ。
おーっとかと言って勿論ヤバい事をする勇気なんてないし、勉学もきっちりやらないとな。
でだ、話を戻すとこの『天龍荘』は今年の初め頃に建ったばかりの新築らしい。
その割りには家賃は安い上に電気・水道・ガス・風呂・トイレ・ネット環境全て完備で学校からも近い、まさに最優良物件ってヤツだ。
よくこんな物が見つかったよなぁ。紹介してくれた不動産屋さん良い仕事してるよ。
まぁそんなこんなで新しい暮らしを胸に俺は『天龍荘』の玄関口のインターホンを押した。

その数秒後、インターホンのスピーカーから「はーい」とふんわりとした女性の声が聞こえてきた。

「どちらさまですかー?」
「あのー今日からこちらに引っ越して来た新田です」
「はーい今開けますね」

スピーカーからの声が途切れてからその数秒後、奥からバタバタと軽い足音が聞こえ、ガチャリと玄関ドアが開いた。

「はーい、遠路遙々お疲れ様です」

そして出てきたのは藍色がかった黒髪を腰まで伸ばした30代くらいの美人な女性だった。
最初は年配の人がでてくると思った俺にとって、それはなんとも衝撃的な出来事であり、目を見開きっぱなしだった。

「あのー、どうかして?」
「へ?ああいや、急に綺麗な人が出てきたモンでつい・・・」

自分はなんとも間抜け面をしていたのだろう・・・。
それを誤魔化そうとテンパっていた俺はついホントの事を口走ってしまった。
正直で褒め言葉であるにも関わらず俺はなんとも気まずかった。

「まぁ・・・うふふふ、冗談がお上手ねー」

そんな事に女の人は軽く笑ってくれた。
ただ顔を若干紅くしてその柔らかな笑みは正直反則だ。俺も直視出来ない。

「まぁ外で立ち話もなんだからどうぞ中へ入って」

俺は女性の言われるがまま『天龍荘』へと足を踏み入れた。

「初めまして、私は龍田 巡子(タツタ ジュンコ)、このアパートの大家をやってるわ」

美人女性が大家ってそれなんてめ○ん一刻!?ってイカンイカン世代じゃないか。

「部屋は個別だけど食堂、洗濯機、お風呂、トイレは共同、ネット環境は部屋事に繋がっているから、でも夜更かしはしないようにねー」

龍田さんの一通りアパート内の説明をしてくれた後に俺に宛がわれた部屋に案内してくれた。
その後、引っ越し業者のトラックが俺の荷物を運んで来たので俺は荷物の入った段ボールを自分の部屋へと運び入れる事にした。
これがかなりの重労働であり、業者さんが手伝ってくれてもかなりの時間がかかり全て運び終える頃にはもう日が暮れていた。

「ふぅ・・・こりゃ内装整えるのは明日かな・・・」

部屋内に山積みとなった段ボールの山を目の前に面倒くささから来る脱力感と達成感に浸っていると後ろから龍田さんの声がやって来た。

「新田くーん、晩ご飯が出来たわよー一緒にどうー」
「何っ!?」

この15年間、炊事なぞまったく出来ない俺の耳にとんでもない言葉が耳に入った。
龍田さんがご飯を作ってくれた?美人女性の手料理だと!
そんな・・・ファンタジーやメルヘンじゃあるまいしと数十話後にその言葉を全否定されたスタンド遣いと同じ事を考えながら、期待とうれしさを10割胸に食堂へと向かった。

そこには、ありましたありました。
いかにも手作り感ありありの出来たて料理が比較的大き目のテーブルの上に並んでおりますとも!

「そんな・・・俺の・・・俺達の為に・・・」
「そうよー"貴方の為"につい腕を振るっちゃったー」

感動に思わず涙が出そうな俺は、その料理の匂いを嗅いだ瞬間、感動よりも空腹感が最優先され、すぐさま椅子に座った。
今なんか気になる事言ってたような気がするけど今は目の前の事が最優先だ。

「いただきますっ」
「はいーいただきますー」

俺と龍田さんは手を合わせた後、俺は即箸で料理を引っ掴み口の中へと押し込んだ。

美味すぎるっ!どこぞの傭兵もビックリだぞこの美味しさっ!

「美味いっ・・・ですっ」
「うふふ・・・ありがとうーそう言ってくれて作った甲斐があったわー」

俺は龍田さんに率直な感想を言った後、龍田さんも箸をで料理を掴み口へと運び入れた。
俺は不意にその料理を目で追うと、龍田さんの唇に目が止まった。
食べるというごく当たり前な行為にも関わらず、口紅とかいっさいされていない薄いピンク色のぷるぷるした柔らかそうに動く唇はとても色っぽく見えた。
イカン何を考えてるんだ俺はっ。すぐさま目を放し、ガツガツと料理を食べることに集中することにした。

そして、テーブルにあった料理は物の見事に平らげられ、俺は満腹感に満たされていた。

「ふぅ・・・ご馳走様です。ありがとうございます、御馳走になって」
「いえいえー私が勝手にやってることだからー」

おっとりとした表情と雰囲気を崩すことなく、龍田さんは空の食器をシンクに運んで行く。
ところでだ、最初は食うことに夢中で忘れていたが、俺はふとある疑問が思い浮かんでいたので聞くことにした。

「ところで龍田さん」
「なにかしらー」
「俺以外の住んでる人は?俺以外食べに来ませんでしたけど」

そのあたり前に疑問に、背を向けた状態の彼女の口から出た答えに俺は衝撃が走ることとなる。

「住民さんは貴方以外いませんよー」
「は?」

俺は一瞬思考が停止し、素っ頓狂な声を上げた。
それと同時に、水道の蛇口を閉める音が聞こえ、龍田さんが此方を振り向いた。

「はい、新田さんがこの『天龍荘』の第一入居者でーす」
「そ・・・そ、それってつまり・・・」

俺は確信に近くもまだ疑っている様子を見て、龍田さんは喜々と俺の方に歩み寄ってきた。

「そう、今私と新田さんの二人っきりでーす」

そしてあろう事か硬直した俺に抱きついてきた。

「だから今日は嬉しくて、"貴方の為に"、つい奮発しちゃった♪」

彼女が耳元で囁く、それは色っぽくもあり、どこか恐怖もあった。
そして腕に柔らかい物が密着する。言わずもがなそれは龍田さんの胸だ。
それでも俺には興奮するには十分だと言うのに、二の腕にボタンのような固い突起物が当たる。

(こ、この高いポッチってまさかち、ちく・・・ってことは龍田さん・・・ノーブラっ!?)

その事に気付いた俺ぼ心臓はバクバクと高鳴り、だがそれと同時に恐怖感が募りまるでバネのように椅子から立ち上がった。

「ふ、風呂に入ってきますっ!」

そして逃げるようにその場から出て行ったのだ。
あの時、龍田さんから感じた視線はまるで獲物を見つけた蛇のソレに似ていた気がした。
14/09/16 18:46更新 / ふじやん
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■作者メッセージ
 皆さん初めまして、ハーレムとか好きなふじやんです。
初投降のクセして連載に挑戦します。
しかし作者はDTです。エロシーンとか割といろいろな小説から参考にしてますがそれでも『それはおかしいだろ』っていうのが絶対に出てくると思いますが生暖かい目で見てやってください。

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