第1章〜教団暗部〜
森の中に二つの影が動いている。
一人は、騎士の格好をした男ともう一人は貴族の格好をした女だった。
「リナ、大丈夫か?」
俺は、心配そうに声を掛けた。
「はい、大丈夫です、ゼニス」
とリナは答えた。
彼女はリナ・バレンタイン、先日教団で処刑されそうになった所を助けたヴァンパイアだ。
教団から去って約数日間、追ってから逃れるため森の中に入ったのはいいが、
行く道獣道だらけのため正直普通の人だったらすぐに根を上げたくなるだろう。
まあ、俺は遠征とかで鍛えているから問題ないのだが、リナは、魔物と言っても女性だ。後気になるのは・・・
「どうかしましたか、ゼニス?」
普通ヴァンパイアと言ったら強気で意地っ張りで有名なのだが、
どうもこのリナは俺の知っているヴァンパイアとは違うようだ。
「いや、大丈夫だ、問題ない」
「そうですか・・・きゃあ!」
リナを見ると壮大に顔から地面に突っ込んでいた。
「大丈夫か!?」
俺は慌ててリナに駆け寄り、起こしてやった。
リナは顔に着いた土を払いながら
「だ、大丈夫です!(汗)」
「・・・鼻血、出てるぞ」
言動もそうだが、ドジっ子なのだ。
俺の出会ったことがあるヴァンパイアは
「そなたわしの召使いにならぬか?」
「何故じゃ!?私の言うことが聞けぬのかゲスのくせに!」
などと結構出会った瞬間に酷い言われようである。
それに比べリナは・・・・
「すみません、私、足手まといですよね」
「あ、いやそうじゃないんだ」
そう、リナは他のヴァンパイアと違ってかなり低姿勢なのだ。
「こんな獣道だから歩き難いだろう?だから足手まとい何て思わなくていいよ」
俺は、そう答えると
「ありがとうございます。///」
リナ、照れながら礼を言った。
その様子を見て俺もおもわず照れてしまった。
「そ、そろそろ日が暮れるからここらで野営の準備をしようか?」
「あ、じゃあ、私が薪を探してきます。」
とリナは、薪を探しに行こうとする。
「あ、いやそれは俺がやるからリナはここで待っていてくれ。」
俺はリナをその場で待つように言い、森の奥へと向かおうとすると
「ごめんなさい、ゼニスばっかりにこんなことをさせて・・・」
リナは申し訳なさそうに言う。
「いいって、巻き込んだ責任もあるしこれくらい朝飯前さ」
そう言って俺は森の奥へと入って行った。
・・・そういえばリナは魔界へと帰らないのかな?正直追ってから逃げる事ばかり考えていたから、リナを魔界に帰すという選択肢を忘れていた、そうすれば一緒に逃げる苦労もしなくて済む訳だ。
何故魔界に帰らないのか、帰れない理由があるのか・・・戻ったら聞いてみるか。
と考えながら森の奥へと来ると、気配を感じた。俺は剣を鞘から抜き
「・・・おい、そこに隠れている奴出て来い」
俺が剣を構えながら言うと
「ま、待って下さい!」
茂みから男が出てきた、
「私は、あやしい者じゃありません!ただの商人ですよ!」
見ると男は軽装で、背中に大きなバックを持っている。
「その商人が何でこんな森の奥にいるんだ?」
俺は剣を構えつつ警戒を解かない。
「ちょ、ちょっと旦那、剣を収めてくださいよ!」
男は俺にびびっているのか震えながら言った。
「私はただ近道をしようと思ってこの森の中に入ったら道に迷ったんですよ!」
・・・俺は剣を収めた。
「ふ〜やっと信じてくれましたか」
男はほっとしたようだ。
「いや〜びっくりしましたよ、まさかこんな森の中で人に出会うと思いませんでしたよ」
男は近づいてくると
「私、ゲイルと言います」
男は握手を求めてきたが、俺は握手の変わりに剣を振り抜いた。
・・・・・・・・・・・・
「へえ、商人にしては身軽だな」
男は俺の攻撃を寸前で回避していたのだ。
「ちょ、旦那いきなり何をするんですか!」
こいつまだ芝居を続ける気か
「いい加減その三文芝居止めたらどうだ?」
「え?いったい何を言って・・・」
「じゃあ、さっきから俺に向かって放っているその殺気は何だ?」
男は目を見開くと、その顔がさっきとは違う残忍な笑みに変わった。
「へえ〜さすがは勇者と並ぶと言われた方だ、これでも隠しているつもりだったんですよ?」
男は手を挙げて言った。
「それで隠しているつもり?あんたの殺気は俺を殺したくてしょうがないて感じだぜ?」
俺は男から放たれる殺気をひしひしと感じた。
「ほう、殺気からそれだけの事を読み取れるとは・・・いや〜、恐れ入りました」
男は背負っているバックを捨てると腰から短刀を取り出した。
「改めて自己紹介をさせて頂きましょう。私、教団暗部所属、ゲイル・マートンと申します」
とゲイルはお辞儀をした。
「教団暗部・・・噂だと思っていたが実在していたのか」
「おや、私達の組織を知っているのですか?
「噂では、俺達表の人間がやれない事を何でもやっていると聞いたが・・・」
ゲイルは笑みを浮かべながら言った。
「そう、あなたたちが出来ない汚い仕事を全部やっていますよ、殺しや捕獲した魔物の研究などね」
「魔物の研究?」
ゲイルは先ほど浮かべた残忍な笑みで
「ええ、魔物の研究と言ってもやることは、レイプですけどね、この魔物はどこが弱いのか、どの魔物が一番気持ちよく犯せるのかなどね」
「ち、反吐が出るような話だな」
俺は舌打ちをした。
ゲイルは俺に構わず続けて言った。
「魔物を犯すのも気持ちいいですよ、なんたって魔物には法が無いですからね犯しても罪にはならないんですよ」
「お前、法に触れなければ何をやってもいいと思っているのか!?」
「ええ、思っていますとも、我が教団では主神の教義が絶対、まあ、快楽に走ることは禁止されているんですけど、まあ、魔物ですし、主神も見逃してくれるでしょう」
腹が煮えくりかえりそうな内容だった。
俺はゲイルに斬りかかった。
「所で旦那、何故教団はこんな事をしているか知っていますか?」
ゲイル回避しつつ問うてきた。
「そんなのお前達の快楽のためだろ?」
俺の回答にゲイルは笑みを浮かべて言った。
「はずれ、まあ、確かに快楽を求めてやっていると言うのも正解ですが、本当の目的は金ですよ」
「金だと?」
ブン!俺の剣が虚空を斬る。
「教団を維持するにはどうしても金が必要なのですよ、だが信者を集めて寄付を集めるだけじゃ教団を維持出来ません、そこで私達の出番ですよ」
ゲイルは短刀で斬りつけてきた、俺はそれを剣で弾く
「捕獲した魔物を抵抗出来ないように痛めつけ、犯しつくし、そしてその魔物を売るんですよ」
「魔物を売る・・だと?」
俺はゲイルとの距離を取った。
「そう物好きな貴族達に売り飛ばすんですよ、それが結構な金になって教団の維持に繋がるんですよ!」
俺はゲイルに一気に距離を詰め斬りつけた。
「そんな事のために!」
鍔迫り合いになり、俺はごり押しでゲイル吹き飛ばした。
「そんな事?ははは、これは面白い事を言う」
ゲイルは着地をして言う。
「あなたが教団に所属していた時にもらったその服、食事などはどこから出ていたと思っているんです?」
!!!
「そう、全部魔物を売り飛ばした金であなた達は生活してたんですよ!」
信じていた・・・教団を抜けた後も教団が正義だと心のどこかでそう思っていた。
だが実際はどうだろう、教団の闇を知り、信じていた物が音を立てて崩れた。
俺はいったい教団の何を信じていたんだろうか?
「所で旦那、ショックを受けるのは勝手ですが、いいんですか?」
俺はハッと我にかえり状況を認識した。
ここに追ってがいると言う事はリナが危ない。
「く!」
俺はリナがいる方向に走ろうとすると
「おおっと、行かせませんよっと!」
キン!
ゲイルの攻撃を防いだ。
「目の前に敵がいるって言うのにほっとこうなんてつれないじゃないですか」
「うるせえ!お前の相手をしてる場合じゃないんだよ!」
「だったら何故本気を出さないんですか?」
お互いの動きが止まった。
「連れがピンチかもしれないのに冷たいですね、本当はどうでもよいんじゃないんですか?」
ゲイルが動いた。
「全く旦那の攻撃には殺気が無いんですよ!この期に及んでまだ不殺を通すつもりですか?」
キン!
ゲイルの攻撃を剣で弾いた。
「本気を出して下さいよ旦那!」
ゲイルが走ってくる。
「・・・何故俺が本気を出さないか教えてやろうか?」
キン!
「それは、お前が本気を出す相手じゃないからだよ」
ザン!
「ち、仕留め損ねたか!」
見るとゲイルの右手が地面に転がっていた。
「くくく、いや〜恐ろしい方だ」
ゲイルはいつの間にか木の枝の上に立っている。
「私もね、あなたのようにどの攻撃に殺気籠っているか分かるんですよ」
ゲイルは右手を左手で押さえながら言う。
「しかし、腕一本を取られちゃったか〜これは痛いな〜」
ゲイルは笑み浮かべて言った。
「まあ、今回はこの辺で引かせてもらいますよ。早く連れの所に行ったらどうですか?まあ、無残な姿を拝むことなるでしょうが!ははは!」
ゲイルは笑いながら去って行った。
俺は急いでリナの所に向かった。
「リナ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何だこれは?」
肉の焦げる匂いがした。
そこには丸焦げになった複数の人間の真ん中にリナがいた。
「リナ!」
俺はリナに駆け寄った。
「リナ、大丈夫か?」
パーン!
リナに思いっきり頬を叩かれた。
「リ、リナ?」
リナが顔を上げた、その瞳はいつもの真紅ではなく真紅に輝いていた。
「遅いぞ、馬鹿者!」
リナ(?)が言う。
「全くおぬしが中々帰ってこぬから全部片付けてしまったぞ」
「えーとリナ?」
リナが俺を見て思い出したかのように言った。
「おお、そうじゃった、この状態でおぬしと話すのは初めてじゃったな」
俺が頭に?を浮かべていると
「初めまして、ゼニス・ウィルター、わらわは、リナ・バレンタインに眠るもう一つの人格じゃ、名前はないがな!」
と彼女は言った。
こうして、俺は教団の闇を知るとともに、リナのもう一つの人格を知った。
〜第2章へ続く〜
一人は、騎士の格好をした男ともう一人は貴族の格好をした女だった。
「リナ、大丈夫か?」
俺は、心配そうに声を掛けた。
「はい、大丈夫です、ゼニス」
とリナは答えた。
彼女はリナ・バレンタイン、先日教団で処刑されそうになった所を助けたヴァンパイアだ。
教団から去って約数日間、追ってから逃れるため森の中に入ったのはいいが、
行く道獣道だらけのため正直普通の人だったらすぐに根を上げたくなるだろう。
まあ、俺は遠征とかで鍛えているから問題ないのだが、リナは、魔物と言っても女性だ。後気になるのは・・・
「どうかしましたか、ゼニス?」
普通ヴァンパイアと言ったら強気で意地っ張りで有名なのだが、
どうもこのリナは俺の知っているヴァンパイアとは違うようだ。
「いや、大丈夫だ、問題ない」
「そうですか・・・きゃあ!」
リナを見ると壮大に顔から地面に突っ込んでいた。
「大丈夫か!?」
俺は慌ててリナに駆け寄り、起こしてやった。
リナは顔に着いた土を払いながら
「だ、大丈夫です!(汗)」
「・・・鼻血、出てるぞ」
言動もそうだが、ドジっ子なのだ。
俺の出会ったことがあるヴァンパイアは
「そなたわしの召使いにならぬか?」
「何故じゃ!?私の言うことが聞けぬのかゲスのくせに!」
などと結構出会った瞬間に酷い言われようである。
それに比べリナは・・・・
「すみません、私、足手まといですよね」
「あ、いやそうじゃないんだ」
そう、リナは他のヴァンパイアと違ってかなり低姿勢なのだ。
「こんな獣道だから歩き難いだろう?だから足手まとい何て思わなくていいよ」
俺は、そう答えると
「ありがとうございます。///」
リナ、照れながら礼を言った。
その様子を見て俺もおもわず照れてしまった。
「そ、そろそろ日が暮れるからここらで野営の準備をしようか?」
「あ、じゃあ、私が薪を探してきます。」
とリナは、薪を探しに行こうとする。
「あ、いやそれは俺がやるからリナはここで待っていてくれ。」
俺はリナをその場で待つように言い、森の奥へと向かおうとすると
「ごめんなさい、ゼニスばっかりにこんなことをさせて・・・」
リナは申し訳なさそうに言う。
「いいって、巻き込んだ責任もあるしこれくらい朝飯前さ」
そう言って俺は森の奥へと入って行った。
・・・そういえばリナは魔界へと帰らないのかな?正直追ってから逃げる事ばかり考えていたから、リナを魔界に帰すという選択肢を忘れていた、そうすれば一緒に逃げる苦労もしなくて済む訳だ。
何故魔界に帰らないのか、帰れない理由があるのか・・・戻ったら聞いてみるか。
と考えながら森の奥へと来ると、気配を感じた。俺は剣を鞘から抜き
「・・・おい、そこに隠れている奴出て来い」
俺が剣を構えながら言うと
「ま、待って下さい!」
茂みから男が出てきた、
「私は、あやしい者じゃありません!ただの商人ですよ!」
見ると男は軽装で、背中に大きなバックを持っている。
「その商人が何でこんな森の奥にいるんだ?」
俺は剣を構えつつ警戒を解かない。
「ちょ、ちょっと旦那、剣を収めてくださいよ!」
男は俺にびびっているのか震えながら言った。
「私はただ近道をしようと思ってこの森の中に入ったら道に迷ったんですよ!」
・・・俺は剣を収めた。
「ふ〜やっと信じてくれましたか」
男はほっとしたようだ。
「いや〜びっくりしましたよ、まさかこんな森の中で人に出会うと思いませんでしたよ」
男は近づいてくると
「私、ゲイルと言います」
男は握手を求めてきたが、俺は握手の変わりに剣を振り抜いた。
・・・・・・・・・・・・
「へえ、商人にしては身軽だな」
男は俺の攻撃を寸前で回避していたのだ。
「ちょ、旦那いきなり何をするんですか!」
こいつまだ芝居を続ける気か
「いい加減その三文芝居止めたらどうだ?」
「え?いったい何を言って・・・」
「じゃあ、さっきから俺に向かって放っているその殺気は何だ?」
男は目を見開くと、その顔がさっきとは違う残忍な笑みに変わった。
「へえ〜さすがは勇者と並ぶと言われた方だ、これでも隠しているつもりだったんですよ?」
男は手を挙げて言った。
「それで隠しているつもり?あんたの殺気は俺を殺したくてしょうがないて感じだぜ?」
俺は男から放たれる殺気をひしひしと感じた。
「ほう、殺気からそれだけの事を読み取れるとは・・・いや〜、恐れ入りました」
男は背負っているバックを捨てると腰から短刀を取り出した。
「改めて自己紹介をさせて頂きましょう。私、教団暗部所属、ゲイル・マートンと申します」
とゲイルはお辞儀をした。
「教団暗部・・・噂だと思っていたが実在していたのか」
「おや、私達の組織を知っているのですか?
「噂では、俺達表の人間がやれない事を何でもやっていると聞いたが・・・」
ゲイルは笑みを浮かべながら言った。
「そう、あなたたちが出来ない汚い仕事を全部やっていますよ、殺しや捕獲した魔物の研究などね」
「魔物の研究?」
ゲイルは先ほど浮かべた残忍な笑みで
「ええ、魔物の研究と言ってもやることは、レイプですけどね、この魔物はどこが弱いのか、どの魔物が一番気持ちよく犯せるのかなどね」
「ち、反吐が出るような話だな」
俺は舌打ちをした。
ゲイルは俺に構わず続けて言った。
「魔物を犯すのも気持ちいいですよ、なんたって魔物には法が無いですからね犯しても罪にはならないんですよ」
「お前、法に触れなければ何をやってもいいと思っているのか!?」
「ええ、思っていますとも、我が教団では主神の教義が絶対、まあ、快楽に走ることは禁止されているんですけど、まあ、魔物ですし、主神も見逃してくれるでしょう」
腹が煮えくりかえりそうな内容だった。
俺はゲイルに斬りかかった。
「所で旦那、何故教団はこんな事をしているか知っていますか?」
ゲイル回避しつつ問うてきた。
「そんなのお前達の快楽のためだろ?」
俺の回答にゲイルは笑みを浮かべて言った。
「はずれ、まあ、確かに快楽を求めてやっていると言うのも正解ですが、本当の目的は金ですよ」
「金だと?」
ブン!俺の剣が虚空を斬る。
「教団を維持するにはどうしても金が必要なのですよ、だが信者を集めて寄付を集めるだけじゃ教団を維持出来ません、そこで私達の出番ですよ」
ゲイルは短刀で斬りつけてきた、俺はそれを剣で弾く
「捕獲した魔物を抵抗出来ないように痛めつけ、犯しつくし、そしてその魔物を売るんですよ」
「魔物を売る・・だと?」
俺はゲイルとの距離を取った。
「そう物好きな貴族達に売り飛ばすんですよ、それが結構な金になって教団の維持に繋がるんですよ!」
俺はゲイルに一気に距離を詰め斬りつけた。
「そんな事のために!」
鍔迫り合いになり、俺はごり押しでゲイル吹き飛ばした。
「そんな事?ははは、これは面白い事を言う」
ゲイルは着地をして言う。
「あなたが教団に所属していた時にもらったその服、食事などはどこから出ていたと思っているんです?」
!!!
「そう、全部魔物を売り飛ばした金であなた達は生活してたんですよ!」
信じていた・・・教団を抜けた後も教団が正義だと心のどこかでそう思っていた。
だが実際はどうだろう、教団の闇を知り、信じていた物が音を立てて崩れた。
俺はいったい教団の何を信じていたんだろうか?
「所で旦那、ショックを受けるのは勝手ですが、いいんですか?」
俺はハッと我にかえり状況を認識した。
ここに追ってがいると言う事はリナが危ない。
「く!」
俺はリナがいる方向に走ろうとすると
「おおっと、行かせませんよっと!」
キン!
ゲイルの攻撃を防いだ。
「目の前に敵がいるって言うのにほっとこうなんてつれないじゃないですか」
「うるせえ!お前の相手をしてる場合じゃないんだよ!」
「だったら何故本気を出さないんですか?」
お互いの動きが止まった。
「連れがピンチかもしれないのに冷たいですね、本当はどうでもよいんじゃないんですか?」
ゲイルが動いた。
「全く旦那の攻撃には殺気が無いんですよ!この期に及んでまだ不殺を通すつもりですか?」
キン!
ゲイルの攻撃を剣で弾いた。
「本気を出して下さいよ旦那!」
ゲイルが走ってくる。
「・・・何故俺が本気を出さないか教えてやろうか?」
キン!
「それは、お前が本気を出す相手じゃないからだよ」
ザン!
「ち、仕留め損ねたか!」
見るとゲイルの右手が地面に転がっていた。
「くくく、いや〜恐ろしい方だ」
ゲイルはいつの間にか木の枝の上に立っている。
「私もね、あなたのようにどの攻撃に殺気籠っているか分かるんですよ」
ゲイルは右手を左手で押さえながら言う。
「しかし、腕一本を取られちゃったか〜これは痛いな〜」
ゲイルは笑み浮かべて言った。
「まあ、今回はこの辺で引かせてもらいますよ。早く連れの所に行ったらどうですか?まあ、無残な姿を拝むことなるでしょうが!ははは!」
ゲイルは笑いながら去って行った。
俺は急いでリナの所に向かった。
「リナ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何だこれは?」
肉の焦げる匂いがした。
そこには丸焦げになった複数の人間の真ん中にリナがいた。
「リナ!」
俺はリナに駆け寄った。
「リナ、大丈夫か?」
パーン!
リナに思いっきり頬を叩かれた。
「リ、リナ?」
リナが顔を上げた、その瞳はいつもの真紅ではなく真紅に輝いていた。
「遅いぞ、馬鹿者!」
リナ(?)が言う。
「全くおぬしが中々帰ってこぬから全部片付けてしまったぞ」
「えーとリナ?」
リナが俺を見て思い出したかのように言った。
「おお、そうじゃった、この状態でおぬしと話すのは初めてじゃったな」
俺が頭に?を浮かべていると
「初めまして、ゼニス・ウィルター、わらわは、リナ・バレンタインに眠るもう一つの人格じゃ、名前はないがな!」
と彼女は言った。
こうして、俺は教団の闇を知るとともに、リナのもう一つの人格を知った。
〜第2章へ続く〜
10/11/03 00:38更新 / きまぐれJYO3
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