誰にも好かれない私
[魔物娘」昔、都市伝説として密かにネット上で噂になっていたアレだ。 尤も、数年前にいきなり姿を現したと思えば一気に私たちの生活を侵食してしまった為に今では道を歩けば嫌でも目に付く存在だ。 不思議なのは一体何故数年で魔物娘の存在が日本の行政システムに組み込めたのか?だがこれに関しては彼女らの特殊な能力やその狡猾さから推測するに私達が都市伝説として認知するより遥か前から根回しを始めていたのだろう。 衆愚が最新の情報を知らないのは当たり前だが、それをまざまざと見せつけられると空恐ろしい物を感じてしまう。 既に多くの人間が知りえているが「魔物娘」はその名の通り魔物を擬人化したような恰好をしており、愛欲に素直でかつ美人が多い。基本的に男性を求める種が多く侵略?から数年経った今となってはごくごく当たり前のように夫婦やカップルが出来ている。 ああ、そうそう男性は幸せだとして女性はどうなのかを言い忘れていたね。女性は美人になれるから「魔物娘」に転生する子から今までの生活を送る子から様々な選択をしている・・・らしい この「らしい」と言うのは私は男性だから女性の変化についてはそう詳しく無いんだ。もっと詳しく知りたい場合は・・・そうだな近くに居るダークプリーストにでも聞いてみると良い、彼女達はそちらについては専門家だからね。 すっかり忘れていたが一つ「魔物娘」である彼女達には共通してある重要な性格が存在する、それは「好きな人間しか愛さない」と言うことだ。・・・何?あたりまえだって?君はこの言葉の意味を本当に理解しているのかい? 良いかい、もう一度だけ言うよ「好きな人間しか」愛さない。何が言いたいかって?察しの悪い君には答えをくれてやろう。 私は、どの魔物娘にも・・・好かれない体質なんだ。 ああ、少し誇張表現があったね。少なくとも「今まで出会った魔物娘には好かれない」と言う事なんだ。迫った相手が妻子持ちだとか、相手の嫌がることをしまくったとかそんなチャチな事じゃ断じてないんだ。もっと根幹的な本質的に嫌われているような何かを感じたんだ。 私は結構寂しがりでね、近くに人が居てほしいのだけれど私自身の性格が難儀な物だから人を傷つけてしまう。それが嫌で人から離れるのだけれど、それ故孤独を感じると言った酷いスパイラルにはまっていてね。常々私の数少ない友人には「奴隷が欲しい、私の事だけを見てくれて私の好きな時にはなしかけてくれる奴隷が欲しい」とかなんとか言っていた気が・・・おっと話が逸れたね。私としては自分語りだけでも後数百年は話していけそうなのだけれど君が来た目的とは異なってしまうからね。 君がここに来たのはえっちい魔物娘とズッコンバッコンする抜けるお宝の集積場の隅にポツンと置かれたゴミ屑をもの珍しさでふらりと見に来たのだろう?この暇人めが! ・・・ああ嘘ですごめんなさい、行かないでお願いしますなんでもしま・・・いやしないな。君がどこの段階でこの物語に飽きて去っていったのかそれとも付き合ってくれているのかさっぱり解らないからね。それに私は君に対して何も、何一つ出来ることは無いのだから。 さて、話が逸れてしまったが元に戻るとしよう。私が魔物娘から好かれないと言う話はしたね?私は魔物娘が都市伝説の頃から興味があってね、だって美人で一途な奥さんなんて悲しかな今の日本社会ではまず会えないだろうからね、私がもっとお金持ちでイケメンでハイスペックだったら少しは違ったのかもしれないが・・・ それで、魔物娘が社会に出始めてからまず最初に猫又に会いに行ったのさ。何故かって?そりゃ猫が好きだからに決まっているだろう?あのもふもふの毛や愛くるしい瞳!たまらないね!!・・・が結果は惨敗だったよ。 え?どうやって私がふられたのか知りたいだって? ここまでこの駄文に付き合ってくれている他ならない君の頼みだから辛いけれども再現してみることにするとしよう・・・。 ある日、私は猫又に会うために「猫屋敷」と言う人魔出会いの場所のある(所謂結婚相談所みたいなところだよ)通りをくるくる回っていたんだ。もうそれは必死だからね、それとなく出てくる人の姿を確認しつつアイドルスカウト待ちの少女のようなさり気なさと必死さで何往復もして通算214回目の往復を終えた時にようやく可愛らしい猫耳の子を見つけて声をかけたんだ。 「おおおおお嬢さん、もっもしかしてねねねこまちゃの方ですか?」 (お嬢さん、もしかして猫又の方ですか?良ければご一緒に昼食でも) 「あ・・・えっとウチは猫又やけど何か用でもあったん?」 「その・・・付き合ってください!!」 「ごめんね、ウチ臭い人とは付き合えへんねん・・・・堪忍な。」 しゅーりょー!!この圧倒的コミュ力の無さ!!全くもって嫌になるね。それに断られた理由が「くさい」って・・・もうこれ立ち直れないですよ・・・。\(^o^)/オワタ ・・・失礼、あまりのショックに少し動揺してしまったみたいだね。一応私の名誉の為に言っておくと、私自身が汗臭いとかそういったことでは無いと思うんだ・・・多分。 毎日きちんと清潔にしているからそう臭かったとは思わ・・・おも・・恐らく猫又は嗅覚が良いからね、人間には感知できない香りがしたんだろう。 ・・・でだ、まさか私が一人の魔物娘に振られただけで「好かれない」なんていうわけが無いだろう。実はあの後も数人の猫又に告白してみたのだけれど惨敗だったんだ。だからこそ私は今度は別の魔物娘にアプローチしてみることにしたんだ。 |
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