愛から逃げることはできません
ここは魔立第一高校のとある教室。
秋の夕べらしいサラサラとした風が
カーテンを揺らす。
そんな教室で
クラスメイトのキューピッド
ウィステリアさんから愛の告白を受けていた。
「あ…う…その、付き合って貰えませんか」
頬を真っ赤に染め、彼女は告げる。
桃色の羽を恥ずかしそうに
はたはたと動かしながら、
愛おしそうに僕を見つめる。
「その、ごめんなさい…」
罪悪感に蝕まれながら一言だけ返す。
一直線に僕を見つめる彼女とは対照的に、
彼女をしっかり見ることが叶わない。
「え…その…ダメでしょうか?
あ、えっと…その…なんで…」
「その…きっと僕といてもつまらないし…
お互いのためにいいと思うんだ。
ごめんなさい…」
一瞬で彼女の顔は真っ青に染まり
呼吸が不規則になった。
こちらからも動揺が見て取れる。
良心の呵責とでも言うべきだろうか
胃の底が急激に冷えていく感じがした。
でも、今の僕にでは彼女を幸せにできるはずがない。
ここで断るのが、最善の選択だ…
「え…そんな…
私のどこがダメですか?
だ、ダメなところは直します。だから…」
ダメ…そんなところあるはずがない。
品行方正、端正な顔立ち、
欠点らしい、欠点は見つからない。
そんな彼女の告白を無下にすることなど
どんなに罰当たりか。
ダメなのはむしろ僕だ。
「本当にごめんなさい…
僕なんかよりいい人を探してください。」
そう言うと脇目も振らず教室から出ていく。
背後からは彼女の嗚咽が聞こえてきた。
背中にチクリと痛みが走る。
帰宅後もウィステリアさんの
鳴き声が耳から離れることはなく、
食事が喉を通らなかった。
ならば、早く寝ようと目を閉じても
あの時の今にも泣き出しそうな絶望に満ちた顔が浮かんでくる。
自分は、ウィステリアさんの好意を
無駄にしてしまった。
自信のなさを理由にして
他者からの愛に向き合おうとしなかった。
今更ながらに後悔や罪悪感が押し寄せてきた。
「きちんと謝罪しよう…」
そう心に決めて、
悶々と夜が過ぎるのを待った。
その後、学校にて…
「あ、ウィステリアさん…」
「ああ…おはようございます…
今、忙しいのでまた後でいいですか?」
「すみません、ウィステリアさん…」
「なんです?昼食を頂きたいのですが…」
「あ、あの…」
「すみません。本日は忙しそうなので…」
完全に避けられている。
5日間、声をかけ続けたが全てダメ。
避けられ続ける日々を過ごす中で
自分の情けなさと比例するように
ぽっかりと穴が空いたような喪失感が
日に日に大きくなっていく。
そんな気持ちを紛らわすように、
夜になると1人寂しく自分を慰め続けた。
まるで極寒の地で熱を探し求めるように
一心不乱に…
だが、一向に気持ちは紛れず
むしろ寂しさと虚しだけが残り続けた。
そんなある日、ウィステリアさんの机に
ハンカチが置いてあった。
無意識にそれを手に取った…
ふわりと香る花の香りに鼻腔をくすぐられ
情欲を煽られる。
こんなこと絶対にいけない…
他人の私物に手を出すなど…
背徳感とウィステリアさんへの思いが
鼓動を早くする。
結局それを机へと戻すことはなく、
辺りを見回したあと自分のカバンに入れた。
帰宅後、すぐにカバンからハンカチを取り出すと、鼻に押し当てて慰めを開始する…
「ぅぅ…♡ウィステリアさん…」
彼女が見たら、幻滅するだろうか…
だが、喪失感を埋めるにはこうするしか…
その日はそのまま泥沼に浸かるように
劣情に身を任せて自分を慰めた。
次の日、
「時間が作れず申し訳ありませんでした。
本日なら、暇なのですが…
ゆっくりお話をしたいので
教会にいらっしゃいませんか?」
「は…はい…」
虚しさも、彼女への思いも限界に高まっている状況で誘いを断れるはずもなく、彼女へ大人しくついて行くことしか出来なかった。
教会へ着くと、そのままウィステリアさんの自室へと招かれる。
「ふぅ…♡ほら、座りましょっか…♡」
言われるがまま、ベッドに腰掛けると
腰に手を回され、さわさわと尻を揉まれる。
表情はいつも通り清楚なまま
彼女はドロドロとした情欲を含んだ手つきで
「逃げるなよ?」と脅すように
念入りに揉み続ける。
快楽で悶え始め、抵抗出来なくなった頃、
彼女はゆっくりと口を開いた。
「私の愛を無下にしてから約1週間…どうでした?」
「す、すみませんでした…
言い訳して、逃げて…
愛を無駄にしてしまって…
人間の分際で天使様の告白断って…
本当にごめんなさい…すみませんでした…」
神の前で懺悔するように
自分の反省を情けなく彼女に詫びる。
必死に必死に、許して貰えるように縋った。
彼女は、満足気に口角を上げると
次の質問を述べた。
「きちんと反省できたんですね…♡
よろしい…♡ではこの1週間
どのように過ごしましたか?」
「虚しさを紛らわすために必死に慰めt「私以外の雌豚共で?浮気ですか?」
懺悔の途中で詰められる。
言葉の節々からウィステリアさんの怒りが読み取れた。
「それは…ウィステリアさん以外のこと考えなきゃって思って…気を紛らわそうと…」
機嫌を損ねまいと必死に取り繕うが
全てを見透かしたような軽蔑の目を向けられる。
「でも…虚しさが増すばかり…
もう分かったんじゃないですか?
私以外で虚しさはごまかせないと…
ハンカチを使ってオナニーした
背徳感は……どうでしたか?」
ここに来て、ようやく嵌められた理解した。
徹底的な無視も、タイミングよく置いてあったハンカチも、教会へのお誘いも…
全て僕を嵌めるための罠。
「ふふっ…♡劣情も、虚しさも…
ぜーんぶぶつけてくださいね…♡
天使様が、きちんと導いてあげますから…♡」
彼女はそう言うと、
傍らから金色の矢を数本取り出した。
「これは"黄金の矢"です…♡
私の愛をグッツグツに煮て詰め込んだ
キューピッドの武器ですよ…♡
一気に三本くらい刺しちゃいますね…♡」
ひゅんっ
と胸を貫かれる。
派手な痛みはなく、チクリとするだけ…
と思った矢先。
脳が焼き切れるような多幸感と快楽に襲われた
「どうですか〜?♡
私のドロッドロに溶けたチョコみたいな
貴方だけへの思いを詰め込んだ愛情…♡
感じてくれてます?
毎日毎日貴方への思いを募らせて
ドエローいプレイとかシチュとか
妄想してた頃の記憶とかも混ぜてますから…
あ、今もしてますけど…♡」
「お…♡おぐっ…♡やめっt…やめて
気持ちよすぎて、おかしっk…♡」
先程まで渇望していた彼女からの愛。
干上がった大地に雨が染みていくが如く、どんどんと満たされるような感覚に陥った。
いや、それすらも越して、溢れる多幸感や快楽に耐えきれぬほど愛情をなみなみ注がれる。
「うわぁ…♡快楽に悶える人間さんかわい…♡
私の妄想プレイ再現しましょっか…♡
じゃ〜あ…♡"エロス様の聖書を実技で学ぶプレイ"とかどうですか?はい、決定…♡」
愛情に悶えるので精一杯で
返事ができないのをいいことに勝手に話を進められる。
「んんっ…♡では、このページのお話を…
本日は救済編ですね…♡
エロス様は、キューピッドたちへ述べました。『男性を救済する際は、細心の注意を払うこと。即ち、救済の際は男性が寂しくならないよう常に胸に抱き寄せ、口をキスで埋めることが重要です』と…♡」
聖書らしきものを朗読するウィステリアさん。
その顔は気色満面と言った様子で
極上の獲物を目の前にした獣にも似た表情をしていた。
「ちなみに救済っていうのは
愚かで悲しみに満ちた人間さんを導き、正しい方向へ向かわせるために、愛情を注ぐ行為のことを指します。
天使様を愛すことに不必要な記憶、技能を綺麗さっぱり"洗い流す"行為なんです…♡
今の矢の500倍は気持ちいいので
覚悟してください…♡」
ご、500…
想像もつかぬ言葉で脅される。
逃げなきゃ…逃げなきゃ…
頭では分かっているが体が言うことを効かない。
尻を揉み込む手の速度が上がる。
「では、実践してみましょう…♡
愚かな人間を導く"救済"の時間ですよ…♡
天使様で頭をいっぱいにして
間違った考えを消し去りましょう…♡
む…抵抗しちゃダメですよ!
ほら、キスしてリラックスしましょう。
ぢゅぅぅ〜〜♡♡ちゅ…♡くっぽくぽ…♡」
近づく唇を避けることすらできず
簡単に受け入れてしまう。
矢と救済のダブルパンチの快楽に
脳が緊急避難命令を出し、なんとかベッドを這うように距離を取ろうと試みる。
「まだ逃げる気ですか!?
黄金の矢を増量します…えいっ♡
溺れろ…♡私の愛でいっぱいになれ…♡
あはっ…♡よがってますね…♡
「廃人になりたくないよ…♡」って
脳みそが最後の抵抗で、快楽逃がそうと
頑張ってるんですね…♡
ほら、諦めて愛で溺死しましょうね…♡
ぢゅぅぅ〜♡ぐっぽぐっぽ…♡」
彼女は逃げようとする体をたわわに実った胸で押さえつけ、黄金の矢をさらに突き刺す。
多量の快楽がいっせいに脳みそを犯し尽くし
抵抗する意志を削がれていく。
「貴方の脳も、理性も私の愛情に逆レイプされちゃいましたね…♡
やめて〜♡助けて〜♡って言ってる
脳みそガン無視で
『うるせえ…♡私のもんになれ…♡』
って犯し尽くして、従順にするの癖になりそうです…♡」
「じゃあ、続けますね…♡
さらにエロス様は
『"救済"が済んだら、次は愛を媚びろと耳元で扇情的に艶めかしく囁けばよい』
と仰った。」
耳にねっとりと近づき、
艶めかしく、粘着質に囁く。
「ほら…♡もうあの寂しいのは嫌でしょ?
必死に媚びて、愛情を乞え…♡
もう前みたいに逃げられないよ?
ほら…♡捨てられたい?」
捨てられる。
捨てる気なんてさらさらないにだろうが
彼女以外に頼るものが無くなった状態の僕に1番効く言葉を乱暴に吐きかけてくる。
そんな脅しに立ち向かえるはずもなく
さらに情けなく、縋り付くように媚びる。
「お、お願いします…!
どうか、この哀れな人間にご慈悲を…
お願いします…ウィステリア様…♡」
「んふ〜〜♡クッソ…♡
都合よく可愛く媚びやがって…♡
ビッチすぎる…♡
救済して、守護らなきゃ…♡
常に傍に侍らせて、
私の男だってアピールしなきゃ…♡
ほんと…
可愛すぎるのも大概にしろ…♡
下手に出りゃ一丁前に袖にしやがって
何が『僕以外のいい人を…』だ…♡
入学からずっと狙ってんだよ…♡
舌出せ…♡キスさせろ…♡ふぅー…♡ふぅー…♡」
言葉遣いが荒れているが、
抱きしめ方は変わらず慈愛に満ち溢れ、キスで今まで通り弱い所を重点的にしつこく責める。
粗暴で暴力的な反面、いつもの清純で知的な彼女を意識させられる。
奥にコソコソ隠れている舌を
借金を取り立てるように引っ張り出し
従順になるまで、擦り続けたかと思えば
今度は、『ご主人様に奉仕しろ』とでも
言いたげに舌を突き出し、逆に擦らせる。
少しでも舌の動きを止めたり、
手を抜いたりすると
今度は両手で乳首をつねって、
『休むな…』と催促される。
「ぐっちゅ…♡じゅぷっ…♡ぢぅぅ…♡
ふぅー…♡ふぅー…♡ふひっ…♡
エロス様へ仕える身として、
これ以上の幸福などあるでしょうか…♡
最愛の殿方様をあるべき方向へと導き、
誰を愛すべきかを徹底的に教え込む…♡
初めからこうすべきでしたね…♡
告白とか、まどろっこしいことはせず
一方的に愛情を注ぎ込む…♡
ああ…♡これぞ愛の天使たる我々の本懐…♡」
恍惚と独り言を呟く。
余所見をした好きに、芋虫のようにベッドから這い出る。
「あ…♡どちらへ行かれるのです?
まだ終わりではありませんよ?
そんなに構って欲しいんですかぁ…♡」
そう言うと、魔法で出した弓に矢を番えて
ギリギリと弦を引く。
よく狙ったところで
ひゅん…
と矢を放った。
「えいっ…♡えいっ…♡
ふふっ…♡ほら、どうしましたか?
そうです…♡愛から逃げようとしても
この黄金の矢で射抜けば、
たちまち愛情中毒に陥るんです…♡
ほら、私のドロッドロの愛情を
直接浴びませんか?
こちらへ来てくださいな…♡」
1発、2発と体に命中する。
多量の快楽と、ウィステリアさんから僕へと向けられたドロッドロの列状が体を襲う。
へたりと倒れ込んだところに
「こちらへ来て」と一言…
脳も体もすっかり"理解"させられているようだ。
誰に従うべきかを…どうすればいいかを…
「きゅーん…♡」とウィステリアさんの欲情を煽るようなわざとらしい媚び声で
しっぽを揺らす子犬のようにベッドへ戻る。
「エロ声出して、お嫁さんに精一杯
媚びて偉いですねぇ…♡
ふふっ…♡はーい、ぎゅ〜〜♡♡
直接愛情を流し込まれるの好きですか?
お顔がトロットロに溶けてますねぇ…♡
まだ、ほんの1%ほどなのに…♡
次は10%行きましょっか…♡」
体を抱かれ、愛情を流し込まれた瞬間
目の前がチカチカとなり、
表情筋の抑えが効かなくなる。
次の愛情が流し込まれた途端に、
彼女の体に無意識に体を擦り付けていた。
どこにも行かないで、離さないでと
そんな情けない劣情を彼女にぶつける。
「きゃ…♡激しいですよぉ…♡
大丈夫、私は逃げませんよ…
どんな時でも、最優先で愛情を注ぎますからね…♡」
彼女はそんな愚かな思いすら見透かして
そっと微笑み、大丈夫と慰めてくれる。
そしてこう続けた。
「『良き行いには良き愛を』
私の母から教えてもらった大好きな一節です。
貴方は自分の過ちを悔い、
素直に愛を受け入れるようになりました。
ではご褒美を…♡良き愛をあげなくては…♡
セックス…♡しましょうか…♡」
お許しが出た、過ちを許して貰えた。
彼女からいっぱい愛情を注いで貰える。
そう思うだけで、胸の高まりは止まらず
キュンっ…♡キュンっ…♡と
体が疼くのを感じ取る。
彼女は、抵抗する可能性が完全に消えたのを
確認すると、ゆっくりと服を脱がし、挿入の手前まで持っていく。
淫靡に微笑み、口を開く。
「媚びた顔が最っ高にいやらしいですよぉ…♡
貴方は、その最高にいやらしく、愚かで、美しい愛情を"私だけに"向けてくれれば良いですから…♡」
ゆっくりと堪能するように挿入し、
徐々に腰を振る速度を早めて行く。
同時に体を密着させるように抱きつくと
ドロッドロの愛情をさらに注ぎ込まれる。
お互いの顔は完全に蕩け
快楽と愛情を貪り合う獣の様相を呈す。
「あ…♡ぁぅ…♡愛されるの気持ちいい…♡
ウィステリアさん…♡好き…♡好き…♡
愛から逃げません…♡一生愛と向き合います…♡」
「はい…♡素晴らしい懺悔です…♡
あなたを救えるのは私だけ…♡
ほら、お口が寂しいでしょう?
私が埋めてあげますよ…♡
これからも無限の愛情を注ぎ続けますから…♡
そろそろ果てそうですね…♡良いですよ…♡同時に果てましょう…♡」
ぎゅーっと抱き合うと、同時に絶頂を迎える。
この上ない多幸感と快楽に体を預け切り、余韻に浸ろうとすると、ウィステリアさんはニヤリと口角を上げた。
「まだまだ終わりではありませんよ?」
ーーーーー
「ふふっ…♡可愛らしい寝顔…♡
天使の印も刻みましたし、
洗n…"祝福"も終わりました…♡
もうどこにも逃げられませんよ…♡
これからもよろしくお願いしますね…
旦那様…♡」
秋の夕べらしいサラサラとした風が
カーテンを揺らす。
そんな教室で
クラスメイトのキューピッド
ウィステリアさんから愛の告白を受けていた。
「あ…う…その、付き合って貰えませんか」
頬を真っ赤に染め、彼女は告げる。
桃色の羽を恥ずかしそうに
はたはたと動かしながら、
愛おしそうに僕を見つめる。
「その、ごめんなさい…」
罪悪感に蝕まれながら一言だけ返す。
一直線に僕を見つめる彼女とは対照的に、
彼女をしっかり見ることが叶わない。
「え…その…ダメでしょうか?
あ、えっと…その…なんで…」
「その…きっと僕といてもつまらないし…
お互いのためにいいと思うんだ。
ごめんなさい…」
一瞬で彼女の顔は真っ青に染まり
呼吸が不規則になった。
こちらからも動揺が見て取れる。
良心の呵責とでも言うべきだろうか
胃の底が急激に冷えていく感じがした。
でも、今の僕にでは彼女を幸せにできるはずがない。
ここで断るのが、最善の選択だ…
「え…そんな…
私のどこがダメですか?
だ、ダメなところは直します。だから…」
ダメ…そんなところあるはずがない。
品行方正、端正な顔立ち、
欠点らしい、欠点は見つからない。
そんな彼女の告白を無下にすることなど
どんなに罰当たりか。
ダメなのはむしろ僕だ。
「本当にごめんなさい…
僕なんかよりいい人を探してください。」
そう言うと脇目も振らず教室から出ていく。
背後からは彼女の嗚咽が聞こえてきた。
背中にチクリと痛みが走る。
帰宅後もウィステリアさんの
鳴き声が耳から離れることはなく、
食事が喉を通らなかった。
ならば、早く寝ようと目を閉じても
あの時の今にも泣き出しそうな絶望に満ちた顔が浮かんでくる。
自分は、ウィステリアさんの好意を
無駄にしてしまった。
自信のなさを理由にして
他者からの愛に向き合おうとしなかった。
今更ながらに後悔や罪悪感が押し寄せてきた。
「きちんと謝罪しよう…」
そう心に決めて、
悶々と夜が過ぎるのを待った。
その後、学校にて…
「あ、ウィステリアさん…」
「ああ…おはようございます…
今、忙しいのでまた後でいいですか?」
「すみません、ウィステリアさん…」
「なんです?昼食を頂きたいのですが…」
「あ、あの…」
「すみません。本日は忙しそうなので…」
完全に避けられている。
5日間、声をかけ続けたが全てダメ。
避けられ続ける日々を過ごす中で
自分の情けなさと比例するように
ぽっかりと穴が空いたような喪失感が
日に日に大きくなっていく。
そんな気持ちを紛らわすように、
夜になると1人寂しく自分を慰め続けた。
まるで極寒の地で熱を探し求めるように
一心不乱に…
だが、一向に気持ちは紛れず
むしろ寂しさと虚しだけが残り続けた。
そんなある日、ウィステリアさんの机に
ハンカチが置いてあった。
無意識にそれを手に取った…
ふわりと香る花の香りに鼻腔をくすぐられ
情欲を煽られる。
こんなこと絶対にいけない…
他人の私物に手を出すなど…
背徳感とウィステリアさんへの思いが
鼓動を早くする。
結局それを机へと戻すことはなく、
辺りを見回したあと自分のカバンに入れた。
帰宅後、すぐにカバンからハンカチを取り出すと、鼻に押し当てて慰めを開始する…
「ぅぅ…♡ウィステリアさん…」
彼女が見たら、幻滅するだろうか…
だが、喪失感を埋めるにはこうするしか…
その日はそのまま泥沼に浸かるように
劣情に身を任せて自分を慰めた。
次の日、
「時間が作れず申し訳ありませんでした。
本日なら、暇なのですが…
ゆっくりお話をしたいので
教会にいらっしゃいませんか?」
「は…はい…」
虚しさも、彼女への思いも限界に高まっている状況で誘いを断れるはずもなく、彼女へ大人しくついて行くことしか出来なかった。
教会へ着くと、そのままウィステリアさんの自室へと招かれる。
「ふぅ…♡ほら、座りましょっか…♡」
言われるがまま、ベッドに腰掛けると
腰に手を回され、さわさわと尻を揉まれる。
表情はいつも通り清楚なまま
彼女はドロドロとした情欲を含んだ手つきで
「逃げるなよ?」と脅すように
念入りに揉み続ける。
快楽で悶え始め、抵抗出来なくなった頃、
彼女はゆっくりと口を開いた。
「私の愛を無下にしてから約1週間…どうでした?」
「す、すみませんでした…
言い訳して、逃げて…
愛を無駄にしてしまって…
人間の分際で天使様の告白断って…
本当にごめんなさい…すみませんでした…」
神の前で懺悔するように
自分の反省を情けなく彼女に詫びる。
必死に必死に、許して貰えるように縋った。
彼女は、満足気に口角を上げると
次の質問を述べた。
「きちんと反省できたんですね…♡
よろしい…♡ではこの1週間
どのように過ごしましたか?」
「虚しさを紛らわすために必死に慰めt「私以外の雌豚共で?浮気ですか?」
懺悔の途中で詰められる。
言葉の節々からウィステリアさんの怒りが読み取れた。
「それは…ウィステリアさん以外のこと考えなきゃって思って…気を紛らわそうと…」
機嫌を損ねまいと必死に取り繕うが
全てを見透かしたような軽蔑の目を向けられる。
「でも…虚しさが増すばかり…
もう分かったんじゃないですか?
私以外で虚しさはごまかせないと…
ハンカチを使ってオナニーした
背徳感は……どうでしたか?」
ここに来て、ようやく嵌められた理解した。
徹底的な無視も、タイミングよく置いてあったハンカチも、教会へのお誘いも…
全て僕を嵌めるための罠。
「ふふっ…♡劣情も、虚しさも…
ぜーんぶぶつけてくださいね…♡
天使様が、きちんと導いてあげますから…♡」
彼女はそう言うと、
傍らから金色の矢を数本取り出した。
「これは"黄金の矢"です…♡
私の愛をグッツグツに煮て詰め込んだ
キューピッドの武器ですよ…♡
一気に三本くらい刺しちゃいますね…♡」
ひゅんっ
と胸を貫かれる。
派手な痛みはなく、チクリとするだけ…
と思った矢先。
脳が焼き切れるような多幸感と快楽に襲われた
「どうですか〜?♡
私のドロッドロに溶けたチョコみたいな
貴方だけへの思いを詰め込んだ愛情…♡
感じてくれてます?
毎日毎日貴方への思いを募らせて
ドエローいプレイとかシチュとか
妄想してた頃の記憶とかも混ぜてますから…
あ、今もしてますけど…♡」
「お…♡おぐっ…♡やめっt…やめて
気持ちよすぎて、おかしっk…♡」
先程まで渇望していた彼女からの愛。
干上がった大地に雨が染みていくが如く、どんどんと満たされるような感覚に陥った。
いや、それすらも越して、溢れる多幸感や快楽に耐えきれぬほど愛情をなみなみ注がれる。
「うわぁ…♡快楽に悶える人間さんかわい…♡
私の妄想プレイ再現しましょっか…♡
じゃ〜あ…♡"エロス様の聖書を実技で学ぶプレイ"とかどうですか?はい、決定…♡」
愛情に悶えるので精一杯で
返事ができないのをいいことに勝手に話を進められる。
「んんっ…♡では、このページのお話を…
本日は救済編ですね…♡
エロス様は、キューピッドたちへ述べました。『男性を救済する際は、細心の注意を払うこと。即ち、救済の際は男性が寂しくならないよう常に胸に抱き寄せ、口をキスで埋めることが重要です』と…♡」
聖書らしきものを朗読するウィステリアさん。
その顔は気色満面と言った様子で
極上の獲物を目の前にした獣にも似た表情をしていた。
「ちなみに救済っていうのは
愚かで悲しみに満ちた人間さんを導き、正しい方向へ向かわせるために、愛情を注ぐ行為のことを指します。
天使様を愛すことに不必要な記憶、技能を綺麗さっぱり"洗い流す"行為なんです…♡
今の矢の500倍は気持ちいいので
覚悟してください…♡」
ご、500…
想像もつかぬ言葉で脅される。
逃げなきゃ…逃げなきゃ…
頭では分かっているが体が言うことを効かない。
尻を揉み込む手の速度が上がる。
「では、実践してみましょう…♡
愚かな人間を導く"救済"の時間ですよ…♡
天使様で頭をいっぱいにして
間違った考えを消し去りましょう…♡
む…抵抗しちゃダメですよ!
ほら、キスしてリラックスしましょう。
ぢゅぅぅ〜〜♡♡ちゅ…♡くっぽくぽ…♡」
近づく唇を避けることすらできず
簡単に受け入れてしまう。
矢と救済のダブルパンチの快楽に
脳が緊急避難命令を出し、なんとかベッドを這うように距離を取ろうと試みる。
「まだ逃げる気ですか!?
黄金の矢を増量します…えいっ♡
溺れろ…♡私の愛でいっぱいになれ…♡
あはっ…♡よがってますね…♡
「廃人になりたくないよ…♡」って
脳みそが最後の抵抗で、快楽逃がそうと
頑張ってるんですね…♡
ほら、諦めて愛で溺死しましょうね…♡
ぢゅぅぅ〜♡ぐっぽぐっぽ…♡」
彼女は逃げようとする体をたわわに実った胸で押さえつけ、黄金の矢をさらに突き刺す。
多量の快楽がいっせいに脳みそを犯し尽くし
抵抗する意志を削がれていく。
「貴方の脳も、理性も私の愛情に逆レイプされちゃいましたね…♡
やめて〜♡助けて〜♡って言ってる
脳みそガン無視で
『うるせえ…♡私のもんになれ…♡』
って犯し尽くして、従順にするの癖になりそうです…♡」
「じゃあ、続けますね…♡
さらにエロス様は
『"救済"が済んだら、次は愛を媚びろと耳元で扇情的に艶めかしく囁けばよい』
と仰った。」
耳にねっとりと近づき、
艶めかしく、粘着質に囁く。
「ほら…♡もうあの寂しいのは嫌でしょ?
必死に媚びて、愛情を乞え…♡
もう前みたいに逃げられないよ?
ほら…♡捨てられたい?」
捨てられる。
捨てる気なんてさらさらないにだろうが
彼女以外に頼るものが無くなった状態の僕に1番効く言葉を乱暴に吐きかけてくる。
そんな脅しに立ち向かえるはずもなく
さらに情けなく、縋り付くように媚びる。
「お、お願いします…!
どうか、この哀れな人間にご慈悲を…
お願いします…ウィステリア様…♡」
「んふ〜〜♡クッソ…♡
都合よく可愛く媚びやがって…♡
ビッチすぎる…♡
救済して、守護らなきゃ…♡
常に傍に侍らせて、
私の男だってアピールしなきゃ…♡
ほんと…
可愛すぎるのも大概にしろ…♡
下手に出りゃ一丁前に袖にしやがって
何が『僕以外のいい人を…』だ…♡
入学からずっと狙ってんだよ…♡
舌出せ…♡キスさせろ…♡ふぅー…♡ふぅー…♡」
言葉遣いが荒れているが、
抱きしめ方は変わらず慈愛に満ち溢れ、キスで今まで通り弱い所を重点的にしつこく責める。
粗暴で暴力的な反面、いつもの清純で知的な彼女を意識させられる。
奥にコソコソ隠れている舌を
借金を取り立てるように引っ張り出し
従順になるまで、擦り続けたかと思えば
今度は、『ご主人様に奉仕しろ』とでも
言いたげに舌を突き出し、逆に擦らせる。
少しでも舌の動きを止めたり、
手を抜いたりすると
今度は両手で乳首をつねって、
『休むな…』と催促される。
「ぐっちゅ…♡じゅぷっ…♡ぢぅぅ…♡
ふぅー…♡ふぅー…♡ふひっ…♡
エロス様へ仕える身として、
これ以上の幸福などあるでしょうか…♡
最愛の殿方様をあるべき方向へと導き、
誰を愛すべきかを徹底的に教え込む…♡
初めからこうすべきでしたね…♡
告白とか、まどろっこしいことはせず
一方的に愛情を注ぎ込む…♡
ああ…♡これぞ愛の天使たる我々の本懐…♡」
恍惚と独り言を呟く。
余所見をした好きに、芋虫のようにベッドから這い出る。
「あ…♡どちらへ行かれるのです?
まだ終わりではありませんよ?
そんなに構って欲しいんですかぁ…♡」
そう言うと、魔法で出した弓に矢を番えて
ギリギリと弦を引く。
よく狙ったところで
ひゅん…
と矢を放った。
「えいっ…♡えいっ…♡
ふふっ…♡ほら、どうしましたか?
そうです…♡愛から逃げようとしても
この黄金の矢で射抜けば、
たちまち愛情中毒に陥るんです…♡
ほら、私のドロッドロの愛情を
直接浴びませんか?
こちらへ来てくださいな…♡」
1発、2発と体に命中する。
多量の快楽と、ウィステリアさんから僕へと向けられたドロッドロの列状が体を襲う。
へたりと倒れ込んだところに
「こちらへ来て」と一言…
脳も体もすっかり"理解"させられているようだ。
誰に従うべきかを…どうすればいいかを…
「きゅーん…♡」とウィステリアさんの欲情を煽るようなわざとらしい媚び声で
しっぽを揺らす子犬のようにベッドへ戻る。
「エロ声出して、お嫁さんに精一杯
媚びて偉いですねぇ…♡
ふふっ…♡はーい、ぎゅ〜〜♡♡
直接愛情を流し込まれるの好きですか?
お顔がトロットロに溶けてますねぇ…♡
まだ、ほんの1%ほどなのに…♡
次は10%行きましょっか…♡」
体を抱かれ、愛情を流し込まれた瞬間
目の前がチカチカとなり、
表情筋の抑えが効かなくなる。
次の愛情が流し込まれた途端に、
彼女の体に無意識に体を擦り付けていた。
どこにも行かないで、離さないでと
そんな情けない劣情を彼女にぶつける。
「きゃ…♡激しいですよぉ…♡
大丈夫、私は逃げませんよ…
どんな時でも、最優先で愛情を注ぎますからね…♡」
彼女はそんな愚かな思いすら見透かして
そっと微笑み、大丈夫と慰めてくれる。
そしてこう続けた。
「『良き行いには良き愛を』
私の母から教えてもらった大好きな一節です。
貴方は自分の過ちを悔い、
素直に愛を受け入れるようになりました。
ではご褒美を…♡良き愛をあげなくては…♡
セックス…♡しましょうか…♡」
お許しが出た、過ちを許して貰えた。
彼女からいっぱい愛情を注いで貰える。
そう思うだけで、胸の高まりは止まらず
キュンっ…♡キュンっ…♡と
体が疼くのを感じ取る。
彼女は、抵抗する可能性が完全に消えたのを
確認すると、ゆっくりと服を脱がし、挿入の手前まで持っていく。
淫靡に微笑み、口を開く。
「媚びた顔が最っ高にいやらしいですよぉ…♡
貴方は、その最高にいやらしく、愚かで、美しい愛情を"私だけに"向けてくれれば良いですから…♡」
ゆっくりと堪能するように挿入し、
徐々に腰を振る速度を早めて行く。
同時に体を密着させるように抱きつくと
ドロッドロの愛情をさらに注ぎ込まれる。
お互いの顔は完全に蕩け
快楽と愛情を貪り合う獣の様相を呈す。
「あ…♡ぁぅ…♡愛されるの気持ちいい…♡
ウィステリアさん…♡好き…♡好き…♡
愛から逃げません…♡一生愛と向き合います…♡」
「はい…♡素晴らしい懺悔です…♡
あなたを救えるのは私だけ…♡
ほら、お口が寂しいでしょう?
私が埋めてあげますよ…♡
これからも無限の愛情を注ぎ続けますから…♡
そろそろ果てそうですね…♡良いですよ…♡同時に果てましょう…♡」
ぎゅーっと抱き合うと、同時に絶頂を迎える。
この上ない多幸感と快楽に体を預け切り、余韻に浸ろうとすると、ウィステリアさんはニヤリと口角を上げた。
「まだまだ終わりではありませんよ?」
ーーーーー
「ふふっ…♡可愛らしい寝顔…♡
天使の印も刻みましたし、
洗n…"祝福"も終わりました…♡
もうどこにも逃げられませんよ…♡
これからもよろしくお願いしますね…
旦那様…♡」
22/08/27 17:26更新 / 星清華