殺人鬼夫婦VS海の残虐娘トリオ
注意!!!
今回の話では魔物娘が死にます!
さらにはその殺害予定の魔物もかなりの凶悪ぶりを見せます!
グロや殺害が苦手だというお方は見ないことをお勧めします。
大丈夫だ!問題ない!という方はそのままお読みください。
それではどうぞ!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−バトルクラブ控え室−−−
「ルナリスと一緒に戦うのはいったい何年ぶりだろうな」
「そうですねー、魔王軍の駐留する街をバルクが一人で襲いに行ったのをフォローしに行った時以来じゃないかしら?」
「おお!そうだったな!いやー懐かしい、あの時は魔物にしろ、人間にしろ、実力者がそろっていたからな。久しぶりに殺りがいのある連中ばかりだったから思わず興奮してしまったな。ハッハッハッハッハ!!!」
「まあー、ガルーオさんったらはしたないんだから、フフフフフ」
「何を言うんだ。そういうルナリスこそ、楽しそうな顔して奴らを燃やしていたじゃないか」
「あら、見ていらしたんですか?もうー乙女の戦う姿をそんな風に表現するものではないですよ」
「ハッハッハッハッハ!!!だがやはりルナリスは戦っているときが一番綺麗だよ。特に魔物の血を浴びて笑っている時の君の笑顔は特に綺麗だ」
「まあ♪でも、ガルーオさんが魔物をグシャグシャにしてる姿も素敵ですよ」
「よせやい、照れるだろう♪」
かなり物騒な会話を平気で行っているこの二人、実は以前バトルクラブの1VS3で過剰な殺人劇を行ったケイクス=バルクの両親で父親は名を『ケイクス=ガルーオ』といい、毛皮のベストを着て筋骨隆々とした肌を見せる男で手には黒いグローブをはめ、そばにはドでかいアイアンハンマーがあった。母親は『ケイクス=ルナリス』といい、とても温厚そうな表情をしており、赤いドレスに身を包み、手には何かの髑髏をつけた魔術の杖を持っていた。
実はケイクス一族は古くから伝わる殺人鬼集団でその親族全てが殺害を好むという異常な一族であった。
まだ魔物が人形を取る前は良く魔物を虐殺していたことから一族の人間は魔物を殺すことを特に好み、その殺した魔物に何かしら悪癖を実行することが多い。
例としてあげるならバルクの魔物の心臓を取り出して握るつぶすという悪癖があげられる。
そして、その悪癖は現在まで一族に遺伝しており、その残忍で強大な戦闘力は衰えることをまるで知らず、これまで幾多の街、魔物の集落は壊滅という被害を受けてきた。
実際ガルーオは青年時代に単身でサバトやアマゾネスの集落に突っ込み、幾つも壊滅させるという偉業を達成している。
「しかし、バルクが苦戦をする姿を見たのは初めてだったな」
「ええ、そうね。何十人に立ち向かって苦戦というのは見たことがあるけれど、たった一人の魔物にあそこまでボロボロにされているのは初めてね」
「まあ、あいつにとっちゃいい経験になっただろう。まあそれはいいとして、まさかケイクス家にとってこんなに楽しそうな場所があったなんてことを今まで知らなかったってのが悔しいよな」
「そうね。早く知っていれば無駄に弱い人たちと戦わなくて済んだはずですものね」
「ああ、まったくだ!バルクには帰ってきた時にご褒美を用意してやんなきゃな!」
「ええ、そうね。せっかくプレゼントしたチェーンソーも壊れてしまったことだし、新しいものをプレゼントしなくっちゃ♪」
「まあ、それもまずは俺達がここで楽しんでからだけどな」
「フフフフフ、そうですね。しばらくは戦っていなかったから存分に楽しませてもらいましょう」
2人の目つきが殺人鬼特有の狂気の目になり始めた時だった。
コンコン ガチャ
「試合の時間になりました。着いてきて下さい」
「おう!・・・いくかルナリス」
「ええ、ガルーオさん」
2人はそれぞれの得物を持ち、係員について歩いていく。
−−−バトルクラブ闘技場−−−
2人が闘技場に到着するとすでに待ち構えていたのか中央に3つの人影が見えていた。
「あれが俺達の対戦相手か・・・ん?あいつらは・・・」
「まあ、あれは海に住んでいる魔物じゃなかったかしら?」
そう2人が言っているとおり、中央にいた3つの人影は海の魔物達の姿だった。
一人はマーメイドで手に手のひらサイズのおおきな宝石を持っていて、どこか黒い笑顔でこちらを見ていた。
一人はサハギンで腕組をして瞳孔の開いた目でこちらを凝視し、口元はうっすらと笑っている。
最後の一人はカリュブディスで足から腰までを覆っているフジツボのような形の巣があり、その巣からは所々に細長い穴の開いた出っ張りが見られる。何か新しい玩具が手に入ったかのような壊れた笑みをこちらに見せている。
「どうやら、俺達と同族みたいだな、あの表情はよ」
「ええ、これはとても壊しがいがあるわ」
この2人もまた狂気を孕んだ目で相手を見て、心から楽しそうに笑っていた。
「ケイクスチーム中央に!」
審判が召集をかけたため、2人は中央まで歩いていく。
「私は今回の試合を審判するマスター=ジャッジです。ルールは知っての通り死亡、戦闘不能が起こるまで戦闘をしていただきますが、今回はチーム戦ですのでチームリーダが死亡、戦闘不能になった瞬間に試合を止めますのでそのつもりで。また、客席への攻撃や戦闘不能者を使っての戦闘はデルフィニア様への冒涜として見て即座に止めに入りますのでそのつもりで、では両チームのリーダーを紹介して後ろに下がってください」
審判の説明が終わり両チームからリーダーが名乗りを上げる。
「ケイクスチームのリーダーを務めるガルーオだ」
「海の魔物チームのリーダー、マーメイドのシューリエです」
お互いに笑みを浮かべて、後ろに下がっていく。
「あいつら、ああいう風に移動していたのか」
そう疑問に感じている人たちがいると思われますが、海の魔物である彼女達はどうやって陸を移動していたのか?
サハギンはまだわかりますが、残りの2人は移動が困難な魔物、どうやって移動していたかというとカリュブディスは巣を持ち上げて移動をしていた。これには少々びっくりしていたが、一番びっくりしたのはマーメイドのシューリエだった。
「あれは魔法なのかしらね」
そう、シューリエは魔法をつかって自身を水で包み宙に浮いて移動しているのだ。
「どうやら、陸地でも問題なく動けるみたいだな」
「それよりも、あの水はどこから出したのかしら?呪文の詠唱や魔力の変化はあまり感じなかったのだけれど?」
「それらも含めて楽しもうぜ、どうやら普通の魔物じゃないみたいだからな」
「それもそうね」
「両チーム準備はいいですか?」
「ああ」
「はい」
「それでは・・・試合開始!!!」
審判が合図を告げ、試合の幕があがった。
「よっしゃ!いっちょ派手に殺しあおうぜ!」
アイアンハンマーを構えて意気込むガルーオ。
「フフフフフ、あなた達の血は何色かしら?」
杖を片手に笑顔で恐ろしいことを言うルナリス。
「ゼノア、ヒュンフ、いつも通りに戦いましょう」
「・・・(こくり)」
「キャハ♪、まかせてよ」
対してこちらはゼノアと呼ばれたサハギンを先頭に中間の位置にカリュブディスのヒュンフがついて、最後方にマーメイドのシューリエといった具合に配置についていた。
先に動いたのはガルーオのほうだった。
ガルーオは地を蹴って飛び出し、最前線のゼノアに向かっていく。
そのスピードはアイアンハンマーを担ぎながら走っているとは思えないほど早くあっという間に距離を縮めてきていた。
それに対して、ゼノアは右手をゆっくりと虚空にかまえを取る。
「・・・召還『プルミエール・グラッソ』」
ぼそりと何かを呟いた瞬間、ゼノアの右手が光り輝き冷気が辺りに吹き荒れ始める。
さすがに警戒したのかガルーオも一旦走ることをやめて、様子を伺う。
ゼノアの右手に突如、等身大ほどの長い氷柱が出現する。
ゼノアはそれをしっかりと両手で掴み構える。
プルミエール・グラッソは氷の召還魔法で氷柱を生み出す中級魔法に属する。
「氷柱の槍使いか・・・こいつはますます面白くなりそうだ」
正体が何なのかわかったところで再び動きだし、ハンマー振りかぶってゼノア目掛けて振り下ろしていく。
「食らいやがれー!」
凄まじい勢いで振り下ろされるハンマーを後ろに飛んで避けるゼノア。
ガッ ドッカーン!!!
ハンマーが振り下ろされた直後、当たった地面がありえない音と共に激しく砕け散る。
さすがにビックリしたのか、砕けた地面を凝視するゼノア。
「どうだ!俺様の『ショック・オブ・クラッシュ』の威力は!こいつが当たれば骨の髄からドッカーンだぜ!」
ショック・オブ・クラッシュとはアイアンハンマーのぶつけた時の衝撃とそこに魔力を使って生み出した衝撃を何重にも重ねて威力をあげる技。
当たれば骨ごと簡単に潰すことが出来るほどだ。
「・・・(フッ)」
「てめえ!何笑ってやがる!」
ゼノアは笑うだけで特に答えず、氷柱を構えて真っ直ぐ突っ込んでくる。
「へっ!上等だぜ!」
ガルーオも迎え撃つために再びショック・オブ・クラッシュの体制をとる。
もうすぐ間合いに入るというところで、突然ゼノアが急ブレーキをかけてガルーオの真上に飛び上がったのだ。
「な!?」
ガルーオがゼノアを見上げたその直後。
ビシュー!
「ぬお!?」
突如正面から細い水流砲が飛んできて体を掠めていった。
掠めた箇所からは血が流れ出し、高水圧の威力があることを証明していた。
しかし、それで終わるわけが無く今度は真上からゼノアが落ちてきて氷柱を突き刺そうとしてくる。
「ちっ!」
さすがにやばいと感じ後ろに飛びのくガルーオ。
ゼノアの氷柱は地面に深々と突き刺さるがすぐにその氷柱を放棄して、新しい氷柱を作り出すゼノア。
今度はそのまま氷柱の連続突きを繰り出してくるがガルーオは最低限の動きでこれをかわしていく。
『マジックボイス〜炎〜』
最前線での闘いが押され気味になっていたところで後ろに待機していたルナリスの声が響き渡った。
ゴオオオオオ!!!
「うわ!あちっ!」
「・・・!」
ガルーオとゼノアの中心に突然巨大な炎が発火して両者の戦いを強引に中断する。
当然ガルーオもゼノアも後ろに飛びのいて非難している。
マジックボイス〜炎〜とはルナリスが使う独特の魔法で声に魔力を乗せることで好きなところを発火させる魔法だ。
「ルナリス、助かったんだがもう少しマシな助け方はなかったのか?」
「フフフフフ、ごめんなさい。でもこの方が手っ取り早かったし、何より勝手に突っ込んでいってピンチになってるんですもの、これくらいのお仕置きは仕方ないんじゃないかしら?」
「・・・すまん」
ルナリスがとても怖い笑みを浮かべていて、ガルーオは謝る以外の選択肢しか見出せないでいた。
「さて、ここからは夫婦の連携をみせましょう。どうやらその辺の雑魚よりも生きはよさそうですからね」
「そうだな。普通じゃないと思っていたがなかなかどうして苦戦しちまった」
「それじゃあ、ガルーオさんはさっきのように前線で戦ってくださいね。私は魔法で援護しますから」
「ああ、頼むぜ。・・・しゃあ!いくぜ!」
再びガルーオは突撃していきゼノアに攻撃を仕掛けていく。
そして後方からのルナリスによる魔法の援護を受け、ゼノアを押していく。
ゼノアの後ろから先ほどガルーオを狙った水流砲が何発も飛んでくるがそれをルナリスの魔法で相殺して後方援護もバッチリ遮断していた。
「オラオラ!どうしたよさっきの威勢はよー!」
「・・・(くっ)」
何度もきわどい攻撃がゼノアの体スレスレを通過していき、思うように攻撃が出来ないでいた。
一撃をもらうことすなわち、死に直結するからだ。
しかも、後方からの水流砲の援護は遮断されているために保険すらきかない状況だ、だからこそ余計にかわすことに力をいれてしまう。
しかし、いくらかわすことに力を注いでも何処かで一発もらってしまうのが闘いの常であり、この闘いも例外には漏れていなかった。
ゼノアが攻撃を回避した直後だった。何度か地面をえぐられていた為にそこに足がつまずいてしまい、倒れてしまったのだ。
「へへへ!あばよ!」
「・・・!!!」
ガルーオがその千載一遇のチャンスを逃すはずも無く、一気にハンマー振り下ろしていく。
ガルーオのハンマーがゼノアを捕らえ、その体がグシャグシャになる・・・はずだった。
バシャ バチン!
「な、なんだこりゃ!?」
突如ゼノアの体を水が包み込み、ガルーオの攻撃を弾いたのだ。
そしてゼノアの体は宙に浮き後方にさがっていく。
「待ちやがれや!!!」
しかし、そんな状況を指をくわえて見送るガルーオなわけがなく、その後を追いかけていく、そんな時だった。
「人間よ、その脆弱な身でありながらここまでゼノアを追い詰めたのは賞賛に値します。ですが、所詮人間は人間。己の無力さを思い知っていただきましょう」
『タイダルアクアマリンよその青き力を用いて地を海水で覆いたまえ、オーシャンフィールド!』
マーメイドのシューリエが聞こえていないであろうガルーオに対してこのように述べた後、手にしているタイダルアクアマリンに魔力を送り込み何かをつぶやいた瞬間、突如タイダルアクアマリンから海水が信じられない勢いで放出されはじめ、どんどん闘技場を海水であふれさせ始めたのだ。
オーシャンフィールドはその名の通りフィールドを海に変えてしまう魔法でタイダルアクアマリンが無いと発動が出来ないほどの上級魔法である。
村規模なら短時間で海底遺跡に変えることができるほどの水量になる。
「な!?なんだあの宝石は海水が出てきてやがる!」
「ガルーオさん!早くあの宝石を破壊して!この闘技場が海水で埋まってしまえば私達の勝ちが無くなってしまうわ!!!」
「わかってら!!!」
ルナリスが先ほどまでの余裕の表情を崩し真剣な表情で大声をあげる中、ガルーオもそんなことはわかっているといわんばかりにシューリエに向かって突撃していくがその行く手を2人の魔物が遮る。
「・・・(キッ!)」
「キャハ!通さないよ♪」
「ちっ!邪魔をすんな!」
「キャハ!さっきは水が無かったからあまり出せなかったけど、今は海水が溜まり始めてるからもっと強く、たくさん出せるよ!ゼノア、援護するからよろしくね♪」
「・・・(こくり)」
ゼノアは頷くと両手を虚空に伸ばして氷柱を召還する。
今度はとてつもなく大きな氷柱を・・・
「な!?さっきよりも数段でかい氷柱じゃあねえか!なんでいきなりあんなでかくなるんだ!?」
実は彼女達は陸地では海の中で闘う以上に能力が落ちてしまうのだ。
水に触れるだけでその実力は数段はねあがり、体全体を水で覆いきれば陸地で闘う時の3倍の力が発揮されるのだ。
ゼノアはその大きな氷柱を豪快に投げ下ろしていた。
ガルーオはその氷柱をショック・オブ・クラッシュで破壊して突撃をするが。
「キャハ!まだ私の攻撃が残ってるよ♪」
先ほどよりも太い水流砲が連続でガルーオ目掛けて発射され、ガルーオは止むを得ずに引き下がってしまう。
「くっ!水嵩が増して動きにくくなってきたぜ。ルナリス!あの人魚野郎を魔法でぶっ飛ばせねえのか!?」
「無理よ!あいつは体を常に海水で保護しているのよ!もっと近づいて行かないと威力が足りないわ!」
「なんてこった!」
「キャハ!あきらめて蜂の巣になるといいですよ♪そうすれば溺れずにすみますよ♪」
「・・・(サッ)」
すでに海水は腰の位置まで浸かり始め、とうとうガルーオ達の動きに支障が出始めていた。
反対にゼノア達の動きはどんどん素早くなり、ガルーオ達を苦しめていく。
ゼノアは海水に潜れるようになったことから海水を泳いで移動しはじめ、魚雷のごとく素早く接近しては手に持った氷柱でガルーオの足を狙い。
後ろからは威力がマックスになったのか大木ほどの太さの水流砲を発射してくるヒュンフ。
もはやガルーオ達はかわすのが精一杯という状態になり、最大級のピンチを迎えていた。
「ちっ!舐めすぎたか!こんなことなら遊ばずにさっさと殺せば良かったぜ!」
「くっ!」
「ここまで、海水が広がれば普通ならもう死んでいてもおかしくないのですが、この状態でもまだかわしますか・・・それならば更なる絶望を与えましょう」
『大いなるポセイドンよ!そなたの力を用いて愚かな人間にその力を示し包み込みたまえ!アクアウェーブ!』
呪文を唱え終えるとタイダルアクアマリンから放出されている海水が突如波を起こしはじめ、次第に波は大きくなり客席ギリギリ高さまでそびえたち、今にも襲い掛かりそうな状態だった。
アクアウェーブとは巨大津波を起こすための災害魔法で禁術魔法に指定されほどの威力を誇る。
「波よ、愚かなる人間を飲めこめ!」
シューリエがそう告げると津波は動きはじめガルーオ達目掛けて襲い掛かった。
「ま、マジか・・・」
「うそ・・・」
「くっ!ルナリス!!!」
「ガルーオさん!!!」
ザザザザザザ ザッパーン!!!
津波は2人を勢い良く飲み込み容赦なく襲った。
「フフフフフ、脆弱な人間が海に飲み込まれる様はいつ見ても楽しいわね。さあ、ゼノア、ヒュンフ、とどめを刺してあげなさい」
「・・・(こくり)」
「キャハ!うん、壊してくるね♪」
すでに海水は闘技場の半分まで埋め尽くされており、もうすぐ客席に届く勢いだったがシューリエはもう海水を出す必要はないだろうと判断して海水の放出を止めていた。
実際にもう海水は彼女達の体を十分に包み縦横無尽に泳ぎまわれるようになっていたからだ。
海水を泳いで接近するゼノアとヒュンフは、海水に浮いている2人を発見してとどめを刺すために近づいていく。
2人は気絶をしているのかぴくりとも動かず目を閉じている。
ゼノアは氷柱を片手にガルーオに接近して、ヒュンフはルナリスの心臓を至近距離から打ち抜くために接近していった。
「・・・(ニヤ)」
「キャハ!気絶した状態で心臓を打ち抜かれるとどうなるのかな?楽しみ♪」
いよいよとどめを刺そうという時だった。
ガシッ! ガシッ!
「・・・!」
「エッ!」
なんと近づいた二人に対してそれぞれが掴みかかっているのだ。
「(ふっ、やっとつかまえたぜ!この距離なら逃げられねえだろうが!)」
「(この距離なら海水のなかでも燃やすことはできるのよ)」
ガルーオはゼノアの口の中に手を突っ込み、ルナリスはヒュンフの唇を奪った。
『(デッドフィスト!!!)』
『(マジックボイス〜炎〜!)』
ドッカーン!!!
ボン ゴオオオオオオ
口に手を突っ込まれたゼノアの顔は内部からの大爆発で顔が吹っ飛び。
唇を奪われたヒュンフは体内から炎を発火させられ体の至るとこから炎を発して燃え尽きていた。
デッドフィストとはかつてバトルクラブでバルクが爆砕ナックルと呼び使用していた必殺技の強化版でその威力は触れた相手を簡単に木っ端微塵にできるほどだ。
「なっ!ゼノア!ヒュンフ!」
勝利を確信していたシューリエの表情は愕然となり二人の名を呼ぶが2人はまったく反応しなかった。
ゼノアは顔が無くなり、首から大量の血が噴出し、ヒュンフは外見こそ綺麗に見えるが体内は焼き尽くされ眼球は燃え尽きて溶けてしまい、鼻の穴や口の中は炎で焼かれた後が見て取れた。
「お、おのれ〜!人間どもが!!!!!」
そのころガルーオ達は一旦呼吸を整えるために水中から顔を出していた。
「ぷは〜、まったくメンドクサイ闘い方してくれやがって」
「ふう〜、まあそう言わずに、おかげで罠に引っかかってくれたのだから」
実はガルーオ達はわざとやられているフリをしていたのだ。相手が確実に近づき、そして、確実に殺せる瞬間を狙うために。
「まあ2人まではなんとかなったがあと一人どうする?」
「わたしに考えがあるは・・・」
「・・・なるほどな!よしそいつで行くか!」
「じゃあいくわよ」
「おのれ〜おのれ〜人間どもめ!!!殺す殺す殺す殺す!!!殺してやる!!!」
そのころ怒り狂っているシューリエは手に持っているタイダルアクアマリンを持ち魔法を唱えようとしていた。
「ポセイドンよ!あの愚かな人間どもを海の藻屑へと変えたまえ!『アク・・・」
ザン!!!
「何事だ!?」
突然何かが切れる音が聞こえ詠唱をやめてしまうシューリエ。
すると突然海が割れるように引き裂かれ、シューリエから海面まで一直線に海水が切り取られてしまったのだ。
「か、海水が!?」
「ヒャッハー!いくぜ!」
『デッドフィスト!!!』
ガルーオが突然シューリエ目掛けて落ちてきて拳を構えて繰り出していた。
「くっ!『シェイドバリア!』」
瞬時にバリアを展開して攻撃を防ぐがデッドフィストの威力によりバリアは解かれてしまう。
シェイドバリアとは体を海水で包み攻撃から身を守る魔法で強度はかなり高い。これに身を包むと宙に浮いて移動することも可能。
「その邪魔な宝石は壊してしまいましょう」
さらに追撃を加えるべくルナリスがガルーオの後ろから飛んできていた。
両手に馬鹿でかい赤い斧を持って。
「な、なんだあの斧は!?」
「フフフフフ、私にこのフレイムアックスを使わせるなんてすごいですね。褒美に私の必殺技を見せてあげますよ」
『熱切断!』
ルナリスが斧を振り下ろすと炎の斬撃が飛び出し、シューリエを襲う。
熱切断とはルナリスがフレイムアックスに魔力を込めて斬撃を飛ばす技でただでさえ異常な熱さのフレイムアックスにルナリスの炎の魔力を上乗せしているのでその威力は簡単に城壁の壁を貫通するほどだ。
「何度やっても無駄よ!『シェイドバリア!』」
「無駄なのはどっちかしら?」
炎の斬撃がバリアに到達した瞬間だった。
ザン! バリン! ビシャアアアア!
バリアはたやすく突破され、かざしていたタイダルアクアマリンを切り裂き、シューリエをも切り裂いていたのだ。
「そ、そんな・・・」
血吹雪をあげながら、倒れるシューリエ。
タイダルアクアマリンが割れたことによりその効力を失ったのか、闘技場の海水はまるで幻のごとく消え去っていた。
「やっぱりね、その宝石が壊れれば海水が消えると思っていたのよ」
「さすがルナリスだな、俺は魔法関係はさっぱりわかんねえから助かったぜ」
「フフフフフ、褒めても何もでないわよ」
「ううう、お前達は本当に人間なのか?」
切り裂かれ虫の息となっているシューリエが息も絶え絶えに尋ねる。
「あら?まだ生きてたの?」
「なかなかしぶといな、いっちょ俺の『デッドフィスト』で眠らせてやっか?」
「ちょっと待ってガルーオさん、私は魔物を殺す時は必ず血を抜き取りたいの、それが終わってからにしてもらえないかしら?」
「おっ!そうだったな、それじゃ俺も勲章としてこいつの目玉をいただくかな。人魚の目はまだ持ってないから丁度いいしな」
「や、やめて・・・」
「フフフフフ、ダイジョウブヨ。スグニオワルカラ」
「アア、イタイノハイッシュンダカラナ、アンシンシテ・・・シネ」
「そこまでだ!」
もうすぐ到達するというところで突如マスター=ジャッジが割って入ってきた。
「この試合はここまでだ。彼女達はすでに戦闘不能だ。これ以上の攻撃は認められない」
「何言ってるんだい審判さんよ?まだあの人魚生きてるじゃねえか」
「彼女は武器も無くし、さらには闘気まで無くしている。闘う意思が無い以上戦闘の続行は不可能と判断したまでだ」
「ちっ、そんなどうでもいいことはいいから、どけよ!てめえを殺してでも通るぞ」
「口で言うだけ無駄か」
ヒュン ドカッ!
「ぐべら!?」
「ガルーオさん!?」
突如消えたと思ったマスター=ジャッジはガルーオの顔面を殴りつけていた。
殴られたガルーオは闘技場の壁側まで吹っ飛ばされ壁に埋まっていた。
「ルールを守らないものはデルフィニア様に敵対するものと見て、この場で潰すが・・・どうする」
淡々と話してはいるが、その体からは異常なほどの冷たい殺気が放たれ、殺気に慣れているはずのルナリスが一瞬怯みそうになるほどだった。
「・・・(ごくり)わかりました。ここはおとなしく従いましょう」
「理解が良くて助かります」
すると殺気沈めマスター=ジャッジはこう宣言した。
「勝者ケイクスチーム!」
「では次の試合が始まりますのですぐに彼を回収して撤収してください。賞金は受付でもらえますので」
「わかりましたわ、失礼いたします」
そういうとルナリスは壁に突き刺さったガルーオを引っこ抜き、抱きかかえて闘技場から去っていく。
(あの実力、恐らくは元勇者クラスの実力者。ここで逆らえば恐らく死は免れない。どうやらここはとんでもない化け物の巣のようね。今後は来るのはやめましょう。命がいくらあっても足りないわ)
闘技場を後にしながらルナリスはそんなことを考えていた。
「では、君もすぐに医務室に連れていかせてもらうよ」
「なぜ、助けた?」
「単純な話です。彼らがルールを破ろうとしたからですよ」
「しかし、私達とて破りかけていたぞ」
「あなた達はギリギリ客席に攻撃しない範囲で動いていましたからねだから止めなかっただけの話です」
「な、げ、げほげほ・・・くっ、あの水中でのことを見ていたのか?」
「ええ」
「どこから見ていたのだ?」
「あなた達とおなじ水中ですよ」
「し、しかし、ただの人間にあれだけの波が動く中で私達の動きが見れるはずが・・・」
「・・・あの程度の波は大したことはありませんよ」
「しかし、海の中では息が」
「肺活量には自信がありまして」
「・・・あきれたものだな」
「もう喋らない方がいいですよ。ただでさえ出血多量なんですから」
「そう、だな、すこし、眠くなってきた、駄目かもしれない、な」
「はあー、ちょっと、痛むかもしれませんが我慢してくださいよ」
マスター=ジャッジは懐に手を入れて、一つの薬ビンを取り出すとその中身を布に浸してシューリエの傷口に当てていく。
当てたとたんにシューリエが苦痛の表情をするがそれと引き換えに出血は収まり始めていた。
今度は四角い箱を取り出しその中から針と糸を取り出して傷口を素早く縫い合わせていく。
「応急処置は完了です。これでとりあえずは死ぬことは無いです。今救護班を呼んでいるのでお待ちください。お仲間は残念ながらすでに亡くなっているので治療は出来ませんが墓は作れます。いかがいたしますか?」
「いいえ、墓はいりません。傷が治ったら、2人を海に、弔って、あげたいから」
「一人で出来ますか?」
「大丈夫、割れたとは、いえ、タイダル、アクアマリン、の魔力は、まだ残ってるから、それを使えば、一人でも、できるわ」
「そうですか、では傷が治るまでの間は我々の方で遺体を管理させていただきます」
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
(今まで己の欲望のためだけに破壊の限りを尽くしてきたけど、それは間違いだったのかしら・・・こんなことをしなければ仲間を失わずにすんだのかしら・・・もう今更考えても遅いことだけど、もう村を沈めるのはやめよう。
何かを失うことがこんなにつらいとは考えたこともなかった。ごめんね、ゼノア、ヒュンフ、情けないリーダーで本当にごめんね)
救護班が到着して担架に乗せられて闘技場を去っていくシューリスの瞳にうっすらと涙がこぼれていたことを知るのはじっと見つめていたマスター=ジャッジだけだった。
ここはとある地下にある闘技場。
己の全てをぶつけ合う場所。
一攫千金を狙える場所。
次なる挑戦者はいったい誰か。
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今回の話では魔物娘が死にます!
さらにはその殺害予定の魔物もかなりの凶悪ぶりを見せます!
グロや殺害が苦手だというお方は見ないことをお勧めします。
大丈夫だ!問題ない!という方はそのままお読みください。
それではどうぞ!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−バトルクラブ控え室−−−
「ルナリスと一緒に戦うのはいったい何年ぶりだろうな」
「そうですねー、魔王軍の駐留する街をバルクが一人で襲いに行ったのをフォローしに行った時以来じゃないかしら?」
「おお!そうだったな!いやー懐かしい、あの時は魔物にしろ、人間にしろ、実力者がそろっていたからな。久しぶりに殺りがいのある連中ばかりだったから思わず興奮してしまったな。ハッハッハッハッハ!!!」
「まあー、ガルーオさんったらはしたないんだから、フフフフフ」
「何を言うんだ。そういうルナリスこそ、楽しそうな顔して奴らを燃やしていたじゃないか」
「あら、見ていらしたんですか?もうー乙女の戦う姿をそんな風に表現するものではないですよ」
「ハッハッハッハッハ!!!だがやはりルナリスは戦っているときが一番綺麗だよ。特に魔物の血を浴びて笑っている時の君の笑顔は特に綺麗だ」
「まあ♪でも、ガルーオさんが魔物をグシャグシャにしてる姿も素敵ですよ」
「よせやい、照れるだろう♪」
かなり物騒な会話を平気で行っているこの二人、実は以前バトルクラブの1VS3で過剰な殺人劇を行ったケイクス=バルクの両親で父親は名を『ケイクス=ガルーオ』といい、毛皮のベストを着て筋骨隆々とした肌を見せる男で手には黒いグローブをはめ、そばにはドでかいアイアンハンマーがあった。母親は『ケイクス=ルナリス』といい、とても温厚そうな表情をしており、赤いドレスに身を包み、手には何かの髑髏をつけた魔術の杖を持っていた。
実はケイクス一族は古くから伝わる殺人鬼集団でその親族全てが殺害を好むという異常な一族であった。
まだ魔物が人形を取る前は良く魔物を虐殺していたことから一族の人間は魔物を殺すことを特に好み、その殺した魔物に何かしら悪癖を実行することが多い。
例としてあげるならバルクの魔物の心臓を取り出して握るつぶすという悪癖があげられる。
そして、その悪癖は現在まで一族に遺伝しており、その残忍で強大な戦闘力は衰えることをまるで知らず、これまで幾多の街、魔物の集落は壊滅という被害を受けてきた。
実際ガルーオは青年時代に単身でサバトやアマゾネスの集落に突っ込み、幾つも壊滅させるという偉業を達成している。
「しかし、バルクが苦戦をする姿を見たのは初めてだったな」
「ええ、そうね。何十人に立ち向かって苦戦というのは見たことがあるけれど、たった一人の魔物にあそこまでボロボロにされているのは初めてね」
「まあ、あいつにとっちゃいい経験になっただろう。まあそれはいいとして、まさかケイクス家にとってこんなに楽しそうな場所があったなんてことを今まで知らなかったってのが悔しいよな」
「そうね。早く知っていれば無駄に弱い人たちと戦わなくて済んだはずですものね」
「ああ、まったくだ!バルクには帰ってきた時にご褒美を用意してやんなきゃな!」
「ええ、そうね。せっかくプレゼントしたチェーンソーも壊れてしまったことだし、新しいものをプレゼントしなくっちゃ♪」
「まあ、それもまずは俺達がここで楽しんでからだけどな」
「フフフフフ、そうですね。しばらくは戦っていなかったから存分に楽しませてもらいましょう」
2人の目つきが殺人鬼特有の狂気の目になり始めた時だった。
コンコン ガチャ
「試合の時間になりました。着いてきて下さい」
「おう!・・・いくかルナリス」
「ええ、ガルーオさん」
2人はそれぞれの得物を持ち、係員について歩いていく。
−−−バトルクラブ闘技場−−−
2人が闘技場に到着するとすでに待ち構えていたのか中央に3つの人影が見えていた。
「あれが俺達の対戦相手か・・・ん?あいつらは・・・」
「まあ、あれは海に住んでいる魔物じゃなかったかしら?」
そう2人が言っているとおり、中央にいた3つの人影は海の魔物達の姿だった。
一人はマーメイドで手に手のひらサイズのおおきな宝石を持っていて、どこか黒い笑顔でこちらを見ていた。
一人はサハギンで腕組をして瞳孔の開いた目でこちらを凝視し、口元はうっすらと笑っている。
最後の一人はカリュブディスで足から腰までを覆っているフジツボのような形の巣があり、その巣からは所々に細長い穴の開いた出っ張りが見られる。何か新しい玩具が手に入ったかのような壊れた笑みをこちらに見せている。
「どうやら、俺達と同族みたいだな、あの表情はよ」
「ええ、これはとても壊しがいがあるわ」
この2人もまた狂気を孕んだ目で相手を見て、心から楽しそうに笑っていた。
「ケイクスチーム中央に!」
審判が召集をかけたため、2人は中央まで歩いていく。
「私は今回の試合を審判するマスター=ジャッジです。ルールは知っての通り死亡、戦闘不能が起こるまで戦闘をしていただきますが、今回はチーム戦ですのでチームリーダが死亡、戦闘不能になった瞬間に試合を止めますのでそのつもりで。また、客席への攻撃や戦闘不能者を使っての戦闘はデルフィニア様への冒涜として見て即座に止めに入りますのでそのつもりで、では両チームのリーダーを紹介して後ろに下がってください」
審判の説明が終わり両チームからリーダーが名乗りを上げる。
「ケイクスチームのリーダーを務めるガルーオだ」
「海の魔物チームのリーダー、マーメイドのシューリエです」
お互いに笑みを浮かべて、後ろに下がっていく。
「あいつら、ああいう風に移動していたのか」
そう疑問に感じている人たちがいると思われますが、海の魔物である彼女達はどうやって陸を移動していたのか?
サハギンはまだわかりますが、残りの2人は移動が困難な魔物、どうやって移動していたかというとカリュブディスは巣を持ち上げて移動をしていた。これには少々びっくりしていたが、一番びっくりしたのはマーメイドのシューリエだった。
「あれは魔法なのかしらね」
そう、シューリエは魔法をつかって自身を水で包み宙に浮いて移動しているのだ。
「どうやら、陸地でも問題なく動けるみたいだな」
「それよりも、あの水はどこから出したのかしら?呪文の詠唱や魔力の変化はあまり感じなかったのだけれど?」
「それらも含めて楽しもうぜ、どうやら普通の魔物じゃないみたいだからな」
「それもそうね」
「両チーム準備はいいですか?」
「ああ」
「はい」
「それでは・・・試合開始!!!」
審判が合図を告げ、試合の幕があがった。
「よっしゃ!いっちょ派手に殺しあおうぜ!」
アイアンハンマーを構えて意気込むガルーオ。
「フフフフフ、あなた達の血は何色かしら?」
杖を片手に笑顔で恐ろしいことを言うルナリス。
「ゼノア、ヒュンフ、いつも通りに戦いましょう」
「・・・(こくり)」
「キャハ♪、まかせてよ」
対してこちらはゼノアと呼ばれたサハギンを先頭に中間の位置にカリュブディスのヒュンフがついて、最後方にマーメイドのシューリエといった具合に配置についていた。
先に動いたのはガルーオのほうだった。
ガルーオは地を蹴って飛び出し、最前線のゼノアに向かっていく。
そのスピードはアイアンハンマーを担ぎながら走っているとは思えないほど早くあっという間に距離を縮めてきていた。
それに対して、ゼノアは右手をゆっくりと虚空にかまえを取る。
「・・・召還『プルミエール・グラッソ』」
ぼそりと何かを呟いた瞬間、ゼノアの右手が光り輝き冷気が辺りに吹き荒れ始める。
さすがに警戒したのかガルーオも一旦走ることをやめて、様子を伺う。
ゼノアの右手に突如、等身大ほどの長い氷柱が出現する。
ゼノアはそれをしっかりと両手で掴み構える。
プルミエール・グラッソは氷の召還魔法で氷柱を生み出す中級魔法に属する。
「氷柱の槍使いか・・・こいつはますます面白くなりそうだ」
正体が何なのかわかったところで再び動きだし、ハンマー振りかぶってゼノア目掛けて振り下ろしていく。
「食らいやがれー!」
凄まじい勢いで振り下ろされるハンマーを後ろに飛んで避けるゼノア。
ハンマーが振り下ろされた直後、当たった地面がありえない音と共に激しく砕け散る。
さすがにビックリしたのか、砕けた地面を凝視するゼノア。
「どうだ!俺様の
ショック・オブ・クラッシュとはアイアンハンマーのぶつけた時の衝撃とそこに魔力を使って生み出した衝撃を何重にも重ねて威力をあげる技。
当たれば骨ごと簡単に潰すことが出来るほどだ。
「・・・(フッ)」
「てめえ!何笑ってやがる!」
ゼノアは笑うだけで特に答えず、氷柱を構えて真っ直ぐ突っ込んでくる。
「へっ!上等だぜ!」
ガルーオも迎え撃つために再びショック・オブ・クラッシュの体制をとる。
もうすぐ間合いに入るというところで、突然ゼノアが急ブレーキをかけてガルーオの真上に飛び上がったのだ。
「な!?」
ガルーオがゼノアを見上げたその直後。
「ぬお!?」
突如正面から細い水流砲が飛んできて体を掠めていった。
掠めた箇所からは血が流れ出し、高水圧の威力があることを証明していた。
しかし、それで終わるわけが無く今度は真上からゼノアが落ちてきて氷柱を突き刺そうとしてくる。
「ちっ!」
さすがにやばいと感じ後ろに飛びのくガルーオ。
ゼノアの氷柱は地面に深々と突き刺さるがすぐにその氷柱を放棄して、新しい氷柱を作り出すゼノア。
今度はそのまま氷柱の連続突きを繰り出してくるがガルーオは最低限の動きでこれをかわしていく。
最前線での闘いが押され気味になっていたところで後ろに待機していたルナリスの声が響き渡った。
「うわ!あちっ!」
「・・・!」
ガルーオとゼノアの中心に突然巨大な炎が発火して両者の戦いを強引に中断する。
当然ガルーオもゼノアも後ろに飛びのいて非難している。
マジックボイス〜炎〜とはルナリスが使う独特の魔法で声に魔力を乗せることで好きなところを発火させる魔法だ。
「ルナリス、助かったんだがもう少しマシな助け方はなかったのか?」
「フフフフフ、ごめんなさい。でもこの方が手っ取り早かったし、何より勝手に突っ込んでいってピンチになってるんですもの、これくらいのお仕置きは仕方ないんじゃないかしら?」
「・・・すまん」
ルナリスがとても怖い笑みを浮かべていて、ガルーオは謝る以外の選択肢しか見出せないでいた。
「さて、ここからは夫婦の連携をみせましょう。どうやらその辺の雑魚よりも生きはよさそうですからね」
「そうだな。普通じゃないと思っていたがなかなかどうして苦戦しちまった」
「それじゃあ、ガルーオさんはさっきのように前線で戦ってくださいね。私は魔法で援護しますから」
「ああ、頼むぜ。・・・しゃあ!いくぜ!」
再びガルーオは突撃していきゼノアに攻撃を仕掛けていく。
そして後方からのルナリスによる魔法の援護を受け、ゼノアを押していく。
ゼノアの後ろから先ほどガルーオを狙った水流砲が何発も飛んでくるがそれをルナリスの魔法で相殺して後方援護もバッチリ遮断していた。
「オラオラ!どうしたよさっきの威勢はよー!」
「・・・(くっ)」
何度もきわどい攻撃がゼノアの体スレスレを通過していき、思うように攻撃が出来ないでいた。
一撃をもらうことすなわち、死に直結するからだ。
しかも、後方からの水流砲の援護は遮断されているために保険すらきかない状況だ、だからこそ余計にかわすことに力をいれてしまう。
しかし、いくらかわすことに力を注いでも何処かで一発もらってしまうのが闘いの常であり、この闘いも例外には漏れていなかった。
ゼノアが攻撃を回避した直後だった。何度か地面をえぐられていた為にそこに足がつまずいてしまい、倒れてしまったのだ。
「へへへ!あばよ!」
「・・・!!!」
ガルーオがその千載一遇のチャンスを逃すはずも無く、一気にハンマー振り下ろしていく。
ガルーオのハンマーがゼノアを捕らえ、その体がグシャグシャになる・・・はずだった。
「な、なんだこりゃ!?」
突如ゼノアの体を水が包み込み、ガルーオの攻撃を弾いたのだ。
そしてゼノアの体は宙に浮き後方にさがっていく。
「待ちやがれや!!!」
しかし、そんな状況を指をくわえて見送るガルーオなわけがなく、その後を追いかけていく、そんな時だった。
「人間よ、その脆弱な身でありながらここまでゼノアを追い詰めたのは賞賛に値します。ですが、所詮人間は人間。己の無力さを思い知っていただきましょう」
マーメイドのシューリエが聞こえていないであろうガルーオに対してこのように述べた後、手にしているタイダルアクアマリンに魔力を送り込み何かをつぶやいた瞬間、突如タイダルアクアマリンから海水が信じられない勢いで放出されはじめ、どんどん闘技場を海水であふれさせ始めたのだ。
オーシャンフィールドはその名の通りフィールドを海に変えてしまう魔法でタイダルアクアマリンが無いと発動が出来ないほどの上級魔法である。
村規模なら短時間で海底遺跡に変えることができるほどの水量になる。
「な!?なんだあの宝石は海水が出てきてやがる!」
「ガルーオさん!早くあの宝石を破壊して!この闘技場が海水で埋まってしまえば私達の勝ちが無くなってしまうわ!!!」
「わかってら!!!」
ルナリスが先ほどまでの余裕の表情を崩し真剣な表情で大声をあげる中、ガルーオもそんなことはわかっているといわんばかりにシューリエに向かって突撃していくがその行く手を2人の魔物が遮る。
「・・・(キッ!)」
「キャハ!通さないよ♪」
「ちっ!邪魔をすんな!」
「キャハ!さっきは水が無かったからあまり出せなかったけど、今は海水が溜まり始めてるからもっと強く、たくさん出せるよ!ゼノア、援護するからよろしくね♪」
「・・・(こくり)」
ゼノアは頷くと両手を虚空に伸ばして氷柱を召還する。
今度はとてつもなく大きな氷柱を・・・
「な!?さっきよりも数段でかい氷柱じゃあねえか!なんでいきなりあんなでかくなるんだ!?」
実は彼女達は陸地では海の中で闘う以上に能力が落ちてしまうのだ。
水に触れるだけでその実力は数段はねあがり、体全体を水で覆いきれば陸地で闘う時の3倍の力が発揮されるのだ。
ゼノアはその大きな氷柱を豪快に投げ下ろしていた。
ガルーオはその氷柱をショック・オブ・クラッシュで破壊して突撃をするが。
「キャハ!まだ私の攻撃が残ってるよ♪」
先ほどよりも太い水流砲が連続でガルーオ目掛けて発射され、ガルーオは止むを得ずに引き下がってしまう。
「くっ!水嵩が増して動きにくくなってきたぜ。ルナリス!あの人魚野郎を魔法でぶっ飛ばせねえのか!?」
「無理よ!あいつは体を常に海水で保護しているのよ!もっと近づいて行かないと威力が足りないわ!」
「なんてこった!」
「キャハ!あきらめて蜂の巣になるといいですよ♪そうすれば溺れずにすみますよ♪」
「・・・(サッ)」
すでに海水は腰の位置まで浸かり始め、とうとうガルーオ達の動きに支障が出始めていた。
反対にゼノア達の動きはどんどん素早くなり、ガルーオ達を苦しめていく。
ゼノアは海水に潜れるようになったことから海水を泳いで移動しはじめ、魚雷のごとく素早く接近しては手に持った氷柱でガルーオの足を狙い。
後ろからは威力がマックスになったのか大木ほどの太さの水流砲を発射してくるヒュンフ。
もはやガルーオ達はかわすのが精一杯という状態になり、最大級のピンチを迎えていた。
「ちっ!舐めすぎたか!こんなことなら遊ばずにさっさと殺せば良かったぜ!」
「くっ!」
「ここまで、海水が広がれば普通ならもう死んでいてもおかしくないのですが、この状態でもまだかわしますか・・・それならば更なる絶望を与えましょう」
呪文を唱え終えるとタイダルアクアマリンから放出されている海水が突如波を起こしはじめ、次第に波は大きくなり客席ギリギリ高さまでそびえたち、今にも襲い掛かりそうな状態だった。
アクアウェーブとは巨大津波を起こすための災害魔法で禁術魔法に指定されほどの威力を誇る。
「波よ、愚かなる人間を飲めこめ!」
シューリエがそう告げると津波は動きはじめガルーオ達目掛けて襲い掛かった。
「ま、マジか・・・」
「うそ・・・」
「くっ!ルナリス!!!」
「ガルーオさん!!!」
津波は2人を勢い良く飲み込み容赦なく襲った。
「フフフフフ、脆弱な人間が海に飲み込まれる様はいつ見ても楽しいわね。さあ、ゼノア、ヒュンフ、とどめを刺してあげなさい」
「・・・(こくり)」
「キャハ!うん、壊してくるね♪」
すでに海水は闘技場の半分まで埋め尽くされており、もうすぐ客席に届く勢いだったがシューリエはもう海水を出す必要はないだろうと判断して海水の放出を止めていた。
実際にもう海水は彼女達の体を十分に包み縦横無尽に泳ぎまわれるようになっていたからだ。
海水を泳いで接近するゼノアとヒュンフは、海水に浮いている2人を発見してとどめを刺すために近づいていく。
2人は気絶をしているのかぴくりとも動かず目を閉じている。
ゼノアは氷柱を片手にガルーオに接近して、ヒュンフはルナリスの心臓を至近距離から打ち抜くために接近していった。
「・・・(ニヤ)」
「キャハ!気絶した状態で心臓を打ち抜かれるとどうなるのかな?楽しみ♪」
いよいよとどめを刺そうという時だった。
「・・・!」
「エッ!」
なんと近づいた二人に対してそれぞれが掴みかかっているのだ。
「(ふっ、やっとつかまえたぜ!この距離なら逃げられねえだろうが!)」
「(この距離なら海水のなかでも燃やすことはできるのよ)」
ガルーオはゼノアの口の中に手を突っ込み、ルナリスはヒュンフの唇を奪った。
口に手を突っ込まれたゼノアの顔は内部からの大爆発で顔が吹っ飛び。
唇を奪われたヒュンフは体内から炎を発火させられ体の至るとこから炎を発して燃え尽きていた。
デッドフィストとはかつてバトルクラブでバルクが爆砕ナックルと呼び使用していた必殺技の強化版でその威力は触れた相手を簡単に木っ端微塵にできるほどだ。
「なっ!ゼノア!ヒュンフ!」
勝利を確信していたシューリエの表情は愕然となり二人の名を呼ぶが2人はまったく反応しなかった。
ゼノアは顔が無くなり、首から大量の血が噴出し、ヒュンフは外見こそ綺麗に見えるが体内は焼き尽くされ眼球は燃え尽きて溶けてしまい、鼻の穴や口の中は炎で焼かれた後が見て取れた。
「お、おのれ〜!人間どもが!!!!!」
そのころガルーオ達は一旦呼吸を整えるために水中から顔を出していた。
「ぷは〜、まったくメンドクサイ闘い方してくれやがって」
「ふう〜、まあそう言わずに、おかげで罠に引っかかってくれたのだから」
実はガルーオ達はわざとやられているフリをしていたのだ。相手が確実に近づき、そして、確実に殺せる瞬間を狙うために。
「まあ2人まではなんとかなったがあと一人どうする?」
「わたしに考えがあるは・・・」
「・・・なるほどな!よしそいつで行くか!」
「じゃあいくわよ」
「おのれ〜おのれ〜人間どもめ!!!殺す殺す殺す殺す!!!殺してやる!!!」
そのころ怒り狂っているシューリエは手に持っているタイダルアクアマリンを持ち魔法を唱えようとしていた。
「ポセイドンよ!あの愚かな人間どもを海の藻屑へと変えたまえ!『アク・・・」
「何事だ!?」
突然何かが切れる音が聞こえ詠唱をやめてしまうシューリエ。
すると突然海が割れるように引き裂かれ、シューリエから海面まで一直線に海水が切り取られてしまったのだ。
「か、海水が!?」
「ヒャッハー!いくぜ!」
ガルーオが突然シューリエ目掛けて落ちてきて拳を構えて繰り出していた。
「くっ!
瞬時にバリアを展開して攻撃を防ぐがデッドフィストの威力によりバリアは解かれてしまう。
シェイドバリアとは体を海水で包み攻撃から身を守る魔法で強度はかなり高い。これに身を包むと宙に浮いて移動することも可能。
「その邪魔な宝石は壊してしまいましょう」
さらに追撃を加えるべくルナリスがガルーオの後ろから飛んできていた。
両手に馬鹿でかい赤い斧を持って。
「な、なんだあの斧は!?」
「フフフフフ、私にこのフレイムアックスを使わせるなんてすごいですね。褒美に私の必殺技を見せてあげますよ」
ルナリスが斧を振り下ろすと炎の斬撃が飛び出し、シューリエを襲う。
熱切断とはルナリスがフレイムアックスに魔力を込めて斬撃を飛ばす技でただでさえ異常な熱さのフレイムアックスにルナリスの炎の魔力を上乗せしているのでその威力は簡単に城壁の壁を貫通するほどだ。
「何度やっても無駄よ!
「無駄なのはどっちかしら?」
炎の斬撃がバリアに到達した瞬間だった。
バリアはたやすく突破され、かざしていたタイダルアクアマリンを切り裂き、シューリエをも切り裂いていたのだ。
「そ、そんな・・・」
血吹雪をあげながら、倒れるシューリエ。
タイダルアクアマリンが割れたことによりその効力を失ったのか、闘技場の海水はまるで幻のごとく消え去っていた。
「やっぱりね、その宝石が壊れれば海水が消えると思っていたのよ」
「さすがルナリスだな、俺は魔法関係はさっぱりわかんねえから助かったぜ」
「フフフフフ、褒めても何もでないわよ」
「ううう、お前達は本当に人間なのか?」
切り裂かれ虫の息となっているシューリエが息も絶え絶えに尋ねる。
「あら?まだ生きてたの?」
「なかなかしぶといな、いっちょ俺の『デッドフィスト』で眠らせてやっか?」
「ちょっと待ってガルーオさん、私は魔物を殺す時は必ず血を抜き取りたいの、それが終わってからにしてもらえないかしら?」
「おっ!そうだったな、それじゃ俺も勲章としてこいつの目玉をいただくかな。人魚の目はまだ持ってないから丁度いいしな」
「や、やめて・・・」
「フフフフフ、ダイジョウブヨ。スグニオワルカラ」
「アア、イタイノハイッシュンダカラナ、アンシンシテ・・・シネ」
「そこまでだ!」
もうすぐ到達するというところで突如マスター=ジャッジが割って入ってきた。
「この試合はここまでだ。彼女達はすでに戦闘不能だ。これ以上の攻撃は認められない」
「何言ってるんだい審判さんよ?まだあの人魚生きてるじゃねえか」
「彼女は武器も無くし、さらには闘気まで無くしている。闘う意思が無い以上戦闘の続行は不可能と判断したまでだ」
「ちっ、そんなどうでもいいことはいいから、どけよ!てめえを殺してでも通るぞ」
「口で言うだけ無駄か」
「ぐべら!?」
「ガルーオさん!?」
突如消えたと思ったマスター=ジャッジはガルーオの顔面を殴りつけていた。
殴られたガルーオは闘技場の壁側まで吹っ飛ばされ壁に埋まっていた。
「ルールを守らないものはデルフィニア様に敵対するものと見て、この場で潰すが・・・どうする」
淡々と話してはいるが、その体からは異常なほどの冷たい殺気が放たれ、殺気に慣れているはずのルナリスが一瞬怯みそうになるほどだった。
「・・・(ごくり)わかりました。ここはおとなしく従いましょう」
「理解が良くて助かります」
すると殺気沈めマスター=ジャッジはこう宣言した。
「では次の試合が始まりますのですぐに彼を回収して撤収してください。賞金は受付でもらえますので」
「わかりましたわ、失礼いたします」
そういうとルナリスは壁に突き刺さったガルーオを引っこ抜き、抱きかかえて闘技場から去っていく。
(あの実力、恐らくは元勇者クラスの実力者。ここで逆らえば恐らく死は免れない。どうやらここはとんでもない化け物の巣のようね。今後は来るのはやめましょう。命がいくらあっても足りないわ)
闘技場を後にしながらルナリスはそんなことを考えていた。
「では、君もすぐに医務室に連れていかせてもらうよ」
「なぜ、助けた?」
「単純な話です。彼らがルールを破ろうとしたからですよ」
「しかし、私達とて破りかけていたぞ」
「あなた達はギリギリ客席に攻撃しない範囲で動いていましたからねだから止めなかっただけの話です」
「な、げ、げほげほ・・・くっ、あの水中でのことを見ていたのか?」
「ええ」
「どこから見ていたのだ?」
「あなた達とおなじ水中ですよ」
「し、しかし、ただの人間にあれだけの波が動く中で私達の動きが見れるはずが・・・」
「・・・あの程度の波は大したことはありませんよ」
「しかし、海の中では息が」
「肺活量には自信がありまして」
「・・・あきれたものだな」
「もう喋らない方がいいですよ。ただでさえ出血多量なんですから」
「そう、だな、すこし、眠くなってきた、駄目かもしれない、な」
「はあー、ちょっと、痛むかもしれませんが我慢してくださいよ」
マスター=ジャッジは懐に手を入れて、一つの薬ビンを取り出すとその中身を布に浸してシューリエの傷口に当てていく。
当てたとたんにシューリエが苦痛の表情をするがそれと引き換えに出血は収まり始めていた。
今度は四角い箱を取り出しその中から針と糸を取り出して傷口を素早く縫い合わせていく。
「応急処置は完了です。これでとりあえずは死ぬことは無いです。今救護班を呼んでいるのでお待ちください。お仲間は残念ながらすでに亡くなっているので治療は出来ませんが墓は作れます。いかがいたしますか?」
「いいえ、墓はいりません。傷が治ったら、2人を海に、弔って、あげたいから」
「一人で出来ますか?」
「大丈夫、割れたとは、いえ、タイダル、アクアマリン、の魔力は、まだ残ってるから、それを使えば、一人でも、できるわ」
「そうですか、では傷が治るまでの間は我々の方で遺体を管理させていただきます」
「・・・ありがとう」
「どういたしまして」
(今まで己の欲望のためだけに破壊の限りを尽くしてきたけど、それは間違いだったのかしら・・・こんなことをしなければ仲間を失わずにすんだのかしら・・・もう今更考えても遅いことだけど、もう村を沈めるのはやめよう。
何かを失うことがこんなにつらいとは考えたこともなかった。ごめんね、ゼノア、ヒュンフ、情けないリーダーで本当にごめんね)
救護班が到着して担架に乗せられて闘技場を去っていくシューリスの瞳にうっすらと涙がこぼれていたことを知るのはじっと見つめていたマスター=ジャッジだけだった。
ここはとある地下にある闘技場。
己の全てをぶつけ合う場所。
一攫千金を狙える場所。
次なる挑戦者はいったい誰か。
TO BE CONTINUE
11/12/29 02:47更新 / ミズチェチェ
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