半端な見習い忍者VSアサシン忍者蟷螂
俺の名はクロム＝ディアメック。
見習い忍者で１６歳の少年さ。
えっ？なんで大陸の人間が見習い忍者なんかやってるのかって？
そりゃージパングからやってきた師匠がいるからさ。
当時の俺は忍者っていうのに憧れててよ、実際に忍術を伝承したいとやってきた師匠に会って即行で入門したんだけどよ・・・
たださー・・・なんつうか・・・ジパングの忍者ってさ、イメージ的に分身したり、火を吹いたり、変身できたりっていう、なんとなく摩訶不思議な術が使えるのを想像してたんだけどさ・・・
物凄い地味なトレーニングばっかなんだよな・・・トレーニングはただひたすらに筋力トレーニングとマラソンをすることから始まり、手裏剣術、体術、剣術と順に教えられるみたいなんだけど、一切と言っていいほどさっき言ったような派手な術を教えてるとこは見たことが無い。
１年くらい我慢して修行していたんだけどついに我慢できなくて一回師匠に聞いてみたら・・・
『忍者は基本的に忍ぶ者を指している。要するに人に見つからないように逃げたり、隠れたりする者のことをいうんだ。そんな奴がわざわざそんな派手なことをするわけが無いだろう。戦闘訓練はあくまで忍者が逃げ切れない時のためのモノだし、ここで忍術を教えてるのは伝承と護身用として教えるためだ。大陸は中々に物騒だと聞いていたからこの技術が役に立つと思ったのも一つの理由だな』
・・・ってさ正直これを聞いたとき、がっくりしたね。
俺はその後すっかりやる気を無くしちまって、道場に通わなくなったんだ。
今はこの中途半端な忍者のスキルで村の自警団として活躍をしてるってわけさ。
まあ以外と努力は自分を裏切らないという言葉がある通りでその辺の盗賊が襲ってきても簡単に蹴散らす事ができるくらいの実力があったんだ。
自警団の戦闘訓練でも俺に触れる奴は一人もいなかった。
ちなみにその忍術道場をやめて入ってきた奴も俺には勝てなかった。
だからかな・・・あんな馬鹿げたことを思いついたのは。
当時の俺は相当に調子に乗り天狗になっていた。
それはもう「俺ツエー！！！」っていうくらいに調子に乗っていたよ。
俺はあるとき村にやってきた一人の旅の戦士からある情報を聞いたんだ。
その情報はバトルクラブっていう賭博闘技場のことでよ、戦士が言うにはそこにバトルジャンキーが集い、日夜命がけのバトルが繰り広げられているというものだったよ。
えっ？何で俺がこの情報を手に入れられたのかって？
その戦士がやけに傷だらけだったのが気になって質問をしたからだ。
その戦士もバトルクラブに参戦したらしいんだが、自分より遥かに強い相手が居た為に一時は二度と戦えないほどにボロボロにされたらしい。
今は世界を回って己を鍛えなおす旅の途中とも言ってたな。
・・・ちょっと話がそれたな、その話を聞いた俺は一つの感覚に捕らわれていたんだ。
それは・・・
『俺はどれくらい強いんだ？』
男なら自分がどれくらいの強さなのかとか強くなって英雄のような悪者をばったばったと倒していく物語に憧れるもので当時の俺はその思考が人一倍強かった。
架空の強さに憧れ、自分も今ならその架空の強さにある程度近づいたんじゃないかと思っていた。
そしてそれを試せる場があると聞いた俺は気が付けば、俺の相棒でもある忍者刀と忍び道具一式が入ったウエストポーチとホルスターを装備して手持ちの金と自分流にアレンジした忍装束を着込み村を飛び出してたんだ。
あっ、ちなみにこの忍装束は色は黒であまり目立たない服装だからさ、長袖を半袖にして切りましたよってアピールする感じでギザギザをつけて、口布は正直カッコわりいから無しにして代わりに首に赤いスカーフをつけて、それからやっぱ背中がなんか寂しいからよジパングの文字で『神風見参！』って書いてあるんだよ！どうだ！すっげーカッコいいだろう！
・・・わりいまた話がそれたな。
一月を掛けて漸く目的のバトルクラブに到着した俺はとにかく早く戦いたくて受付をさっさと済まそうとしていたんだが、どの受付もやたらと並んでいて正直憂鬱な気分になってたんだ。
そんな時に俺はあまり並んでいない受付を見て即座にそっちに並びにいったんだけどさ、その時後ろから「おいお前、そっちは」とか「あいつ、新参者だよな？」とか「死んだな」ってのが聞こえていたが正直それどころじゃなかったんで俺は無視をしてその短い列に並んだんだ。
理由は簡単さ。
俺は一月で手持ちの金をあっという間に使い込んでしまい約１週間はろくに飯を食っていなかったから早く戦って金を稼いで飯が食いたいという気持ちに変わり相当に焦っていたんだ。
えっ？そんな状態で戦えるのかって？
・・・まあ結論から言えば、そんなもん無理だ！
でも当時の俺はそんなもん考える余裕なかったからなー本当に死ぬかと思ったよ・・・よく生きてたな俺。
「バトルクラブにようこそ。こちらはＤＦバトル専用の受付となっておりますがどなたをご指名されますか？」
俺はとりあえず早く飯が食いたかったから、出されたボードに適当に指をさした。
「わかりました。それでは控え室はこちらになっておりますのでこちらの地図を頼りに向かっていただけますか？控え室には係員もおりますので分からないことはその係員にお聞きください。それでは健闘をお祈りしています」
俺は即座にもらった地図を頼りに控え室に駆け出していた。
地図を頼りに走ること数分、目的地である控え室が見えてきた。
控え室の入り口には係員らしき人物も立っていたからとりあえずここで合っているのかどうかを聞きにそいつの所に向かった。
まあ結論から言えば合っていた。
とりあえず俺は中に入って辺りを見まわしていた。
えっ何でかって？まあ忍者の癖かな？師匠がまず部屋に入ったら部屋を良く観察するんだって何度も言われたからな、おかげで自分の部屋に入るときも無意識に辺りを見回してるんだ・・・習慣って怖いよな。
すると控え室にあるテーブルの上にある物が見えた。
それは備え付けの水とクッキーだった。
気がつけば走って近づきクッキーを口にほおばり、水をがぶ飲みしていた。
えっ？忍者がそんな無警戒に物を口にしていいのかって？
・・・うるせえ！こちとら本当に腹が減ってたんだよ！しょうがねえじゃん！
クッキーを食べつくし、水を飲み干した俺はとりあえず落ち着きを取り戻し椅子に座っていた。
「勢いで全部食っちまったけど、まあいいか。でもラッキー！まさか戦う前に食い物にありつけるなんてな！・・・あっ、そういえば俺受付で適当に指名したけど相手見てねえや・・・誰だろう、俺の相手？」
そんなことを考えていたら、さっき入り口にいた係員が入ってきていた。
「クロム様準備が整いましたのでご案内したいと思いますがよろしいですか？」
「ん？ああ、ちょっと待ってくれ」
俺はちょっと待ったコールをして手持ちの武器に異常がないかどうかの確認をした。
「・・・大丈夫だな。よし案内頼むわ！」
「かしこまりました。それではついてきてください」
「おう！」
係員についていくこと数分、突き当たりに大きい扉が見えた。
到着して係員が扉をゆっくりと開けるとそこには広々とした闘技場が見えた。
「それでは中央にむかってください。健闘をお祈りしています」
係員はそれだけ言うと扉を閉めてしまった。
「これで逃げ場は無しだな。さてといきますかね」
中央に行くとそこには人が二人いた。
一人は係員と似たような服装をしたいかにも審判ですといった感じの男ともう一人が・・・
「おいおい、相手って魔物かよ」
そう俺の相手は魔物だった。
しかもそいつは俺が知る限りではかなり戦闘能力が高い魔物だった。
「えーと、たしかマンティスだったけ？」
確認するようにつぶやくと聞こえたのかマンティスはこくりとうなずく。
とりあえず相手はわかったが、さっきから気になることがあるんだよな。
「えっと、一つ質問していいか？」
「・・・（こくり）」
「じゃあ聞くけどさ・・・なんで忍装束着てんの？」
そう俺の疑問はこのマンティスがクノイチが着るような忍装束をしていることにたいしてのものだ。
「・・・私、クノイチ、だから着てる」
「ってことはあんた忍びか？」
「・・・（こくり）」
「マジかよ。まさか魔物の忍びに合うなんてな・・・」
「・・・忍」
「えっ？」
「・・・私、影丸忍（かげまるしのぶ）」
「・・・ああ！そういうこと、俺はクロム＝ディアメックだ。あんたと同じ忍びだ！」
「・・・それは、楽しみ」
俺が同じ忍びだということを言うと忍は無表情の中に少し嬉しそうな表情を出していた。
「それでは両者紹介が終わったところでそろそろ試合を始めたいんだがいいかな？」
審判の声が聞こえると一瞬で忍は表情を無表情（って言ってもほとんど変わらん気もするが）にして目つきをガラリと変えていた。
その目はどこまでも無感情で冷たくて、まるで心臓を鷲掴みにでもされたような感覚を感じていた。
俺は知らない間に呼吸を忘れ、冷や汗をかいていた。
「ルールは知っていると思いますが言っておきます。観客を巻き込まなければ、どんな手段を使おうと相手を倒せば勝ちです。気絶の場合はテンカウント以内に起き上がれば問題ありませんが私が戦闘不能と判断した場合は即座に止めるのでそのつもりで」
「・・・問題ない」
「・・・ああ」
「それではお互いに離れてください」
審判に言われるままに俺たちは距離をとった。
「それでは・・・はじめ！」
審判の合図と共に俺はホルスターの手裏剣を取り出して投げていた。
手裏剣は忍の鎌により簡単にはじかれてしまうが俺はそんなことは気にせずに今度は１０枚の手裏剣を両手で一気に投げていた。
今度は横に動いて避ける忍を見て俺は忍者刀を抜き放ち１年間鍛えた自慢の俊足を使い忍に接近していく、忍はまだ避けた体勢のため反撃はできない。
そう確信した俺は忍を忍者刀で斬りつけた・・・はずだった。
「い、いない？」
そう斬りつけたはずの忍の体はどこにも無く、もし反撃されたとしても鎌での受け止めがあるくらいだと予想していただけにひどく動揺していた。
「・・・何、驚いてる？」
突然後ろから声が聞こえて振り向くとそこには忍がいた。
「な、なんで？」
「・・・分身の術」
「えっ？」
「・・・忍びの基本的な技、知らない？」
「えっ！？できんの！？分身が！？」
「・・・（こくり）」
ま、まじか・・・師匠は分身はある程度のスピード差を利用して緩急をつけたところに目の錯覚が生まれて見えるものだって言ってたけど、忍の分身は明らかに目の錯覚レベルじゃ済まされないものなんだけど。
「・・・それより、早く、本気だして」
「な、なに？」
「・・・手加減、無用。殺すよ？」
恐らくは手加減されてると思って忠告してるのかもしれんが、俺、今のが最速のスピードの攻撃だったんだけどな。
「そうかい、だったら本気だしてやるよ！」
まあ、弱いと思われるのはしゃくだから強がりを言ってみる。
それにとっておきも一応はあるし。
「いくぜ！！！」
俺は忍に向かって次々と忍者刀を斬りつけていくが忍は冷静に攻撃を鎌で受け流していく。
言っとくけどただ馬鹿正直に真正面から攻撃してるわけじゃないぞ。
なるべく側面や後ろから攻撃できるように常に横や縦に動きながら攻撃してるんだ。
いろんな動きを見せることにより、相手を惑わしながら戦うのが忍びの基本だ。
だが忍はぜんっぜん惑わされてくんねえだ。
それどころか反撃までしてくるんだ。
まいったね、どうも。
「・・・動き、遅い、けど、いい攻撃」
・・・これでも道場じゃ一番早かったんだけどな。
「・・・次は、私の攻撃、みせる」
そういうと忍はいったん距離をとり両手を重ねて印を組んでいた。
いわゆるニンニンっていうポーズだ。
「何の真似かは知らねえが、やらせるか！」
とりあえず嫌な予感しかしねえからダッシュで詰め寄り斬りつけようとしたが。
『・・・分身・幻惑暗殺』
間に合わなかった。
忍は斬りつける寸前で攻撃準備が整ったようで不吉な技名を口にした。
俺は急ブレーキをかけて止まり、距離をとって相手の出方を伺った。
とりあえず分身という言葉が聞こえたからだ。
集中してみれば目の錯覚を起こすはずが無いと信じての行動だったのだが、その考えは見事に粉砕された。
「な、なんだそりゃー！！！！！」
俺が見たのは忍が１人から一気に１０人に分身した光景だった。
・・・ありえねえ！！！だってよどう考えても目の錯覚じゃ説明できねえよ！これ！
俺が混乱していると１０人の忍が一斉に動き出し俺に襲い掛かってきた。
それもそれぞれがいろいろな動きを加えて順序良く襲ってくるから余計に混乱した。
「う、うわあー！！！来るな！！！」
俺はホルスターから手裏剣を取っては次々と投げつけたが忍たちはあっさりとそれを交わしていく。
そしてあっさりと辺り囲んでしまい走り回ったり、飛び跳ねたりして俺を困惑させる動きを始めた。
どいつが攻撃を仕掛けてくるのか分からない俺はただ辺りをきょろきょろするしかなかった。
そして前方から一人が飛び出し斬りつけようとしてきた。
俺はそいつの攻撃を逃れてとりあえず突破を試みようとして身構えていたが。
ヒュン
そんな風切音が聞こえた。
ザシュ！
何かが切れた音がした。
同時に背中がとても熱くなるのを感じて俺は地面に向かって倒れていた。
あれ？俺倒れてる？なんでだ？
そんなことを考えながら倒れていると。
「・・・隙が多い、つまらなかった」
そんな言葉が聞こえてきた。
これって、つまり、俺が弱いってことか？
まあ、たしかに俺は半端な忍者のスキルしかもってねえがそれでもこの１年の努力を俺は否定されたってことか？
ふざけんなよ・・・
「８・・・９・・・ｔ「ふざけんなー！！！」
気がつけば俺は大声を張り上げて立ち上がっていた。
「やれるのか？」
「ったりめえじゃん。聞いちゃいねえよこんな攻撃」
実際のところはめちゃくちゃいてえがそんなことは気にしちゃいられねえ！
俺はたしかに中途半端だが、それでもこの修行をした努力だけは裏切りたくなかった。
なにもせずに終わるなんて一番許せなかった！
忍を見ると相変わらずの無感情だが少しだけ驚いているように見えた。
「へへへ、わりいな、ついうっかり眠くなっちまって寝てたんだわ・・・おかげで目が覚めたけどな」
とりあえずはったりはかましておく、余裕なんざぜんぜん無いがこれで少しでも動揺してくれりゃ、もうけもんだしな。
「・・・おもしろい」
「な、なにが？」
「・・・あなた、弱い、でも、心が強い」
「・・・そりゃーどうも」
見透かされちゃってらー。
だがそれでも最後までこの意地は貫き通すぜ！
俺の忍びとしての誇りにかけて！
俺が持っている唯一にして最強の必殺技、こいつにすべてをかける！
俺は投げれる限りのワイヤー付クナイを四方八方に投げつけ舞台を整える。
闘技場はワイヤーが張り巡らされてうかつに動けないフィールドと化していた。
そしてあるとっておきの丸薬を取り出す。
「こいつを使う気は無かったんだがこのまま戦っても勝ち目は薄いしな」
俺は丸薬を飲み込み、静かに忍者刀を構える。
忍もただならぬ雰囲気を感じたのかいつでも動ける体制になり俺を警戒している。
「いくぜ！これが俺のとっておきだ！『多角鳴斬！』」
俺は地面をおもいっきり蹴った。
ヒュン ザン
俺は忍の頬を切り裂いていた。
当然これだけで終わるはずが無く俺は忍の後ろに張られているワイヤーに足をつけた反動で即座に飛び出す。
一つまた一つと忍に切り傷をつけていく。
忍は未だに俺の姿を捉えきれていなかった。
これが俺のとっておき多角鳴斬でこの技はもともと室内で使うことを前提としたもんでこんなふうにワイヤーを張り巡らしてそれらを踏み場にしていろんな角度から切り刻む技だ。
鳴斬の意味はワイヤを踏みつけたときのピンって音がやまないところからきてるのさ。
そしてもう一つのとっておきがさっき飲んだ丸薬なんだが・・・
「うっ！ううう、ぐわあああああ！！！」
唐突に体が痛み出して引きちぎられるような痛みが全身を襲い始めた。
そうこの丸薬実はスピードをあげるためのものでこれを使えば本当に分身して見えるほどのスピードを出すことができるんだが、そんな効力を持つ薬なだけに当然副作用もある。
それは使用して数分後に体が激痛に襲われることだ。
これは自分の限界異常のスピードを出しているために体がもう限界だという警告を出しているためなんだそうだ。
スピードは維持できるがその激痛を止める術は当然無く維持するためには激痛に耐えなくてはいけない。
やせ我慢を続けて叫びながらも攻撃を続けていたがついに着地に失敗して地面に倒れこむ、だが俺は激痛に耐えながらも体を起こして忍者刀を構える。
忍もそんな俺の異常に気がついたのか一度は心配そうな表情をするもすぐに無表情にもどり鎌を構える。
「・・・よく分からないけど、これは、戦い、容赦、しない！」
そう言って忍は俺の元に一瞬でやってきていた。
当然俺は激痛のためにまともに反応ができないでいた。
忍が独特の構えを取る。
『カマキリの舞』
最後に俺が覚えているのは忍がまるで舞を踊るかのようなあざやかな鎌捌きを披露している姿だった。
俺の戦いの記憶はここで途切れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
次に目が覚めた時に見えたのは心配そうに俺を見ている忍の顔だった。
「・・・目、さめた？」
「し、の、ぶ、か？」
「・・・よかった。死んでない」
その顔はとても嬉しそうだった。
周りを見てみるとどうやら病室のようだった。
そしてどうやら俺の命も助かったらしい。
「・・・私、ずっと心配、してた」
「俺、なんか、おか？」
「・・・（こくり）」
「あ、ありが、とう」
「・・・怪我、治したら、また、戦う」
こいつは本当に俺のこと心配してんのか？
明らかに今の俺じゃ勝てないとおもうんだが？
「でも、よ、俺じゃお前に、かてねーと、おもうん、だけど」
「・・・（フルフル）私、勝ったの、技だけ、心は、勝てなかった。だから、今度は、心でも、勝つ」
「心って、どうやって、勝敗決めるんだ？」
「・・・クロムが、私を、好きか、嫌いに、なるか」
「へっ？」
「・・・だから、怪我、治ったら、私と、エッチする」
戦いってそっち？
心の負けってそういう意味？
・・・どうしよう？俺そっちでも勝てる気がしない。
だが一つ言えることがある。
それは・・・
「俺の時代キター！！！」
ここはとある地下にある闘技場。
己のすべてをぶつけ合う場所。
一攫千金を狙える場所。
次なる挑戦者はいったい誰か。
ＴＯ ＢＥ ＣＯＮＴＩＮＵＥ
見習い忍者で１６歳の少年さ。
えっ？なんで大陸の人間が見習い忍者なんかやってるのかって？
そりゃージパングからやってきた師匠がいるからさ。
当時の俺は忍者っていうのに憧れててよ、実際に忍術を伝承したいとやってきた師匠に会って即行で入門したんだけどよ・・・
たださー・・・なんつうか・・・ジパングの忍者ってさ、イメージ的に分身したり、火を吹いたり、変身できたりっていう、なんとなく摩訶不思議な術が使えるのを想像してたんだけどさ・・・
物凄い地味なトレーニングばっかなんだよな・・・トレーニングはただひたすらに筋力トレーニングとマラソンをすることから始まり、手裏剣術、体術、剣術と順に教えられるみたいなんだけど、一切と言っていいほどさっき言ったような派手な術を教えてるとこは見たことが無い。
１年くらい我慢して修行していたんだけどついに我慢できなくて一回師匠に聞いてみたら・・・
『忍者は基本的に忍ぶ者を指している。要するに人に見つからないように逃げたり、隠れたりする者のことをいうんだ。そんな奴がわざわざそんな派手なことをするわけが無いだろう。戦闘訓練はあくまで忍者が逃げ切れない時のためのモノだし、ここで忍術を教えてるのは伝承と護身用として教えるためだ。大陸は中々に物騒だと聞いていたからこの技術が役に立つと思ったのも一つの理由だな』
・・・ってさ正直これを聞いたとき、がっくりしたね。
俺はその後すっかりやる気を無くしちまって、道場に通わなくなったんだ。
今はこの中途半端な忍者のスキルで村の自警団として活躍をしてるってわけさ。
まあ以外と努力は自分を裏切らないという言葉がある通りでその辺の盗賊が襲ってきても簡単に蹴散らす事ができるくらいの実力があったんだ。
自警団の戦闘訓練でも俺に触れる奴は一人もいなかった。
ちなみにその忍術道場をやめて入ってきた奴も俺には勝てなかった。
だからかな・・・あんな馬鹿げたことを思いついたのは。
当時の俺は相当に調子に乗り天狗になっていた。
それはもう「俺ツエー！！！」っていうくらいに調子に乗っていたよ。
俺はあるとき村にやってきた一人の旅の戦士からある情報を聞いたんだ。
その情報はバトルクラブっていう賭博闘技場のことでよ、戦士が言うにはそこにバトルジャンキーが集い、日夜命がけのバトルが繰り広げられているというものだったよ。
えっ？何で俺がこの情報を手に入れられたのかって？
その戦士がやけに傷だらけだったのが気になって質問をしたからだ。
その戦士もバトルクラブに参戦したらしいんだが、自分より遥かに強い相手が居た為に一時は二度と戦えないほどにボロボロにされたらしい。
今は世界を回って己を鍛えなおす旅の途中とも言ってたな。
・・・ちょっと話がそれたな、その話を聞いた俺は一つの感覚に捕らわれていたんだ。
それは・・・
『俺はどれくらい強いんだ？』
男なら自分がどれくらいの強さなのかとか強くなって英雄のような悪者をばったばったと倒していく物語に憧れるもので当時の俺はその思考が人一倍強かった。
架空の強さに憧れ、自分も今ならその架空の強さにある程度近づいたんじゃないかと思っていた。
そしてそれを試せる場があると聞いた俺は気が付けば、俺の相棒でもある忍者刀と忍び道具一式が入ったウエストポーチとホルスターを装備して手持ちの金と自分流にアレンジした忍装束を着込み村を飛び出してたんだ。
あっ、ちなみにこの忍装束は色は黒であまり目立たない服装だからさ、長袖を半袖にして切りましたよってアピールする感じでギザギザをつけて、口布は正直カッコわりいから無しにして代わりに首に赤いスカーフをつけて、それからやっぱ背中がなんか寂しいからよジパングの文字で『神風見参！』って書いてあるんだよ！どうだ！すっげーカッコいいだろう！
・・・わりいまた話がそれたな。
一月を掛けて漸く目的のバトルクラブに到着した俺はとにかく早く戦いたくて受付をさっさと済まそうとしていたんだが、どの受付もやたらと並んでいて正直憂鬱な気分になってたんだ。
そんな時に俺はあまり並んでいない受付を見て即座にそっちに並びにいったんだけどさ、その時後ろから「おいお前、そっちは」とか「あいつ、新参者だよな？」とか「死んだな」ってのが聞こえていたが正直それどころじゃなかったんで俺は無視をしてその短い列に並んだんだ。
理由は簡単さ。
俺は一月で手持ちの金をあっという間に使い込んでしまい約１週間はろくに飯を食っていなかったから早く戦って金を稼いで飯が食いたいという気持ちに変わり相当に焦っていたんだ。
えっ？そんな状態で戦えるのかって？
・・・まあ結論から言えば、そんなもん無理だ！
でも当時の俺はそんなもん考える余裕なかったからなー本当に死ぬかと思ったよ・・・よく生きてたな俺。
「バトルクラブにようこそ。こちらはＤＦバトル専用の受付となっておりますがどなたをご指名されますか？」
俺はとりあえず早く飯が食いたかったから、出されたボードに適当に指をさした。
「わかりました。それでは控え室はこちらになっておりますのでこちらの地図を頼りに向かっていただけますか？控え室には係員もおりますので分からないことはその係員にお聞きください。それでは健闘をお祈りしています」
俺は即座にもらった地図を頼りに控え室に駆け出していた。
地図を頼りに走ること数分、目的地である控え室が見えてきた。
控え室の入り口には係員らしき人物も立っていたからとりあえずここで合っているのかどうかを聞きにそいつの所に向かった。
まあ結論から言えば合っていた。
とりあえず俺は中に入って辺りを見まわしていた。
えっ何でかって？まあ忍者の癖かな？師匠がまず部屋に入ったら部屋を良く観察するんだって何度も言われたからな、おかげで自分の部屋に入るときも無意識に辺りを見回してるんだ・・・習慣って怖いよな。
すると控え室にあるテーブルの上にある物が見えた。
それは備え付けの水とクッキーだった。
気がつけば走って近づきクッキーを口にほおばり、水をがぶ飲みしていた。
えっ？忍者がそんな無警戒に物を口にしていいのかって？
・・・うるせえ！こちとら本当に腹が減ってたんだよ！しょうがねえじゃん！
クッキーを食べつくし、水を飲み干した俺はとりあえず落ち着きを取り戻し椅子に座っていた。
「勢いで全部食っちまったけど、まあいいか。でもラッキー！まさか戦う前に食い物にありつけるなんてな！・・・あっ、そういえば俺受付で適当に指名したけど相手見てねえや・・・誰だろう、俺の相手？」
そんなことを考えていたら、さっき入り口にいた係員が入ってきていた。
「クロム様準備が整いましたのでご案内したいと思いますがよろしいですか？」
「ん？ああ、ちょっと待ってくれ」
俺はちょっと待ったコールをして手持ちの武器に異常がないかどうかの確認をした。
「・・・大丈夫だな。よし案内頼むわ！」
「かしこまりました。それではついてきてください」
「おう！」
係員についていくこと数分、突き当たりに大きい扉が見えた。
到着して係員が扉をゆっくりと開けるとそこには広々とした闘技場が見えた。
「それでは中央にむかってください。健闘をお祈りしています」
係員はそれだけ言うと扉を閉めてしまった。
「これで逃げ場は無しだな。さてといきますかね」
中央に行くとそこには人が二人いた。
一人は係員と似たような服装をしたいかにも審判ですといった感じの男ともう一人が・・・
「おいおい、相手って魔物かよ」
そう俺の相手は魔物だった。
しかもそいつは俺が知る限りではかなり戦闘能力が高い魔物だった。
「えーと、たしかマンティスだったけ？」
確認するようにつぶやくと聞こえたのかマンティスはこくりとうなずく。
とりあえず相手はわかったが、さっきから気になることがあるんだよな。
「えっと、一つ質問していいか？」
「・・・（こくり）」
「じゃあ聞くけどさ・・・なんで忍装束着てんの？」
そう俺の疑問はこのマンティスがクノイチが着るような忍装束をしていることにたいしてのものだ。
「・・・私、クノイチ、だから着てる」
「ってことはあんた忍びか？」
「・・・（こくり）」
「マジかよ。まさか魔物の忍びに合うなんてな・・・」
「・・・忍」
「えっ？」
「・・・私、影丸忍（かげまるしのぶ）」
「・・・ああ！そういうこと、俺はクロム＝ディアメックだ。あんたと同じ忍びだ！」
「・・・それは、楽しみ」
俺が同じ忍びだということを言うと忍は無表情の中に少し嬉しそうな表情を出していた。
「それでは両者紹介が終わったところでそろそろ試合を始めたいんだがいいかな？」
審判の声が聞こえると一瞬で忍は表情を無表情（って言ってもほとんど変わらん気もするが）にして目つきをガラリと変えていた。
その目はどこまでも無感情で冷たくて、まるで心臓を鷲掴みにでもされたような感覚を感じていた。
俺は知らない間に呼吸を忘れ、冷や汗をかいていた。
「ルールは知っていると思いますが言っておきます。観客を巻き込まなければ、どんな手段を使おうと相手を倒せば勝ちです。気絶の場合はテンカウント以内に起き上がれば問題ありませんが私が戦闘不能と判断した場合は即座に止めるのでそのつもりで」
「・・・問題ない」
「・・・ああ」
「それではお互いに離れてください」
審判に言われるままに俺たちは距離をとった。
「それでは・・・はじめ！」
審判の合図と共に俺はホルスターの手裏剣を取り出して投げていた。
手裏剣は忍の鎌により簡単にはじかれてしまうが俺はそんなことは気にせずに今度は１０枚の手裏剣を両手で一気に投げていた。
今度は横に動いて避ける忍を見て俺は忍者刀を抜き放ち１年間鍛えた自慢の俊足を使い忍に接近していく、忍はまだ避けた体勢のため反撃はできない。
そう確信した俺は忍を忍者刀で斬りつけた・・・はずだった。
「い、いない？」
そう斬りつけたはずの忍の体はどこにも無く、もし反撃されたとしても鎌での受け止めがあるくらいだと予想していただけにひどく動揺していた。
「・・・何、驚いてる？」
突然後ろから声が聞こえて振り向くとそこには忍がいた。
「な、なんで？」
「・・・分身の術」
「えっ？」
「・・・忍びの基本的な技、知らない？」
「えっ！？できんの！？分身が！？」
「・・・（こくり）」
ま、まじか・・・師匠は分身はある程度のスピード差を利用して緩急をつけたところに目の錯覚が生まれて見えるものだって言ってたけど、忍の分身は明らかに目の錯覚レベルじゃ済まされないものなんだけど。
「・・・それより、早く、本気だして」
「な、なに？」
「・・・手加減、無用。殺すよ？」
恐らくは手加減されてると思って忠告してるのかもしれんが、俺、今のが最速のスピードの攻撃だったんだけどな。
「そうかい、だったら本気だしてやるよ！」
まあ、弱いと思われるのはしゃくだから強がりを言ってみる。
それにとっておきも一応はあるし。
「いくぜ！！！」
俺は忍に向かって次々と忍者刀を斬りつけていくが忍は冷静に攻撃を鎌で受け流していく。
言っとくけどただ馬鹿正直に真正面から攻撃してるわけじゃないぞ。
なるべく側面や後ろから攻撃できるように常に横や縦に動きながら攻撃してるんだ。
いろんな動きを見せることにより、相手を惑わしながら戦うのが忍びの基本だ。
だが忍はぜんっぜん惑わされてくんねえだ。
それどころか反撃までしてくるんだ。
まいったね、どうも。
「・・・動き、遅い、けど、いい攻撃」
・・・これでも道場じゃ一番早かったんだけどな。
「・・・次は、私の攻撃、みせる」
そういうと忍はいったん距離をとり両手を重ねて印を組んでいた。
いわゆるニンニンっていうポーズだ。
「何の真似かは知らねえが、やらせるか！」
とりあえず嫌な予感しかしねえからダッシュで詰め寄り斬りつけようとしたが。
『・・・分身・幻惑暗殺』
間に合わなかった。
忍は斬りつける寸前で攻撃準備が整ったようで不吉な技名を口にした。
俺は急ブレーキをかけて止まり、距離をとって相手の出方を伺った。
とりあえず分身という言葉が聞こえたからだ。
集中してみれば目の錯覚を起こすはずが無いと信じての行動だったのだが、その考えは見事に粉砕された。
「な、なんだそりゃー！！！！！」
俺が見たのは忍が１人から一気に１０人に分身した光景だった。
・・・ありえねえ！！！だってよどう考えても目の錯覚じゃ説明できねえよ！これ！
俺が混乱していると１０人の忍が一斉に動き出し俺に襲い掛かってきた。
それもそれぞれがいろいろな動きを加えて順序良く襲ってくるから余計に混乱した。
「う、うわあー！！！来るな！！！」
俺はホルスターから手裏剣を取っては次々と投げつけたが忍たちはあっさりとそれを交わしていく。
そしてあっさりと辺り囲んでしまい走り回ったり、飛び跳ねたりして俺を困惑させる動きを始めた。
どいつが攻撃を仕掛けてくるのか分からない俺はただ辺りをきょろきょろするしかなかった。
そして前方から一人が飛び出し斬りつけようとしてきた。
俺はそいつの攻撃を逃れてとりあえず突破を試みようとして身構えていたが。
ヒュン
そんな風切音が聞こえた。
ザシュ！
何かが切れた音がした。
同時に背中がとても熱くなるのを感じて俺は地面に向かって倒れていた。
あれ？俺倒れてる？なんでだ？
そんなことを考えながら倒れていると。
「・・・隙が多い、つまらなかった」
そんな言葉が聞こえてきた。
これって、つまり、俺が弱いってことか？
まあ、たしかに俺は半端な忍者のスキルしかもってねえがそれでもこの１年の努力を俺は否定されたってことか？
ふざけんなよ・・・
「８・・・９・・・ｔ「ふざけんなー！！！」
気がつけば俺は大声を張り上げて立ち上がっていた。
「やれるのか？」
「ったりめえじゃん。聞いちゃいねえよこんな攻撃」
実際のところはめちゃくちゃいてえがそんなことは気にしちゃいられねえ！
俺はたしかに中途半端だが、それでもこの修行をした努力だけは裏切りたくなかった。
なにもせずに終わるなんて一番許せなかった！
忍を見ると相変わらずの無感情だが少しだけ驚いているように見えた。
「へへへ、わりいな、ついうっかり眠くなっちまって寝てたんだわ・・・おかげで目が覚めたけどな」
とりあえずはったりはかましておく、余裕なんざぜんぜん無いがこれで少しでも動揺してくれりゃ、もうけもんだしな。
「・・・おもしろい」
「な、なにが？」
「・・・あなた、弱い、でも、心が強い」
「・・・そりゃーどうも」
見透かされちゃってらー。
だがそれでも最後までこの意地は貫き通すぜ！
俺の忍びとしての誇りにかけて！
俺が持っている唯一にして最強の必殺技、こいつにすべてをかける！
俺は投げれる限りのワイヤー付クナイを四方八方に投げつけ舞台を整える。
闘技場はワイヤーが張り巡らされてうかつに動けないフィールドと化していた。
そしてあるとっておきの丸薬を取り出す。
「こいつを使う気は無かったんだがこのまま戦っても勝ち目は薄いしな」
俺は丸薬を飲み込み、静かに忍者刀を構える。
忍もただならぬ雰囲気を感じたのかいつでも動ける体制になり俺を警戒している。
「いくぜ！これが俺のとっておきだ！『多角鳴斬！』」
俺は地面をおもいっきり蹴った。
ヒュン ザン
俺は忍の頬を切り裂いていた。
当然これだけで終わるはずが無く俺は忍の後ろに張られているワイヤーに足をつけた反動で即座に飛び出す。
一つまた一つと忍に切り傷をつけていく。
忍は未だに俺の姿を捉えきれていなかった。
これが俺のとっておき多角鳴斬でこの技はもともと室内で使うことを前提としたもんでこんなふうにワイヤーを張り巡らしてそれらを踏み場にしていろんな角度から切り刻む技だ。
鳴斬の意味はワイヤを踏みつけたときのピンって音がやまないところからきてるのさ。
そしてもう一つのとっておきがさっき飲んだ丸薬なんだが・・・
「うっ！ううう、ぐわあああああ！！！」
唐突に体が痛み出して引きちぎられるような痛みが全身を襲い始めた。
そうこの丸薬実はスピードをあげるためのものでこれを使えば本当に分身して見えるほどのスピードを出すことができるんだが、そんな効力を持つ薬なだけに当然副作用もある。
それは使用して数分後に体が激痛に襲われることだ。
これは自分の限界異常のスピードを出しているために体がもう限界だという警告を出しているためなんだそうだ。
スピードは維持できるがその激痛を止める術は当然無く維持するためには激痛に耐えなくてはいけない。
やせ我慢を続けて叫びながらも攻撃を続けていたがついに着地に失敗して地面に倒れこむ、だが俺は激痛に耐えながらも体を起こして忍者刀を構える。
忍もそんな俺の異常に気がついたのか一度は心配そうな表情をするもすぐに無表情にもどり鎌を構える。
「・・・よく分からないけど、これは、戦い、容赦、しない！」
そう言って忍は俺の元に一瞬でやってきていた。
当然俺は激痛のためにまともに反応ができないでいた。
忍が独特の構えを取る。
『カマキリの舞』
最後に俺が覚えているのは忍がまるで舞を踊るかのようなあざやかな鎌捌きを披露している姿だった。
俺の戦いの記憶はここで途切れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
次に目が覚めた時に見えたのは心配そうに俺を見ている忍の顔だった。
「・・・目、さめた？」
「し、の、ぶ、か？」
「・・・よかった。死んでない」
その顔はとても嬉しそうだった。
周りを見てみるとどうやら病室のようだった。
そしてどうやら俺の命も助かったらしい。
「・・・私、ずっと心配、してた」
「俺、なんか、おか？」
「・・・（こくり）」
「あ、ありが、とう」
「・・・怪我、治したら、また、戦う」
こいつは本当に俺のこと心配してんのか？
明らかに今の俺じゃ勝てないとおもうんだが？
「でも、よ、俺じゃお前に、かてねーと、おもうん、だけど」
「・・・（フルフル）私、勝ったの、技だけ、心は、勝てなかった。だから、今度は、心でも、勝つ」
「心って、どうやって、勝敗決めるんだ？」
「・・・クロムが、私を、好きか、嫌いに、なるか」
「へっ？」
「・・・だから、怪我、治ったら、私と、エッチする」
戦いってそっち？
心の負けってそういう意味？
・・・どうしよう？俺そっちでも勝てる気がしない。
だが一つ言えることがある。
それは・・・
「俺の時代キター！！！」
ここはとある地下にある闘技場。
己のすべてをぶつけ合う場所。
一攫千金を狙える場所。
次なる挑戦者はいったい誰か。
ＴＯ ＢＥ ＣＯＮＴＩＮＵＥ
11/10/30 03:05更新 / ミズチェチェ
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