スキンヘッドVSダークプリースト(前編)
注意:この話は普段から書いている中世時代のバトルクラブではなく何百年もたった未来、現代のジパングを舞台にした話です。
それでもいい方はどうぞ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「・・・・・・そうだ!バトルクラブに行こう!!!」
突然こんな発言をしたのは身長2m10cm、体重132kgのゴリマッチョ、スキンヘッドにいかつい顔、学ラン。
私立超人育成学園高等部の三年生で今回の主人公で名前は崩山童子(ほうざんどうし)18歳である。
「・・・兄さん、いきなり何言ってんですか?」
この発言に対し反応したのが童子の弟の竹子(たけし)だった。
「最近地獄の特訓もだいぶマンネリ化してきたからな、ここらでもう一つ階段を上がる段階だと思ってな」
「それだったら特訓メニューを変えればいいじゃないですか」
「嫌だ!」
竹子の意見を一蹴する童子。
「いや、嫌って兄さん・・・」
「特訓メニューを一々考えるのはめんどくせーんだよ!!!」
ちなみに特訓メニューと先ほどから出ているが何のことかというと。
「はぁーそれでも伝統ある鷹援團(おうえんだん)の部長ですか?」
「部長だが、なんか文句があるか?」
鷹援團 それは体を鍛え上げ、その鍛えこんだ体を使い、限界まで応援をする部活動である。
その実力は凄まじく鷹援團が応援すれば、たとえどんな弱小校でもいつもの10倍は力をだせるという大げさな噂が流れるほどだ。
はぁーっとさらにため息を吐く竹子。
「だいたいバトルクラブって何ですか?応援となんか関係あるんですか?」
「特にない!!!」
背中からどーんという文字が出てきそうなほどに腕を組み偉そうに言う童子。
竹子がさらにため息を吐いたのは言うまでもない。
「というわけだから!俺ちょっと言ってくるわ!あっ晩飯までには帰るから皆にはよろしく言っといてくれ!!!」
そういうと部室のドアを勢いよくあけ、物凄い勢いで走っていくのであった。
部室に残された竹子は深いため息を吐いていた。
「兄さん部活はどうするのさ・・・おまけにバトルクラブの事言わなかったし・・・」
竹子はとりあえず間もなく始まる部活に備えて準備を始めるのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「おっちゃん!このメリケンサック一つ貰うぜ!!」
「あいよ!毎度どうもね!」
学校を飛び出した童子はよく行く店の一つに来ていた。
理由はもちろん武器を買うためだ。
「しかし、お前がメリケンサックね〜・・・ついに喧嘩でもやるのかい?」
「喧嘩といえば喧嘩だな!だが、ただの喧嘩をするわけじゃないぜ!」
「ほう〜。じゃーいったいどんな喧嘩をするんだ?」
仲がいいのか、無頓着なのか、喧嘩をする発言を異にも返さずに尋ねる店主。
「バトルクラブってやつに参加しようと思ってよ!!!」
「なに?」
朗らかにしていた店主が突然、顔をゆがめた。
「ん?聞こえなかったのか?」
「いや、聞こえたよ・・・・・・童子」
「ん?」
「悪い事は言わねえ、やめとけ」
さっきまでの明るい声とは対照的な静かな声を出す店主。
その態度に疑問を持ったのか。
「何でだよおっちゃん」
「バトルクラブは素人が行く場所じゃねえって言ってるんだ」
「・・・素人?」
「お前の事だ、たまたま聞いた噂を面白そうだと思って参加しようと思ったんだろうが・・・」
少しの間を置く店主。
「あそこはそんな生易しいとこじゃねえ・・・死んでも文句が言えない場所だぞ」
「死んでも文句が言えない?」
「ああ」
店主は童子に説明した。
バトルクラブのルール、歴史等々を。
そのルールは今の現代の法律に完全に引っかかってるいるのだがつぶれたという話を聞かない、というよりニュースに出た事すらない。
これほど危険な闘技場が何故黙認されているのか。
「・・・バトルクラブの創始者、現代まで生き残り続けている化け物。ドラゴンのデルフィニアの所為だ、恐らくはそのデルフィニアを恐れてジパング政府も手出しが出来ないんだろう。だから黙認されているんだ・・・わかったろうそんな危険なとこにわざわざ首を突っ込むもんじゃないだから・・・」
「くーーーーー!!!!!すっげーーーーーー!!!!」
突然、店主の発言をさえぎり叫ぶ童子。
「そんな面白そうなところがあるなんて、なんで今まで気がつかなかったんだか!こりゃーますます楽しみだ!!!」
「・・・お、お前なー・・・人の話を聞いていたのか!?」
「ん?あー分かってるって、要するにすっげーおもしれー所なんだろ!?」
その発言を聞き、店主はがっくりとうな垂れた。
(そうだった・・・こいつは変わり者だったんだっけ)
「はぁーお前の弟の気持ちが少し分かったよ」
「ん?何か言ったか?」
「なんでもない。まあ一応忠告はしたからな」
「おー!サンキューなおっちゃん!!!」
くるりと背を向けるとまた猛烈な勢い出て行くのであった。
「まあ、あいつなら案外大丈夫かもな・・・」
店主は苦笑いを浮かべながら、ダッシュした際の風圧で吹き飛んだ品物を拾い始めたのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ここにあるのかー?噂のバトルクラブって奴はー」
童子は噂で聞いたとおりの場所にやってきていた。
その場所は都心の端の方にある廃ビルがたくさんある場所で政府もなぜこの廃ビル群を壊して新しい建物を建てないのかとニュースでよく話題が挙がる場所の一つでもある。
そして童子が立っている目の前にはボロボロに朽ち果てた廃ビルが並んでいる。
童子は歩き始め、あたりを見回した。
すると童子は目的の廃ビルを見つけた。
「おっこれか?」
その廃ビルには他の廃ビルと違う部分があった。
その違いは廃ビルの壁に大きな紋章が描かれていたのだ。
大きい円の中に剣と剣が重なっていて、その後ろに竜を模した絵が描かれているそんなとても目立つ紋章があったのだ。
「噂どおりの派手な紋章だな!うし!ここで間違えねえな!」
そう一人で納得すると童子はその廃ビルにズカズカと入り込んでいくのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「登録は完了しました。それでは控え室でお待ちください」
「おう!」
童子は参加登録を済ませていた。
童子の顔はそのいかつい顔を緩ませ辺りをキョロキョロと見回しながら控え室に向かっていた。
「ここがバトルクラブかー!くーーーー!わくわくが止まんねえぜ!!!」
「もし、そこのあなた」
「ん?」
突然後ろから呼び止められたので振り向く童子。
後ろにいたのは女性だった。だがただの女性ではなかった。
最初に目に飛び込んできたのは長い耳に羽と尻尾だった。
通常の人間に長い耳と羽と尻尾は無い。
そのパーツは明らかに魔物の象徴と言える物だった。
次に目に入ったのは服装だった。
修道服というのだろうか、童子も修道服を見た事がないから断言は出来ないが恐らくは少々改良された者を着込んでいる。
何故そう思ったかというと修道服は本来全身を包み込むような形のものが多い。
だが目の前の女性が来ている修道服は胸元が少し見えるように切れ目が開いており、足元は動きやすくするためか腰の辺りから2箇所に縦長の切れ目が入れてあり、とても露出度が高いのだ。
そして、最後に鎖である。
鎖が首と尻尾に絡みついているのである。
「すみませんが話を聞いていますか?」
「うわ!?」
突然女性が度アップで目の前に来ていたので、思考の波に落ちていた童子はびっくりしてしまったのだ。
「あーびっくりした!!」
「びっくりしたではありません、それでどうなのでしょう」
「えっ!何が?」
「・・・ですからあなたは一般人ですよねと聞いたのです」
「一般人?」
「ええ」
「一般人って、あんたもそうだろう」
童子の常識で言えば、一般人というのは軍とか政府関係者とかと違う一般市民のことと認識してる。
だからその質問の意味が正直に分からなかった。
「その答えから察するに一般人のようですわね」
「だからなんだよ」
「悪い事は言いません。早々に登録を解除してお帰りなさい」
「なんだと!」
「ここがどういう場所なのか知っていてきたのですか?」
「知ってらい!すんげー楽しい場所だってな!!!」
「・・・では参加者がどういう人物かご存知ですか?」
「すんげー!強い奴らが出るんだろう!!!」
「ええそうです、それこそ人の命をなんとも思わないような連中ばかりです」
「だから、なんだってんだ!!!」
「あなたでは無駄死にするといってるんですよ」
あくまでも穏やかな口調でそして残酷な台詞を吐く女性。
「あなたの動きを観察すればわかります。あなたは戦闘経験が0です。おまけに隙だらけ、ここが戦場ならばあなたは最初に死んでいるでしょうね」
「・・・・・・」
「ここは素人が来るところではありません。わかったら安全な外のs」
「ごちゃごちゃうるせーよ!!!」
「!?」
「俺が嫌いなのはな退屈なんだよ!安全だ!!そんなもんはいらねんだよ!!!俺はスリルが欲しいんだよ!!!自分をとことんまで追い詰められることがしてえんだ!!!!!他人が余計な口を挟むんじゃねえ!!!!!!」
女性ははっとなった、一瞬とはいえ体が身震いした。
自分も戦闘の神をたたえる者として、この道に落ちた。
様々な戦闘経験もつんできた。命が危険にさらされた時もあった。
様々な修羅場を乗り越えてきた自分が目の前の素人に身震いしてしまったのだ。
そして、女性は同時に笑った。
素人でこれなのだ、もし十分な戦闘経験をつんだらどうなるのか?
「ふふふふふ、すみません。どうやらあなたの事を侮っていたようです。謝りますわ」
そういうと深くお辞儀をした。
「・・・まあ、わかってくれればいいんだよ」
童子は頭をかきながら、答えた。
「よかったですわ。私はダークプリーストのアトロポス=メリンと申します」
「・・・俺は崩山童子だ」
「それでは縁があればまたお会いしましょう」
そういうとスタスタと控え室に向かっていった。
「なんだったんだが?」
童子も控え室に向かって歩くのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「崩山選手、会場までお願いします」
「おっ!やっと出番か!待ちくたびれたぜ!!!」
「こちらです」
童子は係員に案内されて会場の扉の前までやってきた。
係員が扉を開けると強い光が飛び込んできた。
そのまぶしさに目をつぶり、少しずつ開いていくと目の前には大観衆と熱い声援があった。
この歓声に少し驚いた童子だがすぐににやりと笑い心底楽しそうな表情になる。
「すげえ声援だな!!!うちの後輩にも見習わせてやりてえや・・・ん?」
あたりを見回していた童子が会場の中央に注目した。
そこには見覚えのある人物がいたのだ。
「あら、さきほどはどうも」
にこりと笑いかけてきたのはさきほど話しかけてきたアトロポスだった。
「へえーあんたが俺の相手か!よろしく頼むぜ!」
「ええ、よろしくお願いしますね」
【さあー!!!まもなく試合開始の時間です!!!今回の対戦はなんと新人とバトルクラブのランキング上位者との戦いです!!!】
マイクで司会が試合開始が近い事と簡易な情報を知らせた。
【新人の崩山童子は、なんと戦闘経験がいっさい無いそうです!!!なんて無謀で命知らずなんだ!!!!!
対するはランキング5位の黒鍵使いのアトロポス=メリン!!!様々な策を使い相手を容赦無く串刺しにしてきたアトロポス!!!今回もその華麗な策は見れるのか注目していきましょう!!!!!
おっとここで掛け率が出てきました!!!
崩山選手の倍率はなんと300倍です!!!!対するアトロポス選手は倍率が1.2倍!!!これはもはや見るまでも無く勝負が見えてしまったのではないでしょうか!!!!!】
この倍率に童子は。
「おっ300か!初めてだってのに俺の人気もすげえな!!!」
明らかに勘違いしていた。
TO BE CONTINUE
それでもいい方はどうぞ。
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「・・・・・・そうだ!バトルクラブに行こう!!!」
突然こんな発言をしたのは身長2m10cm、体重132kgのゴリマッチョ、スキンヘッドにいかつい顔、学ラン。
私立超人育成学園高等部の三年生で今回の主人公で名前は崩山童子(ほうざんどうし)18歳である。
「・・・兄さん、いきなり何言ってんですか?」
この発言に対し反応したのが童子の弟の竹子(たけし)だった。
「最近地獄の特訓もだいぶマンネリ化してきたからな、ここらでもう一つ階段を上がる段階だと思ってな」
「それだったら特訓メニューを変えればいいじゃないですか」
「嫌だ!」
竹子の意見を一蹴する童子。
「いや、嫌って兄さん・・・」
「特訓メニューを一々考えるのはめんどくせーんだよ!!!」
ちなみに特訓メニューと先ほどから出ているが何のことかというと。
「はぁーそれでも伝統ある鷹援團(おうえんだん)の部長ですか?」
「部長だが、なんか文句があるか?」
鷹援團 それは体を鍛え上げ、その鍛えこんだ体を使い、限界まで応援をする部活動である。
その実力は凄まじく鷹援團が応援すれば、たとえどんな弱小校でもいつもの10倍は力をだせるという大げさな噂が流れるほどだ。
はぁーっとさらにため息を吐く竹子。
「だいたいバトルクラブって何ですか?応援となんか関係あるんですか?」
「特にない!!!」
背中からどーんという文字が出てきそうなほどに腕を組み偉そうに言う童子。
竹子がさらにため息を吐いたのは言うまでもない。
「というわけだから!俺ちょっと言ってくるわ!あっ晩飯までには帰るから皆にはよろしく言っといてくれ!!!」
そういうと部室のドアを勢いよくあけ、物凄い勢いで走っていくのであった。
部室に残された竹子は深いため息を吐いていた。
「兄さん部活はどうするのさ・・・おまけにバトルクラブの事言わなかったし・・・」
竹子はとりあえず間もなく始まる部活に備えて準備を始めるのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「おっちゃん!このメリケンサック一つ貰うぜ!!」
「あいよ!毎度どうもね!」
学校を飛び出した童子はよく行く店の一つに来ていた。
理由はもちろん武器を買うためだ。
「しかし、お前がメリケンサックね〜・・・ついに喧嘩でもやるのかい?」
「喧嘩といえば喧嘩だな!だが、ただの喧嘩をするわけじゃないぜ!」
「ほう〜。じゃーいったいどんな喧嘩をするんだ?」
仲がいいのか、無頓着なのか、喧嘩をする発言を異にも返さずに尋ねる店主。
「バトルクラブってやつに参加しようと思ってよ!!!」
「なに?」
朗らかにしていた店主が突然、顔をゆがめた。
「ん?聞こえなかったのか?」
「いや、聞こえたよ・・・・・・童子」
「ん?」
「悪い事は言わねえ、やめとけ」
さっきまでの明るい声とは対照的な静かな声を出す店主。
その態度に疑問を持ったのか。
「何でだよおっちゃん」
「バトルクラブは素人が行く場所じゃねえって言ってるんだ」
「・・・素人?」
「お前の事だ、たまたま聞いた噂を面白そうだと思って参加しようと思ったんだろうが・・・」
少しの間を置く店主。
「あそこはそんな生易しいとこじゃねえ・・・死んでも文句が言えない場所だぞ」
「死んでも文句が言えない?」
「ああ」
店主は童子に説明した。
バトルクラブのルール、歴史等々を。
そのルールは今の現代の法律に完全に引っかかってるいるのだがつぶれたという話を聞かない、というよりニュースに出た事すらない。
これほど危険な闘技場が何故黙認されているのか。
「・・・バトルクラブの創始者、現代まで生き残り続けている化け物。ドラゴンのデルフィニアの所為だ、恐らくはそのデルフィニアを恐れてジパング政府も手出しが出来ないんだろう。だから黙認されているんだ・・・わかったろうそんな危険なとこにわざわざ首を突っ込むもんじゃないだから・・・」
「くーーーーー!!!!!すっげーーーーーー!!!!」
突然、店主の発言をさえぎり叫ぶ童子。
「そんな面白そうなところがあるなんて、なんで今まで気がつかなかったんだか!こりゃーますます楽しみだ!!!」
「・・・お、お前なー・・・人の話を聞いていたのか!?」
「ん?あー分かってるって、要するにすっげーおもしれー所なんだろ!?」
その発言を聞き、店主はがっくりとうな垂れた。
(そうだった・・・こいつは変わり者だったんだっけ)
「はぁーお前の弟の気持ちが少し分かったよ」
「ん?何か言ったか?」
「なんでもない。まあ一応忠告はしたからな」
「おー!サンキューなおっちゃん!!!」
くるりと背を向けるとまた猛烈な勢い出て行くのであった。
「まあ、あいつなら案外大丈夫かもな・・・」
店主は苦笑いを浮かべながら、ダッシュした際の風圧で吹き飛んだ品物を拾い始めたのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ここにあるのかー?噂のバトルクラブって奴はー」
童子は噂で聞いたとおりの場所にやってきていた。
その場所は都心の端の方にある廃ビルがたくさんある場所で政府もなぜこの廃ビル群を壊して新しい建物を建てないのかとニュースでよく話題が挙がる場所の一つでもある。
そして童子が立っている目の前にはボロボロに朽ち果てた廃ビルが並んでいる。
童子は歩き始め、あたりを見回した。
すると童子は目的の廃ビルを見つけた。
「おっこれか?」
その廃ビルには他の廃ビルと違う部分があった。
その違いは廃ビルの壁に大きな紋章が描かれていたのだ。
大きい円の中に剣と剣が重なっていて、その後ろに竜を模した絵が描かれているそんなとても目立つ紋章があったのだ。
「噂どおりの派手な紋章だな!うし!ここで間違えねえな!」
そう一人で納得すると童子はその廃ビルにズカズカと入り込んでいくのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「登録は完了しました。それでは控え室でお待ちください」
「おう!」
童子は参加登録を済ませていた。
童子の顔はそのいかつい顔を緩ませ辺りをキョロキョロと見回しながら控え室に向かっていた。
「ここがバトルクラブかー!くーーーー!わくわくが止まんねえぜ!!!」
「もし、そこのあなた」
「ん?」
突然後ろから呼び止められたので振り向く童子。
後ろにいたのは女性だった。だがただの女性ではなかった。
最初に目に飛び込んできたのは長い耳に羽と尻尾だった。
通常の人間に長い耳と羽と尻尾は無い。
そのパーツは明らかに魔物の象徴と言える物だった。
次に目に入ったのは服装だった。
修道服というのだろうか、童子も修道服を見た事がないから断言は出来ないが恐らくは少々改良された者を着込んでいる。
何故そう思ったかというと修道服は本来全身を包み込むような形のものが多い。
だが目の前の女性が来ている修道服は胸元が少し見えるように切れ目が開いており、足元は動きやすくするためか腰の辺りから2箇所に縦長の切れ目が入れてあり、とても露出度が高いのだ。
そして、最後に鎖である。
鎖が首と尻尾に絡みついているのである。
「すみませんが話を聞いていますか?」
「うわ!?」
突然女性が度アップで目の前に来ていたので、思考の波に落ちていた童子はびっくりしてしまったのだ。
「あーびっくりした!!」
「びっくりしたではありません、それでどうなのでしょう」
「えっ!何が?」
「・・・ですからあなたは一般人ですよねと聞いたのです」
「一般人?」
「ええ」
「一般人って、あんたもそうだろう」
童子の常識で言えば、一般人というのは軍とか政府関係者とかと違う一般市民のことと認識してる。
だからその質問の意味が正直に分からなかった。
「その答えから察するに一般人のようですわね」
「だからなんだよ」
「悪い事は言いません。早々に登録を解除してお帰りなさい」
「なんだと!」
「ここがどういう場所なのか知っていてきたのですか?」
「知ってらい!すんげー楽しい場所だってな!!!」
「・・・では参加者がどういう人物かご存知ですか?」
「すんげー!強い奴らが出るんだろう!!!」
「ええそうです、それこそ人の命をなんとも思わないような連中ばかりです」
「だから、なんだってんだ!!!」
「あなたでは無駄死にするといってるんですよ」
あくまでも穏やかな口調でそして残酷な台詞を吐く女性。
「あなたの動きを観察すればわかります。あなたは戦闘経験が0です。おまけに隙だらけ、ここが戦場ならばあなたは最初に死んでいるでしょうね」
「・・・・・・」
「ここは素人が来るところではありません。わかったら安全な外のs」
「ごちゃごちゃうるせーよ!!!」
「!?」
「俺が嫌いなのはな退屈なんだよ!安全だ!!そんなもんはいらねんだよ!!!俺はスリルが欲しいんだよ!!!自分をとことんまで追い詰められることがしてえんだ!!!!!他人が余計な口を挟むんじゃねえ!!!!!!」
女性ははっとなった、一瞬とはいえ体が身震いした。
自分も戦闘の神をたたえる者として、この道に落ちた。
様々な戦闘経験もつんできた。命が危険にさらされた時もあった。
様々な修羅場を乗り越えてきた自分が目の前の素人に身震いしてしまったのだ。
そして、女性は同時に笑った。
素人でこれなのだ、もし十分な戦闘経験をつんだらどうなるのか?
「ふふふふふ、すみません。どうやらあなたの事を侮っていたようです。謝りますわ」
そういうと深くお辞儀をした。
「・・・まあ、わかってくれればいいんだよ」
童子は頭をかきながら、答えた。
「よかったですわ。私はダークプリーストのアトロポス=メリンと申します」
「・・・俺は崩山童子だ」
「それでは縁があればまたお会いしましょう」
そういうとスタスタと控え室に向かっていった。
「なんだったんだが?」
童子も控え室に向かって歩くのであった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「崩山選手、会場までお願いします」
「おっ!やっと出番か!待ちくたびれたぜ!!!」
「こちらです」
童子は係員に案内されて会場の扉の前までやってきた。
係員が扉を開けると強い光が飛び込んできた。
そのまぶしさに目をつぶり、少しずつ開いていくと目の前には大観衆と熱い声援があった。
この歓声に少し驚いた童子だがすぐににやりと笑い心底楽しそうな表情になる。
「すげえ声援だな!!!うちの後輩にも見習わせてやりてえや・・・ん?」
あたりを見回していた童子が会場の中央に注目した。
そこには見覚えのある人物がいたのだ。
「あら、さきほどはどうも」
にこりと笑いかけてきたのはさきほど話しかけてきたアトロポスだった。
「へえーあんたが俺の相手か!よろしく頼むぜ!」
「ええ、よろしくお願いしますね」
【さあー!!!まもなく試合開始の時間です!!!今回の対戦はなんと新人とバトルクラブのランキング上位者との戦いです!!!】
マイクで司会が試合開始が近い事と簡易な情報を知らせた。
【新人の崩山童子は、なんと戦闘経験がいっさい無いそうです!!!なんて無謀で命知らずなんだ!!!!!
対するはランキング5位の黒鍵使いのアトロポス=メリン!!!様々な策を使い相手を容赦無く串刺しにしてきたアトロポス!!!今回もその華麗な策は見れるのか注目していきましょう!!!!!
おっとここで掛け率が出てきました!!!
崩山選手の倍率はなんと300倍です!!!!対するアトロポス選手は倍率が1.2倍!!!これはもはや見るまでも無く勝負が見えてしまったのではないでしょうか!!!!!】
この倍率に童子は。
「おっ300か!初めてだってのに俺の人気もすげえな!!!」
明らかに勘違いしていた。
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11/06/08 16:36更新 / ミズチェチェ
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