『僕の最高のアイドル』
『僕の最高のアイドル』
これは僕がお墓に持っていく妻の秘密――
僕の最高のアイドルの妻の秘密だ――
僕はそのころ現役アイドルの妻と結婚して数年たったころ。
妻は病魔に倒れた。
病気の名前は癌しかも末期だ。
しかし妻は髪の毛が抜ける抗がん剤投与だけは決して受け入れず。
最後までアイドルとして美しくあることを選んだ。
当然のごとく妻の病状は悪化し入院生活となる。
それから暫くして妻の病は峠を迎えた。
「貴方……大事な……話……が…………あるの……お医者……さん……二人……だけに……」
「わかりました」
担当医が部屋から出ていくと妻は弱弱しく語りだした。
「私……貴方……を……ずっと……騙して……いた……私……貴方……の……愛する……アイドル……セイラ……ユズキ……じゃ……ない……私……は……双子……の……妹……影武者……なの……」
「知っていたよ。幼いころから好きな子の見分けがつかないわけがないじゃないか」
「じゃあ……なんで……私……と……結婚……して……くれ……たの?」
「僕は最初から知っていたよ。君が僕の家のお金目当てで養子として引き取られ、セイラユズキの大ファンで常々彼女結婚したい僕と結婚させるための幼いうちに死んでしまった本人の影武者として、アイドル活動を続けてきたことを」
僕は妻の弱弱しい手を握った。
「なんで……私……なんか……を……選んで……私は……貴方……だま……して――」
「僕はその話を親から聞いて縁談を断ろうかと思った。でも本物の君を見る機会があって考えを改めた。君は綺麗だった僕が大好きなセイラユズキと同じくらい僕は一目見て君に恋をした。セイラユズキを始めてテレビでみたと同じく、君が偽物でもいい僕は君が好きだから君を選んだんだ」
「じゃあ……私……ます……ます……綺麗な……ままで……この世……を……去るわ……私……は……命……より……せめて……騙して……いた……貴方……愛す……る……アイドル……として……美し……く……いたく……て……でも……知って……いた……なら……天国……で……貴方……が……自慢……妻……だと……自慢……できる……くらい……天国……で…………アイドル……として……輝き……続ける……天国……の……ライブ……必ず……来てね……私は……偽物……だった……けど……貴方……という……本物……愛……と……出会……えた……あり……がとう……世界……で……一番……大……好き……な……旦那……様――」
「ユズキ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
零れ落ちる涙。
妻の手から力が完全に抜けた。
◇
とあるテレビ局のスタジオにて。
「今回は昭画の伝説の人気アイドルセイラユズキ没後三十年としてその夫セイラヒカル氏に来てもらいました」
「よろしくお願いします」
「早速ですが貴方にとって妻であり一大ファンを公言されている貴方にとって、アイドルセイラユズキさんとはどのような存在でしょうか?」
「彼女たち――いや彼女は今だ色あせないアイドルとして妻として女性として僕が知る最高の女性です」
「なるほど確かに末期の癌に侵されてもアイドルとしての美しさのために抗がん剤治療を拒否したアイドルとしての高潔さは伝説に――」
そうかもう三十年か僕ももうすぐお迎えが近い――
妻が死んで以来わずかに大きくなり続けた死の気配はとても大きくなっている――
きっと彼女天国で――
僕は死んだあと天国の彼女のライブに行くんだ――
自分の目で最高の妻でアイドルの彼女を見ればいい――
もうすぐなんだから――
「でわ最後に天国のセイラユズキさんに伝えたいことはありますか?」
「はい、ユズキ。約束通り天国のライフ楽しみにしているよ。僕の最高のアイドルセイラユズキ」
すると聞き覚えのある曲がスタジオに流れ出した。
「この曲確かセイラユズキのそんな予定台本にあったかしら?」
次に照明がおちスタジオ中央にスポットライトが当たる。
さらに次に天から光の羽が舞い落ちると一人の羽の生えた女性が光に包まれ現れた。
この姿はまさか――
「ユズキ……」
「貴方久しぶり少し予定が早まっちゃた」
「そんな! なんで?」
僕の目から涙が零れ落ちる。
「実は私天国でのアイドル活動で認められて天使になったの。そして最近異世界の優しい魔物さんと天界が同盟を結んだことで優しい魔物さんの力で私は再び現世の体をえた。貴方待たせてごめんね。天国のライブ以上のライブにするわ! ファンのみんな久しぶり! 私のこと覚えてる? 覚えている人忘れていた人しらない人みんなで聞いてね! 現世初公開の新曲も含めて今日の天界直送のスタジオゲリラスペシャルライブ楽しんでいって! じゃあ最初に私の大好きな曲から愛する旦那様にささげます。曲名は『愛ラブダーリン』」
彼女のアイドル伝説が再び始まり、生前は作れなかった子に囲まれた幸せな未来に続くロードであるとその時の僕は知る由もなかった。
これは僕がお墓に持っていく妻の秘密――
僕の最高のアイドルの妻の秘密だ――
僕はそのころ現役アイドルの妻と結婚して数年たったころ。
妻は病魔に倒れた。
病気の名前は癌しかも末期だ。
しかし妻は髪の毛が抜ける抗がん剤投与だけは決して受け入れず。
最後までアイドルとして美しくあることを選んだ。
当然のごとく妻の病状は悪化し入院生活となる。
それから暫くして妻の病は峠を迎えた。
「貴方……大事な……話……が…………あるの……お医者……さん……二人……だけに……」
「わかりました」
担当医が部屋から出ていくと妻は弱弱しく語りだした。
「私……貴方……を……ずっと……騙して……いた……私……貴方……の……愛する……アイドル……セイラ……ユズキ……じゃ……ない……私……は……双子……の……妹……影武者……なの……」
「知っていたよ。幼いころから好きな子の見分けがつかないわけがないじゃないか」
「じゃあ……なんで……私……と……結婚……して……くれ……たの?」
「僕は最初から知っていたよ。君が僕の家のお金目当てで養子として引き取られ、セイラユズキの大ファンで常々彼女結婚したい僕と結婚させるための幼いうちに死んでしまった本人の影武者として、アイドル活動を続けてきたことを」
僕は妻の弱弱しい手を握った。
「なんで……私……なんか……を……選んで……私は……貴方……だま……して――」
「僕はその話を親から聞いて縁談を断ろうかと思った。でも本物の君を見る機会があって考えを改めた。君は綺麗だった僕が大好きなセイラユズキと同じくらい僕は一目見て君に恋をした。セイラユズキを始めてテレビでみたと同じく、君が偽物でもいい僕は君が好きだから君を選んだんだ」
「じゃあ……私……ます……ます……綺麗な……ままで……この世……を……去るわ……私……は……命……より……せめて……騙して……いた……貴方……愛す……る……アイドル……として……美し……く……いたく……て……でも……知って……いた……なら……天国……で……貴方……が……自慢……妻……だと……自慢……できる……くらい……天国……で…………アイドル……として……輝き……続ける……天国……の……ライブ……必ず……来てね……私は……偽物……だった……けど……貴方……という……本物……愛……と……出会……えた……あり……がとう……世界……で……一番……大……好き……な……旦那……様――」
「ユズキ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
零れ落ちる涙。
妻の手から力が完全に抜けた。
◇
とあるテレビ局のスタジオにて。
「今回は昭画の伝説の人気アイドルセイラユズキ没後三十年としてその夫セイラヒカル氏に来てもらいました」
「よろしくお願いします」
「早速ですが貴方にとって妻であり一大ファンを公言されている貴方にとって、アイドルセイラユズキさんとはどのような存在でしょうか?」
「彼女たち――いや彼女は今だ色あせないアイドルとして妻として女性として僕が知る最高の女性です」
「なるほど確かに末期の癌に侵されてもアイドルとしての美しさのために抗がん剤治療を拒否したアイドルとしての高潔さは伝説に――」
そうかもう三十年か僕ももうすぐお迎えが近い――
妻が死んで以来わずかに大きくなり続けた死の気配はとても大きくなっている――
きっと彼女天国で――
僕は死んだあと天国の彼女のライブに行くんだ――
自分の目で最高の妻でアイドルの彼女を見ればいい――
もうすぐなんだから――
「でわ最後に天国のセイラユズキさんに伝えたいことはありますか?」
「はい、ユズキ。約束通り天国のライフ楽しみにしているよ。僕の最高のアイドルセイラユズキ」
すると聞き覚えのある曲がスタジオに流れ出した。
「この曲確かセイラユズキのそんな予定台本にあったかしら?」
次に照明がおちスタジオ中央にスポットライトが当たる。
さらに次に天から光の羽が舞い落ちると一人の羽の生えた女性が光に包まれ現れた。
この姿はまさか――
「ユズキ……」
「貴方久しぶり少し予定が早まっちゃた」
「そんな! なんで?」
僕の目から涙が零れ落ちる。
「実は私天国でのアイドル活動で認められて天使になったの。そして最近異世界の優しい魔物さんと天界が同盟を結んだことで優しい魔物さんの力で私は再び現世の体をえた。貴方待たせてごめんね。天国のライブ以上のライブにするわ! ファンのみんな久しぶり! 私のこと覚えてる? 覚えている人忘れていた人しらない人みんなで聞いてね! 現世初公開の新曲も含めて今日の天界直送のスタジオゲリラスペシャルライブ楽しんでいって! じゃあ最初に私の大好きな曲から愛する旦那様にささげます。曲名は『愛ラブダーリン』」
彼女のアイドル伝説が再び始まり、生前は作れなかった子に囲まれた幸せな未来に続くロードであるとその時の僕は知る由もなかった。
25/03/04 10:12更新 / 師失人