蜜河国物語
ジパングのある地方、蜜河の国は妖怪の多く棲まう地として知られている。 国の中心にはこの地方最大の稲荷宮があり、九つの尾を持つ白銀の髪を持つ稲荷『白瑠璃』が、その神通力を以てこの地に豊穣をもたらしている。 その為かこの国の人々は妖怪に対して他のジパングの国にも増して友好的であり、この地を治める国主『豊河氏』も白瑠璃を初めとする稲荷の一族を祭司として保護し、町で人と共に住むその他の妖怪達を庇護すべき領民として遇してきた。 また稲荷の一族以外にも古くから妖怪が多く、北の山地に棲むカラステングや雪女の一族、山地から無数に流れる河川に住まう河童達、南の海の妖怪達との交易は、この国を大いに栄えさせてきたのである。 だが魔王が代替わりは決して小さくない波として、この国にも押し寄せて来ようとしていた。 そんな中施行された法令が、この国の有り様を示している。 一つ、妖怪も領民とす。 一つ、みだりに妖怪化するべからず。 一つ、多妻を認む。但し、一人は人間である事。 一つ、人間同士で3人以上子をなした場合、妖怪化を認む。 一つ、上記に反した場合、労役または税務等の罰則を行う。 人と妖怪が、魔界化しないまま共に生きることを選んだ国 これは、そんな蜜河の国に生きる人々と妖怪達の物語。 __________________________ おしながき 〜序〜 稲荷姫と若殿様 登場魔物娘:稲荷 〜壱〜 蜜河の河渡し 登場魔物娘:河童 |
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