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第五話 後編 三階も迷路になっていて、勿論右手の法則で行く。 暫く歩くと、敵の反応があったからバレてるとは思うが、ライトを消して剣を抜いき、神器を盾の状態で展開した。 予想通り魔物が出てきて、今度は斧で武装した耳のある女性が二人出てきた。 「男だ!」 「犯せ犯せ!」 振りかぶって襲ってきたのが見えたが、ここは狭い通路、一人でしか攻撃できないから落ち着いて斧を盾で斧の軌道を逸らしながら柄頭で腹部を思い切り殴った。 「ぶふぅ!?」 鎧が見えたから思い切り殴ったけど、襲ってきたのはそっちだし正当防衛だ、正当防衛。でもこれで一人は気絶したな。 「よくもやったな!」 もう一人が両手で斧を持って横から思い切り振ってきた。 1歩下がって斧を壁にぶつけてから剣で魔物の手を狙って振るった。 肉の柔らかい感触と骨の感触がしたけど、肉が硬すぎるのか断ち切ることができなかった…斬れなくて良かったと思っているのは内緒だぞ。 「〜!」 痛くて手を離したんだろう、涙目を浮かべている魔物を蹴り飛ばしてその場を走り抜けた。 「━━━━て!」 後ろから何か聞こえたけど無視無視。 …というかこっち行き止まりだったらどうしよう…。 実際2、3回行き止まりにぶつかったけど追いつかれなかったみたいだ。 なんとか階段まで来て、そのまま階を上がる。 だが、階段の途中で白骨化した遺体を見つけた。 一瞬見たときは驚いたけど…ただそれだけだった。 せめて安らかに眠れるようお経の一説を唱える。 南無阿弥陀部… 俺ができるのはここまでだ、ここで止まるわけには行かない。 一応腕を交差させて寝ているような体勢をとらせたけど…。 四階に上がって、一旦休みを取る。 護符と糸で簡単な結界を張ってご飯を食べる。 ここまで来るのに結構な時間がかかったな…大体3時間くらいかな? 携帯食料のまっずい物を嚥下し、水を少しだけ飲む。 さて…すぐそこでこっちを見ている魔物と戦うか…。 結界を解かずに中から弓矢で攻撃を放つ。 「『ショック・アロー』!」 一射したけど壁を盾に逃げられた、でもその隙に結界を解いて護符と糸を回収する。 そして、丁度よく俺が準備を終えたとき、ドロドロした体を持つ水色の体色をした魔物と子供みたいな魔物、それに骨の体を持つ魔物…って種類多すぎ! 多分スケルトンとスライム…かな?俺の知識を総動員すると…というかスライムってけっこう弱かったような気がするけどこいつは多分物理攻撃効かないだろうな…。 「おとこだ〜」 「おそっちゃえー!」 「…」 上からスライム、子供、スケルトンだ。やっぱり骨だから喋らないのか? 子供の魔物が手に持った棍棒を振りかざして飛び掛ってきた。 下がって避けると今度は突いてきたから剣で弾いて盾の石突で突く。 「にゃうっ」 壁の近くまで吹き飛ばされた魔物の次に出てきたのはスケルトンだった。 関節の覗く手でハッチャメチャに振るう。 後ろに下がって剣を振るけどどうにも当たらない。 今すぐにでもスライムと戦わないといけないのに…ダァッ!もう! 盾を構えながらスケルトンにぶつかる。意外とあっさり崩れ去ってしまった。 でも確かこいつ再生するんじゃ…。 とっととスライムを倒してここから逃げないと… 「うわっ!?」 スケルトンを倒すと、目の前に青い液体が広がっていた。 咄嗟に避けようと思ったが、間に合わない。 そのまま押し倒され、液体であるスライムに跨られた。 そして聞こえてくる何かが溶けるようなジュッという音…こいつ鎧溶かしてるな!? 「せいえきちょうだ〜い♪」 股辺りが濡れてきた、ヤバイ! えっとえっと…こういう時は… 「『サンダー』!」 適当に魔力を込めてブッパギャァァァァァァァ!? 「にょわぁぁぁぁぁぁ!?」 ス、スライムは離れたけど…痺れちまった…。 そのままよろよろしたままその場を離れる。一応『ライト』は使っておく。 ちょっと進んでから回復薬を飲む。すると除々に体の痺れが取れ、疲労したからだが回復し始めた。 深呼吸をして気持ちを落ち着かせて歩く。 さて…後どれくらいかな…。 その後何階くらい階段を上ったのかは分からないけど、広間みたいなところに出た。 戦ってきた魔物の数は20を越えたくらいから数えるのを止めた。 ここで本当だったら一眠りしたいけど、なんか階下から足音が聞こえてくるから休んでる暇は少ししかないだろうな。 ケプッっと携帯食料を食べて水を飲んで上に上がる。 そこからは光が降り注いでいた。 目を押さえ、一歩一歩上る。 そして、頂上に出た。 そこには古代ヨーロッパにある円柱みたいなものが何本かと首に巨大な鎖つきの首輪をした金色のドラゴンが眠っていた。 その大きさに圧倒されながらも俺は意を決して、話しかけた。 「もし…そこの『ドラゴン』殿」 「…なんだ、矮小な人間よ」 …あれ?なんか今までの魔物となんか違う…。 なんというか…威圧感というか…まるで… 「ここまで来られたことは褒めてやろう。だが、それが貴様の限界だ」 ゆっくりと、ドラゴンが上体を起こした。 「っ!?」 ゾワリと全身の毛が逆立った。 冷や汗が止まらない、振るえが止まらない、何だこの感じは…まるで… 「貴様はここで果てる。我の血肉となるがいい」 これは…殺意、それも俺という存在を消してしまおうとするほど、あまりに…あまりに巨大な殺意だ! 「下位の者共は新たな魔王の影響を受けているようだが、我は違う。この鎖は我をここに縛ると同時に、あらゆる魔法を無効化する」 俺はその場に縛り付けられたように動かなくなってしまった、蛇に睨まれた蛙のように…。 「さらばだ、死ね」 そのまま尻尾が俺の方に向けて振り下ろされ… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今日の日記:須藤 康介 『ドラゴン』…あれは人類が戦って勝てるものなのだろうか?私は甚だ疑問だ。 事実私は勝てるかどうか分からない状態にある。 もしかしたら死んでしまうかもしれない。だが、最後まで諦めるつもりはない。 どこまでもあがいて、生き延びてやる。 今日はここで終える事にする。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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