サンタクロースとの約束
サンタクロースは存在する。
そんなことを学校で言ったら思い切り笑われた。
確かに信憑性どころかそもそもみんな子供の頃にもらったプレゼントは親達か
らもらったって言うのをすでに知っている。
俺もそんなことは知っている。
実際、あの時のも夢なんじゃないかってたまに思うんだけどさ…それでも夢に見るくらいインパクトが強かったんだ。
あの時と言うのは俺が10歳のときのクリスマス、当時は今みたくリア充コロコロとか言わなくて純粋にプレゼントが嬉しかった。
だが、その日は高熱を出して寝込んでいたのだ。
おかげで記憶はあんまりないが、それでもはっきり覚えているのが俺が勝手にサンタと呼んでるやつが言った台詞、『16歳になったらクリスマスプレゼントを上げる』と言われたこと。
他のやつに話すと絶対に張り込みしようぜとか言い出すので言ってない。
というかそんなにべらべら喋るキャラじゃないしな。
「四吉(ヨキチ)〜帰ろうぜ」
「ああ」
俺の名前は、秋谷 四吉(アキタニ ヨキチ)、七人兄弟の真ん中だ。
今は学校の放課後、ここ『県立高松高校』の学生である。
家の関係上一番近かったここを選ぶしかなかった。
現在進行形で親二人が元気すぎて兄弟が増えまくっている。
兄弟っつっても上は姉兄姉だし下は弟妹弟だ。
中間ってことでよく着せ替え人形的な玩具にされたのは永久封印確定なトラウマだ。
姉二人は未だにそのことでからかうし…あ、兄ちゃんは優しいので許す。
下の三人の世話も俺がやってたし…これでも家事スキルは高いんだぜ?
長女は天真爛漫な性格からか未だに彼氏すらいないし、兄ちゃんは面倒見が良くて最近何をとは言わないけど卒業したらしいし、三女?魔術に没頭していてそれどころじゃない、というか絶対にリッチになるぞあれ。
すぐ下の弟は最近女の子と一緒にいるのを見かけるな、まぁ中三だからそれより勉強しろよといってるがな。三女は小学校のサッカーチームの某(なにがし)を狙っているらしい。末っ子?小一でそんなのがいたら叫びながら右手で粛清してやる。
俺を帰りに誘ったのは三中 武明(ミナカ タケアキ)生粋のロリコン、もう手遅れ。まぁ仲間内しか知らなかったのが唯一の救い(?)だな、まぁ今はアークインプの小鳥遊 美希(タカナシ ミキ)が彼女だからお互いに安定している。
そして下駄箱で出会ったのが通称『番長』のウシオニ、桜野 緑(サクラノ ミドリ)とその背中にいる小柄でひ弱そうなのがこいつの彼氏の岸波 貴臥(キシナミ キガ)。何でそんな組み合わせかというと、貴臥がへまして封印されていた緑を開放、襲われたときに偶然にも(ほんとに偶然)タケリダケを発見して、数本食べ、逆襲した結果がこれだよ。
いつもこのメンバーに加えてもう一人いるんだが…先に帰ったな。ここ最近あいつ様子が変だったからな〜どうせエロゲーでも買ったんだろう。
「今日はどうする?」
「私アイスが食べたいな〜♪」
「ボクはどこでも」
「ワシも同じく」
「…お前等な…今日何の日か知ってるのか?」
ちなみに上から武明、美希、緑、貴臥で俺だ。…というか俺が楽しみにしてるみたいじゃないか。
まぁその通りなんだろうけどさ!
「今日はクリスマスだぞ?いつもみたいじゃなくて、二人っきりでデートとかしたらどうだ?」
「ああ、そんな季節だったなそういや」
「でもずっと交わってばっかだし…趣向を変えてみるとか?」
おい
「僕等も…どうする?」
「む、ヌシに聞いても無駄じゃろうからな…いっそのことグラウンドで青姦を…」
おい!
「じゃあ俺らで薄い壁一枚で遮ったところで同時に…」
「お前等な…不純すぎるぞ!?」
「いやだって、なぁ?」
「ねぇ?」
「うん?」
「そうじゃのう…うむ、ヌシも童貞を捨てれば分かると思うぞ」
「余計なお世話だ!勝手に4Pでもやってろ!」
「いや流石に彼氏持ちとやるのはな…」
「きついよね〜」
「ワシはコヤツ以外とやる気はないぞ?」
「僕も〜」
「はぁ…もういい。また明日な」
「またな」「お疲れ〜」
「また明日」「ではな」
ふ〜ベッドに潜り込んでのびているこのときが至福…。
「ヨキにぃ、遊びにつれてって」
むぅ…一番下の弟が俺の部屋に入ってきたな?
「ん〜?いいぞ七太(ナナタ)…六美(ムツミ)もつれてくか?」
まぁこのままだらだらしてるのも体に悪いし、行くか。
「うん!」
ということで下の弟と妹を連れて商店街に行った。
商店街はすでにクリスマスムード真っ只中で、カップルの切れ間を探す方が苦労した。なかには「男性1:女性多数」なんて組み合わせもあってアレがハーレムか。なんて兄弟二人で言って妹があきれていた。
「お兄ちゃん達って馬鹿なの?死ぬの?」
「死にゃしないよ。とりまDT捨ててからだな」
「捨てられるの?」
「ま、好きな相手ができたらな…」
「ふ〜ん…ねぇ、お兄ちゃんて好きな人いるの?」
「あ、それ俺も聞きたい」
「ん〜?まぁいるにはいるが…」
っと、クラスメイト発見。
「雪(ユキ)〜」
「!よ、四吉君…!?あわわわわわわ…!?」
「あ、しまった…あ〜落ち着けよ磨岳(マタケ)、急に名前呼んで悪かった」
「う、ううん!そんなことないよ!?」
「ならいいんだが…」
「お兄ちゃんこの人は?」
「ヨキにぃの恋人?」
「こ、こい…!?」
「あ〜違う違う、ただのクラスメイト…じゃないな。幼馴染だ。というか六美はあったことあるだろう?」
「あ〜たしかにそんなこともあったかな?」
「あったんだよ、現実に」
俺達が会ったのは磨岳 雪(マタケ ユキ)、今の流れからわかる通り極度の人見知りで俺の幼馴染だ。
まぁそこが可愛いとかで学校では割と有名だけどな。
ついでに言うと、魔物であり種族は『ナイトメア』っつう結構強めな魔物らしい。
魔法が使えるとかで昔は結構見せてとせがんだりしてたな…懐かしい…。
そうそう、コイツは髪を腰まで下ろして、更に雪のように髪が白い。
昔はよくそれで綺麗だな〜とか無関心に言ってたけど。その直後に真っ赤になってたのは何故だ?
「えっと、あ、秋谷君は買い物?」
「いや、この二人のお守り。妹の六美と弟の七太だ」
「はじめまして」
「よろしくおねがいします」
「こちらこそよろしくね」
「どうだ?四人でどっか飲まないか?奢るぞ?」
「えぇ?悪いよ…」
「気にすんなって。俺とお前の仲だろ?」
「う、うん/////」
?何顔赤くしてるんだ?
「…唐変木…」
「なんか言ったか六美」
「な〜んにも」
「ふ〜ん…で、どうだ?」
「…今日はいい」
「そっか、お前もデートだったか?」
「!違う!」
うおっ!?
「そんな怒鳴ることないじゃないか…」
いつも引っ込み思案なお前がどうして…?
あ、そっか。魔物にとっては大事な日だからか…。
…というかこいつが付き合ってるとかそういうの聞かないな?
「あう…ごめんなさい」
「いいさ、俺も無神経すぎた。じゃあな」
「あっ…」
ん?一瞬こっちに手を向けた気がするが…まいっか。明日聞こう。
「俺と母さんは今から子供を作るから邪魔するなよ!?」
「へいへいとっとと自室で交わってろエロ親父」
今は夜の11時、俺より下の弟達と妹は寝ていて、上三人は外だ。
まぁ人が少なくなるのは好都合だな。
ちなみに家は二階構造になっていて、上の階が俺達、兄姉部屋、下が両親と弟妹部屋になっている。増改築を繰り返しているからか、結構アンバランスだが、逆にそれが周囲の人達をわかせている。ちょっと気分いい。
というわけで、現在二階にいるのは俺だけだ。前にサンタが来たときも二階にいたし、サンタの方が忘れてなけりゃ今日来るだろう。
そんな風に楽しみにしながら俺はベッドの中に潜り込んだ。
この時期布団一枚は冷えるな…。
そういえば雪のことだが…あ、天気の方じゃなくてナイトメアの方な、あれの家がお向かいなんだよ。
昔はよくあいつがあっちから魔法で俺を家に呼んだりしてたんだけどさ、あれ楽しかったな…中1の時に(何故か頬を赤らめながら)『重くなったから無理』なんていわれたときはショックだったけど、今となっては普通に考えて女の部屋に男が行くもんじゃねぇなと気付いた。
まったく鈍いにもほどがあるよな…自分自身でもそう思うんだよ。
そのせいで中三の時に『付き合ってください』って言われて『買い物か?』って返したときは思いっきりぶん殴られたからな…グーで。
あれは痛かった。今となってはいい思い出でしかないが…いや苦い思い出だろ。
あ〜あ…ダンダン眠くなってきた…。
いっそのこと…もう…ね…る…
「…?」
いかん寝ていた。
俺が起きたのは急に部屋の気温が下がったからだ。
今日は外に雪が降っているホワイトクリスマス。だが、貧乏性な俺は基本的に暖房はつけずに窓だけしっかり閉めておく主義だ。
そんなときに急に気温が下がったりしたら変だろ?普通は徐々に下がっていくものだ。ということは考えられることは一つだけだ。
窓が開いている。つまり誰かが…サンタが来たんだと俺は確信した。
俺は起きたことをサンタに気取られないように寝返りを打つように窓とは反対側の壁を向いた。
ミシッ…ミシッ…。
足音が聞こえる、近づいているみたいだ。だが何故だろうか?人の気配がしない…。
ミシ…ピタッ。
ベッドのすぐ横で足音がやんでへんな視線を感じる。多分俺の事を見ているんだろう。
くっくっく…サンタよ、約束は果たさせてもらうぞ!
「セッ!」
「!」
ガバッと布団をサンタ(?)に被せながら俺は起き上がり、サンタ(?)に組み付いた。
ん?微妙に大きくないか?しかも体が後ろに伸びて…
「ムグー!」
くぐもった叫び声を聞きながら、俺は慎重にサンタの正体を見極めようとした…。したんだよ。
ああもうめんどくせぇ!
「お前誰だ…よ…」
布団をひっぺ返し、その正体を見た俺は最初どういうわけか分からなかった。
そりゃそうだろう?目の前に現れたのは雪なんだから…。
「事情を説明してもらえるか?」
「…うん」
俺はベッドに腰掛けながら目の前に座っている雪に尋ねた。
「その…クリスマスの約束覚えてる?」
「?お前と約束したっけ?」
「あ、ううん。そうじゃなくて…ほら昔風邪をひいた時さ…」
「は?何でお前がその約束を…あ」
俺でも流石に合点がいったぞ。ただ単にこいつが俺の望んでいた『サンタ』だったってだけだ。
「あ〜でもお前あの時まだ小さかったろ?」
そう、俺の記憶にあるのはもっと大きかったんだ、図体が。
「えっと…お母さんもその時来てたから…」
「…ああ、そっか…」
つまり、俺と約束を交わしたのがこいつで、俺はその後にやってきたこいつの母親をサンタと見間違えたってことか…。
「なんだ…俺の見間違えか…」
「…それでね、約束…」
「っつても俺はその時朦朧としてたからな…なんだっけ?」
あ
「…はぁ昔から思ってたけどさ…そういうのってないと思うよ?」
「あはははは…」
「もう…フフ…」
「にしてもこうやって二人きりで話すのも久しぶりだな」
「そうだね。ねぇ、私ね好きな人がいるの」
?何だ突然。
「ほほう、お前にも好きなやつができたか」
まぁ引っ込み思案だったこいつに好かれるやつなんてよっぽどいいやつなんだろうな。
「うん、ずっと好きだったんだけど言えなかったんだ」
「へぇ」
だがなんだ?この胸のモヤモヤ感は…無性に腹が立ってきた。
「お前にも好きなやつがいたとはな、驚きだ」
ああ、なんか自分の言動にも腹が立ってきた。なんでこいつと他の男との恋に腹を立てにゃならんのだ?
「そう?その彼ね、兄弟が多くて大変そうだったから、私が取ったら苦労するんじゃないかなって思っちゃって中々言い出せなかったんだ」
「ふ〜ん…別に話さなくて良いぞ」
「でも四吉にも関係あることだからさ」
「俺にも?そんな見ず知らずな男…」
「だって
私が好きなの貴方だから」
「…は?」
俺はその言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
目の前にいるのは俺の幼馴染、魔物で相当な美人だ。胸も大きい、髪は白くてサラサラだ。
OK、問題ない、頭が回復した。
「えっと…すき焼き?」
「違う!LikeじゃなくてLOVEの方の好き!I love you!」
「お、おう…えっと…不束者ですがよろしくお願いします?」
「う、うん。こっちこそよろしくね?」
「…」
「…」
「「あの…」」
なんだよこのやり取り…なんかむず痒くて…暖かいな。
「なぁ…」
「…なに?」
「俺はまだ返事してないわけだけど…」
「!そう…よね…ごめんね!?へんなこと言って…」
「ま、別にさ」
「ちょっと…」
雪が抗議の声を上げたが俺は近寄りながらその体を抱き寄せ、
「俺もお前のこと好きだし」
その唇を吸い込んだ。
「!ん…」
「…ぷはっ」
なれないことやるもんじゃ…ん?
「どうした?」
急に赤くなって黙り込んだな…でも恥ずかしがるなら今更過ぎないか?
「えっとね…今まで押してきたから押されると自制が…」
「え?」
ちょっ!?
「のわっ!?」
急にベッドに押し倒すな!
「ごめん、でももう我慢できない♥」
「アイエェェェェッ!?」
…その後、10回ほど連続して(性的な意味で)襲われ、俺はいつの間にか気絶していた。
………………
「四吉〜?早くして〜」
「ああ、今すぐいく」
おっと、靴に足入れ損ねた。ヤバイヤバイ。
「ほら早く!」
「分かってるって!」
「気をつけてね」
「「は〜い」」
あれから数日経った。
俺と雪はお互いの家族公認の恋人となり(その時上二人の姉の目線が何故か怖かったが…)、今日は初デートの日だ。
まぁ冬休み中だし時間はかなりあるんだけどな…。
「ねぇ?」
「うん?どうした?」
「…ううん!なんでもない♪」
「そっか。なんかむず痒いな」
「そう?私は楽しいよ」
「そりゃよかった。お前の笑顔が俺の糧だ」
なんてな、ちょっとかっこつけてみたり。
「えへへへへ〜♪」
まったく…昔のサンタの思い出が、こいつとの思い出だったとはな…まぁ、これもクリスマスプレゼントなんだろうな…。
Merry X'mas!
そんなことを学校で言ったら思い切り笑われた。
確かに信憑性どころかそもそもみんな子供の頃にもらったプレゼントは親達か
らもらったって言うのをすでに知っている。
俺もそんなことは知っている。
実際、あの時のも夢なんじゃないかってたまに思うんだけどさ…それでも夢に見るくらいインパクトが強かったんだ。
あの時と言うのは俺が10歳のときのクリスマス、当時は今みたくリア充コロコロとか言わなくて純粋にプレゼントが嬉しかった。
だが、その日は高熱を出して寝込んでいたのだ。
おかげで記憶はあんまりないが、それでもはっきり覚えているのが俺が勝手にサンタと呼んでるやつが言った台詞、『16歳になったらクリスマスプレゼントを上げる』と言われたこと。
他のやつに話すと絶対に張り込みしようぜとか言い出すので言ってない。
というかそんなにべらべら喋るキャラじゃないしな。
「四吉(ヨキチ)〜帰ろうぜ」
「ああ」
俺の名前は、秋谷 四吉(アキタニ ヨキチ)、七人兄弟の真ん中だ。
今は学校の放課後、ここ『県立高松高校』の学生である。
家の関係上一番近かったここを選ぶしかなかった。
現在進行形で親二人が元気すぎて兄弟が増えまくっている。
兄弟っつっても上は姉兄姉だし下は弟妹弟だ。
中間ってことでよく着せ替え人形的な玩具にされたのは永久封印確定なトラウマだ。
姉二人は未だにそのことでからかうし…あ、兄ちゃんは優しいので許す。
下の三人の世話も俺がやってたし…これでも家事スキルは高いんだぜ?
長女は天真爛漫な性格からか未だに彼氏すらいないし、兄ちゃんは面倒見が良くて最近何をとは言わないけど卒業したらしいし、三女?魔術に没頭していてそれどころじゃない、というか絶対にリッチになるぞあれ。
すぐ下の弟は最近女の子と一緒にいるのを見かけるな、まぁ中三だからそれより勉強しろよといってるがな。三女は小学校のサッカーチームの某(なにがし)を狙っているらしい。末っ子?小一でそんなのがいたら叫びながら右手で粛清してやる。
俺を帰りに誘ったのは三中 武明(ミナカ タケアキ)生粋のロリコン、もう手遅れ。まぁ仲間内しか知らなかったのが唯一の救い(?)だな、まぁ今はアークインプの小鳥遊 美希(タカナシ ミキ)が彼女だからお互いに安定している。
そして下駄箱で出会ったのが通称『番長』のウシオニ、桜野 緑(サクラノ ミドリ)とその背中にいる小柄でひ弱そうなのがこいつの彼氏の岸波 貴臥(キシナミ キガ)。何でそんな組み合わせかというと、貴臥がへまして封印されていた緑を開放、襲われたときに偶然にも(ほんとに偶然)タケリダケを発見して、数本食べ、逆襲した結果がこれだよ。
いつもこのメンバーに加えてもう一人いるんだが…先に帰ったな。ここ最近あいつ様子が変だったからな〜どうせエロゲーでも買ったんだろう。
「今日はどうする?」
「私アイスが食べたいな〜♪」
「ボクはどこでも」
「ワシも同じく」
「…お前等な…今日何の日か知ってるのか?」
ちなみに上から武明、美希、緑、貴臥で俺だ。…というか俺が楽しみにしてるみたいじゃないか。
まぁその通りなんだろうけどさ!
「今日はクリスマスだぞ?いつもみたいじゃなくて、二人っきりでデートとかしたらどうだ?」
「ああ、そんな季節だったなそういや」
「でもずっと交わってばっかだし…趣向を変えてみるとか?」
おい
「僕等も…どうする?」
「む、ヌシに聞いても無駄じゃろうからな…いっそのことグラウンドで青姦を…」
おい!
「じゃあ俺らで薄い壁一枚で遮ったところで同時に…」
「お前等な…不純すぎるぞ!?」
「いやだって、なぁ?」
「ねぇ?」
「うん?」
「そうじゃのう…うむ、ヌシも童貞を捨てれば分かると思うぞ」
「余計なお世話だ!勝手に4Pでもやってろ!」
「いや流石に彼氏持ちとやるのはな…」
「きついよね〜」
「ワシはコヤツ以外とやる気はないぞ?」
「僕も〜」
「はぁ…もういい。また明日な」
「またな」「お疲れ〜」
「また明日」「ではな」
ふ〜ベッドに潜り込んでのびているこのときが至福…。
「ヨキにぃ、遊びにつれてって」
むぅ…一番下の弟が俺の部屋に入ってきたな?
「ん〜?いいぞ七太(ナナタ)…六美(ムツミ)もつれてくか?」
まぁこのままだらだらしてるのも体に悪いし、行くか。
「うん!」
ということで下の弟と妹を連れて商店街に行った。
商店街はすでにクリスマスムード真っ只中で、カップルの切れ間を探す方が苦労した。なかには「男性1:女性多数」なんて組み合わせもあってアレがハーレムか。なんて兄弟二人で言って妹があきれていた。
「お兄ちゃん達って馬鹿なの?死ぬの?」
「死にゃしないよ。とりまDT捨ててからだな」
「捨てられるの?」
「ま、好きな相手ができたらな…」
「ふ〜ん…ねぇ、お兄ちゃんて好きな人いるの?」
「あ、それ俺も聞きたい」
「ん〜?まぁいるにはいるが…」
っと、クラスメイト発見。
「雪(ユキ)〜」
「!よ、四吉君…!?あわわわわわわ…!?」
「あ、しまった…あ〜落ち着けよ磨岳(マタケ)、急に名前呼んで悪かった」
「う、ううん!そんなことないよ!?」
「ならいいんだが…」
「お兄ちゃんこの人は?」
「ヨキにぃの恋人?」
「こ、こい…!?」
「あ〜違う違う、ただのクラスメイト…じゃないな。幼馴染だ。というか六美はあったことあるだろう?」
「あ〜たしかにそんなこともあったかな?」
「あったんだよ、現実に」
俺達が会ったのは磨岳 雪(マタケ ユキ)、今の流れからわかる通り極度の人見知りで俺の幼馴染だ。
まぁそこが可愛いとかで学校では割と有名だけどな。
ついでに言うと、魔物であり種族は『ナイトメア』っつう結構強めな魔物らしい。
魔法が使えるとかで昔は結構見せてとせがんだりしてたな…懐かしい…。
そうそう、コイツは髪を腰まで下ろして、更に雪のように髪が白い。
昔はよくそれで綺麗だな〜とか無関心に言ってたけど。その直後に真っ赤になってたのは何故だ?
「えっと、あ、秋谷君は買い物?」
「いや、この二人のお守り。妹の六美と弟の七太だ」
「はじめまして」
「よろしくおねがいします」
「こちらこそよろしくね」
「どうだ?四人でどっか飲まないか?奢るぞ?」
「えぇ?悪いよ…」
「気にすんなって。俺とお前の仲だろ?」
「う、うん/////」
?何顔赤くしてるんだ?
「…唐変木…」
「なんか言ったか六美」
「な〜んにも」
「ふ〜ん…で、どうだ?」
「…今日はいい」
「そっか、お前もデートだったか?」
「!違う!」
うおっ!?
「そんな怒鳴ることないじゃないか…」
いつも引っ込み思案なお前がどうして…?
あ、そっか。魔物にとっては大事な日だからか…。
…というかこいつが付き合ってるとかそういうの聞かないな?
「あう…ごめんなさい」
「いいさ、俺も無神経すぎた。じゃあな」
「あっ…」
ん?一瞬こっちに手を向けた気がするが…まいっか。明日聞こう。
「俺と母さんは今から子供を作るから邪魔するなよ!?」
「へいへいとっとと自室で交わってろエロ親父」
今は夜の11時、俺より下の弟達と妹は寝ていて、上三人は外だ。
まぁ人が少なくなるのは好都合だな。
ちなみに家は二階構造になっていて、上の階が俺達、兄姉部屋、下が両親と弟妹部屋になっている。増改築を繰り返しているからか、結構アンバランスだが、逆にそれが周囲の人達をわかせている。ちょっと気分いい。
というわけで、現在二階にいるのは俺だけだ。前にサンタが来たときも二階にいたし、サンタの方が忘れてなけりゃ今日来るだろう。
そんな風に楽しみにしながら俺はベッドの中に潜り込んだ。
この時期布団一枚は冷えるな…。
そういえば雪のことだが…あ、天気の方じゃなくてナイトメアの方な、あれの家がお向かいなんだよ。
昔はよくあいつがあっちから魔法で俺を家に呼んだりしてたんだけどさ、あれ楽しかったな…中1の時に(何故か頬を赤らめながら)『重くなったから無理』なんていわれたときはショックだったけど、今となっては普通に考えて女の部屋に男が行くもんじゃねぇなと気付いた。
まったく鈍いにもほどがあるよな…自分自身でもそう思うんだよ。
そのせいで中三の時に『付き合ってください』って言われて『買い物か?』って返したときは思いっきりぶん殴られたからな…グーで。
あれは痛かった。今となってはいい思い出でしかないが…いや苦い思い出だろ。
あ〜あ…ダンダン眠くなってきた…。
いっそのこと…もう…ね…る…
「…?」
いかん寝ていた。
俺が起きたのは急に部屋の気温が下がったからだ。
今日は外に雪が降っているホワイトクリスマス。だが、貧乏性な俺は基本的に暖房はつけずに窓だけしっかり閉めておく主義だ。
そんなときに急に気温が下がったりしたら変だろ?普通は徐々に下がっていくものだ。ということは考えられることは一つだけだ。
窓が開いている。つまり誰かが…サンタが来たんだと俺は確信した。
俺は起きたことをサンタに気取られないように寝返りを打つように窓とは反対側の壁を向いた。
ミシッ…ミシッ…。
足音が聞こえる、近づいているみたいだ。だが何故だろうか?人の気配がしない…。
ミシ…ピタッ。
ベッドのすぐ横で足音がやんでへんな視線を感じる。多分俺の事を見ているんだろう。
くっくっく…サンタよ、約束は果たさせてもらうぞ!
「セッ!」
「!」
ガバッと布団をサンタ(?)に被せながら俺は起き上がり、サンタ(?)に組み付いた。
ん?微妙に大きくないか?しかも体が後ろに伸びて…
「ムグー!」
くぐもった叫び声を聞きながら、俺は慎重にサンタの正体を見極めようとした…。したんだよ。
ああもうめんどくせぇ!
「お前誰だ…よ…」
布団をひっぺ返し、その正体を見た俺は最初どういうわけか分からなかった。
そりゃそうだろう?目の前に現れたのは雪なんだから…。
「事情を説明してもらえるか?」
「…うん」
俺はベッドに腰掛けながら目の前に座っている雪に尋ねた。
「その…クリスマスの約束覚えてる?」
「?お前と約束したっけ?」
「あ、ううん。そうじゃなくて…ほら昔風邪をひいた時さ…」
「は?何でお前がその約束を…あ」
俺でも流石に合点がいったぞ。ただ単にこいつが俺の望んでいた『サンタ』だったってだけだ。
「あ〜でもお前あの時まだ小さかったろ?」
そう、俺の記憶にあるのはもっと大きかったんだ、図体が。
「えっと…お母さんもその時来てたから…」
「…ああ、そっか…」
つまり、俺と約束を交わしたのがこいつで、俺はその後にやってきたこいつの母親をサンタと見間違えたってことか…。
「なんだ…俺の見間違えか…」
「…それでね、約束…」
「っつても俺はその時朦朧としてたからな…なんだっけ?」
あ
「…はぁ昔から思ってたけどさ…そういうのってないと思うよ?」
「あはははは…」
「もう…フフ…」
「にしてもこうやって二人きりで話すのも久しぶりだな」
「そうだね。ねぇ、私ね好きな人がいるの」
?何だ突然。
「ほほう、お前にも好きなやつができたか」
まぁ引っ込み思案だったこいつに好かれるやつなんてよっぽどいいやつなんだろうな。
「うん、ずっと好きだったんだけど言えなかったんだ」
「へぇ」
だがなんだ?この胸のモヤモヤ感は…無性に腹が立ってきた。
「お前にも好きなやつがいたとはな、驚きだ」
ああ、なんか自分の言動にも腹が立ってきた。なんでこいつと他の男との恋に腹を立てにゃならんのだ?
「そう?その彼ね、兄弟が多くて大変そうだったから、私が取ったら苦労するんじゃないかなって思っちゃって中々言い出せなかったんだ」
「ふ〜ん…別に話さなくて良いぞ」
「でも四吉にも関係あることだからさ」
「俺にも?そんな見ず知らずな男…」
「だって
私が好きなの貴方だから」
「…は?」
俺はその言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
目の前にいるのは俺の幼馴染、魔物で相当な美人だ。胸も大きい、髪は白くてサラサラだ。
OK、問題ない、頭が回復した。
「えっと…すき焼き?」
「違う!LikeじゃなくてLOVEの方の好き!I love you!」
「お、おう…えっと…不束者ですがよろしくお願いします?」
「う、うん。こっちこそよろしくね?」
「…」
「…」
「「あの…」」
なんだよこのやり取り…なんかむず痒くて…暖かいな。
「なぁ…」
「…なに?」
「俺はまだ返事してないわけだけど…」
「!そう…よね…ごめんね!?へんなこと言って…」
「ま、別にさ」
「ちょっと…」
雪が抗議の声を上げたが俺は近寄りながらその体を抱き寄せ、
「俺もお前のこと好きだし」
その唇を吸い込んだ。
「!ん…」
「…ぷはっ」
なれないことやるもんじゃ…ん?
「どうした?」
急に赤くなって黙り込んだな…でも恥ずかしがるなら今更過ぎないか?
「えっとね…今まで押してきたから押されると自制が…」
「え?」
ちょっ!?
「のわっ!?」
急にベッドに押し倒すな!
「ごめん、でももう我慢できない♥」
「アイエェェェェッ!?」
…その後、10回ほど連続して(性的な意味で)襲われ、俺はいつの間にか気絶していた。
………………
「四吉〜?早くして〜」
「ああ、今すぐいく」
おっと、靴に足入れ損ねた。ヤバイヤバイ。
「ほら早く!」
「分かってるって!」
「気をつけてね」
「「は〜い」」
あれから数日経った。
俺と雪はお互いの家族公認の恋人となり(その時上二人の姉の目線が何故か怖かったが…)、今日は初デートの日だ。
まぁ冬休み中だし時間はかなりあるんだけどな…。
「ねぇ?」
「うん?どうした?」
「…ううん!なんでもない♪」
「そっか。なんかむず痒いな」
「そう?私は楽しいよ」
「そりゃよかった。お前の笑顔が俺の糧だ」
なんてな、ちょっとかっこつけてみたり。
「えへへへへ〜♪」
まったく…昔のサンタの思い出が、こいつとの思い出だったとはな…まぁ、これもクリスマスプレゼントなんだろうな…。
Merry X'mas!
13/12/23 06:59更新 / kieto