後半 −新月−
アウラが帰って数日たった、ある日の朝だった。
「ぁ、私、今日はちょっと用事で一日中町に出ないといけないから夕飯つくれないんだ・・・・」
仕事に行く前、アウラが作ってくれた朝食を食べていると突然アウラはそういった。
この何日か、村のみんなにばれないように彼女は本当に一歩も家の外に出なかった。どこか監禁してる雰囲気がでてて、ちょっと頭を悩ませていたのだが、彼女は嘘を信じさせるにはこのくらいのことはしなきゃ、と実に楽しそうにいったので好きにさせておいた。そういっていたのに突然出かけるとはどうしたのだろうか?
「ん?どこかいくの?」
「そろそろ村のみんなにばらしてもいいかなー?って思って。だから今日はその下準備」
「ふぅん?そっか、わかったよ。今日はテキトーに食べておく」
「うん、おねがいね」
アウラの不安そうな顔に僕は笑っていったが、その内心安心していた。
実をいうと村のみんなにずっと嘘をつきとおすと言うのは、かなり辛かったのだ。ようやくその負い目がなくなるな、とうれしくなってしまっていた。僕はその気分のまま、いつ食べてもうまい目玉焼きやトーストをひょいひょいっと食べると、すぐに席を立った。
「じゃぁ、もう仕事行くね?」
「うん、いってらっしゃい。今日はごめんね」
すまなそうに玄関で見送ってくれたアウラに苦笑しながら、もう慣れてしまった軽く肩を落としで背を丸めた姿勢になって僕はいつもの畑へと向かった。
昼休みにだらだらと空を見ながら田んぼの脇の草むらで寝ていると、ニアがよってきて僕の隣に座った。
「どうした?今日はいつもより元気じゃないか?いい事でもあったのか?」
「んー、まぁ、そうかな」
いい事といえばいいことだ。親友のニアたちに明日でもう嘘をつかなくていいし、明日皆の驚く顔が見れるのだから。そう期待を膨らませてふふんと鼻で笑っていると、ニアが本当にうれしそうな顔をしていった。
「ほんと、よかったよ。お前が立ち直って、そんなすかした笑いするようにもどって。アウラが死んでからのお前、まじで後追い自殺しそうな感じだったもんな。昔のゾンビとかのアンデッドみたいなかんじだったぜ?」
まぁ、いまのゾンビたちは、ある意味そこらの人間よりもせいきがみなぎってるけどな。生気でも精気でも、と若干下品なことを言いながらニアは笑った。
確かにそんな感じだったかもしれない。事故にあう前のアウラはもっと淡白な感じだったし、その姿がよっぽどひどかったのであんな甘えん坊になってしまったのかもしれないな。と僕が思っていると、ニアが半眼になって僕を見下ろしていた。
「な、なんだよ・・・?」
「いやぁ?すいぶんとにやけた顔してたもんだから?どうやらうれしいことって言うのは女みたいだねぇ。ぁー、いやだいやだ。血は争えないのかねぇ」
「い、いま親父は関係ないだろ」
領主として屋敷に何人もの魔物娘と侍らしているあのエロ親父のことを思い出して、げんなりとした。さっきまでアウラのことで頭がバラ色だったとすれば、いまは灰色だ。そのまま脳全体に行き渡って推理の腕でも上げてくれ。
「ま、領主様はいいとして。あんな憔悴してたのに、この二週間かそこらでよくそこまで持ち直したよなぁ。相手は、よっぽど上手いサキュバスとかなんかかねぇ?」
にやにやと、それでいてどこか寂しそうにニアは言った。多分弟分か手下が自立していくのが寂しいんだろうなぁ、と思ったが、俺はその笑いにハッとひねた笑いをした。
「まさか、僕はアウラ一筋だよ」
「・・・へぇ?じゃぁなんだい?死体でも掘り返してきて一人で死体と人形遊びかい?」
ずいぶんと悪趣味なことをニアは皮肉げに言ってきた。そのあまりの悪趣味さに僕は、たまらずガバッとおきあがり言い返してしまう。もしアウラが本当に死んでいて、あのまま帰ってこなかったら同じ事をしてしまったかもしれないから、余計無性に腹が立った。
「ふざけるなよ!僕をみんなでだまそうと思ってアウラが死んだってうそついてんだろっ!?ニアだってそうなんだろっ!?こっちはもう知ってんだよ!アウラ本人が帰ってきて言ってくれてね!」
怒りが突破口となり、みんなにだまされていた、というショックや悲しみがそのまま僕の口から溢れ出す。
それだけ、彼女らを信用していて、本当の家族以上に信頼していたのだ。
それなのに・・・。幾ら悪戯好きといっても言ってはいけないことといっていいことがあるだろう!?という怒りが込み上げた。だが、彼女をみると頭に生えた角さえ微動だにせず、ぽかんと口をあけてほうけていた。その反応に思わず僕はニアの顔の前で手を振ってしまう。
「に、ニア?どうした・・・?」
「お前・・・いまなんてった?」
「ぇ?どうした?って・・・」
「違う!その前だ!アウラが帰ってきただと・・・?」
「そ、そうだよっ!アウラが二週間前の夜中帰ってきたんだっ。この二週間、家事をしてくれたり、ご飯を作ったりもしてくれてるんだっ!あはは、ニアでもそんな顔ができたんだねっ?その顔を見るために僕はこの二週間みんなの嘘に耐えてきたんだよっ」
と、半ばやけになりながら僕が一息にいうと、ガシッとニアのたくましい腕が僕の腕をつかんだ。そして、そのまま必死の形相で僕に訴えかけた。
「おい、クロア!よく聞け!俺たちは嘘なんてついてねぇ!そいつはアウラの皮を被った偽モンだ!アウラは確かに町に出てって脇を走ってた馬車の車軸が折れてその下敷きなった!!村にかえってきたアウラの死体が、ゾンビになっても回復できないほど押しつぶされちまってるのを俺はこの目でちゃんと見た!お前はショックすぎて棺桶の蓋をあけようとはしなくてっ!皆もあんまりにむごかったから!お前に無理に見せようとしなかったせいで、お前は結局一度もみなかったけどな!」
「そ、そんなはずは・・・・だ、だってたしかに・・・元気な姿であの声で、僕の名前を・・・」
ニアは、そういうが確かにアウラは僕に家に帰ってきていた。あれが、にせもの・・・?いや、そんなはずは、と僕の思考が堂々めぐりし始めた時、ニアが僕の片腕を引っ張って両肩をつかみ、僕の身体全体を揺さぶる。
「俺の言うことが信じられないって言うのか!?このニア・アルバーン様の言葉がぁああ!」
ニアは口の端から牙をだして怒鳴った。
確かに、彼女はぼやかして言うことはあっても嘘だけはついてこなかった。僕があのくそ親父に嘘をつかれ、騙され、苦悩していたのを知っていたから。
僕が何もいえなくなっていると、ニアは追い討ちをかけるように言った。
「あとな、クロア。お前もきっとうすうすと気づいていたと思うが・・・アウラは余所に男がいた。あの日、町にいったのもそのためで・・・っ。お前はただ、領主の息子として見られてて・・・いや、ソレ以下のただの財布、タダの宿屋程度にしか考えちゃぁいなかったんだよ!!!」
ポロポロと大粒の涙をその大きなとび色の瞳からこぼしながら、ニアはガクガクと僕を揺さぶり続ける。その勢いはとっくに三半規管がいかれてもおかしくない程なのに、そんなことすら気にならないほど、は僕の頭の中で、次々といろんな記憶がめぐった。
皆が葬式だというのにそこまで悲しんでなかった姿。そして、アウラ自身が僕を起こさずに町へ行っていたと聞いた記憶。
とうとうと、この違和感を考えていると、いつのまにかアウラの記憶がぐるぐると巡っていた。
初めて出会った時は、今とかわらない愛らしかった彼女が、付き合い始めるとどんどんと淡白になっていき、同棲までしていたというのに、一度もそういう行為には及ばなかった。
よく言っておおっぴらな、教団風にいって淫らなこの世の中で、互いを思っている男女が同じ褥にいて、そんなことありえるだろうか?
・・・ありえない。もし想っているのだったら、アウラが帰ってきた晩のように・・・・、とそこまで考えて僕は思い出した。
「き、気づいていたさ・・・僕には出会ったころにしか見せてくれなかった天使のような笑顔を、どこか知らない男にみせてるんだ・・・っだから、だから・・・・あの夜だって、彼女が僕のものだって、僕だけのものなんだって実感してうれしかったんだ・・・・」
気づけば、ニアの目からだけじゃない僕の目からもとうとうと涙があふれていた。
「でも、だまされてると知ってても・・・っ好きだったんだよ!アウラが!世界で一番!」
「知ってたっさ・・・っ。だから、皆あいつがやっちゃあいけないとこまでいくまでは、お前にその甘い夢を見させてやろうと思ってたんだ!お、俺だって、お前が幸せならソレでいい、ただ最後には守ってやろうとおもってずっと待ってたんだ・・・あの馬鹿女は最後まで気づかれてないと思ってたみたいだけどな!」
ドゴッと片腕で地面を殴ったニアは、僕の肩を力なく離した。
丈の高い草むらに向かい合って座り込み、僕らは、お互い涙をぼろぼろとこぼしながら、お互いの言えなかった本音まで暴露し始める。
「俺だって!お前が好きだったんだ!クロア!だってのに・・・・お前はアウラばっかみてやがって・・・だけど、その顔が幸せそうでいつまでもみ、見てたいと思って・・・っ」
「ぼ、僕だって、ニアが好きだったさ・・・だけど、アウラの方がいつのまにか心を埋め尽くしちゃって・・・」
突然のニアの告白に、この姉御肌なニアが僕のことを好きだったなんて、と僕は信じられない気持ちになりながらいった。
ニアは自分の言ったことと言われたことを理解したのかぼっと顔を赤らめ、ズザザッと草を押しつぶしながら僕から離れた。そして、離れたところで我に返り、しゅんと肩を落とした。
「そ、そうだったのか・・・・」
と、そういうと、突然猛然と立ち上がり、大きな声で叫んだ。
「・・・あーぁ!もっと早くお前に告白しておけばなぁ!くっそぉ!あいつの男へのつけこみ方はただもんじゃなかったからなぁ!」
ほかのみんなの畑とは、だいぶ遠くにある僕らの畑で叫んだニアの叫び声は僕以外誰にも届くことなく、山のほうへと消えていった。
僕がいうのもなんだが、ニアのたくましい筋肉の付いた背中には、哀愁が漂い、叫ぶ程度では未練を振り払えていないのがわかった。
その痛々しいほどのニアの空元気に、僕は申し訳なくなった。
「ご、ごめんな・・・?ニア・・・」
「謝んなよ、泣いちまうから。俺は二回とも、お前を手に入れる競争に負けた、それだけだからさ」
「二回・・・?」
「一回目はアウラとの、二回目はそのアウラの皮をかぶっちゃぁいるが、甲斐甲斐しくお前の世話をして、なおかつお前を立ち直らせてくれた、本当のあいつなんかより遥かにいい奴との・・・だ」
きっと、悪い奴じゃねーよ、といってニアは立ち去っていった。こんなときだが、仕事はどうするのか聞くと、調子悪いから帰る、と、本当に今にも倒れてしまいそうな雰囲気で家へと帰っていった。
追いかけるべきか、と思ったが、僕はそれをしてはいけない気がした。
だって、僕の心の中には、やはりニアではなく、アウラでうめくされていたからだ。昔のアウラではない。彼女が死んでから現れ、この二週間の生活をともにしたあのアウラだ。そんな僕に彼女を追う資格はない、と考え直し、僕はふと時計を見た。すると、昼休みはすぎていた。
「やばっ」
こんな時であっても、この時期に耕していないと秋がひどいことになってしまうし、僕にもさすがに考える時間がほしくて、慌てて鍬を握り、畑を耕す作業に戻った。
ニアがいなくなってしまったのは僕のせいなので彼女の分までやらねばっと気張りながらも、頭の中でこの二週間のアウラとの出来事を考えていた。
イタズラっぽい彼女、料理の上手い彼女、ちょっと幼いところもある彼女、僕だけを愛してくれた彼女、ひたすらに僕を求めてきた彼女、優しく抱きしめてくれた彼女、つまり、僕の理想そのものであるアウラだ。
と、次の瞬間、僕の頭の中の魔物娘の図鑑がぺらっとめくられるように、一つの魔物娘が脳裏にぼうっと浮かぶ。
『ドッペルゲンガー。失恋した男の思いと魔力が結びついて生まれたとされるモンスターで、彼女らは男の懸想した相手の姿を映しとり、男の前に現れるという。そうして現れた彼女らは、たとえ本当の相手の女の性格があくどかろうとも男の創造したままの性格で現れ、理想の恋人として、男に添い遂げる。だが、新月の夜、彼女らの姿は本来の姿へと戻る。なので、男性に偽者であるとばれることを恐れる彼女らは、新月の夜は男性から離れ、夜が明けるまで身を潜めているという』
この村にくる前、何度も読んだ本なので頭の中にその文章が自然に浮かんだ。
バッと上を向くともいつのまにか真っ暗になっていた空には、月がかけらも見つからなかった。そして、今朝交わしたアウラとの会話が脳裏に浮かぶ。
『ぁ、私、今日ちょっと用事で一日中町に出ないといけないから夕飯つくれないんだ・・・・』
「あれは、そういうことだったのか・・・」
僕は夜空を見上げて呟いた。月のない真っ暗な夜だった。
† † †
僕は鍬を片付けるとまっすぐ家へと向かって走っていった。
村の人々はそんな僕を不思議そうな目で見るが、そんな事はかまってられない。僕の頭の中にあるのはただ、この二週間僕をだましとおしてきた彼女のことだけだった。
「アウラッ!」
叫びながら家に入る。村のみんなが奇妙に思うかもしれないが、僕は悪女にだまされていながらもソレに気づかなかった男なのだ。いっまさら、外見なんてかまってられるものか。
僕は家の中に飛び込むや否や、次々と扉を開け中に彼女がいないか確かめていく。
「アウラっ!」
リビングやキッチンにも
「アウラッ!」
トイレや書斎にも
「アウラァッ!」
寝室にも、倉庫にもアウラはいなかった。
「どこだ・・・・アウラ・・・・」
ぐるぐる、と家の中を歩きながら考える。アウラは今日だけいなくなるといった。もし僕が見つけなければ普通に明日帰ってくることだろう。だが、それでは遅いのだ。
今日、今晩、彼女の姿を見つけなければ・・・っ
待て。
「ドッペルゲンガーはゴースト系の魔物だったはず・・・なら、人間の隠れる場所を探してもしょうがないじゃないか・・・?」
と思い返し、僕は倉庫からはしごを持ち出すと、書斎の壁に立てかけた。ここの天井には、よっぽどのことがなければ使わない上に、薄暗く大の人間が入るには狭い屋根裏へと続く隠し扉があるのだ。
「ぐ、ぐぅぅっ!」
万が一の時のため、隠れられるよう硬く作ってある扉をほこりが身体にかかるものかまわず、身体全体を使って押し開く。
やがて、ギギギッと木と木が擦れる音を上げて扉が持ち上がり、屋根裏部屋が覗き込めるほどの隙間を作った。
「アウラ・・・?いるかい?」
僕は暗闇に呟きかけながら、さらに隠し扉を押し上げ、屋根裏部屋に滑り込む。
「うは・・・さすがにほこりがたまってるな・・・」
床に積もったほこりを見ながら僕は不用心にも立ち上がると、すぐそばにあった屋根に頭を打ち付けてしまう。
「あたっ!」
「だ、大丈夫ッ!?」
「!」
暗闇から突然女の子の声が響いた。
それは、あの鈴のようなアウラの声とは違う、ハープを爪弾くような声だったが・・・
「アウラ・・・?」
「き、きちゃだめ!」
拒絶の声に、僕はビクッと足をとめた。
今夜は新月。彼女たちは本当の姿に戻っているのだ・・・
僕は、わかった、と彼女の声がした方に言うと、その場にドカッと座り込んだ。すると、闇の中から悲しそうな声が響いてきた。
「し、しっちゃったんだね・・・?」
「何を?」
「ごまかさないでよ・・・。私が本当のアウラじゃないってこと、知っちゃったんでしょ?」
「うん、ニアと話してて、僕が君と出会うまで同棲していたアウラが死んだのは知った」
「だから、復讐にでも来たの・・・?」
「は?なんで?」
僕は心底わからずに呟くと、彼女はだって!っと鼻声で言った。
「私は、貴方を騙してたんだよ?クロア君が好きだったアウラの格好をして、貴方の理想どおりの姿になって、貴方の好きな人に成りすましてたんだよ?」
「だから、それがなんで君を嫌うことに繋がるのさ」
「!?」
「だってそうだろ?君はアウラを殺したわけでもなんでもないんだ。もし遠くに行っただけで、本当のアウラが生きていたら、空喜びさせて!って怒ったかもね。でも、嫌う理由にはならない。ましてや、僕はあのままだったら自殺してたか、狂ってアウラの墓を暴いていたかもしれない。ニア、は知ってるよね?あいつも言ってた。君は、狂いそうになっていた僕を立ち直らせてくれたんだ」
君も言ってたろ?アウラが死んでから冷蔵庫の中身が全く変わってないって、と僕はおどけながらそういうと、暗闇の向こうからグスッグスッと泣いている音がしてきた。
仕様がないなぁ、と笑いながら僕は続けた。
「だから、ね?泣かないでよ?言ったろ?僕は、アウラが笑ってる顔が好きだよって。アウラが今どんな顔をしてるのか、まだ見てないけど、好きな女の子が泣いてるのを喜ぶあのクソ親父みたいな趣味はないよ?」
「好きな・・・女の子・・・?」
「そうさ。僕は今、アウラ以上に君が好きだ。仕事してる間も、かえってくる間も、想っていたのは君とこの二週間の生活だ」
「だ、だったら、余計こないでっ。あ、明日からなら、また今まで見たいに貴方を愛せるから・・・っあの姿でっ貴方と愛しあえるからッ」
最後の方はほとんど叫び声のようになりながら、暗闇の中で彼女はいった。だが、僕はその声を裏切るように、四つん這いになって彼女に近づいていった。
「こ、こないでってっ言ったのに!なんで!?わ、私のこと好きなら、お願いだからこないで・・・・こんな姿、貴方に見られるのはいやなの・・・っ!それにっ!知ってるでしょっ!?一回でも見られたら、もう二度と変身できないの!だから!」
「嫌だ」
僕は目をつむり、彼女の叫び声を頼りに右手で前を探りながら彼女に近づいていき、やがて、その指先に何かやわらかい布のようなものが触れた。
ひッとすぐさま遠ざかっている彼女を感じながら、直感を頼りに、何かをつかみ、そのまま押し倒す。
「やだぁっ・・・やめてぇ・・・見ないでっ見ないで・・・クロア君・・・っ」
「嫌だって言ってるだろ・・・?僕は、君が好きなんだっ!ドッペルゲンガーで、僕を立ち直らせてくれた君が!それとも!君はただ本能のままに僕の悲しみを取り込んで、好きでもない僕と暮らしてたのっ!?」
うぬぼれたセリフだ、と想うだろうが、これは僕の一世一代の告白劇だ。甘い言葉でふらふらと盲目になっていたわけではない、いや、盲目なのかもしれないが、これは僕の決めたことだ。
悪女に体よく騙されていた愚か者の初めての、後先なんて考えない、自分からアタックして本当の気持ちを伝える本当の盲目。
これで、まだ見えていない彼女がそうだというのなら、それでもいい。彼女の好きな通りに僕は彼女を見ずに下りていこう。アウラの時と似てはいるが、見て見ぬ振りをして泣き寝入りするのではない。見てぶつかって砕かれた、ソレまでのことだ。これまでと変わらず、彼女をアウラとして愛していける自信がある。だけど、彼女が好きだというのなら・・・っ
と、目を瞑ったまま言うと、彼女は僕の下で身体を震わせて言った。
「そんなわけない!私は確かにこの近くをふらついてて本能のままに貴方の悲しみを取り込んだよ?だけど!その思いのまっすぐさに、騙されてると知っててもアウラを好きでいる貴方に惹かれ、好きになった!あんな悪女なんて足元にも置けなくて、幼馴染のミノタウロスにも負けない程、貴方が好きになった!貴方があんなやつれきった姿で出てきた時、身が裂けるほど悲しくて、悔しかった!なんであんな悪女にこんな人がつかまってしまったのっ!って世界中に叫びたくなった!この気持ちは誰にも負けない!たとえ貴方にも!」
僕は手のひらに彼女叫び声と、それによるものだけじゃない震えが伝わるのを感じていた。
だったら、と僕は悔しい気持ちと、こんなに彼女に想われていたとしった喜びが混ぜあったよくわからない気持ちのまま叫んだ。
「だったら!君の姿を見せてくれ!アウラの姿と僕の理想を混ぜ合わせたあの姿じゃない!本当の姿で!ありのままの君を愛させてくれ!」
「く・・・クロア君・・・」
驚いたような声が、僕の下で響き、やがて、その身体の震えが収まっていった。やがて、そっと僕の頬にやわらかく小さな手が触れた。
「本当にいいの?あっちの方が絶対可愛いよ・・・?スタイルもいいし。その・・・・Hなことも絶対気持ちいいし・・・」
「当たり前だよ・・・。盲目してた僕がいうのもなんだけど、あんな女の姿の面影をのこしてるのなんてやだしね」
「ふふ・・・っ。・・・嘘つき。変身ができないだけで、貴方の心がどんな理想の姿をもってるかわかるんだよ?」
「だったら、君の姿をみたらその理想像が瞬時に君になるのもわかるんだね?」
「だけど・・・っ」
「もう押し問答はいいよ。初めての日に言ったろ?どんなでも君を拒むなんて僕は考えられないよ」
「クロア君っ・・・」
感極まった声を彼女は出し、僕の口にやわらかいものが吸い付いてきた。そのまま、吸い付いてきた唇を押し開き、彼女の口の中に侵入し、満月の夜の日、彼女にそうしたようにずいぶんと小さくなった彼女の口の中を嘗め回す。歯茎の裏をそぎ、頬の裏を舌先でなぞる。そして、どちらかともなく唇を離す
「んんっ・・・はふっ」
「本当の君のキスも甘いよ・・・」
口の端に伝う唾液を手の甲で拭う、ゆっくりと目をあける。
彼女自体がわずかに発光しているのか、しっかりと彼女の姿はこの薄暗い中でも網膜に映し出してくれた。
そこにいたのは、昨日までいたアウラよりかは幼い、どちらかというと地味な感じの女の子だった。だが、地味だからといって不細工ではまったくない、雰囲気がおどおどとしていて地味な感じがする、というだけのよく見るとはっとするような綺麗な顔立ちをした女の子。
背中あたりまで伸びた髪は夜が宿ったかのような黒。アウラに共通している大きな瞳はまるで黒真珠のように、輝いていて、それでいってはかない印象を抱かせる。着ているものは布のようなひらひらとした黒い服。
胸は、たしかに昨日とくらべると小ぶりになっているが、アリスやバフォメットのようなつるぺったんじゃなく、ちゃんと膨らんでいる、いわゆる美乳というやつだろう。
恥ずかしそうに赤くそまった肌は白磁のように白い。
その不安げに揺れる瞳に優しく笑いかけた。
「・・・はじめまして、僕はクロア・アーバイン。君は?」
「わ、私・・・名前・・・ないの・・・」
悲しそうにいう、彼女にそっか、と僕はいうと、うーんと数秒考え込むといった。
「じゃぁ、君の名前はアウラ・アーバインだ。・・・受け取ってくれる?」
「・・・・もちろん・・・っ」
細く白い手を伸ばし、ぎゅっと僕に抱きついてきたアウラを僕はよしよし、と背中をなでた。
「ここはほこりっぽいね。アウラ、下に行こうか」
「うんっ」
話し掛けると、彼女は僕の胸に押し付けていた顔をはなし、にっこり笑った。
その笑顔で僕の胸に暖かいものが去来するのを感じながら、すこし小さくなった彼女を抱きしめながらずりずり、と屋根裏部屋を這い出し、下の書斎に戻る。
「あそこってここから入れたんだ・・・」
「しらなかったの?」
隠し扉を閉めるために彼女を床に下ろして、はしごを上っていると、彼女は天井を見上げていった
軽く笑いながら僕が言うと、彼女はペロっと舌のさきを軽く出していった。
「この姿の時は、やろうと思えば物をすり抜けられるから、天井をすりぬけて行ったの。・・・これからはこの姿になれないとね」
「そうだよ。なんたって、僕の奥さんなんだからニアにだって会わせるし、村のみんなにも会わせるよ?それこそ、皆の驚く顔が見たいしね」
ハハハッと僕が笑いながらいうと、彼女はぽーっと熱にうかされたように頬を赤く染め、熱い視線で僕の顔を見た。
「や、やっぱり、あれってそういう意味だったんだよね・・・?」
「そういうって?」
「そ、その・・・私がクロア君の奥さんって・・・」
「そうだよ。僕は君が好きだし、君も僕が好きなら問題ないよね?」
「も、もちろんだよ・・・っ。た、ただ、ちょっと恥ずかしいだけ・・・・」
アウラはそういうとあー、とかうー、といいながら、白い肌を真っ赤に染め上げながら、あちこちをきょろきょろして、視線をさまよわせた。その様子に、僕はバタンッと荒々しく隠し扉を閉めると
「あーも、かわいいなぁ!」
「きゃっ!?」
飛び降りるようにして、床に降り、その勢いのまま彼女の身体を抱きすくめた。ちっさくなったことで身長差ができ、彼女の足が10センチほど宙を浮いてしまっているが、そんなことをかまってられないほど彼女の可愛らしさはすさまじいものだった。
「アウラ・・・・好きだ」
「・・・うん、私もだよ・・・クロア君・・・んっ」
抱きしめたまま、彼女の桜色の唇を奪う。
今度は舌で彼女の口の中をなめるのではない、お互いの舌をきつくからめあうディープキス。
そのまま、何秒も僕らは互いを求め合うと、トロンッとした目になったアウラが口を離していった。
「クロア君、奥さんとしての最初の勤めしていい?」
「・・・うん」
僕はそれが何を示しているのか、何も言わずともわかり、二人で寝室へと向かった。
ベッドの上にあがると、アウラはその着ていた不思議な服をするすると脱ぎ、僕もそれに習って、生まれたままの姿になった。
彼女は、僕を、僕のムスコをみて驚いた顔になった
「クロア君の、もうそんなに大きくなってるの・・?」
「うん、アウラの姿で興奮しちゃってさ・・・」
嘘ではない。暗い夜の中で、ボゥッと浮かび上がる彼女の白い肢体は人形のように綺麗で精巧だった。そして、トロンとした黒い瞳に、上気した肌、おおきくもちいさくもない美乳に、その頂点にあるさくらんぼ。最後に、茂みのない彼女の性器。そのすべてが何もしなくても僕を魅了し、興奮させていた。
「えへへ・・・は、恥ずかしいけど嬉しいかな・・・」
なおかつ赤くなってはにかむ彼女の顔。
僕の中の野獣は今すぐにでも彼女とやりたいっと暴れまわろうとしているが、その何倍もの大きさの愛しさがその動きを止めていた。
そして、僕は彼女のゆっくりと近づくと、優しく彼女をベッドに寝かせた。
彼女のささやかな美乳に、やさしく手を這わす。
「ぁっ・・・」
「どうしたの?」
驚いた声をあげるアウラに僕は思わず這わしていた手の動きを止める。
だ、大丈夫だから・・・というアウラは僕だけしか映っていない瞳をこちらに向けた。
「昨日よりも、感じるだけ・・・だから・・・っ」
「わかった」
僕は彼女の言葉に安心して、手に少し力を込め、プニプニと弾力のある彼女の胸にゆっくりと指を沈み込ませていく。
張りのある彼女の胸は、さわり心地もとてもよく、なおかつ、彼女自身が胸を揉むたびに切なげな喘ぎ声をもらす、楽器のようだった。
「あ・・・あっは・・・あん・・・ク、クロア君っ・・・」
僕は、彼女の顔が蕩けきって瞳が潤んでくるのを見ると、手の動きを止め、身体を下にずらし、彼女の無毛のアソコを観察する。毛の影もないまっさらな臀部のさらに下、上気して桜色になった彼女の肌のなか、ソコはより赤く、そして、その中心の穴は求めるように時々ひくひくと動いていた。
「へぇ・・・生えてないんだね・・・」
「や、そんなとこ見ないでよぉ・・・」
「なんで?」
「は、生えてなくて恥ずかしいから・・・・」
「僕はこっちの方が好きだけどな」
と、僕はいうと彼女の精巧な作り物のような細い両足を押し開き、そこに吸い付く。
「ひゃぁ!?な、なめ!?や、やだっそんなとこ!汚いよ!?」
「汚くないさ。それに、アウラも感じてるみたいだけど?」
「そ、それはぁ!ひゃううっ!?」
初めての時はそこまで余裕はなかったが、今度はしっかりと彼女の綺麗なピンク色をしているソコを眺め、なめる。初めはしょっぱいくらいしか味はしなかったが、丹念に舌を這わしていると、だんだんと奥から甘い蜜があふれてきた。
「ん・・・アウラのここ・・・甘いよ・・・」
「そ、そんなぁ・・・ひゃうっっあ、ふ・・・し、舌の動き、いやらしいよぉ・・・」
「魔物娘の君が言うかな?」
「皆が皆、いつもHなわけじゃぁ、ひゃぁあ!」
しゃべりながらも、言葉をとめるたびに舌を動かし彼女の快感を与え続ける。初めは拒絶していた彼女だったが、だんだんとそれにも力がなくなっていき、どんどんと彼女の顔は淫蕩にとろけていく。
「あふ・・・・いい・・・・いいよぉ・・・・クロア君・・・きもちい・・・」
「とろけた顔も可愛いよ・・・アウラ・・・」
「ぇへへ・・・クロア君のも頂戴・・・・っ」
「うわっと」
コロンッと彼女は小さくなった身体を生かし、身体の向きを上下逆さにし、僕のガチガチに硬直したムスコに見とれた。
「うわぁ・・・・この身体になったら、貴方のもっと大きく感じるようになった・・・」
「そ、そんなに見ないでくれるかな?さすがに恥ずかしい・・・」
「やだ。私のもまじまじと見たんだから私も貴方のまじまじと見るの」
「そ、そっか・・・」
もう理性を失ってるのか、さっきとはうって変わった淫靡な笑みを浮かべてアウラは僕のムスコに触れると迷わず咥え込んだ。
「うわぁっ!?」
この二週間に何度となく肌を重ね合わしてきたアウラの口とは違い、小さくなってしまった彼女の口は更なる快感を僕のムスコに与えた。
口全体が小さく、優しく包み込むようなフェラではなく、搾り出されるようなフェラだった。
「んぐっっクリョア君、もうびくびくしてりゅよ?」
「き、気持ちよすぎて・・・・」
「ふふふ・・・んぎゅぅ!?」
「こ、この体勢なら一方的にやられることはぁっ」
アウラが僕のムスコをなめ、僕はアウラのアソコをなめる、いわゆるシックスナインの体勢で僕らは互いに責め、責められる。
「んっ・・・んぐっ・・んん、んん!」
「ぅっく・・・く・・・」
互いに求め求め合う攻防は長くは続かなかった。
「ぅぐ・・・あ、アウラ・・・ぼ、僕もう・・・っ」
「わ、わたひもっ・・・もう、い、いっちゃう・・・・っ」
僕はあまりの快楽の波に腰をガクガクと震わせながらもアウラのアソコなめ続け、アウラもイきそうになってるらしく、膣がさわしなくぴくぴくと動き、更なる快感を求めていることをしらせていた。
「んぐっじゅるっじゅぶっ」
アウラは声を立てながら僕のムスコを口の中で嘗め回し、僕も湿った音を立てながら、彼女のアソコをなめまわしつづけ、やがて、僕が堪えられなくなった
「あ、アウラ!いく!アウラの口の中にまた出すよ!」
「い、いいひょ!きてぇ!クロア君!わたひの口の中にいっぱい!」
「で!でるぅぅっ!」
「んぶっ!?んぐううううううう!!!!」
僕が出す瞬間に、彼女のアソコに吸い付き、アソコを啜ると、アウラはくぐもった声で叫び、ドロォッと僕の口に愛液を出した。
その間にも彼女の口の中に僕の精液がドビュドビュと吐き出されていた。
「うっぐ・・・・は・・・・」
「んぶっ・・・・ぷふ・・・・はひゅ・・・・」
とめどなく、僕のムスコからでた精液は彼女の口の中へとなだれ込んでいき、やがてとまった。アウラはそれに気づくと、ちゅぽんと僕のムスコから口を離したが、その中にはまだ精液が入っていて、ゆっくりと喉が動き、それを飲み込んでいった。
「んんぅっんっぐ」
「あ、アウラ・・・だから飲まなくても・・・・」
「ぷは・・・・あ、貴方が出してくれたものだもん・・・・奥さんとしてのまなきゃ・・・」
「そ、それでも・・・おいしくないだろ?むりしてのまなくても・・・」
「うぅんん、貴方の精液、おいしいよ。とっても濃くって・・・」
ぺろっとアウラは口の端を舌でなめた。
こういう姿を見ると、あぁ、彼女も魔物娘なんだなぁと思うと同時に、綺麗だとも思った。
その姿に興奮しきった僕は体勢を直し、彼女に覆い被さった。
「アウラ・・・・そろそろ・・・」
「うん・・・きて・・・クロア君・・・」
ゆっくりと腰を押し進め、彼女の中にムスコを挿し込んでいく。つぷっと音がし、湿った彼女の中に先っぽがはいったとき、ぼくの脊髄にたとえようもない激しい快感が走った。
せ、せまいっ。あの満月の夜にアウラとしたときよりっも狭くなった今のアウラの中はそれでいて、僕のムスコを受け入れるように中へ、中へ、と律動していた。こ、これが魔物娘の中か、と感嘆する余裕もなく、僕はどんどんと腰を押し進めていく。
「うぅ・・・アウラの中、いいよ・・・っ狭くって、しめつけてきて、それでいてとろとろで・・・っ」
「そ、そんないやらしくいわないでぇッ。く、クロア君が入ってきてるのわかるよっ熱くって、私の中をッ掻き分けてきて・・・っ私のことは気にしなくていいからぁっもっとはやくうごいてぇ・・っ」
「わ、わかった・・・っ」
決して全く気にしていなかったというわけでもないのだが、ゆっくりとしていたわけではなく、アウラの膣穴が狭く、それでいて隙間なくはりつき優しく動く彼女の中の感触があまりにも気持ちよすぎて、素早く動くと、すぐにでも射精してしまいそうだから、ゆっくり動かしていただけだったのだが、彼女が求めてくるのならば、イきそうになるのなんてかまってられない、そう思えるほど、彼女の蕩けた顔は魅力的だった。
くちゅっっ ちゅくっ くちゅっ ちゅっくっと僕は、できるだけ加速させながら腰を回すようにして、ぎゅうぎゅうと締める狭い膣とヒダヒダいっぱいの膣壁を、捏ねまわし、どんどんあふれてくる彼女の愛液で音を立て彼女の中へとつきこみ続ける。
「いいぃっ気持ちいい!っすごぃっ前よりもずっと感じるぅぅぅっ!」
「ああああっアウラの膣っ僕のを奥に奥にってしめつけてきて、吸い取られそうだよっ!」
「だ、だって!クロア君のが気持ちよすぎるのぉ!わ、私のなかをぐりぐりぃって掻き分けてきてっ!それでぐぐぐっと私の中をえぐってくのぉっ!」
アウラはそう叫びながら、僕のことを離さないっと主張するかのようにその人形のような細い足を僕の腰にまわして組む。
そのうちに僕は、もうアウラの身体が小さくなっているということもかまわずに力いっぱい彼女の中へと腰を力いっぱいたたきつけ、くにくにっとするアウラの子宮口に僕は息子の先っぽをコンコンッゴンゴンッとつつかせる。
「あふうぅぅぅっ!それいいぃっすごぃっ、飛んじゃいそう!」
「ううっうっく!・・・くっぅ!いいっ、僕もいいよ!アウラ!」
目の前がスパークして真っ白くなってしまうほどの快感が、僕とアウラの中を駆け巡りどんどんと高みへと上っていく。
やがて、その快楽が頂点へと達し、どちらかともなく叫ぶ。
「あああああぁっいいいよぉ!クロア君!わ、私っも、もうぅぅ!」
「ぼ、僕もだっ!アウラ!で、出るよっ!またアウラの中に出すよ!」
「うん!き、きてぇ!私の中、クロア君ので真っ白く染めてぇ!」
子宮口に自らの尿道をぐいっと押し付けると、ぐっと腰に力をこめ、今まで我慢に我慢をしてきた欲望の奔流を解き放つべく準備する。
「うぐぅうっ、でるぅぅっ」
ドピュビュゥッ ドビュッ ドクドクドクドクと、音がしそうなほどの勢いで、アウラの子宮の中に直接注がれていく僕の精液。
「ま、まだでるぅっ・・・」
「クロア君のが来てるのわかるよ!私の子宮がクロア君ので満たされてくぅ!に、妊娠しちゃいそうぅぅ!」
ビュルッビュルルッというう音をたてたまった精液のすべてをアウラの中に流しこみ、魂まで吐き出してしまうかと思ったほど長かった射精は終わった。
思わず、アウラとつながったまま、彼女の隣に倒れこんでしまう。
「す、すごかった・・・」
「わ、私も・・・あのままとんでっちゃいそうになったよ・・・・」
かなり冗談にならないことをアウラが言うので、僕は突然不安になって、思わず彼女の小さな手を握ってしまう。
「アウラ、どこにも行かないで僕の隣にいてくれ・・・・」
そう呟くと、彼女はぽかんとした顔になり、次の瞬間、優しい笑顔になって、僕の頭をぎゅっとその胸に抱え込んで抱きしめた。
「大丈夫、私はずっと貴方の隣にいるよ。だから、安心して、もうどこにもいかないから」
「・・・・うん」
そのまま、僕はガクンと意識のブレーカーが落ちるように気絶してしまった。いつもいつもなさけないなぁ、と自分の気絶のしやすさに、くすくすと笑うアウラの声を聞きながら、完全におちる前のわずかに残った意識で思った。
† † †
翌日、僕は愛しいアウラに見送られ、いつも通り仕事にきていた。
昨日あんなことがあって、きっとニアは出てこないものだと思ったが、普通に畑の脇で巨大なバトルアックスを振り回していて安心した。
やはり、すぐに泣き寝入りしてしまった僕よりも遥かに凄いやつだなぁ、とニアのことを改めて尊敬しながら、その背後に声をかけた。
「ニア、おはよう」
「ん、おう。どうだった?」
「一世一代の告白劇をして何とかOKをもらったよ」
ハハハと僕は笑いながら、彼女の隣に腰を落とし、告白劇の詳細は省いたが、昨日どんなことを言ったか、どんなことを言われたのか、彼女がどんな女の子だったのかを話した。一番の親友で一番迷惑をかけてしまった彼女だけには事情を話しておきたかったのだ。
ときどきピュンピュンとバトルアックスの刃がけっこう近いところをすり抜けていくが、彼女ならふっとばしたりしないから安心だ。
まぁ、切られてもしょうがないことをしたが。
「へぇ、お前が告白ねぇ」
「意外だとおもった?僕もだよ」
「で、相手は?きてないのか?」
彼女はバトルアックスを振る手をとめ、ドズンッと脇に放るとキョロキョロとあたりを見回した。
「来てないよ。まだ、今の身体になって慣れてないから気を抜くとこけるようになっちゃったんだ」
「ふーん。ま、しようがないわな。いままで新月の間だけだった身体が、いつもの身体になったんだから」
重心もかわるしな、彼女が言った。僕としては、どじっこのようになって、余計かわいらしくなったと思ったのだが、それをいったらバカップル、と返されてしまった。
と、どこからか、クロアくーんという声が響いてきた。
「ぁ」
「ぉ、うわさをすれば影ってか」
遠くから走ってくる黒い彼女の姿を二人で見ながら、ニアはいった。
「クロア、俺はまだお前が好きだ。これだけは言っておく」
「ぇ?」
僕がニアの言葉に聞き返すと、彼女はそれに返事をしようとはせず、どんっと草むらから抜け出して、アウラの前に立ちはだかった。
進路を防がれたアウラは驚いた顔をしてニアを見た。
「な、なんですか?」
「・・・クロアの面倒、しっかり見ろよ。でないと、俺が取っちまうからな」
ふんっと鼻を鳴らして言う彼女を不思議そうに見ていたアウラは、まじまじとニアの顔を見て、そしてニッコリ、と笑った。
「当たり前です。私はゴースト種ですからね。貴方よりもクロア君と長く一緒にいられるんですよ?」
死んでからも幽霊として、ね、と彼女は、板に付いたいたずらっぽい笑顔でそういった。
「ふん、幽霊になってもしつこく付きまとうってか」
「えぇ、貴方みたいにちっちゃいころから一緒にいても、一線を超える勇気がなかったひととは違うので」
「ぬかしてろ、ストーカー」
言葉は荒々しいというか、ケンカのようだが、彼女らの声音と顔は優しく、お互い言うほど仲が悪くないようだ。僕は、はぁっと嘆息して空を見上げた。
満月も、新月もない昼間の青空は、とてもすみわたっていて、青い空が広がっていた。
思うのは、死んでしまったアウラ。彼女が好きだったという心も本心だが、今はその隙間のすべてを今のアウラが愛しいという気持ちで埋め尽くされている。
悪女と愚者とドッペルゲンガーの劇はここでお仕舞い。そう思うと僕の口から自然と言葉が漏れていた。
「さよなら」
それが、彼女に向けた言葉なのかはわからない。
「ぁ、私、今日はちょっと用事で一日中町に出ないといけないから夕飯つくれないんだ・・・・」
仕事に行く前、アウラが作ってくれた朝食を食べていると突然アウラはそういった。
この何日か、村のみんなにばれないように彼女は本当に一歩も家の外に出なかった。どこか監禁してる雰囲気がでてて、ちょっと頭を悩ませていたのだが、彼女は嘘を信じさせるにはこのくらいのことはしなきゃ、と実に楽しそうにいったので好きにさせておいた。そういっていたのに突然出かけるとはどうしたのだろうか?
「ん?どこかいくの?」
「そろそろ村のみんなにばらしてもいいかなー?って思って。だから今日はその下準備」
「ふぅん?そっか、わかったよ。今日はテキトーに食べておく」
「うん、おねがいね」
アウラの不安そうな顔に僕は笑っていったが、その内心安心していた。
実をいうと村のみんなにずっと嘘をつきとおすと言うのは、かなり辛かったのだ。ようやくその負い目がなくなるな、とうれしくなってしまっていた。僕はその気分のまま、いつ食べてもうまい目玉焼きやトーストをひょいひょいっと食べると、すぐに席を立った。
「じゃぁ、もう仕事行くね?」
「うん、いってらっしゃい。今日はごめんね」
すまなそうに玄関で見送ってくれたアウラに苦笑しながら、もう慣れてしまった軽く肩を落としで背を丸めた姿勢になって僕はいつもの畑へと向かった。
昼休みにだらだらと空を見ながら田んぼの脇の草むらで寝ていると、ニアがよってきて僕の隣に座った。
「どうした?今日はいつもより元気じゃないか?いい事でもあったのか?」
「んー、まぁ、そうかな」
いい事といえばいいことだ。親友のニアたちに明日でもう嘘をつかなくていいし、明日皆の驚く顔が見れるのだから。そう期待を膨らませてふふんと鼻で笑っていると、ニアが本当にうれしそうな顔をしていった。
「ほんと、よかったよ。お前が立ち直って、そんなすかした笑いするようにもどって。アウラが死んでからのお前、まじで後追い自殺しそうな感じだったもんな。昔のゾンビとかのアンデッドみたいなかんじだったぜ?」
まぁ、いまのゾンビたちは、ある意味そこらの人間よりもせいきがみなぎってるけどな。生気でも精気でも、と若干下品なことを言いながらニアは笑った。
確かにそんな感じだったかもしれない。事故にあう前のアウラはもっと淡白な感じだったし、その姿がよっぽどひどかったのであんな甘えん坊になってしまったのかもしれないな。と僕が思っていると、ニアが半眼になって僕を見下ろしていた。
「な、なんだよ・・・?」
「いやぁ?すいぶんとにやけた顔してたもんだから?どうやらうれしいことって言うのは女みたいだねぇ。ぁー、いやだいやだ。血は争えないのかねぇ」
「い、いま親父は関係ないだろ」
領主として屋敷に何人もの魔物娘と侍らしているあのエロ親父のことを思い出して、げんなりとした。さっきまでアウラのことで頭がバラ色だったとすれば、いまは灰色だ。そのまま脳全体に行き渡って推理の腕でも上げてくれ。
「ま、領主様はいいとして。あんな憔悴してたのに、この二週間かそこらでよくそこまで持ち直したよなぁ。相手は、よっぽど上手いサキュバスとかなんかかねぇ?」
にやにやと、それでいてどこか寂しそうにニアは言った。多分弟分か手下が自立していくのが寂しいんだろうなぁ、と思ったが、俺はその笑いにハッとひねた笑いをした。
「まさか、僕はアウラ一筋だよ」
「・・・へぇ?じゃぁなんだい?死体でも掘り返してきて一人で死体と人形遊びかい?」
ずいぶんと悪趣味なことをニアは皮肉げに言ってきた。そのあまりの悪趣味さに僕は、たまらずガバッとおきあがり言い返してしまう。もしアウラが本当に死んでいて、あのまま帰ってこなかったら同じ事をしてしまったかもしれないから、余計無性に腹が立った。
「ふざけるなよ!僕をみんなでだまそうと思ってアウラが死んだってうそついてんだろっ!?ニアだってそうなんだろっ!?こっちはもう知ってんだよ!アウラ本人が帰ってきて言ってくれてね!」
怒りが突破口となり、みんなにだまされていた、というショックや悲しみがそのまま僕の口から溢れ出す。
それだけ、彼女らを信用していて、本当の家族以上に信頼していたのだ。
それなのに・・・。幾ら悪戯好きといっても言ってはいけないことといっていいことがあるだろう!?という怒りが込み上げた。だが、彼女をみると頭に生えた角さえ微動だにせず、ぽかんと口をあけてほうけていた。その反応に思わず僕はニアの顔の前で手を振ってしまう。
「に、ニア?どうした・・・?」
「お前・・・いまなんてった?」
「ぇ?どうした?って・・・」
「違う!その前だ!アウラが帰ってきただと・・・?」
「そ、そうだよっ!アウラが二週間前の夜中帰ってきたんだっ。この二週間、家事をしてくれたり、ご飯を作ったりもしてくれてるんだっ!あはは、ニアでもそんな顔ができたんだねっ?その顔を見るために僕はこの二週間みんなの嘘に耐えてきたんだよっ」
と、半ばやけになりながら僕が一息にいうと、ガシッとニアのたくましい腕が僕の腕をつかんだ。そして、そのまま必死の形相で僕に訴えかけた。
「おい、クロア!よく聞け!俺たちは嘘なんてついてねぇ!そいつはアウラの皮を被った偽モンだ!アウラは確かに町に出てって脇を走ってた馬車の車軸が折れてその下敷きなった!!村にかえってきたアウラの死体が、ゾンビになっても回復できないほど押しつぶされちまってるのを俺はこの目でちゃんと見た!お前はショックすぎて棺桶の蓋をあけようとはしなくてっ!皆もあんまりにむごかったから!お前に無理に見せようとしなかったせいで、お前は結局一度もみなかったけどな!」
「そ、そんなはずは・・・・だ、だってたしかに・・・元気な姿であの声で、僕の名前を・・・」
ニアは、そういうが確かにアウラは僕に家に帰ってきていた。あれが、にせもの・・・?いや、そんなはずは、と僕の思考が堂々めぐりし始めた時、ニアが僕の片腕を引っ張って両肩をつかみ、僕の身体全体を揺さぶる。
「俺の言うことが信じられないって言うのか!?このニア・アルバーン様の言葉がぁああ!」
ニアは口の端から牙をだして怒鳴った。
確かに、彼女はぼやかして言うことはあっても嘘だけはついてこなかった。僕があのくそ親父に嘘をつかれ、騙され、苦悩していたのを知っていたから。
僕が何もいえなくなっていると、ニアは追い討ちをかけるように言った。
「あとな、クロア。お前もきっとうすうすと気づいていたと思うが・・・アウラは余所に男がいた。あの日、町にいったのもそのためで・・・っ。お前はただ、領主の息子として見られてて・・・いや、ソレ以下のただの財布、タダの宿屋程度にしか考えちゃぁいなかったんだよ!!!」
ポロポロと大粒の涙をその大きなとび色の瞳からこぼしながら、ニアはガクガクと僕を揺さぶり続ける。その勢いはとっくに三半規管がいかれてもおかしくない程なのに、そんなことすら気にならないほど、は僕の頭の中で、次々といろんな記憶がめぐった。
皆が葬式だというのにそこまで悲しんでなかった姿。そして、アウラ自身が僕を起こさずに町へ行っていたと聞いた記憶。
とうとうと、この違和感を考えていると、いつのまにかアウラの記憶がぐるぐると巡っていた。
初めて出会った時は、今とかわらない愛らしかった彼女が、付き合い始めるとどんどんと淡白になっていき、同棲までしていたというのに、一度もそういう行為には及ばなかった。
よく言っておおっぴらな、教団風にいって淫らなこの世の中で、互いを思っている男女が同じ褥にいて、そんなことありえるだろうか?
・・・ありえない。もし想っているのだったら、アウラが帰ってきた晩のように・・・・、とそこまで考えて僕は思い出した。
「き、気づいていたさ・・・僕には出会ったころにしか見せてくれなかった天使のような笑顔を、どこか知らない男にみせてるんだ・・・っだから、だから・・・・あの夜だって、彼女が僕のものだって、僕だけのものなんだって実感してうれしかったんだ・・・・」
気づけば、ニアの目からだけじゃない僕の目からもとうとうと涙があふれていた。
「でも、だまされてると知ってても・・・っ好きだったんだよ!アウラが!世界で一番!」
「知ってたっさ・・・っ。だから、皆あいつがやっちゃあいけないとこまでいくまでは、お前にその甘い夢を見させてやろうと思ってたんだ!お、俺だって、お前が幸せならソレでいい、ただ最後には守ってやろうとおもってずっと待ってたんだ・・・あの馬鹿女は最後まで気づかれてないと思ってたみたいだけどな!」
ドゴッと片腕で地面を殴ったニアは、僕の肩を力なく離した。
丈の高い草むらに向かい合って座り込み、僕らは、お互い涙をぼろぼろとこぼしながら、お互いの言えなかった本音まで暴露し始める。
「俺だって!お前が好きだったんだ!クロア!だってのに・・・・お前はアウラばっかみてやがって・・・だけど、その顔が幸せそうでいつまでもみ、見てたいと思って・・・っ」
「ぼ、僕だって、ニアが好きだったさ・・・だけど、アウラの方がいつのまにか心を埋め尽くしちゃって・・・」
突然のニアの告白に、この姉御肌なニアが僕のことを好きだったなんて、と僕は信じられない気持ちになりながらいった。
ニアは自分の言ったことと言われたことを理解したのかぼっと顔を赤らめ、ズザザッと草を押しつぶしながら僕から離れた。そして、離れたところで我に返り、しゅんと肩を落とした。
「そ、そうだったのか・・・・」
と、そういうと、突然猛然と立ち上がり、大きな声で叫んだ。
「・・・あーぁ!もっと早くお前に告白しておけばなぁ!くっそぉ!あいつの男へのつけこみ方はただもんじゃなかったからなぁ!」
ほかのみんなの畑とは、だいぶ遠くにある僕らの畑で叫んだニアの叫び声は僕以外誰にも届くことなく、山のほうへと消えていった。
僕がいうのもなんだが、ニアのたくましい筋肉の付いた背中には、哀愁が漂い、叫ぶ程度では未練を振り払えていないのがわかった。
その痛々しいほどのニアの空元気に、僕は申し訳なくなった。
「ご、ごめんな・・・?ニア・・・」
「謝んなよ、泣いちまうから。俺は二回とも、お前を手に入れる競争に負けた、それだけだからさ」
「二回・・・?」
「一回目はアウラとの、二回目はそのアウラの皮をかぶっちゃぁいるが、甲斐甲斐しくお前の世話をして、なおかつお前を立ち直らせてくれた、本当のあいつなんかより遥かにいい奴との・・・だ」
きっと、悪い奴じゃねーよ、といってニアは立ち去っていった。こんなときだが、仕事はどうするのか聞くと、調子悪いから帰る、と、本当に今にも倒れてしまいそうな雰囲気で家へと帰っていった。
追いかけるべきか、と思ったが、僕はそれをしてはいけない気がした。
だって、僕の心の中には、やはりニアではなく、アウラでうめくされていたからだ。昔のアウラではない。彼女が死んでから現れ、この二週間の生活をともにしたあのアウラだ。そんな僕に彼女を追う資格はない、と考え直し、僕はふと時計を見た。すると、昼休みはすぎていた。
「やばっ」
こんな時であっても、この時期に耕していないと秋がひどいことになってしまうし、僕にもさすがに考える時間がほしくて、慌てて鍬を握り、畑を耕す作業に戻った。
ニアがいなくなってしまったのは僕のせいなので彼女の分までやらねばっと気張りながらも、頭の中でこの二週間のアウラとの出来事を考えていた。
イタズラっぽい彼女、料理の上手い彼女、ちょっと幼いところもある彼女、僕だけを愛してくれた彼女、ひたすらに僕を求めてきた彼女、優しく抱きしめてくれた彼女、つまり、僕の理想そのものであるアウラだ。
と、次の瞬間、僕の頭の中の魔物娘の図鑑がぺらっとめくられるように、一つの魔物娘が脳裏にぼうっと浮かぶ。
『ドッペルゲンガー。失恋した男の思いと魔力が結びついて生まれたとされるモンスターで、彼女らは男の懸想した相手の姿を映しとり、男の前に現れるという。そうして現れた彼女らは、たとえ本当の相手の女の性格があくどかろうとも男の創造したままの性格で現れ、理想の恋人として、男に添い遂げる。だが、新月の夜、彼女らの姿は本来の姿へと戻る。なので、男性に偽者であるとばれることを恐れる彼女らは、新月の夜は男性から離れ、夜が明けるまで身を潜めているという』
この村にくる前、何度も読んだ本なので頭の中にその文章が自然に浮かんだ。
バッと上を向くともいつのまにか真っ暗になっていた空には、月がかけらも見つからなかった。そして、今朝交わしたアウラとの会話が脳裏に浮かぶ。
『ぁ、私、今日ちょっと用事で一日中町に出ないといけないから夕飯つくれないんだ・・・・』
「あれは、そういうことだったのか・・・」
僕は夜空を見上げて呟いた。月のない真っ暗な夜だった。
† † †
僕は鍬を片付けるとまっすぐ家へと向かって走っていった。
村の人々はそんな僕を不思議そうな目で見るが、そんな事はかまってられない。僕の頭の中にあるのはただ、この二週間僕をだましとおしてきた彼女のことだけだった。
「アウラッ!」
叫びながら家に入る。村のみんなが奇妙に思うかもしれないが、僕は悪女にだまされていながらもソレに気づかなかった男なのだ。いっまさら、外見なんてかまってられるものか。
僕は家の中に飛び込むや否や、次々と扉を開け中に彼女がいないか確かめていく。
「アウラっ!」
リビングやキッチンにも
「アウラッ!」
トイレや書斎にも
「アウラァッ!」
寝室にも、倉庫にもアウラはいなかった。
「どこだ・・・・アウラ・・・・」
ぐるぐる、と家の中を歩きながら考える。アウラは今日だけいなくなるといった。もし僕が見つけなければ普通に明日帰ってくることだろう。だが、それでは遅いのだ。
今日、今晩、彼女の姿を見つけなければ・・・っ
待て。
「ドッペルゲンガーはゴースト系の魔物だったはず・・・なら、人間の隠れる場所を探してもしょうがないじゃないか・・・?」
と思い返し、僕は倉庫からはしごを持ち出すと、書斎の壁に立てかけた。ここの天井には、よっぽどのことがなければ使わない上に、薄暗く大の人間が入るには狭い屋根裏へと続く隠し扉があるのだ。
「ぐ、ぐぅぅっ!」
万が一の時のため、隠れられるよう硬く作ってある扉をほこりが身体にかかるものかまわず、身体全体を使って押し開く。
やがて、ギギギッと木と木が擦れる音を上げて扉が持ち上がり、屋根裏部屋が覗き込めるほどの隙間を作った。
「アウラ・・・?いるかい?」
僕は暗闇に呟きかけながら、さらに隠し扉を押し上げ、屋根裏部屋に滑り込む。
「うは・・・さすがにほこりがたまってるな・・・」
床に積もったほこりを見ながら僕は不用心にも立ち上がると、すぐそばにあった屋根に頭を打ち付けてしまう。
「あたっ!」
「だ、大丈夫ッ!?」
「!」
暗闇から突然女の子の声が響いた。
それは、あの鈴のようなアウラの声とは違う、ハープを爪弾くような声だったが・・・
「アウラ・・・?」
「き、きちゃだめ!」
拒絶の声に、僕はビクッと足をとめた。
今夜は新月。彼女たちは本当の姿に戻っているのだ・・・
僕は、わかった、と彼女の声がした方に言うと、その場にドカッと座り込んだ。すると、闇の中から悲しそうな声が響いてきた。
「し、しっちゃったんだね・・・?」
「何を?」
「ごまかさないでよ・・・。私が本当のアウラじゃないってこと、知っちゃったんでしょ?」
「うん、ニアと話してて、僕が君と出会うまで同棲していたアウラが死んだのは知った」
「だから、復讐にでも来たの・・・?」
「は?なんで?」
僕は心底わからずに呟くと、彼女はだって!っと鼻声で言った。
「私は、貴方を騙してたんだよ?クロア君が好きだったアウラの格好をして、貴方の理想どおりの姿になって、貴方の好きな人に成りすましてたんだよ?」
「だから、それがなんで君を嫌うことに繋がるのさ」
「!?」
「だってそうだろ?君はアウラを殺したわけでもなんでもないんだ。もし遠くに行っただけで、本当のアウラが生きていたら、空喜びさせて!って怒ったかもね。でも、嫌う理由にはならない。ましてや、僕はあのままだったら自殺してたか、狂ってアウラの墓を暴いていたかもしれない。ニア、は知ってるよね?あいつも言ってた。君は、狂いそうになっていた僕を立ち直らせてくれたんだ」
君も言ってたろ?アウラが死んでから冷蔵庫の中身が全く変わってないって、と僕はおどけながらそういうと、暗闇の向こうからグスッグスッと泣いている音がしてきた。
仕様がないなぁ、と笑いながら僕は続けた。
「だから、ね?泣かないでよ?言ったろ?僕は、アウラが笑ってる顔が好きだよって。アウラが今どんな顔をしてるのか、まだ見てないけど、好きな女の子が泣いてるのを喜ぶあのクソ親父みたいな趣味はないよ?」
「好きな・・・女の子・・・?」
「そうさ。僕は今、アウラ以上に君が好きだ。仕事してる間も、かえってくる間も、想っていたのは君とこの二週間の生活だ」
「だ、だったら、余計こないでっ。あ、明日からなら、また今まで見たいに貴方を愛せるから・・・っあの姿でっ貴方と愛しあえるからッ」
最後の方はほとんど叫び声のようになりながら、暗闇の中で彼女はいった。だが、僕はその声を裏切るように、四つん這いになって彼女に近づいていった。
「こ、こないでってっ言ったのに!なんで!?わ、私のこと好きなら、お願いだからこないで・・・・こんな姿、貴方に見られるのはいやなの・・・っ!それにっ!知ってるでしょっ!?一回でも見られたら、もう二度と変身できないの!だから!」
「嫌だ」
僕は目をつむり、彼女の叫び声を頼りに右手で前を探りながら彼女に近づいていき、やがて、その指先に何かやわらかい布のようなものが触れた。
ひッとすぐさま遠ざかっている彼女を感じながら、直感を頼りに、何かをつかみ、そのまま押し倒す。
「やだぁっ・・・やめてぇ・・・見ないでっ見ないで・・・クロア君・・・っ」
「嫌だって言ってるだろ・・・?僕は、君が好きなんだっ!ドッペルゲンガーで、僕を立ち直らせてくれた君が!それとも!君はただ本能のままに僕の悲しみを取り込んで、好きでもない僕と暮らしてたのっ!?」
うぬぼれたセリフだ、と想うだろうが、これは僕の一世一代の告白劇だ。甘い言葉でふらふらと盲目になっていたわけではない、いや、盲目なのかもしれないが、これは僕の決めたことだ。
悪女に体よく騙されていた愚か者の初めての、後先なんて考えない、自分からアタックして本当の気持ちを伝える本当の盲目。
これで、まだ見えていない彼女がそうだというのなら、それでもいい。彼女の好きな通りに僕は彼女を見ずに下りていこう。アウラの時と似てはいるが、見て見ぬ振りをして泣き寝入りするのではない。見てぶつかって砕かれた、ソレまでのことだ。これまでと変わらず、彼女をアウラとして愛していける自信がある。だけど、彼女が好きだというのなら・・・っ
と、目を瞑ったまま言うと、彼女は僕の下で身体を震わせて言った。
「そんなわけない!私は確かにこの近くをふらついてて本能のままに貴方の悲しみを取り込んだよ?だけど!その思いのまっすぐさに、騙されてると知っててもアウラを好きでいる貴方に惹かれ、好きになった!あんな悪女なんて足元にも置けなくて、幼馴染のミノタウロスにも負けない程、貴方が好きになった!貴方があんなやつれきった姿で出てきた時、身が裂けるほど悲しくて、悔しかった!なんであんな悪女にこんな人がつかまってしまったのっ!って世界中に叫びたくなった!この気持ちは誰にも負けない!たとえ貴方にも!」
僕は手のひらに彼女叫び声と、それによるものだけじゃない震えが伝わるのを感じていた。
だったら、と僕は悔しい気持ちと、こんなに彼女に想われていたとしった喜びが混ぜあったよくわからない気持ちのまま叫んだ。
「だったら!君の姿を見せてくれ!アウラの姿と僕の理想を混ぜ合わせたあの姿じゃない!本当の姿で!ありのままの君を愛させてくれ!」
「く・・・クロア君・・・」
驚いたような声が、僕の下で響き、やがて、その身体の震えが収まっていった。やがて、そっと僕の頬にやわらかく小さな手が触れた。
「本当にいいの?あっちの方が絶対可愛いよ・・・?スタイルもいいし。その・・・・Hなことも絶対気持ちいいし・・・」
「当たり前だよ・・・。盲目してた僕がいうのもなんだけど、あんな女の姿の面影をのこしてるのなんてやだしね」
「ふふ・・・っ。・・・嘘つき。変身ができないだけで、貴方の心がどんな理想の姿をもってるかわかるんだよ?」
「だったら、君の姿をみたらその理想像が瞬時に君になるのもわかるんだね?」
「だけど・・・っ」
「もう押し問答はいいよ。初めての日に言ったろ?どんなでも君を拒むなんて僕は考えられないよ」
「クロア君っ・・・」
感極まった声を彼女は出し、僕の口にやわらかいものが吸い付いてきた。そのまま、吸い付いてきた唇を押し開き、彼女の口の中に侵入し、満月の夜の日、彼女にそうしたようにずいぶんと小さくなった彼女の口の中を嘗め回す。歯茎の裏をそぎ、頬の裏を舌先でなぞる。そして、どちらかともなく唇を離す
「んんっ・・・はふっ」
「本当の君のキスも甘いよ・・・」
口の端に伝う唾液を手の甲で拭う、ゆっくりと目をあける。
彼女自体がわずかに発光しているのか、しっかりと彼女の姿はこの薄暗い中でも網膜に映し出してくれた。
そこにいたのは、昨日までいたアウラよりかは幼い、どちらかというと地味な感じの女の子だった。だが、地味だからといって不細工ではまったくない、雰囲気がおどおどとしていて地味な感じがする、というだけのよく見るとはっとするような綺麗な顔立ちをした女の子。
背中あたりまで伸びた髪は夜が宿ったかのような黒。アウラに共通している大きな瞳はまるで黒真珠のように、輝いていて、それでいってはかない印象を抱かせる。着ているものは布のようなひらひらとした黒い服。
胸は、たしかに昨日とくらべると小ぶりになっているが、アリスやバフォメットのようなつるぺったんじゃなく、ちゃんと膨らんでいる、いわゆる美乳というやつだろう。
恥ずかしそうに赤くそまった肌は白磁のように白い。
その不安げに揺れる瞳に優しく笑いかけた。
「・・・はじめまして、僕はクロア・アーバイン。君は?」
「わ、私・・・名前・・・ないの・・・」
悲しそうにいう、彼女にそっか、と僕はいうと、うーんと数秒考え込むといった。
「じゃぁ、君の名前はアウラ・アーバインだ。・・・受け取ってくれる?」
「・・・・もちろん・・・っ」
細く白い手を伸ばし、ぎゅっと僕に抱きついてきたアウラを僕はよしよし、と背中をなでた。
「ここはほこりっぽいね。アウラ、下に行こうか」
「うんっ」
話し掛けると、彼女は僕の胸に押し付けていた顔をはなし、にっこり笑った。
その笑顔で僕の胸に暖かいものが去来するのを感じながら、すこし小さくなった彼女を抱きしめながらずりずり、と屋根裏部屋を這い出し、下の書斎に戻る。
「あそこってここから入れたんだ・・・」
「しらなかったの?」
隠し扉を閉めるために彼女を床に下ろして、はしごを上っていると、彼女は天井を見上げていった
軽く笑いながら僕が言うと、彼女はペロっと舌のさきを軽く出していった。
「この姿の時は、やろうと思えば物をすり抜けられるから、天井をすりぬけて行ったの。・・・これからはこの姿になれないとね」
「そうだよ。なんたって、僕の奥さんなんだからニアにだって会わせるし、村のみんなにも会わせるよ?それこそ、皆の驚く顔が見たいしね」
ハハハッと僕が笑いながらいうと、彼女はぽーっと熱にうかされたように頬を赤く染め、熱い視線で僕の顔を見た。
「や、やっぱり、あれってそういう意味だったんだよね・・・?」
「そういうって?」
「そ、その・・・私がクロア君の奥さんって・・・」
「そうだよ。僕は君が好きだし、君も僕が好きなら問題ないよね?」
「も、もちろんだよ・・・っ。た、ただ、ちょっと恥ずかしいだけ・・・・」
アウラはそういうとあー、とかうー、といいながら、白い肌を真っ赤に染め上げながら、あちこちをきょろきょろして、視線をさまよわせた。その様子に、僕はバタンッと荒々しく隠し扉を閉めると
「あーも、かわいいなぁ!」
「きゃっ!?」
飛び降りるようにして、床に降り、その勢いのまま彼女の身体を抱きすくめた。ちっさくなったことで身長差ができ、彼女の足が10センチほど宙を浮いてしまっているが、そんなことをかまってられないほど彼女の可愛らしさはすさまじいものだった。
「アウラ・・・・好きだ」
「・・・うん、私もだよ・・・クロア君・・・んっ」
抱きしめたまま、彼女の桜色の唇を奪う。
今度は舌で彼女の口の中をなめるのではない、お互いの舌をきつくからめあうディープキス。
そのまま、何秒も僕らは互いを求め合うと、トロンッとした目になったアウラが口を離していった。
「クロア君、奥さんとしての最初の勤めしていい?」
「・・・うん」
僕はそれが何を示しているのか、何も言わずともわかり、二人で寝室へと向かった。
ベッドの上にあがると、アウラはその着ていた不思議な服をするすると脱ぎ、僕もそれに習って、生まれたままの姿になった。
彼女は、僕を、僕のムスコをみて驚いた顔になった
「クロア君の、もうそんなに大きくなってるの・・?」
「うん、アウラの姿で興奮しちゃってさ・・・」
嘘ではない。暗い夜の中で、ボゥッと浮かび上がる彼女の白い肢体は人形のように綺麗で精巧だった。そして、トロンとした黒い瞳に、上気した肌、おおきくもちいさくもない美乳に、その頂点にあるさくらんぼ。最後に、茂みのない彼女の性器。そのすべてが何もしなくても僕を魅了し、興奮させていた。
「えへへ・・・は、恥ずかしいけど嬉しいかな・・・」
なおかつ赤くなってはにかむ彼女の顔。
僕の中の野獣は今すぐにでも彼女とやりたいっと暴れまわろうとしているが、その何倍もの大きさの愛しさがその動きを止めていた。
そして、僕は彼女のゆっくりと近づくと、優しく彼女をベッドに寝かせた。
彼女のささやかな美乳に、やさしく手を這わす。
「ぁっ・・・」
「どうしたの?」
驚いた声をあげるアウラに僕は思わず這わしていた手の動きを止める。
だ、大丈夫だから・・・というアウラは僕だけしか映っていない瞳をこちらに向けた。
「昨日よりも、感じるだけ・・・だから・・・っ」
「わかった」
僕は彼女の言葉に安心して、手に少し力を込め、プニプニと弾力のある彼女の胸にゆっくりと指を沈み込ませていく。
張りのある彼女の胸は、さわり心地もとてもよく、なおかつ、彼女自身が胸を揉むたびに切なげな喘ぎ声をもらす、楽器のようだった。
「あ・・・あっは・・・あん・・・ク、クロア君っ・・・」
僕は、彼女の顔が蕩けきって瞳が潤んでくるのを見ると、手の動きを止め、身体を下にずらし、彼女の無毛のアソコを観察する。毛の影もないまっさらな臀部のさらに下、上気して桜色になった彼女の肌のなか、ソコはより赤く、そして、その中心の穴は求めるように時々ひくひくと動いていた。
「へぇ・・・生えてないんだね・・・」
「や、そんなとこ見ないでよぉ・・・」
「なんで?」
「は、生えてなくて恥ずかしいから・・・・」
「僕はこっちの方が好きだけどな」
と、僕はいうと彼女の精巧な作り物のような細い両足を押し開き、そこに吸い付く。
「ひゃぁ!?な、なめ!?や、やだっそんなとこ!汚いよ!?」
「汚くないさ。それに、アウラも感じてるみたいだけど?」
「そ、それはぁ!ひゃううっ!?」
初めての時はそこまで余裕はなかったが、今度はしっかりと彼女の綺麗なピンク色をしているソコを眺め、なめる。初めはしょっぱいくらいしか味はしなかったが、丹念に舌を這わしていると、だんだんと奥から甘い蜜があふれてきた。
「ん・・・アウラのここ・・・甘いよ・・・」
「そ、そんなぁ・・・ひゃうっっあ、ふ・・・し、舌の動き、いやらしいよぉ・・・」
「魔物娘の君が言うかな?」
「皆が皆、いつもHなわけじゃぁ、ひゃぁあ!」
しゃべりながらも、言葉をとめるたびに舌を動かし彼女の快感を与え続ける。初めは拒絶していた彼女だったが、だんだんとそれにも力がなくなっていき、どんどんと彼女の顔は淫蕩にとろけていく。
「あふ・・・・いい・・・・いいよぉ・・・・クロア君・・・きもちい・・・」
「とろけた顔も可愛いよ・・・アウラ・・・」
「ぇへへ・・・クロア君のも頂戴・・・・っ」
「うわっと」
コロンッと彼女は小さくなった身体を生かし、身体の向きを上下逆さにし、僕のガチガチに硬直したムスコに見とれた。
「うわぁ・・・・この身体になったら、貴方のもっと大きく感じるようになった・・・」
「そ、そんなに見ないでくれるかな?さすがに恥ずかしい・・・」
「やだ。私のもまじまじと見たんだから私も貴方のまじまじと見るの」
「そ、そっか・・・」
もう理性を失ってるのか、さっきとはうって変わった淫靡な笑みを浮かべてアウラは僕のムスコに触れると迷わず咥え込んだ。
「うわぁっ!?」
この二週間に何度となく肌を重ね合わしてきたアウラの口とは違い、小さくなってしまった彼女の口は更なる快感を僕のムスコに与えた。
口全体が小さく、優しく包み込むようなフェラではなく、搾り出されるようなフェラだった。
「んぐっっクリョア君、もうびくびくしてりゅよ?」
「き、気持ちよすぎて・・・・」
「ふふふ・・・んぎゅぅ!?」
「こ、この体勢なら一方的にやられることはぁっ」
アウラが僕のムスコをなめ、僕はアウラのアソコをなめる、いわゆるシックスナインの体勢で僕らは互いに責め、責められる。
「んっ・・・んぐっ・・んん、んん!」
「ぅっく・・・く・・・」
互いに求め求め合う攻防は長くは続かなかった。
「ぅぐ・・・あ、アウラ・・・ぼ、僕もう・・・っ」
「わ、わたひもっ・・・もう、い、いっちゃう・・・・っ」
僕はあまりの快楽の波に腰をガクガクと震わせながらもアウラのアソコなめ続け、アウラもイきそうになってるらしく、膣がさわしなくぴくぴくと動き、更なる快感を求めていることをしらせていた。
「んぐっじゅるっじゅぶっ」
アウラは声を立てながら僕のムスコを口の中で嘗め回し、僕も湿った音を立てながら、彼女のアソコをなめまわしつづけ、やがて、僕が堪えられなくなった
「あ、アウラ!いく!アウラの口の中にまた出すよ!」
「い、いいひょ!きてぇ!クロア君!わたひの口の中にいっぱい!」
「で!でるぅぅっ!」
「んぶっ!?んぐううううううう!!!!」
僕が出す瞬間に、彼女のアソコに吸い付き、アソコを啜ると、アウラはくぐもった声で叫び、ドロォッと僕の口に愛液を出した。
その間にも彼女の口の中に僕の精液がドビュドビュと吐き出されていた。
「うっぐ・・・・は・・・・」
「んぶっ・・・・ぷふ・・・・はひゅ・・・・」
とめどなく、僕のムスコからでた精液は彼女の口の中へとなだれ込んでいき、やがてとまった。アウラはそれに気づくと、ちゅぽんと僕のムスコから口を離したが、その中にはまだ精液が入っていて、ゆっくりと喉が動き、それを飲み込んでいった。
「んんぅっんっぐ」
「あ、アウラ・・・だから飲まなくても・・・・」
「ぷは・・・・あ、貴方が出してくれたものだもん・・・・奥さんとしてのまなきゃ・・・」
「そ、それでも・・・おいしくないだろ?むりしてのまなくても・・・」
「うぅんん、貴方の精液、おいしいよ。とっても濃くって・・・」
ぺろっとアウラは口の端を舌でなめた。
こういう姿を見ると、あぁ、彼女も魔物娘なんだなぁと思うと同時に、綺麗だとも思った。
その姿に興奮しきった僕は体勢を直し、彼女に覆い被さった。
「アウラ・・・・そろそろ・・・」
「うん・・・きて・・・クロア君・・・」
ゆっくりと腰を押し進め、彼女の中にムスコを挿し込んでいく。つぷっと音がし、湿った彼女の中に先っぽがはいったとき、ぼくの脊髄にたとえようもない激しい快感が走った。
せ、せまいっ。あの満月の夜にアウラとしたときよりっも狭くなった今のアウラの中はそれでいて、僕のムスコを受け入れるように中へ、中へ、と律動していた。こ、これが魔物娘の中か、と感嘆する余裕もなく、僕はどんどんと腰を押し進めていく。
「うぅ・・・アウラの中、いいよ・・・っ狭くって、しめつけてきて、それでいてとろとろで・・・っ」
「そ、そんないやらしくいわないでぇッ。く、クロア君が入ってきてるのわかるよっ熱くって、私の中をッ掻き分けてきて・・・っ私のことは気にしなくていいからぁっもっとはやくうごいてぇ・・っ」
「わ、わかった・・・っ」
決して全く気にしていなかったというわけでもないのだが、ゆっくりとしていたわけではなく、アウラの膣穴が狭く、それでいて隙間なくはりつき優しく動く彼女の中の感触があまりにも気持ちよすぎて、素早く動くと、すぐにでも射精してしまいそうだから、ゆっくり動かしていただけだったのだが、彼女が求めてくるのならば、イきそうになるのなんてかまってられない、そう思えるほど、彼女の蕩けた顔は魅力的だった。
くちゅっっ ちゅくっ くちゅっ ちゅっくっと僕は、できるだけ加速させながら腰を回すようにして、ぎゅうぎゅうと締める狭い膣とヒダヒダいっぱいの膣壁を、捏ねまわし、どんどんあふれてくる彼女の愛液で音を立て彼女の中へとつきこみ続ける。
「いいぃっ気持ちいい!っすごぃっ前よりもずっと感じるぅぅぅっ!」
「ああああっアウラの膣っ僕のを奥に奥にってしめつけてきて、吸い取られそうだよっ!」
「だ、だって!クロア君のが気持ちよすぎるのぉ!わ、私のなかをぐりぐりぃって掻き分けてきてっ!それでぐぐぐっと私の中をえぐってくのぉっ!」
アウラはそう叫びながら、僕のことを離さないっと主張するかのようにその人形のような細い足を僕の腰にまわして組む。
そのうちに僕は、もうアウラの身体が小さくなっているということもかまわずに力いっぱい彼女の中へと腰を力いっぱいたたきつけ、くにくにっとするアウラの子宮口に僕は息子の先っぽをコンコンッゴンゴンッとつつかせる。
「あふうぅぅぅっ!それいいぃっすごぃっ、飛んじゃいそう!」
「ううっうっく!・・・くっぅ!いいっ、僕もいいよ!アウラ!」
目の前がスパークして真っ白くなってしまうほどの快感が、僕とアウラの中を駆け巡りどんどんと高みへと上っていく。
やがて、その快楽が頂点へと達し、どちらかともなく叫ぶ。
「あああああぁっいいいよぉ!クロア君!わ、私っも、もうぅぅ!」
「ぼ、僕もだっ!アウラ!で、出るよっ!またアウラの中に出すよ!」
「うん!き、きてぇ!私の中、クロア君ので真っ白く染めてぇ!」
子宮口に自らの尿道をぐいっと押し付けると、ぐっと腰に力をこめ、今まで我慢に我慢をしてきた欲望の奔流を解き放つべく準備する。
「うぐぅうっ、でるぅぅっ」
ドピュビュゥッ ドビュッ ドクドクドクドクと、音がしそうなほどの勢いで、アウラの子宮の中に直接注がれていく僕の精液。
「ま、まだでるぅっ・・・」
「クロア君のが来てるのわかるよ!私の子宮がクロア君ので満たされてくぅ!に、妊娠しちゃいそうぅぅ!」
ビュルッビュルルッというう音をたてたまった精液のすべてをアウラの中に流しこみ、魂まで吐き出してしまうかと思ったほど長かった射精は終わった。
思わず、アウラとつながったまま、彼女の隣に倒れこんでしまう。
「す、すごかった・・・」
「わ、私も・・・あのままとんでっちゃいそうになったよ・・・・」
かなり冗談にならないことをアウラが言うので、僕は突然不安になって、思わず彼女の小さな手を握ってしまう。
「アウラ、どこにも行かないで僕の隣にいてくれ・・・・」
そう呟くと、彼女はぽかんとした顔になり、次の瞬間、優しい笑顔になって、僕の頭をぎゅっとその胸に抱え込んで抱きしめた。
「大丈夫、私はずっと貴方の隣にいるよ。だから、安心して、もうどこにもいかないから」
「・・・・うん」
そのまま、僕はガクンと意識のブレーカーが落ちるように気絶してしまった。いつもいつもなさけないなぁ、と自分の気絶のしやすさに、くすくすと笑うアウラの声を聞きながら、完全におちる前のわずかに残った意識で思った。
† † †
翌日、僕は愛しいアウラに見送られ、いつも通り仕事にきていた。
昨日あんなことがあって、きっとニアは出てこないものだと思ったが、普通に畑の脇で巨大なバトルアックスを振り回していて安心した。
やはり、すぐに泣き寝入りしてしまった僕よりも遥かに凄いやつだなぁ、とニアのことを改めて尊敬しながら、その背後に声をかけた。
「ニア、おはよう」
「ん、おう。どうだった?」
「一世一代の告白劇をして何とかOKをもらったよ」
ハハハと僕は笑いながら、彼女の隣に腰を落とし、告白劇の詳細は省いたが、昨日どんなことを言ったか、どんなことを言われたのか、彼女がどんな女の子だったのかを話した。一番の親友で一番迷惑をかけてしまった彼女だけには事情を話しておきたかったのだ。
ときどきピュンピュンとバトルアックスの刃がけっこう近いところをすり抜けていくが、彼女ならふっとばしたりしないから安心だ。
まぁ、切られてもしょうがないことをしたが。
「へぇ、お前が告白ねぇ」
「意外だとおもった?僕もだよ」
「で、相手は?きてないのか?」
彼女はバトルアックスを振る手をとめ、ドズンッと脇に放るとキョロキョロとあたりを見回した。
「来てないよ。まだ、今の身体になって慣れてないから気を抜くとこけるようになっちゃったんだ」
「ふーん。ま、しようがないわな。いままで新月の間だけだった身体が、いつもの身体になったんだから」
重心もかわるしな、彼女が言った。僕としては、どじっこのようになって、余計かわいらしくなったと思ったのだが、それをいったらバカップル、と返されてしまった。
と、どこからか、クロアくーんという声が響いてきた。
「ぁ」
「ぉ、うわさをすれば影ってか」
遠くから走ってくる黒い彼女の姿を二人で見ながら、ニアはいった。
「クロア、俺はまだお前が好きだ。これだけは言っておく」
「ぇ?」
僕がニアの言葉に聞き返すと、彼女はそれに返事をしようとはせず、どんっと草むらから抜け出して、アウラの前に立ちはだかった。
進路を防がれたアウラは驚いた顔をしてニアを見た。
「な、なんですか?」
「・・・クロアの面倒、しっかり見ろよ。でないと、俺が取っちまうからな」
ふんっと鼻を鳴らして言う彼女を不思議そうに見ていたアウラは、まじまじとニアの顔を見て、そしてニッコリ、と笑った。
「当たり前です。私はゴースト種ですからね。貴方よりもクロア君と長く一緒にいられるんですよ?」
死んでからも幽霊として、ね、と彼女は、板に付いたいたずらっぽい笑顔でそういった。
「ふん、幽霊になってもしつこく付きまとうってか」
「えぇ、貴方みたいにちっちゃいころから一緒にいても、一線を超える勇気がなかったひととは違うので」
「ぬかしてろ、ストーカー」
言葉は荒々しいというか、ケンカのようだが、彼女らの声音と顔は優しく、お互い言うほど仲が悪くないようだ。僕は、はぁっと嘆息して空を見上げた。
満月も、新月もない昼間の青空は、とてもすみわたっていて、青い空が広がっていた。
思うのは、死んでしまったアウラ。彼女が好きだったという心も本心だが、今はその隙間のすべてを今のアウラが愛しいという気持ちで埋め尽くされている。
悪女と愚者とドッペルゲンガーの劇はここでお仕舞い。そう思うと僕の口から自然と言葉が漏れていた。
「さよなら」
それが、彼女に向けた言葉なのかはわからない。
11/08/27 21:26更新 / うぃる こと 7
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