届けこの想い 煙突から冬空のかなたに
頃は12の月、冬至を過ぎ年の瀬が迫る24の日の夜。
粉雪舞い散る街の一角に、サバトと言う魔女の集まりがあります。
レンガ造りのやや大きな二階建ての建物。
その一角にある部屋で、ちょっと可愛いたくらみが進行していました。
よい子はもう寝る時間だというのに、三人の女の子…
いえ、三人の魔女が部屋に明かりも灯さず、僅かなランタンの明かりで
なにやらこそこそと作業しているではありませんか。
「ウルちゃ〜ん、煙突終わった〜」
「おっけーフーちゃん！わたしもあと少しで終わるわ！」
「うん、いいにおいなのですよ。これなら大丈夫なのですよー」
暗く寒い中、パジャマ姿で作業する三人はつらそうには見えず、
寧ろ楽しんでいる余裕すら見える。なぜなら…
「かっんせ〜い！じゅんびかんりょ〜！」
「後はサンタさんが来るのを待つだけね」
「楽しみなのですよー」
……恐ろしいことに、三人の魔女はサンタを捕獲する気らしいのだ。
12の月25日目はクリスマス。人と魔物娘がいつも以上にいちゃつく
…もとい愛し合う日であり、
さらにその前日である24の日は次の日のために英気を養う日であると同時に、
まだ純粋無垢な子供たちのために、夜になるとサンタさんがプレゼントを持ってきてくれます。
ただし、サンタさんが暮れるプレゼントには一定のランダム性があり、
さらに姿が見えないうちにプレゼントを置いて去ってしまうという徹底した隠密性、
いい子にしていないと出現条件を満たさないというベリーケアフルなイベントなのです。
三人の魔女たちはどうしても欲しいプレゼントがあります。
しかしながら、そのプレゼントはやや難しい物らしく、
どうしてもサンタさんに直接お願いしたいらしいのです。
そこで…
「じゃ、最後にもう一回手順を確認しよっか」
「えっと、まずはエルちゃんが作ったこの『おいしそうな匂いがするお香』で
サンタさんをここの煙突に引き寄せて……」
「自信作なのですよー」
「うん、い〜におい！クリスマスチキンの匂いだ〜！」
「サンタさんが思わず煙突を覗き込んだら、
ウルちゃんの罠が発動！サンタさんは煙突に吸い込まれちゃいます！」
「威力は実証済みっ！」
「そのまま落ちちゃ危ないから、下に敷いたゴムクッションで
ボヨヨ〜ン！ってかんじで暖炉から出てくる！そして最後に！」
「この魔法陣で捕まえちゃうのですよー！」
「捕まえたらあの手この手を使って……」
「プレゼントをおねだりしちゃうのですよー」
「まさに完璧っ☆」
罠の完成によろこぶ三人でしたが、
他の子はもう寝ていることを思い出してすぐに静かにしました。
「あ、もうこんな時間！」
「この布団で寝た振りをして待ち伏せするのですよー」
「上手くいくかたのしみ〜」
三人でもぞもぞと布団の中に身を隠します。
あまり意味無いような気もしますが、この方が暖かいのです。
「ところでエルちゃん、プレゼントは何が欲しいの？」
「ふふふ…ナイショなのですよー。ウルちゃんは？」
「うーん、私も内緒〜♪」
「教えてくれたっていいのにー！じゃあ私も内緒ね！」
…
クリスマスイブからクリスマス当日へと日付が変わる頃、
世界各地でサンタさんたちは活動を開始します。
ザッ
「んっと、次は…ここかな？」
サバトのある大きな建物の屋根にサンタさんが来ました。
赤い布地に白の縁取りといかにもな格好で、くすんだ蒼色髪の若い男性のサンタさんです。
サンタさんと言えば、普通は立派な白ひげを蓄えた恰幅のいい老人を
思い浮かべるかもしれませんが、サンタさんが老人だけだったのは昔の話。
かつては威厳バリバリの職人気質なサンタ長さんがサンタさんたち率いていて、
50年以上の厳しい修業を積んだ男性しかサンタさんになることができませんでした。
少数精鋭主義でしたので、必然的にプレゼントを配ることができる家庭も少なくなり、
特別なよい子にしかプレゼントがいきわたらなかったそうです。
ところがある年、サンタさんの村がリリム率いるサキュバスに侵攻されてしまい、
サンタさんたちは魔族たちの支配下に入ることになってしまいました。
リリムの指示でそれまでのサンタさんたちの方針を改革した結果、
サンタさんは男女どころか人魔問わず大量採用され、
どの子どもにも平等にプレゼントがいきわたるようになったとか。
そしてこの若い男性のサンタさん、プロのサンタさんではなく
普段は自身が唯一使える転移魔法を使って郵便配達をしています。
ついでに、年明けにはジパングで年賀状配達もする予定だそうです。
「玄関は閉まってるっぽいし、窓もやめた方がいいみたい。
ま、オードソックスに煙突から入って………ん？
なんかいい匂いがする…クリスマスチキンの匂い？
まだこの家の人が起きてるのかなぁ？」
サンタさんは見つかってはいけないので、慎重に行動しなくてはいけません。
下に人がいないかどうかを確認するために煙突を覗き込みました。すると…
ズッ
「え？」
ズオオオオオォォォォォ
（ええええええええええええええええええええええええ！！！！？？？？）
魔女たちが仕掛けた罠が発動したのです。
サンタさんは風魔法で身体ごと煙突の中に吸い込まれてしまいました。
さぞかしびっくりしたことでしょう。
（お、落ちるっっ！！）
このままでは暖炉に落ちて身体を強打してしまうと思いましたが
何か弾力性があるものが下に敷いてあったらしく、
ボインと音を立てながら反動で暖炉から部屋に放り出されてしまいました。
「わっと、い…いったい何！？」
訳も分からず放り出されたサンタさんが見たのは、
明りのないやや広い部屋。そしてやけにもっこりしている布団があります。
「えっと…」
呆然とするサンタさんに、最後の罠が襲いかかります。
パアアアァァァ……
「わあ！？床が光ってる！？…違う、これは魔法陣だ！」
今まさに倒れている場所を中心に魔法陣が淡く光っています。
そして身体を動かそうにも体の自由が利きません。
なぜならこの魔法陣は、捕獲用の魔法陣なのですから。
『サンタさん捕まえた！！』
作戦は大成功！三人の魔女たちはサンタさんの捕獲に成功しました。
隠れていた布団から出て、早速部屋に明かりをともします。
「サンタさん、ようこそ私達のおうちへ！」
「こんばんわなのですよー！」
「そして初めまして〜」
「しまったああぁぁ…子供たちに見つかってしまった……」
魔女たちは一斉にサンタさんの元に駆け寄ります。
「はわー！おにいさまのサンタさんなのですよー！」
「う…うん…」
「かっこいいサンタさんだ〜」
「そ、そんな…かっこいいだなんて……」
「きゃっ！ステキ！まさに私の理想のサンタさんね！」
「照れるなぁ……って照れてる場合じゃない！
君たち、何でこんなことをするんだい？いい子はもう寝る時間でしょ。
ちゃんと寝ない子にはプレゼントをあげないよ？」
「あのね、私達ね、サンタさんにどうしても欲しい物があるからお願いしたいの！」
「でもその前に…私たちがいい子だってこと知ってもらわなきゃ。」
「サンタさんを歓迎するのですよー！」
「歓迎してくれるのは嬉しいんだけど、出来たら体を動かせるようにしてほしい…」
「がっでむ、今は無理です。」
「なんでさ…」
「よし！サンタのお兄ちゃんによろこんでもらうよ！」
『おーー！！』
…
「くちゅ、ちゅぶ、ちゅば…」
「ん……んんっ！？」
粘着質な水音をたてて、舌同士が絡み合う。
口の中だけではなく。右手の指先とはだけた胸元にも
ちいさく、生ぬるく、ねちょっとした感覚がはしる。
男性は身体を満足に動かせられないように魔法陣で拘束され、
三人の魔女によって各所を責められている。
「ぷはぁっ。はぁ…はぁ…サンタのおにいちゃんとファーストキスしちゃった♪」
「ま、まって…なんでこんなことを……んぷっ！？」
一度離れた舌が再び口内に差し入れられ、絡み合うように蠢き、
舌と舌が擦れて、なんともいえぬ心地よさがもたらされる。
こんな淫らな好意を、見た目まだ年端もいかぬ少女と
行っているのがいまだに信じられないくらいだ。
「はむっ…おにいさまのおてて、とっても大きいのですよー。」
「サンタさんって結構細そうに見えたけど、こんなにがっちりしてるんだ〜」
他の二人も指に胸板に積極的に舌を這わせ、
その動きがさらに男性の身体を刺激する。
「どう、エルちゃん。サンタさんのおちんちん、もう大きくなったかな？」
「んしょ…んしょ…待っててください、今ベルト外すのですよ……」
カチャリ
「！？」
「ベルトが外れたのですよ！」
「わぁい！早速サンタさんのおちんちんとご対面だ〜」
「あ！私にも見せて！」
「や、やめて！恥ずかしいから！」
必死にやめるよう促すが、好奇心の為すままの魔女たちを止めることは叶わない。
あっという間に赤色のズボンを脱がされ、同時に下着も躊躇なくめくられる。
「こ、これがサンタおにいちゃんの……」
「わっ。かっちかちだ♪」
「初めて見たのですよー！」
「あう…」
彼の一物は魔女たちから与えられた性的興奮で硬くそそり立っている。
実物を見るのが初めての彼女たちは興味深々だ。
「それじゃあ、今度はこっちにもキスしてあげる。」
「わ、わたしもしたいのですよー！」
二人の唇が同時に彼の一物を包み込む。
「ちゅっ……ちゅっ……」
「ちゅぷ……レロレロ……」
「くうっ、ああっ…そ、それ…」
何度かついばむようにキスしてから、先端を舐めまわす。
舌を動かすたびに与えられる道の快感に、彼は身体を震わせる。
「今度は私とキスしよ〜ね、サンタさん♪んちゅっ……ふ、んんっ」
キスにフェラチオ、手コキなどを駆使して快楽を与える三人。
見た目が小さい女の子であるだけに、一種の背徳感を伴った気持ちよさが彼を襲う。
数分が経ち、三人の魔女に代わる代わる責められた
彼の我慢もそろそろ限界に達しようとしている。
「く、ううぅ……」
「ん…サンタさんのおちんちんからおつゆたくさん出てきたよ」
「感じてくれて嬉しいのですよー」
「ここで出しちゃってもいいよ。私たちが全部受け止めてあげる♪」
「そんな…あ、うあっ！ま、まって！出るっ…顔を離して！」
次の瞬間、彼の一物が快感に耐えられず精液を噴き出し、
加えていた二人の魔女の顔面を直撃すした。
「きゃっ！？」
「あっ！で、でてる…！」
吐き出された子種は二人の顔を白濁に染め上げ、
一部は神の毛や胸にも飛散していた。
「たくさん出たね、サンタのお兄ちゃん♪」
「ぜー…ぜー…まさかこんなことになるなんて…」
「あ、でもおちんちんまだカチカチなのですよー」
「おにいちゃんまだ満足してないの…だったら私、もっとがんばる！」
「ウルちゃん…うん、がんばって！」
「あう、私もしたかったのですよぅ」
何を？と、思う間もなく魔女の一人が彼の一物の上に跨った。
「ま…まさか…」
「うん、おにいちゃんにはこっちでも気持ちよくなって欲しいから…
いくよ……ん、ああ…はあっ……」
「う、うそだろう…」
未成熟な身体が彼の屹立をゆっくりと呑みこんでいく。
中は非常に狭く、窮屈で、苦戦しながら奥に奥にと受け入れる。
やがて、何かがちぎれるような感覚がしたと思うと
一物の先が柔らかい壁のようなものにこつんとぶつかった。
「ん、ちょっと…いたいかもだけど、大丈夫みたい。動くね……」
「うおっ！こ…これは……」
どうやら彼は、性交は未経験だったようだ。
「じゃ、じゃあ私はお股を舐めてもらうのですよー」
「んふっ！？んぅ……」
「あ、ずる〜い！じゃあ私は手でしてもらうもん！」
残る二人も顔や手に跨り、自身の性器を押しあてる。
こうなるともはや相手を喜ばせているのか、
自分たちが気持よくなりたいだけなのかわからなくなっていた。
「いやぁっ！おにいちゃんのおちんちん…熱くて…大きくて…
私のお腹…裂けちゃう、かも……あっ！でも、すごく気持ちいい！」
「サンタのお兄ちゃんの手が、私のお股に当たって……
はうぅ、指が入ってきてる……こ、こんなの初めて！」
「おにいさまごめんなさいなのですよう…
私のここ…汚いかもしれませんが、好きなように
ペロペロして欲しいのですよ！」
そして…
今度は先ほどよりも短時間で、彼は絶頂を迎えてしまう。
先ほどの数倍の快感の波は、そう我慢していいか分からなかったのだ。
「う……く、ふわぁっ！？んんんんっ！」
「あっ…あっ！で、出てる！おにいちゃんのせーしが私の中にいいぃぃぃ！！」
「わ…わたしももうダメなのですよ！ひあああぁぁぁっ！」
「エル…ちゃん、ウルちゃん…そんな大きな声…出したら……ばれ…、あ…
いくっ！わたしもいっちゃうううううううぅぅぅっ！！」
四人が絶頂を迎えたところで、
魔女たちによる歓迎会は一段落した。
…
「どうですかおにいさま…気持ちよかったですか？」
「うん、まあ…ね。とっても…気持ちよかったよ。」
「うれしい。私も頑張ってよかった♪」
「私達も一緒に気持ち良くなっちゃってたけどね…」
くんずほぐれつの大乱交の後…
四人は、布団の中で一糸まとわぬ姿で寄り添っていました。
こうして寄り添っていると、お互いの体温が直接肌に伝わって
身体だじゃなくて心まで温かくなってきます。
「サンタのお兄ちゃん、私達……いい子だって認めてくれる？」
「ふぅ……仕方がない子たちだな。でも、大丈夫…
君たちがいい子だってことはここに来る前からちゃんと分かってるからね。」
「はやー、そうなのですか！さすがおにいさまなのですよー。」
実はサンタさんたちはあらかじめプレゼントを配る予定を立ててあります。
だからこそ、ちゃんとすべてのよい子にプレゼントがいきわたるんです。
「私達ね、どうしても欲しい物があるの。」
「だからね、こうして直接お願いするの。」
「私達のお願いを聞いてほしいのですよ。」
「そうだなぁ……」
サンタさんは一瞬困ったような表情をしましたが、
すぐに笑顔に切り替えました。
「何が欲しいのかな？いってごらん。」
『わたし、サンタさんがほしい（のですよ）！！』
「……………はい？」
お願いは全員同じ物。しかもよりによってサンタさん…
魔女三人は、お互いの顔を見てキョトンとしてしまいました。
どうやら本当にお互いが何が欲しいか知らなかったようです。
「え！？もしかしてフーちゃんも？」
「そういうウルちゃんも？ふえ…どうしよう…」
「同じだったなんて思わなかったのですよ…」
「ええっとね……君たち。少し話を聞いてくれるかな。」
サンタさんは少し困った顔をしながら、話し始めました。
「僕たちサンタさんは、何でプレゼントを置いたら帰っちゃうか知ってるかい？
それはね、僕たちは沢山の子供たちにプレゼントを配らなきゃいけないからなんだ。
本当は…ここで休んでいる間にも届けなきゃならないプレゼントが一杯ある。
そのために僕たちサンタさんはいるんだからね。こう見えても忙しいんだよ。
世界のいい子たちのために、僕たちサンタさんは働いてる。
だからね、僕はみんなのために存在するんだ。残念だけど…
サンタさんを独り占めにすることはできないんだ。わかってほしいな…」
『……………………』
三人とも黙ってしまった。
自分たちが、とんでもないわがままを言っていたことにようやく気が付いたのだから。
「さてと、そういえば君たちの名前を聞いてなかったね。お名前は？」
「わたしフリーダ。フーちゃんって呼ばれてるよ。」
「私はウルリーカだよ。よろしくね。」
「わ、わたしはエルシーなのですよ。」
「フリーダちゃんにウルリーカちゃん、エルシーちゃんね。
君たちのプレゼントは……」
サンタさんはそばに転がっていた袋を探ると、中から三つの箱を取り出しました。
「はい、これはフリーダちゃん。」
「ありがとうサンタのお兄ちゃん！」
「これはウルリーカちゃんのね。」
「やったー！ありがとう！」
「そしてこれがエルシーちゃんの。」
「おにいさま、ありがとうございますなのですよー」
「三人ともちゃんとお礼が出来て、えらいね。」
「ここで開けてもいい？」
「うん、いいよ。」
「ワクワクなのですよー」
三人はその場でがさごそと包みを開いてく。
そして、箱を開けるとそこには……
「あれ？紙？」
「紙だねぇ…」
「何の紙なのでしょう？」
「…………さあ、僕は中身知らないからなんとも。」
ちなみに、プレゼントを配るサンタさんはプライバシー保護のために、
プレゼントの中身は教えてもらっていないらしい。
「えーっと…
『おめでとう！この箱を開けたあなたには、なんとサンタさんをプレゼントします！』
だって………え？」
「あ、私の紙にもそう書いてあるのですよー」
「私も…」
「え！？ちょっとまった…本当に………あ、本当だ。」
「ってことは………」
ということは
『やったー！！サンタさんがお兄ちゃんになってくれるんだ（なのですよー）！！』
「ちょっとちょっとちょっと！なんだこれ！え…うそ…だがしかし…」
「ふふふ、観念するのねヨーシア。」
「そ、その声はサンタ長！！」
いつからそこにいたのかは知らないけど、暖炉のそばにリリムがいました。
しかもその服装は赤と白を基調としたサンタ服を着ているのですが、
露出度9割―控えめに見ても冬に着るべき格好ではない―の妖艶な衣装でした。
「はじめまして。私は一番偉いサンタさんなの。
あなたたちはここ一年間毎日よく頑張ったから、私からの特別プレゼントよ。」
「で、ですがサンタ長…僕にはまだ配らなくてはならない物が…」
「ヨーシアの分は私が代わりに配っておくわ。どうせ残りは全部、
このサバトにいる魔女たちの分だからすぐに終わるわよ。
ときにヨーシア。あなた日ごろから結婚したいって言ってたわよね。」
「言ってましたっけ？」
「言ってたってことにしておきなさい。だからこの際、
あなたの結婚相手もできて、一挙両得だと思うのよね。」
「ねえサンタ長さん！本当にサンタさんを私達のお兄ちゃんにしていいの？」
「ええ、サンタさんはうそつかないわ。」
「うれしいのですよー！サンタ長さんのことは一生忘れないのですよ！」
「いえいえ、そのかわり…四人でいつまでも幸せに暮らすのよ。」
「はい！わかりました！」
「サンタのお兄ちゃんサンタのお兄ちゃん…じゃなくてヨーシアおにいちゃん！
さっきの続きしよー！今度は私のお腹にせーしちょうだい！」
「私もほしいのですよう！」
「ははは……本当に訳分からない。でも…なんだろう、僕も嬉しいな。
フリーダ、ウルリーカ、エルシー、これからずっとよろしくね。」
『うん！』
「ふふふ、メリークリスマス♪」
サンタ長はまた忽然と姿を消し、
部屋には今誕生したばかりの新し夫婦たちが愛を確かめ合っていました。
雪が降り積もる小さな町のサバトを舞台にした、
ちょっと幸せなお話でした。
………
所変わって、同じサバトの建物の一階では
先ほどのサンタ長と、サバトの管理人らしきバフォメットが
わずかな明かりの中でゆっくりと紅茶をたしなんでいた。
「ほっほっほ、これでまた今年のサバトは活気が増すというものじゃ。」
「それはなによりね。ヨーシアならきっとあの子たちと上手くやっていけるわ。」
「もしかしたらまた来年も頼むかもしれぬが、用意してくれるかの？」
「そうね……あら、そう言えばお茶菓子はどうしたのかしら？」
「おっとそうじゃったな。これなんかどうじゃ。」
バフォメットは棚の上から『銘菓 ひよこ』と書かれた菓子折を取り出すと、
それをテーブルの真ん中に置き、スッとサンタ長の方に差し出した。
サンタ長が箱を開けると…中には何やら怪しげな液体の入ったビンや
何とも形容しがたい器具が入っていた。
……いわゆる『恋魔法』の薬や道具らしい。
「…バフォメット。おぬしも悪よのう。」
「いえいえ、サンタ長様ほどでは……」
「ふふふ…」
「かかか…」
「『サンタのおにいちゃん』が入り用ならいつでも言ってちょうだい♪」
「またよろしく頼むのじゃ♪」
悪い笑みを浮かべながら、サンタ長とバフォメットは
再び真夜中のお茶会を再開した。
粉雪舞い散る街の一角に、サバトと言う魔女の集まりがあります。
レンガ造りのやや大きな二階建ての建物。
その一角にある部屋で、ちょっと可愛いたくらみが進行していました。
よい子はもう寝る時間だというのに、三人の女の子…
いえ、三人の魔女が部屋に明かりも灯さず、僅かなランタンの明かりで
なにやらこそこそと作業しているではありませんか。
「ウルちゃ〜ん、煙突終わった〜」
「おっけーフーちゃん！わたしもあと少しで終わるわ！」
「うん、いいにおいなのですよ。これなら大丈夫なのですよー」
暗く寒い中、パジャマ姿で作業する三人はつらそうには見えず、
寧ろ楽しんでいる余裕すら見える。なぜなら…
「かっんせ〜い！じゅんびかんりょ〜！」
「後はサンタさんが来るのを待つだけね」
「楽しみなのですよー」
……恐ろしいことに、三人の魔女はサンタを捕獲する気らしいのだ。
12の月25日目はクリスマス。人と魔物娘がいつも以上にいちゃつく
…もとい愛し合う日であり、
さらにその前日である24の日は次の日のために英気を養う日であると同時に、
まだ純粋無垢な子供たちのために、夜になるとサンタさんがプレゼントを持ってきてくれます。
ただし、サンタさんが暮れるプレゼントには一定のランダム性があり、
さらに姿が見えないうちにプレゼントを置いて去ってしまうという徹底した隠密性、
いい子にしていないと出現条件を満たさないというベリーケアフルなイベントなのです。
三人の魔女たちはどうしても欲しいプレゼントがあります。
しかしながら、そのプレゼントはやや難しい物らしく、
どうしてもサンタさんに直接お願いしたいらしいのです。
そこで…
「じゃ、最後にもう一回手順を確認しよっか」
「えっと、まずはエルちゃんが作ったこの『おいしそうな匂いがするお香』で
サンタさんをここの煙突に引き寄せて……」
「自信作なのですよー」
「うん、い〜におい！クリスマスチキンの匂いだ〜！」
「サンタさんが思わず煙突を覗き込んだら、
ウルちゃんの罠が発動！サンタさんは煙突に吸い込まれちゃいます！」
「威力は実証済みっ！」
「そのまま落ちちゃ危ないから、下に敷いたゴムクッションで
ボヨヨ〜ン！ってかんじで暖炉から出てくる！そして最後に！」
「この魔法陣で捕まえちゃうのですよー！」
「捕まえたらあの手この手を使って……」
「プレゼントをおねだりしちゃうのですよー」
「まさに完璧っ☆」
罠の完成によろこぶ三人でしたが、
他の子はもう寝ていることを思い出してすぐに静かにしました。
「あ、もうこんな時間！」
「この布団で寝た振りをして待ち伏せするのですよー」
「上手くいくかたのしみ〜」
三人でもぞもぞと布団の中に身を隠します。
あまり意味無いような気もしますが、この方が暖かいのです。
「ところでエルちゃん、プレゼントは何が欲しいの？」
「ふふふ…ナイショなのですよー。ウルちゃんは？」
「うーん、私も内緒〜♪」
「教えてくれたっていいのにー！じゃあ私も内緒ね！」
…
クリスマスイブからクリスマス当日へと日付が変わる頃、
世界各地でサンタさんたちは活動を開始します。
ザッ
「んっと、次は…ここかな？」
サバトのある大きな建物の屋根にサンタさんが来ました。
赤い布地に白の縁取りといかにもな格好で、くすんだ蒼色髪の若い男性のサンタさんです。
サンタさんと言えば、普通は立派な白ひげを蓄えた恰幅のいい老人を
思い浮かべるかもしれませんが、サンタさんが老人だけだったのは昔の話。
かつては威厳バリバリの職人気質なサンタ長さんがサンタさんたち率いていて、
50年以上の厳しい修業を積んだ男性しかサンタさんになることができませんでした。
少数精鋭主義でしたので、必然的にプレゼントを配ることができる家庭も少なくなり、
特別なよい子にしかプレゼントがいきわたらなかったそうです。
ところがある年、サンタさんの村がリリム率いるサキュバスに侵攻されてしまい、
サンタさんたちは魔族たちの支配下に入ることになってしまいました。
リリムの指示でそれまでのサンタさんたちの方針を改革した結果、
サンタさんは男女どころか人魔問わず大量採用され、
どの子どもにも平等にプレゼントがいきわたるようになったとか。
そしてこの若い男性のサンタさん、プロのサンタさんではなく
普段は自身が唯一使える転移魔法を使って郵便配達をしています。
ついでに、年明けにはジパングで年賀状配達もする予定だそうです。
「玄関は閉まってるっぽいし、窓もやめた方がいいみたい。
ま、オードソックスに煙突から入って………ん？
なんかいい匂いがする…クリスマスチキンの匂い？
まだこの家の人が起きてるのかなぁ？」
サンタさんは見つかってはいけないので、慎重に行動しなくてはいけません。
下に人がいないかどうかを確認するために煙突を覗き込みました。すると…
ズッ
「え？」
ズオオオオオォォォォォ
（ええええええええええええええええええええええええ！！！！？？？？）
魔女たちが仕掛けた罠が発動したのです。
サンタさんは風魔法で身体ごと煙突の中に吸い込まれてしまいました。
さぞかしびっくりしたことでしょう。
（お、落ちるっっ！！）
このままでは暖炉に落ちて身体を強打してしまうと思いましたが
何か弾力性があるものが下に敷いてあったらしく、
ボインと音を立てながら反動で暖炉から部屋に放り出されてしまいました。
「わっと、い…いったい何！？」
訳も分からず放り出されたサンタさんが見たのは、
明りのないやや広い部屋。そしてやけにもっこりしている布団があります。
「えっと…」
呆然とするサンタさんに、最後の罠が襲いかかります。
パアアアァァァ……
「わあ！？床が光ってる！？…違う、これは魔法陣だ！」
今まさに倒れている場所を中心に魔法陣が淡く光っています。
そして身体を動かそうにも体の自由が利きません。
なぜならこの魔法陣は、捕獲用の魔法陣なのですから。
『サンタさん捕まえた！！』
作戦は大成功！三人の魔女たちはサンタさんの捕獲に成功しました。
隠れていた布団から出て、早速部屋に明かりをともします。
「サンタさん、ようこそ私達のおうちへ！」
「こんばんわなのですよー！」
「そして初めまして〜」
「しまったああぁぁ…子供たちに見つかってしまった……」
魔女たちは一斉にサンタさんの元に駆け寄ります。
「はわー！おにいさまのサンタさんなのですよー！」
「う…うん…」
「かっこいいサンタさんだ〜」
「そ、そんな…かっこいいだなんて……」
「きゃっ！ステキ！まさに私の理想のサンタさんね！」
「照れるなぁ……って照れてる場合じゃない！
君たち、何でこんなことをするんだい？いい子はもう寝る時間でしょ。
ちゃんと寝ない子にはプレゼントをあげないよ？」
「あのね、私達ね、サンタさんにどうしても欲しい物があるからお願いしたいの！」
「でもその前に…私たちがいい子だってこと知ってもらわなきゃ。」
「サンタさんを歓迎するのですよー！」
「歓迎してくれるのは嬉しいんだけど、出来たら体を動かせるようにしてほしい…」
「がっでむ、今は無理です。」
「なんでさ…」
「よし！サンタのお兄ちゃんによろこんでもらうよ！」
『おーー！！』
…
「くちゅ、ちゅぶ、ちゅば…」
「ん……んんっ！？」
粘着質な水音をたてて、舌同士が絡み合う。
口の中だけではなく。右手の指先とはだけた胸元にも
ちいさく、生ぬるく、ねちょっとした感覚がはしる。
男性は身体を満足に動かせられないように魔法陣で拘束され、
三人の魔女によって各所を責められている。
「ぷはぁっ。はぁ…はぁ…サンタのおにいちゃんとファーストキスしちゃった♪」
「ま、まって…なんでこんなことを……んぷっ！？」
一度離れた舌が再び口内に差し入れられ、絡み合うように蠢き、
舌と舌が擦れて、なんともいえぬ心地よさがもたらされる。
こんな淫らな好意を、見た目まだ年端もいかぬ少女と
行っているのがいまだに信じられないくらいだ。
「はむっ…おにいさまのおてて、とっても大きいのですよー。」
「サンタさんって結構細そうに見えたけど、こんなにがっちりしてるんだ〜」
他の二人も指に胸板に積極的に舌を這わせ、
その動きがさらに男性の身体を刺激する。
「どう、エルちゃん。サンタさんのおちんちん、もう大きくなったかな？」
「んしょ…んしょ…待っててください、今ベルト外すのですよ……」
カチャリ
「！？」
「ベルトが外れたのですよ！」
「わぁい！早速サンタさんのおちんちんとご対面だ〜」
「あ！私にも見せて！」
「や、やめて！恥ずかしいから！」
必死にやめるよう促すが、好奇心の為すままの魔女たちを止めることは叶わない。
あっという間に赤色のズボンを脱がされ、同時に下着も躊躇なくめくられる。
「こ、これがサンタおにいちゃんの……」
「わっ。かっちかちだ♪」
「初めて見たのですよー！」
「あう…」
彼の一物は魔女たちから与えられた性的興奮で硬くそそり立っている。
実物を見るのが初めての彼女たちは興味深々だ。
「それじゃあ、今度はこっちにもキスしてあげる。」
「わ、わたしもしたいのですよー！」
二人の唇が同時に彼の一物を包み込む。
「ちゅっ……ちゅっ……」
「ちゅぷ……レロレロ……」
「くうっ、ああっ…そ、それ…」
何度かついばむようにキスしてから、先端を舐めまわす。
舌を動かすたびに与えられる道の快感に、彼は身体を震わせる。
「今度は私とキスしよ〜ね、サンタさん♪んちゅっ……ふ、んんっ」
キスにフェラチオ、手コキなどを駆使して快楽を与える三人。
見た目が小さい女の子であるだけに、一種の背徳感を伴った気持ちよさが彼を襲う。
数分が経ち、三人の魔女に代わる代わる責められた
彼の我慢もそろそろ限界に達しようとしている。
「く、ううぅ……」
「ん…サンタさんのおちんちんからおつゆたくさん出てきたよ」
「感じてくれて嬉しいのですよー」
「ここで出しちゃってもいいよ。私たちが全部受け止めてあげる♪」
「そんな…あ、うあっ！ま、まって！出るっ…顔を離して！」
次の瞬間、彼の一物が快感に耐えられず精液を噴き出し、
加えていた二人の魔女の顔面を直撃すした。
「きゃっ！？」
「あっ！で、でてる…！」
吐き出された子種は二人の顔を白濁に染め上げ、
一部は神の毛や胸にも飛散していた。
「たくさん出たね、サンタのお兄ちゃん♪」
「ぜー…ぜー…まさかこんなことになるなんて…」
「あ、でもおちんちんまだカチカチなのですよー」
「おにいちゃんまだ満足してないの…だったら私、もっとがんばる！」
「ウルちゃん…うん、がんばって！」
「あう、私もしたかったのですよぅ」
何を？と、思う間もなく魔女の一人が彼の一物の上に跨った。
「ま…まさか…」
「うん、おにいちゃんにはこっちでも気持ちよくなって欲しいから…
いくよ……ん、ああ…はあっ……」
「う、うそだろう…」
未成熟な身体が彼の屹立をゆっくりと呑みこんでいく。
中は非常に狭く、窮屈で、苦戦しながら奥に奥にと受け入れる。
やがて、何かがちぎれるような感覚がしたと思うと
一物の先が柔らかい壁のようなものにこつんとぶつかった。
「ん、ちょっと…いたいかもだけど、大丈夫みたい。動くね……」
「うおっ！こ…これは……」
どうやら彼は、性交は未経験だったようだ。
「じゃ、じゃあ私はお股を舐めてもらうのですよー」
「んふっ！？んぅ……」
「あ、ずる〜い！じゃあ私は手でしてもらうもん！」
残る二人も顔や手に跨り、自身の性器を押しあてる。
こうなるともはや相手を喜ばせているのか、
自分たちが気持よくなりたいだけなのかわからなくなっていた。
「いやぁっ！おにいちゃんのおちんちん…熱くて…大きくて…
私のお腹…裂けちゃう、かも……あっ！でも、すごく気持ちいい！」
「サンタのお兄ちゃんの手が、私のお股に当たって……
はうぅ、指が入ってきてる……こ、こんなの初めて！」
「おにいさまごめんなさいなのですよう…
私のここ…汚いかもしれませんが、好きなように
ペロペロして欲しいのですよ！」
そして…
今度は先ほどよりも短時間で、彼は絶頂を迎えてしまう。
先ほどの数倍の快感の波は、そう我慢していいか分からなかったのだ。
「う……く、ふわぁっ！？んんんんっ！」
「あっ…あっ！で、出てる！おにいちゃんのせーしが私の中にいいぃぃぃ！！」
「わ…わたしももうダメなのですよ！ひあああぁぁぁっ！」
「エル…ちゃん、ウルちゃん…そんな大きな声…出したら……ばれ…、あ…
いくっ！わたしもいっちゃうううううううぅぅぅっ！！」
四人が絶頂を迎えたところで、
魔女たちによる歓迎会は一段落した。
…
「どうですかおにいさま…気持ちよかったですか？」
「うん、まあ…ね。とっても…気持ちよかったよ。」
「うれしい。私も頑張ってよかった♪」
「私達も一緒に気持ち良くなっちゃってたけどね…」
くんずほぐれつの大乱交の後…
四人は、布団の中で一糸まとわぬ姿で寄り添っていました。
こうして寄り添っていると、お互いの体温が直接肌に伝わって
身体だじゃなくて心まで温かくなってきます。
「サンタのお兄ちゃん、私達……いい子だって認めてくれる？」
「ふぅ……仕方がない子たちだな。でも、大丈夫…
君たちがいい子だってことはここに来る前からちゃんと分かってるからね。」
「はやー、そうなのですか！さすがおにいさまなのですよー。」
実はサンタさんたちはあらかじめプレゼントを配る予定を立ててあります。
だからこそ、ちゃんとすべてのよい子にプレゼントがいきわたるんです。
「私達ね、どうしても欲しい物があるの。」
「だからね、こうして直接お願いするの。」
「私達のお願いを聞いてほしいのですよ。」
「そうだなぁ……」
サンタさんは一瞬困ったような表情をしましたが、
すぐに笑顔に切り替えました。
「何が欲しいのかな？いってごらん。」
『わたし、サンタさんがほしい（のですよ）！！』
「……………はい？」
お願いは全員同じ物。しかもよりによってサンタさん…
魔女三人は、お互いの顔を見てキョトンとしてしまいました。
どうやら本当にお互いが何が欲しいか知らなかったようです。
「え！？もしかしてフーちゃんも？」
「そういうウルちゃんも？ふえ…どうしよう…」
「同じだったなんて思わなかったのですよ…」
「ええっとね……君たち。少し話を聞いてくれるかな。」
サンタさんは少し困った顔をしながら、話し始めました。
「僕たちサンタさんは、何でプレゼントを置いたら帰っちゃうか知ってるかい？
それはね、僕たちは沢山の子供たちにプレゼントを配らなきゃいけないからなんだ。
本当は…ここで休んでいる間にも届けなきゃならないプレゼントが一杯ある。
そのために僕たちサンタさんはいるんだからね。こう見えても忙しいんだよ。
世界のいい子たちのために、僕たちサンタさんは働いてる。
だからね、僕はみんなのために存在するんだ。残念だけど…
サンタさんを独り占めにすることはできないんだ。わかってほしいな…」
『……………………』
三人とも黙ってしまった。
自分たちが、とんでもないわがままを言っていたことにようやく気が付いたのだから。
「さてと、そういえば君たちの名前を聞いてなかったね。お名前は？」
「わたしフリーダ。フーちゃんって呼ばれてるよ。」
「私はウルリーカだよ。よろしくね。」
「わ、わたしはエルシーなのですよ。」
「フリーダちゃんにウルリーカちゃん、エルシーちゃんね。
君たちのプレゼントは……」
サンタさんはそばに転がっていた袋を探ると、中から三つの箱を取り出しました。
「はい、これはフリーダちゃん。」
「ありがとうサンタのお兄ちゃん！」
「これはウルリーカちゃんのね。」
「やったー！ありがとう！」
「そしてこれがエルシーちゃんの。」
「おにいさま、ありがとうございますなのですよー」
「三人ともちゃんとお礼が出来て、えらいね。」
「ここで開けてもいい？」
「うん、いいよ。」
「ワクワクなのですよー」
三人はその場でがさごそと包みを開いてく。
そして、箱を開けるとそこには……
「あれ？紙？」
「紙だねぇ…」
「何の紙なのでしょう？」
「…………さあ、僕は中身知らないからなんとも。」
ちなみに、プレゼントを配るサンタさんはプライバシー保護のために、
プレゼントの中身は教えてもらっていないらしい。
「えーっと…
『おめでとう！この箱を開けたあなたには、なんとサンタさんをプレゼントします！』
だって………え？」
「あ、私の紙にもそう書いてあるのですよー」
「私も…」
「え！？ちょっとまった…本当に………あ、本当だ。」
「ってことは………」
ということは
『やったー！！サンタさんがお兄ちゃんになってくれるんだ（なのですよー）！！』
「ちょっとちょっとちょっと！なんだこれ！え…うそ…だがしかし…」
「ふふふ、観念するのねヨーシア。」
「そ、その声はサンタ長！！」
いつからそこにいたのかは知らないけど、暖炉のそばにリリムがいました。
しかもその服装は赤と白を基調としたサンタ服を着ているのですが、
露出度9割―控えめに見ても冬に着るべき格好ではない―の妖艶な衣装でした。
「はじめまして。私は一番偉いサンタさんなの。
あなたたちはここ一年間毎日よく頑張ったから、私からの特別プレゼントよ。」
「で、ですがサンタ長…僕にはまだ配らなくてはならない物が…」
「ヨーシアの分は私が代わりに配っておくわ。どうせ残りは全部、
このサバトにいる魔女たちの分だからすぐに終わるわよ。
ときにヨーシア。あなた日ごろから結婚したいって言ってたわよね。」
「言ってましたっけ？」
「言ってたってことにしておきなさい。だからこの際、
あなたの結婚相手もできて、一挙両得だと思うのよね。」
「ねえサンタ長さん！本当にサンタさんを私達のお兄ちゃんにしていいの？」
「ええ、サンタさんはうそつかないわ。」
「うれしいのですよー！サンタ長さんのことは一生忘れないのですよ！」
「いえいえ、そのかわり…四人でいつまでも幸せに暮らすのよ。」
「はい！わかりました！」
「サンタのお兄ちゃんサンタのお兄ちゃん…じゃなくてヨーシアおにいちゃん！
さっきの続きしよー！今度は私のお腹にせーしちょうだい！」
「私もほしいのですよう！」
「ははは……本当に訳分からない。でも…なんだろう、僕も嬉しいな。
フリーダ、ウルリーカ、エルシー、これからずっとよろしくね。」
『うん！』
「ふふふ、メリークリスマス♪」
サンタ長はまた忽然と姿を消し、
部屋には今誕生したばかりの新し夫婦たちが愛を確かめ合っていました。
雪が降り積もる小さな町のサバトを舞台にした、
ちょっと幸せなお話でした。
………
所変わって、同じサバトの建物の一階では
先ほどのサンタ長と、サバトの管理人らしきバフォメットが
わずかな明かりの中でゆっくりと紅茶をたしなんでいた。
「ほっほっほ、これでまた今年のサバトは活気が増すというものじゃ。」
「それはなによりね。ヨーシアならきっとあの子たちと上手くやっていけるわ。」
「もしかしたらまた来年も頼むかもしれぬが、用意してくれるかの？」
「そうね……あら、そう言えばお茶菓子はどうしたのかしら？」
「おっとそうじゃったな。これなんかどうじゃ。」
バフォメットは棚の上から『銘菓 ひよこ』と書かれた菓子折を取り出すと、
それをテーブルの真ん中に置き、スッとサンタ長の方に差し出した。
サンタ長が箱を開けると…中には何やら怪しげな液体の入ったビンや
何とも形容しがたい器具が入っていた。
……いわゆる『恋魔法』の薬や道具らしい。
「…バフォメット。おぬしも悪よのう。」
「いえいえ、サンタ長様ほどでは……」
「ふふふ…」
「かかか…」
「『サンタのおにいちゃん』が入り用ならいつでも言ってちょうだい♪」
「またよろしく頼むのじゃ♪」
悪い笑みを浮かべながら、サンタ長とバフォメットは
再び真夜中のお茶会を再開した。
11/12/25 00:50更新 / バーソロミュ