連載小説
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旅45 決着!それぞれの想い!!
「やれやれ……なんか下の階から破壊音が聞こえてきたと思ったら、まさか階段を使わずに下りていたなんてな……」

アタイ達が攫われた人を含め人体実験されていた人を解放し、ここから移動して皆と合流しようとしたら、階段からサーベルを持ち赤茶色の髪と藍色の瞳を持った一人の男が現れた……

「あ…………えーっと……たしかエルビさんといっしょにいた……」
「チモン。まあまともに名のってないから君が覚えて無くても仕方ないかな」

階段から下りてきた人物……それはどうやらアメリの知っている人物らしい……
いやまてよ、たしかチモンという名は……

「ちっ……ここにきて実力者のお出ましか」
「実力者として知られているとは光栄だね」

父ちゃんと同程度、もしくはそれ以上の実力を持った者の名前だった。

「それでお前達、こいつ等をどうするつもりだ?」
「助け出すつもりですが……通してもらえませんかね?」
「そうだな……この教会の黒い部分を表に出せると思うかい?貧困層とはいえ国民だ、おそらく外に出てやっている事を伝えられでもしたらこの教会どころかこの街がおしまいだろう」
「やはりそう言うと思いました。ここを通るにはあなたを倒すしかないのでしょ?」
「まあな。私個人としてはこんな実験貧困層とはいえ自分達の街の住民すら使ってやっているから嫌いだけど、上からの命には逆らえないからね……というかあなた、やはり生きてたのですね」
「ええ、エルビが言った通りルヘキサの自警団の皆さんに助けてもらいましたよ」

どうやらアタイ達を足止めしに来たらしい……
ここにきて厄介な奴が出てきたものだ……でもどうにかして階段まで行きたい……

「なあホルミ、アメリ……」
「何スズお姉ちゃん?」
「ここはアタイにまかせて先行ってくれないか?」
「ええっ!?」

だから、ここはアタイ一人でチモンの相手をする事にした。
全員で掛かった方が勝てる可能性は高いけど、確実じゃない上にこっちは助け出した人達を連れて行かなければならないからだ。

「何を言ってるのですか?全員で相手を……」
「いいから!全員で戦って負けた場合どうする?」
「ですが……」
「大丈夫、秘策はある。でもこんなに人が居たらやりようがないからね」
「……わかりました……隙を見て階段まで走り抜けます」

父ちゃんと同格以上と言われている奴相手じゃ正直勝てる気はしない……
でも時間稼ぎぐらいは出来るだろうし、一応作戦もあるからある程度は大丈夫なはずだ。

「させると思いますか?」
「させられるんだよ!!」

だからアタイは一人、チモンに向かって飛び掛かった。

「ボディががら空きです。それじゃあ私に斬ってと言っているようなもので……」
「ああ、斬ってみろよ。そうしたら高濃度の魔物の魔力がお前に振り注ぐ事になるけどな!!」
「なっ……くそっ!」

サーベルを持っているという事はそれをメインで戦うという事だろう。
でもそれでアタイを刺したり斬ったりした瞬間、アタイに流れているウシオニの血がチモンに降り注ぐ事になる。
高濃度の魔力が凝縮された血を被ればどんな人物であれタダでは済まないはずだ……少なくともインキュバス化は免れない。つまりサーベル……主流武器はなるべく使わないでアタイと戦う必要があるという訳だ!

「今だ皆!いけーっ!!」
「頑張って下さいサクラさん!」
「スズお姉ちゃん、死んだらイヤだからね!!」

サーベルが使えずアタイの攻撃をかわし続けるチモンの隙をついて、アメリ達は全員階段で上に登って行った。



「さて……どうする?アメリ達を追うのか?」
「いえ……まずはあなたを倒させてもらいます。要するに血を浴びなければいいだけですからね。斬ったりせずなるべく血が出ないように殴り殺せばいいだけですよ」
「まあね……でもそう簡単にはやられないよ!!」

アタイが攻撃を一旦止めたのでチモンもすぐに追いかけていくかと思いきや、どうやらアタイの相手を優先してくれるらしい。
でもそれは、アタイを倒す事に集中される事になる……油断なんかしたら即殺されるかもしれない。


「では……行きますよ!」

そう言ってチモンはサーベルを上に放り投げ、鞘を手に持ちアタイに向かってきた。


「この鞘にも加護は掛けられています!たかが鞘だと嘗めない方が良いですよ!!」
「くっ……ご忠告ありがとな!」

さっきまでの兵士達の剣と比べて格段に鞘の振りが早い。おそらくアタイのようにサーベルで戦えない相手に同じ事をした経験があるのだろう。
しかもチモンの言う通り、鞘に不思議な力が宿っているのを感じる……下手に当たるとマズいだろう。
だからアタイは当たらないように必死に避け続けていたのだが……

「はっ!やっ!掛かった!!」
「へっ……っ!?」

廊下を戻る様に避けていたら、突然背中に何かが刺さったような痛みが走った。

「な、なんだ?」
「隙あり!!」
「あっしまっぐわあっ!!」

痛みが走った背中に気を取られていたら、チモンに鞘で腹を打ち抜かれ、何かの魔術でも掛かっていたのかアタイの身体は後ろに吹き飛んだ。


「いてて……なんだこれ……」

床を転がり続けどうにか止まった後、今だ走る背中の痛みの発生源に手を伸ばしてみると……

「……なるほどな……」
「どうですか?別に近付いていなくても刺す事は出来るのですよ?」

アタイの背中……蜘蛛部分との境目辺りに、先程チモンが放り投げたサーベルが刺さっていた。
あれはアタイの視線を逸らすのが目的で投げたと思っていたのだが、まさか攻撃に使ってくるとは……

「でもあんた凄いな……こんなに的確に投げれるものなのか?」
「日々の訓練の成果ですよ」

アタイに刺さるように投げるのは相当難しいはず……それなのに的確に刺してきた。
少し誘導されたとはいえ刺さるように投げるのは至難の業だ……それを易々とやるとは……この男かなり強い。

「しかしいいのか?自分から武器を手放す様な事をしてさ……よっと!」
「構いませんよ。なんなら使ってもいいですよ?ウシオニに扱えられればですがね」
「じゃあ遠慮なく……サーベルは大陸の店で見た事あるだけだが、刀なら父ちゃんに稽古付けてもらってたから多少は扱えるからね」

とりあえず刺さりっぱなしでも痛いだけなのでアタイはサーベルを引っこ抜いた。抜いたと同時に血も噴き出したが、そこはウシオニならではの回復力、みるみるうちに血が止まり傷も塞がった……痛いものは痛いが。
そしてアタイはそのサーベルを自分の武器として使わせてもらう事にした。
もちろん使った事など全く無いが、加護もある事だし刀みたいに扱っても多少は大丈夫だろう。

「父ちゃん……そういえば先程スズ以外にサクラとも呼ばれてはいましたが、あなたはもしや……」
「ああ、アタイは猪善父ちゃんの娘の桜さ!スズってのは記憶がなかった時の呼び名だ!」
「なるほど……どうりであのイヨシさんが裏切るわけだ……大切な娘が魔物になって生きていたのか……」

そういえば父ちゃんはアタイがウシオニに殺されたと思っていたから教団にいたんだっけ……なんて呑気な事を今は思っている場合じゃないか。

「そっちから来ないならアタイから行かせてもらうよ!!」

アタイはサーベルを刀に見立て、摺り足でチモンの下まで近付き手元を狙い振り下ろした。

「おっと、そう簡単には行きませんよ」
「くっ……」

が、いとも簡単に避けられ、逆に懐に入り込まれてしまった。

「喰らえ!」
「そう何度も吹き飛ばされてたまるかってんだ!!」
「なっ!?」

そのまままた鞘をアタイの胸に当て吹き飛ばそうとしてきたので、アタイは咄嗟に前に付いている2本の足でチモンの身体をガッシリと掴み、鞘を振り抜けないようアタイの身体にピタリとくっつけた。
思った通り足の方までは意識が行ってなかったようで、いとも簡単に捕まえる事が出来た。
ただそれだけだとあっさり抜けられる可能性もあるので粘性を持った糸で絡め簡単には外れないようにした。

「くそっ!離せ!!」
「いいよ……ただしぶん殴ってからなっ!!」
「くっ……ぐふぅっ!!」

なんとか離れようともがき続けるチモンの腹に、さっきやられた仕返しとばかりに一発殴り飛ばしてやった。

「げほっ……クソが……」
「さっきやられた分だよ!」
「ふざけやがって……こうなったら俺は全力で行くぞ!!」
「来いよ!アタイも全力で行かせてもらう!!」

最初居た場所辺りまで転がっていったチモンだが、そこそこしかダメージは与えられなかったようで咳込みながらもしっかりとした足取りで起き上がった。
ただ余裕は無くなったようで、さっきまでの丁寧な喋り方からなんとも男らしい喋り方に変わっている。


「うおらあああああああああっ!!」
「はっ!やあっ!くっ!」

鞘を握りしめてアタイに突っ込んできたチモン……さっきまでとは違い我武者羅に、それでいてしっかりとアタイを狙って振り回してるせいで受けきれない。
それでもなんとかチモンのサーベルで捌いてはいるが、このままだとアタイが不利になる。
だからアタイは……


「たあーっ!!」
「くっ……くそっ!」


チモンの一瞬の隙をついて自分の身体を捻り、蜘蛛腹で相手の鞘を持つ手を打ち付け、鞘を遠くまで弾き飛ばした。


「ならこっちもだ!!」
「ちっ!」


しかしアタイも手元を蹴り上げられ、サーベルを遠くまで蹴り飛ばされてしまった。

「武器はそれだけじゃないんだよ!」
「んなっ!?」

そして懐から小刀……いや、ナイフか……を取り出して、アタイの胸……心臓に突き刺してきた。

「ぐっ……!!」

なんとか腕で防御して心臓に刺さる事は免れたが、腕に軽い痛みが走り、血が迸った。

「ち……ガードしたか……」
「いったぁ……あんた、もう返り血も気にしないって事か?」
「ああ……そんなのが怖くてお前を倒せるか!」

そのままナイフをアタイに突き刺してくるチモン。
腕で弾いたりしているものの何度か斬られたり刺されたりしてかなり痛い……どうやらこのナイフにも加護の力が働いているようだ。
でもそれと同時にアタイから血が噴き出しチモンに掛かり続ける……けど、もはや気になどしていないようだ。
多少は抵抗力でもあるのか、それともただの執念なのか、特に性的に興奮した様子も無ければ、インキュバス化の傾向も表には出ていない。
それでも時間の問題な気はするが……このままではこちらが先にやられかねない。

「はあっ!やあっ!!」
「ちっ、鬱陶しいんだよ!!」

ウシオニの身体ならこれ位の傷簡単に癒えると言っても、このまま斬られ続けられる程痛みが無いわけでもない。
なのでアタイは、一か八かの方法でナイフを取り上げる事にした。
それは……

「おらあっ!これでどうだ!!」
「なっ!?糸だと!?」

さっきは身体を縛る為に使った糸を、今度はナイフを絡め取る為に発射した。
おそらくもう同じ手は通用しないだろうから他に武器が無い事を願ってアタイは糸でナイフを絡み取り自分の手元まで引き寄せ、廊下の奥まで思いっきり投げとばした。

「これで……もう武器は無いか?」
「ああ……」

どうやら本当に武器は無いようで、飛ばされたナイフをジッと見据えていたが……

「でも武器なんか無くても戦えるんだよ!」


ふと視線をこちらに戻した瞬間、そう叫びながらチモンは握り拳を作り、アタイの顔面をその拳で打ち抜いた。


「ぐっ……同感だね!!」
「がっくそっ!」


負けじとアタイも大きな手で握り拳を作り、チモンの顔面を殴った。


「おらあっ!ぐっ!うらあっ!がっ!」
「ふんっ!ぶっ!負けるかっ!ぐあっ!」


そのまま互いに、叫びながら、互いの身体を引き寄せあいながら、一心不乱に殴り合う……
相手の顔を何度も何度も……それこそ相手の顔に痣が付こうが、相手の顔が腫れてこようが殴り続ける……


「チモン!あんたウシオニの体力と回復力嘗めて無いよな!?」
「そっちこそ、サクラこそエルビの……勇者の側近の意味わかってるよなあ!!」


アタイもチモンも一歩も引かず、手から血が流れようが殴り続け……


「はぁ……チモン……いい加減……倒れたらどうだ……?」
「サクラこそ……はぁ……いい加減くたばって……はぁ……くれないか?」


いつしか体力が無くなっていき……


「無理すんな……はぁ……もうふらふらだろ?」
「あんたこそ……はぁ……アタイの血を顔や体に結構浴びてるんだ……もうアタイを犯したくってたまんないだろ?」
「へへ……んな訳ないだろ……はぁ……まだお前を倒す気満々だよ……」
「殺すから……はぁ……倒すになってんのが証拠だよ……チモンだったらまあ悪くないよ……どんな性格だろうと……はぁ……アタイ好みにすればいいだけだしね……」
「こっちは願い下げだ……はぁ……お転婆ウシオニの少女が妻で更に調教されるとか……はぁ……どこの変態だよ……」
「へへ……違いない……けど……はぁ……このままだったらその変態になる運命だぜ?」
「ぬかせ……はぁ……」


一休憩でもするかのように、互いの額を当て睨み合いながら悪態を吐き……


「お互い……はぁ……後一発分の体力か……」
「だな……じゃあ……」


再び額を離した後、二人同時に腕を後ろに回して……


「これで……」
「とどめだっ!!」


最後の力を振り絞って、力いっぱい握りしめた拳を……



「「うおらああああああっ!!ぐふっ!!」」



二人同時に、互いの右頬にぶつけあい……



「く……そ……」
「あ……ぐ……」



二人して同じように、互いの身体が向き合うように倒れた……


「ぁ……くそ……身体が言う事聞いてくれねぇ……」
「アタイもだよクソ……」

目も腫れてきたのか、相手の方を見ているのにまともに顔が見えない。

「でもこの勝負……アタイの勝ちだ……!」
「そうだな……素直に負けを認めよう……」

直接勝負自体は引き分けだけど、アタイはチモンの足止めに成功した。
倒れたまま起き上がろうとしても起き上がれていないチモンにアメリ達を追う事は不可能だ……これで二人が実験されてた人達を無事逃す事が出来る確率がぐんと上がったはずだ。

「流石イヨシさんの娘かつウシオニ……強いな……」
「まあな……これでも昔から父ちゃんに色々と教えてもらってたし、遊びも男子共と混ざってチャンバラとかしてたからね……」

だから、同じくアメリ達を追う事が出来ないアタイは、チモンと話でもする事にした。

「そういうチモンこそ強いじゃねえか……アタイが自分の血で脅せば上にいた奴らは……大抵剣とかの簡単に血が出る接近武器じゃ攻撃してこなかったけど、あんたは途中からお構いなしだったしさ」
「そんな脅しに怯んでいるようでは……勇者の側近などやってられないさ……」

チモンも反応をきちんと返してくれるので、そのままアタイは話し続ける。

「そういえば……途中から喋り方変わってたよなぁ……」
「……こっちが素だ……偉い奴等にこんな口調で話なんか出来るかよ……」
「ふーん……こっちの喋り方のがアタイは好みだぞ」
「なっ……何を言うんだいきなり……」

最初は丁寧な言葉遣いだったチモンだが、一発殴り飛ばした辺りから今の様な男らしい喋り方に変わっていた。
アタイ的にはこっちの喋り方のが似合っていると思うが……その事を言ったら顔をそっぽ向けてしまった。

「なんだ……照れてるのか?」
「そ、そんなわけ……くそ……お前の血のせいか変な気分だ……」

どうやら本当に照れているらしい……アタイより10ぐらい年上だろうチモンにこう言うのは失礼かもしれないが、案外可愛い所もあったりするものだ。

「しっかし……ホルミのやつ、無事エルビに会えるかねぇ……」
「はっ?あのミノタウロスはエルビに会いに来たのかよ……」
「ああ……あれ?様はどうした?」
「……完全に素に戻ってたから忘れてたよ……日頃から弟みたいに思ってるからついな……まあそれは置いといて、本当にあのミノタウロスはエルビに会いに来たのか?」
「あ、ああ……」

そっぽを向いたままチモンが黙ってしまったので、アタイは何気なしにホルミの事を呟いたのだが……そっぽを向いていたはずのチモンがやたら食い付いてきた。
何か問題でもあるのだろうか?

「もしそれがエルビに構うものだったら……残念としか言えないな……」
「どういう……事だ?」

たしかにエルビは勇者……反魔物領の代表みたいなものである。
表向には尋ね人かどうかを確認したいだけだが、もしホルミが恋しているとした場合でも中々相手にはしてもらえないとは思う……けど、今のチモンの発言はそれだけではなさそうだ。

「エルビは……あの子は……魔物のせいで失ったものがある……だから簡単に魔物に靡くとは思えない」
「失ったもの……?」
「俺は聞かれてもこれ以上は言わないぞ……本人に悪いからな……」

どうやら何かを失ったらしいが……なんだろうか?
アタイは実際にあった事無いからわかるようなものでもわからないが、聞いた話の中にあった『魔物と共に居る男が嫌い』ってのと何か関係あるのだろうか?

「まあ……言いたくないものは別にいいや……それよりも、だ……」

とにかく考えてもわからないし、チモンは語る気がなさそうなのでこの話はもうしない事にして、アタイはさっきから気になっている事を確認する事にした。

「チモン、あんたもう……」
「……ああそうだよ……」

チモンから感じる、アタイの身体を興奮に震わせる香り……アタイのウシオニとしての…魔物としての本能が、それは濃厚なオスの匂いだと教えてくれる。
つまりチモンはもう立派なインキュバスだという事だ。

「どうするんだい?」
「何がだよ……」
「インキュバスになっても教団ってのは続けられるのか?」
「……無理だな……少しは誤魔化せてもきっとすぐにバレる……」
「ふーん、そうか……」

インキュバスになったにも関わらず未だ冷静なチモン。
おそらく戦闘で身体がボロボロなのとは別に、教団関係の気がかりな事があるからだろう……

「だったら……よいしょっと……」
「なっ……お前もう動けるのかよ……」
「言っただろ?ウシオニの体力と回復力を嘗めるなって……」

だから、アタイから動く事にした。

いや……正確には魔物の本能が命ずるままに、アタイの身体は動きだした。
いつの間にか目の腫れも引いたようで、今はハッキリとチモンの顔を見ることもできる。

「安心しなよ……きっとこの教会は今日までしか機能しないさ」
「それはどういう……って待て!何をする気だ!?」
「何って……チモンだってわかってるだろ?」

アタイはチモンの身体をそっと仰向けにして、顔が天井のほうを向くようにした。

「お、おい、やめろ!本気でやめてくれ!」
「そういいつつもココはヤる気満々じゃないか♪」
「こ、これはお前の血のせいだろ!!」
「よく言うね……その血を自ら浴びたのは誰だい?」

そうした事によって、チモンのズボンの股間に小さなテントが張ってあるのがハッキリと目に見えた。

「はは……なんだかんだ言いながらその気満々じゃないか!」
「う、うるさい!俺は変態じゃぶぷっ!?」
「よく言うな……さっきからアタイのおっぱいばっか見てるじゃないか!」

なんだかんだ言いつつもチモンもアタイとヤる気満々だ。
アタイが服を脱ぎ捨て、おっぱいを外気に晒した瞬間、さっきからチラチラとアタイのおっぱいを見ていたチモンが凝視し始めたのがその証拠だ。

「どうだ?アタイのおっぱい結構デカイだろ?」
「あ、ああ……」
「触りたいか?なんなら触らせてやろうか?」
「え、いや……その……」

ほんの少しだけまだ抵抗心が残っている様子のチモンの腕を握り、アタイの胸に触れさせた。

「あ……はぁ……柔らかい……」
「ん……なんだ、やっぱりその気じゃないか……」

アタイの胸に触れた後、ゆっくりとアタイの胸を揉み始めたチモン。
その手の動きが何とも言えない気持ち良さをアタイに伝えてくる……

「でもアタイばかり見せてるのはいけないよなぁ……という事であんたもだしな!」

夢中でアタイの胸を揉んでいるチモンのズボンを、下着ごと引き摺り落とした。







その下にあった物を見た瞬間、アタイの中からサクラとしての理性は完全に消え去り、ウシオニとしての本能だけが意志を支配したのだった……







=======[ユウロ視点]=======



「捕まっていた人達、ホルミさん達が見事解放したそうよ!」
「そうですか!って事は地下にいたというわけですね……って事はこれより上を目指す必要はないですか?」

あれからなんとか階段まで辿り着き、上を目指す組と下を目指す組に別れた俺達。
俺やプロメ、それとレシェルさんなど数人の自警団員は上に、残りは下に階段を進み誘拐された人達を探していたのだが、どうやら落ちていったホルミが見つけたようだ。

「いや、どうやら捕まっていた人達からここの司教共を懲らしめてやって欲しいと頼まれたそうよ。もちろんドデカルアの人達からもね」
「なら俺達は司教共がいると思う上をそのまま目指していけばいいんですね?」
「ええ……ただ最初の外にいた組がさっきの広場まで集まってきたらしくて、外に出る為に下に行った組や団長は戦ってるからしばらくはこの人数よ」
「了解です。まあなんとかなってるので、チモンやエルビさえ出てこなければこのままでも問題無いかと」

捕まっていた人達も解放出来たし、これで終わりかと思えば……どうやら司教共を成敗してくれと頼まれたらしい。
だから俺達はこのまま奥を目指す……下に強い奴を固めたのか援軍が無くても今はわりとなんとかなっているが、チモンやエルビみたいな強敵が出てきたら厄介だ。
なんて思ってたら……

「あ、チモンの方はおそらく問題は無いわ。アメリちゃん達が地下で出会ったそうよ」
「なっ!?じゃあチモンは倒したのか?」
「さあ……サクラちゃんが一人残って足止めしてるらしいけど、どっちも上には来てないからまだ戦っているかもしれないし、相討ちになって倒れているかもしれないわね。一応イヨシが向かっているわ」
「そうですか……」

どうやらチモンの方は捕まっていた人達の見張りをしていたらしく、既にアメリちゃん達が遭遇しているとの事。
しかもスズ一人で足止めしているとの事……たしかにスズは強いし、ウシオニとしての強靭な肉体や驚異的な回復力があるので大丈夫かもしれないが、相手が相手だけにかなり不安である。

「まあどちらにせよ俺達は上に向かって司教共を捕まえないといけないし、エルビの方は居る可能性が大って事ですよね?」
「そういう事……」
「おーい!この階は粗方片付いたぞー!!」
「じゃあ上を目指すわよ……皆、気を引き締めていくわよ!」

とにかく俺達はエルビが待ち構えていようと進まないといけない。
ちょうどプロメがこの階を突破できたと言ってきたので、俺達は更に上の階に向かう。

「しかしまあここまであっさりと行くもんなんだな……順調過ぎてアタシちょっと気味が悪いよ」
「まあ一般的な兵士よりはワーウルフの方が実力は上だろうな。俺だって今までの経験と厳しい特訓をしたからプロメとまともに渡りあえただけだしな」
「そういえばユウロ君って元勇者だったよね?加護の力は?」
「俺元々お国柄で神とか信じて無かったし、そんなのに頼ってても仕方ないと思って無しでも戦えるよう鍛錬を積んでたよ」
「へぇ……偉いねユウロ君。旦那は戦闘面は主神の加護に頼りっきりだったから団長にあっさり負けたんだよね」
「へぇ、そうなんですか」

プロメの言う通り、やけにあっさりと進めている俺達。
こちらが実力者揃いという事も考慮しても、相手がさほど強くなくて不気味なぐらいこちら側が無双状態だ。
これは何かしらの相手側の作戦なのか、それとも強い奴は捕えられていた人が居た下に固まっていたのか……単純に相手がたいして強くないのかはわからない。
なんにせよ油断は禁物だし、気を引き締めないといけないが……無駄話が出来る程度には余裕がある。

「さて、上のフロアが見えてきたわ」
「ですね……誰かいたりしますかね?」
「まあ誰が居ようがぶっ飛ばせばいいだけだ!」

そんな余裕を持ちながら、最上階一歩手前の階の広間に着いたのだが……





「さて……悪いけどこの先には進ませないよ」





そこで待ち構えていたのは、ある意味予想は出来ていたけど、出来れば居てほしくなかった少年……エルビだった。

「うわ……」
「……なんだい?ボクが居てそんなに嫌だったのかいジパングで遭ったクソ野郎君」
「ユウロだよ。それと正解だよエルビ……やっぱテメェはこっちにいたか……」
「まあボクはこの中では群を抜いて一番強いからね。司教達が逃げるまでの足止めを言い渡されちゃったってわけ」

どうやら名前はともかく俺の事は覚えているらしい。
司教達が逃げるまでの足止めとか言っているから、おそらく司教達はこの奥にある階段を登った先にいて、転移魔法か何かで逃げようとしているのだろう。
ただ魔物が使うそれと違い人間が、しかも大した訓練もしていなさそうな司教達じゃ準備までに時間が掛かるだろう……その為のエルビか……

「さて……ボクとしては魔物なんか相手にしたら穢れちゃうからクソ野郎以外は相手にしたくないんだけど、どうせ回れ右とかしてくれないんでしょ?」
「当たり前だ!!」
「じゃあ仕方ない……なるべく魔法で殺す事にするよ……『パーガドリィフレイム』!!」
「んなっ!?」

どうやら常習らしい言葉、おそらく建前だと思われる『魔物を相手にしたら穢れる』というのを言ってきたエルビ。
『魔物と一緒にいる男』である俺以外とも戦う気は一応あるみたいだからどう出るか警戒していたが、いきなり足下に大きな魔法陣が展開され、その場の空間を焼くような業火を俺達を巻きこむように発生させた。

「くっ……いきなりこんな大技を……『ライトウォール』!!」
「ちぇ……魔術系半減魔法か……やっぱルヘキサ自警団最強クラスのダークエンジェルであるり……れ……まあいいや。ダークエンジェルが居るから簡単には行かないか……」
「レシェル。あんた名前ぐらい覚えておきなさいよ!!」
「他人の名前覚えるのはチモンの役目だから無理」

このままでは俺達は焼かれてしまうと思ったが、レシェルさんが俺達の周囲に光り輝く壁を張ってくれた。
エルビの言葉や、実際に熱さが半減したところからどうやら攻撃魔法に対する防壁であるようだ。
魔法の類が一切使えない俺からしたら、レシェルさんがいればとても心強い。

「よく聞いて皆、エルビに抵抗出来る自信がない者はこのまま戻って行って」
「え、ですがレシェルさん……」
「じゃあハッキリ言うね。怪我人はなるべく出したくないし足手まといだから自身の無い者は帰れ」
「……わかりました……」
「そして下にいる団長のような実力者にこの事を伝えてこっちに自分達と入れ替わりで来るように伝えてね」
「り、了解です!!」

だが、たとえレシェルさんでも全員を守りながらエルビに打ち勝つ自信は全くないようだ。
少しキツめにそう言って、エルビが様子を見ているうちに大半が階段を下って行った。
結局残ったのは俺とプロメとレシェルさん、それに自警団のリザードマンとデュラハンの5人だけだった……それだけエルビは強いと知られているのだろう。

「あ、会議終わった?キミ達がボクにやられる為に残ったわけね……まあボクとしてはあと4体程は帰ってほしかったんだけどね。あ、勝つ自信がないわけじゃないよ?それこそ誰一人として帰らなくてもボク勝てたしね」
「そう余裕なのも今のうちだ!行くぞ!!」
「うらあっ!!」

何故か全く俺達に攻撃して来ないと思ったら、どうやら話がまとまるまで待っていてくれたらしい。
本人もなるべく魔物は相手にしたくないと言っているし、人数では無く魔物が減る事を期待していたのだろう……結果として言えば魔物も減ったが男が俺一人になったわけだが。
そんな余裕を醸し出しているエルビに、プロメとリザードマンが飛び付いて攻撃しようとしたのだが……

「いやだってそんな事言われても実際に……」
「なっ!?あがっ!」
「こうやって……」
「うおっ!?ぐぅっ!?」
「ワーウルフとリザードマンの攻撃を余裕でかわして反撃まで出来ちゃうんだもの……『ヌムネスパウダー』!!」
「あぶっ……な、なんだ……?」
「か、身体が痺れて……動か……」

エルビはまずリザードマンが放った横一閃を身体を逸らして避けてから足払いをしてころばし、プロメが爪で引っ掻こうとしたのを聖剣で受け止めて腹を蹴り上げた。
その動きには無駄が無く、プロメに至っては何が起きたのか全くわかっていない様子だ。
そのうえ相手を痺れさせる粉を振りかけたようで、二人とも身体を痙攣させて動けない様子だ。

「はい次は誰?デュラハン?ダークエンジェル?それともクソ野郎が来てくれるかい?個人的にはクソ野郎が来てほしいんだけど……」
「ちっ、しゃあねえ俺が……」
「いや私が相手だ!うおおおっ!!」

そして余裕の表情のまま俺達の方を見てくるエルビ……
やはりというか、どうやら俺を御指名のようだけど、俺が出ていこうとしたらデュラハンが俺の横を通り抜けて雄叫びを上げながら手に持つ禍々しい剣でエルビを両断しに行った。

「デュラハンかぁ……流石に厄介だなあ……」
「はっ、せいっ!!」

しかしエルビも自身の聖剣でデュラハンの攻撃をいなし、動きに合わせて冷静に対処しており、一切の攻撃が当たっていない……
手助けに入りたいが、デュラハンの剣の動きが俺自身読めないのと、エルビはまだ余裕があるようでしっかりとこちらも警戒しているので思うようには動けなかった。

「ただまあ……追い詰められるほどでは無いね!」
「なっ!?くっ……」

それでも猛攻を加え続けていたデュラハンだったが、エルビが上手い具合に力を受け流してデュラハンの持つ剣を遠くに弾き飛ばしてしまった。

「はい残念でした。『ムーブシーリング』!」
「あ、が!?か、身体が……」

そしてデュラハンに向けて何かしらの呪文を唱えたエルビ……その瞬間全ての動きがピタッと止まってしまった事から、おそらく相手の動きを封じる魔法だろう。

「へぇ〜、デュラハンって本当に首取れるんだー」
「や、やめろ!折角旦那が注いでくれた精が漏れ出してしまうじゃないか!!」
「あ、旦那さん持ちなの?じゃあボクが後で殺してあげるよ」
「や、やめてくれ!!」

そのままデュラハンの頭を掴み、首から離したエルビ。
予想だにしていなかったエルビの行動に流石のデュラハンも動揺を隠せないようで、顔を興奮や驚きで真っ赤にしたりエルビの脅しで真っ青にしたりと忙しなく顔色が変わっている。

「ま、いいや。身体と首が離れていても動ける種族でも、動きを封じられていたらどうしようもないよね?」
「な、何をする気だ?」

そんなデュラハンの首を抱えたまま窓際まで歩き始めたエルビ……
いやまさかそんな……

「いやまあデュラハンってアンデッドだし落ちるだけなら多分大丈夫だよ」
「ちょっと!?や、やめてよ!!」

そのまさかで、大きな窓からデュラハンの首を投げ捨てるつもりだ!

「まあ下にはうちの兵士達がいっぱいいるから、デュラハンの首が転がってきたらどうするかはわからないけどね」
「なっ!?や、やめてくれ頼む!!」
「やーだね♪」

ここは3階……と言っても普通の3階よりは高い位置にある……こんなところから落とされたらいくらデュラハンでもタダでは済まないだろう。
しかもエルビの言う通り下には教団兵達もまだまだ沢山いる。最初こそ驚いて何もしないかもしれないが、それが抵抗できないデュラハンだとわかれば手に持つ武器で止めを刺しに掛かるだろう。

「させるかっ!!」
「おっと邪魔はさせないよ、『ベッドオブクイックサンド』!!」
「なっ!?うわった!!」

だから俺はそんな事させるかと思い動いたのだが、エルビが居る場所に辿り着く前に魔法の効果か足下にアリ地獄の様な流砂が出現した。
もがけば脱出できる程度なので飲み込まれる心配は無いが、これではエルビの下まで辿り着けない。

「それじゃあさよならー」
「えっや、やめきゃああああっ!?」

俺が流砂から脱出しようともがいているうちに、エルビは大きな窓を開け、デュラハンの首をそこから放り投げてしまった。



「っとセーフ……あんたえげつない事するわねぇ……」
「あ……れ、レシェルさん……ありがとうございます……」

だが、空を飛べるので流砂に関係なく動けるレシェルさんがデュラハンの首を追い掛け、落ちる前にキャッチする事に成功した。

「あーあ、キャッチされちゃったか……まあ予想通りだけど」
「え、それってどういう……!?」

だが、そんなレシェルさんの様子がどこかおかしい……
目を見開いたまま空中で動きが固まっている……というか、飛んでいるはずなのに翼が一切動いていないような……

「あ、あんた……最初からこれが狙いで……」
「そうだよ。きっと助ける為に自ら突っ込んでくれると思ってね」
「どうしたのですかレシェルさん?早く私の身体の下に……」
「ゴメン無理……まさか罠まで仕掛けてあるなんて思わなかったわ……」

どうやらエルビがした何かによってこっちまで戻ってこれないらしい……
どうしたのだろうかとジッとレシェルさんの方を見ていたら……暗闇の中で何かが部屋の灯りに反射して光った。
なんだろうとよく見てみると……

「……なんだあれ?蜘蛛の巣?」
「そうよ……まるでアラクネが仕掛けたもののように相手を逃さないようにする魔法『スパイダーネット』……暗かったから気付かなかったわ……」
「アラクネだなんて失礼な……元は普通の蜘蛛の巣なんだからさ」

レシェルさんに絡まるように蜘蛛の糸が張り巡らされていた。
これもエルビが使った魔法のようだ……本当に厄介である。


「さて……残るはクソ野郎君ただ一人だけど掛かって来ないの?キミだけは絶対に逃がしてあげないよ……」


レシェルさんの魔術による妨害を受けないようにする為か、窓を閉めたエルビ。
そして俺の方を向いてそう言ってきた。

「誰が逃げるかってんだ!俺一人でもやってやるよ!」
「そう……」

俺は逃げる気は無い、そうエルビに宣戦布告の形で伝えると……

「ボクはクソ野郎相手に手加減なんか出来ないから……覚悟してね……」

こちらを睨みながら、聖剣を構えた。


「うおおおおおっ!」

とりあえず俺は流砂を避け、叫びながらエルビに向かって突っ込んでみた……

「ふん……そんな単調な攻撃効かないね!」
「だろうな……」

もちろんエルビは俺より格上、そんな単純な攻撃が当たるだなんて思ってはいない。
予想通り俺が振り下ろす木刀に合わせて聖剣で捌き、易々とかわしている。

「ならこれはどうだ!」
「おっと……」

だから俺は木刀を片手持ちにして、予め外で集めておいてポケットに入れておいた砂を目潰し目的でエルビに向けて撒いたが、素早く反応して後ろに下がられ身体に掛かるだけになってしまった。
まあ撒いてから思ったが、エルビは眼鏡だからたとえ目に当ててもそこまで効果が無かった可能性が高いか。

「ずいぶんと卑怯な事するね……流石クソ野郎だ」
「まあ正々堂々とやって勝てる自信なんか最初から無いからな。大体これは試合じゃねえから何してもいいだろ?」

卑怯だろうがなんだろうが勝てれば良い……

「まあね……でもそんな事言っていいの?」
「ん?」

だが、今回ばかりはこの判断は間違っていたのだろう……

「だったらボクもそれ相応の手段をとるけど……いいよね?」
「なっ……おい馬鹿やめろ!」

そう言いながらエルビは、人質のつもりか痺れて動けないプロメの首に聖剣を構え、今にも斬り落そうとし始めた。

「やめてほしかったらそこから動かないでね」
「くっ……」

俺が動いた瞬間プロメの首を本気で斬り落とす……そう目で語っているエルビ。
これでは動く事が出来ず、俺はエルビの魔術で殺されてしまうだろう……


と、思ったのだが……


「なんてね。安心しなよ、ボクはもう魔力がほとんど残って無いからここからキミを殺せるような攻撃をする手段なんて無いよ」
「……本当か?」
「ああ。ボクはキミと違って卑怯じゃないからね。嘘をつくのは嫌いなんだ」

どうやらもうエルビには俺を殺せるほどの魔力は残っていないらしい。
まあ今までも相手を一切動けなくしたり部屋に大きな流砂を生み出したりとかなり強力なものをいくつか使っていたし、魔物でもないからそう魔力量もないだろうし嘘ではなさそうだ。

「でも、次似たような事やったら今度は遠慮なくここに転がっているリザードマンとワーウルフの首を斬り落とすし、デュラハンの胴体も切断するからね」
「ああ……肝に銘じておくよ……」

なんにせよ狙いは俺だけにしてくれるようだ……
まあこれ以上不意をつけるような小細工は用意してないし、皆を傷付けさせない為にも正々堂々と戦う事にする。
でも、それだと俺の勝ち目は薄い……どうしようか……

「まあキミはどの道死ぬから関係ないけどね!!」
「くっ……!」

なんて考えている暇も無く、エルビは聖剣を構え俺にかなり速く跳びかかってきた。

「ボクは剣の腕もあるからね、キミに受けきれるかな?」
「ふっ、くっ、クソッ!」

そのまま猛攻を仕掛けてきたエルビ……なんとか剣の軌跡の沿って受け流しているが、段々と押されてきている……

「流石元勇者、これくらいは耐えきれるよね……」
「ど、どうもなっ!」
「じゃあこれはどうかなっと!!」
「うわっ!?」

そんな状況でもある程度慣れて来て少し余裕が出てきたところで、振り回していた状態から一切余計な動作をせずに力いっぱい俺の顔に目掛け聖剣を振り落としてきたエルビ。
どうにか受け止めたが、子供の見た目からは想像つかないパワーであり押し切られそうだ……

「ほらほらどうしたのクソ野郎君!そんなんじゃ簡単に殺しちゃうじゃないか!!」
「知るかっ!」

余裕の表情を浮かべながら話しかけてくるエルビ……
鍔迫り合いの状況だが、このままではこちらが押し負けるだろう……

「くっそがああ〜!!」
「お?」

しかしここで力負けしてはいられないので、俺は足に力を入れ全体重を前に掛けるようにしてみた。
そうしたら少しずづだが押し返せるようになり……

「うおらああああ〜!!」
「おっと!」
「はぁ……なんとかなったか……」

均衡ぐらいになったところで身体を捻り、なんとか鍔迫り合いの状況から脱する事が出来た。

「今度はこっちからだ!喰らえ!!」
「うおっと!意外とやるなぁ……」

急に俺という力が無くなった事で少しよろめいたエルビ。
俺はその隙に奴の頭目掛けて木刀を振り下ろしたのだが、エルビは聖剣を地面に突き立てそれを軸にして跳び避けてしまった。


「しかしまあなんでかな……」
「あん?何がだよ?」
「いや、キミの事だよ」

そして聖剣を引き抜き、また俺に向けて構えをとったエルビ……
だが、すぐに向かってくる事無く、俺の事で何か考えているようだ。

「キミからは魔力が感じられない……つまりインキュバスでは無いんだろ?」
「まあな……俺は誰とも身体の関係なんぞ築いていないからな……それがどうかしたのか?」
「ならどうして魔物なんかと一緒にいるんだい?」

どうやら俺と戦っているうちに俺がインキュバスで無い事に気付いたらしい。
それなのに魔物と一緒にいる事を疑問に思っているようだが……

「別に理由なんかねえよ。たまたま旅に誘ってきたのが当時人間だった女の子と幼い魔物の王女様だっただけだ」
「それでもだ。なんでキミはそんな魔物について行った?旅なら一人でも出来るだろうし、魔物とする意味は無いじゃないか」
「別に魔物も人間も変わらない、俺はそう思ったから旅について行った。ただそれだけの事だ」

俺は最初この世界に来た時、魔物は悪だと教えられた。
でも実際に戦った時、魔物が俺の知っているゲームとかで見た化物じみた姿ではなく女の子のそれとそっくりだったのと、中身も姿相応だという事を知った。
それでおえらいさんに退治してこいと言われてアメリちゃんと出会って、なんだかんだあって一緒に旅をしているだけだ。
そこには魔物だからとか関係ない。旅をしようと誘われたから一緒にいるだけだ。

「ふーん……ボクにはわからないよ……魔物について行こうだなんて気持ちはね……キミには大切な人はいなかったのかい?」
「……ああ、そんなもの既に失った後だよ……」
「そうか……」

でもエルビは納得できていない様子だった。
それどころか新たに「大切な人はいなかったのか?」と聞いてきたが……そんなものは俺から皆離れていったから居なかった。
今となってはサマリやアメリちゃんが大切な人だけど、この場合は俺がサマリ達に会う前の事だろうからいないという回答で合っているはずだ。

「つーかそんな事聞いてくるって事は……お前もしや自分の大切な人でも魔物に攫われたのか?」
「えっ……なんでそんな事を……」
「今までの話を自分なりに纏めただけさ」
「へえそう……」

そんな事をいきなり聞いてくるという事はもしかしてと思って聞いてみたのだが……図星だったようだ。
先程までの余裕な表情が無くなる程に動揺し始めたエルビ……構えが崩れている。

「いや、それだけじゃないな……お前は大切な存在よりも大切な魔物の前で無残に死んでいく姿を見せながら男を殺すと言ったそうじゃないか」
「……それをどこで聞いた……あのミノタウロスが生きていたのか?」
「あのミノタウロスがホルミの事を指してるならその通りだよ」
「……」

そこで俺が導いたものの答え合わせをするように、エルビに向け更に話を続けた。


「魔物に大切な人がただ攫われただけなら魔物を恨むはず……」
「…………」


俺の話を聞きながら、俯いて何かを呟き始めたエルビ……


「でもお前はそうじゃなくて、本来被害者側にしか見えない男の方を恨むって事は……」
「……やめろ……」


聖剣を握る手をより強く握り、わなわなと震え始める程動揺を始め……


「お前自身を大切だと言ってくれていた人物が魔物に攫われ、捨てられたと思った……そうだろ?」
「…やめろ…」


少しずつ大きくなっていく呟きは、少しずつ口調も強くなっていき……


「そしてその人物は、おそらくお前が一番信頼を置いていたとても身近な人物……」
「やめろ」


俺の話を遮るように、ハッキリとやめろと言ってきたが、俺は話を続ける……


「そう……それはお前の兄や父親が」
「やめろっ!!」


そして話の核心を突こうとしたところで、耐える事が出来なかったのかエルビが叫び俺に『殴りかかって』きた。
冷静さを完全に失っているようで、聖剣をただ振り回しているだけなのであれで斬られる事はまず無いだろう。


「なんだよ……やっぱり当たりか?」
「ああそうだよ!ボクは……」


キッと俺を睨みながら、無茶苦茶に剣を振り回すエルビ。
もちろんそんなもの簡単に避けられるので、俺は軽々と避けるが……エルビはなおも殴りかかってくる。


「ボクは……父さんに捨てられたんだ!!」
「あっ?」
「父さんはボクの事を大切な息子だって言ってくれたのに……そんなボクを簡単に捨てて魔物なんかに着いて行ったんだ!!」


段々とヒートアップしてきたようで、殴りかかりながら自らの過去を勝手に話し始めたエルビ。


「死んだ母さんを愛してるって……ボクの事は宝だとか言ってたくせにあのクズは魔物に惚れボク達の下から去っていったんだ!!」
「……」
「ボクは3ヶ月も父さんの帰りを何も知らずに待った……なのに……あのクソ野郎はボクや母さんの事なんか忘れて魔物に着いて行ったんだ!!」


どうやら俺の思った通りだったようで、父親が自分を置き去りにして魔物に着いて行ってしまったらしい。


「ボクは父さんが帰って来ない事に絶望感を味わった……でもそんなある日ボクの中に不思議な力が宿ったような感じがして、数日経たないうちに教団の人達がボクの家にやってきた……」
「それで父親は魔物に着いて行ったと伝えられ、自分が勇者だと言われて教団に入ったと……」
「ああそうだ!ボクは父さん……クソ野郎を3ヶ月も待っていた事を後悔したよ!でもこれでボクはクソ野郎と同じクズ共も根絶やしに出来る!そう思いボクは頑張って強くなった!!」
「……」
「それはキミの様なクズを殺す為だ!!やがては父さんを……あのクズも殺す!!」


自分の父親が魔物に着いて行って3ヶ月待っても帰ってこなかったから捨てられたと思い、自分が加護を受けた勇者だと知って自分を捨てた父親と同じように魔物といる男を殺したいと……


「だからキミもさっさと死になよ!!」
「あー……」


まあエルビが言っている事もわからなくは無い……
本当に父親が自分を捨てたのならば、恨みたくなるのはわかるけど……



「死n……」
「甘ったれてんじゃねえよクソ眼鏡がっ!!」
「ぐふっ!?」



一際大きく振りかぶってきたエルビの顔面を、俺は木刀を持っていない手で思いっきり打ち抜いた。



「お前さ……父親が自分からお前を捨てたって言われたのか?」
「ぐぞ……魔物の巣窟に向かって行ったんだ……3ヶ月も帰ってこなかったらそうとしか考えられないだろうと言われただけだけどぐっ!!」
「じゃあわかんねえじゃねえか!!つーかたったの3ヶ月帰ってこなかっただけで何捨てられたとか言ってんだよ!!」

眼鏡が吹き飛び、鼻血を垂らしながら地面に転がっているエルビの腹を更に蹴る。

「3ヶ月しか待ってねえ癖にそれだけ帰らなかっただけで決めつけてんじゃねえよ。大体その教団の奴が適当に言っただけじゃねえのか?」
「ち、違っ!」
「あ?何が違うってんだ?想像だけで父親恨んでるだけじゃねえか!!」

いつぞやのように、俺は怒りにまかせて目の前のエルビに暴力を振い続ける……
たった少しの間待っただけで自分は魔物に着いて行った父親に捨てられたと決めつけているところが腹立たしかった。
自分で確認したわけでもないのに、自分は見捨てられてると考えてるのが腹立たしかった。

「くそっ……お前に何がわかる!?自分が頼りにしていた人がずっと帰ってこないんだぞ!!」
「テメエよりはずっとわかってるよクソが!!」

俺なんかよりはよっぽどどうしようもなる状況だってのに自分は捨てられたと言い張るエルビに、俺は怒りを隠せなかった。

「くっ、この……『エレクトロショック』!!」
「うおっ!?」

ひたすらに蹴り続けていた俺に向かって、なけなしの魔力で静電気並みの電気を流してきた。
それでもチクリとはいえ痛かったし、いつの間にかただエルビを蹴る事しかしていなかった俺の頭を少し冷静にさせた。


「げほっ、げほっ……くそ……眼鏡がどこか行っちゃったからよく見えないや……」
「……くそ……またやっちまった……」

今回は敵だったとはいえ、俺は『また』暴力を振いながら叱りつけていた……その事が俺自身に大きな悔しさとして心に圧し掛かる……
やっぱり俺は、名前が変わろうが住む世界が変わろうがあの人の子供という事なんだろうか……


「あ、本当にエルビが居ました!」
「ワーウルフにデュラハン、リザードマンなんかの戦闘向けの魔物が軒並み倒されてる……けど、相手も結構ボロボロのようだね」
「立っとるのはユウロだけか?プロメ達は倒れとるし……ってあれ?レシェルさんは?」
「あそこだ!どうやら窓の外で何かされているようだ……」

俺が暴力を止めた隙にふらふらと立ち上がったエルビだったが、エルビが立ち上がったと同時に後ろから声が聞こえてきた。
振り向くと……さっき下に行った人達が呼んだのだろう……ホルミとルコニ、それにカリンやトロンさんが居た。

「くそ……どうやら援軍のようだね……眼鏡掛けて無いからわからないけど、聞いた事ある声もいくつかあるね……ルヘキサの団長とあのミノタウロスか……」
「おや?私の事を覚えてくれていたのですか」
「名前は覚えて無いけどね……しかしこの状況はマズイな……」

新たなる戦力が到着したこちらに対し、もはや魔力は残って無く、眼鏡は俺がさっき殴った時に顔から離れエルビと離れた位置に転がっているので視界もハッキリとしていないエルビ。
もうこうなってはこちらが負ける事は無いだろう。

「まあいいや……こうなったら適当にやるだけだよ!!」

それでもまだ戦意は失って無いらしく、大きいからか眼鏡とは反対の位置に転がっていた聖剣を取りに行き、そのままホルミ達の方に突っ込んで行くエルビ。
俺に殴られて冷静さでも取り戻したのか、さっきまでとは違って剣筋はきちんとしたものにはなっているが……

「くっ!当たれ!!」
「狙いが定まってないな……こんなものそう簡単に我は当たらない」

とりあえず近くにいた奴を狙っているという感じでトロンさんに向け剣を振うが、焦点も合って無い為かほとんど空を斬るだけになっている。

「これがあのエルビか……眼鏡が無いだけで攻撃を避ける事態は簡単になるとはな……」
「うるさい!魔力さえあれば眼鏡なしでも……」

楽々と避け、無様にも剣を振り続けているエルビに呆れているトロンさん。
でもエルビ自身が言うようにそれは既にエルビに魔力が残っておらず、得意の魔術を使えないからであって……むしろ眼鏡なしで攻撃は当てられずともこちらから攻撃できる隙を見せていないのは凄い……


「あの団長さん」
「なんだホルミ?」
「くっ、この……話をする暇なんて与えないよ!!」

そんな攻防をしているトロンさんに、ホルミが話しかけた。

「自分が倒した人なら自分のものにして良いんですよね?」
「ああ……」

どうやら魔物達の間では自分が倒した男を戦利品として持ち帰っても良いという事になっているようで、ホルミがその事を確認し始めた。
より激しくなったエルビの攻撃をさっきよりは少し余裕が無さそうに避けつつ、トロンさんは肯定した。

「でしたら……」

それを確認したホルミは、右手は握り拳を作りながら構え、左手を前に突き出して……

「……転送!」
「ふんっ!えい……ん?」

ホルミの目の前に魔法陣が展開したと思ったら、トロンさんに切り掛かっていたはずのエルビがその魔法陣の上に転移して……

「……まずは眠って下さい……」
「え……ぐぶっ!?」

左手でガシッと肩を掴んだと思ったら、右手の握り拳をエルビの腹に叩きつけていた。


「が……ぐ……ぐふっ……」
「……これで終わりです……」





ガシャアァァァァン!!





タウロの所持者であるミノタウロスの全力の腹パン……その衝撃によってエルビは耐える事も出来ず気絶したようだ。
手に持っていた聖剣が地面に落ち、金属音を部屋中に響かせた。

「これで私がエルビを連れて行っても問題ありませんよね?」
「あ、ああ……」
「では私はこれで。あとは雑魚しか居ないのでしたら私はいなくても良いですよね」
「ま、まあ……」
「それでは……また機会があればお会いしましょう……」
「お、おい……行っちゃったか……」

そして、気絶したエルビを抱えながら転移魔法でどこかに行ってしまったホルミ……
あまりにも唐突過ぎて、この場にいる誰もが状況をよく理解していなかった……

「そういやあいつ、エルビに会いたかったんだっけ……」
「何か確かめたいと言うとったな……」

おそらくエルビが探している人かどうかを確かめるのと、エルビ自身の心の傷を癒しに行ったのだろう。
俺では相手を傷つける事しか出来ないし、ここはホルミに任せるしかないか……

「まあエルビとホルミの事はおいといて、急いで奥まで行って下さい。司教共は転移魔法で逃げるそうです」
「わかった。では貴様とカリンはレシェル達の救助をしておいてくれ。行くぞルコニ!」
「はい団長!!」

これで大半の事は終わったが、まだ全部終わったわけでは無い……
正直体力的にも精神的にも疲労困憊な俺は奥にいる司教達の情報を伝えた後、レシェルさんの救助をカリンに任せて俺は柱にもたれ掛る様に座って、休憩を始めたのだった……



=======[サマリ視点]=======



「結局私達の楽勝だったって事ね」
「まあな……」

現在0時。
トロンさんが転移しようとしていた司教達を竜化して魔法陣を掻き消し、更には塔そのものを粉々にした事によって戦意をからっきし無くす事に成功したので、この長いようで案外短かった戦いは終戦を迎えた。
被害状況で言えば両兵共に死者はゼロ、重軽症者はこちらは30人程度であちらは数千人、そして敵同士だったはずの二人で何組かのカップルが誕生した。

「はぁ……大丈夫なのかいプロメ?」
「ああ。まだ痺れは残ってるけど、大きな怪我とかは無いさ」
「そうか……それは良かったよ……」

相手のトップが捕まり、またエルビやチモンなどの実力者が倒されたとわかったら兵士達は即座に降伏したらしい。
今は彼らを……ひいてはドデカルアの住民達をどうするかをトロンさん達ルヘキサの重役達がドデカルアのまともな権力者達と話しあっている。
ただトロンさんから直に聞いた感じではドデカルアはドデカルアでそのまま街としての機能は維持してもらい、貧困層の人達にもきちんと目を配らせるように言うつもりとの事だ。
まあ今回の事で貧困層の教団への信頼はガタ落ち、被害者の家族はもちろんそうじゃないところも一部はルヘキサに移住したいとの申し出があるらしい。

「はぁ……ごっつ疲れたわぁ〜……ウチお風呂入りたいわ……」
「たしかに疲れた……なあニオブ、肩揉んで!」
「疲れたのは僕もなんだけど……まあルコニの方が頑張ってたからいいか……」
「ちっ……羨ましいわ……」

とりあえずこちら側は皆無事……とまでは言わないけれど、エルビを抱えてどこかに転移していったホルミさん以外は全員帰ってきたので一安心だ。
ただユウロは何かあったようで、戻って来てからもずっと暗い顔をしている……どうしたのか聞いてみてもはぐらかされるので理由はわからないままだ。
ただ痺れながらも意識はあったプロメ曰く、ユウロは途中で人が変わったようにエルビに攻撃……というよりは暴力を振っていたそうなので、それが関係してるのではないかとは思う。
過去にあった何かが関係しているとは思うけど……まあ自分から理由を言ってくれる日を待つしかないか……

「じゃあ……本当にサキュバスでいいんだね?」
「はい。レッサーよりは安定するでしょうし、翼と尻尾と角が生えるぐらいなのでそんなに今の自分と変わらないかなって……」
「わかった。じゃあおくにきて……」

そして捕まって実験されていた人達は、実験の影響でちょっとしたきっかけで魔物化してしまう身体になってしまったそうだ。
もうこれはどうしようもないみたいで、せめて自分で種族を選べるようにとアメリちゃんが魔物化するようだ。
ルヘキサの人達はすんなりと受け入れているようで順次アメリちゃんに種族を伝えてドデカルアにあった小屋に入り魔物に変えているようだが……魔力はちゃんと持つだろうか……

「はぁ……しっかしまあ短い時間でもいろいろあって疲れたな…」
「そうだね……私だって皆と違って直接戦ってこそいないけど、ユウキさんとか治療してたからね……」
「そっか。お疲れサマリ」
「ユウロこそお疲れ」

まあ今回の戦闘は本当にいろいろあった。
私はルヘキサの治療院の人達とサポートしていただけだが、それでも怪我人の治療や食事の準備などする事は沢山あったのだ。
実際についさっきルヘキサの自警団はおろかドデカルア側の兵士達の分まで含めた簡単な食事を作り終えたところだ……流石にあんなに大人数分は作った事が無かったが、いい経験にはなった。

「でもまあ、いろいろあった今回の中で一番驚いたのはあれかな……」
「ああ、あれな……」

ただ、やはり今回の戦闘で一番驚いた出来事といえば一つしかない。
それは……




「アタイ達」
「結婚します!」
「わ、私は認めんぞ!!桜をチモンなんかの嫁に行かせてたまるか!!」




何故か知らないけどチモンとスズがお互いを好きになっていた事だった。
12/12/22 11:50更新 / マイクロミー
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■作者メッセージ
前回から合わせて4万字オーバー、今回だけでも旅最長になってしまいました。
そんな今回でチモン、エルビとの決着、そして戦闘も終了しました。
イマイチエルビとホルミがパッとしない?それはまた次回があるからです。

という事で、次回はルヘキサ編終了!スズはこれからどうするのか、そしてエルビやホルミは?の予定。

最近卒論の中間発表などで忙しく更新が遅かったですが、一応時間が出来たのでおそらく次の回が今年最後の更新になるかと思います。

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