初めての家訪問から帰宅までの後編
「うぅ〜……この戦争を勝ち抜ける自信が付かないよ〜……」
「……急にどうしたの?」
あれから本当に俺は赤井さんと毎日登下校しており、あっという間に週末になっていた。
今は金曜日の数学の補講が終わり、赤井さんとお喋りしながら一緒に下校しているとこだ。
まあ流石に月曜日とは違って会話内容はなんとも受験生らしいものしかしていないが。
「今日の数学の補講なんだけどさ〜…未だに積分がわからなくて問題が全然解けなかったんだ〜」
「積分か…応用問題は微妙だけど俺積分は出来るよ。今度俺でよければ教えてあげようか?」
「ホントに〜!?」
「ああ。ベクトルでなければある程度はわかるよ。ベクトルは本気で酷いけど……」
「あ、わたしベクトルは平面でも空間でもわかるよ!」
「マジで!?じゃあ今度俺が積分教える時に教えてよ!」
それで一緒に下校中の赤井さんが、学校を出る前からずっと暗い顔をしていた。
どうしたのかと思っていたが…どうやら今日の数学の補講の内容がさっぱりだったらしい。
俺達は文系なんだし、数学は苦手でもある程度は仕方がないけど…このセンターまで残り2ヶ月の状況でそれはかなり不安になる。
ただ、赤井さんが言ったさっぱりわからない範囲は、幸運な事に数学の中では得意な分野だった。
更に俺が苦手な分野は、赤井さんの得意分野であったのだ。
なので俺は、自然と赤井さんに今度教えようか、そして今度教えてよと言ったのだが…
「じゃあさ〜、明日わたしの家に来て〜。一緒に勉強しよう〜!!」
「……はい?今何と……」
赤井さんが、赤井さんの家で一緒に勉強しようと言ってきた気がした。
気のせいかと思って、もう一度聞いてみたのだが…
「だから〜、明日は補講も無いし〜、わたしの家で一緒に勉強しよう〜!!」
「ええーっ!?」
やっぱり気のせいではなく、明日赤井さんの家で一緒に勉強しようというお誘いだった。
たしかに明日は模試も無ければ珍しく土曜補講も無いけど…
「ん〜ダメ〜?」
「いや駄目というか…俺が赤井さんの家にあがっていいの?」
「全然いいよ〜。だってわたしと村井君は友達じゃんか〜!友達なら家に呼んだって問題無いよ〜!!」
「いやでも…俺と赤井さんは異性だし、いいのかなって…」
「わたしが良いって言ってるんだから良いんだってば〜!!」
俺と赤井さんは今のところまだただの友達だ。
流石に友達といっても異性の家にあがるのはどうかと思ったのだが、赤井さん自身が良いと言い張り続けるので…
「じ、じゃあ明日、赤井さんの家で勉強って事で……」
「うん!お昼過ぎからわたしの家でやろ〜!」
俺は結局明日赤井さんの家で勉強をする事にした。
「それじゃ〜また明日ね〜!!」
「お、おう…また明日…」
俺は内心ドキドキしながら、家の中に入っていった…
「……魔物の家にあがる意味、村井君は気付いて無いかな〜……」
「……そう、明日こそ……」
だから俺は、赤井さんが小さく呟いた言葉なんか聞こえるはずが無かった……
…………
………
……
…
「……」
そして土曜日の昼過ぎ。
俺は赤井さんの家の前にいた。
「……」
女の子の家にあがるとか……人生で初の出来事なので緊張が半端無い……
さっきから一向に鼓動が鳴りやまない……
しかしずっとこのままいるわけにもいかないので……意を決してインターホンを押す。
ピーンポーン♪
「は〜いどなたですか?」
「あ、えっと、村井です。赤……愛理さんに勉強しようと言われたので来たのですが…」
「あ〜キミが村井君ね!ちょっと待ってて今開けに行かせるから!愛理〜村井君来たよ〜!!」
インターホンを鳴らしたら赤井さんらしき声が聞こえてきたが……どうやら赤井さんのお母さんのようだ。
やはりレッドスライムだからか声はそっくりである。
そしてそのまましばらく待っていたら……
ガチャ…
「こんにちは村井君!早速あがってよ!」
「やあこんにちは赤井さ……!?」
赤井さんが玄関を開けて、いつもと違わぬ笑顔で現れたのだが……
「あ、あ、赤井さん!?」
「ん?ど〜したの村井君?」
「ふ、ふ、服……」
「服?」
その赤井さんの姿が……軽く上着を羽織っているだけで……胸も股も丸見えだったのだ。
「ああ〜!学校行く時は制服着てるからね〜。家だと何も着て無い事の方が多いけど、今日は村井君が来るから一枚羽織っておいたんだ〜」
「足りないから!せめて下着も!」
「う〜ん…何か着てるとちょっと動き辛いんだも〜ん……そもそもスライム属って服そんなに着ないし……」
「そ、それもそうだけど……目のやり場に困るっていうか……」
たしかに街中で見掛けるスライム属はぬれおなご以外は服らしきものを着ているのを見た事無いし、そのぬれおなごも服はたしか擬態だったはずだ。
そう言われるとたしかに今まで裸だって意識した事は無いけど……それでも普段は制服を着ている赤井さんではどうしても意識してしまう……
「ん〜でも休日に制服着たくないしな〜」
「わ、わかった。そのままでいいよ……」
「ありがと〜♪じゃああがってよ!わたしの部屋で勉強しよう!」
だが赤井さんがこれ以上服を着てくれそうも無いので、なるべく俺が気にしないようにする事にした。
そして俺は勉強する為に赤井さんの部屋に向かう事になったのだが…女の子の部屋に行くのは緊張する……
「あら〜その子が愛理が気になってる村井君?愛理が言う通りカッコいいわね〜」
「お、お母さん!」
と、家に上がってからおそらく赤井さんの部屋がある2階に向かおうとしたら、奥から赤井さんと瓜二つなレッドスライムがヒョコっと現れた。
どうやら赤井さんのお母さんらしい……本当に瓜二つだ。
「あ、お邪魔します」
「いえいえお気になさらず〜。ゆっくりと二人でお勉強していてね♪あとで差し入れ持って行くから〜」
「もう〜……余計な事言わないでよね!!」
「わかってるわよ〜♪」
何か意味ありげな微笑みを浮かべてまたリビングだと思われるところに戻っていく赤井さんのお母さん……その奥にも赤井さんそっくりな小さなレッドスライムが何人かいるけど、赤井さんの妹かな?
「じゃあ改めてわたしの部屋に……」
「あ、うん…家族皆赤井さんにそっくりだね」
「まあわたし達レッドスライムだしね〜」
改めてスライム属の生態を目の当たりにしながら、俺は赤井さん自身の案内で赤井さんの部屋に入る事になった。
……………………
「ふぉぉ……!」
「村井君、何その反応?」
「いや…女の子の部屋に入るの初めてだから……なんか緊張しちゃって……」
「あははっ!面白い事言うんだね〜」
「いや結構マジで……」
そして案内された赤井さんの部屋は……まさに女の子の部屋だった。
白い壁紙が貼られた部屋に映えるピンク色のカーテンに小さな机の周りに置かれたかわいらしいハート形のクッション、勉強机やベッドの上に飾られた手のひらサイズの動物のぬいぐるみが置かれていた。
それに心なしか部屋全体が甘い匂いがするような気がする…けど、ここで匂いを嗅ぎ始めたらただの変態なのでやめておく。
「それじゃあこの机の上で勉強しよ〜」
「そうだね…じゃあまずは数学からでいいかな?」
「うんそうだね。そのあとは英語でいい?」
「いいよ。じゃあ早速始めようか」
という事で俺達は早速小さな机で勉強を始める事にした。
昨日約束した通りまずは数学の苦手な分野を教え合い、その後時間が許す限り他の科目も勉強する事にした。
「あ、そういえば村井君…今日村井君何時までいるの?」
早速始めようとしたら、赤井さんが何時までいるつもりなのか聞いてきた。
「ん〜と、夕飯前までには帰るつもりだけど…」
「え〜なんなら家で夕飯食べて行ってもいいよ〜」
「い、いや…それはさすがに迷惑じゃ……」
別に何時までには帰って来いとは言われていない……どころか、うちの親に女の子の家に行くと言ったら「明日の朝帰り?」なんて事を言いだしたぐらいのでいつまで居てもいいと言えばいいのだが、流石に夕飯の時間ともなると赤井さんの家庭に迷惑なのでそれまでには帰ろうと思っていたのだが……
「全然!むしろそうしてほしいな〜」
「え、な、なんで?」
「えっと〜……実は村井君の事家族に話したら興味持たれちゃって……あとは夜遅くまで教えてほしいなって思ったから〜……迷惑だったら別にいいけど……」
「え、あ、そ、そういう事なら全然問題無いよ!」
「本当に〜!?じゃあ決定だね〜!お母さんに言ってくるから勉強の準備しててね〜!」
どうやら赤井さんの家族に興味を持たれてしまったのと、赤井さん自身も俺に勉強を教えてもらいたいらしい。
俺自身そんなに成績良くないので教えられるとは思っていないが、折角の好意なので夜までいる事にした。
なので夕飯も貰う事にしたら赤井さんがお母さんに言いに早足…足?まあいいや…結構速い動きで部屋から出て行った。
「お母さ〜ん!村井君今日うちで夕飯食べて行くって〜!」
「あら良かったじゃないの愛理!今日がチャンスね!あとでいつもわたしが使ってるもの持っていってあげるからね♪」
「だからそんなんじゃないってばー!!絶対余計な事しないでよね〜!!」
「あら?でも今日こそはって言ってたじゃない」
「う〜だからこそお母さんは余計な事はしないでよね〜!!」
おそらくリビングから赤井さんと赤井さんのお母さんの声が聞こえてくる。
ただ話してる内容の半分程よくわからない…遠いから聞き取り辛いのもあるけど、何を言い合っているのかもよくわからない……
「あ〜も〜お母さんったら…………おまたせー。それじゃあ勉強しようか!」
「あ、うん……何かお母さんと言い合ってたようだけど良かったの?」
「ふぇ!?もしかして聞こえてた!?」
「まぁ…あんまり聞こえなかったけど何か言い合っているのは聞こえてきたけど……」
「あ、き、気にしないで!大したことじゃないから!!」
「あ、うん。わかった……」
そしてしばらくしたら何食わぬ顔で戻ってきた赤井さん。
何を口論していたのか聞いてみたが、顔を真っ赤にされながら誤魔化されてしまった。
「それじゃあ勉強始めようか……赤井さんどんな問題がわからなかったの?」
「えーっと…まずは問4なんだけど……」
「何々、えっと…曲線y=x^3-6x^2 8xとx軸で囲まれた面積を答えろか……これはまず式の右辺を因数分解してy=0で方程式を解いて……」
「ふんふん……」
このまま聞き出そうとしても多分言ってくれなさそうなので、早速数学の勉強を始める事にした。
俺の座っている位置の真正面に座った赤井さん……何もしていないとどうしても肌蹴ている胸に意識がいきそうになってしまうので、俺は慌てて問題集を開いて赤井さんがわからないと言った積分の問題を教える事にした。
自分自身もそんなに得意という訳では無いので問題によっては答えられないだろうなと思ったが、これならなんとかなりそうだ。
「……って事で、積分すると8って答えが出ると」
「おおーなるほど〜!村井君すご〜い!!」
「まあこれぐらいなら…これ以上難しいと解けるかわからないけど……」
「その時は一緒に解けばいいんだよ〜!という事で次は問6なんだけど…」
という事で、このまま赤井さんとまずは積分の勉強を続ける。
「あーこれは…定数じゃないのか……」
「やっぱり難しいよね〜……じゃあ一緒に解こうよ!」
「そうだね…」
やはり俺達は受験生……始めたら驚く程集中して赤井さんの身体をじっと見る事も無くなったので、特にエロハプニングも起こる事無く勉強が捗っていった……
……途中までは、だが……
「……で、ここが垂直だから0ベクトルになるから……」
「あーだから答えはこうなるのか…なるほどわかりやすかったよ!」
「えへへ…問題も全部終わったし、次は英語やる?」
「そうだね……」
数学の勉強を始めてから2時間程経ち、そろそろ英語の勉強に切り替えようかと思っていた時だった……
トントン…
ガチャッ…
「頑張って勉強してる二人に差し入れだよ〜!」
「ちょっとお母さん!?」
赤井さんのお母さんが何か差し入れを持って赤井さんの部屋にやってきた。
「なんで来たの!?」
「だから差し入れだって〜!」
「もう!余計な事しなくていいって言ったのに〜!!」
そう言いながら部屋に入ってきた赤井さんのお母さん……手に持っているのは……
「はいこれは普通の紅茶とケーキ、そしてこれが……」
いい匂いがする紅茶と市販のロールケーキ、そして……
「お母さん愛用の精力z」
「だからやめてよ〜お母さ〜ん!!」
最後まで言う前に赤井さんが止めたけど……おそらく精力剤を持ってきた。
「本当に余計な事しないでよ〜!!」
「はいはい。夕飯は7時頃だからそれまでにはキリを付けるのよ?」
「わかったからこれ持って出てって!」
そして余計真っ赤な顔した赤井さんに追いだされる形で出て行った……
「……なんか凄いね赤井さんのお母さんって……」
「はぅぅ……」
勉強してるところに精力剤を持ってくるとは……というか何故精力剤?
もしかして俺と赤井さんとの仲を応援してくれている?
なんて考えはしないでおこう……おそらく勉強のストレスを発散させようとしたギャグだろう……
どこの世界に付き合っても無い男女の為に精力剤を持ってくる親が居るのだというのだろうか。
「お母さんのせいで集中力切れちゃった〜……」
「はは、そうだね。じゃあ折角持ってきてくれた事だし、紅茶が冷めないうちに食べようよ。丁度他の科目やろうとしてたとこだし休憩も兼ねてさ」
「そうだね〜……」
という事で集中力も切れてしまったので、差し入れを食べる事にしたのだった。
食べたら今度は英語の勉強を始める事にしよう……
「ゴメンね村井君…へんなお母さんで……」
「いや…結構ユニークで面白いお母さんだと思うよ?」
「そうかなぁ……」
紅茶を飲みながらの赤井さんとの雑談は、至福のひと時と言っても過言では無かった……
…………
………
……
…
「うーん…赤井さんどうだった?」
「現代文が微妙……でも古文は満点だったし、漢文も42点あったよ〜」
「へえ凄いじゃん!俺は現代文は両方で94点あったけど……古文が13点、漢文に至っては勘で答えた8点の問題一問しか合って無かったよ……」
英語の勉強を終えた後、今度は国語の勉強をした俺達。
国語は実践を積んだほうが良いかなと思ったので、センター試験の過去問を二人で解いてみたのだが……俺の結果は悲惨であった。
「でも村井君は現代文かなり点数取れてるじゃん!」
「赤井さんは同じくらい古典で取れてるじゃん。現代文は今使ってる日本語を読み取ればいい分簡単だけど、古典は何言ってるのか現代語訳しないと駄目だから難しいんだよ…」
「うーん…わたしは小説での主人公の心情を答える問題とかが難しい……」
こんな感じに互いの自己採点結果を言い合っていたら……
トントン…
ガチャッ…
「二人ともご飯よ〜。キリがついたら降りてきてね〜」
「は〜い。じゃあ見直ししたら行こうか!」
「そうだね」
どうやら夕飯が出来たらしい。赤井さんのお母さんがわざわざその事を言いに部屋まで来てくれた。
そんなに長い事待たせるわけにもいかないので、俺達は間違えた問題を見直した後リビングまで急いで向かった。
……………………
「すまんな村井君。愛理は賢いと言っても家内での話だから教えるのに苦労はしていないかい?」
「いえ…むしろ俺の方が愛理さんに色々わからないところを教えてもらってるぐらいですよ」
そして赤井さんの家族の皆さんと一緒に夕飯を食べている俺。
どうやら赤井さんは4人姉妹の長女らしい…スライムなだけあってやはり顔は瓜二つであり、ちょっと小さめで中学生ぐらいの赤井さん、もっと小さく小学校中学年ぐらいの赤井さん、小学生低学年に満たないぐらいの赤井さんがリビングに揃っていた。
今この空間で赤い身体をしていないのは俺と赤井さんのお父さんだけである……なんだか赤い湖か何かにでも入っている錯覚に襲われそうだ。
「愛理、勉強はちゃんと捗っているのか?」
「うん!いつも以上に集中して出来たよ。途中でお母さんが入ってこなければもっと集中出来たけどね〜」
「そーいう意地悪な事言わなくてもいいじゃんか〜!わたしは愛理の為を思って…」
「ちょっとお母さん!だから余計な事は言わないでよ〜!!」
「落ち着いてお姉ちゃん…お母さんは昔からこうだから何言っても無駄だよ〜……頭の中はお父さんとのセックスで頭がトロトロなんだから……」
「そーそーママはエッチな事しか考えて無いもん!」
「む〜!そんな事無いわよ〜!わたしは娘達の事もちゃんと想ってるよ〜!」
「『も』って言ってるじゃん……」
「ははは……」
本当に賑やかな家族だなぁ……
家族と言えば、俺も夕飯を赤井さんの家で御馳走になる事を母さんにメールで伝えたら『やっぱり今日はお泊まりコースか』なんて返信を返してきてたっけなぁ……
俺の親は人間だったと思ったんだけどな……というか余計なお世話である。
「ところで村井君、魔物の家族は親戚に居たりするのかい?」
「いえ…魔物と結婚した親戚は多分居ないかと…存在すら知らない遠い親戚にはいるかもしれませんが……」
「そうか…じゃあ実は今落ち着かないんじゃないかい?いきなり下品な話も出てくるしね…」
「まあ……でも通っている高校が高校なので慣れていないわけでもないのでそこまでは……」
「はは…言われてみればそうだね…」
たしかに落ち着いて話が出来る相手は赤井さんのお父さんだけだけど……高校でも似たような感じだからそこまでは動揺はしない。
そこまではしないが……なんか生々しい話を一番年下の子ですら自然にし始めるので戸惑いが全く無いわけでは無い。
こんな会話を毎日している赤井さんのお父さんは苦労しているのだろうか……
「で、だ…村井君ちょっと……」
「何ですか?」
レッドスライム達が盛り上がっている中で、突然お父さんがヒソヒソ声で俺に……
「村井君は…愛理の事をどう思っているんだい?」
「えっと……どうとは?」
「愛理の事…好きだったりするかい?」
「へ!?」
ズバッと答え辛い事を聞いてきた。
「え、えーっと……そのー……」
「そんなにうろたえなくてもいいよ。何と答えても怒ったりはしないからね」
「えー……はい……」
どう答えようか迷ったけれど、優しい笑顔で怒らないと言われたのでシンプルに「はい」と答えた。
「ははっそうかい!告白はしないのかい?」
「そそそんな急に……」
「こういうのは男からビシッと行かないと!自信が無いなら大丈夫、愛理の父親である俺が成功を保証するから」
「いやだから……へ?」
告白しないのかと言われたが……そんな勇気は無いし、断られたらショックで勉強どころじゃなくなってしまうのでなかなか出来ないでいたのだが……
何故かお父さんは成功を保証すると俺に言ってくれた。
「いや実際に言っていたわけじゃないから確実にではないが…おそらく愛理も村井君に好意を抱いてはいると思うぞ」
「え……」
「なんせここ一週間食卓で君の名前を聞かなかった日は無い程だからな……だからこの後にでも勇気を出して愛理に告白してみたらどうだい?」
「ええっ!?」
そして、この後自分の娘に告白してみてはどうかと言ってきた。
「あ、でもキミが初モノ好きだったら申し訳ないが……レッドスライムというかスライムは小さい頃は親の精が必須だから既に処女では無いぞ?」
「え……それはまあ別にスライムの生態的に……というかいきなりなんて話をしてるんですか!?」
「はは…魔物の彼氏になるというのはそういう事なんだ」
「はぁ……」
更には下ネタまで話し始めた……
まあ性の話が好きな魔物の彼氏や旦那さんともなると自然とそういった話をするようになるのだろけど……慣れていない俺は何故か恥ずかしくて顔が赤井さんのように…は言いすぎかもしれないが、とにかく赤くなっていた。
「あれ〜?お父さんと村井君、何二人でコソコソ喋ってるの〜?」
「え、あ、いやその……」
「何、男同士でないとわからない話をしていただけだ!そう気にするな!」
「ふ〜ん……」
とここで、俺達が何か話している事に気付いた赤井さんが話しに割って入ってきた。
内容が内容なだけに俺は慌ててしまったが、お父さんは落ち着いて返していた…凄いなぁ……
「告白は男からビシッとか……」
「ん?どうしたの村井君?」
「いや、気にしないで赤井さん……このかぼちゃの煮物美味しいな……」
赤井さんのお父さんから言われたその一言が、夕飯を食べている間俺の脳内で響き続けていた……
………
……
…
「ふぅ……美味しかった……」
「満足してくれたみたいだね〜」
「うん……ちょっと休憩してから生物でいい?」
「いいよ〜」
賑やかだった夕飯も終わり、赤井さんの部屋に戻ってきた俺達。
「いやあ…赤井さんの家族って皆明るい人達なんだね」
「あははは……恥ずかしいな〜……」
「そう?うちはあそこまで賑やかじゃないからちょっと羨ましかったよ……って言っても別に不仲じゃないけどね。ご飯中は皆静かにテレビ見てるからあまり会話が無いだけだよ」
「へぇ〜……」
「まあ最近は俺の受験が近い事もあって勉強や成績についてあれこれ言われる事の方が多いけど……」
「それは大変だね〜……うちは見ての通りお母さんが能天気だからあまりそういう話にはならないんだよ」
「だろうね…さっきも赤井さんのお父さんが最初に勉強捗ったかって聞いてきた事以外では勉強の話してこなかったもんな」
ちょっと食べ過ぎてしまったのですぐに勉強を再開せず、何気ない話をし始めた。
「受験かぁ……村井君不安だったりする?」
「そりゃあもちろん……今の段階で志望校に余裕で合格ラインに居るのならまだしも、ギリギリアウトだからね……」
「だよね〜……わたしも不安なんだ……」
だが、やはり勉強に来ているだけあってそっちの話しにシフトしていった。
「この勉強方法で成績が上がるのだろうかとか、これだけの勉強で魔乃大学に合格できるんだろうかって……この受験戦争を笑顔で乗り越えられるのかなってね……」
「うん……全く一緒だよ……俺も不安だよ……」
赤井さんの言う通り、この受験戦争を無事に勝ち抜いて笑っていられる自信がない……
それでも……
「でもね……村井君と一緒なら乗り切れる気もするんだ……」
「俺も……赤井さんと一緒だったら、この戦争で勝つ事が出来る気がする……」
赤井さんとだったら、この受験戦争を乗り切れる気がする……
それは……俺達二人とも同じ思いのようだ……
だから……
「村井君……わたし……村井君の事が……」
「待って赤井さん」
「……何?」
俺に何かを言おうとした赤井さんの言葉を遮って……
「俺……赤井さんの事が好きだ!俺とお付き合いして下さい!!」
「えっ……!?」
ちょっと卑怯かもしれないけど……緊張でいい言葉が思いつかずシンプルだけど先に告白をした。
「わ、わたしも……わたしも村井君の事が大好きです!是非わたしとお付き合いして下さい!!」
そして、俺の告白に驚いていた赤井さんも、俺に告白をしてきた。
「もちろん…俺なんかでよければ喜んで!」
「なんかじゃないよ〜…村井君は優しいし、カッコいいし、一緒に居て幸せになれる人なんだもん…村井君だからわたしは好きになったんだよ!」
「俺も…赤井さんは優しいし、可愛いし、一緒に居て幸せな気持ちになれるから好きになったんだ!」
なんとなくそんな雰囲気になっていたから先に言ったけど……赤井さんのお父さんが言った通り、俺達は両想いだったようだ。
「だったらさ〜村井君……わたしの事……その……名前で呼んでほしいな〜……」
「うん……じゃあさ……愛理も、俺の事名前で呼んでくれないかな……」
「うん……えと……和彰…………名前で呼ぶだけなのに、なんか恥ずかしいなぁ……」
お互いの呼称が名字では無く名前に変わった事で……付き合い始めたという実感が湧き始めてきて……
「ねえ和彰……」
「愛理……」
互いの名前を呼び合い……顔を見つめ合って……
「ん……」
「んっ……」
ゆっくりと近付いて行って……お互いの唇が軽く触れ合った……
初めてのキスの味は……どこか甘く感じた。
「へへ……じゃあ、勉強始めようか……」
「そうだね……」
二人して顔を赤らめながらも、俺達は勉強を始める事にした。
折角恋人になったのに勉強かよって思うところもあるけど……俺達は一緒にこの戦争を乗り切って同じ大学に行こうとしているのだから、勉強はするべきだ。
「でも……」
「ん?どうした?」
「えっと〜……ちょっと机が小さいから難しいかもしれないけど〜……隣り合ってやろうよ……」
「……そうだね……そうしようか……」
それでも、昼までとは違う雰囲気の中、俺達は生物の勉強をし始めたのだった……
………
……
…
「じゃあ最後の問題……検定交雑の意味は?」
「えっと〜……遺伝子型が不明の個体を劣性ホモ結合体と交雑してその遺伝子型や配偶子の出来方を確かめる交雑の事……だよね?」
「正解!この分野はこれでほぼ完璧じゃないかな?」
「そうだね〜。あとは忘れないようにしないとね〜」
「だな…じゃあ今日はここまでにしようか」
「うん♪」
生物は最初は重要な点を二人で調べあって、後半は二人で用語の問題を出し合っていた。
そしてもう夜も遅い午後10時前……告白後すぐに始めた生物の勉強も、これで2時間やった事になる。どうりで疲れているわけだ。
愛理も同じようで、終わった途端に蕩けた顔して身体の方も初めて会った時のように少し蕩けている。
「もう10時か……それじゃあ愛理、俺はそろそろ……」
「え……和彰帰っちゃうの……?」
「いやまあ…もう夜も遅いし……」
夜も遅くなったのでそろそろ帰ろうかと思って腰を上げたら……愛理が悲しそうな顔をしてこっちを見てきた。
その顔を見て帰る事に躊躇いを感じたが……流石に彼女の家と言えど夜遅くまでいるのは非常識だから帰るべきだと思うのだが……
「イヤ……帰らないで和彰〜……」
「え……ちょっ!?」
どうしても愛理は俺に帰って欲しくないようで……ずっと着ていた上着を脱ぎ捨てて身体を伸ばしたかと思ったらいつぞやのように俺の身体に抱きついて密着してきた。
「ねえ……シよ?」
「へ?あっ……ふあっ!?」
そして……少しうるんだ瞳の上目遣いでそう言いながら俺の目を見てきて、身体は俺の下着の中にまで侵入してきて……俺の股間をぐにぐにと弄ってきた。
「告白されて〜……キスもしたのに〜……勉強していて〜……もうわたし我慢出来ない……」
「えっ……はうっ!?」
「だから和彰〜……今日はうちに泊まって……シよ♪」
どうやら互いの心が通じ合った事やフレンチキスなどで高まっていたらしい……
そして長時間の勉強の末、やっと解放されたと思った矢先に俺が帰りそうになったから理性と言うものを手放したらしい……先程は勉強から解放されたから蕩けた顔をしているのだと思ってたけど、どうやらこれからの行為に期待してのものだったようだ。
「ねぇかずあきぃ……いいでしょ?」
「ひゃうっ!お、おう!い、いいからちょっと離れてくれ!!」
「イヤ♪」
「た、頼む……さ、先に便所行っておきたいから!!」
「んも〜雰囲気ぶち壊し〜……仕方ないなぁ……5分で戻ってきてね!」
「お、おう…ありがとう……」
今まで一度も見た事無い程ムスッと不機嫌な表情を浮かべた愛理は一応俺の身体から離れてくれた。
本当にトイレにも行きたいが……愛理と今から交わるという現実を受け入れる為の時間が欲しかった。
もちろん俺は童貞だから……かなり緊張する……
とりあえずトイレで用を足そうと部屋を出てトイレに向かおうとしたら……
「……何してるんです?」
「いえいえお気になさらず〜……」
何故か部屋を出てすぐの所に何か良くわからないものを持った愛理のお母さんがいた。
そして俺に見つかった後、何食わぬ顔して一階に下りて行った。
もしかして……こっそり覗くつもりだったとか?手に持ってたのもビデオか何かか?
「……まあいいや……」
お母さんの奇行が気になったが、問いただして結果愛理を待たせても良くないので無視してトイレに行く事にした。
……………………
「じゃあ和彰……今度こそいいよね?」
「ああ……覚悟も決めたし、いいよ……」
トイレから戻ってきた後、覗き防止の為部屋の鍵を閉めて愛理に言われるまま全裸になった俺は、愛理の手によって部屋にあったベッドに寝かされていた。
全裸で寝かされている事そのものがまず恥ずかしいのだが、ベッドの上にいるせいで服を着ていない愛理を全裸だと意識してしまい、股間に熱が集まって硬くなっているのを見られている事がそれ以上に恥ずかしく、俺は顔どころか全身が真っ赤に染まっていた。
そしてこれからやる事に興奮しているためなのか…初めて愛理の部屋に入った約10時間前よりも甘い匂いがする……
「じゃあ……んっ……」
「んんっ……くちゅっ……コクッ……」
しばらくの間少しずつ膨らんでる俺の陰茎を見ていた愛理だったが、俺の顔に目線を移した後、ゆっくりと近付いてきて……弾力性のある愛理の唇が俺の唇と重なった。
先程とは違い唇同士が重なるだけでは終わらず、愛理の同じく弾力性のある滑った舌が、俺の唇を押し広げ口内に侵入してきた。
そのまま口内を蹂躙してくる舌の動きに合わせ、俺も舌を動かして愛理の舌を絡め取る。
そして愛理は俺に自身の唾液を……いや、レッドスライムなのでもしかしたら自分自身なのかもしれない……を流し込んできて、俺はその液を飲み込んでいく。
愛理の舌は……愛理の唾液は……愛理から貰ったレッドスライムゼリーとは比にならない程甘く感じた。
「ぷふぅ……和彰のキス、上手で蕩けちゃう〜」
「ふぅ……愛理には敵わないよ……」
数分にも渡るディープキスは、軽く酸欠を感じるようになったところで終わりを迎えた。
ゆっくりと離れて行く愛理の唇……
別れを惜しむかのように、俺と愛理の唇の間には仄かに赤く輝く橋が掛かっており……しばらくしたら重力に負け俺の胸の上に垂れ落ちた。
「じゃあ次は〜……スライムにしか出来ない事をやって気持ち良くしてあげるね〜♪」
そう言って愛理は俺の胸の上に乗った……たしかな重さと一緒に、ひんやりとした身体の中にたしかな熱を感じた。
「こうやって身体を広げて〜……」
そのまま愛理の足下からゲル状になっていき、俺の身体を包み込むように広がっていって……
「ぐにぐにってすると〜……」
「うあっ、ふおおぉぉっ……!!」
俺の頭と性器を除いた部位を顔以外の自分の身体で包みこんだ愛理は、その言葉通りぐにぐにと強弱をつけながら蠢き始めた。
ただぐにぐにされているだけならただ気持ち良いで済むのだが……先程愛理にされたキスと…舌の動きと同じ感覚が全身に走っているのだ。
言ってしまえば全身ありとあらゆる場所を同時に愛理に舐められているようなものであり……性的な気持ち良さと若干のこそばゆさ及び恥ずかしさによっておかしな声を上げていた。
「気持ち良いんだね〜……もうおちんちんがこんなに……♪」
「あぅ……ふあぁ……」
そして全く弄られていない俺の逸物は……うっすらと血管を浮かべながら硬く勃って、先端からは透明な液を垂れ流していた。
それはもう自分で慰めている時には見た事がない程大きくなっており、自分で見た場合かなりグロテスクに思えたのだが……
「あは〜♪」
愛理は嬉しそうに目を細めた後、顔をそのグロテスクな肉棒に近付けて……
「はむっ!」
「ふぁうあっ!!」
口を大きく開けたと思ったら、根元まで一気に咥え込んだ。
「ムグムグ……」
「ひゅおっ!それやば…!?」
愛理はレッドスライムだから、俺の逸物が喉奥にまで突き刺さっているのがハッキリと見えるが……苦しくは無いようだ。
それどころか竿を上下に動かすように口内の粘液を動かし、亀頭にはプニっとした弾力を伝え、それでいて吸いついてくる。
童貞なためエロ小説などで得た知識でしかないけど…膣内と子宮口を口で再現しているのかもしれない。
もちろんそうだとしたら…たとえ違っていても口での淫行と全身に及ぶ攻めに童貞が耐えられるはずも無く……
「ふぐっ、あ、で、射精る……っ!!」
「ふむっ!?んん〜♪」
愛理の口内にドクドクと精子を射精してしまった。
愛理の喉奥からギリギリ広がらずに残っている胸に掛けて白濁液が…精液が迸るのが見える……
そのまましばらく射精続ける精液だが……迸る精液は分解・吸収されているのか一定量以上溜まる事は無く消えていく。
「んん〜……やっぱり和彰のせーえきおいし〜♪」
「はぁ……はぁ…………ふぅ……そうか……」
一分程してようやく射精が止まり、愛理の口が陰茎から離れた。
自慰では経験した事がないほど長く、大量に射精したと思う……けど、射精したものはもう分解されきったようで、すでに愛理の体内には残っていなかったのでその実感もあまり湧いては居ない。
「じゃあお次は〜……」
「ん……ふぁふ……」
そう言いながら愛理は俺の身体を包んでいた部分をゆっくりと、感じる部分を刺激しながら人型に戻していき……
「こっちに〜…和彰のせーえきちょ〜だい♪」
足まで形成されたところで、愛理は自分の股を指差しながら俺にそうおねだりしてきた。
指差された場所をよく見てみると……実物は見た事無いが、そこには人間の女性や他の魔物と同じような一本の筋があった。
つまりは…さっき口で行われたような事を、今度はスライムの膣でやるという事だろう。
「早速入れるね〜」
「え……前戯無しで大丈夫なの?」
「大丈夫〜、だってわたしレッドスライムだもん♪」
「それってどういう……う……」
前戯も無しにゆっくりと俺の肉棒の上に腰を下ろしてきた愛理。
大丈夫なのかと思っていたのも束の間、俺の肉棒の先端が愛理の割れ目に触れた。
「えへへ〜♪……大丈夫でしょ?」
「あ、う……」
そのままずぷずぷと文字通り埋もれるように愛理の膣内に入っていく俺の肉棒に感じるのは、外からではわからない無数の細かいヒダと内部の滑りだった。
よく考えたらレッドスライムは半液状生物……膣内を濡らす事など容易なのであろう。
あっという間に俺のペニスは根元まで愛理のナカに埋め込まれてしまった。
それだけで俺は射精してしまいそうであった……一回愛理の口に射精していなければ確実に今の状態で暴発していただろう……
「ん〜♪奥まで入ったね〜♪気持ち良い〜?」
「あ、うん……気持ち良さ過ぎてすぐに射精しちまいそう……」
「いいよ〜!いっぱい射精して〜♪」
「ふあっ、はひぅ、な、なにこれぇ……!!」
そのまま騎乗位で、俺の肉棒で体内を掻き回すかのように激しく腰を前後上下に振り始めた愛理。
硬くなっている部分が竿部分を扱き、プニッとしたものが亀頭を包み込み、無数の襞が全体を優しく撫でてくる……それら全てがさっきの口での行為の時とは比べ物にならない程の快感を叩きつけてくる……
愛理も気持ちが良いようで、先程までは無かった気がした突起がおっぱいの先端についており、口からは涎の様なものを垂らしながら淫らな笑顔を作っていた。
「ごめん、も、もうで、射精る!!」
「いいよ〜いっぱい射精して〜♪」
不規則に俺の陰茎を責め立てる襞にスライム体……あっという間に限界は訪れて……
「う、くうぅぅぅぅ……!!」
「あ〜アツいのいっぱい出てる〜♪」
さっき以上の量と勢いがある精液が、愛理の体内を白く染め上げた。
「あっ、あっ、ああっ!」
「はうぅ〜気持ち良くてイクうぅぅ〜♪」
精子を射精しながら暴れ動く俺の陰茎……それが愛理の敏感な所を擦っているのか、陰唇から透明な液を溢れさせながら身体を細かく震わせ始めた。
どうやらイッたようで、恍惚とした表情をしながらも腰を細かく振り続けている。
その腰の動きと、更に精液を搾り出そうとする膣の動きで射精が止まらない……
「はふぅ…ふぅ……」
「はぁっ、はぁっ……♪」
人生で一番長く続いた射精が止まり、モノが愛理のナカで半分柔らかくなったところでようやく俺達は落ち着いた。
出した量が多かったのもあり、全身に広がるように白いモノが愛理の身体を泳いでいる。
「ごめん……続けるにしてもちょっと休ませて……」
「やだ〜♪」
「やだ〜って言われても……ぅ……疲れちゃって……」
「ん〜……」
つい先程まで童貞だった俺にとっては強過ぎた快感と長い射精で少し疲れたので、膣を動かし射精したばかりで敏感な陰茎を甘く刺激してくるまだまだやる気の愛理に少し休ませてと言ったのだが拒否されてしまった。
「じゃあこうする〜」
「どうするっtんぷっ!?」
「いっぱい飲んで〜」
それでも休ませてと頼んだら、ちょっと考えた後に愛理の大きなおっぱいが俺の口の中にねじ込まれた。
そして乳首に当たる部分から、粘っこく甘い液体が口の中に垂れてきたのだ。
「飲んだら元気になるし、今赤ちゃん作ると大変だからいっぱい飲んで〜♪」
「ん……んく……」
どうやら母乳に見立てた愛理の身体……言うなれば液体レッドスライムゼリーらしい。
そして通常のゼリーと違い、飲めば飲む程より飲みたくなり、更には媚薬の効果でもあるのか、愛理の中で力無くくたっとしていた陰茎がいつの間にか硬く反り勃っていた。
「ちゅうぅ……」
「ひゃぁ〜♪吸っちゃイヤァ〜♪」
もっとこの飲用ゼリーを飲みたくなった俺は、愛理のおっぱいを強く吸ってみた。
口から溢れんばかりにビュッと勢い良く出てくるゼリー……感じているのか、愛理が俺の上でビクビクと痙攣し始め、擬似的な膣がギュッと締まった。
「んく……ちゅぅ……んく……んんっ!」
「ああぁぁ〜ダメぇ〜またイクうぅぅ〜♪」
おっぱいから出ているゼリーと、不規則に蠢く膣肉の動きに、俺はまた限界が来て……
「んん、んんんんんんっ!!」
「イ、イきゅううあああぁあっ♪」
愛理が達したと同時に、俺は愛理のお腹を白濁液で染め上げた。
「んぐ、はぁ、はぁ……」
「ぁぁ……ず、ずるいよ和彰……強く吸わないでって言ったのにぃ〜」
「はぁ……でも、気持ちよさそうだったじゃんか」
「そ、そうだけど〜…簡単にイッちゃうって思われるのは恥ずかし〜もん……」
絶頂から落ち着いた後、涙目で頬を膨らましながら俺に文句を言ってきた愛理。
「そう言われても…俺の拙い技術で愛理がイキ顔になってくれたのが嬉しくて…感じてくれてるんだなってさ……それに可愛かったしね」
「ふにゅ〜……そういうのは反則〜……」
そして可愛いと言ったら、照れ隠しなのかプイッと顔を背けてしまった。
「可愛いと思ったのは本心だよ。だからさ……」
「にゅ〜……ひゃっ♪」
「まだシたいんだろ?もっと可愛い顔見せてよ」
「あぁん……和彰ぃ〜♪」
それでも愛理の秘所は相変わらず俺の肉棒を扱くように締め付けてくる。
なので俺は敏感な愛理のおっぱいを強く揉みながら、突き上げるように腰を動かした。
この甘い夜はまだまだ終わらない……
いや、終わらせる気など無く、俺達はお互いに深く愛し合い続けたのだった……
====================
チュンチュン……
「ん〜……ふぁ〜……」
「あ、おはよ〜和彰」
「おはよ……ん?」
鳥の鳴く声で目が覚めたら、いつもの天井では無い物が目に入って、横から可愛い声が聞こえた。
「……あ、そうか…昨日は……」
「うん……」
横を見たら、俺と同じく起きたばかりなのか眠そうにしている愛理がいた。
という事は昨日の出来事は夢ではないと……なんだか恥ずかしくなってきた。
それは愛理のほうも同じのようで、日光の関係でいつも以上に真っ赤な顔を余計赤く染めていた。
「あ、あの〜……昨日はその〜…激しかった……ね……」
「……そうだね……」
たしかに愛理が言う通り、昨日の夜は激しかった……
たしかほとんど出なかった7発目を出した辺りで疲労で意識が遠のいて、そのまま気絶するようにベッドの上で今のように二人寄り添って寝たはずだ。
その証拠に愛理はともかく俺は裸のまま、昨日頑張っていた部分も丸出し状態である。
「ところで和彰〜、これからどうするの〜?また夜までこのまま一緒に勉強する?」
「うーん…さすがに一回帰るよ。着替えたいし、携帯のバッテリーも危ないしね」
「わかった〜。じゃあまたお昼過ぎに家に来て一緒に勉強しよ〜」
「わかった」
とりあえず裸のままでいるのは恥ずかしいし、この時期では風邪を引きかねないので服を着ていた俺に愛理は今日も一緒に勉強しようと言ってきた。
このまま一緒にというのは流石に無理ではあるが、その提案を断る理由などないのでもちろんそうするつもりだ。
「しかし…昨日は帰っちゃイヤと言っていたのに今日はあっさり納得したな」
「う〜……昨日はその〜…問題を出し合っている時になんか甘い匂いがするなって思ったら気持ちが高まってて〜…そのうち興奮しちゃって〜…和彰とシたいという考えで頭がいっぱいになってたところで帰るなんて言われてつい……」
「そうか……ん?」
昨日の夜帰ると言った時に俺とセックスしたいが為にあんなに嫌がって帰さまいとしてきたので今からもそうしてくるものだと思ったが、そんな動きを一切見せずに笑顔で見送ってくれている愛理。
不思議に思ったのでなんとなく聞いてみたら理由を言ってくれたが…一点だけ妙に気になる所があった。
「甘い匂い?」
「うん…微生物の範囲で問題出し合ってる時ぐらいに、なんか漂って来たんだ〜…その匂いを嗅いでるうちに興奮してきちゃって……」
どうやら甘い匂いがしてから愛理の中で興奮が大きくなってきたようだ…
そういえばトイレに行って戻ってきた時に部屋の香りというか、雰囲気的に元より甘く感じたが……
「……あれ?それってもしかして……」
「ん〜?何かあったの?」
「いや…魔界ハーブの一種に甘い雰囲気になるものってあったよね」
「あーうん。メルティ・ラヴだったかな……たしか昨日生物の魔界植物の分野の勉強中に出てたけど…それがどうかしたの?」
「この家にそのメルティ・ラヴあったりする?」
「うん…お母さんが好きでいっぱい持ってる……ってまさか……」
そんな感じの特徴を持った魔界ハーブがあった気がしたので確認してみたら、この家にある…しかもお母さんが好きでいっぱい持っているとの事。
愛理のお母さんと言えば、昨日トイレに行く時何故か部屋の外にいて、何食わぬ顔して去っていったせいで何しているのかは聞く事が出来なかったけど…まさか……
「……でも和彰とその〜…シたかった気持ちは本当だから……」
「あ、うん……ありがと……」
おそらく犯人はあの人だろうけど……そんなは事どうでも良い。
俺と愛理がお互いを愛し、甘い時間を過ごしたのは自分の意志なのだから。
「じゃ、一回帰るね」
「うん。その間にお母さんに問い詰めてみるよ〜」
「あ、うん…多分俺達に気を遣っての行動だから喧嘩はしないようにね」
そして俺は荷物をまとめ終えたので一旦帰る事にした。
「あ、そうだ愛理……」
「ん〜?な〜に和彰?」
でもその前に、一つだけ愛理に言っておきたい事がある。
「この受験戦争……絶対二人で乗り切って同じ大学に行こうな!」
「……うん!絶対だよ!!」
それは…二人で同じ大学に合格しようという決意をだ。
「それじゃあまた昼に…さすがに次の日学校だから今日の夜は帰るからね」
「仕方ないよね〜……えっとさ〜…戦争終わるまではヤるのは金曜と土曜でいい?」
「あ〜……まあ愛理がそうしたいなら……都合で駄目な時や試験前以外ならいいよ」
「うん!じゃあそうしよ〜!!」
「おう、それじゃあ」
「うん、また後でね〜」
言いたい事も言えたし、これからどうするのかも決めた事だし、俺は愛理の部屋を出て一旦家に帰った。
全国の高校3年生を苦しめる戦争……受験戦争。
それを生き残り、笑顔で来年を迎えるのは決して容易ではない……
苦しい中で必死にもがき、戦い続けなければならない……
だが、一人で不安の中戦っていても……何時かは倒れてしまうだろう……
でも、そんな時に心休める場所があれば……
心休まる仲間がいれば、きっとこの戦争も乗り切れるだろう。
乗り切った先で、仲間と一緒に笑顔でいれるだろう……
俺はきっとこの戦争を笑顔で抜けられる。
なぜなら、俺は見つける事が出来たから……
受験勉強を共にやり、心休ませる事が出来る仲間を……
戦争中の赤きオアシスを!
「……急にどうしたの?」
あれから本当に俺は赤井さんと毎日登下校しており、あっという間に週末になっていた。
今は金曜日の数学の補講が終わり、赤井さんとお喋りしながら一緒に下校しているとこだ。
まあ流石に月曜日とは違って会話内容はなんとも受験生らしいものしかしていないが。
「今日の数学の補講なんだけどさ〜…未だに積分がわからなくて問題が全然解けなかったんだ〜」
「積分か…応用問題は微妙だけど俺積分は出来るよ。今度俺でよければ教えてあげようか?」
「ホントに〜!?」
「ああ。ベクトルでなければある程度はわかるよ。ベクトルは本気で酷いけど……」
「あ、わたしベクトルは平面でも空間でもわかるよ!」
「マジで!?じゃあ今度俺が積分教える時に教えてよ!」
それで一緒に下校中の赤井さんが、学校を出る前からずっと暗い顔をしていた。
どうしたのかと思っていたが…どうやら今日の数学の補講の内容がさっぱりだったらしい。
俺達は文系なんだし、数学は苦手でもある程度は仕方がないけど…このセンターまで残り2ヶ月の状況でそれはかなり不安になる。
ただ、赤井さんが言ったさっぱりわからない範囲は、幸運な事に数学の中では得意な分野だった。
更に俺が苦手な分野は、赤井さんの得意分野であったのだ。
なので俺は、自然と赤井さんに今度教えようか、そして今度教えてよと言ったのだが…
「じゃあさ〜、明日わたしの家に来て〜。一緒に勉強しよう〜!!」
「……はい?今何と……」
赤井さんが、赤井さんの家で一緒に勉強しようと言ってきた気がした。
気のせいかと思って、もう一度聞いてみたのだが…
「だから〜、明日は補講も無いし〜、わたしの家で一緒に勉強しよう〜!!」
「ええーっ!?」
やっぱり気のせいではなく、明日赤井さんの家で一緒に勉強しようというお誘いだった。
たしかに明日は模試も無ければ珍しく土曜補講も無いけど…
「ん〜ダメ〜?」
「いや駄目というか…俺が赤井さんの家にあがっていいの?」
「全然いいよ〜。だってわたしと村井君は友達じゃんか〜!友達なら家に呼んだって問題無いよ〜!!」
「いやでも…俺と赤井さんは異性だし、いいのかなって…」
「わたしが良いって言ってるんだから良いんだってば〜!!」
俺と赤井さんは今のところまだただの友達だ。
流石に友達といっても異性の家にあがるのはどうかと思ったのだが、赤井さん自身が良いと言い張り続けるので…
「じ、じゃあ明日、赤井さんの家で勉強って事で……」
「うん!お昼過ぎからわたしの家でやろ〜!」
俺は結局明日赤井さんの家で勉強をする事にした。
「それじゃ〜また明日ね〜!!」
「お、おう…また明日…」
俺は内心ドキドキしながら、家の中に入っていった…
「……魔物の家にあがる意味、村井君は気付いて無いかな〜……」
「……そう、明日こそ……」
だから俺は、赤井さんが小さく呟いた言葉なんか聞こえるはずが無かった……
…………
………
……
…
「……」
そして土曜日の昼過ぎ。
俺は赤井さんの家の前にいた。
「……」
女の子の家にあがるとか……人生で初の出来事なので緊張が半端無い……
さっきから一向に鼓動が鳴りやまない……
しかしずっとこのままいるわけにもいかないので……意を決してインターホンを押す。
ピーンポーン♪
「は〜いどなたですか?」
「あ、えっと、村井です。赤……愛理さんに勉強しようと言われたので来たのですが…」
「あ〜キミが村井君ね!ちょっと待ってて今開けに行かせるから!愛理〜村井君来たよ〜!!」
インターホンを鳴らしたら赤井さんらしき声が聞こえてきたが……どうやら赤井さんのお母さんのようだ。
やはりレッドスライムだからか声はそっくりである。
そしてそのまましばらく待っていたら……
ガチャ…
「こんにちは村井君!早速あがってよ!」
「やあこんにちは赤井さ……!?」
赤井さんが玄関を開けて、いつもと違わぬ笑顔で現れたのだが……
「あ、あ、赤井さん!?」
「ん?ど〜したの村井君?」
「ふ、ふ、服……」
「服?」
その赤井さんの姿が……軽く上着を羽織っているだけで……胸も股も丸見えだったのだ。
「ああ〜!学校行く時は制服着てるからね〜。家だと何も着て無い事の方が多いけど、今日は村井君が来るから一枚羽織っておいたんだ〜」
「足りないから!せめて下着も!」
「う〜ん…何か着てるとちょっと動き辛いんだも〜ん……そもそもスライム属って服そんなに着ないし……」
「そ、それもそうだけど……目のやり場に困るっていうか……」
たしかに街中で見掛けるスライム属はぬれおなご以外は服らしきものを着ているのを見た事無いし、そのぬれおなごも服はたしか擬態だったはずだ。
そう言われるとたしかに今まで裸だって意識した事は無いけど……それでも普段は制服を着ている赤井さんではどうしても意識してしまう……
「ん〜でも休日に制服着たくないしな〜」
「わ、わかった。そのままでいいよ……」
「ありがと〜♪じゃああがってよ!わたしの部屋で勉強しよう!」
だが赤井さんがこれ以上服を着てくれそうも無いので、なるべく俺が気にしないようにする事にした。
そして俺は勉強する為に赤井さんの部屋に向かう事になったのだが…女の子の部屋に行くのは緊張する……
「あら〜その子が愛理が気になってる村井君?愛理が言う通りカッコいいわね〜」
「お、お母さん!」
と、家に上がってからおそらく赤井さんの部屋がある2階に向かおうとしたら、奥から赤井さんと瓜二つなレッドスライムがヒョコっと現れた。
どうやら赤井さんのお母さんらしい……本当に瓜二つだ。
「あ、お邪魔します」
「いえいえお気になさらず〜。ゆっくりと二人でお勉強していてね♪あとで差し入れ持って行くから〜」
「もう〜……余計な事言わないでよね!!」
「わかってるわよ〜♪」
何か意味ありげな微笑みを浮かべてまたリビングだと思われるところに戻っていく赤井さんのお母さん……その奥にも赤井さんそっくりな小さなレッドスライムが何人かいるけど、赤井さんの妹かな?
「じゃあ改めてわたしの部屋に……」
「あ、うん…家族皆赤井さんにそっくりだね」
「まあわたし達レッドスライムだしね〜」
改めてスライム属の生態を目の当たりにしながら、俺は赤井さん自身の案内で赤井さんの部屋に入る事になった。
……………………
「ふぉぉ……!」
「村井君、何その反応?」
「いや…女の子の部屋に入るの初めてだから……なんか緊張しちゃって……」
「あははっ!面白い事言うんだね〜」
「いや結構マジで……」
そして案内された赤井さんの部屋は……まさに女の子の部屋だった。
白い壁紙が貼られた部屋に映えるピンク色のカーテンに小さな机の周りに置かれたかわいらしいハート形のクッション、勉強机やベッドの上に飾られた手のひらサイズの動物のぬいぐるみが置かれていた。
それに心なしか部屋全体が甘い匂いがするような気がする…けど、ここで匂いを嗅ぎ始めたらただの変態なのでやめておく。
「それじゃあこの机の上で勉強しよ〜」
「そうだね…じゃあまずは数学からでいいかな?」
「うんそうだね。そのあとは英語でいい?」
「いいよ。じゃあ早速始めようか」
という事で俺達は早速小さな机で勉強を始める事にした。
昨日約束した通りまずは数学の苦手な分野を教え合い、その後時間が許す限り他の科目も勉強する事にした。
「あ、そういえば村井君…今日村井君何時までいるの?」
早速始めようとしたら、赤井さんが何時までいるつもりなのか聞いてきた。
「ん〜と、夕飯前までには帰るつもりだけど…」
「え〜なんなら家で夕飯食べて行ってもいいよ〜」
「い、いや…それはさすがに迷惑じゃ……」
別に何時までには帰って来いとは言われていない……どころか、うちの親に女の子の家に行くと言ったら「明日の朝帰り?」なんて事を言いだしたぐらいのでいつまで居てもいいと言えばいいのだが、流石に夕飯の時間ともなると赤井さんの家庭に迷惑なのでそれまでには帰ろうと思っていたのだが……
「全然!むしろそうしてほしいな〜」
「え、な、なんで?」
「えっと〜……実は村井君の事家族に話したら興味持たれちゃって……あとは夜遅くまで教えてほしいなって思ったから〜……迷惑だったら別にいいけど……」
「え、あ、そ、そういう事なら全然問題無いよ!」
「本当に〜!?じゃあ決定だね〜!お母さんに言ってくるから勉強の準備しててね〜!」
どうやら赤井さんの家族に興味を持たれてしまったのと、赤井さん自身も俺に勉強を教えてもらいたいらしい。
俺自身そんなに成績良くないので教えられるとは思っていないが、折角の好意なので夜までいる事にした。
なので夕飯も貰う事にしたら赤井さんがお母さんに言いに早足…足?まあいいや…結構速い動きで部屋から出て行った。
「お母さ〜ん!村井君今日うちで夕飯食べて行くって〜!」
「あら良かったじゃないの愛理!今日がチャンスね!あとでいつもわたしが使ってるもの持っていってあげるからね♪」
「だからそんなんじゃないってばー!!絶対余計な事しないでよね〜!!」
「あら?でも今日こそはって言ってたじゃない」
「う〜だからこそお母さんは余計な事はしないでよね〜!!」
おそらくリビングから赤井さんと赤井さんのお母さんの声が聞こえてくる。
ただ話してる内容の半分程よくわからない…遠いから聞き取り辛いのもあるけど、何を言い合っているのかもよくわからない……
「あ〜も〜お母さんったら…………おまたせー。それじゃあ勉強しようか!」
「あ、うん……何かお母さんと言い合ってたようだけど良かったの?」
「ふぇ!?もしかして聞こえてた!?」
「まぁ…あんまり聞こえなかったけど何か言い合っているのは聞こえてきたけど……」
「あ、き、気にしないで!大したことじゃないから!!」
「あ、うん。わかった……」
そしてしばらくしたら何食わぬ顔で戻ってきた赤井さん。
何を口論していたのか聞いてみたが、顔を真っ赤にされながら誤魔化されてしまった。
「それじゃあ勉強始めようか……赤井さんどんな問題がわからなかったの?」
「えーっと…まずは問4なんだけど……」
「何々、えっと…曲線y=x^3-6x^2 8xとx軸で囲まれた面積を答えろか……これはまず式の右辺を因数分解してy=0で方程式を解いて……」
「ふんふん……」
このまま聞き出そうとしても多分言ってくれなさそうなので、早速数学の勉強を始める事にした。
俺の座っている位置の真正面に座った赤井さん……何もしていないとどうしても肌蹴ている胸に意識がいきそうになってしまうので、俺は慌てて問題集を開いて赤井さんがわからないと言った積分の問題を教える事にした。
自分自身もそんなに得意という訳では無いので問題によっては答えられないだろうなと思ったが、これならなんとかなりそうだ。
「……って事で、積分すると8って答えが出ると」
「おおーなるほど〜!村井君すご〜い!!」
「まあこれぐらいなら…これ以上難しいと解けるかわからないけど……」
「その時は一緒に解けばいいんだよ〜!という事で次は問6なんだけど…」
という事で、このまま赤井さんとまずは積分の勉強を続ける。
「あーこれは…定数じゃないのか……」
「やっぱり難しいよね〜……じゃあ一緒に解こうよ!」
「そうだね…」
やはり俺達は受験生……始めたら驚く程集中して赤井さんの身体をじっと見る事も無くなったので、特にエロハプニングも起こる事無く勉強が捗っていった……
……途中までは、だが……
「……で、ここが垂直だから0ベクトルになるから……」
「あーだから答えはこうなるのか…なるほどわかりやすかったよ!」
「えへへ…問題も全部終わったし、次は英語やる?」
「そうだね……」
数学の勉強を始めてから2時間程経ち、そろそろ英語の勉強に切り替えようかと思っていた時だった……
トントン…
ガチャッ…
「頑張って勉強してる二人に差し入れだよ〜!」
「ちょっとお母さん!?」
赤井さんのお母さんが何か差し入れを持って赤井さんの部屋にやってきた。
「なんで来たの!?」
「だから差し入れだって〜!」
「もう!余計な事しなくていいって言ったのに〜!!」
そう言いながら部屋に入ってきた赤井さんのお母さん……手に持っているのは……
「はいこれは普通の紅茶とケーキ、そしてこれが……」
いい匂いがする紅茶と市販のロールケーキ、そして……
「お母さん愛用の精力z」
「だからやめてよ〜お母さ〜ん!!」
最後まで言う前に赤井さんが止めたけど……おそらく精力剤を持ってきた。
「本当に余計な事しないでよ〜!!」
「はいはい。夕飯は7時頃だからそれまでにはキリを付けるのよ?」
「わかったからこれ持って出てって!」
そして余計真っ赤な顔した赤井さんに追いだされる形で出て行った……
「……なんか凄いね赤井さんのお母さんって……」
「はぅぅ……」
勉強してるところに精力剤を持ってくるとは……というか何故精力剤?
もしかして俺と赤井さんとの仲を応援してくれている?
なんて考えはしないでおこう……おそらく勉強のストレスを発散させようとしたギャグだろう……
どこの世界に付き合っても無い男女の為に精力剤を持ってくる親が居るのだというのだろうか。
「お母さんのせいで集中力切れちゃった〜……」
「はは、そうだね。じゃあ折角持ってきてくれた事だし、紅茶が冷めないうちに食べようよ。丁度他の科目やろうとしてたとこだし休憩も兼ねてさ」
「そうだね〜……」
という事で集中力も切れてしまったので、差し入れを食べる事にしたのだった。
食べたら今度は英語の勉強を始める事にしよう……
「ゴメンね村井君…へんなお母さんで……」
「いや…結構ユニークで面白いお母さんだと思うよ?」
「そうかなぁ……」
紅茶を飲みながらの赤井さんとの雑談は、至福のひと時と言っても過言では無かった……
…………
………
……
…
「うーん…赤井さんどうだった?」
「現代文が微妙……でも古文は満点だったし、漢文も42点あったよ〜」
「へえ凄いじゃん!俺は現代文は両方で94点あったけど……古文が13点、漢文に至っては勘で答えた8点の問題一問しか合って無かったよ……」
英語の勉強を終えた後、今度は国語の勉強をした俺達。
国語は実践を積んだほうが良いかなと思ったので、センター試験の過去問を二人で解いてみたのだが……俺の結果は悲惨であった。
「でも村井君は現代文かなり点数取れてるじゃん!」
「赤井さんは同じくらい古典で取れてるじゃん。現代文は今使ってる日本語を読み取ればいい分簡単だけど、古典は何言ってるのか現代語訳しないと駄目だから難しいんだよ…」
「うーん…わたしは小説での主人公の心情を答える問題とかが難しい……」
こんな感じに互いの自己採点結果を言い合っていたら……
トントン…
ガチャッ…
「二人ともご飯よ〜。キリがついたら降りてきてね〜」
「は〜い。じゃあ見直ししたら行こうか!」
「そうだね」
どうやら夕飯が出来たらしい。赤井さんのお母さんがわざわざその事を言いに部屋まで来てくれた。
そんなに長い事待たせるわけにもいかないので、俺達は間違えた問題を見直した後リビングまで急いで向かった。
……………………
「すまんな村井君。愛理は賢いと言っても家内での話だから教えるのに苦労はしていないかい?」
「いえ…むしろ俺の方が愛理さんに色々わからないところを教えてもらってるぐらいですよ」
そして赤井さんの家族の皆さんと一緒に夕飯を食べている俺。
どうやら赤井さんは4人姉妹の長女らしい…スライムなだけあってやはり顔は瓜二つであり、ちょっと小さめで中学生ぐらいの赤井さん、もっと小さく小学校中学年ぐらいの赤井さん、小学生低学年に満たないぐらいの赤井さんがリビングに揃っていた。
今この空間で赤い身体をしていないのは俺と赤井さんのお父さんだけである……なんだか赤い湖か何かにでも入っている錯覚に襲われそうだ。
「愛理、勉強はちゃんと捗っているのか?」
「うん!いつも以上に集中して出来たよ。途中でお母さんが入ってこなければもっと集中出来たけどね〜」
「そーいう意地悪な事言わなくてもいいじゃんか〜!わたしは愛理の為を思って…」
「ちょっとお母さん!だから余計な事は言わないでよ〜!!」
「落ち着いてお姉ちゃん…お母さんは昔からこうだから何言っても無駄だよ〜……頭の中はお父さんとのセックスで頭がトロトロなんだから……」
「そーそーママはエッチな事しか考えて無いもん!」
「む〜!そんな事無いわよ〜!わたしは娘達の事もちゃんと想ってるよ〜!」
「『も』って言ってるじゃん……」
「ははは……」
本当に賑やかな家族だなぁ……
家族と言えば、俺も夕飯を赤井さんの家で御馳走になる事を母さんにメールで伝えたら『やっぱり今日はお泊まりコースか』なんて返信を返してきてたっけなぁ……
俺の親は人間だったと思ったんだけどな……というか余計なお世話である。
「ところで村井君、魔物の家族は親戚に居たりするのかい?」
「いえ…魔物と結婚した親戚は多分居ないかと…存在すら知らない遠い親戚にはいるかもしれませんが……」
「そうか…じゃあ実は今落ち着かないんじゃないかい?いきなり下品な話も出てくるしね…」
「まあ……でも通っている高校が高校なので慣れていないわけでもないのでそこまでは……」
「はは…言われてみればそうだね…」
たしかに落ち着いて話が出来る相手は赤井さんのお父さんだけだけど……高校でも似たような感じだからそこまでは動揺はしない。
そこまではしないが……なんか生々しい話を一番年下の子ですら自然にし始めるので戸惑いが全く無いわけでは無い。
こんな会話を毎日している赤井さんのお父さんは苦労しているのだろうか……
「で、だ…村井君ちょっと……」
「何ですか?」
レッドスライム達が盛り上がっている中で、突然お父さんがヒソヒソ声で俺に……
「村井君は…愛理の事をどう思っているんだい?」
「えっと……どうとは?」
「愛理の事…好きだったりするかい?」
「へ!?」
ズバッと答え辛い事を聞いてきた。
「え、えーっと……そのー……」
「そんなにうろたえなくてもいいよ。何と答えても怒ったりはしないからね」
「えー……はい……」
どう答えようか迷ったけれど、優しい笑顔で怒らないと言われたのでシンプルに「はい」と答えた。
「ははっそうかい!告白はしないのかい?」
「そそそんな急に……」
「こういうのは男からビシッと行かないと!自信が無いなら大丈夫、愛理の父親である俺が成功を保証するから」
「いやだから……へ?」
告白しないのかと言われたが……そんな勇気は無いし、断られたらショックで勉強どころじゃなくなってしまうのでなかなか出来ないでいたのだが……
何故かお父さんは成功を保証すると俺に言ってくれた。
「いや実際に言っていたわけじゃないから確実にではないが…おそらく愛理も村井君に好意を抱いてはいると思うぞ」
「え……」
「なんせここ一週間食卓で君の名前を聞かなかった日は無い程だからな……だからこの後にでも勇気を出して愛理に告白してみたらどうだい?」
「ええっ!?」
そして、この後自分の娘に告白してみてはどうかと言ってきた。
「あ、でもキミが初モノ好きだったら申し訳ないが……レッドスライムというかスライムは小さい頃は親の精が必須だから既に処女では無いぞ?」
「え……それはまあ別にスライムの生態的に……というかいきなりなんて話をしてるんですか!?」
「はは…魔物の彼氏になるというのはそういう事なんだ」
「はぁ……」
更には下ネタまで話し始めた……
まあ性の話が好きな魔物の彼氏や旦那さんともなると自然とそういった話をするようになるのだろけど……慣れていない俺は何故か恥ずかしくて顔が赤井さんのように…は言いすぎかもしれないが、とにかく赤くなっていた。
「あれ〜?お父さんと村井君、何二人でコソコソ喋ってるの〜?」
「え、あ、いやその……」
「何、男同士でないとわからない話をしていただけだ!そう気にするな!」
「ふ〜ん……」
とここで、俺達が何か話している事に気付いた赤井さんが話しに割って入ってきた。
内容が内容なだけに俺は慌ててしまったが、お父さんは落ち着いて返していた…凄いなぁ……
「告白は男からビシッとか……」
「ん?どうしたの村井君?」
「いや、気にしないで赤井さん……このかぼちゃの煮物美味しいな……」
赤井さんのお父さんから言われたその一言が、夕飯を食べている間俺の脳内で響き続けていた……
………
……
…
「ふぅ……美味しかった……」
「満足してくれたみたいだね〜」
「うん……ちょっと休憩してから生物でいい?」
「いいよ〜」
賑やかだった夕飯も終わり、赤井さんの部屋に戻ってきた俺達。
「いやあ…赤井さんの家族って皆明るい人達なんだね」
「あははは……恥ずかしいな〜……」
「そう?うちはあそこまで賑やかじゃないからちょっと羨ましかったよ……って言っても別に不仲じゃないけどね。ご飯中は皆静かにテレビ見てるからあまり会話が無いだけだよ」
「へぇ〜……」
「まあ最近は俺の受験が近い事もあって勉強や成績についてあれこれ言われる事の方が多いけど……」
「それは大変だね〜……うちは見ての通りお母さんが能天気だからあまりそういう話にはならないんだよ」
「だろうね…さっきも赤井さんのお父さんが最初に勉強捗ったかって聞いてきた事以外では勉強の話してこなかったもんな」
ちょっと食べ過ぎてしまったのですぐに勉強を再開せず、何気ない話をし始めた。
「受験かぁ……村井君不安だったりする?」
「そりゃあもちろん……今の段階で志望校に余裕で合格ラインに居るのならまだしも、ギリギリアウトだからね……」
「だよね〜……わたしも不安なんだ……」
だが、やはり勉強に来ているだけあってそっちの話しにシフトしていった。
「この勉強方法で成績が上がるのだろうかとか、これだけの勉強で魔乃大学に合格できるんだろうかって……この受験戦争を笑顔で乗り越えられるのかなってね……」
「うん……全く一緒だよ……俺も不安だよ……」
赤井さんの言う通り、この受験戦争を無事に勝ち抜いて笑っていられる自信がない……
それでも……
「でもね……村井君と一緒なら乗り切れる気もするんだ……」
「俺も……赤井さんと一緒だったら、この戦争で勝つ事が出来る気がする……」
赤井さんとだったら、この受験戦争を乗り切れる気がする……
それは……俺達二人とも同じ思いのようだ……
だから……
「村井君……わたし……村井君の事が……」
「待って赤井さん」
「……何?」
俺に何かを言おうとした赤井さんの言葉を遮って……
「俺……赤井さんの事が好きだ!俺とお付き合いして下さい!!」
「えっ……!?」
ちょっと卑怯かもしれないけど……緊張でいい言葉が思いつかずシンプルだけど先に告白をした。
「わ、わたしも……わたしも村井君の事が大好きです!是非わたしとお付き合いして下さい!!」
そして、俺の告白に驚いていた赤井さんも、俺に告白をしてきた。
「もちろん…俺なんかでよければ喜んで!」
「なんかじゃないよ〜…村井君は優しいし、カッコいいし、一緒に居て幸せになれる人なんだもん…村井君だからわたしは好きになったんだよ!」
「俺も…赤井さんは優しいし、可愛いし、一緒に居て幸せな気持ちになれるから好きになったんだ!」
なんとなくそんな雰囲気になっていたから先に言ったけど……赤井さんのお父さんが言った通り、俺達は両想いだったようだ。
「だったらさ〜村井君……わたしの事……その……名前で呼んでほしいな〜……」
「うん……じゃあさ……愛理も、俺の事名前で呼んでくれないかな……」
「うん……えと……和彰…………名前で呼ぶだけなのに、なんか恥ずかしいなぁ……」
お互いの呼称が名字では無く名前に変わった事で……付き合い始めたという実感が湧き始めてきて……
「ねえ和彰……」
「愛理……」
互いの名前を呼び合い……顔を見つめ合って……
「ん……」
「んっ……」
ゆっくりと近付いて行って……お互いの唇が軽く触れ合った……
初めてのキスの味は……どこか甘く感じた。
「へへ……じゃあ、勉強始めようか……」
「そうだね……」
二人して顔を赤らめながらも、俺達は勉強を始める事にした。
折角恋人になったのに勉強かよって思うところもあるけど……俺達は一緒にこの戦争を乗り切って同じ大学に行こうとしているのだから、勉強はするべきだ。
「でも……」
「ん?どうした?」
「えっと〜……ちょっと机が小さいから難しいかもしれないけど〜……隣り合ってやろうよ……」
「……そうだね……そうしようか……」
それでも、昼までとは違う雰囲気の中、俺達は生物の勉強をし始めたのだった……
………
……
…
「じゃあ最後の問題……検定交雑の意味は?」
「えっと〜……遺伝子型が不明の個体を劣性ホモ結合体と交雑してその遺伝子型や配偶子の出来方を確かめる交雑の事……だよね?」
「正解!この分野はこれでほぼ完璧じゃないかな?」
「そうだね〜。あとは忘れないようにしないとね〜」
「だな…じゃあ今日はここまでにしようか」
「うん♪」
生物は最初は重要な点を二人で調べあって、後半は二人で用語の問題を出し合っていた。
そしてもう夜も遅い午後10時前……告白後すぐに始めた生物の勉強も、これで2時間やった事になる。どうりで疲れているわけだ。
愛理も同じようで、終わった途端に蕩けた顔して身体の方も初めて会った時のように少し蕩けている。
「もう10時か……それじゃあ愛理、俺はそろそろ……」
「え……和彰帰っちゃうの……?」
「いやまあ…もう夜も遅いし……」
夜も遅くなったのでそろそろ帰ろうかと思って腰を上げたら……愛理が悲しそうな顔をしてこっちを見てきた。
その顔を見て帰る事に躊躇いを感じたが……流石に彼女の家と言えど夜遅くまでいるのは非常識だから帰るべきだと思うのだが……
「イヤ……帰らないで和彰〜……」
「え……ちょっ!?」
どうしても愛理は俺に帰って欲しくないようで……ずっと着ていた上着を脱ぎ捨てて身体を伸ばしたかと思ったらいつぞやのように俺の身体に抱きついて密着してきた。
「ねえ……シよ?」
「へ?あっ……ふあっ!?」
そして……少しうるんだ瞳の上目遣いでそう言いながら俺の目を見てきて、身体は俺の下着の中にまで侵入してきて……俺の股間をぐにぐにと弄ってきた。
「告白されて〜……キスもしたのに〜……勉強していて〜……もうわたし我慢出来ない……」
「えっ……はうっ!?」
「だから和彰〜……今日はうちに泊まって……シよ♪」
どうやら互いの心が通じ合った事やフレンチキスなどで高まっていたらしい……
そして長時間の勉強の末、やっと解放されたと思った矢先に俺が帰りそうになったから理性と言うものを手放したらしい……先程は勉強から解放されたから蕩けた顔をしているのだと思ってたけど、どうやらこれからの行為に期待してのものだったようだ。
「ねぇかずあきぃ……いいでしょ?」
「ひゃうっ!お、おう!い、いいからちょっと離れてくれ!!」
「イヤ♪」
「た、頼む……さ、先に便所行っておきたいから!!」
「んも〜雰囲気ぶち壊し〜……仕方ないなぁ……5分で戻ってきてね!」
「お、おう…ありがとう……」
今まで一度も見た事無い程ムスッと不機嫌な表情を浮かべた愛理は一応俺の身体から離れてくれた。
本当にトイレにも行きたいが……愛理と今から交わるという現実を受け入れる為の時間が欲しかった。
もちろん俺は童貞だから……かなり緊張する……
とりあえずトイレで用を足そうと部屋を出てトイレに向かおうとしたら……
「……何してるんです?」
「いえいえお気になさらず〜……」
何故か部屋を出てすぐの所に何か良くわからないものを持った愛理のお母さんがいた。
そして俺に見つかった後、何食わぬ顔して一階に下りて行った。
もしかして……こっそり覗くつもりだったとか?手に持ってたのもビデオか何かか?
「……まあいいや……」
お母さんの奇行が気になったが、問いただして結果愛理を待たせても良くないので無視してトイレに行く事にした。
……………………
「じゃあ和彰……今度こそいいよね?」
「ああ……覚悟も決めたし、いいよ……」
トイレから戻ってきた後、覗き防止の為部屋の鍵を閉めて愛理に言われるまま全裸になった俺は、愛理の手によって部屋にあったベッドに寝かされていた。
全裸で寝かされている事そのものがまず恥ずかしいのだが、ベッドの上にいるせいで服を着ていない愛理を全裸だと意識してしまい、股間に熱が集まって硬くなっているのを見られている事がそれ以上に恥ずかしく、俺は顔どころか全身が真っ赤に染まっていた。
そしてこれからやる事に興奮しているためなのか…初めて愛理の部屋に入った約10時間前よりも甘い匂いがする……
「じゃあ……んっ……」
「んんっ……くちゅっ……コクッ……」
しばらくの間少しずつ膨らんでる俺の陰茎を見ていた愛理だったが、俺の顔に目線を移した後、ゆっくりと近付いてきて……弾力性のある愛理の唇が俺の唇と重なった。
先程とは違い唇同士が重なるだけでは終わらず、愛理の同じく弾力性のある滑った舌が、俺の唇を押し広げ口内に侵入してきた。
そのまま口内を蹂躙してくる舌の動きに合わせ、俺も舌を動かして愛理の舌を絡め取る。
そして愛理は俺に自身の唾液を……いや、レッドスライムなのでもしかしたら自分自身なのかもしれない……を流し込んできて、俺はその液を飲み込んでいく。
愛理の舌は……愛理の唾液は……愛理から貰ったレッドスライムゼリーとは比にならない程甘く感じた。
「ぷふぅ……和彰のキス、上手で蕩けちゃう〜」
「ふぅ……愛理には敵わないよ……」
数分にも渡るディープキスは、軽く酸欠を感じるようになったところで終わりを迎えた。
ゆっくりと離れて行く愛理の唇……
別れを惜しむかのように、俺と愛理の唇の間には仄かに赤く輝く橋が掛かっており……しばらくしたら重力に負け俺の胸の上に垂れ落ちた。
「じゃあ次は〜……スライムにしか出来ない事をやって気持ち良くしてあげるね〜♪」
そう言って愛理は俺の胸の上に乗った……たしかな重さと一緒に、ひんやりとした身体の中にたしかな熱を感じた。
「こうやって身体を広げて〜……」
そのまま愛理の足下からゲル状になっていき、俺の身体を包み込むように広がっていって……
「ぐにぐにってすると〜……」
「うあっ、ふおおぉぉっ……!!」
俺の頭と性器を除いた部位を顔以外の自分の身体で包みこんだ愛理は、その言葉通りぐにぐにと強弱をつけながら蠢き始めた。
ただぐにぐにされているだけならただ気持ち良いで済むのだが……先程愛理にされたキスと…舌の動きと同じ感覚が全身に走っているのだ。
言ってしまえば全身ありとあらゆる場所を同時に愛理に舐められているようなものであり……性的な気持ち良さと若干のこそばゆさ及び恥ずかしさによっておかしな声を上げていた。
「気持ち良いんだね〜……もうおちんちんがこんなに……♪」
「あぅ……ふあぁ……」
そして全く弄られていない俺の逸物は……うっすらと血管を浮かべながら硬く勃って、先端からは透明な液を垂れ流していた。
それはもう自分で慰めている時には見た事がない程大きくなっており、自分で見た場合かなりグロテスクに思えたのだが……
「あは〜♪」
愛理は嬉しそうに目を細めた後、顔をそのグロテスクな肉棒に近付けて……
「はむっ!」
「ふぁうあっ!!」
口を大きく開けたと思ったら、根元まで一気に咥え込んだ。
「ムグムグ……」
「ひゅおっ!それやば…!?」
愛理はレッドスライムだから、俺の逸物が喉奥にまで突き刺さっているのがハッキリと見えるが……苦しくは無いようだ。
それどころか竿を上下に動かすように口内の粘液を動かし、亀頭にはプニっとした弾力を伝え、それでいて吸いついてくる。
童貞なためエロ小説などで得た知識でしかないけど…膣内と子宮口を口で再現しているのかもしれない。
もちろんそうだとしたら…たとえ違っていても口での淫行と全身に及ぶ攻めに童貞が耐えられるはずも無く……
「ふぐっ、あ、で、射精る……っ!!」
「ふむっ!?んん〜♪」
愛理の口内にドクドクと精子を射精してしまった。
愛理の喉奥からギリギリ広がらずに残っている胸に掛けて白濁液が…精液が迸るのが見える……
そのまましばらく射精続ける精液だが……迸る精液は分解・吸収されているのか一定量以上溜まる事は無く消えていく。
「んん〜……やっぱり和彰のせーえきおいし〜♪」
「はぁ……はぁ…………ふぅ……そうか……」
一分程してようやく射精が止まり、愛理の口が陰茎から離れた。
自慰では経験した事がないほど長く、大量に射精したと思う……けど、射精したものはもう分解されきったようで、すでに愛理の体内には残っていなかったのでその実感もあまり湧いては居ない。
「じゃあお次は〜……」
「ん……ふぁふ……」
そう言いながら愛理は俺の身体を包んでいた部分をゆっくりと、感じる部分を刺激しながら人型に戻していき……
「こっちに〜…和彰のせーえきちょ〜だい♪」
足まで形成されたところで、愛理は自分の股を指差しながら俺にそうおねだりしてきた。
指差された場所をよく見てみると……実物は見た事無いが、そこには人間の女性や他の魔物と同じような一本の筋があった。
つまりは…さっき口で行われたような事を、今度はスライムの膣でやるという事だろう。
「早速入れるね〜」
「え……前戯無しで大丈夫なの?」
「大丈夫〜、だってわたしレッドスライムだもん♪」
「それってどういう……う……」
前戯も無しにゆっくりと俺の肉棒の上に腰を下ろしてきた愛理。
大丈夫なのかと思っていたのも束の間、俺の肉棒の先端が愛理の割れ目に触れた。
「えへへ〜♪……大丈夫でしょ?」
「あ、う……」
そのままずぷずぷと文字通り埋もれるように愛理の膣内に入っていく俺の肉棒に感じるのは、外からではわからない無数の細かいヒダと内部の滑りだった。
よく考えたらレッドスライムは半液状生物……膣内を濡らす事など容易なのであろう。
あっという間に俺のペニスは根元まで愛理のナカに埋め込まれてしまった。
それだけで俺は射精してしまいそうであった……一回愛理の口に射精していなければ確実に今の状態で暴発していただろう……
「ん〜♪奥まで入ったね〜♪気持ち良い〜?」
「あ、うん……気持ち良さ過ぎてすぐに射精しちまいそう……」
「いいよ〜!いっぱい射精して〜♪」
「ふあっ、はひぅ、な、なにこれぇ……!!」
そのまま騎乗位で、俺の肉棒で体内を掻き回すかのように激しく腰を前後上下に振り始めた愛理。
硬くなっている部分が竿部分を扱き、プニッとしたものが亀頭を包み込み、無数の襞が全体を優しく撫でてくる……それら全てがさっきの口での行為の時とは比べ物にならない程の快感を叩きつけてくる……
愛理も気持ちが良いようで、先程までは無かった気がした突起がおっぱいの先端についており、口からは涎の様なものを垂らしながら淫らな笑顔を作っていた。
「ごめん、も、もうで、射精る!!」
「いいよ〜いっぱい射精して〜♪」
不規則に俺の陰茎を責め立てる襞にスライム体……あっという間に限界は訪れて……
「う、くうぅぅぅぅ……!!」
「あ〜アツいのいっぱい出てる〜♪」
さっき以上の量と勢いがある精液が、愛理の体内を白く染め上げた。
「あっ、あっ、ああっ!」
「はうぅ〜気持ち良くてイクうぅぅ〜♪」
精子を射精しながら暴れ動く俺の陰茎……それが愛理の敏感な所を擦っているのか、陰唇から透明な液を溢れさせながら身体を細かく震わせ始めた。
どうやらイッたようで、恍惚とした表情をしながらも腰を細かく振り続けている。
その腰の動きと、更に精液を搾り出そうとする膣の動きで射精が止まらない……
「はふぅ…ふぅ……」
「はぁっ、はぁっ……♪」
人生で一番長く続いた射精が止まり、モノが愛理のナカで半分柔らかくなったところでようやく俺達は落ち着いた。
出した量が多かったのもあり、全身に広がるように白いモノが愛理の身体を泳いでいる。
「ごめん……続けるにしてもちょっと休ませて……」
「やだ〜♪」
「やだ〜って言われても……ぅ……疲れちゃって……」
「ん〜……」
つい先程まで童貞だった俺にとっては強過ぎた快感と長い射精で少し疲れたので、膣を動かし射精したばかりで敏感な陰茎を甘く刺激してくるまだまだやる気の愛理に少し休ませてと言ったのだが拒否されてしまった。
「じゃあこうする〜」
「どうするっtんぷっ!?」
「いっぱい飲んで〜」
それでも休ませてと頼んだら、ちょっと考えた後に愛理の大きなおっぱいが俺の口の中にねじ込まれた。
そして乳首に当たる部分から、粘っこく甘い液体が口の中に垂れてきたのだ。
「飲んだら元気になるし、今赤ちゃん作ると大変だからいっぱい飲んで〜♪」
「ん……んく……」
どうやら母乳に見立てた愛理の身体……言うなれば液体レッドスライムゼリーらしい。
そして通常のゼリーと違い、飲めば飲む程より飲みたくなり、更には媚薬の効果でもあるのか、愛理の中で力無くくたっとしていた陰茎がいつの間にか硬く反り勃っていた。
「ちゅうぅ……」
「ひゃぁ〜♪吸っちゃイヤァ〜♪」
もっとこの飲用ゼリーを飲みたくなった俺は、愛理のおっぱいを強く吸ってみた。
口から溢れんばかりにビュッと勢い良く出てくるゼリー……感じているのか、愛理が俺の上でビクビクと痙攣し始め、擬似的な膣がギュッと締まった。
「んく……ちゅぅ……んく……んんっ!」
「ああぁぁ〜ダメぇ〜またイクうぅぅ〜♪」
おっぱいから出ているゼリーと、不規則に蠢く膣肉の動きに、俺はまた限界が来て……
「んん、んんんんんんっ!!」
「イ、イきゅううあああぁあっ♪」
愛理が達したと同時に、俺は愛理のお腹を白濁液で染め上げた。
「んぐ、はぁ、はぁ……」
「ぁぁ……ず、ずるいよ和彰……強く吸わないでって言ったのにぃ〜」
「はぁ……でも、気持ちよさそうだったじゃんか」
「そ、そうだけど〜…簡単にイッちゃうって思われるのは恥ずかし〜もん……」
絶頂から落ち着いた後、涙目で頬を膨らましながら俺に文句を言ってきた愛理。
「そう言われても…俺の拙い技術で愛理がイキ顔になってくれたのが嬉しくて…感じてくれてるんだなってさ……それに可愛かったしね」
「ふにゅ〜……そういうのは反則〜……」
そして可愛いと言ったら、照れ隠しなのかプイッと顔を背けてしまった。
「可愛いと思ったのは本心だよ。だからさ……」
「にゅ〜……ひゃっ♪」
「まだシたいんだろ?もっと可愛い顔見せてよ」
「あぁん……和彰ぃ〜♪」
それでも愛理の秘所は相変わらず俺の肉棒を扱くように締め付けてくる。
なので俺は敏感な愛理のおっぱいを強く揉みながら、突き上げるように腰を動かした。
この甘い夜はまだまだ終わらない……
いや、終わらせる気など無く、俺達はお互いに深く愛し合い続けたのだった……
====================
チュンチュン……
「ん〜……ふぁ〜……」
「あ、おはよ〜和彰」
「おはよ……ん?」
鳥の鳴く声で目が覚めたら、いつもの天井では無い物が目に入って、横から可愛い声が聞こえた。
「……あ、そうか…昨日は……」
「うん……」
横を見たら、俺と同じく起きたばかりなのか眠そうにしている愛理がいた。
という事は昨日の出来事は夢ではないと……なんだか恥ずかしくなってきた。
それは愛理のほうも同じのようで、日光の関係でいつも以上に真っ赤な顔を余計赤く染めていた。
「あ、あの〜……昨日はその〜…激しかった……ね……」
「……そうだね……」
たしかに愛理が言う通り、昨日の夜は激しかった……
たしかほとんど出なかった7発目を出した辺りで疲労で意識が遠のいて、そのまま気絶するようにベッドの上で今のように二人寄り添って寝たはずだ。
その証拠に愛理はともかく俺は裸のまま、昨日頑張っていた部分も丸出し状態である。
「ところで和彰〜、これからどうするの〜?また夜までこのまま一緒に勉強する?」
「うーん…さすがに一回帰るよ。着替えたいし、携帯のバッテリーも危ないしね」
「わかった〜。じゃあまたお昼過ぎに家に来て一緒に勉強しよ〜」
「わかった」
とりあえず裸のままでいるのは恥ずかしいし、この時期では風邪を引きかねないので服を着ていた俺に愛理は今日も一緒に勉強しようと言ってきた。
このまま一緒にというのは流石に無理ではあるが、その提案を断る理由などないのでもちろんそうするつもりだ。
「しかし…昨日は帰っちゃイヤと言っていたのに今日はあっさり納得したな」
「う〜……昨日はその〜…問題を出し合っている時になんか甘い匂いがするなって思ったら気持ちが高まってて〜…そのうち興奮しちゃって〜…和彰とシたいという考えで頭がいっぱいになってたところで帰るなんて言われてつい……」
「そうか……ん?」
昨日の夜帰ると言った時に俺とセックスしたいが為にあんなに嫌がって帰さまいとしてきたので今からもそうしてくるものだと思ったが、そんな動きを一切見せずに笑顔で見送ってくれている愛理。
不思議に思ったのでなんとなく聞いてみたら理由を言ってくれたが…一点だけ妙に気になる所があった。
「甘い匂い?」
「うん…微生物の範囲で問題出し合ってる時ぐらいに、なんか漂って来たんだ〜…その匂いを嗅いでるうちに興奮してきちゃって……」
どうやら甘い匂いがしてから愛理の中で興奮が大きくなってきたようだ…
そういえばトイレに行って戻ってきた時に部屋の香りというか、雰囲気的に元より甘く感じたが……
「……あれ?それってもしかして……」
「ん〜?何かあったの?」
「いや…魔界ハーブの一種に甘い雰囲気になるものってあったよね」
「あーうん。メルティ・ラヴだったかな……たしか昨日生物の魔界植物の分野の勉強中に出てたけど…それがどうかしたの?」
「この家にそのメルティ・ラヴあったりする?」
「うん…お母さんが好きでいっぱい持ってる……ってまさか……」
そんな感じの特徴を持った魔界ハーブがあった気がしたので確認してみたら、この家にある…しかもお母さんが好きでいっぱい持っているとの事。
愛理のお母さんと言えば、昨日トイレに行く時何故か部屋の外にいて、何食わぬ顔して去っていったせいで何しているのかは聞く事が出来なかったけど…まさか……
「……でも和彰とその〜…シたかった気持ちは本当だから……」
「あ、うん……ありがと……」
おそらく犯人はあの人だろうけど……そんなは事どうでも良い。
俺と愛理がお互いを愛し、甘い時間を過ごしたのは自分の意志なのだから。
「じゃ、一回帰るね」
「うん。その間にお母さんに問い詰めてみるよ〜」
「あ、うん…多分俺達に気を遣っての行動だから喧嘩はしないようにね」
そして俺は荷物をまとめ終えたので一旦帰る事にした。
「あ、そうだ愛理……」
「ん〜?な〜に和彰?」
でもその前に、一つだけ愛理に言っておきたい事がある。
「この受験戦争……絶対二人で乗り切って同じ大学に行こうな!」
「……うん!絶対だよ!!」
それは…二人で同じ大学に合格しようという決意をだ。
「それじゃあまた昼に…さすがに次の日学校だから今日の夜は帰るからね」
「仕方ないよね〜……えっとさ〜…戦争終わるまではヤるのは金曜と土曜でいい?」
「あ〜……まあ愛理がそうしたいなら……都合で駄目な時や試験前以外ならいいよ」
「うん!じゃあそうしよ〜!!」
「おう、それじゃあ」
「うん、また後でね〜」
言いたい事も言えたし、これからどうするのかも決めた事だし、俺は愛理の部屋を出て一旦家に帰った。
全国の高校3年生を苦しめる戦争……受験戦争。
それを生き残り、笑顔で来年を迎えるのは決して容易ではない……
苦しい中で必死にもがき、戦い続けなければならない……
だが、一人で不安の中戦っていても……何時かは倒れてしまうだろう……
でも、そんな時に心休める場所があれば……
心休まる仲間がいれば、きっとこの戦争も乗り切れるだろう。
乗り切った先で、仲間と一緒に笑顔でいれるだろう……
俺はきっとこの戦争を笑顔で抜けられる。
なぜなら、俺は見つける事が出来たから……
受験勉強を共にやり、心休ませる事が出来る仲間を……
戦争中の赤きオアシスを!
12/11/02 08:13更新 / マイクロミー
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