読切小説
[TOP]
メル姉はオレの妹!?
「ふぁぁ〜……」


オレは部屋にある窓から射し込む日光で目が醒めた。
気持ちの良い朝だ。


「ふわっふぅ……」


とりあえず窓から外を見ると、青い空、白い雲、輝く太陽、降る白雪が見えた…
うん、良い天気だ。

「……って太陽出てるのに降る白雪ぃ!?………いやまて、いつものようにメル姉のせいだな」

思わず叫んでしまった。別に不思議な事じゃないのに。
良い天気の日に雪やら雷やら氷やらを降らすようなご近所さんがいるのでこのような事は日常茶飯事だ。
一応そのご近所さん…メル姉が原因かどうかを確かめに行く事にする。


家を出て雪の中を少し歩いたら……やっぱりいた。

「ブツブツ…」
「おーいメル姉!」
「ブツブツ…ん?あっ、おはよーフォン!」

小高い丘の頂上で、複雑な模様が描かれた円の上で大きく禍々しい鎌を手に持ちながら何やらブツブツと呪文みたいなものを唱えていたちょっと人と違う姿をした眼鏡を掛けた女の子…メル姉がいた。
邪魔になるかなと思いつつもメル姉に話し掛けたら反応して挨拶してくれた。ちなみにフォンと言うのはオレの名前だ。
メル姉が挨拶し呪文を止めた瞬間降っていた雪がやんだ。やっぱりメル姉が雪を降らしていたようだ。

「おはよーメル姉!大体わかるけど何してんの?」
「大体わかるなら説明する必要無いと思うんだけど…それとも何か言いたい事でもあるの?」


「何かわたしに文句でも言いたいのかな?」とでも言いたげにメル姉がジト目でオレを見てきた。


「いや別に言いたい事があるわけでは無いけど…やっぱり最近のマイブームの天候をモチーフとした魔術の練習?」
「うん、そうだよ!」
「……なんでわざわざ晴れた日に雪とかを降らせてるの?」
「え?だって相反する2つが同時に存在するなんて凄くワクワクするじゃん!!」

先程とは逆に目を見開き瞳を輝かせながらオレに力説してきたメル姉。
メル姉いわく、晴れてるのに雨が降ってたり、水の中なのに炎が燃えてたり、前向きに歩いているのに後ろに進んでたり、マンティスなのにペラペラ喋っていたりと、本来なら同時に存在する事のない正反対な2つを自分の魔力で実現させるのが楽しくて仕方がないらしい。

実際今あげた例は既に実行済みである。

「いや、ワクワクはするけどさ……他人に迷惑かけるのは良くないと思うんだけど…」
「なによ、やっぱり文句あるじゃない。それにわたしがいつどこで他人に迷惑かけたっていうのよ?」
「今まで全く誰にも迷惑かけたつもりは無いの?あんなに怒られたりボコられたりしたのに?」
「……………ごめん、確かにしょっちゅう迷惑かけてる」

さっきあげた例を実行したあと大体誰かから怒られたりボコられたりしているのだから確実に迷惑はかかっているはずだ。
晴れた日に雨を降らしたせいで近所の人が干していた洗濯物をびしょ濡れにしてしまってその人とメル姉のお母さんから怒られていたし、前向きに進んでいるのに後ろに進む魔法を本人の許可無くかけられた眷属(友達)の魔女はあまりもの奇妙さにパニックになって倒れてしまいその後目を覚ました魔女に約半日も説教され、同じ村に住んでいる年上のマンティスさんに心の声まで口に出す魔法(もう呪いの類い)をこちらも本人の許可無くかけその行為にブチギレしたマンティスさんがメル姉を木に縛り付けもの凄い暴言をマシンガンのように浴びせながら腕の鎌(誤って切ってしまわないようにカバー付き)で顔含め全身ボコボコにしたのだ。
唯一水の中で炎を燃やしたのは誰にも迷惑かけてないが、それはオレや魔女達がきちんと村の外れの湖に住んでいるサハギン達が一人も居ない場所でやらせたからだ。
とりあえずこんなことされるほどの迷惑は絶対かけている。本人もそれがわかったためか暗い顔して俯いて反省している。

「大体今日だってせっかく良い天気なのに雪降らせたらまた洗濯できないじゃんか」
「今回はちゃんと範囲狭めたわよ!!」
「じゃあなんでオレの家は雪降ってたの?」
「フォンの家が範囲内にあったから」
「……もっと範囲狭めてよ」
「残念ながらわたしの腕ではこれ以上範囲を狭める事ができないのよ…」

そう言ってますますメル姉の顔が暗くなった。
暗い顔したメル姉をあまり見ていたくないので元気になってもらえるように言葉を続ける。

「えーと…まあオレの家族はまだ寝てるから全然問題無いし…」
「……」
「それに晴れているのに雪が降っててワクワクsムプッ!?」
「……もういいよ。変にフォローされても惨めになる…」

元気になってもらえるように言っていたが本人には逆効果だったらしく、顔にメル姉の『肉球』を押し付けられた。


何故メル姉に肉球があるかって?さっき言ったじゃん、メル姉はちょっと人と違う姿をした眼鏡を掛けた女の子って。


メル姉は赤茶色でツインテールの髪と金色の瞳を持った見た目8〜10歳位の女の子…着ている服が服と言えない(大事な部分を薄い布切れで覆っているだけ)事を除いてここまでは人の女の子と同じような姿だ。
だけど頭には山羊のような茶色い角、同じく山羊のような耳が生えており、手足は獣毛に覆われている。手は正に獣の手で、鋭い爪と柔らかい肉球がついている。足には蹄が、腰には山羊の尻尾がついている。
喋り方は普通の女の子のものでツインテールに使っている髪留めは可愛らしいピンクのリボン、さらに眼鏡を掛けてこそいるが、その見た目通りメル姉は『バフォメット』である。


「ふに〜……」
「……何よいきなり変な声出して」
「メル姉の肉球ふにふにで気持ち良い…」
「……ありがと…」


喋り方が普通なのは本人いわく「わたしまだ若いから。威厳とか貫禄とかどうでもいいから」とのこと。実際メル姉はオレの1つ上で16歳だ。
「年寄り口調のほうがロリなのにババァとか反対の二つが成り立つよ」って言ったら「それだけは死んでもイヤ!!」と強く言われたのでよっぽど嫌なのだろう。

髪留めが山羊の頭みたいなものじゃないのは「可愛くない。趣味じゃない。怖い」とのこと。どうやら人間から見ても可愛いと思えるものが好きらしい。
ちなみに、今髪留めに使っているピンクのリボンは少し前に誕生日プレゼントとしてオレがあげたものだ。どうやら気に入ったらしい。嬉しい限りである。

それと、「魔物なんだから視力は悪くない筈なのに何で眼鏡掛けてるの?」って聞いたら「精神安定剤」と答えが返ってきた。
意味が解らないのでとりあえず眼鏡を外そうとしたら恐ろしい形相を浮かべながら鎌を大きく振り回して抵抗された。よっぽど大事なもので外されたくないらしい。


「なんなら両手でフォンの顔を挟んでやろう」

ふにふにっ!!

「あ〜なんか幸せ…」
「いつも思うんだけど…そんなにわたしの肉球気持ち良いの?」
「最高のふにふに具合だよ…」
「……よく解らないけど褒めてるんだよね…ありがとフォン…」

メル姉の肉球は触れている者に至極の快感を与えてくる。
ずっと触っていてもらいたいほどだ。



しかし…



「「おーい、メル様〜!!」」
「ん?あ!」

メル姉の肉球による天国を味わっていたら、遠くからメル姉を呼ぶ可愛らしい声が二人分聞こえてきた。
メル姉の事をメル様と呼ぶことや声からしてメル姉の眷属(友達)の魔女、『ナナコ』と『エディ』の二人だろう。
二人が来たせいでメル姉の両肉球がオレの顔から離れてしまった。実に残念である。

「おはようございますメル様〜!もう集合時間ですよ〜!!」
「二人ともおはよー。でも今日の集合時間はもうちょっと後じゃなかったっけ?」
「いいえ、もうその集合時間を過ぎているのですよ!」

何時に集合だったのかは知らないが、ナナコがそう言ったので一応今の時間を確認した。

…肉球効果か、オレがメル姉に会ってから意外と時間が経っていた。

「どうせメル様はフォン様とイチャついてて時間を気にしてないだろうなと思って見に来たら案の定でしたね!!」
「あれ?ホントに?ごめんごめん。それとエディ、確かに時間は気にしてなかったけどわたしは別にフォンとイチャついてはいないぞ!」
「えっ?違うのですか?」
「違うよ!!」

エディはメル姉とオレがイチャついてると言ってきたが、この場合のイチャは恋人同士がしているものの事を言っているのだろう。





でも…それは無いと思う。





なぜなら…メル姉とオレの関係は恋人なんてものとは程遠く、姉と弟のような関係である。

「大体なんでわたしとフォンがイチャつかなきゃいけないの!?」
「え?メル様はフォン様の事が好きで、お兄ちゃんとして慕っているのではないのですか?」
「っ!!違うわよ!!何言ってるの!!フォンは弟よ!!むしろフォンがわたしに慕ってるの!!フォンがお兄ちゃんとかありえないわよ!!」

はぁ…

確かに慕ってはいるが、こうもハッキリ弟と言われるとガックリしてしまう。



「まあそういう事にしておきますね。ところで今日は何をするのですか?」
「エディ…この前言ったはずだけど、忘れたの?」
「はい!エディは忘れています!集合時間を思い出せたのが奇跡です!」
「おい…」



そりゃあオレは昔からメル姉を本当の姉のように慕っていた。
物心ついた時から既に知っていたので、人と違う姿をしたメル姉を怖がることなく、いつも一緒にいた。
好奇心旺盛なメル姉は小さい頃からいろんな場所によく出掛け、オレも風邪ひいてたりしてない限りはいつもそれについていった。
ただ、メル姉は魔物でオレは人間だ。体力や身体の作りそのものが違う。なのでほぼ毎回途中でオレはへばっていた。
そんなオレを気遣ってメル姉はいつもオレにペースをあわせてくれた。



「今日は医薬系の魔法薬の作成をするって言ったと思うけど…」
「メル様、エディはメル様がそうおっしゃった時寝てました。もちろんワタシは聞いていましたし覚えていますよ」
「わかったナナコ。ありがとう。決めた!今日は少しやること変えるよ」



それに、オレが転んで怪我して泣いたりした時にとっても心配してくれたメル姉。
オレがワガママを言ってもきちんと聞いてくれたメル姉。
親に叱られて落ち込んでたオレを優しく慰めてくれたメル姉。

そんなメル姉の事を、成長し思春期になったオレが異性として好きになるのに時間は掛からなかった。



「変えるって…では何をするのですか?」
「魔法薬は魔法薬でも超強力な媚薬作る。そしてそれをエディに飲ませて何も出来ない状態のまま放置する」
「メル様!!エディ帰ります!!」シュタッ!!
「逃がすか!拘束魔法!!」
「はうっ!!」



でも、メル姉にとっては、オレはいつまでも弟のような存在でしかない。

メル姉はバフォメットだ。自分よりも強い男を旦那(メル姉や魔女達が言うにはお兄ちゃん)にするだろう。
オレはメル姉より遥かに弱い。武力でも魔法でも知力でもメル姉には勝てない。
じゃんけんや背の高さなんかは勝てるだろうが、そんなものは何の意味もない。



「メル様ヒドイです〜!エディが何したって言うんですか〜!!」
「少なくとも人の話を聞いていないよね?しかも初めてじゃないよね?」
「それがどうしたって言うんですか〜!!」
「反省してなさそうだしお仕置きしてあげる♪」
「うぇーん…ナナコ助けてー!!」
「自業自得でしょ……ところでメル様、反省してなさそうと言えば、メル様の足元に描かれている魔方陣って雪を発生させるものですよね?」
「そ、そうだけど…」



オレの気持ちは、メル姉に伝えられないし、伝わらない。
強くなってメル姉に勝とうとしても、オレとメル姉とでは天と地程の差は最低でもあるので至難の業だ。
誰か知らない奴にメル姉をとられたくないけど、オレがメル姉と結ばれる事は難しい。



「…メル様、ワタシに変な魔法をかけた時の反省は?」
「コレはわたしの趣味なの!!誰が何と言おうがやめるつもりは無い!!」
「…………反省は?」
「……ごめんなさい…でもさっきもフォンに言われて反省してました…」
「本当ですか?…フォン様、メル様が言っている事は本当ですか?……フォン様〜?」



この恋心に対してどうすればいいかわからないまま日々は過ぎていく…
オレが弟ではなくお兄ちゃんとして見られる為の方法を思いつけばいいのだが……



「あの〜、フォン様〜?」
「……おい、フォン!!」
「………っは!!な、何メル姉、ナナコ!?」

いろいろと考えていたらメル姉とナナコがオレに用があるらしく呼んでいた。

「なにぼーっとしてるの?」
「え、いや、何でもないよ」
「ふーん…まあいいわ…それより、さっきわたしフォンに言われて反省してたよね!」
「えっ、うん。してたよ」
「ねっ!!」
「なんでそんなに威張れるのですか…まあいいですけど…」

話を聞いてなかったからよくわからないけど、おそらくナナコにさっきオレが言った事で怒られていたのだろう。
時折ナナコが本当にメル姉より年下(オレの一つ下で14歳)かわからなくなる。
逆にいつの間にかメル姉の拘束魔法を掛けられているエディが本当にナナコと同い年なのかもわからなくなる。

「そうだ!ねえフォン、今からわたし達魔法薬を作るために材料を山に採りに行くんだけどフォンも行く?」

と、メル姉が今日魔女達とやることを一緒にやらないかと誘ってきた。
よくある事なので別に不思議な事ではない。

「うーん…行きたいけど、オレまだ朝ご飯食べてないから食べてから合流するよ」
「ん、わかった。それじゃまた後で」

オレは起きてすぐにメル姉の下に行ったのでまだ朝ご飯を食べてない。
お腹も空いてきた事だし、オレは一旦家に帰って朝ご飯を食べてからメル姉達と合流する事にした。




…………




………




……









「さて、早速材料集めに行くとしますか」ズルズル…
「メル様〜!引き摺らないで下さ〜い!エディはもう逃げないので拘束魔法を解いて下さい!」
「……」
「無視しないで下さ〜い!!」
「諦めなさいエディ。自業自得です………で、メル様、本人が消えたので聞きますが…実際のところはどうなのですか?」
「ん?なにが?」
「フォン様の事です。異性として好きなのでしょ?」
「……」
「無視するのであればお母様から貰った自白剤をメル様にこっそり飲ませるだけですが」
「ナナコ怖い…わかった、言うわ…異性として大好きよ……」
「やっぱりですか……何故それをフォン様にお伝えしないのですか?どう考えてもフォン様もメル様の事好きでいらっしゃると思うので、フラれたりはしないと思いますが…」
「それはわかってる…けどちょっとね…」
「ちょっと?何がですが?まさか今の姉と弟のような関係が壊れるのが怖いとかじゃないですよね?」
「……ちょっとだけ違う」
「では何ですか?」
「今更フォンの事を普通にお兄ちゃんなんて言えない…」
「……はあ?」
「それと…フォンはわたしがバフォメットだから自分が勝たないとダメだと勘違いしてると思うし…」
「あー、それはありますねー…メル様はバフォメットである前に一人の女の子なんですから別に自分より弱くても好きなのには変わりないのに…」
「本当にね……かと言ってわたしが魔物によくある性的に襲いに行ってフォンに好きって伝えるってのもなんか変というか…そもそもきっかけが無いというか…」
「あっ!!それでしたら耳寄りな情報が」
「えっ、何?」
「実はフォン様は…ゴニョゴニョ…ので、今夜辺りにでも…ゴニョゴニョ…すればいいのでは?」
「……成る程ね…でもそれは確かな情報なの?」
「フォン様のお母様からの情報です」
「フォン…親にバレてるのか……あわれだな……」
「まぁそうなりますね…」
「わかったわ。今夜実行する!」
「では先に言っておきます…おめでとうございますメル様!!」
「い、いや、まだわからないから…」
「何のお話かエディにも教えて下さい!!」
「ま、どうにでもなれ、か…」
「やっぱり無視ですか〜!!」


====================



「はぁ〜…疲れた…けど楽しかったな!!」

夜、オレは自分の部屋でゆったりしていた。

あの後遅めの朝御飯を食べたオレは既に材料を採りに山に行っていたメル姉達と合流して、一緒に魔法薬の材料を探した。
ある程度探した後、ナナコが作ってきてた弁当を皆で食べた。

その時にナナコに弁当旨いなって言ったらメル姉とナナコが睨んできた。

理由を聞いても二人とも「別になんでもないよ(です)…」と不機嫌そうに言うだけで理由はわからなかった。

それで弁当を食べた後まだ集めてない材料を探して、全部揃った後魔法薬を作るためにメル姉の家に向かった。
オレは知識不足で魔法薬作りはさすがに出来ないから、とりあえず高い場所に置いてある器具を取ったりして手伝っていた。
そして夕方に目的の薬は完成した。

で、「ここから先はフォンには見せられない」とメル姉に言われたので家に帰ったのだ。
だから魔法薬がどんな効果のものなのかはわからない。ただ、帰る時にずっと拘束されたままだったエディの苦しみじゃない何かの叫び声が聞こえた気がした。


「…さて、やりますか…」


そして、家に帰りご飯を食べたオレは早速ここ最近毎日夜にやっている事をする事にした。

それは…







シュッ…シュッ…

「…はっ……はっ……メル姉…」







メル姉の痴態を妄想しながら…自慰をする事だ。


小さい頃一緒にお風呂に入った時のメル姉の裸体を思い出しながら、どこか嗜虐的な笑みを浮かべながらあの至極の快感を与えてくれる肉球でオレのペニスを扱いているのを妄想しながら…!


「メル姉…メル姉ぇ……うっ!!…………ふぅ…」

予め用意しておいた紙くずの上に射精した。

そして賢者タイムになり…

「はぁ…なにやってるんだろオレ…」

自己嫌悪に陥るのも日課だ。








いくら思春期とはいえ、近所のお姉さん…しかも自分の好きな人のエッチな姿やしぐさを妄想しながら自慰をするのは最低だとは思う。
でも、オレはそれほどまでにメル姉の事を想っているということだ。

「はぁ…とりあえず処理しよ…」

オレは自分のペニスをしまって、ゴミ箱の中に先程の紙くずを丸めて捨て…



バァン!!

「こんばんはーフォン、渡し忘れてた物を渡しに来たぞ〜」
「メ、メル姉!?」

…ようとしたらいきなり勢いよく扉が開き、メル姉が部屋に入ってきた。

「やあフォン、さっき渡そうとして忘れてた『初心者でもわかる魔術書』を渡しに…おやぁ?」

そして、オレの方を…正確にはオレが持っている紙くずを見て、ニタァとし始めた。

「フォンが持っている紙くずから魔物にとって良い臭いがするんだけど、ナニをしていたのかな〜?」
「あ、えっと…その…」

そのニタついた顔をしながらオレに尋問の如く問いかけてくるメル姉。何故か眼鏡が光ったような気がする。
流石魔物…オレの精液の臭いを感じ取ってるみたいだし、誤魔化そうとしてももう手遅れだろう。

「オ、オレだってもう15だし…こ、これくらいするって!」
「ふっふ〜ん…顔が真っ赤で可愛いぞ!」
「う、うるさーい!!」

メル姉に直接してるとこを見られていないからまだいいけど、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

「大体オナニーで大事な精液を垂れ流すその感覚が理解できないんだけど…」
「オレは思春期で性欲ヤバいから別にいいだろ!!」
「ふむ…それもそうか…でももったいない…」
「もったいないって…じゃあメル姉がオレとセックスでもして性欲を抑えてくれるっていうのか!?…………あ」


しまった。勢いで変な事を言ってしまった。


「……」
「……」

そして互いに俯き無言になってしまった。

気まずい…非常に気まずい…


「へぇ……フォンはわたしとそういう事したいんだー…」

と、ここでメル姉が俯きながら喋り始めた。
心なしか声のトーンが…上がっている気がする…なんで?普通下がらない?

「そうだよね〜…だってねぇ…」

そして、メル姉は顔を上げ……












「フォンはわたしとエッチな事をしているのを妄想しながらオナニーしてるんだもんねぇー…」
「!!!?!?」












心臓が一瞬止まったかもしれないぐらい驚く事を、淫猥ともとれる笑顔で言ってきた。



「な、なんのことかな?」
「フォンがオナニーしてる最中にはもうわたしは扉の前に居たって言ったら?」
なっ!?

あの時にはもう居たってことは……まさか…!?

「いやぁ…オナニーしているフォンの口からわたしの名前が出てきた時はビックリしたよ!!」
「うわああああああああっ!!!!」

やっぱり聞かれてた…最悪だ…
恥ずかし過ぎる……ナナコから教えてもらった「穴があったら入りたい」って言葉はこういうときに使うのかな…?

「まさか姉としてわたしを慕っていたフォンがわたしとシたいと思っていたなんてねぇ…嬉しいやら悲しいやら…」
「うわあああっ!!もう言わないで〜!!」

これ以上言われると恥ずかしさと罪悪感で死んじゃう気がする。


「ま、そういう事なら…弟のフォンの願いを、姉として叶えてあげても良いわよ?」
「わあああぁ………へ?」

今何て言った?って聞こうとした時には…

「うわ!?何するんだよメルn……あ、あれ?身体が動かない!?」
「暴れられても困るから悪いけど拘束魔法を使わせてもらったよ」

すでに身体が縛られたように動かなくなり、メル姉にベッドの上に押し倒されていた。
しかも知らないうちにメル姉は下着姿に…って言ってもいつもとあまり変わらない…けどメル姉の胸に小さなピンクの突起が見えるから上は脱いでいた。


「ちょっとメル姉!?何する気なの!?」
「何って…わたしの痴態を妄想しながらオナニーする憐れなフォンの為にわたしがシてあげるって言ってるのよ」
「え!?ちょっとそれは…」


ふにっ!


「…うひゃ!?」
「あれ?結構立派なもの持ってるじゃない。やっぱ小さい頃の記憶なんて当てにならないわね」

抵抗しようにも全く身体を動かす事が出来ないから、オレはメル姉に為すがままにされていた。
メル姉はオレのズボンとパンツを剥ぎ取ってオレの陰茎を見て、感想みたいなものを言いながらオレのそれをあの肉球で触ってきた。
肉球がオレの肉棒に与えてくる快感は妄想とは比べ物にならなくて、あっという間に太く硬くなってしまった。

「ふーん…そんなにわたしの肉球が気持ちいいの?それともいつもこんなふうにわたしがしているのを妄想しながらオナニーしてた?」

両方です。って流石に声に出して言えないよ…

でもメル姉はオレの表情から察したらしく…

「両手でフォンのモノを挟んで扱いてあげよう」
「えっ!?うひゃあ!!そ、それすごっ…!!」

そう言って、立派になったオレのペニスをメル姉の両肉球で挟んで、上下に動かしてきた。
至極の肉球を持った好きな人の淫乱な行為に…童貞のオレはすぐに限界がきた。

「お?ビクビクとしてきたな…それに臭いも強くなってる…もう射精しそうか?」
「あっ、うぅっ…」

もう返事なんかできない程だったけど、もし返事なんかしたら射精してしまうかもしれない程限界だった。


「だったらこのままわたしの手の中に射精しちゃえ!」

そう言ってメル姉はオレのペニスを圧迫するようにきゅっとした。


「うぅ!!うああっ!!」

それがとどめとなって、オレはモノの先端から白いゲル状の液体をメル姉の手に吹き出した。
今まで自慰で射精してたときよりも量が多く、勢いも強い。
勢いよく飛び出した精液はメル姉の比較的平らな胸や幼い顔にもこびり付いている。

「うぁ……はぁ……」
「さっきの紙くずの中から感じた臭いよりも濃いな…味はっと…」
「はぁ……ってメル姉!?」

さっきよりも明らかに大量の精液を射精して力無くぼーっとしていたら、メル姉が手についているオレの精液を舐めはじめた。

「……おいしい!!フォンの精液おいしいよ!!やっぱこんなおいしいものオナニーで捨てるなんてもったいないよ!!」
「…それ褒めてる?喜んでいいの?」

そして、一舐めした後すぐに目を見開いて手についている分を全部舐め取り、顔についている分も指で掬いながらそう言ってきた。
たぶん褒めてくれてるし、魔物娘的に考えてかなり嬉しい事を言ってくれているとは思うんだけど…素直に喜べない。
喜べないけど…扇情的なメル姉の行為に…オレの肉棒はまた元気になってきているのがわかる。

しょうがないよね、オレ思春期だもん。

と、メル姉の顔をよくみると…眼鏡にもオレの精液がこびり付いていた。
だから取ってあげようと眼鏡に手を伸ばそうとしたら…




パシッ!!

「……何する気?わたしの眼鏡取ろうとするならフォンでも半殺しにするけど?」


恐ろしい表情を顔に浮かべながらオレの伸ばしかけた手をおもいっきり弾いた。
たぶん本気で言っているんだろうけど…なんでそんなに必死なんだろうか?

「あ、いや、えっと…メル姉の眼鏡にもその…オレのが付いてるから取ろうかと思って…」
「ホント?まあそのままでもいいよ…どうせ今からまた付いたりするだろうし」
「へ?なnうわっ!!」

なんで?って聞く暇もなくメル姉が再び硬くなっていたオレのペニスを握ってきた。

「えっ!?まだやるの?」
「嫌なの?嫌ならやめるけど…」
「え、そ、それは…嫌じゃないけど……」

嫌では無い。むしろ望んでいた事だ。

「でも……メル姉はいいの?」

でもそれは、オレが望んでいた事であり、メル姉の望みでは無い。
メル姉はオレなんかよりもよっぽど強い人とこういう事を望んでいるはずだろう。

「別に良いけど…嫌じゃないならやるからね…」

でもメル姉はそう言いながら下着も取り外して裸になり……?

「…なんで脱ぐの?」
「あれ?着たままのが良かった?てっきり裸姿で妄想してるかと思ったんだけど」
「いや、そうじゃなくて…」

なぜか裸になったメル姉がまだ拘束魔法で動けないオレの逸物の先が秘部に触れるように標準を定めながら腰を……


ってええええ!?


「な、何しようとしてるのメル姉!?」
「何って…本番」
「いやいや姉と弟じゃこんな事しないって!!」
「別にいいんじゃない?わたし魔物だし、そもそも本当に血が繋がってるわけじゃないし」
「な、なんで!?そういうのは好きな人とするものでしょ!?」
「だからフォンならいいけど?」

ダメだ…メル姉がおかしくなってる…オレが何を言っても止まってくれない。
もしかしたらさっきオレの精液を体内に入れたせいで何かメル姉の理性的なものが飛んでいったのかもしれない。
どうにかして止めたいけど…身体が動かないんじゃあどうにもできな………ん?

いや、まてよ?さっきオレ動いてなかったか?
メル姉の眼鏡に付いた精液を取ろうとして手を伸ばしていたよな…

こっそりと手を軽く握ってみる……あ、握れた。
ってことは…いつの間にか拘束魔法が解けてる!!

そうとわかれば…

「メル姉ゴメン!!」
「へっ!?きゃあっ!!」

オレはメル姉のナカに入れないように気をつけながら、メル姉を弾き飛ばすように起き上がった。
結果メル姉がベッドの上から転がり落ち、眼鏡が外れ部屋の入口まで飛んでいった。

「うぅ………」
「ご、ごめんメル姉!!でもメル姉のタメを思って…」

流石にベッドの上から転がり落ちるとは思ってなかったので、大慌てで謝りながら言い訳を言おうとしたら…


「うぅ……ぐすっ……なんで?フォンおにいちゃんはわたしのことキライ?」
「え、いや、そういうわけじゃ…………へ?」


なんかメル姉の様子がおかしくなっていた。
目に涙が溜まっていたりオレに嫌いって聞いてくるのは別にいい。
問題は…今オレの事をフォン……『お兄ちゃん』……って言わなかったか?


「じゃあなんでおにいちゃんとセックスしようとしたわたしを転がしたの?」
「え、だってそういうのは好きな人とやるのであって弟とやるものじゃあ…」
「おにいちゃんのバカ!!」
「!?」

何故かメル姉が喋り方だけは見た目の歳相応…よりも幼く感じる。
喋り方以外はメル姉そのものだけど…一体どうしたのだろうか?

「わたしの気持ちもわからないおにいちゃんなんてもうしらない!!」
「えっと…メル姉、どういうこと?」
「わたしのことはメルって呼んでよ!」
「え、ええぇ……」

メル姉の気持ちがわからないと言うか…今のメル姉がわからない。
いきなりメルって呼んでって言ってくるし…変なところでも打ったのかな…

「で、メルね…メル、メルの気持ちって?」
「わたしが言わないとわからないなんて…フォンおにいちゃんのニブちん!!」
「え?え?」
「わたしは…フォンおにいちゃんが好きなの!!フォンおにいちゃんとセックスしたいの!!」
「え!?ええっ!?」

これは本格的にまずいんじゃ…
だって今オレのことが好きだって…オレとセックスしたいって…
本当なら嬉しいけど…ありえなくね?

「えっと…メルは正気?」
「あー!ウソだと思ってるー!!わたしは本気なのー!!じゃなかったらわざわざフォンおにいちゃんがオナニーしてる時間をねらって来ないもん!!」
「へっ!?」
「ナナコに聞いたもん!フォンおにいちゃんがわたしのエッチな姿をもーそーしながらオナニーしてるってフォンおにいちゃんのおかーさまが言ってたって!!その時に行けばいろいろ口実つけて大好きなおにいちゃんとセックス出来ると思ったんだもん!!」
「はいぃっ!?」

なんか今いろいろと衝撃発言された気がする。
オレがメル姉の痴態の妄想で自慰している事が親にばれてたりとかそれがナナコに伝わってメル姉に伝わりわざとあのタイミングで家に来たこととか…はひとまず置いといて…問題は最後だ。

「大好きなお兄ちゃんとセックス出来ると思った」?どういう事?
もしかして……まさか!?

「メル姉は…メルは…オレのこと…異性として好きなの?」
「そーだよ!!そー言ってるじゃん!!」

そのまさかだーーーー!!

「え〜!?でもいつもオレのことは弟だって…」
「だって恥ずかしかったんだもん!!それにホントはフォンおにいちゃんから好きって言ってくれるの待ってたんだもん!!」
「はい!?」
「でもおにいちゃん勝手にわたしより強い人以外好きにならないって思いこんでて言ってくれないし、そんなおにいちゃん見てたらわたしからも言いにくかったし…」

まさか両想いだったとは…
てっきりオレのことは眼中に無いとばかり思っていた…

でも…メル姉はオレの事が男として好きだって言ってくれた。


だから…

「わかった…メル、オレはメルが好きだ!!」

今さらかもしれないけど…オレも自分の気持ちを、想いを伝えた。



「む〜〜〜〜〜!!い〜ま〜さ〜ら〜お〜そ〜い〜〜!!わたしが先に言っちゃったじゃん!!おにいちゃんから言ってほしかったのにぃ〜!!」


…やっぱり今更だったらしく、顔を真っ赤にして頬を膨らませながらオレに怒りの言葉をぶつけてきた。


「えっと……ごめんなさい…」
「あやまってもゆるさない!!ゆるしてほしかったら…」

そう言いながらベッドの上にちょこんと座って、足…というか股を広げ…

「わたしのおまんこにフォンおにいちゃんのおちんちん挿入れて!わたしとセックスして!!」

と、幼い身体に似合わない卑猥な表情でおねだりしてきた。
くぱぁ…と広がった秘所からは濃厚な女の臭いが漂い、泡立った粘液が溢れだしている。


この状況、ロリコンなら迷わず自分の熱い分身をその割れ目に突っ込んだりするのだろう。
だがオレは別にロリコンではない。
だからオレはそんなメル姉のおねだりなど…

「ああ……挿入れるよ…!!」
「は、はやくぅ…はやくシようよ〜…」

…あれぇ?思っている事と実際の動きが違うぞ?
なんでオレはメル姉の秘所に自分の分身で狙いを定めているのだろうか?

…わかった。相手がメル姉だからだ。
中身がいつものメル姉じゃなくても外見は完全にメル姉だし、その中身もメル姉といえばメル姉だ。


オレは、メル姉の陰唇に陰茎を押し当て…ゆっくりと挿入していった。

「はぁ…ぐぅぅ…!!きっつ…!!」
「ひゅぅん♪おにいちゃんのが挿入ってきたぁ…♪」

メル姉の膣内は身体が小さいためかキツくて、愛液が潤滑剤になっているのにもかかわらずなかなか動きづらい。
それに、メル姉の膣がオレの陰茎をさっきの肉球の時のようにきゅっと圧迫してくる。
その刺激が強すぎて…腰が抜けてきた…!!

「フォンおにいちゃん、もっと動いて!!」
「ごめ……気持ち良すぎて……動けない…」
「じゃあわたしが動くから仰向けに寝て!」

情けないが動けそうもないのでメル姉の言うとおりに仰向けに寝る…つまり騎乗位の型にした。
そして一呼吸置いた後、メル姉は身体全体を動かして刺激してきた。

「えっへへ、おにいちゃん、わたしの、身体、気持ちいいでしょ♪」
「あぅ、気持ちいい、よ、も、でそ、うっ…!」
「いいよ♪おにいちゃんの精液いっぱいわたしのナカにだしてね♪」

キツさは全く変わらず、さっきよりも激しく動いているのですぐに射精感が込み上げてきた。
長くメル姉の身体を味わっていたい…なんて事を考える余裕もなく…

「あっ!で、射精る!!」

最初の自慰から3回目だというのに、体感的には今日一番の勢いでメル姉のナカに射精した。


「あっ!!はいってくる!!フォンおにいちゃんのせーえきがわたしのなかにいっぱい注がれてる〜♪」

メル姉も満足げな表情をして…軽くイったようだ……


「あは♪いっぱい射精したねおにいちゃん♪」
「はぁ……ふぅ……」

1分位は続いたんじゃないかと思う射精が止まり、メル姉のナカからまだガチガチのペニスを抜こうとしたら…

「なんで抜こうとしてるの?まだシよ♪」
「えっ!?いやちょっと休憩させて!」
「や〜♪」

腰を小さな山羊足でがしっと掴まれて、腕も肉球で押さえつけられて抜けなくなってしまった。


「どうしてもって言うなら私にキスして!!」
「…それは願ったりだよ!…んっ!」

キスしたら解放してやるって言ってきたから、迷わず速攻でキスした。
別に抜きたいからじゃない、メル姉とキスしたかったからだ。
順番が逆になっちゃったけど、オレのファーストキスだ。

「ん…じゅる…」
「ん?…んむ…!」

と、唇を触れ合うだけのキスだったはずなのにメル姉の舌がオレの口の中に割り込んできた。
そのままオレの舌にメル姉の舌を絡め、唾液を飲ませてくる。


「ぷはっ…ほら♪これで元気になったから続きシよ♪」
「はぁ……これが狙いか…」

そんなディープキスによってオレのペニスは再びメル姉のナカで最大まで大きくなっていた。


「わたしの身体いっぱい触ったりしていいからね♪もっといっぱいシようね♪」
「わかった…がんばるよメル…」

そしてまたオレ達は行為をシ始めた…


====================



「……いいかフォン…さっきのわたしの事は忘れろ…」
「無理。初エッチであんな衝撃な事されて忘れるなんて不可能だよ」
「……」

あれからメル姉はオレの精を流し続けられたからか、いつもの調子に戻った。
どうやら眼鏡が『メル』のスイッチのようだ。眼鏡が外れるとああなってしまうらしい。

「はぁ…まあいつかはバレると思っていたからいいけど…あれ正気に戻った後死にたくなるほど恥ずかしいのよね…」
「いやぁ…メル可愛かったなぁ…ロリなメル姉ってなんか新鮮で…」
「…フォン、エディに飲ませた超強力な媚薬を飲まされて放置されるのとわたしの鎌でグサッとされるのとどっちがいい?」
「…それ一択だよね?片方死ぬよね?」
「大丈夫、わたしの魔力で覆われている鎌だから死ぬほど痛いだけで済むよたぶん」
「たぶんって…」

今まで全く知らなかったけど、どうやらメル姉は昔から大人びていた反動でさっきのロリモード『メル』の人格がいつ頃からか形成されてしまったらしい。
そしてメル姉の魔力が少なくなり、魔物の本能が前面に出てくると同時にメルが出るようになってしまったとの事。
それであの眼鏡…どうやら魔力が減っても理性が保てるようになっているらしい…だから眼鏡を掛ける事によって普段は魔力が減っても大丈夫らしいけど、外れた途端にああなってしまうと。
しかも一般に言われている二重人格とかとは違って記憶は完全に共有しているらしい。
なのでメルになった後魔力が戻って理性が戻った時、メル姉はとても恥ずかしくなるとの事。

そりゃそうだ。だってメルは言うなれば本音暴露モードだったもんな…



「あ、そうだメル姉」
「なに?」
「眼鏡の秘密はわかったけど、髪止めと口調はなんで他のバフォメットと違うの?」
「…実はどっちもフォンが原因なんだけど…」
「えっ!?そうなの!?」

疑問に思っていた事をついでに全部聞いてみる事にしたが…どうやら眼鏡以外はオレが原因らしい…
全く身に覚えが無いのだけど…

「髪止めは一回お母様から譲り受けたものを小さい頃着けた事があったけど、それを見たフォンが「メル姉怖い!!」って泣きながら逃げていったからショックで二度と着けたくなくなったのよ…」
「え?そんなことあった………気もするなぁ…」

なんか思いだしたぞ。たしかあれはオレが6歳の時だ。
メル姉が山羊のお化けになったと思って逃げた事があった気がする。

「口調のほうは一回だけお母様のマネをしてみたときにフォンが「メル姉じゃなくてメルおばあちゃんだ!!」なんて言ったから…まだ8歳だったわたしはもの凄く悲しくなったから普通の喋り方で貫いてやると思ったのよ…」
「あ〜それも……いや、そっちは無かった気がするけど…」

メル姉が老人みたいな喋り方したときがあった記憶が全くない。

「ああ…だってわたしその時「フォンのバカーーー!!」って言って思いっきりフォンの顔殴って気絶させたから…」
「……」

だから記憶が無いのか…まあ思い出したくないからいいけど…



………



……







「で、メル姉はオレの事好きって事でいいんだよね?」
「そうよ…フォンもでしょ?ここまでしてわたしに勝ってないから云々言わせないからね?」
「大丈夫、それはオレが勝手に図鑑を見て思っていたことだから…」
「そもそも図鑑にも多くの場合って書いてあるでしょ…全員じゃないわよ…個性はちゃんとあるわよ…」
「そうだね……ねえメル姉…」
「…なに?」







「好きです。オレと付きあって下さい!!」






「…なんで今そんなこと言ったの?」
「メルには言ったけどメル姉にはちゃんと言ってなかったから」
「…バカ……」

ちゃんと告白できたことだし…

「いいわよ、フォン。わたしもフォンが好き…眼鏡が外れない限りお兄ちゃんとは言わないけど…弟としてこれからも扱っていくけど…わたしのお兄ちゃんになって!!」

メル姉からの返事も貰ったし…

「うん!オレもこれからもメル姉って言うし、たとえメル相手でもきっと姉として接するけど…オレの妹になってね!!」


オレ達は、はれて恋人となった。



近所に住むメル姉が、オレの妹になった。



これからも姉と弟だけど、これからは妹と兄でもある。



本来なら同時に存在しない正反対の二つを、同時に存在させ続ける…



相反する二つが同時に…しかも二つも存在している…



楽しくて、ワクワクするね!
12/04/04 23:43更新 / マイクロミー

■作者メッセージ
また読切。実はこれ書き始めは連載よりも前だったから前半と後半でメル姉とフォンの性格が変化しているかも…

この話はなんかサイトのバフォ様の図鑑を見ていたら何故かバフォ様が眼鏡を掛けている幻想が見えてきたので書いたものです。
魔物が視力悪くなるとは思えないのでこういった形にしました。無理があったかな?
バフォメットなのにババア口調じゃないのは僕の作品ではよくあること…というかこれで3人目だけど全員一人称わたしで普通の喋り方させてる気が…

何かおかしな所があったら言ってください。訂正します。
ここまで読んでくださりありがとうございました!!


連載?皆さんの意見も参考にしつつ4種族までは絞れたのですがここからがなかなか決まらなくて…なんとか日曜までには決めて更新できたらいいなあ…

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33