読切小説
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お母さんのお悩み
「な、何よこれは……」

息子の部屋で一冊の本を手にし、わなわなと震える私。
まさか過ぎる展開に、私の頭はパニックだ。



……………………



…………



……







「ゴミ箱ゴミ箱っと」

始まりは、燃えるゴミを出す為に息子の部屋のゴミ箱を回収した事だった。
まだ家に帰ってきていない息子の部屋に入り、いつものようにゴミ箱の中身を指定のごみ袋に入れるだけ。それで終わるはずだった。

「ふんふふ〜ん……あらら?」

だがしかし、いつもよりも息子の部屋のゴミ箱の中身が多かった事もあり、いくつかのゴミを溢してしまった。

「いけないいけない……ん?」

床に散らばったいくつかの丸められたティッシュを取ろうとして手を伸ばして……瞬間、鼻に異臭を感じた。
変な臭いと言うか何と言うか、例えるならばイカ臭さがそのティッシュから放たれていた。

「これはもしや……」

イカが苦手な息子が自分の部屋でこっそりと新鮮なイカを食しているとは考えにくい。
そもそも、このティッシュには何か固形物が包まれている形跡はない。むしろ、何かの液体を拭いてそれが渇いてカピカピになっている感じだ。
これらを踏まえると、このティッシュはおそらく……

「ま、まあとっくの昔にそういうお年頃だしね。そ、それぐらいやっててもおかしくはないわね」

私の頭に導き出された結論……このティッシュは、息子が自慰の処理で使ったものだという事だ。
唐突に息子の性生活に触れたのでちょっと動揺してしまったが……女の子ならともかく、健全な男児ならば3大欲求の一つである性欲ぐらい湧くし、それを鎮めるために自慰ぐらいするだろう。というか、息子だってもうすぐ大学生。流石に自慰行為の一つや二つ行っていても何もおかしくはない。
そう、何もおかしくはないのだ。

「まったく、親に気付かれないようにしなさいよ……それにしても多いわね」

よく見ると同じようなティッシュがいくつもあった。それこそざっと見て10個以上もだ。
燃えるゴミの日は週に2回。つまり、たった3日でこんなに自慰をしたという事だ。自分が女なので正確な判断はできないが、いくらなんでも性欲強すぎではないか。我が息子として少し心配になる。まあでも、強姦とか犯罪に走っていないから良しとしよう。

「……そういえば……」

粗方ゴミの処理が終わったところで、またもや息子の性生活について考え始める。
ここまで自慰行為を行っている息子だが、いったい何を見てそこまで興奮をしているのだろうか。
PCは私と共有なので自室にはない。そしてスマホはフィルタリング設定をしてあるのでエッチな画像や動画を検索して……という事は無いだろう。同じ理由でエロゲーもない。3○Sでできると言うのであれば話は別だが、それもフィルタリング設定してあるからきっと大丈夫だろう。18歳になったから解除しても問題はないが、本人からそう言ってこないのですっかり忘れていたのもある。
漫画はバトル系の少年漫画なら何種類かあるが、性的欲求を満たせるようなものではない。中身はよく知らないのでもしかしたらヒロインの裸シーンとかあるのかもしれないが、それだけでこうも毎日何回も自慰なんてできるのだろうか。
好きな女の子の裸姿を妄想し……という可能性もあるが、そもそも息子の口から誰々が好きだの可愛いだのという話が出た事が無いので何とも言えない。あまり反抗期っぽいところが無い息子なので一般家庭より親子の会話は多いと思うのだが、色恋沙汰の話はあまりでない。数日前にこちらから好きな子とか居ないのかと聞いた時も、女子は苦手だから恋愛感情を抱きにくいという回答が返ってきて安心したと同時に将来結婚できるのか少し心配になった程だ。
じゃあ父親の持つエロ本をこっそりと……というのはあり得ない。何故なら我が家はシングルマザーの家庭だからだ。まだ息子が1歳にも満たない頃にあの結婚して子供もいるのにもかかわらず他の女性に鼻の下や股間を伸ばすろくでなし屑野郎とは離婚している。なのでその線は無しだ。
ならば自分でエロ本を買ってこっそりと隠し持っている……うん、これが一番あり得そうだ。18歳は過ぎ、高校は卒業したから買おうと思えば買えるはずだ。

「そうと決まれば……」

18歳を過ぎた男子なので別にエロ本の一つや二つ持っていてもおかしくはないが……どんな本を隠し持っているか気になり探してみようと思ってしまうのが母親というものだ。
現在午後6時過ぎ。OBとして大会前の部活の様子を見に行っている息子が帰って来るまではまだ時間もあるので部屋を物色してみよう。

「さて、どこから……」
「ただいまー」
「えっ!? お、おかえりー!」

なんて思っていたら、その息子が帰ってきてしまった。

「あれ? 母さん俺の部屋で何してるの?」
「何って……可燃ゴミの回収よ。いつもこの時間にしてるのよ。それにしても今日は早かったじゃない。まだ部活の後輩を見てる最中じゃないの?」
「ああうん。どうやら昨日学校周辺で不審者が出たらしくてそれがまだ捕まってないからって暗くなり始める5時ぐらいには強制的に部活もストップだってさ。大会前なのに大変だよ」
「へぇ……物騒な世の中ね」

どうやら不審者騒動があったみたいで暗くなる前に帰らされたみたいだ。そのせいでエロ本を探す機会を失ってしまった。
ただ確かに、親としては息子がその不審者に襲われたらと思うとゾッとする。学校側の判断は間違っていない。

「早く帰ってきてなんだけど、母さんお腹空いたー」
「はいはい。流石に夕飯まではまだ掛かるから冷蔵庫のリンゴでも食べていて頂戴」
「わかった」

流石に息子の前で息子の部屋を物色する事はできないので、今日は諦める事にしよう。その気が残っていれば、パート仕事もなく息子はアルバイトで家にいない土曜である明日にでも物色してみよう。
そう思いながら私は、母親としての仕事を全うするために台所へと立ったのであった。



……………………



「さてと、やる事も終わったし早速物色してみますか」

そして翌日の朝。洗濯や洗い物などを終えた私は、その気が残っているどころか溢れかえっていたので早速息子の部屋を物色し始めた。
ちなみに、今朝の時点でゴミ箱の中に異臭を放つ丸まっているティッシュが既に2つ入っていた。夕飯食べ終えた後は入学前に大学側から出された課題をすると言って自室に篭っていたが、自慰は課題ではないと思う。

まずは定番のベッドの下。ここには週刊少年○ャンプやもう使わない教科書など、資源ゴミに出す事を怠っている雑誌類が積まれている。木を隠すなら森の中ならぬエロ本を隠すなら雑誌の中という事で一つ一つ取り出してみた。だがしかしそれらしきものは特になかった。もしかしたらと思いジャ○プの中身も見たが、水着姿とか半裸の女性とかが描かれたページにはそもそも開いた形跡がない。という事で、これらの中にオカズとなっているエロ本はないとみて間違いない。
次に漫画の単行本や小説が並べられている本棚の中を調べてみた。背表紙のタイトルをパッと見た感じではそれらしきものはない。もしかしたら単行本の奥に横向きに隠されているのかもと思い数冊抜いてみたが、別に隠されてはいなかった。
ならばと勉強机の中を調べてみる。息子は目に見える範囲ならばきちんと整理をしているので、机の上にそういった類のものがない事は明らかだ。なので4つある引き出しを全て調べてみる事にしよう。
まず一番下の大きな引き出し。エロ本を入れるには丁度良いサイズだ。早速開けて中を見たが、そこにあるのはゲームや玩具の山だった。シングルマザーの家庭でパートでしか稼げてないからあまり贅沢はさせてあげられないが、こうしてみれば今まで結構玩具類を買ってあげたんだなと実感する。また、ある程度漁っていると小さい頃やっていたベイ○レードなんて懐かしい物が出てきたが、もう何年も触っていないのに捨てないのだろうか。もしかしたら私に買って貰った物だからと大事に取ってあるのかもしれない。それだったら少し嬉しい。
下から二番目の引き出しも開ける。ここには高校3年間で行ったテスト用紙が保管されていた。うちの息子は数学と物理化学の成績は良いが国語が赤点ギリギリという極端な理系だ。私とは真逆であるので、残念ながらそこは理系だった父親のほうに似てしまったのだろう。顔もどちらかと言えばあの屑のほうに似てるし、浮気癖とかも遺伝してないか心配だ……と、思考が逸れた。とりあえずこの引き出しの中はテスト類しか入っていなさそうだ。テストは毎度きちんと見せてもらっているのでもうこの引き出しに用はない。というか入試も終わった事だし、テストも捨ててしまえば良いのにとは思う。
そのまま上から2番目の引き出しへ。ここは卒アルやクラスの集合写真など、所謂思い出のアルバム系統の物が入っているようだ。こういうのは1年に1回見ればいい方だからか若干埃が被っているのでここに隠されてはいないだろう。同じ理由で、写真に写っているクラスメイトを自慰のオカズにしている可能性も低い。あまり息子の思い出を漁るのも気が引けるので、一通り見たしここはこれぐらいにしておこう。
なので最後、一番上の引き出しを開けてみた。鍵付きではあるが普段ならば私が触る事もないので鍵は掛かっていなかった。ここは予備の筆記用具が入っているだけのようだ。百均ばかりであまりいい物を買ってあげられないのが心苦しい。まあそこまで物が入っておらず底も見えるのでこの中には入っていないだろう。

「……あれ?」

最後の引き出しを閉めようとしたところで違和感を感じた。引き出しの大きさに比べて底が浅すぎる気がする。小学生の時に買ったポ○モンのプラスチックの筆箱が入っているが、外だと2つ分以上の高さがあるのに内側だとそれ一つで引き出しの高さギリギリと言うのは流石におかしい。
これは上げ底している……そう考えた私は引き出しの中身を全部取り出し、そこに指を掛けてみた。そしたらなんと開いてしまった。

「こ、これは……!!」

その下に現れたのは数冊のキャン○スノート。怪しさ満点のそのノートを手に取り、ページを捲ってみると……そこに書かれていたのは、痛々しいポエムや謎のファンタジー小説もどき、それにオリジナルっぽいキャラクターの下手な絵だった。つまりこれは所謂黒歴史ノートというやつだろう。エロ本よりも恐ろしいものを見つけてしまったようだ。
息子の意外な一面に心臓をドキドキさせながらも、私は無言で引き出しを元に戻す。これを見てしまった事は墓場まで持って行こう。下手に刺激して恥ずかしさのあまり自殺なんてされたら耐えられない。

「あーん……やっぱりエロ本なんて持っていないのかしら?」

そこまで物が多くない部屋なので、本を隠せそうなところは他にはほとんどない。しいて言うならクローゼットがあるが、そこは私が毎日息子の衣類を出し入れしているのでまずありえないだろう。という事は、エロ本をオカズにしているというのは間違っているのかもしれない。

「そもそも、どんなのが好きなんだろうか……」

本が見つからない事もあって、いったい息子がどんな性癖を持っているのかという根本的な部分が気になってきた。そういう性の部分に触れた事は無いので、二次元好きか三次元好きか、巨乳好きか貧乳好きかすらわからない。
別に二次元でも三次元でも、将来的にきっちり現実の女性とお付き合いして結婚してくれれば性癖ぐらいなんだっていい。だが、流石に親としては犯罪に走るようなものだけはやめて欲しい。いくらなんでも小学生に興奮したり痴漢とかが好きと言われると厳しいものがある。それが二次元ではなく三次元だったら目も当てられない。母子相姦とかならともかくホモセクシャル系統だったら病院に連れていくべきか悩んでしまう。
やっぱり小さい子供よりかは年上好みのほうが良い気はする。あと真っ当な性癖だったら二次元よりは三次元のほうが親としては安心する。大きいおっぱいが好きとかそれぐらいだったらまあ良いんじゃないかなとは思う。動物や昆虫に興奮するような特殊過ぎるのだと困るけど……本当にどんなものが好きなのか。

「あ、そうだ」

中身の事を考えていたら突然思い出した事があった。それは、過去に夕方のニュースで特集されていてなんとなく見ていた『エロ本の隠し場所』。天井裏とかテレビの中はそもそもが無いので不可能だが、その中でもまだ探しておらず、かつこの部屋でも十分隠せる場所が2か所あった。
という事でまず1ヶ所目。机の一番下の引き出しの更に下の微妙なスペース。普段こんな場所は意識しないと見ないので、隠す場所としては適している。だがしかし、うちの息子は隠してはいなかったようだ。そこにあったのは、以前無くしたと言っていた安物の下敷きが落ちているだけだった。
という事でラスト1ヶ所、勉強机や本棚の裏。ここになければ息子はエロ本を買っていないという事になる。チラッと覗いてみると……そこには何もなかった。

「結局なかったか……ん?」

つまり息子はエロ本など最初から所有していなかった。そう結論しかけて顔を上げた時、視界の淵に入った奇妙な物。本棚の上のほうにテープで張り付けられた不透明なファイル。いくらなんでも怪し過ぎるそれに手を伸ばし、テープを剥がしてみた。

「……あった」

ファイルの中にあったのは1冊の本。よく見たら他にもいくつかファイルが張られている。こんな隠し方をしているという事は、エロ本で間違いないだろう。流石我が息子、隠し場所が巧妙である。エロ本の隠し場所特集と偶然が重ならなければ私では発見できなかっただろう。
さて、いったいどんなものを購入しているのか。ちょっとだけワクワクしながらファイルから取り出し、表紙を見た。

「え……な、何よこれは……」

そこに描かれていたものは、女性のイラスト。
しかもただの二次元女性ではなく……まさかの人外だった。







……



…………



……………………



「まさかあの子の趣味が……」

本の表紙にデカデカと書かれた「魔物娘図鑑T」という文字。二次元、しかも特殊性癖持ちという事実に、私は少し辟易していた。
いやまあ確かに犯罪に繋がりやすいものよりかはマシだが、現実に存在しない人間じゃない物が好きとなると正直困りものだ。グロテスクな趣味を持っているなんて思いもしなかった。

「はぁ……」

ペラペラとページを捲り、大きなため息を吐く。下半身が蛇や蜘蛛だったり鳥や悪魔の翼が生えていたり角が伸びていたり鉤爪が生えてたり体毛びっしりだったり鱗が付いていたり肌の色がおかしかったり、よくもまあこんな気持ち悪いもので性的興奮、ましてや自慰なんてできるものだ。
他のファイルも全部回収して中身を確認してみたが、さっきの図鑑のUやらなんやらと、全部人外の女のイラストや漫画が描かれているエロ本だった。フェアリーとかデザイン的に可愛いと思えるのも中にはいるけど、虫人間とか獣人とか可愛いと言うよりおぞましいと言うほうが合っているものばかりだ。

「どこで育て方間違えたかなぁ……」

二次元の女の子が好きっていうのもちょっと嫌な感じなのに、こうも悪趣味なものだと自分の教育が間違っていたのかと頭も痛くなる。
別にエロ本を見つけても黙っているつもりだったのだが、これでは流石に話し合わなければならない。親としてきちんと矯正しなければ。

「はぁ……」

溜息しか出ない。正直探した事を後悔している。自分で働いて稼いだお金で買っているだろうからそのままにしておくが、できれば今すぐ焼却処分したいところだ。これなら二次元限定ロリコンのほうがまだ対象が人間なだけマシだ……って、ロリもいるのね。山羊っぽい部品が付いてるから人間じゃないけど。もしかしたら人外ロリコンだったりするのだろうか。それならばもうどうしたらいいかわからない。

「はぁぁ……ん?」

頭を抱えながら止まらない溜息を長々と吐いていたら、玄関から呼び鈴が聞こえた。

「はーい!」

何が来たかはわからないが、息子のエロ本事情に頭を抱えてたので出られませんでした……というのはよろしくない。という事で気持ちを切り替え、居る事を示すように返事をしながら玄関に向かい戸を開けた。

「どうも。お休みのお昼前にすみません」
「えっはあ……」

玄関の向こう側に立っていたのは、色白の肌をした長い銀髪……というよりかは白髪の女性だった。日本語は流暢だが、髪色といいスッとした顔立ちといい外国の方、もしくはハーフの女性だろう。第一印象としては、なんとも美しく可憐な女性だ。

「私、週刊母子という新しく創刊されるシングルマザーの家庭に焦点を当てた週刊誌の編集をしている真野リーセと申します。今回雑誌の企画として全国の母親達にアンケート調査を実施していまして、ちょっとお時間を取らせてしまいますがもしよろしければご協力を願いたいのですがよろしいですか?」

そう言われながら私は名刺を受け取る。確かに『週刊母子 編集 真野リーセ』と書かれている。
会社の住所や電話番号も書かれているが……ぶっちゃけちょっと怪しい。アンケート調査をしているという事もそうだが、何故この家がシングルマザーの家庭だと知っているのだろうか。

「はい、よろしいですよ」
「そうですか。それでは立ち話も何ですし、上がらせてもらってもよろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」

そう、怪しいのだが……何故か私はアンケートに答える事を承諾し、更に家に上げてしまった。頭ではおかしいと思っているのに、不思議と彼女の言いなりになってしまっている。彼女の出す大人っぽい可憐な雰囲気に飲み込まれているのかもしれない。

「あ、お茶ありがとうございます。現在息子さんは?」
「今はアルバイト中で家にはいません」
「そうですか。あ、いえ。息子さんがいるとちょっと話しにくいような事も聞く予定ですので確認を取ったのです。それでは始めていきますので、素直にお答えしてくださいね」
「はい」

挙句お茶まで出し、ダイニングテーブルの椅子に座りながらアンケートに答え始めた。

「それではまずシングルマザー歴を。もし差し支えなければそうなってしまった理由もよろしいでしょうか」
「えーっと、息子が1歳に満たない頃からなので大体17年ですね。当時夫だった屑野郎の浮気が原因で別れました」
「く、屑……そ、そうですか」

初っ端からちょっと失礼な質問だったが、素直に答える。どうやら屑野郎と言ったのが若干引かれたらしい。でも素直に答えろと言われたので仕方がない。

「で、では次の質問です。現在息子さんとの関係は良好ですか?」
「ええ。良好だと思いますよ。毎日他愛のない会話も交わしています」
「他愛のないといいますと、学校の出来事とかでしょうか」
「ええその通りです。今日は何々が大変だったとか、誰々と遊んだとか、そんな会話ですね」

これは普通の質問だ。だから回答も普通にする。
毎日言葉は交わしているので関係は良好と言えるだろう。

「ふむふむ……確かに良好そうですね。では、息子さんと過ごす中で、大切にしている事は何ですか?」
「んーそうですね……やはり、息子の話をきちんと聞いてあげ、また聞くだけではなくこちらの想いもハッキリと伝えるという事ですかね。たった二人きりの親子、適当にあしらうなんて以ての外ですから」
「なるほど……良いお母さんですね」
「いえ、ありがとうございます」

大切にしている事……普段そこまで意識していないので悩んだが、大体こんなところだろう。

「それでは、そんな息子さんと大喧嘩をした経験ってありますか?」
「んー……小競り合いはありますが、大きなものはないですね。言い合いになっても息子が折れる事が多いので、そこまで大きいのにはならないのですよね」

大喧嘩をした事は……正直に言えばちょっとある。高校入試の時、イライラしていた息子に無神経な事を言ってしまったからだ。その時の私もなんでかイライラしていてそのまま……だ。でも、それは恥ずかしい記憶なので、ないという事にした。ちょっとぐらい嘘ついたっていいだろう。

「そうですか……それでは次の質問です。ここからはちょっと内容を変えて、息子さん自身の事についてお聞きします。まず、現在息子さんに彼女はいらっしゃいますか?」
「いえ、いないと思います。隠しているのならわからないですけど。今までも彼女はいなかったと思います」
「そうですか……では、もし息子さんがある日突然彼女を連れてきたらどう思いますか? 正直にお答えください」

次は息子に彼女はいるか、いないのならばもし連れてきたらどう思うか、だ。

「まあ……あまりいい気分ではないですね。良い娘ならまだいいのですが、チャラチャラしたのを連れて来た日にはショックで何も言えなくなると思います」
「ほう……そうですか」

ちょっとその場面を想像してみたが……なんだか気に喰わない。
変な女に捕まったらと考えると怖い。いや、例えとっても清楚で優しい女の子だったとしても、手塩に育てた息子を取られたみたいでなんだか嫌な気分だ。
こうして考えてみると、私自身が子離れできていないんだなと実感する。まあ、離婚してからの人生、ずっと息子一人に愛情を注ぎ、息子のために頑張ってきたので仕方ないだろう。手塩を掛けて育てた一番の宝がぽっと出の女に取られたら嫌に決まっている。

「成る程……つまり、息子さんに彼女なんてできて欲しくない、という事でしょうか」
「まあ、そうなりますかね。大切な息子なので、変な女には引っかからないでほしいなと思います」

纏めて言えば、確かに彼女なんてできて欲しくないとも言えるかもしれない。あまり想像したくもないので、あながち間違っていないのだろう。
だがしかし、将来はきっちり結婚してほしいなとは思っている。まあ、発覚してしまった性癖が性癖なのでそれも難しいかもしれないが。

「ほお、そうですか……では、もし息子さんと男女の関係として付き合えるのならば付き合いたいと思いますか?」
「はい?」

なんて事を考えていたら、今度はまた突拍子もない事を聞いてきた。

「ああいえ、もし息子さんを一人の男性とした場合、お母さん的には付き合っても良いと思うかどうかという事です。極端に言ってしまえば、できるのでれば結婚しても良いと思えるかという事です。ちょっと下世話な話ですと、結婚して子供を作ってもいいと思えるかですね」
「ああ。うーんそうですねぇ……」

そう言われても困るが……まあ、顔は残念ながらあの屑と似ている。それはつまり、私が惚れた顔と酷似しているという事だ。それでいて性格は曲がっておらず、あの馬鹿と違い浮気性はないだろう。そうなれば答えは一つだ。

「まあ、付き合っても良いと、もっと言ってしまえば結婚だって子作りだって考えるのではないかなと。それぐらい良い男に育てた自信はありますから!」

答えとしては付き合えるという事だ。親バカとも取れるが、そうと強く言えるほど良い性格の青年に育てた自信はある。さっき知ってしまった一点を除けばだが。

「そうですか……ご自慢の息子さんなのですね」
「ええ」

本当に自慢の息子だ。性癖の問題を度外視すればだが。

「はぁ……」
「あら? どうかなされたのですか?」

未だに引っ掛かる息子の人外好き問題。折角のインタビュー中だというのに、思わずため息を吐いてしまった。

「いえ、特にこれといった事では……」
「もしかして息子さんについてのお悩み事でしょうか? 良かったらご相談に乗りますよ。勿論、この事は絶対に記事にはしません。あくまで私個人がご相談に乗るだけです」
「そうですか……では……」

そう言われても見ず知らずの人にそう言えるような内容ではない……のだが、優しく相談に乗ると言われたからか、もしくは誰かとこの悩みを共有したかったからか、見ず知らずの真野さんに打ち明ける事にした。

「実は……真野さんが訪ねてくる数分前に息子のエロ本を見つけてしまってですね……」
「あら……それは気が動転してしまいますね」
「ええまあ……それが普通のエロ本ならまだよかったのですけどね……」

ペンと紙を置き、親身になって私の話を聞いてくれている。その顔は優しかった。

「ほう……普通ではないと言いますと……?」
「いえまあ……実は息子の性癖が……人間じゃない女性……魔物娘とかいうものが好きというものでしてね……」
「ふむふむ、なるほど……」
「流石に親としてはどうかなと思うわけでしてね……」
「そうでしたか……」

息子の性癖が人外モノだった。そう言った瞬間、優しい笑みはそのままに真野さんの目が妖しく光った。
しかし、悩みを吐いて少し気が楽になっている私はそれに気づく事なく喋りつづける。

「やっぱり、親としては非実在な存在じゃなくてきちんと実在した女性を好きになってほしいと思うのですよね」
「成る程。まあ確かに親としてはそう思うのかもしれませんね。しかし、そう頭ごなしに否定しなくても良いのでは?」
「え?」
「いえ、別に痴漢ものやドラゴンカーセックスが好きでもきちんと伴侶がいる人もいますし、性癖が酷いからと言って実在する女性が嫌いとは限らないではないですか。人外好きと言えども、きちんと恋はすると思いますよ」
「ドラ……? まあ……そう言われればそうかもしれませんが……」
「それに、私なら人外好きの子は可愛いと思いますよ。そういう子は動物とかも好きそうですしね」
「あー……言われてみれば小さい頃から息子は動物が好きでしたね。動物園に連れていくと疲れ果てるまで楽しんでいましたから。成る程、それの延長って事もあるのか……」
「そうかもしれませんね。まあいずれにしても、そう否定的にならずに大らかに見てあげても良いのでは?」

意外や意外、真野さんは息子の人外好きについて肯定的だ。でも確かに、性癖が何であれ結婚する人はきちんとするし、自分がありえないと思うからって否定しかしないのは良くないかもしれない。
真野さんと相談した事で、ちょっとだけ悩みが解決したように思えた。頭のもやもやが晴れた気がした。

しかし、次の一言で私の頭はまた混乱する事になった。

「それに……魔物娘は別に非実在的でもありませんしね」
「へ?」

突然そんな事を言い始めた真野さん。魔物娘は非実在的ではない……という事は、真野さんからしたら羽やら角やらが生えている女の子は現実にいるという事だろうか。

「あ……ああ、コスプレとかそういう話ですか?」
「いえ、きちんと生身で現存するというお話です」

いやいや、いくらなんでもそんなわけがあるまい。もしやコスプレの話かと思ったが、それすらも否定されてしまう。
今の今まで普通な感じだったが、もしかしたら真野さんはちょっと危ない人なのかもしれない。そう思い始めた時だった。

「疑っているようですし、証拠をお見せしましょうか」
「ふぇ? は……?」

証拠を見せる。そう言いながらスッと立ち上がった真野さん。
いったい何を見せてくれるのかとそのまま見ていたら……

「んっ、あっ……ぁふぅ……んんっ!」
「え……あ、ああ……!!」

艶やかな喘ぎ声を上げ、なんか背中というか腰が盛り上がっているような感じがしているなと思っていたら……風もないのに髪の毛が逆立ち、瞳の色が紅く変化した。
それだけでも驚きなのに……バサッという音と共に腰から白い翼が広がり、細く長い尻尾が伸び、また頭には白い髪とは対照的な黒く太い角が生えた。よく見ると耳の先端も先程と違い尖っていた。
その姿は、よく物語に出てくる悪魔の姿だった。現実離れではあるが、滑らかに動く翼と尻尾はどう考えても作り物とは思えなかった。

「あ、悪魔……!?」
「まあ正確には違いますが、概ね当たっていますね。私はリリム。淫魔、サキュバスと呼ばれる悪魔型の魔物の中でも、魔王を母に持つ強力な種族です……って、自分で強力とか言うと少し恥ずかしいですね」

驚く私に向かい、少しはにかみながら自分はリリムという種族だと告げる真野さん。その名前は確か息子の部屋で見つけた魔物娘図鑑Tの最後に描かれていたような気がする。彼女はそのリリムだと言うのだ。

「そ、そんな……だ、誰か……!!」
「あら、そんなに怯えなくても良いじゃないですか」

勿論、そんな言葉は恐怖に慄く私の耳には入ってこない。
そりゃあそうだ。目の前に悪魔なんて得体の知れないものが現れたら怖いに決まっている。ソファーに座っているから無理だが、どうにか離れようと後ずさりしようとしてしまう。

「た、助け……」
「だから、何も酷い事はしませんって……ね」

人外の存在がにっこりとしながらゆっくりと近づいてくる。それで酷い事はしないと言われて信じられるわけがない。
近付いてくる真野さんに怯えながらも、何もできないでいたら……

「私がお母さんにするのは……」
「あ、あわわ……!?」
「気持ちいい事だけですから……んっ」

ソファーに引っ掛かっている私にそのまま顔を近付け……目をじっと見つめたまま自身の唇を私の唇に触れさせた。

「んー!? ん、んん……」

突然唇を触れさせるキスをされて驚かない人間などいない。しかもその相手が悪魔。逃げたいと思うのが普通だ。
だが、頭の後ろに回された手が逃げる事を許さなかった。視界が彼女の瞳で埋まる……紅く染まっていく。

「んん……ん……」
「……」

そして……しばらく目を見つめられながらの口付けをされ続けるうちに、何故だか逃げようという気持ちも薄れていった。
頭では異常だとわかっているのに、一切の抵抗をする気が起きなかった。離れなければと頭の片隅で思っても、まるで私の身体じゃ無くなったかのように言う事を聞かない。

「ん……落ち着きましたか?」
「ぷぁ……はい……」

数分間も続いた口付けが終わり、真野さんの顔が離れていく。私は物寂しさを感じると同時に脱力する。

「確かに私は悪魔ですが、別に人間を取って食おうだなんて思っていません。まあ、教団の方々はそう思っているみたいですが……」
「きょう……?」
「ああいえ、こちらの話です。とにかく、私はお母さんに危害を与える事はしません。ですから安心してくださいな」

そのまま真野さんは私の隣に座り込み、まるで恋人にするかのように優しく抱きかかえてきた。
先程と違い逃げ出そうという気が起きない。それだけ、真野さんのハグは安心できてしまった。

「真野……さん……」
「と言いますか、先程も述べたように私達リリムは淫魔の一種です。なので人間を食べたいと思うよりは……」
「ん? んあっ!?」

しばらく安心するようなハグが続いていたが、突然彼女の右腕が動き始め、私の胸元まで移動して……

「このように、エッチで気持ちいい事をしたいと思っています♪」
「ふぁっ、ひぃ!?」

私の胸を服の上から掴み、激しく揉み始めた。

「ああっ、いやぁぁ、やめっああっ!」
「あらあら、やめてという割には気持ちよさそうじゃないですか。服の上からだと分かり辛いですが意外と大きいおっぱいですね」

突然の異常事態に先程までの安心はどこかへ吹き飛んだ。だが、先程以上にガッチリと身体を固められており、逃げるどころか身じろぎ一つ取るのが精一杯だ。
彼女の細い指が私の胸に食い込み、その形を自由自在に変える。指で乳首も掴まれ、コリコリと弄ってくる。屑と離婚してからは一度も性行為などしていない私にとって久しぶりの刺激だからか、それとも真野さんのテクニックが凄いのか、痛みすら伴いそうなその動きは、私に性的な刺激をこれでもかというぐらい叩きつけていた。
そう、彼女の言う通り私の脳はこの異常な行為を気持ちいいと感じてしまっていた。それでも羞恥心や恐怖心から拒絶の言葉をなんとか絞り出し続ける。

「ふぁぁぁ、いやぁぁぁ……あんっ!」
「ほぉら、こちらも少しずつ湿り始めてきましたよ」
「ぃ、いやぁぁぁんんっ……」

最初は胸をもみくちゃにされていただけだったが、しばらくすると別の所にも刺激が走った。
胸を揉んでいないほうの彼女の白い腕が、私の穿いていたズボンの中に侵入し、下着越しに股間の割れ目をゆっくりとなぞり始めたのだ。
胸にだけ意識を集中していたところに産まれた新たな刺激に、思わず私は声を荒げてしまう。

「ふぁ、んんっ、んぁんん……」
「おや、何を我慢しているのですか?」

先程の自己紹介の中に混じっていた淫魔という存在について私は詳しくはないが、言葉の響きからしてこうした淫行専門の悪魔なのだろう。男性経験どころか自慰すら久方振りな私では、とてもじゃないが太刀打ちなどできない。
それでも、私は必死に抵抗する。為すがままにされていたらどうなるか分かったものじゃないという恐怖心が、与えられ続ける快楽に溺れそうになるのを必死に堪えていた。

「んん……ぅくぅぅ……んんっ」
「やはり服の上からですと感度が下がるのでしょうか……母や上の方の姉達は鎧を着た相手ですら少し触れればイかせられるというのに、私はリリムとしてまだまだ未熟者ですね」
「ふんん、な、何を……んっ」
「いえ、こちらの話です」

私が耐えていると、どこかがっかりした様子の声を漏らす真野さん。その内容はよくわからないが、どうやら私が耐えている事がちょっと悔しいみたいだ。
ならばこのまま抵抗を続ければ諦めて帰ってくれるのかもしれない。そう希望をもって私は抵抗に力を入れようとした。

「さて、できない事を嘆いていても仕方ないので、できる事をしていきましょうか」

だが、その希望は儚くて呆気無いものであると、すぐに思い知らされるのであった。

「だから何を……ひゃあんっ!?」

ズボンの中に入れていた手を器用に動かし、下着をずらして直接秘所に触れられた。

「や、やめっ」
「あら、どうして止めるのですか? こんなに濡らしているなら気持ちいいのでしょ?」
「そんなわけ……んぷっ」
「ほら、聞こえるでしょ? この水音はお母さんのおまんこから聞こえているのですよ」

声に出して抵抗していたら、後ろから白い尻尾が顔の前に伸びてきて、そのまま開いた口を塞がれてしまった。
そして、静かになった部屋に響く、くちゅくちゅという水音。股間から奏でられる恥ずかしい音を否応なしに意識させられ、私の顔は彼女の瞳のように真っ赤に染まる。
真野さんの言う通り、私の身体は興奮しきっているようだ。先程から自分の意思とは無関係にビクッと腰が痙攣してしまう。

「んっ、やはり敏感なので尻尾に触れるお母さんの舌や甘噛みで少し感じてしまいますね」
「んー、んんっ、んっ!」
「お母さんもいっぱい感じているようですね。では、一回イッてみましょうか」
「んんんっ、んんっ」

口に太い尻尾を突っ込まれたまま為す術もなく犯され続ける。尻尾を噛んで抵抗しようにも、秘所から齎される快感に力が入らず、彼女の言う通り甘噛みみたいになってしまう。
それで気分でも高揚したのか、そう言いながら股を弄る指の動きが速く激しくなる。ぐちゅぐちゅと激しい水音を立てながら指を動かされ……

「んんーーーーーっ!!」

身体が硬直し腰が震え、目の前がチカチカと発光しながら真っ白になり……抵抗虚しく、私は真野さんにイかされてしまった。

「ん……はぁ……はぁ……」
「気持ち良かったですか? ズボンの中、厭らしい汁でべとべとですよ♪」

そう言われて羞恥心を感じながらも、尻尾が抜かれた口で荒く息を吐き、どうにか落ち着こうとする。

「はぁ……はぁ……ん、あぁ……」

しかし……

「ぁぁっ……ぁはぁ……んんっ、あっ……」

大きく息を吸い、大きく息を吐く。落ち着こうと深呼吸をしているだけなのに……私の身体はそれとは逆に生々しい熱を帯びていく。
落ち着こう、落ち着こうと思っても、身体にはじわりと性的な興奮が広がっていく。ぐちょぐちょになった割れ目から、更にとろりと粘液が零れ落ちる。

「あら? 股をもじもじさせてますが……まだまだ全然シ足りないみたいですね♪」
「ふぁっ、あ、あなた、何を……んん」
「私ですか? 私はお母さんをイかせただけで、その後は触れてもいませんよ。お母さんの身体が自分の性欲に素直になっているだけですよ♪」
「私の……性欲……?」

これも全て目の前の淫魔の仕業に違いない。そう思ったのに、その淫魔から否定されてしまった。自分は何もしていない、お前自身の性欲が溢れているだけだ、と。

「わ、私、そんなエッチじゃ……」
「いえ、エッチですよぉ。そうですねぇ……」

そして、その淫魔はうって変わってねっとりとした口調で、私の耳元で囁いた。

「例えば、だーいすきな息子さんがぁ、お母さんのおっぱいをぉ、優しく揉んでくれたらぁ……」
「ふああんっ!」

そう囁くと同時に、私の胸を優しく揉んだ真野さん。
そう、揉んだのは真野さんのはずだ。

「お母さんのおっぱい、気持ちいいなぁって、息子さんが夢中になって揉みしだいてますよぉ……♪」
「あっ、ひああっ!」

それなのに、私はまるで息子が揉んでいるかのように錯覚し、あまつさえ性的な快感を感じてしまった。

「おっぱい揉まれながらぁ、お母さんの大事なところを息子さんに見られてぇ……とろとろのエッチ汁が漏れちゃいますねぇ」
「んひぃ、あっ、ああっ」

耳元で囁き、私の胸を揉みながらも、尻尾で器用に私のズボン、そしてパンツを下ろし、下半身を丸裸にされる。
その状況を目で見ているのに……私の脳は、まるで息子がパンツを下ろし、じっと秘部を見ているように思ってしまっていた。

「ほぉら、息子さんのおちんちんが欲しいなぁって、おまんこがヒクヒクしてますよぉ。実の息子さんのが欲しいなんて、お母さん、とってもエッチですねぇ」
「ふぁああ、ひあぁあっ、そ、そんな……ふぁっ!」

実の息子にペッティングされている状況を想像し、あまつさえセックスしているところを妄想して興奮するなんて、とんでもない変態だ。
そうわかってていても、身体は興奮する事を止めない。

「だってそうじゃないですかぁ。先程も言ってましたよねぇ……息子さんと結婚したい、子作りしたいと思っているのでしょ? それってつまりぃ、息子さんとセックスしたいって事ですよねぇ……」
「ふあ、そ、そん……ああんっ」
「ほら、素直になっちゃいましょうよ」

いや、身体だけじゃない。脳だってそれを望んでいる。
息子と交わりたいという気持ちが溢れ、身体を火照らせてくる。

「息子さんのおちんちん、お母さんのおまんこに入れたくないですかぁ?」
「で、でもぉ……息子となんてぇ……んんあっ」

それでも、近親相姦なんてやっては駄目だという常識が、したいと言ってしまいそうになるのを食い止めてくれている。
どれだけ身体や脳が望もうが、自分の息子と身体を交わらせるなんて駄目だ。その常識だけが、一線を越えさすのを引き留めてくれていた。

「あら、でしたらとっても良い案が」
「ふぇ?」

しかし、そんな常識は、この悪魔には通用しなかった。

「私の力で、息子さんとえっちしても大丈夫な身体にしてあげられますよ♪」
「えっ……!?」

近親相姦しても問題のない身体をあげると、悪魔は私に囁いたのだ。

「しかも、息子さんのだーいすきな魔物の身体ですよ。もう息子さん、お母さんに興奮しっぱなし間違いないですよぉ」
「そ、そんな……あんっ」

しかも、息子の性癖に合わせた身体にしてあげるというのだ。
それはつまり人間を止めろと言われたわけで……普通ならお断りだ。
しかし……

「どうです……息子さんのおちんちん、欲しくないですかぁ?」
「そ、それは……」

息子との性交を望む脳では、きっぱりと断る事ができなかった。

「もう、歯切れが悪いですねぇ……じゃあ……」
「な、何を……ひゃんっ!」

そのまままごまごしていたら、胸を優しく撫でていた腕を足に持ってきて、股を大きく開かせた。

「擬似的な体験、してみましょうか♪」
「や、やめ……ああああっ!」

そのまま白くしなやかな尻尾を男性器みたいな形に変形させ……あろう事か、私の陰唇に挿入してきた。
下腹部に広がる圧迫感。異物を突っ込まれて気持ちが悪い……はずなのに、なぜか快感が走り、気持ち良さに身体が震えた。

「い、いやぁ……んんっ」
「どうですお母さん、気持ちいいですか?」

膣内を掻き乱す尻尾は、私の敏感な部分を正確に攻めてくる。
彼女の言う通り、確かに気持ちいい。でも、こんな得体の知れないもので快感を得られているなんて認めたくない。

そう思っていたのに……

「これ、実は息子さんのモノと同じ形なんですよ」
「えっ……ああっ!」

真野さんは、この尻尾は息子の性器と同じ形をしていると、事実を突きつけた。

「お母さんの記憶を読み取って私の尻尾で再現してるだけなので、本物には到底敵いませんが……息子さんとのセックス、良くないですかぁ?」
「ふぁっ、ああっ、いいっ!」

先程までの暗示や、実際に興奮している事もあり……私はいとも簡単に気持ちいいという事を認めてしまった。

「お母さんのおまんこの中が気持ちいいよって、息子さんのおちんちんが暴れてますよ」
「ふぁっ、あっ、ああっ、んああっ! イイのっ! しゅごいのぉっ!」

こうなったらもうこの肉欲の宴に夢中になるだけだった。
激しく抽挿を繰り返す尻尾の動きに私は善がり、涎を撒き散らし嬌声を漏らす。

「んっその腰使い良いですねお母さん。息子さんのおちんちんもビクビクってなってますよぉ」
「ああっ、ひあっ、あっ、あっ、ふぁぁっ❤」
「んふ、もう夢中のようですね。言葉になってないですよ」

久々の性交に……いや、息子との擬似性交に善がり狂う私の耳にはもう何も入ってこない。
それどころか、真野さんは何も言っていないのに私の耳には息子が愛を囁いている幻聴が聞こえている。

「ああんっ、あっ、あはぁっ、んあああっ❤」
「んっ、私もイキそうです。では、息子さんとエッチできる身体、あげちゃいますね♪」

既にイキ続けているのに、更に尻尾が激しく暴れるからずっと目の前は真っ白で、意識は天に昇りっぱなしだ。

「息子さんが一番好きな娘にしてあげますねぇ……んんっ♪」
「はぁああああああんっ❤」

そして、奥深く入れられた尻尾は……子宮の入り口を突いた。その瞬間、私は身体を弓形に反らしながらビクビクと震え出し……先程指でされた時以上に激しくイった。
それとほぼ同時に、真野さんの尻尾も痙攣を始め、私の中に熱い何かが注がれる。ドクッドクッと射精の如く勢いよくでているソレは、私の子宮内を快感で満たす。

「はぁ……はぁ……あんっ」
「んふっ良いイキっぷりでしたね」
「ふぁ、あっ、んあ……ふぇ、な、なにこれぇ……ふあああっ!?」

射出も終わり、ずぽっと尻尾が勢いよく抜かれた。開いた秘所から溢れ出ているのは、真っ黒な液体のような何か。それが何なのかを考える暇もなく、私の身体は激しい快感を伴う熱に襲われた。

「始まったようですね。これで息子さんと毎日でも身体を重ねられますよ♪」
「ふぁ、あ、ああああっ!!」

血が滾り、身体が熱を放ち、身体中にぶわっと震えが広がった。頭が何かムズムズするし、耳も引っ張られる感じがする。腕や足はぞわっとし、爪や指は形を変えていく。腰から何かが破ってでてこようとしているかのように、外に強く膨らみ張っているように感じた。口の中がむず痒いのは、歯も伸びているのかもしれない。
真野さんの……いやリーセ様の言う通り、私の身体が作り替えられているみたいだ。それに対しての恐怖はなく、むしろ喜びや悦びの感情に溢れている。先程までとはまた違う快楽が私の頭を塗りつぶす。
そして、数刻が経ち……

「はぁ……はぁ……こ、これが私……?」
「ええそう。素敵でしょ? これなら息子さんもお母さんに大興奮ですよ」
「あはぁ……❤ ありがとうございますリーセ様♪」

身体が落ち着きを取り戻すころには変化も終わり、私は人外の存在……魔物娘になった。
こうして魔物の身体になってみると、あんなに嫌悪感を出していたのが馬鹿らしく思えてくる。力も湧き、身体も艶やかで若く魅力的になり……そして何より、大切な息子とセックスでき、子供だって作れるのだ。最高以外の何物でもないだろう。
息子が魔物娘好きなのはお目が高かったという事だ。流石我が息子である。

「それでは私はこの辺で失礼しますね。あとは息子さんとお楽しみくださいねお母さん♪」
「はい。どうもありがとうございました!」

事を終えたリーセ様は、私に色々と教えた後帰っていった。リーセ様はこれまでも、そしてこれからも私のような心の奥底で息子に恋をしてしまった母親だけでなく、恋に悩む全ての女性を魔物化する事で後押ししていくらしい。なんと素晴らしいお方なのだろうか。
そして私はリーセ様を見送った後、溢れんばかりの性欲を鎮めきる事はできそうもないが、どうにか抑えながら息子の帰りを今か今かと待ち続ける。息子がアルバイトを終えて帰って来るまでまだ少し時間があるが……早く時間が経たないかと、ウズウズし続けるのであった。



……………………



「ただいまー!」
「やっと帰ってきたぁ……♪ おかえり!」

そして夕方。アルバイトを終えた息子がようやく帰ってきた。
待ちきれなくて一度ならず数回シコティッシュを使ってオナニーしてしまったが、私の性欲は全く納まっていなかった。むしろ、息子のただいまの声を聞き、これから行われる事を想像してしまいじんわりと股間を濡らしてしまう。

「はぁ……今日も疲れたぁ……」
「お疲れ様。おやつあるからソファーに座ってゆっくりしてるといいわ」
「わかった。じゃあ荷物だけ置いてくるよ」

帰ってきた息子と普段通りの言葉を交わす。
今の私はリーセ様に教わった人化の術とかいうものを使って元の私の姿を装っている。帰宅したら母親がいきなり魔物化してましたなんてなったら流石の息子もビックリし過ぎてしまうだろうし、何よりサプライズ感を出したかった。
なので、疲れたと言いながら私のほうを見た息子は特に疑問を感じる事もなく、荷物を部屋に置きに行ったというわけだ……そこに、何があるかを知らないで。

「ふんふーん♪」
「あ、あ、あの……か、母さん……?」

数分後、私の予想通り、息子がリビングの扉から血の気が引いた顔をバツが悪そうに覗かせて、おずおずと話しかけてきた。

「あらー、どうかしたの?」
「い、いや、その……つ、机の上の……」
「机の上に何かあったの? 持ってきてくれるとわかりやすいんだけどなー」
「え……」

それもそうだろう。何故なら息子の机の上には、例の魔物娘図鑑のTとUが揃って置いてあるのだから。
勿論私の仕込みである。エロ本の所持がバレた息子は今パニックになっているのだ。それで慌てる息子もちょっとかわいい。

「ほら、早く持ってきて座りなさい」
「う、うん……」

別に怒ってはいないので優しい声で言っているのだが、どうやらそれが逆に怖いと感じているようだ。
わからなくはないが、だからといってどうしたら良いかは思いつかないのでこのままのペースでその2冊を持たせたままソファーに座らせた。

「あ、あのー……」
「一つ言っておくけど、母さんはエッチな本を持っている事自体には何も言う事ないからね。あなただってもう18歳、年頃の男の子ならエロ本の一つや二つ持っていても何もおかしくないと思ってるわよ」
「え? あ……うん」

エロ本を持っている事自体は特に注意する事は無い。これは、人間だった時から思っている事だ。
それについて怒られると思っている節もありそうだったので、その事は先に伝えておく。

「じゃ、じゃあなんで……」
「いやね、どうして魔物娘が好きなのかなって思っただけなのよ。純粋な疑問よ。なんで人間じゃない女の子が好きなのかなーって」
「い、いや、それはその……」

みるみるうちに青ざめていく息子の顔。本気で純粋に理由を聞いているだけなのだが、息子にとっては死刑宣告を待っているように感じているみたいだ。

「いやまあ、正直理由なんてどうでもいいんだけどね。だからそんなに怯えなくてもいいわよ」
「え……? そ、そう?」

息子を虐めるのもそれはそれで興奮するが、精神的に追い詰める気はない。虐めるとしたら、それは性的に蹂躙する時だけだ。
という事で、理由を聞きだすのは止めた。事実、どんな理由であれ私に興奮さえしてくれればいいのだから。

「こういった魔物の絵を見ながら毎日シコシコシコシコしていたのねー」
「そ、それはその……ごめんなさい」
「ほら、例えばこのイラストを食い入るように見ながら、ティッシュにいーっぱい射精してたのね」
「か、母さん……もうやめて……」

息子が机の上に置いた魔物娘図鑑Uを手に取り、何気なく適当に止めた様に装い自分が成った種族の所でピタッと止める。
やはり恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして俯いている息子。しかし、一番好きな種族だからか、チラチラとみている様子だ。
そして、こんな状況なのに少し勃起しているようだ。流石我が息子、インキュバスでもないのに性欲が強すぎである。
魔物になった私の鼻腔には、微かな息子の濃密な精の匂いが漂ってくる。なんて良い匂いなのだろうか。こんなの嗅がされたら、もう我慢などできない。

「こんな風に、おちんちんを外に出して……」
「だからもう……ってちょっ!? か、母さん!? な、何を……!?」
「こうやって、シコシコオナニーしてたのねぇ♪」

息子の身体をソファーの後ろから押さえつけて、ズボンのファスナーを下ろしてその中の性器に触れ、優しく擦り始める。少しだけ膨らんでいたペニスは、外部からの刺激にその硬さを増していく。
実の母親にそんな事されるだなんて微塵も思ってなさそうな息子は案の定パニックだ。強い力で抑えているので激しく抵抗する事はできないが、どうにかして私の腕を引き剥がそうと頑張っている。

「ちょっやめてよ母さ……はうっ」
「あら? やめてって言う割りには元気になってるじゃない♪」

恥ずかしがる息子のパンツをずらし、社会の窓から性器を外に出した。
私が撫でた事により、ソレは既にかなりの大きさになっていた。少し皮が被っているものの、先端から覗いている赤黒い鈴口や浮き上がる血管はグロテスクで……なんとも愛おしい。

「な、なんでこんな事……」
「いいじゃないの。ほら、気持ちいい?」
「い、いや、駄目だから! 息子のチンコ扱く母親とか駄目だから!!」

そのままおちんぽを握り、ゆっくりと上下に扱き始める。

「母さんどうしたの? なんでこんな事……」
「うーん、あまり感じてくれないみたいね。やっぱり人間の手じゃダメなのかしら?」
「いや人の話聞いてよ!」

なおも抵抗を続ける息子。たしかに、人間の価値観では親子でこういう事をするのは駄目だ。私だってつい数時間前まではそう思っていたのだからその言い分はわかる。
とはいえ、そんなに拒否されると少し気分も悪くなる。人間の姿をしたままの私が手コキをしているからか、一定以上勃起してくれないのも不機嫌に拍車を掛けていた。

「仕方ないわねー。じゃあ……」
「じゃあって何を……え?」

このまま手コキを続けても埒が明かなそうなので、私は行動を起こした。

「なに……これ……?」
「何って、新しい母さんの手よ。ほら、あなたの大好きな形をしているでしょ♪」

息子のおちんぽを握る手だけ、私は人化の術を解いた。
その途端、目の前に現れた異形の手。爪が形を変え、毛に覆われた腕を見た息子は予想通り驚いた様子を見せながらこっちをみた。

「ほら、これなら興奮するでしょ?」
「え、いや、だから……うっ!」
「ほらやっぱり。母さんの手、あなたの先走りでべとべとだわ❤」

驚いて固まっている息子を余所に、私の腕は息子のおちんぽを扱くのを再開した。
手に生える毛を逆立て、竿の部分を優しく撫でる。そして鋭い爪先を傷付けないようにしながら尿道口に引っ掛け刺激する。
さっき魔物化したばかりなのに、人化の術を使っていた時よりも動かしやすく感じる。その為か、息子のペニスはあっという間にいきり勃ち、私の手の中でビクンビクンと跳ね回っている。

「このまま一発射精しちゃいなさい♪」
「うっ、あっ、だ、だめっ……」

射精が近いのか、より一層精の匂いが強くなる。
息子の精液が欲しい私は溢れ出る先走り液を潤滑油代わりに使い、根元から頭まで激しく往復するように扱く。
そして、1分もしないうちにペニスが大きく震え出し、玉袋もキュッとせり上がり……

「あっ……うあっ!!」
「きゃっ! ああっ、熱いわぁ……❤」

私の手の中に、息子は激しく射精を始めた。
びゅくっびゅくっと音を立てながら、その体液で私の手を白く染める。手に広がる息子の精に、私は興奮で身体が火照る。

「んっ……じゅるる……」

射精が泊まった後、私はたまらず手に溜まっていた精液を口に持って行き、勢いよく啜った。

「はぁ……はぁ……か、母さん……?」
「んー……美味しいわぁ……❤ 息子ザーメン、さいっこぅ❤」

口の中に広がる息子の精の味。それは、今まで食べたどんなものよりも美味であった。
精飲なんて今までやった事ないにも関わらず夢中になって舐め回してしまう。手だけでなく、口周りも息子の青臭い精液の匂いが広がり最高の気分だ。

「な、なんでそんな……腕が……」
「ああ、腕だけじゃないわよ。お昼頃にリリムのリーセ様が家を訪ねてきてね、母さん魔物になっちゃった♪」
「え……ええっ!?」

なおも驚き続ける息子に魔物になった事をはっきりと伝えたら、目玉が飛び出るんじゃないかというぐらい見開いて驚いた。

「嘘だ……魔物娘が実在してたなんて……しかも母さんが……」
「あら、信じられないなら見せてあげるわ。よく見てなさい」

私もそうであったように、実在している事が俄かに信じられないみたいだ。
という事で、そんな息子のために私は人化の術を解き、魔物としての姿を曝し始めた。

「ん……どうかしら?」
「あ……ほ……本当に……魔物化してる……」

頭から太い1対の少し捻じ曲がった角を生やし、耳も獣のものを思わせる形状へと変化する。もう一方の腕も同じように変化し、それと同時に皮膚の色も艶やかな緑色へと変色し、腕や腰に黒い体毛が生えていく。そして、二本の足にも黒い体毛が生え、足の指がくっつき一つの大きな鉤爪となる。さらに腰から下が膨らみ始め、まるで虫の腹部のようになると同時に、そこから6か所の膨らみが生じ、足と同じものが生えてきた。

「母さん……どうしてウシオニに?」

そう、私はリーセ様の手によってウシオニという蜘蛛と鬼を混ぜたような姿の魔物になった。

「あなたの大好きな魔物っていうから……ほら、私の姿を見て興奮しているじゃない♪」
「っ!! そ、それは……」

裸のウシオニ姿になった私を見て、射精したばかりだというのに股間を膨らませている息子。リーセ様の仰る通り、息子が一番精の捌け口としていたのはウシオニだったようだ。
図鑑に載っている種族の中では人外度が高いイメージがあるが、だから人間の彼女を作らなかったのかもしれない。想定でしかないが、どちらにせよ息子がウシオニ好きで本当に良かった。

「そ、それとこれとどう関係があるの?」
「大アリよ。だって母さん……あなたの事が大好きだもの❤ 愛してる人が好きな姿になりたいでしょ?」
「……へ? あ、愛してる? 母さんが俺を?」
「勿論、親子愛もあるけど……あなたの事、一人の男として大好きよ。母さんといっぱい愛し合いましょうね❤」
「へ? い、いやいや、俺達親子だから……わあっ!?」

愛しい人が自分の身体で興奮しているのを見て、襲いかかるのを我慢できる魔物娘などいるのだろうか。少なくとも私は無理だ。
だから私は、まだ戸惑っている息子の上半身に向けて粘ついた糸を噴出し、床に押し倒して逃げられないようにした。

「ほら、ズボン脱いで。破いちゃうのはもったいないでしょ」
「や、やめてよ母さん。こんなの親子でやる事じゃないよ……」
「あら、魔物なら近親相姦でも問題ないのはあなたも知っているでしょ? それにぃ、口でそう言っても身体はその気満々じゃない♪」
「うぅ……」

そして、ゆっくりとズボンとパンツを剥ぐ。本当は破り捨てたいところだが、10年以上培ってきた貧乏性が性衝動を一瞬上回り、ゆっくりと脱がした。
そして、丸出しになる下半身。いつの間にか生え揃った陰毛の下に、自己主張激しく反り勃ったペニスが目に焼き付く。
今すぐにでもしゃぶりつきたい。それも、上の口ではなく下の口で。
だが……

「それとも……母さんの事、嫌い?」
「え……」
「そんなに嫌がるなんて、母さんの事嫌い?」
「そ、それは……」

それでもなお拒み続ける息子に、一抹の不安を浮かべて質問した。
もし嫌いだなんて言われたらどうしよう。ショックで倒れてしまうかもしれない。そう思いつつ、私は息子の答えを待った。

「俺は……少なくとも親としては、好きだと思ってる」
「本当に?」
「うん。女手一つで育ててくれたし、感謝もしてる。一人の女性として見る見ないは考えた事ないからわからないけど……とりあえず、母さんの事は好きだよ」

そして、息子の返答はこうだ。
少なくとも、母親としては私の事が好き、息子はそう言ったのだ。

「じゃあ、セックスしようか」
「ええっ!? どうしてそう……はぁうっ!!」
「ええい、問答無用! 好きと言われて、もう母さんは我慢できないの!」

母親としてであれ、私の事を好きだと言われたからにはもう我慢などできない。濃密な精の匂いを嗅ぎ、精液を舐めたところに愛の言葉を言われて、私の秘所は大洪水だ。もはや前戯など必要ない。
なので、話している最中でも勃起したままだった息子のムスコを握り、角度を調節し……

「挿れるね……んんっ❤」
「ちょまっ……ふああっ!」

腰を下ろして、一気に根本まで秘所に挿入した。

「お、俺、母さんで童貞卒業しちゃった……」
「んあっ、何これ……息子ちんぽ、凄いのぉ……❤」

まだ挿入しただけなのに、圧迫感と共に下腹部に広がる強い快感。リーセ様には悪いが、尻尾で再現したものより何百倍も良い。腰を動かさずとも、軽くイッてしまったほどだ。
一度ヌいているので射精こそしていないものの、息子のペニスは挿入の気持ち良さにぴくぴくとしている。漏れ出すカウパー液が膣内に染み、子宮をキュンとさせる。

「んっ、あっ、あっ、ど、どう? 気持ちいい?」
「す、凄い……想像より、勿論自分でするより気持ちいいよ母さん!」
「わ、私も想像以上よぉ。も、もう、息子ちんぽ以外の事、考えられないぃぃ❤」

勿論、挿れてじっとしたままなんてできないので、息子の上に跨ったまま激しく腰を動かす。
雁首が膣襞を掻き乱し、亀頭が子宮をコツコツとノックする。その動き一つ一つが私の脳を痺れさせ、精液を求め勝手に秘所が締まる。
もはや快楽の虜となった私は、ただただ息子のペニスを貪りつくし、目の前の愛する男から子種汁を搾り取る事しか考えられなくなってきた。
それは息子のほうも同じのようで、さっきまで少なからず拒絶していたのはどこへやら、恍惚の表情を浮かべながら慣れないながらも気持ち良さを得ようと腰を突き上げている。その自分ではわからない動きが、より興奮を高めていた。

「か、母さん、もう……!」

そして……童貞だった息子に魔物の膣は刺激が強すぎたようで、数分も経たないうちにペニスが大きく震え、濃厚な精液をドクドクと射精した。

「あああっ! 射精してる! 息子の精子が、母さんの子宮にでてるぅぅうっ!」

人間では絶対に感じられない、子宮に広がる熱と甘美な味。息子の精液が満たされる悦びに、私は激しくイッた。
大きく乱れる程の絶頂を迎えたのは人生で初だ。少なくとも、あのろくでなし男なんかとシたのとは比べ物にならない。というか、息子のペニスがあまりにも相性が良すぎてもはやどんなのだったか思い出せない。

「あふぅ……❤ いっぱい中出ししたわね♪」
「だ、だって……母さんのアソコ、凄くて……」
「そりゃあそうよ。だってあなたはこのおまんこから出てきたのよ。中に入れて最高に気持ちいいのは当たり前じゃない❤」
「そ、そんなものなの?」

自分で言って思ったが、息子は私の子宮から生まれているのだ。親子なのだから相性が良すぎるのはもはや当たり前だ。
その証拠に、私の膣内にある息子のペニスはまだまだ硬いままだ。

「ほらほら、もう一発♪」
「うあ、ま、待ってぇ……」

意識してしまうともう止まっていられない。
私はまだ息が整っていない息子の制止を聞かず、腰を前後左右上下に規則性なく動かし始めた。

「んあっ、いっ、いあっ、はっ、いいのぉ……❤」

ぐつぐつと煮えたぎる性欲と共に息子に腰をぶつける。
私の膣でグチャグチャになるペニス。一回一回ピストン運動をする度に全身の毛が逆立つ。
子宮にペニスが当たり痺れる度、もっと快感を貪ろうと、目の前のオスを犯す事しか考えられなくなる。

「うぁっ、ぅうぅうっ」
「ほら、そっちからも腰を動かして!」
「そ、そんな事、言っても……ああっ!」

しかし……私とは正反対に、為すがままにされ続けている息子。先程瞬殺したからか、それとも激しさのあまり疲れてしまったのか、今度は腰を動かさない。
今のままでも絶頂を迎えられるものの、最初と比べたらどこか物足りない。心なしか、ペニスも最大サイズから一歩劣っている気がした。

「仕方ないわねぇ……」

いくら性欲が強いとは言っても息子は人間だし、アルバイト帰りでは疲れも溜まっているだろう。へとへとな状態でセックスしても、満足には動けないみたいだ。
仕方がないので、私は息子のために行動を起こした。
まずは自分の舌を鋭くなった歯で少し切る。特に痛みはなかったが、口の中に血の味が広がったので切れてはいるだろう。

「母さん? 何を……うぶっ!?」
「んんっ……」

その状態で息子の顔を掴み、グイッと持ち上げ……そのまま口を押し付けた。
唇と唇が触れ合う。少しカサカサしている息子の唇を舌でこじ開け、口内に侵入させる。

「んるっ、じゅるる……」
「んーっ、んんんっ!!」

舌を絡ませ、血液混じりの唾液を息子の口に押し出し、無理やり飲ませる。
その分私は息子の唾液を口に含む。精液程ではないものの、これまた甘美なジュースを飲んでいるように感じ、ウットリと酔いしれてしまいそうになる。

「んんー……ぷぱっ。どうかしら?」
「はぁ……はぁ…………はあっ!?」

少し息苦しくなったところで口を離す。
図鑑のウシオニの項目に、その血を浴びた男性はすぐさまインキュバス化して魔物と交わる事しか考えられなくなるみたいな事が記載されていた。浴びせるのはスプラッタ―ホラーになりかねないので飲ませてみたのだが……どうやらそれでも効果があったみたいだ。

「ああっ、うあああっ!?」
「わっ! い、いきなり激しっ、ふあああっ!!」

つい先ほどとはうってかわって、下から激しく腰を突き上げ始めた息子。
言葉を失くし、ビキビキと太く硬くなったペニスで私の中を抉る。自分で仕掛けた結果だが、突然の衝撃に私の頭は真っ白になり、目の前がチカチカし始めた。

「ああっ! あはぁっ! ああぁぁああっ! イイのぉ! しゅごいぃぃぃいいいっ!!」

べちん、べちんと強く打ち付けられる度に結合部から飛び散る愛液。
リーセ様に犯された時の何倍、いや何万倍もの快楽が痺れとなり身体中を走り回り続ける。

「もっとぉぉおおっ! もっと突いてええええええっ!!」

絶頂に次ぐ絶頂が襲い、私の心はもはや天高く飛んでいるようだ。おまんこからは潮を噴きだし、糸疣からも蜘蛛のように意図が噴出する。
それでも、ウシオニとなった私の身体はもっと深い快楽を得ようと、貪欲なまでに腰を打ち付ける。子宮の奥まで犯す息子のペニスの感覚が、私を幸福でいっぱいにする。

「ぐ、ああああっ!!」
「あああぁぁあぁああっ! 射精てるぅぅぅううっ!! 子宮の奥に精液がいっぱいでてるううううっ❤」

そのまま激しく交わり続け、しばらくした時だった。
床に固定してあった糸を引き千切って手を伸ばし、私の腰をグイッと自分に引き寄せた息子。その瞬間、激しい脈動と共に今まで以上の量と勢いを伴う射精が開始された。

「あっ、あああっ!!」
「ああああああっ! 孕んじゃうううぅううっ!! 息子との娘、産んじゃうううううぅうぅううっ❤」

一切空気に触れることなく子宮に注がれる新鮮な精液。
濃厚で青臭い子種汁が私の卵子に付こうと群がる感覚に、私の脳は子を孕むことを強く望む。

「ほらぁ、もっともっとぉ……❤」

そしてそれは、更なる性欲を呼び起こし、息子を犯し続ける。

「母さんとぉ、ずうぅっとセックスしましょうねぇ……❤」
「ぅあ……うぅ……うん……」
「そしてぇ、妹や娘をいーっぱい作ろうねぇ……❤」
「母さん……母さんっ!!」
「ああんっ! そんなに激しくされると、母さんまたすぐイッちゃう❤」

もう、息子と……愛しの旦那様とセックスする事しか考えられない。それは、息子も同じようだ。
もうこの部屋でずっと私と身体を重ねていればいいんだ。もう息子を他の女になんてあげてたまるものか。
そんな想いを胸に、愛情をたっぷりと注ぎながら、私は息子と肉欲の宴に耽るのであった。
16/08/04 23:20更新 / マイクロミー

■作者メッセージ
なおこんなオチですが息子はきちんと大学に行きますしアルバイトもします。母と共に目指した大学ですし母にいろんな物を買ってあげたいしと全部母親の為ですけどねw
母親も母親で日中はパートを続けてます。魔物化した事で疲れ知らずです。理由は息子と似たようなものですw

という事で魔物化、ウシオニ化する母と息子モノでした。魔物化っていいよね!ウシオニさんもっといいよね!!
まあ……一番書きたかったのは近親相姦でもなく魔物化でもなく序盤のエロ本探しだったりして。完成まで半年程掛けてますがそこだけ2時間で書ききってますからねw

誤字・脱字・その他リリム(魔物のプリンセス)の真野リーセって名前の付け方そのままじゃねえか等ありましたら感想やらなんやらでお願いします!

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33