バレンタインパクト!!
「今年こそ…今年こそは義理でもいいからチョコを女子から貰うぞ!!」
今日は2月14日。
いわゆるバレンタインデーである。
この日は本来ならどこぞの宗教の記念日だったりするらしいが、ここは日本だ。
つまり、女性が好きな男性(一部例外あり)にチョコレートを贈るという甘いイベントが行われる日である。
なので、今日は全国のさほど普段から特にモテていない男性達がチョコレートを女性から貰えないかと淡い期待を抱きながら一日中ソワソワし続ける日でもある。
勿論、俺―四阿 流二(あづま りゅうじ)―も例外では無い。
今年こそはチョコを女子から貰えたら…と朝から変に気合いが入っているのである。
先程の言葉からわかると思うが、残念ながら俺は今までの人生の中で女性からチョコをもらった事は無いのである。
いや、この表現では少し違っているか。
一応バレンタインデーにチョコを貰った事そのものはある。
ただ、くれた相手が母親やクラスの男子全員にチョコを配っている女子からだ。
この場合、俺は貰った数に入れる気は一切無い。ある意味義理チョコ以下であるからだ。
それ以外にももう一例あるが、あまり触れたくないので一先ず置いておく。
とにかく、俺は今年こそ義理でもいいので血縁関係の無い女子から俺個人宛にチョコを貰いたいのだ。
「よし、準備も出来たし早速学校に行くか!」
その想いを胸に、俺は高校に向かって家を出た。
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パカッ
「………」
高校に着いて下駄箱を開けたら早速チョコが入って……………無かった。
想定内ではあったが、1つ位入ってないかなぁと期待していた分少しがっかりした。
「流二、おはよーっす!」
「…よう有吉」
がっかりしていたところに同じクラスの友人の有吉がやってきた。
「なんだ?やけに元気が無いというか、がっかりしてないか?」
「リア充にはわかるまい…」
「へ?…ああ、そういえば今日はバレンタインデーか……まぁ今日はまだ始まったばかりだ!」
「なんだその余裕のある言い方は!?」
今の俺の気持ちを共感してほしかったが、残念ながらこいつは最近幼馴染みとともにリア充の仲間入りを果たしたので無理である。
しかも幼馴染みというのがこれまた同じクラスの女子、というか魔物だ。
いつも人前でイチャつきやがるので正直妬ましい。
「まぁ、そうがっかりすんな!まだ貰える可能性はあるって!」
「うるせー!!変に励ますな!今年は彼女から本命チョコ貰える余裕か!?」
「別にそんなんじゃ無いけど…そういえば毎年一応幼馴染みとして貰ってたけど、今年は恋人として貰えるのかー、なんか新鮮だな…」
「有吉もげちまえ!!」
くそ〜、これだからリア充は…
あれ?そういえば…
「今日は彼女いないのか?おまえら最近ずっと一緒に登校してたじゃんか。もしや喧嘩したとか!?」
いつも有吉と一緒に登校している筈の彼女の姿が無かったので気になって聞いてみた。
「ああ…どうやら今日は朝早くから委員会の用事があるらしくて先に登校してった」
「なんだ、喧嘩したんじゃないのか」
他人のカップルの喧嘩を望むなんてひどいとは思うが、モテない男達ならこの気持ちをきっとわかってくれるとも思う。
「喧嘩はこの前したけど、喧嘩してもすぐ仲直りをするから別れる事は無いと言い切れるぞ!」
仲直りって、相手は魔物だしアレかな…
なら羨ましいぞ…
「くそっ!ノロケやがって!!リア充爆発しろ!!」
「ははは…そろそろ教室いこうぜ。もしかしたらチョコあるかもよ?」
「それもそうだな…よし、行くか!!」
こんな感じにくだらない話しを有吉としながら俺は教室に向かった。
ガタンッ、ガサゴソ…
「………」
教室に着いて早速自分の机の中を漁ってみたら、なんとチョコが入って……………………無かった。
いや、わかっていたことだ。
今までが無かったのに今年になっていきなりある筈がない。
貰えるように行動していたわけでもないからあるほうが驚きである。
それでも、なんか虚しくなる。
ほんの少しだけでも期待していたからか、哀しさが襲ってくる。
「はぁ……」
おもわず溜め息をついてしまった、そんな時である。
「クラスのモテない男子諸君、よく聞きなさい!このしょーこさまが皆のぶんのチョコを作ってあげたわよ!別にホワイトデーの御返しなんていらないから遠慮せずに受け取りなさい!」
教室の前方、教卓の上に立って声高らかに皆にチョコを作ってきたから配る宣言をした女子がいた。
女子と言っても同じクラスのバフォメットの八木だが。
その声をよく聞いたクラスのモテない男子諸君のほとんどは八木からチョコを受け取りに行った。
俺も貰ったカウントには入れないがチョコは欲しい。
しかし俺は受け取りに行かない。配っている相手が相手だからだ。
「あれ?四阿くんは確か彼女いなかったよね?わたしのチョコいらないの?」
八木が受け取りに来ない俺に気付いて話しかけてきた。
「…去年お前のチョコで散々な目にあったからな」
「ニャハハハハ……ごめんごめん!」
そう、八木のせいで俺は散々な目にあったのだ。
八木とは一年生の時、つまり去年も同じクラスだった。そして去年も同じようにチョコを配っていたので俺は貰った。
だがそのチョコの一部は、食べた者を重度のロリコンにするものであり、俺はその一部に当たった。
そのせいで俺は危うく犯罪者の仲間入りするところだったのだ。
「ホントにごめんね〜、まさかあそこまで効果があるとは思わなかったんだ…」
「危ない薬をチョコに混ぜるなよ!犯罪一歩手前じゃねえか!!」
「だからごめんって〜!お詫びにチョコ2つあげるから!!」
「いらん!!危険な物を2倍にして受け取るわけないだろ!?」
「大丈夫、今年は変なもの混ぜてないから!」
「本当か〜?」
そうは言うものの、いまいち信用できない。
「本当よ。またあの手の薬を入れたものを配ったら今度こそお母様に殺されると思うし…」ガタガタ…
そう言った八木の顔が段々と青ざめてきた。
そのうえガタガタと震え始めて涙目になってきた。それだけ母親が怖いのだろう。
そんな様子を見て、本当に混ぜていないと判断した俺は…
「…よしわかった。チョコ2つくれ!」
「えっ!?……信じてくれたんだね!はいっ!わたし手作りのチョコだよ♪」
チョコを貰う事にした。
信じてもらえたのが嬉しいのか、とびっきりの笑顔で渡してきた。
でも別に八木にキュンとはしない。残念ながらロリは対象外だ。
2つ貰ったので早速1つ食べてみた。
「もぐもぐ…ん、うまい!」
「あったりまえよ!」
思ったよりうまかった。
「ところで四阿くん、今年も例のあの子チョコ持ってくると思う?」
「ブハッ!!」
「ちょっと!汚いじゃない!!」
チョコを食べてたら、八木がいきなり人のトラウマにダイレクトアタックをかましてきたので思わず噴き出してしまった。
「ゲホッ…わりぃ、でもいきなりあいつの話をするなよ!」
「あ、やっぱり『他校の男の子からチョコを皆の前で渡された話』をされるの嫌だった?」
「当たり前だ!!」
勿論俺はノーマルだ。そっちの趣味はない。
なのに大勢の人や魔物が居る場所で男子からチョコを贈られるという恥ずかしい経験をしたわけだ。
その恥ずかしさはトラウマになるレベルだった。
しかもそこから大体半年ぐらい皆からそのネタでいじられたのだ。
だから、なるべく話題にあげたくはない。
いや、それだけじゃない。
実は、その他校の男子は俺の親友だったやつだ。
過去形なのは、去年の恥ずかしい経験が原因で言うべきではない事を言ってしまったからだ。
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「へ?男同士でも友チョコ?」
「うん、アリだと思わない?」
話は4年前、中1のバレンタインデーの時まで遡る。
俺の小学生からの親友の元木 幹男(もとき みきお)がいきなり自分達で女子みたいに友チョコを渡しあわないかと言ってきた。
「えぇ…無いと思う。なんか惨めに思えてくる…」
「そうかなぁ?」
男同士でチョコを渡しあっても惨めなだけだと思い否定したが、元木は納得していなさそうだった。
「でも、もう持って来ちゃったからあげるよ!はいっ!」
「はっ!?マジか!?」
どうやらチョコを持ってきてたからこんな話を持ち掛けてきたらしい。
笑顔で普通にチョコを俺に渡してきた。
「まあ普通に僕からチョコを奢ってもらったと考えればいいだろ?」
「ん…まあそれなら…代わりにホワイトデーになんかくれとか言わないよな?」
「さすがに言わないよ!」
男からバレンタインのチョコを貰ったとなるといやだが、友達から普通にチョコを奢ってもらっただけなら確かに問題は無い。
……実際は問題がある気はするけど、元木は一回決めたことは変えようとしないとこがあるので素直に受け取る事にした。
まあ今年だけだろう、この時はそう思っていた。
だが、これが全ての始まりであった。
その後も…
「あっ、流二!」
「ん?どうした?」
「今年も友チョコあげるよ!」
「マ、マジでか!?」
「うん!はいっ!」
「…去年より豪華になってないか?」
「さぁ?去年はどんなチョコあげたっけ?」
「去年は普通の板チョコだった。何で今年はトリュフなんだ!?」
「まあ偶然安売りしていた物だよ。友情の証と思って受け取ってちょ!!」
「…おう、貰っとくよ…」
これは中2のバレンタインデーの時のことだ。
まさか2年連続で男からチョコを貰うとは思ってなかった。
清々しい笑顔で友情の証なんて言いながら去年より豪華になったチョコを渡してきたので、つい受け取ってしまった。
「はいっ流二!今年もバレンタインのチョコをあげる!!」
「またか…予想は出来てたけどな…しかも今年は手作りかよ…」
「いやぁ…『女子からチョコ貰った〜』って見栄を張ろうとして手作りチョコ自分で作った余りだよ…」
「……それ、自分で言って虚しくないか?」
「まあね…まあ高校違っても変わらない友情の証だと思って受け取ってよ!」
「…別に無くても友情を変えるつもりは無いけど、一応貰っとくよ…」
これは中3のバレンタインデーの時のことだ。
二度あることは三度あるという諺があるし、もしかしたら今年もチョコを渡してくるかと思っていたら、やっぱり渡してきた。
しかも手作りときた。
更に、爽やかな笑顔でまた友情の証と言って渡してきたので結局受け取った。
それに、流石に高校違うし、今年が最後だろうと思っていた。
だが、高1の時にもチョコを渡してきたのだ。
しかもわざわざ俺の通う高校に来てだ。
「はいっ流二!!これ今年の友情の証のチョコだよ!!」
「ちょ!?元木!?」
チョコを例の八木が配ったロリコン化する物しか貰えず落ち込みながら帰ろうとしたら、学校の正門の前に元木がいた。
そして、沢山の人がいるのにも関わらず、大きな声でチョコを渡してきたのだ。
下校しようとしていた人達の目線が全て俺達のほうに向いている。
中には指さしてひそひそ喋っている人やクスクスと笑っている人(全て魔物含む)もいた。
「っ!?元木、こっちこい!!」
「えっ!?ちょっと待ってよ流二!!痛いよ!!」
こんな恥ずかしい思いをずっとしていたくなかったので、俺は元木の腕を掴んで人気の少ない倉庫まで引っ張っていった。
「な、なに流二?こんな場所まで連れてきて…」
「おい元木…いったいどういうつもりだ?」
「えっ!?ど、どういうつもりって…」
「なんでわざわざここに来てあんな目立つ場所でチョコを渡してきたんだ!!悪い意味で注目の的になっちまったじゃねーか!!」
誰もいない倉庫の中で俺は元木に対して怒っていた。
「えっと…ご、ごめん…」
「ごめんなんて言われても許す気はねーよ!!」
元木のせいで晒し者になってしまったのだ。
そのため俺は今までの人生の中で一番怒っていた。
「じ、じゃあどうしたら許してくれる?」
「はぁ!?何をしても許す気はねーよ!!もうお前とは絶交だ!!」
一番怒っていたが故に、ついこう言ってしまったのだ。
「!?!?…………じ、冗談、だよね?」
「本気だ!!さっさと消えろ!もう二度と俺に話しかけてくるな!!」
そう怒鳴って俺は元木が持ってきたチョコを奪い取り…
「こんなものっ!!」
ぐしゃっ!!
チョコを…友情の証を…おもいっきり地面に叩きつけて、踏み潰した。
「あっ………そんな………」
俺のそんな行動を見た元木は悲しそうな顔をしながら、愕然としていた。
「っ!!……じゃあな…」
元木のそんな表情を見て少し冷静になった俺は、その場に居続けることが出来ず元木を放置して家に急ぎ足で帰った。
「はぁ…」
その日の夜、絶交とか言ってしまった事を後悔していた。
流石に怒り過ぎてしまった。
確かに恥ずかしい思いをしたが、元木は悪気があってやった訳ではない。それはわかっていた筈なのにだ。
だから今からでも電話して謝ろうと思った。
だが、あそこまで言ってしまったのだ。謝ろうにもなかなか電話に手を伸ばせない。
そこで、自分がさっき踏み潰した物はなんだと思いつつも、とりあえず気持ちを落ち着かせるために八木から貰ったチョコを食べる事にした。
これがいけなかった。
何度も言っているように、このチョコは食べた者を強制的に重度のロリコンにする劇薬だ。
食べた後の1週間、自分ではあまり覚えていないが、気がつけば家族の俺を見る目線がものすごく冷たかった事と、八木本人が2週間謹慎受けたあとに全力で謝りにきた事から大惨事だったのだろう。
幸いにも犯罪行為はしていないらしい。
だが同時に、不幸にも元木に謝るタイミングを見失ってしまった。
そのまま一回も会っていないどころか連絡すらとること無く今日に至る。
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キーン、コーン、カーン、コーン…
「はぁ〜……」
放課後になってしまった。
結局今年も(全員サービスはカウントに入れないので)チョコを貰えなかった。
ため息を吐きつつ帰り支度をしていた、その時である。
「ねぇ四阿くん、あの正門の所にいるのって去年のあの子じゃない?」
「へっ!?」
窓から外を見ていた八木に呼び止められた。
しかも八木曰く正門に元木らしき人物が居るとのこと。
流石に無いと思うが、もしかしたらと思い窓から正門のほうを見ると…
「…うそぉ!?」
確かに人がいた。
しかも、『たぶん』元木だった。
…元木なのか?なんか雰囲気が違うような…でもあの顔は間違いなく元木だ。
去年あそこまでやったのにまた来たのは驚いたが…
「…俺ちょっと隠れてくるわ!!」
「へっ!?」
本来ならすぐにでも謝るべきであるのだろうが、去年あそこまでやってしまったからこそ俺は顔を会わせづらかった。
だから俺は隠れて時間を潰して元木に帰ってもらう事にした。
我ながら最低の選択だとは思うが、それ以外どうすればいいかわからなかった。
そして俺は、去年元木を連れ込んで絶交宣言をしてしまった倉庫に隠れるため急いで教室をでた。
「あ、ちょっと……もう…たぶん隠れても無駄だと思うのに…」
「『魔物』の、好きな男を探すセンサーみたいなものを嘗めちゃダメだよ…」
「あっ、早速行動し始めた…これはすぐ見つけられるだろうな〜…」
「なんか面白そうだけど、空気読んで見に行くのはやめとこ……」
「あっそうだ!何をしたのか明日詳しく四阿くんに聞いてみよ♪」
八木が結構重要な事を言っていたが、その言葉は俺に届かなかった。
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「はぁ…元木のやつ何で来たんだよ…」
倉庫に着いた俺は、何故今年も元木が学校に来たのかを考えていた。
まだ俺が怒っていると思っているなら、今日になるまでに(本当は何も悪くないけど)元木のほうから謝りにきているはずだ。
だが実際、今日まで元木からも一切接触は無かった。だから本当に二度と俺に会いに来ないものだと思っていたのだ。
なのに来たのだ。何のためにか?
俺に対しての嫌がらせとかは、元木の性格からしてするとは思えない。
去年あった事を忘れている…とも思えない。あんな顔をしていたくらいだ。忘れている訳がない。
結局よくわからない。
「まあいいや…とりあえず2時間位ここに居れば諦めて帰るかな…」
あれこれと考えつつもとりあえず時間を潰そうとした、その時である。
ガラガラガラ…
「流二…ここにいるんでしょ?」
「!?」
誰かが倉庫の中に入ってきて俺を呼んだ。
少し高い気がするが、その声は元木の声だった。
倉庫に入ってきた元木は、そのまま隠れている俺に向かって話し始めた。
「ここに居るのはわかってる…だから隠れてないで出てきて…」
「……」
「それとも、やっぱりボクの顔は見たくないの?やっぱりまだ怒ってる?」
「……」
「そうだよね…流二の事を考えずに恥ずかしい思いをさせちゃったもんね…ごめんね…」
「……」
「出てこないって事は…やっぱりボクの事なんか大嫌いだよね…」
「…そんな事ない!!」
「!?」
元木が今にも泣きそうな声で謝ってきた。
そんな元木の様子を感じて、俺は黙って隠れ続ける事ができなかった。
「元木は悪気が無かったのに、俺が勝手にキレただけだ。だから元木は何にも悪くない!元木を嫌いになるもんか!」
「流二…」
「俺の方こそ絶交とか言っちまってごめん!ずっと謝りたかったんだけど、なんかタイミングがわからなくって…」
「……」
「去年勝手にキレて絶交とか言っておいてなんだけど、俺とまた友達関係でいてほしい…ダメか?」
「……ちょっとまって…」
そして俺は、ずっと言えなかった謝罪と、また友達になりたいということを元木に伝えた。
その俺の言葉を聞いた元木は、手に持っていた鞄の中の何かを探し始めた。
「あった…とりあえずこれを受け取って食べてよ…」
そう言って俺に差し出してきたのは…手作りのチョコだった。
チョコは友情の証…つまり、俺とまた友達でいてくれるという事だろう。
「ああ、ありがとう。早速食べるよ!」
元木から貰ったチョコを早速食べてみた。
少し変わった味がしたけど旨かった。
「旨いな…でもこれ何の味だ?チョコとは別の味がしたけど…」
「…もうそろそろわかるよ」
「えっ?…うっ!?」
元木が答えた瞬間、俺の体に衝撃が走った。
何もしていないのに鼓動が物凄く速くなっている。
それだけじゃない。何故か下半身、特に股間辺りに熱が集まってるようだ。
「はぁ…なんだよ、これ…」
「実はね…さっきのチョコにはとっても強力な媚薬を混ぜておいたんだ」
「えっ!?」
どうりで股間辺りに熱が集まるわけだ。
何もしていないのに勃起してくるのがわかる。
でも何で媚薬なんか混ぜたのだろうか?
「それと、さっき流二はまた友達関係でいてほしいって言ったけど、ボクは嫌だよ」
「なっ!?じ、じゃあ…」
じゃあ何でチョコを渡したんだと聞こうとしたら、衝撃的な一言を発した。
「ボクはね…流二の恋人になりたいんだ!!」
「はぁ!!!?」
何を言っているんだコイツは!?
男同士で恋人になりたい!?そんな馬鹿な!?
「去年流二に拒絶された時、相当ショックだった…」
「悲しかった…友情が終わったと思ったから…」
「でもそれだけじゃない…それ以上に、苦しかった…」
「それで…その日の夜、流二の事を考えているうちに、自分の本当の気持ちに気付いたんだ…」
「ボクは流二とずっと友達で居たかったんじゃない…流二の事が好きなんだって…」
「今までバレンタインデーの度に流二にチョコをあげていたのも、本当は流二が好きだったからって気付いたんだ…」
「男同士なのに好きだなんておかしいよね…でもボクは流二に恋をした…」
「それで、学校のカウンセラーの先生にこの事を相談しに行ったんだ…そしたらこの悩みはあっという間に解決した…」
「でも、流二にまた拒絶されるのが怖くて…今まで会いに行けなかったんだ…」
「だからバレンタインデーの今日…去年流二に拒絶されたのと同じ日に、流二に会いに来た…嫌われたままなら諦めて…そうじゃなければチョコを渡して抱いてもらおうと…」
「マテやコラ!!」
あまりの衝撃で全く声を出すことができず、黙って元木の話を聞いていたが、抱いてなんて事を言ってきたので頑張って叫んで止めた。
「何?」
「何?じゃねーよ!!男同士なのにおかしいとか思っといて、なんで抱いてとか言ってんだよ!?」
どうしてそんな流れになったのか意味不明である。
が、元木がこんな考えに至ったのは、話の流れからするとおそらくカウンセラーの先生が原因だろう。
まさかこんな特殊な性癖を薦めたのか?
「だから解決したんだって!……ってこのままじゃわからないか…」
「へっ!?…ってなにをする気だ!!」
元木が俺の手を掴んで自分の股間に持って行こうとした。
勿論男の股間なんぞ触りたくないので必死に抵抗した。
元木の力は強く無かったのですぐに振りほどけるはずだった。
だが、何故か振りほどく事ができなかった。
それほど強く握られているのか、またはこの媚薬のせいで俺の力が入らないせいなのかはわからない。
ただ言えるのは、このまま股間に触れてしまう運命は避けられそうもないと言うことだ。
「いいから、触ってみて…」
「わっ、うわぁ!?」
一気に股間に引き寄せられ、触れて…!!
ペタッ
ん?何か変だぞ?
「ん…こっちも…」
そう言いながら元木は空いている手で俺のもう一方の手を掴んで、今度は胸の方へ持っていき…
ふにっ
「あっ…」
ん?やっぱり変だぞ?
普通は効果音逆じゃね?
元木の股間にあるはずのモノが無く、胸に無いはずの柔らかさがあった。
あと触ったとき元木がどこかエロい喘ぎ声をあげた。
どーゆーこと?
「えーっと、なにこれ?」
「まだわからない?じゃあ上から脱いでくね…」
元木が掴んでいた手を放し、その場で着ていた服を脱ぎ始めた。
服の下に現れたのは…
「…うっそぉ!?」
そこには、男には無いはずの柔らかな丘と、頂点に桜色の突起が…つまりおっぱいが存在していた。推定Bカップ。
「下も脱ぐね…」
「……!!??」
今度はズボンとパンツを脱いだ。
触ったときに感じた通り、そこにあるはずの肉棒と玉袋が存在せず、代わりに一本の筋があった。
ぴったりと閉じている筋は心なしか少し湿り気を帯びていた。
これらの事からまとめると…
「女になったのか!?」
「うん、半分正解」
半分とはどういう事かと聞こうとしたその時、元木の身体が変化した。
つい先程まで無かった蝙蝠みたいな翼、鞭のような尻尾、そして少しねじ曲がった角が現れたのだ。
「元木…その姿は…」
今の元木の姿は、魔物が大勢住んでいるこの街でよく見たことがあるものだった。
そう、元木はサキュバスに……より正確にはアルプになっていた。
「どうしてアルプに…!?」
「大体半年前の事なんだけど、さっきカウンセラーの先生に相談したって言ったよね?その時に貰った薬を飲んでから寝たら、起きた時にアルプになってたんだ」
「薬を、飲んだら…」
「うん。その先生はサキュバスなんだけど、ボクのようにホモじゃ無いのに同性を好きになった男の子や、サキュバスになりたい女の子に先生の魔力で作った薬を渡して、その希望を叶えてあげているんだってさ!」
「へぇ…」
嬉しそうに元木は語った。
俺はただ呆然と聞いていた。
「でね、魔物化したばっかりだと魔力が少ないからすぐ精を補給しないといけないんだけど…流石に他の男の人から貰う気はしなかった」
「それで、どうしたんだ?」
「一応独り身の魔物用の精補給剤みたいなのを飲んでたんだけど…それだと味気無くって何か嫌なんだ…」
「…で?」
元木は話しながら都合良く倉庫の中に置かれていた少しボロいマットの上に腰掛けて…
「ねえ流二、ボクを抱いて!半年も我慢してたんだ、もう我慢できないよ!!」
閉じていた足を開き、自分の股にある筋に右手の人差し指と中指を這わせ、俺に見せつけるようにゆっくりと開いた。
その中は綺麗なピンク色をしており、湿り気を帯びた肉壁がヒクヒクと動いていた。
また、左手は元木の左胸に持っていき、自分で軽く揉み始めた。
そんな童貞には衝撃が強すぎる元木の卑猥な行動を見ていた俺は、強力な媚薬の効き目もあり…
「はあっ…はあっ…はあっ…!!」
荒い息をあげながらおっぱいやその股の穴、女性の秘所を凝視していた。
「遠慮なんてしないでボクを好きにして…おっぱいを揉んだり舐めたりして!流二のオチンポでボクのオマンコをめちゃくちゃに犯して!!」
「…はあっ…!!……後悔…するなよ?」
上目遣いで淫猥な事を叫んでいる元木を見て、俺の理性はついにどこかへ飛んでいった。
元木をマットの上に押し倒し、小柄な胸に手を伸ばした。
「…おおっ!スゲー柔らかい!!」
「はぁんっ!りゅ、りゅーじぃ!」
元木の小柄ながらも柔らかく、それでいて弾力性のある胸を鷲掴みして揉みまくる。
俺の手の動きにあわせてその胸はムニュっと形を変えていく。
「すげぇ…乳首って本当に勃つんだな…不思議な感じ…」
「ああっ!い、いああっ!」
揉む前から少し勃っていた乳首が揉んでいるうちにピンっと張ってきたので触ってみた。
コリッとしていて、今まで感じたことの無い触感だった。
俺の手で胸を弄られて元木も感じているらしい。
さっきから手を動かす度に大きな喘ぎ声を出している。
「りゅ、りゅーじぃ…んっ…おっぱい揉むだけじゃなくてぇ…」
「なんだ、おっぱい舐めてほしいのか」
「そ、そうじゃなくtひゃああっ!」
元木が言いたい事は大体わかっているが敢えて他の事をしてやる。
俺は元木の右胸に吸い付き、乳輪に沿って円を描くように舌を這わせたり、乳首を舌先でつついてみた。
むしゃぶりつく度にどこか甘い香りがする。
左胸のほうは右手で、乳首を擦ったり摘んだりして刺激を与え続けた。
「いっ、いいけど、ちがっ、ぅあんっ!」
「チュポッ……そうは言ってもねぇ?」
不満があるそうだが、蕩けた顔をして上も下もよだれが止まらないので悦ばしいのだろう。
「ぅんっ、そっちがその気ならぁ、ボクだってぇ…!」
俺が攻めを弱くした隙にされるがままだった元木が急に動いて俺のズボンのベルトを掴み…
「……エイッ!」
「うおっ!?」
下着ごと一気にずり下ろしたので、俺の今までに無いほど硬く勃起しているモノが外気に晒された。
「うわぁ…思っていたより大きい……それにピクピクしてる…ボクで興奮してくれてるんだね♪」
興奮のせいか俺のモノはピクッと揺れて、先走りが溢れて糸をひいている。
そんな俺のモノを見てより淫乱な顔になった元木は…
「………はむっ!」
「ぅああっ!?」
間髪入れずに俺のモノを口にくわえ込んだ!
口内の粘膜がモノの先端に絡みついて刺激してくる。
何とか暴発は食い止めたがすぐにでも射精しそうだ。
「あむっ…れる…ちゅぶ……!」
我慢するなと言いたげに元木が攻め始めた。
柔らかい唇や舌でカリ首や鈴口を攻めたり、モノの裏筋を舐めあげてきたり、口内をすぼめて圧迫しながら亀頭全体に舌を這わせてくる。
その男を感じさせるテクニックは本当に初めて、しかも元男のものとは思えなかった。
「んふぅ…じゅううぅぅぅぅ………」
「うおっ!?それやばっ…!?」
元木の目が笑った気がしたと思ったら、モノをくわえたまま吸ってきた。
今まで受けた事無い感覚に童貞の俺が堪えられるはずもなく…
「うっ、うあああああああああ…」
「んふっ!?……んん♪……んく…」
口の中にくわえ込まれたまま勢いよく射精してしまった。
いきなりどくどくと噴出する精液に元木は最初驚いた顔をしていたが、待ち望んでいた俺の精液と認識したためか恍惚とした顔をしてゆっくりと美味しそうに飲み始めた。
ただ、自慰なんかとは比べものにならないほどの快楽や媚薬のためか精液の出る量が半端じゃない。
その為、口に入りきらなかった精液が溢れ、白い涎が垂れ、元木の胸やお腹にかかっている。
「あぁ…はぁ…はぁ…」
「チュポン…んく…ん、勿体ない…」
射精がやっと止まり、元木は俺のモノを口から外した。
口の中の精液を飲み干した後、口から溢れた精液を指で掬い丹念に舐めとっている。
「ちゅる…こくんっ!…んー美味しかったぁ〜……あれぇ?もう硬くなってる〜♪」
そのヤらしい元木の行動に俺のモノは再び硬く膨らんでいた。
それを見た元木はニッコリとして俺のモノを優しく握ってきて…
「ねぇ流二…今度こそボクのオマンコにオチンポを入れて…」
自分の秘所に誘導した。
もうそこは興奮のせいか、滝の様に止めどなく愛液が流れている。
「元木、本当に後悔しないな?」
「後悔する理由が無いよ。あ、でも…」
「なんだ?」
「名字じゃなくて名前で呼んで欲しいな…」
後悔しないかと再度確認したところ、そう俺にお願いしてきた。
でも…幹男ってどう頑張っても男の名前にしか思えないんだよな…
名前を呼びながらだと正真正銘男とセックスしてるみたいで嫌なんだよなぁ…
などと少しだけ戻ってきた理性でいろいろと考えていたのが伝わったのか、元木が俺に提案してきた。
「じゃあ、せめてミキって呼んで…あぁっ!」
「ぅあっ…ミキっ、いきなり…!!」
ミキと呼んでと言ったと同時に俺のモノの先端を腰を浮かして膣内に挿し込んだ。
不意討ちな事もあり、まだ先端しか入ってないのに膣のもたらす刺激にもう射精しそうになった。
何とか堪えて少しずつ入れていったら、少し進んだところで抵抗を感じた。
おそらくもとk…じゃなくてミキの処女膜だろう。
ミキの顔を見ると綺麗な笑顔で頷いてきたので、一息ついたあとにミキの腰を抱き寄せて一気に膜を突き破った。
「うああんっ!!」
「だ、大丈夫か!?痛かったか!?」
突き破ってモノを根元まで入れたときにミキが叫んだ。
結合部からは初めての証、赤い液体が愛液に混じって垂れていた。
初めては痛いと聞くし、心配になり大丈夫か確認してみたが…
「ううん、むしろすっごく気持ちいい!!」
「そ、そうか…」
蕩けた笑顔を向けてこう言ったので安心した。
「だから流二…動いていいよ。激しく動いて、中にいっぱい射精して、ボクのオマンコを流二のオチンポ専用にしてぇ♪」
その淫猥な言葉と顔で俺の理性はまた消え去った。
「うあっ、ああっ、いいっ、りゅ、りゅーじぃ♪」
俺はミキの望み通り激しく、膣内を貪るように腰を動かし始めた。
さっきまで童貞だったのでテクニックなんて全くなくただ単に前後運動してるだけだが、どうやらミキは感じてくれているらしい。
時折俺の名前をよびつつも、口を開けっぱなしで喘いでいる。
そんな俺も、腰を動かしてないとすぐに射精しそうなぐらい気持ちいい。
さっき口に射精して無かったらもうとっくに果てていただろう。
ミキは元男といっても今は誰がどう見ても魔物だ。
魔物の、男を快楽に溺れさせる極上の膣に童貞だった俺がそう長く堪えられるとは思えなかった。
「ひぃあ!んぁああぁあっ!りゅーじぃ…りゅーじいぃぃぃ♪」
「なっ!?うああああ!」
もうイキそうなのか、突然ミキの膣がギュッと俺のモノを搾るような動きをした。
その動きに俺のモノはとうとう限界を迎えた。
「ひゃぁぁぁあっ、あっ、っ〜〜〜〜♪」
ドクッ、ドクッ、と音が聞こえそうなほど激しくミキのナカに射精した。
2回目なのに物凄い量だ。口に射精した時よりも多いかもしれない。
ミキも身体を大きく反らしながらビクビクッと痙攣させている。どうやらイったようだ。
恍惚としながらもどこか幸せそうな表情をしている。
「はぁっ…はぁっ…」
「はぁ…あぁ、しゅごい…りゅーじのせーえきで子宮が満たされてりゅぅ…♪」
「はぁっ……そうか…」
ようやく射精が止まったところでミキも絶頂が止まったらしい。
嬉しそうに自分の下腹部……いや、子宮を撫でている。
「あれぇ?りゅーじのオチンポ硬いままだぁ♪」
「…誰の…せいだと……!」
ミキの言う通り、あれだけ射精したのに俺のモノは媚薬の効果もありミキのナカでガチガチに勃ったままである。
それを指摘されたので少し恥ずかしい。
「じゃあ…今度は〜…」
ミキが繋がったままのモノを抜いて体勢を変え始めた。
仰向けになっていた身体を半回転させて顔をマットに埋める様にうつぶせになり、膝を曲げ丸みを帯びたお尻を俺の方に向けてつき出してきて…
「バックでぇ…流二のガチガチオチンポで獣の様にボクを犯してぇ♪」
そう言ったミキの秘所から白濁液がとろっと流れ出す。
「ああっダメ!漏れちゃう!りゅーじぃ、早くそのオチンポでオマンコに栓をして、漏れちゃった分までいっぱい注いでぇ!」
理性さん三たびさようなら。
「ひうぅ!ひゃあ!はげしっ、ふぁあ!!」
「はぁっ、はぁっ、ミキ!ミキィ!!」
俺は望み通りミキの腰を掴み獣のように腰を叩きつけている。
先程とはまた違う角度からの激しい攻めにミキは喘ぐことしかできない。
と、何かが左腕に絡みついてきた。
見てみると、先端がハートの様な形をして少し太いもの…つまりミキの尻尾がそこにはあった。
ぎゅうぎゅうと痛くない程度に腕を締め付けてくる。きっと無意識であろう。それだけ俺を離したくないのか。
あ、そうだ。
きゅっ
「あひゃあああああああ!!やめっ!しっぽはビンカンにゃのおおおおぉぉぉ!!」
「うおっ!?すげっ!」
絡みついていた尻尾の付け根を右手できゅっとつまんでみた。その瞬間ミキの身体がビクンッと跳ね上がり、膣内をより一層絞めてきた。
このまま尻尾に沿って擦ってみたり、時折指先に力を入れてみたりした。そのたびにミキは大きな反応をする。
同じように揺らめいている翼の付け根も触ってみた。すべすべというか、ふにふにというか、とにかく不思議な感触だった。
「ひゃあああああ!!りゅーじいぃぃ、イっちゃううぅぅぅ!!」
快感によって力が入らないのかだんだんとミキの腰が下がってきたので、腰を持ち上げ俺のモノを抉り入れる。
そのうちだんだんと高まっていき……
「あああああっ!らめぇぇぇえ!イくうううううううう!」
「ぐっ!お、俺も、うああああああ!」
プシャーーーーーーー……
ビュクン!ビュッ、ビュルッ……
ミキが潮を吹きながらイったのと同じく、三度目だというのに全く量の衰えない精子をミキのナカに吐きだした。
「ああっ…ボクのナカがりゅーじで溢れてるぅ♪」
「ふうっ……ふうっ……」
「でもぉ…もっとぉ♪もっとりゅーじのせーしちょーだい♪」
「くうっ…ならまだまだいっぱいだしてやるよ!」
「あんっ♪おっぱいもっと優しくさわってよぉ♪」
そのまま互いにまた腰を動かし始めた…………
====================
「あはっ♪流二の精液で全身べとべとだぁ♪」
「……………はぁぁぁぁぁぁ…」
何度ヤったか忘れたけど、出るものを出し切ってようやく落ち着いて理性が完全に戻った俺は溜め息が止まらなかった。
横を見ると、全身に俺のモノから出た白いものが付着しているミキの姿があった。心なしか胸が大きくなった気がする。推定ギリギリCカップ。
そんなミキはものすごく幸せそうな顔をしている。
「ははっ♪今日はバレンタインデーのはずなのにこれじゃあホワイトデーだあ♪」
「……何を言ってるんだ。いいからこのタオルで身体を拭いて精液落とせ」
「え〜〜!?嫌だよ〜!!折角流二の匂いがするのに〜」
「…こっちは平和な高校生活が掛っているので出来れば言う事を聞いて下さい」
そう、すっかり忘れていたけどここは高校にある倉庫の中だ。
この高校は全生徒の5割ちょっとが魔物だ。俺の精の匂いに気付く奴もいるかもしれない。そうなるとかなりマズイ。
なぜなら、この高校では敷地内での性的行為は禁止されている。もし破ったら生徒会長のエンジェルから死ぬほどキツい罰を与えられるらしいのだ。
前にどこぞのサキュバスが彼氏と学校でセックスしようとしたところを見つかり連行され、次の日に見たときそのサキュバスはげっそりとやつれていたのだ。ちなみに何をされたのかは言おうとしなかった。
もう手遅れかもしれないが、そんな罰は受けたくないので全力でミキにお願いをしている。
すると、ミキが何かを思い出したかのようにハッとして俺の方を向いて口を動かした。
「ん〜〜………じゃあ、聞かせてよ…」
「へ?何をだ?」
「流二が、ボクの事を好きかどうか」
…そういえば言ってなかった気がする。
「あのなあ……いくら媚薬が効いていても、俺が好きでも無い奴を抱くと思うのか?」
「ううん……………じゃあ…!!」
順序が逆な気もするが…まあ仕方が無い。
「おう、ミキ、俺はお前が大好きだ!!」
俺は、自分の素直な気持ちをミキに伝えた。
こんな可愛いやつ、しかもアルプになってまで俺と恋人になりたいと言った奴を好きでない訳がないだろ?
「!!…りゅうぅぅじぃぃぃぃ!!!!」
「おわんぶ!!!?」
大好きと伝えたら、満面の笑みを浮かべたミキに勢いよくキスされた。
もちろんファーストキスだ。
「はむっ…んんっ……ちゅうう〜〜……」
しかもただ唇をあわせるだけのキスではなく、口の中に舌を入れて絡めてくる貪るようなキスだった。
ミキの唾液が口内に入ってくるが、何故かほんのり甘く感じた。
まあ出し切ったので勃つことはないが、蕩けてしまうぐらい気持ちいい。
気持ちいいのだが……
「んん〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
いきなりだったこともあり上手く息が出来ず、長くキスしているうちに苦しくなってきた。
「んんっ?………ん〜何……ってうわわ!!ごめん!」
「げほんっ!!ごほっ!!……ふう…きにするな……」
解放されてやっと一息つくことができた。
「つーかなんでいきなりキスしてきたんだよ!?」
「流二もボクの事を好きって言ってくれたから嬉しくて……それにセックスしてるときしてくれなかったし…」
「あーそう言えば……」
一回もしなかったなあ……何故かはわかっているけど。
例え理性が飛んでいても、最初に俺のモノを咥え、射精までした口にキスはしたくなかった。
まあさっきのキスからして問題は無かったと思われる。実にもったいない。
「まぁ………いいや………うん…」
よくよく考えたら初セックス→告白→初キスって順番はおかしいよね。もう過ぎてしまった事だし仕方ないけど。
「で、いつになったらそれ拭いてくれるわけ?」
「え?このまま服着て帰るつもりだけど?」
「ちょっ!?」
「あ〜大丈夫だよ。気付かれないようにしてあるから。実際誰もここに来てないでしょ?」
「まあ……なら……」
ミキが何かやっていたらしい。だから誰も来なかったのか。納得。
「そんじゃ帰るか…もう外も真っ暗だしな」
「あ、ちょっとまって」
ミキがやっと服を着て見た目だけは普通になったので一緒に帰ろうとしたところ、俺を呼びとめて何やら鞄の中を漁り始めた。
「ん〜と……あ、あった………はいっこれ!!」
「ん?なんだその箱?」
そしてお目当ての物を見つけたらしく、綺麗な包み紙で包装された箱を俺に渡してきた。
「これ?これはバレンタインのチョコだよ!今度は何も混ざって無い純粋のチョコ、大好きな流二にあげる!!」
「マジで!?サンキュー!!早速食べてみていいか!?」
「うん!」
「そんじゃあ……パクッ!……ん!さっきよりもウマい!!てか今まで食べた事のあるチョコの中で一番ウマい!!」
「えへへっ!ありがと〜!!」
こうして俺はバレンタインデーの日に衝撃的な経験をして、本命のチョコを手に入れ、彼女ができたのであった。
今日は2月14日、世間一般にはバレンタインデーと呼ばれる日。
この日は、喧嘩していた親友が、かけがえのない大好きな彼女に変わった衝撃的で、そして思い出深い大切な日。
俺達はこの先も仲良く過ごしていくだろう。
たまには喧嘩もするかもしれない。でもすぐ仲直り出来るだろう。
だって、お互いに大好きな相手なんだから……
「あ、そうだ流二」
「ん?なんだミキ?」
「今年はホワイトデー期待してるからね♪」
「……何でホワイトデーの話をしているのに顔を赤らめているうえにそんな淫猥な顔を俺に向けているんだ?」
「もう…わかってるくせに!!」
「いや!?わかんないから!!なんとなく想像は出来るけどってまさか!?」
「じゃあきちんと言うね♪今度は今日以上に流二の白いものでボクの全身を余すことなく真っ白に染め上げてね♪」
「そのまさかかよ!!全身とか無理だろ!!つーか俺死ぬんじゃね!?」
「馬鹿だなぁ…魔物とシて死ぬわけないじゃん!それにインキュバスになっちゃえばなんの問題も無いよ!!」
「インキュバスになればって簡単に言ってくれるけどさあ!!」
「大丈夫!今日ボクとシた事によってもう流二はインキュバスに片足じゃあ済まない位は突っ込んでるからすぐなるよ!!」
「そうかい!!てか何で全身真っ白にして欲しいんだよ!?」
「え〜っと、ホワイトデーだから流二の白い精液で……」
「言うと思ったよ!!」
…………本当に衝撃的なバレンタインデーだった。
今日は2月14日。
いわゆるバレンタインデーである。
この日は本来ならどこぞの宗教の記念日だったりするらしいが、ここは日本だ。
つまり、女性が好きな男性(一部例外あり)にチョコレートを贈るという甘いイベントが行われる日である。
なので、今日は全国のさほど普段から特にモテていない男性達がチョコレートを女性から貰えないかと淡い期待を抱きながら一日中ソワソワし続ける日でもある。
勿論、俺―四阿 流二(あづま りゅうじ)―も例外では無い。
今年こそはチョコを女子から貰えたら…と朝から変に気合いが入っているのである。
先程の言葉からわかると思うが、残念ながら俺は今までの人生の中で女性からチョコをもらった事は無いのである。
いや、この表現では少し違っているか。
一応バレンタインデーにチョコを貰った事そのものはある。
ただ、くれた相手が母親やクラスの男子全員にチョコを配っている女子からだ。
この場合、俺は貰った数に入れる気は一切無い。ある意味義理チョコ以下であるからだ。
それ以外にももう一例あるが、あまり触れたくないので一先ず置いておく。
とにかく、俺は今年こそ義理でもいいので血縁関係の無い女子から俺個人宛にチョコを貰いたいのだ。
「よし、準備も出来たし早速学校に行くか!」
その想いを胸に、俺は高校に向かって家を出た。
====================
パカッ
「………」
高校に着いて下駄箱を開けたら早速チョコが入って……………無かった。
想定内ではあったが、1つ位入ってないかなぁと期待していた分少しがっかりした。
「流二、おはよーっす!」
「…よう有吉」
がっかりしていたところに同じクラスの友人の有吉がやってきた。
「なんだ?やけに元気が無いというか、がっかりしてないか?」
「リア充にはわかるまい…」
「へ?…ああ、そういえば今日はバレンタインデーか……まぁ今日はまだ始まったばかりだ!」
「なんだその余裕のある言い方は!?」
今の俺の気持ちを共感してほしかったが、残念ながらこいつは最近幼馴染みとともにリア充の仲間入りを果たしたので無理である。
しかも幼馴染みというのがこれまた同じクラスの女子、というか魔物だ。
いつも人前でイチャつきやがるので正直妬ましい。
「まぁ、そうがっかりすんな!まだ貰える可能性はあるって!」
「うるせー!!変に励ますな!今年は彼女から本命チョコ貰える余裕か!?」
「別にそんなんじゃ無いけど…そういえば毎年一応幼馴染みとして貰ってたけど、今年は恋人として貰えるのかー、なんか新鮮だな…」
「有吉もげちまえ!!」
くそ〜、これだからリア充は…
あれ?そういえば…
「今日は彼女いないのか?おまえら最近ずっと一緒に登校してたじゃんか。もしや喧嘩したとか!?」
いつも有吉と一緒に登校している筈の彼女の姿が無かったので気になって聞いてみた。
「ああ…どうやら今日は朝早くから委員会の用事があるらしくて先に登校してった」
「なんだ、喧嘩したんじゃないのか」
他人のカップルの喧嘩を望むなんてひどいとは思うが、モテない男達ならこの気持ちをきっとわかってくれるとも思う。
「喧嘩はこの前したけど、喧嘩してもすぐ仲直りをするから別れる事は無いと言い切れるぞ!」
仲直りって、相手は魔物だしアレかな…
なら羨ましいぞ…
「くそっ!ノロケやがって!!リア充爆発しろ!!」
「ははは…そろそろ教室いこうぜ。もしかしたらチョコあるかもよ?」
「それもそうだな…よし、行くか!!」
こんな感じにくだらない話しを有吉としながら俺は教室に向かった。
ガタンッ、ガサゴソ…
「………」
教室に着いて早速自分の机の中を漁ってみたら、なんとチョコが入って……………………無かった。
いや、わかっていたことだ。
今までが無かったのに今年になっていきなりある筈がない。
貰えるように行動していたわけでもないからあるほうが驚きである。
それでも、なんか虚しくなる。
ほんの少しだけでも期待していたからか、哀しさが襲ってくる。
「はぁ……」
おもわず溜め息をついてしまった、そんな時である。
「クラスのモテない男子諸君、よく聞きなさい!このしょーこさまが皆のぶんのチョコを作ってあげたわよ!別にホワイトデーの御返しなんていらないから遠慮せずに受け取りなさい!」
教室の前方、教卓の上に立って声高らかに皆にチョコを作ってきたから配る宣言をした女子がいた。
女子と言っても同じクラスのバフォメットの八木だが。
その声をよく聞いたクラスのモテない男子諸君のほとんどは八木からチョコを受け取りに行った。
俺も貰ったカウントには入れないがチョコは欲しい。
しかし俺は受け取りに行かない。配っている相手が相手だからだ。
「あれ?四阿くんは確か彼女いなかったよね?わたしのチョコいらないの?」
八木が受け取りに来ない俺に気付いて話しかけてきた。
「…去年お前のチョコで散々な目にあったからな」
「ニャハハハハ……ごめんごめん!」
そう、八木のせいで俺は散々な目にあったのだ。
八木とは一年生の時、つまり去年も同じクラスだった。そして去年も同じようにチョコを配っていたので俺は貰った。
だがそのチョコの一部は、食べた者を重度のロリコンにするものであり、俺はその一部に当たった。
そのせいで俺は危うく犯罪者の仲間入りするところだったのだ。
「ホントにごめんね〜、まさかあそこまで効果があるとは思わなかったんだ…」
「危ない薬をチョコに混ぜるなよ!犯罪一歩手前じゃねえか!!」
「だからごめんって〜!お詫びにチョコ2つあげるから!!」
「いらん!!危険な物を2倍にして受け取るわけないだろ!?」
「大丈夫、今年は変なもの混ぜてないから!」
「本当か〜?」
そうは言うものの、いまいち信用できない。
「本当よ。またあの手の薬を入れたものを配ったら今度こそお母様に殺されると思うし…」ガタガタ…
そう言った八木の顔が段々と青ざめてきた。
そのうえガタガタと震え始めて涙目になってきた。それだけ母親が怖いのだろう。
そんな様子を見て、本当に混ぜていないと判断した俺は…
「…よしわかった。チョコ2つくれ!」
「えっ!?……信じてくれたんだね!はいっ!わたし手作りのチョコだよ♪」
チョコを貰う事にした。
信じてもらえたのが嬉しいのか、とびっきりの笑顔で渡してきた。
でも別に八木にキュンとはしない。残念ながらロリは対象外だ。
2つ貰ったので早速1つ食べてみた。
「もぐもぐ…ん、うまい!」
「あったりまえよ!」
思ったよりうまかった。
「ところで四阿くん、今年も例のあの子チョコ持ってくると思う?」
「ブハッ!!」
「ちょっと!汚いじゃない!!」
チョコを食べてたら、八木がいきなり人のトラウマにダイレクトアタックをかましてきたので思わず噴き出してしまった。
「ゲホッ…わりぃ、でもいきなりあいつの話をするなよ!」
「あ、やっぱり『他校の男の子からチョコを皆の前で渡された話』をされるの嫌だった?」
「当たり前だ!!」
勿論俺はノーマルだ。そっちの趣味はない。
なのに大勢の人や魔物が居る場所で男子からチョコを贈られるという恥ずかしい経験をしたわけだ。
その恥ずかしさはトラウマになるレベルだった。
しかもそこから大体半年ぐらい皆からそのネタでいじられたのだ。
だから、なるべく話題にあげたくはない。
いや、それだけじゃない。
実は、その他校の男子は俺の親友だったやつだ。
過去形なのは、去年の恥ずかしい経験が原因で言うべきではない事を言ってしまったからだ。
====================
「へ?男同士でも友チョコ?」
「うん、アリだと思わない?」
話は4年前、中1のバレンタインデーの時まで遡る。
俺の小学生からの親友の元木 幹男(もとき みきお)がいきなり自分達で女子みたいに友チョコを渡しあわないかと言ってきた。
「えぇ…無いと思う。なんか惨めに思えてくる…」
「そうかなぁ?」
男同士でチョコを渡しあっても惨めなだけだと思い否定したが、元木は納得していなさそうだった。
「でも、もう持って来ちゃったからあげるよ!はいっ!」
「はっ!?マジか!?」
どうやらチョコを持ってきてたからこんな話を持ち掛けてきたらしい。
笑顔で普通にチョコを俺に渡してきた。
「まあ普通に僕からチョコを奢ってもらったと考えればいいだろ?」
「ん…まあそれなら…代わりにホワイトデーになんかくれとか言わないよな?」
「さすがに言わないよ!」
男からバレンタインのチョコを貰ったとなるといやだが、友達から普通にチョコを奢ってもらっただけなら確かに問題は無い。
……実際は問題がある気はするけど、元木は一回決めたことは変えようとしないとこがあるので素直に受け取る事にした。
まあ今年だけだろう、この時はそう思っていた。
だが、これが全ての始まりであった。
その後も…
「あっ、流二!」
「ん?どうした?」
「今年も友チョコあげるよ!」
「マ、マジでか!?」
「うん!はいっ!」
「…去年より豪華になってないか?」
「さぁ?去年はどんなチョコあげたっけ?」
「去年は普通の板チョコだった。何で今年はトリュフなんだ!?」
「まあ偶然安売りしていた物だよ。友情の証と思って受け取ってちょ!!」
「…おう、貰っとくよ…」
これは中2のバレンタインデーの時のことだ。
まさか2年連続で男からチョコを貰うとは思ってなかった。
清々しい笑顔で友情の証なんて言いながら去年より豪華になったチョコを渡してきたので、つい受け取ってしまった。
「はいっ流二!今年もバレンタインのチョコをあげる!!」
「またか…予想は出来てたけどな…しかも今年は手作りかよ…」
「いやぁ…『女子からチョコ貰った〜』って見栄を張ろうとして手作りチョコ自分で作った余りだよ…」
「……それ、自分で言って虚しくないか?」
「まあね…まあ高校違っても変わらない友情の証だと思って受け取ってよ!」
「…別に無くても友情を変えるつもりは無いけど、一応貰っとくよ…」
これは中3のバレンタインデーの時のことだ。
二度あることは三度あるという諺があるし、もしかしたら今年もチョコを渡してくるかと思っていたら、やっぱり渡してきた。
しかも手作りときた。
更に、爽やかな笑顔でまた友情の証と言って渡してきたので結局受け取った。
それに、流石に高校違うし、今年が最後だろうと思っていた。
だが、高1の時にもチョコを渡してきたのだ。
しかもわざわざ俺の通う高校に来てだ。
「はいっ流二!!これ今年の友情の証のチョコだよ!!」
「ちょ!?元木!?」
チョコを例の八木が配ったロリコン化する物しか貰えず落ち込みながら帰ろうとしたら、学校の正門の前に元木がいた。
そして、沢山の人がいるのにも関わらず、大きな声でチョコを渡してきたのだ。
下校しようとしていた人達の目線が全て俺達のほうに向いている。
中には指さしてひそひそ喋っている人やクスクスと笑っている人(全て魔物含む)もいた。
「っ!?元木、こっちこい!!」
「えっ!?ちょっと待ってよ流二!!痛いよ!!」
こんな恥ずかしい思いをずっとしていたくなかったので、俺は元木の腕を掴んで人気の少ない倉庫まで引っ張っていった。
「な、なに流二?こんな場所まで連れてきて…」
「おい元木…いったいどういうつもりだ?」
「えっ!?ど、どういうつもりって…」
「なんでわざわざここに来てあんな目立つ場所でチョコを渡してきたんだ!!悪い意味で注目の的になっちまったじゃねーか!!」
誰もいない倉庫の中で俺は元木に対して怒っていた。
「えっと…ご、ごめん…」
「ごめんなんて言われても許す気はねーよ!!」
元木のせいで晒し者になってしまったのだ。
そのため俺は今までの人生の中で一番怒っていた。
「じ、じゃあどうしたら許してくれる?」
「はぁ!?何をしても許す気はねーよ!!もうお前とは絶交だ!!」
一番怒っていたが故に、ついこう言ってしまったのだ。
「!?!?…………じ、冗談、だよね?」
「本気だ!!さっさと消えろ!もう二度と俺に話しかけてくるな!!」
そう怒鳴って俺は元木が持ってきたチョコを奪い取り…
「こんなものっ!!」
ぐしゃっ!!
チョコを…友情の証を…おもいっきり地面に叩きつけて、踏み潰した。
「あっ………そんな………」
俺のそんな行動を見た元木は悲しそうな顔をしながら、愕然としていた。
「っ!!……じゃあな…」
元木のそんな表情を見て少し冷静になった俺は、その場に居続けることが出来ず元木を放置して家に急ぎ足で帰った。
「はぁ…」
その日の夜、絶交とか言ってしまった事を後悔していた。
流石に怒り過ぎてしまった。
確かに恥ずかしい思いをしたが、元木は悪気があってやった訳ではない。それはわかっていた筈なのにだ。
だから今からでも電話して謝ろうと思った。
だが、あそこまで言ってしまったのだ。謝ろうにもなかなか電話に手を伸ばせない。
そこで、自分がさっき踏み潰した物はなんだと思いつつも、とりあえず気持ちを落ち着かせるために八木から貰ったチョコを食べる事にした。
これがいけなかった。
何度も言っているように、このチョコは食べた者を強制的に重度のロリコンにする劇薬だ。
食べた後の1週間、自分ではあまり覚えていないが、気がつけば家族の俺を見る目線がものすごく冷たかった事と、八木本人が2週間謹慎受けたあとに全力で謝りにきた事から大惨事だったのだろう。
幸いにも犯罪行為はしていないらしい。
だが同時に、不幸にも元木に謝るタイミングを見失ってしまった。
そのまま一回も会っていないどころか連絡すらとること無く今日に至る。
====================
キーン、コーン、カーン、コーン…
「はぁ〜……」
放課後になってしまった。
結局今年も(全員サービスはカウントに入れないので)チョコを貰えなかった。
ため息を吐きつつ帰り支度をしていた、その時である。
「ねぇ四阿くん、あの正門の所にいるのって去年のあの子じゃない?」
「へっ!?」
窓から外を見ていた八木に呼び止められた。
しかも八木曰く正門に元木らしき人物が居るとのこと。
流石に無いと思うが、もしかしたらと思い窓から正門のほうを見ると…
「…うそぉ!?」
確かに人がいた。
しかも、『たぶん』元木だった。
…元木なのか?なんか雰囲気が違うような…でもあの顔は間違いなく元木だ。
去年あそこまでやったのにまた来たのは驚いたが…
「…俺ちょっと隠れてくるわ!!」
「へっ!?」
本来ならすぐにでも謝るべきであるのだろうが、去年あそこまでやってしまったからこそ俺は顔を会わせづらかった。
だから俺は隠れて時間を潰して元木に帰ってもらう事にした。
我ながら最低の選択だとは思うが、それ以外どうすればいいかわからなかった。
そして俺は、去年元木を連れ込んで絶交宣言をしてしまった倉庫に隠れるため急いで教室をでた。
「あ、ちょっと……もう…たぶん隠れても無駄だと思うのに…」
「『魔物』の、好きな男を探すセンサーみたいなものを嘗めちゃダメだよ…」
「あっ、早速行動し始めた…これはすぐ見つけられるだろうな〜…」
「なんか面白そうだけど、空気読んで見に行くのはやめとこ……」
「あっそうだ!何をしたのか明日詳しく四阿くんに聞いてみよ♪」
八木が結構重要な事を言っていたが、その言葉は俺に届かなかった。
====================
「はぁ…元木のやつ何で来たんだよ…」
倉庫に着いた俺は、何故今年も元木が学校に来たのかを考えていた。
まだ俺が怒っていると思っているなら、今日になるまでに(本当は何も悪くないけど)元木のほうから謝りにきているはずだ。
だが実際、今日まで元木からも一切接触は無かった。だから本当に二度と俺に会いに来ないものだと思っていたのだ。
なのに来たのだ。何のためにか?
俺に対しての嫌がらせとかは、元木の性格からしてするとは思えない。
去年あった事を忘れている…とも思えない。あんな顔をしていたくらいだ。忘れている訳がない。
結局よくわからない。
「まあいいや…とりあえず2時間位ここに居れば諦めて帰るかな…」
あれこれと考えつつもとりあえず時間を潰そうとした、その時である。
ガラガラガラ…
「流二…ここにいるんでしょ?」
「!?」
誰かが倉庫の中に入ってきて俺を呼んだ。
少し高い気がするが、その声は元木の声だった。
倉庫に入ってきた元木は、そのまま隠れている俺に向かって話し始めた。
「ここに居るのはわかってる…だから隠れてないで出てきて…」
「……」
「それとも、やっぱりボクの顔は見たくないの?やっぱりまだ怒ってる?」
「……」
「そうだよね…流二の事を考えずに恥ずかしい思いをさせちゃったもんね…ごめんね…」
「……」
「出てこないって事は…やっぱりボクの事なんか大嫌いだよね…」
「…そんな事ない!!」
「!?」
元木が今にも泣きそうな声で謝ってきた。
そんな元木の様子を感じて、俺は黙って隠れ続ける事ができなかった。
「元木は悪気が無かったのに、俺が勝手にキレただけだ。だから元木は何にも悪くない!元木を嫌いになるもんか!」
「流二…」
「俺の方こそ絶交とか言っちまってごめん!ずっと謝りたかったんだけど、なんかタイミングがわからなくって…」
「……」
「去年勝手にキレて絶交とか言っておいてなんだけど、俺とまた友達関係でいてほしい…ダメか?」
「……ちょっとまって…」
そして俺は、ずっと言えなかった謝罪と、また友達になりたいということを元木に伝えた。
その俺の言葉を聞いた元木は、手に持っていた鞄の中の何かを探し始めた。
「あった…とりあえずこれを受け取って食べてよ…」
そう言って俺に差し出してきたのは…手作りのチョコだった。
チョコは友情の証…つまり、俺とまた友達でいてくれるという事だろう。
「ああ、ありがとう。早速食べるよ!」
元木から貰ったチョコを早速食べてみた。
少し変わった味がしたけど旨かった。
「旨いな…でもこれ何の味だ?チョコとは別の味がしたけど…」
「…もうそろそろわかるよ」
「えっ?…うっ!?」
元木が答えた瞬間、俺の体に衝撃が走った。
何もしていないのに鼓動が物凄く速くなっている。
それだけじゃない。何故か下半身、特に股間辺りに熱が集まってるようだ。
「はぁ…なんだよ、これ…」
「実はね…さっきのチョコにはとっても強力な媚薬を混ぜておいたんだ」
「えっ!?」
どうりで股間辺りに熱が集まるわけだ。
何もしていないのに勃起してくるのがわかる。
でも何で媚薬なんか混ぜたのだろうか?
「それと、さっき流二はまた友達関係でいてほしいって言ったけど、ボクは嫌だよ」
「なっ!?じ、じゃあ…」
じゃあ何でチョコを渡したんだと聞こうとしたら、衝撃的な一言を発した。
「ボクはね…流二の恋人になりたいんだ!!」
「はぁ!!!?」
何を言っているんだコイツは!?
男同士で恋人になりたい!?そんな馬鹿な!?
「去年流二に拒絶された時、相当ショックだった…」
「悲しかった…友情が終わったと思ったから…」
「でもそれだけじゃない…それ以上に、苦しかった…」
「それで…その日の夜、流二の事を考えているうちに、自分の本当の気持ちに気付いたんだ…」
「ボクは流二とずっと友達で居たかったんじゃない…流二の事が好きなんだって…」
「今までバレンタインデーの度に流二にチョコをあげていたのも、本当は流二が好きだったからって気付いたんだ…」
「男同士なのに好きだなんておかしいよね…でもボクは流二に恋をした…」
「それで、学校のカウンセラーの先生にこの事を相談しに行ったんだ…そしたらこの悩みはあっという間に解決した…」
「でも、流二にまた拒絶されるのが怖くて…今まで会いに行けなかったんだ…」
「だからバレンタインデーの今日…去年流二に拒絶されたのと同じ日に、流二に会いに来た…嫌われたままなら諦めて…そうじゃなければチョコを渡して抱いてもらおうと…」
「マテやコラ!!」
あまりの衝撃で全く声を出すことができず、黙って元木の話を聞いていたが、抱いてなんて事を言ってきたので頑張って叫んで止めた。
「何?」
「何?じゃねーよ!!男同士なのにおかしいとか思っといて、なんで抱いてとか言ってんだよ!?」
どうしてそんな流れになったのか意味不明である。
が、元木がこんな考えに至ったのは、話の流れからするとおそらくカウンセラーの先生が原因だろう。
まさかこんな特殊な性癖を薦めたのか?
「だから解決したんだって!……ってこのままじゃわからないか…」
「へっ!?…ってなにをする気だ!!」
元木が俺の手を掴んで自分の股間に持って行こうとした。
勿論男の股間なんぞ触りたくないので必死に抵抗した。
元木の力は強く無かったのですぐに振りほどけるはずだった。
だが、何故か振りほどく事ができなかった。
それほど強く握られているのか、またはこの媚薬のせいで俺の力が入らないせいなのかはわからない。
ただ言えるのは、このまま股間に触れてしまう運命は避けられそうもないと言うことだ。
「いいから、触ってみて…」
「わっ、うわぁ!?」
一気に股間に引き寄せられ、触れて…!!
ペタッ
ん?何か変だぞ?
「ん…こっちも…」
そう言いながら元木は空いている手で俺のもう一方の手を掴んで、今度は胸の方へ持っていき…
ふにっ
「あっ…」
ん?やっぱり変だぞ?
普通は効果音逆じゃね?
元木の股間にあるはずのモノが無く、胸に無いはずの柔らかさがあった。
あと触ったとき元木がどこかエロい喘ぎ声をあげた。
どーゆーこと?
「えーっと、なにこれ?」
「まだわからない?じゃあ上から脱いでくね…」
元木が掴んでいた手を放し、その場で着ていた服を脱ぎ始めた。
服の下に現れたのは…
「…うっそぉ!?」
そこには、男には無いはずの柔らかな丘と、頂点に桜色の突起が…つまりおっぱいが存在していた。推定Bカップ。
「下も脱ぐね…」
「……!!??」
今度はズボンとパンツを脱いだ。
触ったときに感じた通り、そこにあるはずの肉棒と玉袋が存在せず、代わりに一本の筋があった。
ぴったりと閉じている筋は心なしか少し湿り気を帯びていた。
これらの事からまとめると…
「女になったのか!?」
「うん、半分正解」
半分とはどういう事かと聞こうとしたその時、元木の身体が変化した。
つい先程まで無かった蝙蝠みたいな翼、鞭のような尻尾、そして少しねじ曲がった角が現れたのだ。
「元木…その姿は…」
今の元木の姿は、魔物が大勢住んでいるこの街でよく見たことがあるものだった。
そう、元木はサキュバスに……より正確にはアルプになっていた。
「どうしてアルプに…!?」
「大体半年前の事なんだけど、さっきカウンセラーの先生に相談したって言ったよね?その時に貰った薬を飲んでから寝たら、起きた時にアルプになってたんだ」
「薬を、飲んだら…」
「うん。その先生はサキュバスなんだけど、ボクのようにホモじゃ無いのに同性を好きになった男の子や、サキュバスになりたい女の子に先生の魔力で作った薬を渡して、その希望を叶えてあげているんだってさ!」
「へぇ…」
嬉しそうに元木は語った。
俺はただ呆然と聞いていた。
「でね、魔物化したばっかりだと魔力が少ないからすぐ精を補給しないといけないんだけど…流石に他の男の人から貰う気はしなかった」
「それで、どうしたんだ?」
「一応独り身の魔物用の精補給剤みたいなのを飲んでたんだけど…それだと味気無くって何か嫌なんだ…」
「…で?」
元木は話しながら都合良く倉庫の中に置かれていた少しボロいマットの上に腰掛けて…
「ねえ流二、ボクを抱いて!半年も我慢してたんだ、もう我慢できないよ!!」
閉じていた足を開き、自分の股にある筋に右手の人差し指と中指を這わせ、俺に見せつけるようにゆっくりと開いた。
その中は綺麗なピンク色をしており、湿り気を帯びた肉壁がヒクヒクと動いていた。
また、左手は元木の左胸に持っていき、自分で軽く揉み始めた。
そんな童貞には衝撃が強すぎる元木の卑猥な行動を見ていた俺は、強力な媚薬の効き目もあり…
「はあっ…はあっ…はあっ…!!」
荒い息をあげながらおっぱいやその股の穴、女性の秘所を凝視していた。
「遠慮なんてしないでボクを好きにして…おっぱいを揉んだり舐めたりして!流二のオチンポでボクのオマンコをめちゃくちゃに犯して!!」
「…はあっ…!!……後悔…するなよ?」
上目遣いで淫猥な事を叫んでいる元木を見て、俺の理性はついにどこかへ飛んでいった。
元木をマットの上に押し倒し、小柄な胸に手を伸ばした。
「…おおっ!スゲー柔らかい!!」
「はぁんっ!りゅ、りゅーじぃ!」
元木の小柄ながらも柔らかく、それでいて弾力性のある胸を鷲掴みして揉みまくる。
俺の手の動きにあわせてその胸はムニュっと形を変えていく。
「すげぇ…乳首って本当に勃つんだな…不思議な感じ…」
「ああっ!い、いああっ!」
揉む前から少し勃っていた乳首が揉んでいるうちにピンっと張ってきたので触ってみた。
コリッとしていて、今まで感じたことの無い触感だった。
俺の手で胸を弄られて元木も感じているらしい。
さっきから手を動かす度に大きな喘ぎ声を出している。
「りゅ、りゅーじぃ…んっ…おっぱい揉むだけじゃなくてぇ…」
「なんだ、おっぱい舐めてほしいのか」
「そ、そうじゃなくtひゃああっ!」
元木が言いたい事は大体わかっているが敢えて他の事をしてやる。
俺は元木の右胸に吸い付き、乳輪に沿って円を描くように舌を這わせたり、乳首を舌先でつついてみた。
むしゃぶりつく度にどこか甘い香りがする。
左胸のほうは右手で、乳首を擦ったり摘んだりして刺激を与え続けた。
「いっ、いいけど、ちがっ、ぅあんっ!」
「チュポッ……そうは言ってもねぇ?」
不満があるそうだが、蕩けた顔をして上も下もよだれが止まらないので悦ばしいのだろう。
「ぅんっ、そっちがその気ならぁ、ボクだってぇ…!」
俺が攻めを弱くした隙にされるがままだった元木が急に動いて俺のズボンのベルトを掴み…
「……エイッ!」
「うおっ!?」
下着ごと一気にずり下ろしたので、俺の今までに無いほど硬く勃起しているモノが外気に晒された。
「うわぁ…思っていたより大きい……それにピクピクしてる…ボクで興奮してくれてるんだね♪」
興奮のせいか俺のモノはピクッと揺れて、先走りが溢れて糸をひいている。
そんな俺のモノを見てより淫乱な顔になった元木は…
「………はむっ!」
「ぅああっ!?」
間髪入れずに俺のモノを口にくわえ込んだ!
口内の粘膜がモノの先端に絡みついて刺激してくる。
何とか暴発は食い止めたがすぐにでも射精しそうだ。
「あむっ…れる…ちゅぶ……!」
我慢するなと言いたげに元木が攻め始めた。
柔らかい唇や舌でカリ首や鈴口を攻めたり、モノの裏筋を舐めあげてきたり、口内をすぼめて圧迫しながら亀頭全体に舌を這わせてくる。
その男を感じさせるテクニックは本当に初めて、しかも元男のものとは思えなかった。
「んふぅ…じゅううぅぅぅぅ………」
「うおっ!?それやばっ…!?」
元木の目が笑った気がしたと思ったら、モノをくわえたまま吸ってきた。
今まで受けた事無い感覚に童貞の俺が堪えられるはずもなく…
「うっ、うあああああああああ…」
「んふっ!?……んん♪……んく…」
口の中にくわえ込まれたまま勢いよく射精してしまった。
いきなりどくどくと噴出する精液に元木は最初驚いた顔をしていたが、待ち望んでいた俺の精液と認識したためか恍惚とした顔をしてゆっくりと美味しそうに飲み始めた。
ただ、自慰なんかとは比べものにならないほどの快楽や媚薬のためか精液の出る量が半端じゃない。
その為、口に入りきらなかった精液が溢れ、白い涎が垂れ、元木の胸やお腹にかかっている。
「あぁ…はぁ…はぁ…」
「チュポン…んく…ん、勿体ない…」
射精がやっと止まり、元木は俺のモノを口から外した。
口の中の精液を飲み干した後、口から溢れた精液を指で掬い丹念に舐めとっている。
「ちゅる…こくんっ!…んー美味しかったぁ〜……あれぇ?もう硬くなってる〜♪」
そのヤらしい元木の行動に俺のモノは再び硬く膨らんでいた。
それを見た元木はニッコリとして俺のモノを優しく握ってきて…
「ねぇ流二…今度こそボクのオマンコにオチンポを入れて…」
自分の秘所に誘導した。
もうそこは興奮のせいか、滝の様に止めどなく愛液が流れている。
「元木、本当に後悔しないな?」
「後悔する理由が無いよ。あ、でも…」
「なんだ?」
「名字じゃなくて名前で呼んで欲しいな…」
後悔しないかと再度確認したところ、そう俺にお願いしてきた。
でも…幹男ってどう頑張っても男の名前にしか思えないんだよな…
名前を呼びながらだと正真正銘男とセックスしてるみたいで嫌なんだよなぁ…
などと少しだけ戻ってきた理性でいろいろと考えていたのが伝わったのか、元木が俺に提案してきた。
「じゃあ、せめてミキって呼んで…あぁっ!」
「ぅあっ…ミキっ、いきなり…!!」
ミキと呼んでと言ったと同時に俺のモノの先端を腰を浮かして膣内に挿し込んだ。
不意討ちな事もあり、まだ先端しか入ってないのに膣のもたらす刺激にもう射精しそうになった。
何とか堪えて少しずつ入れていったら、少し進んだところで抵抗を感じた。
おそらくもとk…じゃなくてミキの処女膜だろう。
ミキの顔を見ると綺麗な笑顔で頷いてきたので、一息ついたあとにミキの腰を抱き寄せて一気に膜を突き破った。
「うああんっ!!」
「だ、大丈夫か!?痛かったか!?」
突き破ってモノを根元まで入れたときにミキが叫んだ。
結合部からは初めての証、赤い液体が愛液に混じって垂れていた。
初めては痛いと聞くし、心配になり大丈夫か確認してみたが…
「ううん、むしろすっごく気持ちいい!!」
「そ、そうか…」
蕩けた笑顔を向けてこう言ったので安心した。
「だから流二…動いていいよ。激しく動いて、中にいっぱい射精して、ボクのオマンコを流二のオチンポ専用にしてぇ♪」
その淫猥な言葉と顔で俺の理性はまた消え去った。
「うあっ、ああっ、いいっ、りゅ、りゅーじぃ♪」
俺はミキの望み通り激しく、膣内を貪るように腰を動かし始めた。
さっきまで童貞だったのでテクニックなんて全くなくただ単に前後運動してるだけだが、どうやらミキは感じてくれているらしい。
時折俺の名前をよびつつも、口を開けっぱなしで喘いでいる。
そんな俺も、腰を動かしてないとすぐに射精しそうなぐらい気持ちいい。
さっき口に射精して無かったらもうとっくに果てていただろう。
ミキは元男といっても今は誰がどう見ても魔物だ。
魔物の、男を快楽に溺れさせる極上の膣に童貞だった俺がそう長く堪えられるとは思えなかった。
「ひぃあ!んぁああぁあっ!りゅーじぃ…りゅーじいぃぃぃ♪」
「なっ!?うああああ!」
もうイキそうなのか、突然ミキの膣がギュッと俺のモノを搾るような動きをした。
その動きに俺のモノはとうとう限界を迎えた。
「ひゃぁぁぁあっ、あっ、っ〜〜〜〜♪」
ドクッ、ドクッ、と音が聞こえそうなほど激しくミキのナカに射精した。
2回目なのに物凄い量だ。口に射精した時よりも多いかもしれない。
ミキも身体を大きく反らしながらビクビクッと痙攣させている。どうやらイったようだ。
恍惚としながらもどこか幸せそうな表情をしている。
「はぁっ…はぁっ…」
「はぁ…あぁ、しゅごい…りゅーじのせーえきで子宮が満たされてりゅぅ…♪」
「はぁっ……そうか…」
ようやく射精が止まったところでミキも絶頂が止まったらしい。
嬉しそうに自分の下腹部……いや、子宮を撫でている。
「あれぇ?りゅーじのオチンポ硬いままだぁ♪」
「…誰の…せいだと……!」
ミキの言う通り、あれだけ射精したのに俺のモノは媚薬の効果もありミキのナカでガチガチに勃ったままである。
それを指摘されたので少し恥ずかしい。
「じゃあ…今度は〜…」
ミキが繋がったままのモノを抜いて体勢を変え始めた。
仰向けになっていた身体を半回転させて顔をマットに埋める様にうつぶせになり、膝を曲げ丸みを帯びたお尻を俺の方に向けてつき出してきて…
「バックでぇ…流二のガチガチオチンポで獣の様にボクを犯してぇ♪」
そう言ったミキの秘所から白濁液がとろっと流れ出す。
「ああっダメ!漏れちゃう!りゅーじぃ、早くそのオチンポでオマンコに栓をして、漏れちゃった分までいっぱい注いでぇ!」
理性さん三たびさようなら。
「ひうぅ!ひゃあ!はげしっ、ふぁあ!!」
「はぁっ、はぁっ、ミキ!ミキィ!!」
俺は望み通りミキの腰を掴み獣のように腰を叩きつけている。
先程とはまた違う角度からの激しい攻めにミキは喘ぐことしかできない。
と、何かが左腕に絡みついてきた。
見てみると、先端がハートの様な形をして少し太いもの…つまりミキの尻尾がそこにはあった。
ぎゅうぎゅうと痛くない程度に腕を締め付けてくる。きっと無意識であろう。それだけ俺を離したくないのか。
あ、そうだ。
きゅっ
「あひゃあああああああ!!やめっ!しっぽはビンカンにゃのおおおおぉぉぉ!!」
「うおっ!?すげっ!」
絡みついていた尻尾の付け根を右手できゅっとつまんでみた。その瞬間ミキの身体がビクンッと跳ね上がり、膣内をより一層絞めてきた。
このまま尻尾に沿って擦ってみたり、時折指先に力を入れてみたりした。そのたびにミキは大きな反応をする。
同じように揺らめいている翼の付け根も触ってみた。すべすべというか、ふにふにというか、とにかく不思議な感触だった。
「ひゃあああああ!!りゅーじいぃぃ、イっちゃううぅぅぅ!!」
快感によって力が入らないのかだんだんとミキの腰が下がってきたので、腰を持ち上げ俺のモノを抉り入れる。
そのうちだんだんと高まっていき……
「あああああっ!らめぇぇぇえ!イくうううううううう!」
「ぐっ!お、俺も、うああああああ!」
プシャーーーーーーー……
ビュクン!ビュッ、ビュルッ……
ミキが潮を吹きながらイったのと同じく、三度目だというのに全く量の衰えない精子をミキのナカに吐きだした。
「ああっ…ボクのナカがりゅーじで溢れてるぅ♪」
「ふうっ……ふうっ……」
「でもぉ…もっとぉ♪もっとりゅーじのせーしちょーだい♪」
「くうっ…ならまだまだいっぱいだしてやるよ!」
「あんっ♪おっぱいもっと優しくさわってよぉ♪」
そのまま互いにまた腰を動かし始めた…………
====================
「あはっ♪流二の精液で全身べとべとだぁ♪」
「……………はぁぁぁぁぁぁ…」
何度ヤったか忘れたけど、出るものを出し切ってようやく落ち着いて理性が完全に戻った俺は溜め息が止まらなかった。
横を見ると、全身に俺のモノから出た白いものが付着しているミキの姿があった。心なしか胸が大きくなった気がする。推定ギリギリCカップ。
そんなミキはものすごく幸せそうな顔をしている。
「ははっ♪今日はバレンタインデーのはずなのにこれじゃあホワイトデーだあ♪」
「……何を言ってるんだ。いいからこのタオルで身体を拭いて精液落とせ」
「え〜〜!?嫌だよ〜!!折角流二の匂いがするのに〜」
「…こっちは平和な高校生活が掛っているので出来れば言う事を聞いて下さい」
そう、すっかり忘れていたけどここは高校にある倉庫の中だ。
この高校は全生徒の5割ちょっとが魔物だ。俺の精の匂いに気付く奴もいるかもしれない。そうなるとかなりマズイ。
なぜなら、この高校では敷地内での性的行為は禁止されている。もし破ったら生徒会長のエンジェルから死ぬほどキツい罰を与えられるらしいのだ。
前にどこぞのサキュバスが彼氏と学校でセックスしようとしたところを見つかり連行され、次の日に見たときそのサキュバスはげっそりとやつれていたのだ。ちなみに何をされたのかは言おうとしなかった。
もう手遅れかもしれないが、そんな罰は受けたくないので全力でミキにお願いをしている。
すると、ミキが何かを思い出したかのようにハッとして俺の方を向いて口を動かした。
「ん〜〜………じゃあ、聞かせてよ…」
「へ?何をだ?」
「流二が、ボクの事を好きかどうか」
…そういえば言ってなかった気がする。
「あのなあ……いくら媚薬が効いていても、俺が好きでも無い奴を抱くと思うのか?」
「ううん……………じゃあ…!!」
順序が逆な気もするが…まあ仕方が無い。
「おう、ミキ、俺はお前が大好きだ!!」
俺は、自分の素直な気持ちをミキに伝えた。
こんな可愛いやつ、しかもアルプになってまで俺と恋人になりたいと言った奴を好きでない訳がないだろ?
「!!…りゅうぅぅじぃぃぃぃ!!!!」
「おわんぶ!!!?」
大好きと伝えたら、満面の笑みを浮かべたミキに勢いよくキスされた。
もちろんファーストキスだ。
「はむっ…んんっ……ちゅうう〜〜……」
しかもただ唇をあわせるだけのキスではなく、口の中に舌を入れて絡めてくる貪るようなキスだった。
ミキの唾液が口内に入ってくるが、何故かほんのり甘く感じた。
まあ出し切ったので勃つことはないが、蕩けてしまうぐらい気持ちいい。
気持ちいいのだが……
「んん〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
いきなりだったこともあり上手く息が出来ず、長くキスしているうちに苦しくなってきた。
「んんっ?………ん〜何……ってうわわ!!ごめん!」
「げほんっ!!ごほっ!!……ふう…きにするな……」
解放されてやっと一息つくことができた。
「つーかなんでいきなりキスしてきたんだよ!?」
「流二もボクの事を好きって言ってくれたから嬉しくて……それにセックスしてるときしてくれなかったし…」
「あーそう言えば……」
一回もしなかったなあ……何故かはわかっているけど。
例え理性が飛んでいても、最初に俺のモノを咥え、射精までした口にキスはしたくなかった。
まあさっきのキスからして問題は無かったと思われる。実にもったいない。
「まぁ………いいや………うん…」
よくよく考えたら初セックス→告白→初キスって順番はおかしいよね。もう過ぎてしまった事だし仕方ないけど。
「で、いつになったらそれ拭いてくれるわけ?」
「え?このまま服着て帰るつもりだけど?」
「ちょっ!?」
「あ〜大丈夫だよ。気付かれないようにしてあるから。実際誰もここに来てないでしょ?」
「まあ……なら……」
ミキが何かやっていたらしい。だから誰も来なかったのか。納得。
「そんじゃ帰るか…もう外も真っ暗だしな」
「あ、ちょっとまって」
ミキがやっと服を着て見た目だけは普通になったので一緒に帰ろうとしたところ、俺を呼びとめて何やら鞄の中を漁り始めた。
「ん〜と……あ、あった………はいっこれ!!」
「ん?なんだその箱?」
そしてお目当ての物を見つけたらしく、綺麗な包み紙で包装された箱を俺に渡してきた。
「これ?これはバレンタインのチョコだよ!今度は何も混ざって無い純粋のチョコ、大好きな流二にあげる!!」
「マジで!?サンキュー!!早速食べてみていいか!?」
「うん!」
「そんじゃあ……パクッ!……ん!さっきよりもウマい!!てか今まで食べた事のあるチョコの中で一番ウマい!!」
「えへへっ!ありがと〜!!」
こうして俺はバレンタインデーの日に衝撃的な経験をして、本命のチョコを手に入れ、彼女ができたのであった。
今日は2月14日、世間一般にはバレンタインデーと呼ばれる日。
この日は、喧嘩していた親友が、かけがえのない大好きな彼女に変わった衝撃的で、そして思い出深い大切な日。
俺達はこの先も仲良く過ごしていくだろう。
たまには喧嘩もするかもしれない。でもすぐ仲直り出来るだろう。
だって、お互いに大好きな相手なんだから……
「あ、そうだ流二」
「ん?なんだミキ?」
「今年はホワイトデー期待してるからね♪」
「……何でホワイトデーの話をしているのに顔を赤らめているうえにそんな淫猥な顔を俺に向けているんだ?」
「もう…わかってるくせに!!」
「いや!?わかんないから!!なんとなく想像は出来るけどってまさか!?」
「じゃあきちんと言うね♪今度は今日以上に流二の白いものでボクの全身を余すことなく真っ白に染め上げてね♪」
「そのまさかかよ!!全身とか無理だろ!!つーか俺死ぬんじゃね!?」
「馬鹿だなぁ…魔物とシて死ぬわけないじゃん!それにインキュバスになっちゃえばなんの問題も無いよ!!」
「インキュバスになればって簡単に言ってくれるけどさあ!!」
「大丈夫!今日ボクとシた事によってもう流二はインキュバスに片足じゃあ済まない位は突っ込んでるからすぐなるよ!!」
「そうかい!!てか何で全身真っ白にして欲しいんだよ!?」
「え〜っと、ホワイトデーだから流二の白い精液で……」
「言うと思ったよ!!」
…………本当に衝撃的なバレンタインデーだった。
12/02/14 12:34更新 / マイクロミー