連載小説
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スフィンクスの場合
会社帰りのあなたは偶然目に止まったこのスナックに入ろうと扉を開けた。


あなたが扉をあけるとスフィンクスがカウンター席に腰掛けテレビを見ていた。どうやらこの店に客はいないようだ。
入るのをやめようと扉を閉めようとするとあなたの存在に気付いた彼女が振り向いて

「・・・いらっしゃーい・・・にゃ」
明らかにめんどくさそうだ。

「どうぞ」
彼女が席を立ちカウンターに入飲み物の準備を始めた。それを見て出るに出られなくなったあなたは仕方なく席に着く
彼女があなたに話しかける

「お客さん、一見さんかにゃ?」
そうだと答える。

「この店スフィンクスが当番の時は、お客さん問いかけしにゃいといけにゃいんだけど、問いかけやるかにゃ?」
問いかけをするかどうか問いかけるスフィンクス。
スフィンクスの代名詞をやるかどうか尋ねてくることに呆気にとられるあなた

「じゃあ、頼む」
「分かりましたにゃ、問題です、踏まれると硬くにゃったり、熱くにゃったりするものにゃーんだ?」
考えるあなたにスフィンクスが続ける

「答えは店を出るまでに言ってくれればいいにゃ、それから飲み物のご注文は?」
あなたは一旦考えることをやめ、飲み物を注文する

「お客さんさっきはごめんにゃー」
スフィンクスは飲み物を作りながら冒頭の応対を謝る

「実はにゃ、今日私はお休みだったんだにゃ、にゃのに上司のアヌビスが最近仕事をさぼっているからって私を出勤させたんだにゃ」

急に仕事の愚痴を言い始める彼女。

「お代は最初の一杯分でいいからちょっと聞いてほしいにゃ」
彼女の事情を知らずに入店してしまい申し訳なく思ったあなたは申し出を受け入れる。

「うれしいにゃ、でにゃその上司がとっても厳しいんだにゃ。このあいだも・・・・」
うんうんと相槌を打ちながらお酒を飲むあなた









数時間後



仕事の愚痴が止まらないスフィンクスは「呑まにゃきゃやってられにゃい」とお酒を飲みはじめた。あなたはスフィンクスの性格上仕方がないかと思い特に気にしなかった。
そんなあなたにスフィンクスは
「接客もせずに飲んでばかりでごめんにゃー、話を聞いてくれてありがとにゃー、お客さんいい人にゃー」
と感激している。彼女の愚痴がいいかげん言い終わったところで時計を見ると終電間近。あわてて会計を申し出る。会計を終えるとスフィンクスがあなたに話しかける。

「お客さん答えわかったかにゃ?」
「答え?」
彼女の言葉を反芻するあなた。

「踏まれると硬くにゃったり、熱くにゃったりするものにゃーんだって最初に聞いたの覚えてにゃいのかにゃ?」
「ああ」
ようやく彼女に問いかけられていたことを思い出す。
答えを考えるも酔って頭が回らない。

「分からにゃいかにゃ?」
ニヤニヤ笑うスフィンクス

「・・・わからない」
降参するあなた。

「じゃあしょうがにゃいに」
彼女の目が獲物を狙うそれに変わる。危険を感じたあなたは逃げようとするも体が動かない。

「呪いをかけたから無駄だにゃ」
「やめてくれ」
必死のあなた

「やめないにゃ、」
あなたに飛びかかり押し倒すスフィンクス

「しょうがないから答えを体で教えるにゃん」
嬉しそうな彼女 立ちあがると片足を上げ

「答えはここにゃ」
言ってあなたの股間を軽く踏みつける

「ふふん、お客さん夜はまだまだこれからにゃ」
いたずらっぽく笑うスフィンクス
いろいろまずいと悟るがもう手遅れのあなた。
こうなることは店に入った時点で決まっていたのだ。


閉店後のスナック金字塔に男の悲鳴とスフィンクスの嬉しそうな声が響く。

14/03/23 20:52更新 / 明後日の女神
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■作者メッセージ
スナック金字塔は遺跡に住む魔物娘が外界との交流、資金稼ぎ、異性との出会いのために作った、店番する魔物は不定期に替わるという設定です。

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