クエスト開始
前回のあらすじ
冒険が今、始まる!
・・・さて、明日から頑張るぞ!
ドサッガンッ
「いっ・・・つぅ・・・」
ベッドに寝てたはずの俺は、片手で頭を押さえて、もう片手で床に手をつけて起きあがる。
(朝か・・・にしても、この年でベッドから落ちるとか笑っちゃうよ・・・)
ニヤッと自嘲的に笑う。
結局昨日は、約束の自慢のお庭、もとい畑・・・モドキを見てきた。
畑って言うだけ広かった。全部見て回るのに、大体二時間はかかったかな。
生えてる物も生えてる物だった・・・どっからどう見ても畑じゃないだろよと・・・
「・・・これは?」
「それは『ブラッドニンジン』です、もうそろそろで採れますよ。」
「ブラッ・・・す、凄そうなニンジンだね。」
(直訳で『血の人参』かよ、なんちゅうもん作ってんだ・・・)
「それじゃ、これは?」
「『バーニングトマト』です、これも採れ頃ですね。」
「熱そうだね・・・」
見た目が、綺麗な赤色ってより、どす黒い赤って色だった・・・腐ってないよね?
「そんな事ないですよ、生でも食べられますから。食べてみます?」
「遠慮しておくよ・・・」
終始こんな感じで質問しっぱなしだった。おいしいおいしいって食べてた野菜も、あの中から採ったのか・・・見た目が終わってたけど、おいしかったからいいや。
「はぁ〜〜〜、今何時だろなぁ。」
欠伸をしながら階段を降りる、そのまま洗面所に向かうと先客が居た。
「あ、おはようござい・・・・・・ませんでした。」
誰か居たのを確認した俺は、朝の挨拶をしようとしたが途中で切り上げ、急いで回れ右をして早足で居間に向かう。
何故なら
「あら、どこ行くの?用があるんでしょ?」
そこには、服を身につけていないロットさんもとい、義母さんが居た。
(なんで何も着てないんだよ、朝シャワーだったのか?音聞こえなかったぞ畜生・・・いや、気づかなかった俺の所為か?にしても、気まずいなんてレベルじゃねーよこれ、会った時にどんな顔すればいいのかわかんねーよ。なんで朝っぱらから恥ずかしい思いしなくちゃなんねーの・・・)
「・・・ちょっと早すぎたかしら。」
後ろからボソッと何か聞こえた気がしたけど、気のせいと決めつけて居間に着く。
「・・・はぁ。何時だ?」
ソファに座って時計に目をやる。
(8時半か、ミリアちゃんはもう学校行ったな。)
もう一度溜め息をつき、項垂れる。
「やっと起きたか、遅いぞ。」
声でルシールさんと判断し、顔をあげて返事をする。
「あ、おはようございます。いやまぁ、遅いって言われても・・・毎日が眠い俺にはさっさと起きろってのが無理な話で・・・」
「昨日は早かったじゃないか。」
「昨日は昨日っすよ、こっちに来たばっかりでしたから。流石に一日たてば、緊張はほぐれますって。」
「一日で慣れるものなのか・・・」
「えっ、むしろ慣れないんですか。・・・っと、そだそだ、今日は何かギルドのクエストやりたいんですけど、何時からやってるんでしたっけ?」
「ふむ、やる気は十分みたいだな。ギルドならこの時間はもうやっている。朝は人が多いから、昨日あったクエストはあらかた取られてるだろうが――」
言葉の途中でこっちをちらりと見る
(・・・なんだろ?)
「――危ないクエストじゃなければ受けてもいいだろう。」
「なんですか、今の間・・・で、危ないクエストってどんなのがあるんですか?」
やっと、映画やゲームで見たような悪い奴を倒したり、いろんな村や町、山や森に出向いて珍しい物が見られると思ったのに、これができないとなると精神面でがったがたに落ちる。
「そうだな、ドラゴンの宝を巣穴から持ち帰ったり、ゴブリンどもを懲らしめたりと様々だ。」
「楽しそうなのばっかりじゃないですか、そんな危ないんですか?」
「奴らに捕まったら、お前の身体が危ない。的な意味でな。」
「あ・・・はい、なんとなく分かりました。」
言わんとしてることに合点が行った俺は、素直にYESを返す。
「それじゃ、朝ご飯を食べたら行くとするか。」
「ん、俺はいいっすよ、食べなくて。別に一日くらい何も食べなくたって大丈夫ですから。」
と返して、また欠伸をする。
(こっちに来ても寝不足は変わらないのか・・・魔法で治るかな?)
「それは私のご飯が食べられないって意味かしら?」
ルシールさんの後ろからロットさんの声がした。今最も顔を合わせたくないのに・・・
「ぅ・・・いや、食べなくても大丈夫って意味ですから、ロットさんの飯は美味しいですから・・・」
顔を斜め下に伏せて答える。
「ロットさん・・・?」
「・・・義母さんの。」
(いくらなんでもこの呼び方は慣れない・・・ってか、早々慣れて溜まるか。)
さっきの俺の発言と矛盾してるなこれ。
「それじゃ、準備するわね。」
有無も言わさず。ってこうゆう事なんだろな。
「・・・じゃあ、いただきます。」
「ご馳走様でした。それじゃ、ギルド行ってきます!」
「怪我しないのよ?それじゃルシール、任せたわよ?」
「安心しろ、剣二には危険な事はさせん。」
「俺は別にいいんですけどね・・・」
(っつか、過保護ですね)
と心の中で付け足しておく。
「おー、ほんとだ。昨日より結構居るじゃないっすか。」
ちなみに、現在の時刻は9時。
「いつものこの時間は、これくらい混んでるぞ。」
椅子はほとんどが埋まっており、お酒を嗜む人や、大きな机に地図を広げて何かを話してる集団が居たり、掲示板の前には6,7人集まっていた。
「人は結構いますけど、混んでるって程じゃないっすね。」
「剣二はああいえばこういうな・・・」
「それはともかく、ほら、クエスト見に行きましょうよ!」
とにかく、今はどんなクエストがあるか楽しみだった。
「『ピラミッドの宝』『ジョロウグモの糸の収集』『ゴブリン盗賊団の盗品奪還』『ナイトメアの夢入り阻止』・・・・・・」
ゲームで見たことのある魔物の名前が、いくつか並んでいるのを見てなんとなくだけど、あの魔物はこんな事をしてるからそれに関する何かだろう、と想像して楽しんでいると
「これならお前でも大丈夫そうだな。」
「ん、何にしたんですかっと・・・『商人の荷車の護衛』」
ルシールさんからクエストの紙を受け取り読んでいく。
「依頼主に会いに行って、商人の荷物を届けるまでに護衛するだけだ。これなら簡単だし、早くに終わるだろう。どうだ?」
話を聞きながら読んでいく、内容はルシールさんが言った通りだな。
正直物足りないけど、最初はこういった手頃なものから始めていけばいいんだろうな。少しずつ経験してけばそのうち俺でも、でっかいクエストが受けられるでしょ。
「そうっすね、それなら俺も行けそうです。それじゃ、早速行きますか!」
「相変わらずやる気はあるな。それじゃ、それにハンコをもらってきてくれ、私は先に外で待ってる。」
「分かりました、それじゃハンコ貰ってきます。」
「すいません、メイルさん居ますか。」
「君か。」
カウンターの奥から、メイルさんが出てきた。何故か手にはワインのボトルを持っている。
(真っ昼間っからお酒・・・?)
「あの、これにハンコ欲しいんですけど。」
そう言ってカウンターの上にクエストの紙を置く。
「ハンコだな、ちょっと待っててくれ。」
机の上に散らばってる書類をがさがさと書き分けて、丸い石を取り出した。
それを俺の持ってきた紙の上に、トンと置くと上からググッと抑えて離した。
すると、動物の爪のような模様が浮き上がってきた。
「これで終わりだ。」
只の石を押しつけただけで模様がついたのにびっくりして、不思議な顔をしてたであろう俺は
「・・・あ、はい。ありがとうございます。」
とだけ返した。
「最近は、プラヴとイールの道中にはゴブリン盗賊団が出るらしいから気をつけろよ。と言っても、ルシールが居るから大丈夫だと思うけどな。」
(プラヴ・・・どっかで聞いた・・・ってこの町の名前か。イールってのも町の名前か。あれ、クエストに書いてなかったっけ?にしても、ルシールさんって信用高いんだな。)
「わかりました、なるべく気をつけます。それじゃ行ってきます!」
「ん。」
「ルシールさん、終わりました。」
「よし、それじゃ早速行くとするか。」
「はい!あ、イールってのも町の名前ですか?」
「そうだ、こっから少し離れたところにある山村だ。」
「あ、村だったんですか・・・ちなみに、魔物と人間の関係は・・・?」
「良好だ。」
「それならおっけーです。」
それじゃ、これから初仕事と行きますか!
冒険が今、始まる!
・・・さて、明日から頑張るぞ!
ドサッガンッ
「いっ・・・つぅ・・・」
ベッドに寝てたはずの俺は、片手で頭を押さえて、もう片手で床に手をつけて起きあがる。
(朝か・・・にしても、この年でベッドから落ちるとか笑っちゃうよ・・・)
ニヤッと自嘲的に笑う。
結局昨日は、約束の自慢のお庭、もとい畑・・・モドキを見てきた。
畑って言うだけ広かった。全部見て回るのに、大体二時間はかかったかな。
生えてる物も生えてる物だった・・・どっからどう見ても畑じゃないだろよと・・・
「・・・これは?」
「それは『ブラッドニンジン』です、もうそろそろで採れますよ。」
「ブラッ・・・す、凄そうなニンジンだね。」
(直訳で『血の人参』かよ、なんちゅうもん作ってんだ・・・)
「それじゃ、これは?」
「『バーニングトマト』です、これも採れ頃ですね。」
「熱そうだね・・・」
見た目が、綺麗な赤色ってより、どす黒い赤って色だった・・・腐ってないよね?
「そんな事ないですよ、生でも食べられますから。食べてみます?」
「遠慮しておくよ・・・」
終始こんな感じで質問しっぱなしだった。おいしいおいしいって食べてた野菜も、あの中から採ったのか・・・見た目が終わってたけど、おいしかったからいいや。
「はぁ〜〜〜、今何時だろなぁ。」
欠伸をしながら階段を降りる、そのまま洗面所に向かうと先客が居た。
「あ、おはようござい・・・・・・ませんでした。」
誰か居たのを確認した俺は、朝の挨拶をしようとしたが途中で切り上げ、急いで回れ右をして早足で居間に向かう。
何故なら
「あら、どこ行くの?用があるんでしょ?」
そこには、服を身につけていないロットさんもとい、義母さんが居た。
(なんで何も着てないんだよ、朝シャワーだったのか?音聞こえなかったぞ畜生・・・いや、気づかなかった俺の所為か?にしても、気まずいなんてレベルじゃねーよこれ、会った時にどんな顔すればいいのかわかんねーよ。なんで朝っぱらから恥ずかしい思いしなくちゃなんねーの・・・)
「・・・ちょっと早すぎたかしら。」
後ろからボソッと何か聞こえた気がしたけど、気のせいと決めつけて居間に着く。
「・・・はぁ。何時だ?」
ソファに座って時計に目をやる。
(8時半か、ミリアちゃんはもう学校行ったな。)
もう一度溜め息をつき、項垂れる。
「やっと起きたか、遅いぞ。」
声でルシールさんと判断し、顔をあげて返事をする。
「あ、おはようございます。いやまぁ、遅いって言われても・・・毎日が眠い俺にはさっさと起きろってのが無理な話で・・・」
「昨日は早かったじゃないか。」
「昨日は昨日っすよ、こっちに来たばっかりでしたから。流石に一日たてば、緊張はほぐれますって。」
「一日で慣れるものなのか・・・」
「えっ、むしろ慣れないんですか。・・・っと、そだそだ、今日は何かギルドのクエストやりたいんですけど、何時からやってるんでしたっけ?」
「ふむ、やる気は十分みたいだな。ギルドならこの時間はもうやっている。朝は人が多いから、昨日あったクエストはあらかた取られてるだろうが――」
言葉の途中でこっちをちらりと見る
(・・・なんだろ?)
「――危ないクエストじゃなければ受けてもいいだろう。」
「なんですか、今の間・・・で、危ないクエストってどんなのがあるんですか?」
やっと、映画やゲームで見たような悪い奴を倒したり、いろんな村や町、山や森に出向いて珍しい物が見られると思ったのに、これができないとなると精神面でがったがたに落ちる。
「そうだな、ドラゴンの宝を巣穴から持ち帰ったり、ゴブリンどもを懲らしめたりと様々だ。」
「楽しそうなのばっかりじゃないですか、そんな危ないんですか?」
「奴らに捕まったら、お前の身体が危ない。的な意味でな。」
「あ・・・はい、なんとなく分かりました。」
言わんとしてることに合点が行った俺は、素直にYESを返す。
「それじゃ、朝ご飯を食べたら行くとするか。」
「ん、俺はいいっすよ、食べなくて。別に一日くらい何も食べなくたって大丈夫ですから。」
と返して、また欠伸をする。
(こっちに来ても寝不足は変わらないのか・・・魔法で治るかな?)
「それは私のご飯が食べられないって意味かしら?」
ルシールさんの後ろからロットさんの声がした。今最も顔を合わせたくないのに・・・
「ぅ・・・いや、食べなくても大丈夫って意味ですから、ロットさんの飯は美味しいですから・・・」
顔を斜め下に伏せて答える。
「ロットさん・・・?」
「・・・義母さんの。」
(いくらなんでもこの呼び方は慣れない・・・ってか、早々慣れて溜まるか。)
さっきの俺の発言と矛盾してるなこれ。
「それじゃ、準備するわね。」
有無も言わさず。ってこうゆう事なんだろな。
「・・・じゃあ、いただきます。」
「ご馳走様でした。それじゃ、ギルド行ってきます!」
「怪我しないのよ?それじゃルシール、任せたわよ?」
「安心しろ、剣二には危険な事はさせん。」
「俺は別にいいんですけどね・・・」
(っつか、過保護ですね)
と心の中で付け足しておく。
「おー、ほんとだ。昨日より結構居るじゃないっすか。」
ちなみに、現在の時刻は9時。
「いつものこの時間は、これくらい混んでるぞ。」
椅子はほとんどが埋まっており、お酒を嗜む人や、大きな机に地図を広げて何かを話してる集団が居たり、掲示板の前には6,7人集まっていた。
「人は結構いますけど、混んでるって程じゃないっすね。」
「剣二はああいえばこういうな・・・」
「それはともかく、ほら、クエスト見に行きましょうよ!」
とにかく、今はどんなクエストがあるか楽しみだった。
「『ピラミッドの宝』『ジョロウグモの糸の収集』『ゴブリン盗賊団の盗品奪還』『ナイトメアの夢入り阻止』・・・・・・」
ゲームで見たことのある魔物の名前が、いくつか並んでいるのを見てなんとなくだけど、あの魔物はこんな事をしてるからそれに関する何かだろう、と想像して楽しんでいると
「これならお前でも大丈夫そうだな。」
「ん、何にしたんですかっと・・・『商人の荷車の護衛』」
ルシールさんからクエストの紙を受け取り読んでいく。
「依頼主に会いに行って、商人の荷物を届けるまでに護衛するだけだ。これなら簡単だし、早くに終わるだろう。どうだ?」
話を聞きながら読んでいく、内容はルシールさんが言った通りだな。
正直物足りないけど、最初はこういった手頃なものから始めていけばいいんだろうな。少しずつ経験してけばそのうち俺でも、でっかいクエストが受けられるでしょ。
「そうっすね、それなら俺も行けそうです。それじゃ、早速行きますか!」
「相変わらずやる気はあるな。それじゃ、それにハンコをもらってきてくれ、私は先に外で待ってる。」
「分かりました、それじゃハンコ貰ってきます。」
「すいません、メイルさん居ますか。」
「君か。」
カウンターの奥から、メイルさんが出てきた。何故か手にはワインのボトルを持っている。
(真っ昼間っからお酒・・・?)
「あの、これにハンコ欲しいんですけど。」
そう言ってカウンターの上にクエストの紙を置く。
「ハンコだな、ちょっと待っててくれ。」
机の上に散らばってる書類をがさがさと書き分けて、丸い石を取り出した。
それを俺の持ってきた紙の上に、トンと置くと上からググッと抑えて離した。
すると、動物の爪のような模様が浮き上がってきた。
「これで終わりだ。」
只の石を押しつけただけで模様がついたのにびっくりして、不思議な顔をしてたであろう俺は
「・・・あ、はい。ありがとうございます。」
とだけ返した。
「最近は、プラヴとイールの道中にはゴブリン盗賊団が出るらしいから気をつけろよ。と言っても、ルシールが居るから大丈夫だと思うけどな。」
(プラヴ・・・どっかで聞いた・・・ってこの町の名前か。イールってのも町の名前か。あれ、クエストに書いてなかったっけ?にしても、ルシールさんって信用高いんだな。)
「わかりました、なるべく気をつけます。それじゃ行ってきます!」
「ん。」
「ルシールさん、終わりました。」
「よし、それじゃ早速行くとするか。」
「はい!あ、イールってのも町の名前ですか?」
「そうだ、こっから少し離れたところにある山村だ。」
「あ、村だったんですか・・・ちなみに、魔物と人間の関係は・・・?」
「良好だ。」
「それならおっけーです。」
それじゃ、これから初仕事と行きますか!
11/06/30 04:18更新 / のりゆき
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