連載小説
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こんな感じがあと一、二話続きそう
前回のあらすじ

寝て起きる→知らない森の中→羽根と角はやした女の子(よく見たら尻尾もあるんじゃね)がパンくれました。おいしいです。




「ここどこ?」

もらったパンを食べながら、起きてからずっと疑問に思っていた事を彼女にぶつけた。
(それにしても、このパン不味くは無いと思ってたけど、おいしいと思える味してるな、不思議な味だなぁ。まだ温いから焼きたてなのかな・・・)
「ここ?ここはですね、プラヴからちょっと離れた森の中です。」
彼女は微笑みながら、質問に返してくれたみたいだけど
(プラヴね・・・プラヴ・・・初めて聞く言葉だな。どっかの外国と考えるには・・・目の前の彼女を見るだけで無理があるよね、異質すぎるもん。)
初めて聞いた言葉に少し考えて
(しかもよくよく考えたら、話してるの日本語だし!日本とアメリカを知らない、見るからに異質なこの子、そいや空を飛んでいたっけか。)
以上の事柄から、胸の奥底にしまってたものを引きずり出す
(ってことは俺もしかして・・・)
もう一度彼女に質問する
「プラヴって・・・何?」
「えぇっ、知らないんですか?ほんとに?」
彼女が驚きの顔で聞き返してくる、知らない事が罪に思えるんだけど、てかそんな有名なキーワードだったかな・・・
「うん、そのさ・・・」
(もしかして・・・寝てる間に)
「俺の知ってる町って言ったらさ、その・・・アメリカとか、日本とかさ、そういうのしか知らないから。」
疑問を確信に変える為に、幼気な女の子に鎌をかけるのはあんま気乗りしないけど、いくら小さな女の子でもアメリカくらいは知ってるはず(しかもですます使ってるし)。だから、ここで帰ってくるのが
『それ町じゃないですから〜』

てなつっこみか、もしくは・・・

「日本?アメリカ?どこですか、そこ?」

oh...疑問が確信に変わった瞬間だった、間違いない。
俺は基本的に、子供の言った事の嘘や真実くらいは見抜けると思っている。子供たちは純粋だから、そう信じてるから。だから目の前の女の子が言った言葉が、真実だと信じた、信じたくは無いけど。でもなんとなく、嬉しいこの気持ちはなんだろな。
まぁ俺は彼女より年上なんだから、俺は彼女の前で動揺を見せるわけには行かないよな、現実を受け入れなくちゃいけない。

だからこそ俺はさよならを告げた
(グッバイ、日常)
そして受け入れる挨拶
(こんにちは、現実、非日常よ・・・)
ひょっとしたらこれ夢の中の夢なんじゃね・・・なんて事はちゃっかり思っちゃってるけどね、でも難しい話はパスパス。


「あの・・・お兄さん」
「ん、なに?」
俺の質問に答えてくれたし、こんな見ず知らずな人にパンもくれたし、もう話を遮るような真似はしないで、素直に聞き返す。
「その・・・」
どこか遠慮がちに、こちらを見ながら躊躇っている。
「何でも遠慮しないで聞いていいよ、俺も答えられる範囲で答えるからね。」
少し笑った顔を作って言う。しかしその裏腹
(見ず知らずの人にお兄さんか、結構警戒心はとけたかな。子供なんだから、質問くらい遠慮はしてほしくないな。)
そんな俺の心中おかまいなく、俺の言った言葉通り遠慮せずに聞いてくる。

「はい」
そう言って彼女も少し笑ってくれた。
私、お母さんと一緒にあそこで木の実拾ってたんですけど」
そう言って、起きてから見渡した見覚えのある、実がなってる木の下を指さす。
「お兄さんの居た場所が、いきなり光ったんです。いきなりだったので、目つぶっちゃいました、それで目あけたらお兄さんが居たんですけど、あれってどんな魔法なんですか?お母さんに聞いたら『見たこと無いわ・・・』って言ってました。テレポーテーションの類なんですか?」
彼女の口から魔法にテレポーテーションと来たもんだ、別に彼女の口から魔法って言葉が出ても驚かない自信があった、見るからに女の子なのに着てる物と生えてる物が人間のそれじゃなかったからね。それでも聞き返さずにはいられなかった。
「魔法?」
「はい」
「俺が?」
「はい」


彼女はどうやら、俺が魔法を使えると勘違いしてるらしい。スタ○ドを出そうと練習はしたし、仮○ライダーになろうと必死に変身ポーズをとった事はある。でも魔法と来ましたら心当たりナッシング・・・
「んー、残念だけど、俺は魔法使えないなぁ」
「え!?」
声のサイズにびっくりした。顔を見ると、ほんとにびっくりした顔してた。
「魔法が使えないなんて・・・でもでも・・・お母さんが確かに魔法の類だって言ってました、それにそれに、お母さんがお兄さんに触ろうとしても、バチッてなって触れなかったんです!」
興奮気味に彼女は話す。
まぁそんな事言われても、身に覚えが無いんで
「んでも、俺は魔法使えないなぁ、使えないなんて嘘ついたってしょうがないし・・・それにパンもらった時バチッなんてならなかったよ?とりあえず俺は、魔法は使えないよ。」
「・・・わかりました」
彼女は、シュンとした表情を作ってそう言った。
こういう顔作らせる為の答えじゃないはずだったんだけどな・・・また反省だな

「それじゃさ・・・えっと、とりあえず君のお母さんのところ行かない?ここに来たときは一人だったから、心配してると思うからさ。」
俺が目覚める前は、お母さんが居るって言ってたんだから、多分さっきのパン、買うか作ってくれるかしてくれたんだよな、だからそのお礼を言わないと。

「はい、お兄さん悪い人じゃなさそうだから、是非一緒に来てください。」
「悪い人じゃないね・・・ありがと。よし、会いに行く前に自己紹介からかな。」
自己紹介って恥ずかしいんだよなぁ、小さな子相手でもね。
「俺の名前は『杉村 剣二』って言うんDA。好きなように呼んで構わないからね。まぁ自己紹介って言っておいてなんだけど、名前だけしか紹介するところ見つからないや・・・君は?」
「えっと、私の名前は『ミリア』って言います。」
「早速覚えた名前を使って、自分の名前も言う。
「はい、お兄さん」
・・・まぁ、お兄さんで悪い気はしないからいいかな。


「それじゃミリアちゃん、色々聞きたいのは俺も一緒だからさ、お母さんのところまで案内してくれる?」
「はい、それじゃ、案内しますね」
ニッコリ笑ってバスケットを手に・・・空を飛んだ。
「ミリアちゃん、俺飛べないんだけど!」
空のミリアちゃんに向かって叫ぶ。これも魔法使って飛んでるのかな、それとも、あの小さな羽根で飛んでるのかな・・・知りたいことが増えてしまった。
「す、すいません!今降りますから!」
「・・・なんか飛べなくてごめんね」
そりゃ飛べたらいいんだけどさ、飛べない俺は軽く罪悪感を感じるのであった・・・

「それじゃ、案内しますね」
今度はしっかり地上を歩いてくれている。俺はミリアちゃんの横に並んで歩きながら返事を返す、喋らなくて静かな空気をつくらないように質問も混ぜつつ。
「うん、助かるよ。でもさ、いつもは空飛んでるんだよね?地上からの道のり分かる?」
「はい、だいたいの方向はわかります。なのでこっちであってるはずです、多分・・・」
「多分かぁ、ちょっと心配だな」
「ふふっ、大丈夫ですよ、小さい頃からここに来てますから」
笑って返してくれた
ミリアちゃんの横を歩きながら、こんな感じで雑談する。
会話の内容はry





森を抜けた、やっと町らしきところに着いたみたいだが・・・
目に最初に飛び込んできたのは、頭に角やネコ耳を生やした人や、尻尾が生えてる人が露店で買い物してたり、剣や槍なんて物騒な物を置いてる店があったり、遠くの方から紫色の煙が立ち上ってたり・・・

俺は目の前の光景に唖然とした。
「ミリアちゃん・・・ここがプラヴって町?」
「はい、私たちの町へようこそです!」

・・・どうやら、人と、人とは異なる者達が暮らす町だった。

11/06/10 06:32更新 / のりゆき
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■作者メッセージ
いつのまにかパン完食。バスケットの中に入ってたパンは一つだけ、結構な大きさみたいです。横にも縦にも。

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