読切小説
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緋閃の勇者と封じられし炎
俺はロッソ・アルベルト。無神公国シオン所属の赤髪と赤い瞳が特徴の戦士だ、人々は俺を赤の勇者と呼ぶ。最近は魔物や押し付けがましい教団の連中が来る。こちらとしては可能なら戦いたくはないがこちらも故郷を好き勝手にされるわけには行かないからやむを得ない。


そして俺は今日の戦いで得物を失ってしまった、それを知った王が「お前なら、あるいは…」と城の地下に続く扉を開けてくれた。案内人についていくと台座に刺さった深紅の刀身と翼のような形の鍔が特徴の剣があった。そのまま台座から剣を引き抜くと朱色の炎が俺を包み、声が聞こえてきた。『貴方には、守りたいものがあるか?』と。俺は「ある」と答える、すると俺の着ている鎧が変化し所々に翼のような明るい赤色の意匠がついた。そしてまた声が聞こえて『使えるとは言っても、使いすぎないことだ。死ぬことになる』と忠告をされた。




それから半月ほどたち、何度か魔物や教団の襲撃を受けたがこの剣は高い威力があり俺が得意としている炎魔法との相性も抜群でよりたくさんの敵を倒せている上、調子も良いがどこか違和感を感じて医者に見てもらうと、炎の魔力により俺の肉体は活性化しているとのことだった。
活性化した身体で敵を倒し続けてさらに半年たち、時おり身体の中に渦巻く熱いものが出そうになるが教団や魔物の襲撃回数も増えてきていてそんなことを言っていられないと自分を奮い立たせて戦いを続けていた、そしてある日ついに転機が訪れた…


相変わらず炎の一閃や炎の衝撃波で敵を倒していくが、体内で渦巻く熱いものはより暴れ狂っていく、それでも俺は故郷を、故郷で暮らす人たちを守りたい。その一心で身体を動かし敵を倒すもついに限界が来て俺は膝をついてしまいドーム状の炎に俺は包まれてしまう。そして剣を抜いたときに声がまた聞こえてきた『このままでは貴方は死ぬ、でもそれを一つだけ避ける方法があります、でもその前に聞かせてほしいことが』と言い俺は「なん…だ…?」と返すと声は『貴方はなんのために戦うのですか?』と言うので俺は「故郷とそこに生きる人達を守りたい…」と返すと声は『貴方は我が力を悪用はしなかった、そして人々を守りたい滅私奉公の意思は本物ですね…良いでしょう。』と言った後に『我が血を受け入れれば貴方は助かります、それでも人間をやめることになりますが』という提案を受け「化け物になろうと、故郷を守りたい…力を貸してくれ…!!」と叫ぶ。するとなにかが入って来てすぐに暴れ狂うものは一気に抜けた、というよりは暴れ狂うものが溶けて俺と一つになりドーム状の炎を破り、立ち上がる。剣や鎧から翼のような形の意匠が消えていて、後ろから視線を感じる…









視線の方を振り向くと、明るい色の炎をまとう腕が翼になっていて脚が鳥のような形の美女が俺を見ていた。そして一言『やっと会えたわね』と言いその後に『今の貴方なら、この戦いを終わらせることが出来る。貴方の意思と剣を信じて振るいなさい』と優しく笑顔を見せる。俺は「この争いを、終わらせたい」とその意思だけを剣に込めて縦に振り下ろす。すると明るい色の炎の衝撃波が出る…しかし彼女が出てくる前のものとは違い誰も傷つけず人々は崩れ落ち、帰らないと。待つ人のために…と口々に言い帰っていく。









あらかた人がいなくなり俺の姿が鏡に映る…背中からは深紅の輝きを放つ翼のような形の炎が出ている…人間ではなくなったが人々を守れたから悔いはない。去ろうとすると国王が走ってきた。そしてこの国の最大の機密を聞かせてくれた。その内容は「かつてこの国では不死鳥を神として崇めていたが魔物の進攻が活性化し教団からの弾圧を恐れて封印を施したこと。」それを伝えて膝を折り彼女に謝罪する。それに彼女は『もう魔物は変化した。自分を含めて』と言い俺の近くに行き『この状況なら出ていく必要はなさそうね』と少し笑う。









本当に変化していた、どころかこの国の女が全員魔物、いや魔物娘と呼ばれる種族に変化していた…まあ無害なら戦う必要性はないか。と割りきり彼女と共に暮らすことにした。彼女は穏やかで冷静ながらも情熱的な性格で幸せそうに俺を抱き抱えたり『封印から解放してくれた貴方には、相応のお礼をしないとね…♪』とその美しく健康的な肢体を堪能させてくれる。彼女は『私の魔力に適応しているから確信はしていたけど、貴方の精は今までたべたもののなかでも一番美味しいわ…♥』と嬉しそうに俺を抱き抱えながら腰だけを動かす…温かく翼はホワホワだで身体は柔らかい…貰ってばかりでは悪いと俺も突き上げて絶賛してくれる精を注ぎ込んでいき彼女は幸せそうに『愛してるわ…♥この思いは何度生まれ変わってもより強まるだけ…♥』と囁く…彼女は不死鳥らしく不死身で何度でも転生が出来るらしくその魔力により彼女専用の存在になった俺もまた同じらしい。彼女は『もう逃れられないわよ…♥不死の呪いからはね…♥♥』と嬉しそうに言う。俺は「一人ならおぞましい呪いだがパートナーがいるなら幸せなことだろう、置いていくこともなく一緒に転生できるんだろ?」と聞くと『もちろん…♥』と嬉しそうに返す…










それから半月ほどして、俺達は国中から祝福されて式をあげた。王曰く『国を守るために滅私奉公し続けた英雄とこの国の女神、似合いだな…』と嬉しそうに頷き戦い続けてきた日々からは想像できない幸せの中で式を終えた…

「こんなところかな」というと彼女に似た少女たちに言う。すると彼女は『私たちも、いつかそんな人に会えるかな?』と聞いてくる。俺は「いつか、出会えるはずだ」というと彼女も『そうね…』と俺を後ろから抱き抱えながら言う。こんな穏やかな日々が、ずっとずっと続きますように。今の俺の願いはそれだけだ、そして彼女もきっと同じ願いだと感じたのだった


おわり




22/10/30 22:35更新 / サボテン

■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

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