連載小説
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心の棘
翌朝…

アイン「ん…」

セラ『おはよう』

アイン「ああ…」

セラ『大丈夫、私は知ってるから』

アイン「??」

セラ『あの女がアインさんに何をしたか』

アイン「そうか…」

セラ『婚約まで行きそうになったところをアインさんが大ケガをして、金持ちの男にあの女はアインさんに罵声を浴びせた上で鞍替えした。』

アイン「そうか…」

セラ『だから人間を厭ってた』

アイン「ああ、だが孤独と手足を失なった状態に私の精神は相当削れていたんだと思う」

セラ『だから、人間じゃなくて人の言葉を話せる私を…』

アイン「手足の件は竜達に酷いことをしてきた報いと割りきれたが、ニーナの件は心の奥で恨みと悲しみがずっと渦巻いていた」

セラ『もっと早く気づけてたら…』

アイン「気にしなくていい、終わったことだ」

セラ『だから、夫婦達を見ていても…』

アイン「まあ、な。だがそれは許された、所詮あの国は生まれが全てだからな。それに」

セラ『それに?』

アイン「力のないものは何を奪われようが文句は言えない、それを痛感した」

セラ『だから人間に対して割と冷たかったんだよね…』

アイン「多分な」

セラ『…』

そのまま頭を抱き抱えられた

セラ『アインさんが魘されてて苦しんでたときも、何も出来なくてごめんね…』

アイン「いや…」

セラ『私の大好きなアインさんが苦しんでたのに、なにも出来なかった自分が許せなくて…』

アイン「いや、居たことだけでかなり楽にはなってたから」

セラ『…』

アイン「セラ、本当に大きく強くなったな…」

セラ『…』

抱き抱える力が強まる

アイン「…?」

セラ『…』

アイン「??」

セラ『私には…』

アイン「??」

セラ『私には、宝物らしい宝物は、ない…』

アイン「まあ、あんまりこだわる必要ないんじゃないか?」

セラ『今までの思い出が宝物だから…』

アイン「そうか…」

セラ『うん、だからアインさんのしてきたことは意味しかないよ。』

アイン「そうか…」

自分の償いはちゃんと意味のあるもの。その言葉は一番聞きたかったもの…

セラ『ふふ…♪』

アイン「…」

セラ『ねぇ…』

アイン「??」

セラ『お昼行ったら、ひとつ聞きたいことがあるんだけどいい?』

アイン「構わないが…」

時間がたって昼になっていたのでとりあえず昼食に向かう

女王『仲は良好なようだな、何より何より』

アイン「もともと、家族でしたしね」

女王『本当に、一般的な竜と人の関係とは違うな』

アイン「子供の時に引き取った感じなので」

女王『本当にいい拾い物だな』

アイン「ですね…相棒ですよ」

女王『相棒、か…』

そのまま昼食を終え、部屋に戻るとセラは覚悟したような顔で私を見ている

アイン「??」

セラ『アインさん…』

アイン「…」

いまさら何を言うのだろうか…?


おわり
20/09/26 00:01更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです

次回に続きます

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