連載小説
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奇跡の埋葬
翌朝、我々は合成竜の所に女王たちをつれていくことになった

アイン「…」

女王『お前は、このあたりに?』

アイン「もう少し先です…」

そのまま国のはずれに向かう

アイン「ここですね」

倒れた丸太が近くに置かれた小さな廃墟に着いた

セラ『やっぱり、みんな燃えてるよね…』

アイン「ああ…」

女王『これが、かの合成竜の…』

女王は目を閉じている

アイン「ちゃんとした埋葬を、してやりたいものですが…」

女王『わかった、運んで埋葬をしよう…』

そのまま兵士たちも埋まっている土を掘り起こして合成竜の死骸を台車に乗せ、運ぶ

アイン「…」

半開きの眼を閉じさせてやる

セラ『ごめんね…』

そして、国の西にある竜達の眠る場所に合成竜は運ばれてきた

アイン「!?」

すると、合成竜がバラバラになり浮いてパーツはほぼ全て違う墓に飛んでいく…

女王『これは…』

そのパーツは墓に埋まったかと思うと、パーツの埋まった墓がボコッ!!と持ち上がり蠢いている

アイン「!?」

女王『もとの場所に、帰れたか…』

アイン「??」

女王『バラバラになったのは、その箇所の元々の持ち主の竜の死体に戻っていったのだろう…』

アイン「なるほど…」

女王『恐らくだが、彼女達は蘇る』

セラ『??』

女王『既にきれいな形のまま死んだ竜達は屍竜として蘇った』

確かに兵士達の何人かは生気のない肌のいろをした竜の魔物たちに犯されている…

セラ『うわぁ…』

セラは興味半分、驚愕半分で見ている…

女王『ほら、来るぞ…』

すると、持ち上が利蠢いていた地面から沢山の屍竜と女王が呼んだ魔物たちが出てきた

屍竜『ありが…とお…』

屍竜『かえって…これ…た…』

屍竜『わたし…たちを…じゆうに…』

屍竜『わたし…たちの…たましい…だして…くれた…』

屍竜『もどって…きたから…からだ…なおった…』

くっついてほとんど時がたって居ないのに彼女達にはぼんやりとした傷跡があるばかりだ

屍竜『あなたは…ほかの竜のオス…』

屍竜『ざんねん…』

次々とお礼や落胆の言葉が投げ掛けられる

アイン「彼女らの新しい人生には、人並みの幸せがあらんことを…」

眼を閉じそう言い祈る

女王『そうだな…』

アイン「せめて生きてるうちに救えなかったから今回は…」

女王『いや、お前達は良くやった』

アイン「??」

女王『彼女らを見ただろう、お前たちを覚えていた。』

アイン「介錯で消し飛ばさなかったのが良かったのか…」

セラ『もう、あいつらは居ないから…』

セラは彼女達にそう言う

屍竜『あ…オス…いた…💚』

兵士「え」

残った兵士たちも屍竜に群がられ我々と女王だけになってしまった

女王『計画、以上か…』

女王は少し笑っている

アイン「そう言えば、彼らは前からも確か竜たちに対して哀れみとか同情的だった人間だった…まさか」

女王『ああ、彼らなら彼女たちの苦しみを癒せるのではないか?そう思った』

アイン「なるほど…」

そのまま飛んで城に戻る

女王『ひとつ聞きたいが』

アイン「?」

自分を指差す

女王『性格に言えば、お前たちのことだな』

アイン「といいますと?」

女王『あの場所で何をしていたかだ』

アイン「ああ、なるほど」

女王『どうやら、奴らゴミとは違い彼女を大切に育てていたようだが』

アイン「わかりました、なら話しましょう」

女王『頼む』

アイン「話は私が生身の左手と左足を失ったところから始まります」

女王『それは聞いたな、そういえば』

アイン「退院してそのまま私は施設を首になりました」

女王『なるほど…』

アイン「で、施設を出る日に後に私がセラと名付ける竜の子供が処分される所に出くわしました」

女王『…』

アイン「私は手足を失ったときからあることを考え、彼女を見つけて決心が固まりました」

女王『償い、か?』

アイン「ええ、直接的ではないとは言え竜に酷いことをした。だからこれからの人生を償いのために生きようと。」

女王『なるほど…』

セラ『私は、その時からだが弱い上で能力も低かったから…』

アイン「そこから、彼女としばらく過ごしてリハビリがてらに鉱山に行ったりしてある日今の墓場の向こうにある泉へ行くと声が聞こえてきたんです」

女王『声?』

アイン「それは、その泉にいた水と氷の守護竜の声でした」

女王『あいつか…』

アイン「それから守護竜と対話をしてその泉の洞窟にあった超高濃度の水と氷の魔力の宿った結晶を貰い、セラはそれを食べて取り入れたんです」

女王『なるほど…』

アイン「それからしばらくして、次は天の柱に向かいました」

女王『…』

アイン「そのまま天の柱を上っていくと風と雷の守護竜とも対話を果たしました」

女王『その流れだと…』

アイン「ええ」

セラ『アインさんは、苦しんでたし誠実に全部言ったからだと思う』

アイン「それから、大地の守護竜と炎の守護竜の所にも行って同じようにしました」

女王『しかし、解せぬな』

アイン「というと?」

女王『普通なら属性が打ち消し合うか身体が耐えきれずに破綻するが…』

アイン「それがセラの特異点であり特殊な力。彼女は元々の能力がそこまで高くなかった代わりに力の拡張性が非常に高かったんです」

女王『だから四大元素の力を身体に内包できたのか…』

アイン「二つ目辺りからそうではないかと思っていて三つ目で確信に変わりました」

女王『なるほど…』

アイン「それから彼女は竜疫癘、具体的に言うなら呼吸器に感染してしまった竜腐病に感染しました」

女王『!』

アイン「で、守護竜たちに治すためのなにか手がかりはないかと聞きに行って、四つの属性を極めたら手がかりの条件のひとつを満たすと聞いて、実践形式で四大元素の力を叩き込んで貰いました」

女王『なるほど…』

アイン「炎の守護竜の試練を終えてそのまま資格を得たので天空竜の所に向かいました」

女王『まさか、光と闇の力も!?』

アイン「ええ、正確に言えば試練の片方は自分が受けました」

女王『無茶をする…』

アイン「そうでもしないと…」

女王『で、その様子だと試練は合格できたようだな』

アイン「義手と義足はお釈迦になりましたがね…」

女王『それで済んだなら…』

アイン「天空竜も途中からは竜にする試練と同等なことをしたと言ってました」

女王『お前、本当に人間か?』

アイン「一応」

女王『そこで、手がかりを見つけて…』

アイン「ええ、四大元素の力を極め絆を結んだ証として手に入った珠と天空竜の試練を合格した証の珠が合体して、仙竜郷への道が示されたのでそのまま向かいました」

女王『なるほど…』

アイン「治療が成功して退院から数日後には帰ってきました」

女王『能力を取り戻したから早いわけか』

アイン「そうなります」

女王『帰ってきてから昨日まで何を?』

アイン「守護竜と天空竜にお礼巡りをしてました」

女王『なるほど…』

セラ『でも、アインさんは私を野生に返そうとしてました』

女王『償いが終わったと感じたか?』

アイン「それもそうですがこのまま過ごしていくと私はほぼ必ず先に死んでしまうこと。それなら今別れていれば悲しみは小さく済むと考えてました」

女王『愚かな…』

アイン「炎の守護竜と天空竜から説得されてそれをやめました」

女王『それがいい』


アイン「で、そのままこの国が変化したことを聞いて向かってきたら魔王とどんぱちやっててビックリでした」

女王『なるほど…』

アイン「それが解決して、帰った後に小屋に火が放たれて燃えてました」

女王『なるほど…そう言えばあの合成竜たちはいつ?』

アイン「仙竜郷に向かう前の日でしたね」

女王『なるほど…』

アイン「以上、ですかね」

女王『なるほど…』

アイン「なら、部屋に戻ります」

女王『ああ…』


























部屋に戻り、セラはどことなく憔悴している

アイン「大丈夫か?」

セラ『うん…』

アイン「…」

普通ではない、それだけはわかる。だてに付き合いは長くない。私はそのまま彼女を医者に連れていくが、そこで驚くことになった

おわり
20/09/22 23:48更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

次回に続きます

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