連載小説
[TOP][目次]
王の涙、そして…(???→ゲイザー(亜種))※今回、魔物になる前の王の殺人描写あり
響「…?」

そのまま少し待つと猟師らしき人間が数人来たようだ

響「貴殿方は?」

???[やはりあの化け物には仲間がいたか…]

響「彼は戦う気はない、自分が接しているので手だし無用です」

???[貴様も仲間か…]

王『…』

???[死ね!!]

奴らの一人が俺に発砲してきた

響「っ!!!!」

銃弾が胸中央に直撃して俺は倒れる

王『!!!!!!!!』





















封じられし王side

王『…』

我を恐れるわけでもなく諂うわけでもない、この男は面白い存在だ…

王『!!!!!!!!』

この男は我と関係ないと言って保身に走ることもできた、しかしこの男はそれをしなかった。それどころか…

王『…』

奴はおそらく飛び道具の弾に当たり倒れてしまった

王『!!!!!!!!』

この男は、我を売らず最後まで対話を果たそうとしてくれた…

王『やはり、殆どの人間も魔物も変化していないか…』

我が抱いた感情は、初めて抱いたものだ。それは…

王『許さんぞ…!!!!』

我の身体が変化を始める

王『…』

霞んだ視界だけでなく視界がさらに多くなった、おそらく眼が増えたのだろう…

王『!!!!!!!!』



響side

響「…」

どうやら首に掛けていた王に会うための素材である鍵が弾除けになって生きては居るらしい…

響「!?!?」

王の身体が変化していく…

響「…」

王は俺が死んだ(王はそう思ったらしい)事に顔にある一つの大きな眼から一粒の涙を落としていた、次に眼が行ったのは頭や背中だけではなく、腕や尾にもトゲか刃のようなものが増え、、太股や前腕部、そして尾の根本部分からみた三分の一と先端部から見た三分の一部分、そして胸に眼が追加され尾の先端部からも爪と同じ赤黒い液体が垂れ大きく切り込みが入ったような口は口角を上げていた

王『死ね』

そのまま王は猟師らしき人間の一人を爪で切り裂く、すると…

猟師[がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!]

切り裂かれた猟師は一瞬で溶けて悪臭を放ち崩れ落ちる

響「!!」

確かに封じられていたのも頷ける凶悪な力だ…

王『…』

猟師たちは逃げようとするが動けないようだ

王『我が眼に睨まれし者に待つのは、死と破滅のみだ!!!!』

もう一人の猟師らしき人間は尾に貫かれて上半身の中央部に大穴が空いた

響「…」

俺が感じたのは、恐怖でもなければ可哀想という感情でもなかった

響「すげぇ…」

王『なにか言い残すことはあるか?』

最後の一人に迫り、王は言う

魔物『やっぱり…』

どうやら魔物たちが追いかけてきていたらしい

王『貴様らもこうなりたくないならそこで怯え震えていろ』

魔物『彼、どうやら生きてるみたいよ?』

王『何だと?巫山戯たことを言うなら貴様らから滅されるか?』

響「王、自分一応生きてます…」

王『どう言うことだ?』

響「彼女らが俺に貴方と対話できるための道具として渡した鍵が弾除けになったようです」

そのまま鍵を見せる

王『そうか…良かった…』

猟師[化け物が化け物を憐れむかよ…!]

奴は嘲笑している

響「…」

そのまま気がつくと奴の喉元を掴み指を突き立てていた

響「対話の可能な存在を最初から敵視する地点でお前のほうがよほど醜い、王が手を下すまでもない…」

そのまま俺は気管支に狙いを定め指を深く食い込ませる

猟師[か…は…ぁ…]

魔物『落ち着いて!!』

響「俺はこいつらに殺されかけたんだ、殺して良いのは殺される覚悟のある奴だけだろ?」

王『ほう、確かにその考えは我も同意だな』

魔物『…貴方が手を汚す必要はないわ』

響「いや、報復と言うのはされた側がやってこそ意味のあるものだろ」

魔物『どうか…どうか殺さないで…』

響「お前たち魔物は人間にたいして性善説を信じているが、人間はそこまでたいした存在と言えるか?ましてや話も聞かずにこちらは撃たれた、例えここでこいつの息の根を止めたとしても精々過剰防衛だろうしな、止めるメリットは?」

魔物『…』

響「答えろよ」

魔物『ごめんなさい…』

響「謝るべきは俺ではないだろう」

魔物『え?』

響「自分達の都合で解放して都合が悪くなったら封印、お前たちが謝るべきは俺ではないだろう?」

魔物『!!』

王『謝罪に価値はない』

響「ですよね」

そうしていると銀髪で紅い眼の魔物が俺たちのところに来た

魔物『貴方が…』

王『その眼、その髪色、魔王の系譜か…そこは刻が経とうと変わらないか』

魔物『えぇ、私は魔王の娘よ。』

王『その娘が何の用でここに来た?』

娘『貴方達に是非とも会いたいと言う時代の存在から迎えに行くように頼まれたのよ』

王『さしずめ、魔王か…』

娘『話が早くて助かるわ』

響「…」

ほんの少しだけ食い込ませる指の力が緩む

響「どうしますか?」

王『ならば一度それは保留だ』

響「了解しました」

そのまま手を離す、すでに意識を失う寸前だったらしい






















案内された先に居たのは書物にあった魔王とその旦那そのものだった

王『何の用だ?』

魔王『久しぶりね』

王『よくもまあぬけぬけと言えたものだ、袋叩きにして封印した先導者が』

魔王『あのままだと生き物が根絶やしになりそうだったから仕方なかったのよ…!!』

彼女は眼に涙を浮かべている

王『…』

魔王『貴方はかつて主神と対をなしていた原初の破壊を司る神から作られた神獣、そして今のゲイザーという魔物の始祖に当たる存在であのままだと生き物が根絶やしになりそうだったから…』

響「なるほど、道理であんな凄まじい力を…」

王『いや、あれでもかなり加減した。貴様の墓を作るためにあれらに苦痛に満ちた死を与えるだけに力を抑えた。』

魔王『本当に、本当にごめんなさい…』

魔王とが崩れ落ちるようにへたり込み頭を下げる

王『謝ったところでまた我を封印するのだろう?』

魔王『その話だけど』

王『?』

魔王『貴方も私達の魔力を受け入れて欲しいの』

王『貴様らに屈しろと?さんざん袋叩きにして封印した貴様らの力を受け入れろというのはそういうことだが?』

魔王『そうすれば、壊したり殺したりする力以外にも手に入るわ…』

王『ほう』

そして王は俺を見てくる

響「??」

王『響、貴様はどう思う?』

響「何故俺の名前を!?」

王『先ほど貴様をそう呼んでいた者が居た、違うのか?』

響「いや、あってます…」

王『ならば、どう思う?』

響「貴方の好きにしたら良いと思います。俺はその事に口は出しません。俺はあくまでも貴殿方の時代の存在ではないので」

王『なるほど、なら…』

王は俺の胸に掌を当てた

響「なにを!?」

王『我が力の複製を与えた、仮に何か余計なことをすれば響が貴様らの首を狩りに行く。』

魔王『…』

王『新たな力の分岐なら、受け入れるのも悪くはない。だが余計なことをすれば…』

魔王『えぇ、そうならないようにさせてもらうわ…』

魔王は泣きながらも顔は笑っていた





















王『!!』

そのまま王に巨大な紫色の魔力の塊が落ちてきた、受け入れる儀式なのだ。

王『…』

その塊が全て王のなかに入り更なる変化が始まる…

王『これが、新たな我か…』

王の変化が終わると、長身で単眼の魔物に変わっていた

響「王から女王になってるし…」

王『確かに、な…』

魔王『とりあえず今日は泊まっていって』

王『…』

そのまま女王は頷く











響「どえらく変わりましたね」

王『確かに、な』

彼女はおそらくゲイザーに変わったらしい、規格外の力を持ったゲイザーだろうが

響「…」

鋭い爪は魔力というかオーラ的なものに、刺々しい髪や背中部分もオーラ的なものに、たくさんの眼はゲイザーのグネグネに集約されたらしい

王『響』

響「はい?」

王『いつまでも王だとは呼びにくいと思うが』

響「確かに」

王『最後まで対話を果たそうとしてくれた響に名前を着ける権利をくれてやる』

響「!」

予想外の大役に俺は驚く

王『気にしなくてもよい、響、お前は我がいまのところ多少なりとも信用する存在だ。失望させるなよ?』

響「!」

必死に考えてひねり出したのは…

響「レイナ…」

王『何故その名を?』

響「貴方は王だ、そして意味のある女性の名前として浮かんだのが外国語で女王という意味のレイナです。」

王『なるほど…良かろう。我はこれからレイナだ。』

響「…」

承諾され何とか息を吐く

レイナ『では…』

そのままレイは近づいてきた

響「??」

レイナ『響』

響「はい?」

レイナ『我は先程響が倒れたとき、これほどの力を持とうと死に逝くお前に何も出来ない自分へ憎悪が沸き上がった』

響「…」

レイナ『そして、響が生きていたことで本当に初めて安心という感情が来た』

響「…」

そのまま聞く

レイナ『本当に良かった』

響「奇しくも貴女が憎む相手である存在から渡された鍵で命を繋げた、皮肉ですよね」

恐らく顔は苦笑いだろう

レイナ『その程度で奴らを許しはしない』

響「まあ、千年も閉じ込められてればそうもなりますよね…」

レイナ『しかし』

響「??」

レイナ『我を恐れはしないのか?』

響「全く」

レイナ『あれだけの力と言っていたが』

響「何て言えば良いですかね…」

レイナ『?』

響「あのときに見せた力に俺が感じたのは恐怖でも自分に向けられたときの絶望でもないんです」

レイナ『ほう』

響「何と言うか、敬意とか感謝とかが混ざったものです」

レイナ『なるほど…やはり響は変わっているな』

響「かもしれないですね」

レイナ『…』

女王は俺をみている

響「??」

レイナ『響』

響「はい」

レイナ『姿が変わっても、側に居てくれるか?』

響「望むなら」

レイナ『なら、側にいて欲しい』

響「了解です」

レイナ『我を唯一恐れも悪意もなく接したただ一人の存在、思えば我は響に出会うまで一人だった』

響「…」

レイナ『一人で敵を滅し、恐怖と悪意に歪んだものを滅し、そして封印された…』

響「…」

レイナ『それから長い長い月日を遺跡で過ごした、あの部屋にあるものは埃一つでさえ覚えているほどに』

響「偶然とはいえ、見つけたのが…」

レイナ『そう、響だ』

響「なるほど…」

レイナ『思えば、奪ってきたことはあれど向こうから来たものはなかった』

響「…」

レイナ『そして、あのときに失われてしまった。そう我は思いせめて仇を射とうとしたら、姿が変わっていた』

響「なるほど…」

レイナ『散々命を奪い、滅ぼしてきた我が皮肉なものだ…』

響「それが魔物なんじゃないかと」

レイナ『そうだな…』

響「???」

何か物が奥歯に挟まったような言い方、なんだろう…?

レイナ『響』

響「??」

レイナ『…』

彼女は俺をみている

響「?」

レイナ『これが、愛か…』

響「え」

レイナ『響』

響「は、はい」

レイナ『お前を、誰にも渡したくない。この場所は餓えた女共がたくさんいる』

響「でしょうね」

レイナ『お前は我が持たないものを与えてくれた』

響「…」

レイナ『たくさんの命を奪ってきた、お前の目の前でも人の命を奪った、そんな我が言うのも…』

響「…」

そのまま俺は彼女に向き合う

響「俺は、貴女が憎む人間と同じ種族だ」

レイナ『違う!!!!』

彼女は物凄く威圧感と剣幕で言う

レイナ『お前は我を売り保身に走ることもできた、我から逃げることもできたはずだ』

響「まだ相手の事も知らないときだった、それにそんなことをすれば貴女のいた世界の人間と同じだ」

レイナ『…』

響「それに、魔物たちから頼まれた。自分達の話は聞かないかもしれないけど俺なら話を聞いてくれるかもしれない。状況の説明だけでもして欲しい。とな」

レイナ『それは自分達が逃げるための時間を稼げ、ダメだったときの贄としての役目をしろ。と言ってるようなものだぞ?』

響「でしょうね」

レイナ『?』

響「でも、そこまでの存在なら見てみたい。そして会話が可能なら少なくとも俺のいた世界には貴女からは手を出さない。と俺は考えました」

レイナ『保身の生け贄にしたつもりが逆に利用していたと言うことか』

響「もしあの本の通りに不意打ちで封印されたなら恨んでるのが普通と考えたので」

レイナ『なるほど…』

響「まあ、変化をしていることは伝えなければならないとも思いましたが」

レイナ『…』

響「で、貴方は一度見てみてから行動を起こすと示してくれた」

レイナ『なるほど…』

響「もし出方が違えば保身していたかもしれない」

レイナ『なるほど…なら…』

響「??」

レイナ『人間を捨て我と同じ刻を過ごす覚悟はあるか?』

響「…」

そのまま頷く

レイナ『なら…』

響「そういえば」

レイナ『?』

響「あの猟師を爪で切り裂いたときなんでいきなり溶けたんだろう…」

レイナ『我は体内に毒を溜め、それを濃縮して混ぜることで新種の毒を創ることができる』

響「なるほど、それでいきなり溶けたのか…」

レイナ『溶けたとは少し違う、あれはわかりやすく言うなら腐敗毒だ』

響「腐って溶けたのか…なるほど…」

レイナ『安心しろ、我はこの力を制御できる。誰がお前にその力を使うか』

響「なら、本当に安心」

レイナ『ふふ…🖤』

そのまま彼女は粘液で作られた元々の姿の装甲を背中側に戻していく

響「…」

彼女の肢体が明らかになる

レイナ『どうだ…?ちゃんと魔物になっているか…??』

響「元の原型殆ど無い…」

レイナ『…』

彼女の肢体は異界の女神と言えるように美しい

響「綺麗だ…」

母性を強調するまるでスイカの入っているような胸、それとは真逆に余計なものがなく細い腰、はっきり言って俺が手を出して良いように見えない

レイナ『…🖤』

そのまま彼女は近づいてくる

響「…」

レイナ『我のものに、なってくれるか?』

響「…もとより、貴方に殺されることも覚悟の上。喰らうなら遠慮無くで大丈夫です」

レイナ『性的に、もか♪』

響「貴女が、望むなら」

レイナ『なら…🖤』

そのまま俺は仰向けに寝かされた

響「…」

すっかり男性器は臨戦態勢だ、現金なものだ…

レイナ『なら…🖤』

そのまま俺に跨がり彼女は腰を落とす

響「!!」

レイナ『我の中は、良いようだな…🖤🖤』

そのまま彼女は俺に貪るようなキスをしてくる

響「んんん!!!!んんんんん!!!!!」

そのまま彼女に精を捧げる…

レイナ『ん…🖤🖤🖤』











レイナ『この感覚、初めて敵を滅したとき以上だ…🖤🖤』


響「はぁ…はぁ…」

レイナ『そしてこの精と言うものは、本当に…🖤』

響「不味くないなら、良かった…」

レイナ『初めて仕留めた獲物以上に美味だ…🖤🖤🖤』

響「なら、本当に良かった…」

レイナ『だが、まだ満たされぬ…🖤』

響「千年も飲まず食わずですしね」

レイナ『まだ、良いか?』

響「もちろん、貴方になら骨の髄まで喰らわれても本望ですから」

レイナ『…🖤🖤🖤』










あれから俺は何日も彼女に貪られ、彼女を貪った

レイナ『良いぞ🖤もっと🖤もっとだ🖤🖤🖤』

いま俺は彼女を突き上げながら大きくも下品さの無い胸に吸い付いている

レイナ『我の乳は美味いか?🖤🖤』

響「もちろん…」

レイナ『ふふ…🖤🖤やはり響は最高の男だ…🖤🖤🖤我がたくさんの命を奪ったと知っても態度を変えずに居てくれる…🖤🖤🖤』

響「俺のたった一人の主にして俺の大切な妻です…当たり前でしょう…」

レイナ『敬語はやめろと言うのに…🖤』

響「なんか染み付いているので…」

一度吸い付くのをやめて口を離す

レイナ『だが、我を満たす唯一の存在🖤絶対に手放してなるものか…🖤🖤』

彼女は愛おしげに棟の間に収まったおれの頭からうなじを撫でる、そこにはかつて封印されるほどの凶悪さや無慈悲さをもつ怪物の姿はない

響「…」

怪物と呼ばれた一つの存在は、千年の刻を経てやっと欲しいものを得られた。そして俺にも幸福を与えてくれる…

おわり







20/08/18 10:59更新 / サボテン
戻る 次へ

■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

今回の話はいかがだったでしょうか?

御意見、御感想、批評などありましたらよろしくお願いいたします

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33