連載小説
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文化祭とコンテストと青年達
夏休みが終わり、中間試験の後はすぐ文化祭だから俺の居る短大は忙しい。

そして文化祭の前日の話

「さて、買い出し行くわ。」

『何を買って来るの?』

「メモもらった、大丈夫。」

『そう、なら私達も行くわ♪』

「一気に3人も抜けたらマズいだろ…。」

『大丈夫よ、もう私達のやることは終わったから♪』
「早っ。」

『それに、人数が多い方が早く終わるだろう?』

「確かに。」

俺は3人と買い出しに行くことにした。

「さて、着いたな。」

『何を買うの?』

「基本的には食材と型だな。」

『そういえば私達のクラスはカフェだったわね。』

「らしいな。」

『まぁ私達は裏方でおしまいだけど。』

「まあクラスにはキキーモラとか居るしウェイトレスは彼女達に任せたら大丈夫だろうからな。」

『だから私達の仕事は結構量が多かったけどパパっと終わらせたわ♪』

「文化祭を全力で楽しむ為か。」

『そういう事ね〜。』

「俺も基本的には荷運びと買い出しだからな、相手が居る男はウェイターから外されるし。」

『そうね♪』

なんだかんだ話しながら必要な素材を集めて買ったので一度短大に帰ることにした。

「これでいいか?」

「全部揃ってる、大丈夫。」

「なら帰るわ。」

「今日までお疲れ様、明日からの文化祭、楽しむといい。」

「ああ。」

俺達は解散になったのでブランの別荘に戻ることにした。

『なら帰りましょう?』

「だな。」








とりあえずブランの別荘に戻った俺は部屋で確認をした。

「パーツよし、小物よし、アクセサリーよし。」

『何をしてるの?』

「明日のコスプレコンテスト、出ようと思ってな。」

『モンハンのコスプレ?』

「レギオスX一式にローグレギオン装備にした。」

『統一感は高いな、見た目もかなりの再現率だ。』

「だから中間試験の成績は赤点ギリギリだった。」

『気合い入れすぎ。』

「鱗が重なってるところは一枚一枚金属を切り出して作ったからな、手間はかかった。」

『本格的ね〜。』

「軽い金属の板に色を塗装して、塗装が剥がれないように調整して、切り出して、金属用接着剤で張りつけるのを繰り返して作った。」

『そういえば貴方の師匠さん、コスプレの道具の作り方も教えてくれたって言ってたわね。』

「ちなみにローグレギオンの方は刃がないだけで金属製。」

『ちょっと、それ危なくないかしら〜?』

「俺だったらその気になれば犠牲者出せるかもな。」

『しないわよね?』

「何とも言えない。」

『?』

「3人を貶されたり傷つけられたりしたらやるかも。」

『嬉しい半分恐ろしい半分だな。』

「さて、後はインナーとくっ付けるだけだ。」

『下から出ている布地か。』

「そういう事。」

『本格的に作ってあるな。』

「師匠の教え方が良かったんだ。」

『もしお師匠さんが生きていたら、貴方はこういう風に小道具を作っていたのかもしれないわね。』

「…かもな。」

『あ、ごめんなさい。』

「…いくら嘆いても悲しんでもあの人が戻って来るわけじゃない、だけどあの時に俺があんな軽率な事をしなければこんなことにはならなかったんだろうかとはときどき思う。」

『深く突き刺さってるわね…。』

「一生抜けないだろうな、俺が一生背負って行かなければいけない。」

『無理に引き抜けば貴方が壊れかねないわね…。』

「?」

『貴方が私達のことしか考えられなくなるまでしたらの話よ。』

「なにそれこわい。」

『こわいか?』

「そんなのは俺が俺じゃなくなる気がする。」

『そう考えるわけね。』

「ああ。」

結局、その晩は一睡も出来なかった…。








文化祭の当日、とりあえず短大に着いたので、コスプレコンテストの参加者用ロッカーに装備を入れてコンテストまで文化祭を回ることにした。

「さて、コンテストは昼過ぎからだから結構時間あるな。」

『どこ回ってみる?』

「さて、それが問題だ。」
『出店を回るもよし、イベントに参加するもよし、ただぶらぶらするもよし、やることは少ないが選んでからの選択肢が多いな。』

「だな。」

『って流石魔物娘の居る学校ね、フリー部屋なんてあるわよ。』

「ほぼ確実にいかがわしいことする部屋じゃないか」

『行く?』

「頭の中にそれしかないのか…?」

『確かにな、午前中からするのは早い。』

「…(午後からならいいのかよ。)」

『なら魔界系の模擬店でも行く?』

「あそこのだだ甘い空気は苦手だ。」

『それ以上のことしてるのに?』

「それとこれとは別の話だ。」

結局、魔界系の模擬店以外の場所を回って時間を潰すことにした。

「さて、そろそろ時間だな」

『そうね〜。』

俺達はコンテストの会場に向かった。





「さて、着替えたし行くか。」

『行ってらっしゃい。』

「別に着いてきていいぞ?」

『そうなの?』

「近くの席に座れるらしい。」

『ならそうしましょう♪』
「んじゃ行って来る。」

俺はコンテストのステージに向かった。

「…。(みんなレベル高いな、入賞できないかも。)」
「あのモンハンの人、誰?」

「すごく作り込まれてるけど…。」

「(客へのサービスとして、抜刀から斬り下がりでもやるか。)」

俺は抜刀から斬り下がりまでのコンボを実演した。

「動きもなかなかのキレがあって本格的だ、誰だろう…。」

結局、準グランプリになったので努力の甲斐はあったと感じた。

「あの、レギオスさん。」
「?」

俺は振り向く。

「貴方は誰なんですか?」

「俺だよ。」

俺は頭防具を外した。

「え?ジュン?」

「そうだよ、分からなかったか?」

『ジュン〜、コンテスト準グランプリおめでとう〜。』

「あ、ああ。」

『私達の他の生徒や教師達は分からなかったようだ。』

「まあフルフェイスだしな。」

『景品何だったの?』

「正直、怖い。」

『?』

「とあるケーキ屋のタダ券なんだが、その店の一番売れてるメニューが凄まじいんだよ…。」

『?』

「ジャブジャブの無精卵とノームの畑で採れた小麦、ホルスタウロスミルクとアルラウネの蜜で生地を作り、さらにホルスタウロスミルクとハニービーの蜜で作られた生クリームを塗ってタケリダケエキスを配合したシロップを入れたバロメッツの果肉と虜の果実のシロップ漬けを刻んだものが中に入ってて上にもさらに虜の果実が乗ったおぞましいケーキだよ…。」

『確かにある意味おぞましいケーキね…。』

『食べたら狂うな。』

『もはや媚薬の塊みたいなものじゃないの〜?』

「だから持て余してるんだよ…。」

『なら買いに行きましょう?』

「聞いてなかったのか?」

『何もそのおぞましいケーキを買うとは言ってないわよ。』

「ならいいんだが…。」

『えぇ。』

この時3人は何か意味深な表情を浮かべていたが、俺は気付かなかった。








『これと、これと、これと、ジュンは何にするの?』

「このガトーショコラにするかな。」

『ならそれもください。』

「お買い上げ、ありがとうございます。」

結局、ブランはショートケーキ、セレナは木苺のタルト、ミーアはモンブランを買ったらしい。

『忘れ物したから少し待ってて。』

「分かった。」

ブランは忘れ物をしたので一回店に戻って行った。

「お釣りでも忘れたか?」

『どうだろうな?私には分からん。』

『まぁ待ってみたらいいわ、すぐに戻ってくるだろうからね〜。』

2分くらい経って、ブランは戻って来た。

『お待たせ。』

「なら、帰ろう。」

『えぇ♪』

何故か上機嫌なブランだったが、俺は特に気に留めなかった。
この結果が、後に狂気に繋がっているとも知らずに。
15/10/01 00:28更新 / サボテン
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■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

第16話、いかがだったでしょうか?

モンハンやFEifをやっていたり仕事が忙しくなって遅くなりました、申し訳ないです。


あと2話くらいで終わる予定ですが、次作の話を3つから迷っています。

・ とある傭兵の半生の後日談

・ 自殺したい人達と魔物娘との交流の話。

・ 全く関係ない話

で迷っています、もしやって欲しい話や他のリクエストがありましたらコメントお願いいたします。

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