明かされた過去とそれを聞いた3人の反応
3人が交代で俺の隣に寝ることになって1週間が経ったある静かに雨が降っている日の午後、ふとブランが質問をしてきた。
『そういえばジュンはどうしてこの短大を選んだの?あれだけの技術があるなら即技術者になれると思うけど。』
「高校の時に、ちょっとな。」
『何かあったのか?』
「知りたいなら話すけど、後悔しても知らないぞ?」
『後悔?』
「自分が好意を持った男がそんなことをしていた過去があるのかってな。」
『…分かったわ、少し考えるわね。』
「結論が出たら携帯に掛けてくれ、俺はカフェで本でも読んでるから。」
『分かったわ。』
俺は下の階にあるカフェに向かった。
「さて、聞いてくるかそれとも…。」
カフェでストレートティーを飲みながら本を読んでいると、久しぶりに聞く声が俺の読書を中断した。
『また会ったの、青年よ。』
「あんたか。」
『今度の本は、随分分厚いの。』
「この本はいろいろな著者の話を集めた総集編みたいなやつだ。」
『なるほど。』
「ジャンルも、ギャグや日常を描いたものから愛憎劇や報復劇まで様々だ。」
『報復劇だけではないのか。』
「いくら毒が必要だって言っても限度はあるからな。」
『毒だけでは生きては行けないのは確かじゃな。』
「で、何の用だ?」
『最上級クラスの妖魔3人の好意を受けながら昼下がりにお主1人で居るのが気になった。』
「あんたがどこまで知ってるかは知らないが3人が俺の過去について聞きたいと言って来たから本当に聞く覚悟があるか、聞いて後悔しないかを考えるように言って3人だけでじっくり話し合ってもらうために1人で来た。」
『なるほど、ついにその時が来たか。』
「まぁ、どっちに転んでもこのままってことはないだろうけど。」
『じゃな。』
と話していると電話がかかってきた。
「お、意志が決まったらしいな。」
『そうか、なら行くのじゃ。』
「言われるまでもない。」
俺はアイシスと分かれ、部屋に戻った。
「決まったのか?」
『えぇ、このままだとジュンのことを知らないままになりそうだから。』
「後悔するなよ?」
『しない、後悔が怖くて伴侶候補の過去を知ろうとは思わない。』
「なら話す。」
『えぇ。』
俺は自分の過去を話し始めた。
「4人、これが何の数字か分かるか?」
『それだけだとわからないわ〜。』
「ならもう少し詳しく話そう。」
『そうしてちょうだい。』
「俺は幼稚園の頃から高校を卒業するまでいじめを受けていた。」
『辛かったでしょう…。』
「俺は感情が昂ぶり過ぎて振り切れると異常なまでの凶暴性と残虐性が出るらしい。」
『そ、う…。』
「俺がそれに気付いたのは小学生の時だったな。」
『貴方って確か20歳よね。』
「あぁ。」
『まさか8年前に起こったあの事件って…。』
「俺がやった。奴は今でも植物状態だ。」
『さっきの4人って…。』
「俺が今まで再起不能にした人間の数だ。」
『え!?』
「小学生の時に1人、中学の時に2人、高校の時に1人再起不能にした。」
『うわぁ…。』
『ならなぜジュンは補導されなかったんだ?』
「「こうなるまで気付かない訳がない、無能な教師連中と教育委員会に責任があるのでは?」と今の魔王が俺を助けてくれたんだ、俺のいた地方であの時は魔物娘がまだ少なかったからな。」
『無罪放免になったの?』
「凶暴性をコントロールするトレーニングをすることになった、そこで俺の人生を変える師匠と出会った。」
『それはいつの話?』
「中学2年の春だ」
『そう、それからどうなったの?』
「師匠のもとで凶暴性のコントロールをやることになった、中学卒業までには何とかできるようにはなったんだ。」
『ならどうして高校の時に再起不能にしたの?』
「あの日、俺は師匠と昼ご飯の買い物行ったんだ。」
『そう、それから?』
「しばらく歩いて、俺はいきなり後ろから突き飛ばされた。」
『?』
「師匠が俺を庇って車に撥ねられたんだ。」
『いくら撥ねたからって…。』
「奴は飲酒運転をしていた、しかも師匠を見殺しにして通報した俺をあまつさえ罵って殴ってきた。」
『そりゃ感情振り切れるわよね…。』
「気がついたら俺は奴を半殺しにしていた、今でも奴は首から下が動かない上心も壊れたらしい。」
『えぇ!?』
「俺が作っていた課題レポートの作品も師匠が俺の為に作っておいてくれたデータを俺が形にしたものだ。」
『どうしてジュンのお師匠さんは更に力を強化するような真似を?』
「師匠は言っていた。「お前の力は、何かを守る為の力にすれば強力なものになる」ってな。」
『凶暴性さえも何かを守る為の力に変える、目のつけどころが違うな。』
「師匠には凶暴性のコントロールの他にも、たくさんのことを教えてもらった。」
『例えば?』
「戦いに関することなら格闘術や力のロスを抑える方法、それ以外なら料理や裁縫、洗濯みたいな家事とかコスプレ用の道具の基本的な作り方も教えてもらった。」
『たくさん教えてもらったのね。』
「後は今の俺の考え方ややり方も師匠譲りだ。」
『そうだったのね。』
「とりあえずこんなところかな。」
『私達は、ジュンを誤解していたみたいね。』
「…(まぁそうだろうな)」
『ジュンがそんなに辛い過去を背負っていて、さらに心の中の凶暴性とも戦っていたなんて思わなかったわ。』
「俺に嫌悪感や恐怖、憎悪を持ったなら離れて構わない。」
『持つ訳がないだろう。』
「!?」
その瞬間、俺はセレナに抱き抱えられた。
『痛かっただろう、辛かっただろう、身体も、心も…。』
「今となっては俺の過去だ、痛みも苦しみもな。」
『ジュンがただのんびりしてるだけの男じゃないことが分かったわ〜。』
「まあ俺もいろいろあったんだよ。」
『力だけじゃない、今までのことを全部背負って生きてる強さが私達を引き寄せたのかもしれないわね。』
この時はまだこの凶暴性を使う時が来るとは俺は思っていなかった。
翌日…。
「トイレ行ってくる。」
『分かったわ。』
俺達はショッピングモールに来ていて、俺はトイレに行き、戻って来るとブランが叫んでいた。
「どうした!」
『セレナが、攫われたわ。』
「…。」
『ごめんなさいね、私達が何とかしようと思ったんだけど…。』
「ブラン、ミーア。」
『なに?』
「その攫った奴らはどこに行ったか分かるか?」
『ごめんなさい、私達にはわからないわ…。』
それから3分くらい経って、セレナからメールが届いた。
「さいそうこ?」
『もしかしたら廃倉庫じゃないかしら!?』
「この近くの廃倉庫って、あそこだな。」
『ジュン、乗り込むの?』
「ブランとミーアは先に行っててくれ。」
『分かったわ、ジュンはどうするの?』
「必要なものを取りに行く。」
『分かったわ、できるだけ早くね。』
「あぁ。」
ブラン達は倉庫に先に向かい、俺はホテルに必要なものを取りに行った。
「師匠…俺に力を、貸して下さい…。」
その頃ブラン達は先に倉庫に着いていた。
『貴方達、彼女をどうするつもりなの?』
「これ以上近づいたらこいつの身体を切り刻む!」
『…(せめて夜まで持ちこたえられればチャンスは、ある。)』
「念には念を入れて」
バヂッ!
『!?』
「これで意識はしばらく戻らないだろう。」
『どこまでも、人間のクズね…。』
「おっと手が滑った〜」
セレナの腕に一筋の傷が入る。
『…(ジュン、早く来なさいよ…。)』
その頃、俺は必要なものを持ち倉庫に向かっていた。
『青年よ!』
「なんだ、今忙しい!」
『廃倉庫に行くんじゃろ、送ってやる。』
「助かる。」
俺はアイシスに魔法で飛ばされて廃倉庫の裏口に来たようだ。
「!」
俺は一足遅かったことを悟りもう一度だけ自分の凶暴性を自分のものとして使う覚悟を決めた。
「お前ら…。」
『ジュン!』
「やっとお出ましか。」
「あの時のクズか。」
「はいまた手が滑った〜」
「…」
俺は護身用に作られた双眼鏡タイプの武器から電撃のレーザーナイフを出して投げた。
「がっ!あぁぁぁぁぁ!!」
「お前ら、覚悟しろよ。」
俺はコントロールしていた凶暴性をもう一度使う決意を固め、解放した。
『!?』
「やれ、やっちまえ!」
「全員、殺す。」
俺は、もう1つの護身用の武器を右手に付け、手甲に変えてスイッチを入れた。
「はぁっ!」
ゴッ!バンッ!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
俺は強化された拳で奴らを叩きのめして行った。
「お前が最後だ。」
「くたばれ!」
奴は銃を発泡したが、俺は気にせずに奴をひたすら殴った。
「女の子の身体ってのはな!お前みたいなクズが簡単に傷つけていいものじゃぇんだよ!」
俺は出力を最大一歩手前にして奴を渾身の力で殴った。
バガガガガガガガガァァァァァァァァァン!
「セレナ、大丈夫か?」
『あ、あぁ…。』
「っとっと…」
俺は久しぶりに暴れたのでふらふらしてしまった。
『ジュン、とりあえず大丈夫なの!?』
「これがあったからな。」
『それって、ロケットよね?』
「これがあったから衝撃だけで済んだ。」
『ジュンのお師匠さんが助けてくれたのね〜。』
「そのようだ。」
それから俺はブランに支えられながらホテルの救護室に行った。
『はい、担当のシンシアです。』
「うでがものすごく痛い、診て欲しい。」
俺はシンシアの診察を受けた。
『ひどい肉離れと人差し指から小指まで根元の関節が粉砕骨折してるわよ。』
「道理で痛いわけだ。」
『治るの!?』
『こっち。』
「?」
『高濃度の治療液を入れた治療プールよ、入って。』
「分かった。」
それから4時間くらい浸かって、無理をしないなら大丈夫なくらいに回復したようだ。
『あと3日くらいは無理をしたらダメよ。』
「分かった。」
『お大事に。』
俺は救護室から出て奴らのその後を聞いた。
『あいつら、みんな指名手配される直前だったみたいよ。』
「本当のゴミだった…。」
『だから無罪放免よ♪』
「逮捕に協力したからか。」
『みんな再起不能だって言ってたわよ〜。』
「良かった、死んだら殺人犯になるところだった。」
『問題はそこなのか!?』
「セレナ!大丈夫か?」
『いや、お前の方が重傷だろうどう見ても。』
「大丈夫、3日で治る。」
『そうか、良かった。』
とりあえず俺にある凶暴性は誰かを守る為に使うことができたらしい。
「くっつくなよ…。」
夜、俺はセレナに思い切り抱き付かれながら寝るハメになった。
翌朝…
『そういえばジュンが使ったあの武器って前に見せたのと何か違うの?』
「ちなみに俺が使うやつはもう2つ機能が追加された特別版だ。」
『特別版って…。』
「まだ1つは使えないけど。」
『もう1つは何なのよ…。』
「簡単に言えばグローブとかガントレットに近い。」
『手に着けて使うの?』
「そういう事。」
『ちなみにどんな使い方?』
「出力を4段階に調整出来る、生身の人間だと2段階目以降は腕が壊れる危険が伴う。」
『うわぁ…。』
「ちなみに1段階目でも威力は0.5トンはある。」
『もはや特撮とかの世界ね…。』
「計算だと生身の俺が1段階目の状態、渾身の力で殴ったらよほど鍛えてない限りは相手が人間なら良くて重症、悪くて死ぬ。」
『危ないわね…。』
「あの最後のやつは3段階目を叩き込んで腕がこの様だ」
『うわぁ…。』
「強化スーツがないと4段階目は腕が完全に壊れるけど護身用は相手を傷つけるものだからな。」
『やりすぎだけど確かにそうかもしれないわね…。』
俺は3人が凶暴性を受け入れてくれたことを驚きながらも安堵したのだった…。
『そういえばジュンはどうしてこの短大を選んだの?あれだけの技術があるなら即技術者になれると思うけど。』
「高校の時に、ちょっとな。」
『何かあったのか?』
「知りたいなら話すけど、後悔しても知らないぞ?」
『後悔?』
「自分が好意を持った男がそんなことをしていた過去があるのかってな。」
『…分かったわ、少し考えるわね。』
「結論が出たら携帯に掛けてくれ、俺はカフェで本でも読んでるから。」
『分かったわ。』
俺は下の階にあるカフェに向かった。
「さて、聞いてくるかそれとも…。」
カフェでストレートティーを飲みながら本を読んでいると、久しぶりに聞く声が俺の読書を中断した。
『また会ったの、青年よ。』
「あんたか。」
『今度の本は、随分分厚いの。』
「この本はいろいろな著者の話を集めた総集編みたいなやつだ。」
『なるほど。』
「ジャンルも、ギャグや日常を描いたものから愛憎劇や報復劇まで様々だ。」
『報復劇だけではないのか。』
「いくら毒が必要だって言っても限度はあるからな。」
『毒だけでは生きては行けないのは確かじゃな。』
「で、何の用だ?」
『最上級クラスの妖魔3人の好意を受けながら昼下がりにお主1人で居るのが気になった。』
「あんたがどこまで知ってるかは知らないが3人が俺の過去について聞きたいと言って来たから本当に聞く覚悟があるか、聞いて後悔しないかを考えるように言って3人だけでじっくり話し合ってもらうために1人で来た。」
『なるほど、ついにその時が来たか。』
「まぁ、どっちに転んでもこのままってことはないだろうけど。」
『じゃな。』
と話していると電話がかかってきた。
「お、意志が決まったらしいな。」
『そうか、なら行くのじゃ。』
「言われるまでもない。」
俺はアイシスと分かれ、部屋に戻った。
「決まったのか?」
『えぇ、このままだとジュンのことを知らないままになりそうだから。』
「後悔するなよ?」
『しない、後悔が怖くて伴侶候補の過去を知ろうとは思わない。』
「なら話す。」
『えぇ。』
俺は自分の過去を話し始めた。
「4人、これが何の数字か分かるか?」
『それだけだとわからないわ〜。』
「ならもう少し詳しく話そう。」
『そうしてちょうだい。』
「俺は幼稚園の頃から高校を卒業するまでいじめを受けていた。」
『辛かったでしょう…。』
「俺は感情が昂ぶり過ぎて振り切れると異常なまでの凶暴性と残虐性が出るらしい。」
『そ、う…。』
「俺がそれに気付いたのは小学生の時だったな。」
『貴方って確か20歳よね。』
「あぁ。」
『まさか8年前に起こったあの事件って…。』
「俺がやった。奴は今でも植物状態だ。」
『さっきの4人って…。』
「俺が今まで再起不能にした人間の数だ。」
『え!?』
「小学生の時に1人、中学の時に2人、高校の時に1人再起不能にした。」
『うわぁ…。』
『ならなぜジュンは補導されなかったんだ?』
「「こうなるまで気付かない訳がない、無能な教師連中と教育委員会に責任があるのでは?」と今の魔王が俺を助けてくれたんだ、俺のいた地方であの時は魔物娘がまだ少なかったからな。」
『無罪放免になったの?』
「凶暴性をコントロールするトレーニングをすることになった、そこで俺の人生を変える師匠と出会った。」
『それはいつの話?』
「中学2年の春だ」
『そう、それからどうなったの?』
「師匠のもとで凶暴性のコントロールをやることになった、中学卒業までには何とかできるようにはなったんだ。」
『ならどうして高校の時に再起不能にしたの?』
「あの日、俺は師匠と昼ご飯の買い物行ったんだ。」
『そう、それから?』
「しばらく歩いて、俺はいきなり後ろから突き飛ばされた。」
『?』
「師匠が俺を庇って車に撥ねられたんだ。」
『いくら撥ねたからって…。』
「奴は飲酒運転をしていた、しかも師匠を見殺しにして通報した俺をあまつさえ罵って殴ってきた。」
『そりゃ感情振り切れるわよね…。』
「気がついたら俺は奴を半殺しにしていた、今でも奴は首から下が動かない上心も壊れたらしい。」
『えぇ!?』
「俺が作っていた課題レポートの作品も師匠が俺の為に作っておいてくれたデータを俺が形にしたものだ。」
『どうしてジュンのお師匠さんは更に力を強化するような真似を?』
「師匠は言っていた。「お前の力は、何かを守る為の力にすれば強力なものになる」ってな。」
『凶暴性さえも何かを守る為の力に変える、目のつけどころが違うな。』
「師匠には凶暴性のコントロールの他にも、たくさんのことを教えてもらった。」
『例えば?』
「戦いに関することなら格闘術や力のロスを抑える方法、それ以外なら料理や裁縫、洗濯みたいな家事とかコスプレ用の道具の基本的な作り方も教えてもらった。」
『たくさん教えてもらったのね。』
「後は今の俺の考え方ややり方も師匠譲りだ。」
『そうだったのね。』
「とりあえずこんなところかな。」
『私達は、ジュンを誤解していたみたいね。』
「…(まぁそうだろうな)」
『ジュンがそんなに辛い過去を背負っていて、さらに心の中の凶暴性とも戦っていたなんて思わなかったわ。』
「俺に嫌悪感や恐怖、憎悪を持ったなら離れて構わない。」
『持つ訳がないだろう。』
「!?」
その瞬間、俺はセレナに抱き抱えられた。
『痛かっただろう、辛かっただろう、身体も、心も…。』
「今となっては俺の過去だ、痛みも苦しみもな。」
『ジュンがただのんびりしてるだけの男じゃないことが分かったわ〜。』
「まあ俺もいろいろあったんだよ。」
『力だけじゃない、今までのことを全部背負って生きてる強さが私達を引き寄せたのかもしれないわね。』
この時はまだこの凶暴性を使う時が来るとは俺は思っていなかった。
翌日…。
「トイレ行ってくる。」
『分かったわ。』
俺達はショッピングモールに来ていて、俺はトイレに行き、戻って来るとブランが叫んでいた。
「どうした!」
『セレナが、攫われたわ。』
「…。」
『ごめんなさいね、私達が何とかしようと思ったんだけど…。』
「ブラン、ミーア。」
『なに?』
「その攫った奴らはどこに行ったか分かるか?」
『ごめんなさい、私達にはわからないわ…。』
それから3分くらい経って、セレナからメールが届いた。
「さいそうこ?」
『もしかしたら廃倉庫じゃないかしら!?』
「この近くの廃倉庫って、あそこだな。」
『ジュン、乗り込むの?』
「ブランとミーアは先に行っててくれ。」
『分かったわ、ジュンはどうするの?』
「必要なものを取りに行く。」
『分かったわ、できるだけ早くね。』
「あぁ。」
ブラン達は倉庫に先に向かい、俺はホテルに必要なものを取りに行った。
「師匠…俺に力を、貸して下さい…。」
その頃ブラン達は先に倉庫に着いていた。
『貴方達、彼女をどうするつもりなの?』
「これ以上近づいたらこいつの身体を切り刻む!」
『…(せめて夜まで持ちこたえられればチャンスは、ある。)』
「念には念を入れて」
バヂッ!
『!?』
「これで意識はしばらく戻らないだろう。」
『どこまでも、人間のクズね…。』
「おっと手が滑った〜」
セレナの腕に一筋の傷が入る。
『…(ジュン、早く来なさいよ…。)』
その頃、俺は必要なものを持ち倉庫に向かっていた。
『青年よ!』
「なんだ、今忙しい!」
『廃倉庫に行くんじゃろ、送ってやる。』
「助かる。」
俺はアイシスに魔法で飛ばされて廃倉庫の裏口に来たようだ。
「!」
俺は一足遅かったことを悟りもう一度だけ自分の凶暴性を自分のものとして使う覚悟を決めた。
「お前ら…。」
『ジュン!』
「やっとお出ましか。」
「あの時のクズか。」
「はいまた手が滑った〜」
「…」
俺は護身用に作られた双眼鏡タイプの武器から電撃のレーザーナイフを出して投げた。
「がっ!あぁぁぁぁぁ!!」
「お前ら、覚悟しろよ。」
俺はコントロールしていた凶暴性をもう一度使う決意を固め、解放した。
『!?』
「やれ、やっちまえ!」
「全員、殺す。」
俺は、もう1つの護身用の武器を右手に付け、手甲に変えてスイッチを入れた。
「はぁっ!」
ゴッ!バンッ!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
俺は強化された拳で奴らを叩きのめして行った。
「お前が最後だ。」
「くたばれ!」
奴は銃を発泡したが、俺は気にせずに奴をひたすら殴った。
「女の子の身体ってのはな!お前みたいなクズが簡単に傷つけていいものじゃぇんだよ!」
俺は出力を最大一歩手前にして奴を渾身の力で殴った。
バガガガガガガガガァァァァァァァァァン!
「セレナ、大丈夫か?」
『あ、あぁ…。』
「っとっと…」
俺は久しぶりに暴れたのでふらふらしてしまった。
『ジュン、とりあえず大丈夫なの!?』
「これがあったからな。」
『それって、ロケットよね?』
「これがあったから衝撃だけで済んだ。」
『ジュンのお師匠さんが助けてくれたのね〜。』
「そのようだ。」
それから俺はブランに支えられながらホテルの救護室に行った。
『はい、担当のシンシアです。』
「うでがものすごく痛い、診て欲しい。」
俺はシンシアの診察を受けた。
『ひどい肉離れと人差し指から小指まで根元の関節が粉砕骨折してるわよ。』
「道理で痛いわけだ。」
『治るの!?』
『こっち。』
「?」
『高濃度の治療液を入れた治療プールよ、入って。』
「分かった。」
それから4時間くらい浸かって、無理をしないなら大丈夫なくらいに回復したようだ。
『あと3日くらいは無理をしたらダメよ。』
「分かった。」
『お大事に。』
俺は救護室から出て奴らのその後を聞いた。
『あいつら、みんな指名手配される直前だったみたいよ。』
「本当のゴミだった…。」
『だから無罪放免よ♪』
「逮捕に協力したからか。」
『みんな再起不能だって言ってたわよ〜。』
「良かった、死んだら殺人犯になるところだった。」
『問題はそこなのか!?』
「セレナ!大丈夫か?」
『いや、お前の方が重傷だろうどう見ても。』
「大丈夫、3日で治る。」
『そうか、良かった。』
とりあえず俺にある凶暴性は誰かを守る為に使うことができたらしい。
「くっつくなよ…。」
夜、俺はセレナに思い切り抱き付かれながら寝るハメになった。
翌朝…
『そういえばジュンが使ったあの武器って前に見せたのと何か違うの?』
「ちなみに俺が使うやつはもう2つ機能が追加された特別版だ。」
『特別版って…。』
「まだ1つは使えないけど。」
『もう1つは何なのよ…。』
「簡単に言えばグローブとかガントレットに近い。」
『手に着けて使うの?』
「そういう事。」
『ちなみにどんな使い方?』
「出力を4段階に調整出来る、生身の人間だと2段階目以降は腕が壊れる危険が伴う。」
『うわぁ…。』
「ちなみに1段階目でも威力は0.5トンはある。」
『もはや特撮とかの世界ね…。』
「計算だと生身の俺が1段階目の状態、渾身の力で殴ったらよほど鍛えてない限りは相手が人間なら良くて重症、悪くて死ぬ。」
『危ないわね…。』
「あの最後のやつは3段階目を叩き込んで腕がこの様だ」
『うわぁ…。』
「強化スーツがないと4段階目は腕が完全に壊れるけど護身用は相手を傷つけるものだからな。」
『やりすぎだけど確かにそうかもしれないわね…。』
俺は3人が凶暴性を受け入れてくれたことを驚きながらも安堵したのだった…。
15/05/06 17:14更新 / サボテン
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