別位の世界と同位の邂逅
降りしきる雨はやむ気配を感じさせない
男はそんな雨の中、深い森を歩いていた
ローブで身を包み、森の中を進んでいる
纏ったローブが湿り気を帯びていく
男は舌打ちを洩らすが構わず進み続ける
服に雨が浸透し始めたころ男は古い城跡を見つけた
これ幸いに男は古城に入り雨宿りをすることにした
古城の軋む入り口を押し開け男は中の様子を窺う
外から見た様子では人は住んでいるとは思えなかった
中の様子、その荒廃具合からすると確実であろう
だが、この世界には人以外にも魔物が存在する
その中には、このような廃墟を根城にする魔物も多くいる
男は安全を確認をした後、古城に潜り込んだ
男は出入り口の扉を背に剣の手入れをしていた
「人間よ、我が居城に何のようだ?」
いきなりの呼びかけに驚く男
警戒しつつ声の主の居場所を探る
「名声を欲したか、財宝に目が眩んだか・・・」
言葉と同時に男は前方へとっさに転がった
直後、男が元いた場所に何かが飛来する
その衝撃で石造りであった城の床が煙を上げ粉砕された
「いずれにせよ、死ぬがよい」
男は自分がいた方向に振り向く
もうもうと立ち込める砂埃
その中に立っていたのは炎のように赤い髪をした女だった
だがその額には短く捩れた角がある
さらに背からは翼、腰からは尾が生えていた
―――ドラゴン
地上の王者たる呼び名で知られる高位の魔物
本来ならば洞窟や山岳地帯に生息する魔物
男はそこで思考を一時中断した
なぜなら目の前のドラゴンからは明確な殺意が放たれており
その対象が自分であるからだ
男は握っていた剣を両手に持ち、意識を集中する
これから始まる命がけの戦い
そんな戦いを前にして男の表情は―――歪んだ笑顔であった
外の雨は勢いを増していく
大きな落雷と共に両者が動いた
ドラゴンは轟音と同時に男へと飛びかかる
男もドラゴンに向かって飛び出す
飛び込みながら男は剣を振りぬく
翼を使い、宙へと回避するドラゴン
そのままの勢いで回転し尾を勢いよく叩きつける
男は剣を振りぬいた反動でそのまま身体を転がしドラゴンの攻撃をかわす
ドラゴンは拳を握り、転がる男へと殴り掛かる
男は転がったままの無茶な体勢からドラゴンへと蹴りを放つ
蹴りはドラゴンの拳の側面に当たり、わずかに拳の軌道をずらした
頬を掠めるドラゴンの一撃
男は身体を起こし肉薄したドラゴンの頭に頭突きを食らわせる
ドラゴンがわずかにひるむ
男は隙を逃さず腹部を蹴り、ドラゴンを引き剥がす
ドラゴンは男から離れながら深く息を吸い込んでいた
それを見た男は咄嗟に左手に魔力を込める
次の瞬間、ドラゴンから灼熱の炎が撃ち出される
男は左手を突き出し、込められた魔力を解放した
左手から放たれたのは人の胴ほどもある炎の球
それがドラゴンの炎に当たると爆炎を上げ、壁となる
「我が炎を打ち消すと!?小賢しい!!」
そう叫ぶとドラゴンは炎をものともせず男に襲い掛かる
鋭利な爪を振るい、強靭な尾を打ちつける
だが、どれも男にかすりはしても傷にはならない
さらに男は武器を振るおうとせずただ避け続ける
そんな態度にドラゴンは怒りを顕にする
「なぜ戦わぬ!我を愚弄するつもりか!」
どんなにドラゴンが叫んでも男は戦おうとしない
それがドラゴンの怒りに拍車を掛ける
「おのれ!忌々しい人間よ!我が炎にて灰燼と化せ!!」
ドラゴンは宙に飛び上がり大きく息を吸い込む
それと同時に男の左手にまた魔力が宿る
「我が全身全霊の炎、止められると思うてか!!」
ドラゴンは叫び、灼熱の炎を吐き出す
男は先ほどのように魔法を放つ
ドラゴンと男の間で炎がぶつかり大爆発を起こす
煙と炎が少しずつ薄れていく
男が立っていた場所には何もない
周囲を見渡しても男の姿はなかった
「骨すら残らずに死んだか」
ドラゴンは満足げに声をあげる
その瞬間、ドラゴンの頭に衝撃が走り視界が大きく揺れた
翼がうまく動かずに身体は床へと落ちていく
だが床に落ちる前にドラゴンは何者かに受け止められる
ドラゴンは罪悪感に満ちた男の顔を最後に意識を失った
ドラゴンが意識を取り戻したとき、すでに雨は上がっていた
身体を起こすと掛けられていた布切れがめくれた
ドラゴンはそれを払いのけ、財宝がおいてある部屋へと向かう
財宝の部屋を見回してもこれと言った損失もない
それどころかドラゴンが入るまで部屋に侵入した痕跡すらない
その後、城の中をすべて見回るが男の姿はどこにもなかった
ドラゴンが自らに掛けてあった布切れを拾い上げる
それは男が身に纏っていたローブだった
よく見れば何かの紙切れが引っかかっている
ドラゴンがそれを取ると丁重な文字で
”手荒な真似をしてすまなかった”
ただ一言、そう書かれていた
その紙切れを握り締めドラゴンは城の外へと飛び出していた
もともと深い森に立っている城である
外に出れば森が広がるばかり
それでもドラゴンは飛んでいた
強い雄を求める本能ゆえか
それともそれを上回る何かなのか
ほどなくドラゴンは森の中の喧騒を聞きつける
聞こえるのは悲鳴や金属のこすれあう音
近づくにつれ漂ってくるのは血のにおい
そこから相対した男の気配を感じ取るドラゴン
だがそれはただの気配ではない
上空にいても感じ取れるほどの殺意が森から発せられている
ドラゴンは森へと降り立った
森の中で目に付いたのはおびただしいほどの人間の死体
あたりに散らばる死体は教団の聖騎士達だった
鎧ごと両断され、身体が二分し、腕は千切れ、頭も破砕されていた
ドラゴンが殺意の元に向かうと二人の聖騎士が男と戦っていた
一人は左腕が無く、瀕死の状態
もう一人の赤い鎧を身にまとった聖騎士はすでに戦意を喪失している
男は瀕死の聖騎士に歩み寄り躊躇無くその首を刎ねた
その光景に赤い鎧の聖騎士は悲鳴を洩らした
男が振り向くとその顔には暗い狂気の笑みが張り付いていた
すべての聖騎士を惨殺し終えた男は後ろの草むらへと歩いていく
草むらの中では一人の幼いハニービーが震えていた
返り血まみれの男を見るなりハニービーは一目散に逃げ出してしまった
「哀れなものだな」
聞き覚えのある声が背後から投げかけられる
男が振り向くとそこには古城で戦った赤いドラゴンが立っていた
「護るために戦い、護ったものに恐れられるとは」
ドラゴンは表情を変えずに淡々と喋っていく
「それとも己が欲望を満たすためにこやつ等を斬ったのか?」
男は何も語らない
そんな男にドラゴンは好奇心を滾らせていた
「・・・なぜあの時、我を斬らなかった?」
同胞を躊躇無く斬り、あまつさえ笑みを浮かべる男
そんな男が魔物であり無抵抗な状態にあったはずのドラゴンを見逃す
本来ならありえない話である
男がドラゴンに歩み寄り自らの首を晒す
そこには大きく醜い傷跡が残っていた
男は首の傷を指差し、次いで死体と化した聖騎士を指差した
ドラゴンは男の言いたいことを理解した
「復讐に終わりなど無い、それは止まることのない川の流れと同じだ。もっともお主はそれを求めているのやもしれんがな」
男は表情一つ変えずにドラゴンの言葉に耳を傾けていた
しかし、晒していた首の傷を隠すとドラゴンから遠ざかるように歩いていく
「お主の選択に我が関わる道理は無い」
止まる様子の無い男の背にドラゴンは声を投げる
「―――だが、敵を許し、自らを赦してもよいのではないか?」
男は歩みを止め、ドラゴンに向き直る
声は聞こえないが男の口は初めて言葉を形にした
”友も両親も妹も、村の皆が殺された。俺は一人だ、安息など必要ない”
「ならば今から安息を求めよ、これ以上は引き返せぬぞ?」
”俺は殺しすぎた、俺を赦す者も許してくれる場所もどこにも無い”
「我がお主を赦そう、我が居城がお主を許そう。お主はもう・・・一人ではない」
ドラゴンの言葉が届いたとき、男は涙を流していた
男の口が音の無い言葉を発していく
”なぜそこまで俺に関わる?”
「我にも皆目見当が付かぬ、だがお主に惹かれる理由が本能を超えたところにある何かとだけは言っておこう」
男はドラゴンへと向かい歩く
ドラゴンもまた、男の下へ歩いていく
二人の距離が縮まっていく
「我らの出会いは殺し合いだった、我らの終わりが安らかであるとよいのだがな」
”まるで俺への求婚のようだな”
「そんなものは必要あるまい?」
ドラゴンが男を抱え、居城に飛び立つ
男はドラゴンに抱えられ、雨宿りの古城へと運ばれていく
幾重にも重なる歯車は、小さな出会いと大きな変化を動かし続ける
居城へと降り立つドラゴンと古城へと運ばれた男
二人は向かい合っていた
「お主に我の名を伝えていなかったな」
”俺もお前に名乗っていなかったな”
両者はおもわず笑い出す
こんな大事なことも知らずにあんな話しをしていたと
「おたがいに名を知らなくては不便であろう」
”他人に名乗るのは久しぶりだな”
「”我の(俺の)名は―――”」
男はそんな雨の中、深い森を歩いていた
ローブで身を包み、森の中を進んでいる
纏ったローブが湿り気を帯びていく
男は舌打ちを洩らすが構わず進み続ける
服に雨が浸透し始めたころ男は古い城跡を見つけた
これ幸いに男は古城に入り雨宿りをすることにした
古城の軋む入り口を押し開け男は中の様子を窺う
外から見た様子では人は住んでいるとは思えなかった
中の様子、その荒廃具合からすると確実であろう
だが、この世界には人以外にも魔物が存在する
その中には、このような廃墟を根城にする魔物も多くいる
男は安全を確認をした後、古城に潜り込んだ
男は出入り口の扉を背に剣の手入れをしていた
「人間よ、我が居城に何のようだ?」
いきなりの呼びかけに驚く男
警戒しつつ声の主の居場所を探る
「名声を欲したか、財宝に目が眩んだか・・・」
言葉と同時に男は前方へとっさに転がった
直後、男が元いた場所に何かが飛来する
その衝撃で石造りであった城の床が煙を上げ粉砕された
「いずれにせよ、死ぬがよい」
男は自分がいた方向に振り向く
もうもうと立ち込める砂埃
その中に立っていたのは炎のように赤い髪をした女だった
だがその額には短く捩れた角がある
さらに背からは翼、腰からは尾が生えていた
―――ドラゴン
地上の王者たる呼び名で知られる高位の魔物
本来ならば洞窟や山岳地帯に生息する魔物
男はそこで思考を一時中断した
なぜなら目の前のドラゴンからは明確な殺意が放たれており
その対象が自分であるからだ
男は握っていた剣を両手に持ち、意識を集中する
これから始まる命がけの戦い
そんな戦いを前にして男の表情は―――歪んだ笑顔であった
外の雨は勢いを増していく
大きな落雷と共に両者が動いた
ドラゴンは轟音と同時に男へと飛びかかる
男もドラゴンに向かって飛び出す
飛び込みながら男は剣を振りぬく
翼を使い、宙へと回避するドラゴン
そのままの勢いで回転し尾を勢いよく叩きつける
男は剣を振りぬいた反動でそのまま身体を転がしドラゴンの攻撃をかわす
ドラゴンは拳を握り、転がる男へと殴り掛かる
男は転がったままの無茶な体勢からドラゴンへと蹴りを放つ
蹴りはドラゴンの拳の側面に当たり、わずかに拳の軌道をずらした
頬を掠めるドラゴンの一撃
男は身体を起こし肉薄したドラゴンの頭に頭突きを食らわせる
ドラゴンがわずかにひるむ
男は隙を逃さず腹部を蹴り、ドラゴンを引き剥がす
ドラゴンは男から離れながら深く息を吸い込んでいた
それを見た男は咄嗟に左手に魔力を込める
次の瞬間、ドラゴンから灼熱の炎が撃ち出される
男は左手を突き出し、込められた魔力を解放した
左手から放たれたのは人の胴ほどもある炎の球
それがドラゴンの炎に当たると爆炎を上げ、壁となる
「我が炎を打ち消すと!?小賢しい!!」
そう叫ぶとドラゴンは炎をものともせず男に襲い掛かる
鋭利な爪を振るい、強靭な尾を打ちつける
だが、どれも男にかすりはしても傷にはならない
さらに男は武器を振るおうとせずただ避け続ける
そんな態度にドラゴンは怒りを顕にする
「なぜ戦わぬ!我を愚弄するつもりか!」
どんなにドラゴンが叫んでも男は戦おうとしない
それがドラゴンの怒りに拍車を掛ける
「おのれ!忌々しい人間よ!我が炎にて灰燼と化せ!!」
ドラゴンは宙に飛び上がり大きく息を吸い込む
それと同時に男の左手にまた魔力が宿る
「我が全身全霊の炎、止められると思うてか!!」
ドラゴンは叫び、灼熱の炎を吐き出す
男は先ほどのように魔法を放つ
ドラゴンと男の間で炎がぶつかり大爆発を起こす
煙と炎が少しずつ薄れていく
男が立っていた場所には何もない
周囲を見渡しても男の姿はなかった
「骨すら残らずに死んだか」
ドラゴンは満足げに声をあげる
その瞬間、ドラゴンの頭に衝撃が走り視界が大きく揺れた
翼がうまく動かずに身体は床へと落ちていく
だが床に落ちる前にドラゴンは何者かに受け止められる
ドラゴンは罪悪感に満ちた男の顔を最後に意識を失った
ドラゴンが意識を取り戻したとき、すでに雨は上がっていた
身体を起こすと掛けられていた布切れがめくれた
ドラゴンはそれを払いのけ、財宝がおいてある部屋へと向かう
財宝の部屋を見回してもこれと言った損失もない
それどころかドラゴンが入るまで部屋に侵入した痕跡すらない
その後、城の中をすべて見回るが男の姿はどこにもなかった
ドラゴンが自らに掛けてあった布切れを拾い上げる
それは男が身に纏っていたローブだった
よく見れば何かの紙切れが引っかかっている
ドラゴンがそれを取ると丁重な文字で
”手荒な真似をしてすまなかった”
ただ一言、そう書かれていた
その紙切れを握り締めドラゴンは城の外へと飛び出していた
もともと深い森に立っている城である
外に出れば森が広がるばかり
それでもドラゴンは飛んでいた
強い雄を求める本能ゆえか
それともそれを上回る何かなのか
ほどなくドラゴンは森の中の喧騒を聞きつける
聞こえるのは悲鳴や金属のこすれあう音
近づくにつれ漂ってくるのは血のにおい
そこから相対した男の気配を感じ取るドラゴン
だがそれはただの気配ではない
上空にいても感じ取れるほどの殺意が森から発せられている
ドラゴンは森へと降り立った
森の中で目に付いたのはおびただしいほどの人間の死体
あたりに散らばる死体は教団の聖騎士達だった
鎧ごと両断され、身体が二分し、腕は千切れ、頭も破砕されていた
ドラゴンが殺意の元に向かうと二人の聖騎士が男と戦っていた
一人は左腕が無く、瀕死の状態
もう一人の赤い鎧を身にまとった聖騎士はすでに戦意を喪失している
男は瀕死の聖騎士に歩み寄り躊躇無くその首を刎ねた
その光景に赤い鎧の聖騎士は悲鳴を洩らした
男が振り向くとその顔には暗い狂気の笑みが張り付いていた
すべての聖騎士を惨殺し終えた男は後ろの草むらへと歩いていく
草むらの中では一人の幼いハニービーが震えていた
返り血まみれの男を見るなりハニービーは一目散に逃げ出してしまった
「哀れなものだな」
聞き覚えのある声が背後から投げかけられる
男が振り向くとそこには古城で戦った赤いドラゴンが立っていた
「護るために戦い、護ったものに恐れられるとは」
ドラゴンは表情を変えずに淡々と喋っていく
「それとも己が欲望を満たすためにこやつ等を斬ったのか?」
男は何も語らない
そんな男にドラゴンは好奇心を滾らせていた
「・・・なぜあの時、我を斬らなかった?」
同胞を躊躇無く斬り、あまつさえ笑みを浮かべる男
そんな男が魔物であり無抵抗な状態にあったはずのドラゴンを見逃す
本来ならありえない話である
男がドラゴンに歩み寄り自らの首を晒す
そこには大きく醜い傷跡が残っていた
男は首の傷を指差し、次いで死体と化した聖騎士を指差した
ドラゴンは男の言いたいことを理解した
「復讐に終わりなど無い、それは止まることのない川の流れと同じだ。もっともお主はそれを求めているのやもしれんがな」
男は表情一つ変えずにドラゴンの言葉に耳を傾けていた
しかし、晒していた首の傷を隠すとドラゴンから遠ざかるように歩いていく
「お主の選択に我が関わる道理は無い」
止まる様子の無い男の背にドラゴンは声を投げる
「―――だが、敵を許し、自らを赦してもよいのではないか?」
男は歩みを止め、ドラゴンに向き直る
声は聞こえないが男の口は初めて言葉を形にした
”友も両親も妹も、村の皆が殺された。俺は一人だ、安息など必要ない”
「ならば今から安息を求めよ、これ以上は引き返せぬぞ?」
”俺は殺しすぎた、俺を赦す者も許してくれる場所もどこにも無い”
「我がお主を赦そう、我が居城がお主を許そう。お主はもう・・・一人ではない」
ドラゴンの言葉が届いたとき、男は涙を流していた
男の口が音の無い言葉を発していく
”なぜそこまで俺に関わる?”
「我にも皆目見当が付かぬ、だがお主に惹かれる理由が本能を超えたところにある何かとだけは言っておこう」
男はドラゴンへと向かい歩く
ドラゴンもまた、男の下へ歩いていく
二人の距離が縮まっていく
「我らの出会いは殺し合いだった、我らの終わりが安らかであるとよいのだがな」
”まるで俺への求婚のようだな”
「そんなものは必要あるまい?」
ドラゴンが男を抱え、居城に飛び立つ
男はドラゴンに抱えられ、雨宿りの古城へと運ばれていく
幾重にも重なる歯車は、小さな出会いと大きな変化を動かし続ける
居城へと降り立つドラゴンと古城へと運ばれた男
二人は向かい合っていた
「お主に我の名を伝えていなかったな」
”俺もお前に名乗っていなかったな”
両者はおもわず笑い出す
こんな大事なことも知らずにあんな話しをしていたと
「おたがいに名を知らなくては不便であろう」
”他人に名乗るのは久しぶりだな”
「”我の(俺の)名は―――”」
11/02/23 23:21更新 / Hollow Book