読切小説
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魔王



風の夜に、馬を駆り、駆けり行くものあり、
腕にわらべをしっかり抱き、駆けて行く。





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父親
ぼうや、ぼうや、何故顔を隠す?


子供
お父さん、そこに魔王がいるよ、見えないの?、凄く美人だよ


父親
ぼうや、それはさぎりじゃ






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魔王
可愛いぼうや、いらっしゃいな、気持ちの良い遊びをしましょう。

川岸には綺麗な花もあり、可愛い洋服もたくさんあるわよ?


子供
お父さんっ!、お父さんっ!、聞こえないのっ!、魔王が何か言うよ。


父親
なあに、あれは、枯葉のざわめきじゃ








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魔王
坊やいっしょにおいでよ、もう用意はとっくに出来てるわ。
娘と踊って、お遊びよ、歌って、娘とおねんねもさせたげる。
良いところよ?、さあおいで


子供
お父さんっ!、お父さんっ!、それそこに、魔王の娘が・・・


父親
坊や、坊や、ああそれは、枯れた柳の幹じゃ


魔王
可愛い、良い子ね、ジタバタしてももう攫っていくわよ?


子供
お父さんっ!、お父さんっ!、今魔王が坊やを攫っていくよっ!




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目に見えない何かの気配に父親も恐れ慄き、からくも宿にたどり着くも。


子供は服だけ残して、忽然と消えていた。






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魔王サイド




魔王の娘
ねーねー、お母さま、お母さま〜


魔王
あら?、どうかしたのかしら?


魔王の娘
あのね、すごく可愛い男の子がいるの、反魔物領にいる子なんだけど・・・


魔王
あらあら、貴女も好きな男の子が出来るようなお年頃になったのね、どこにいる子なの?、近くなら攫ってきても良いわよ



魔王の娘
うん、極神都市ゼボイムにいる男の子なの、病気をしてるけど中々元気にならなくて、お父さまも困っているみたいなの。


魔王
むむっ、ゼボイムかあ〜
そこは攻め込むのは難しいわね〜、クレメンス・ビスマルクは手強いし・・・


魔王の娘
えー、なんとかならないかなあ?


魔王
本当ならこんな危険なことはしたくないのだけれど、姿を消して行けばまだ何とかなるかもしれないわね


魔王の娘
姿を?


魔王
よーし、万事お母さんに任せておきなさい、決して悪いようにはしないわ


魔王の娘
やったっ!、お母さま大好きっ!





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その後、息子に続いて父親も王魔界に攫われ、今では親子揃って幸せに暮らしているとか。



めでたしめでたし。





16/06/22 16:23更新 / 水無月花鏡

■作者メッセージ
みなさまこんにちは〜、水無月であります。

今回は気分を変えまして、ショタが攫われる話しです。

小学校〜中学校くらいのころには誰しも聞いたことのある歌が元ネタですが、何故か頭からフレーズが離れなくなったので魔物版?、で書いてみました。

ではではこの辺りで〜

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