これからは、妻と夫(中編)
じっくりと愛し合う為に俺達は俺の部屋に場所を移した。
俺の部屋を選んだ理由は二つ。
孤児院の運営は決して楽ではなく、倹約が生活の大前提になる。
お金を掛けずにできることはなるべく自分達の手で……が基本だ。
一番分かりやすい例が、テーブルや椅子、ベッドなどの家具類。
木工店から端材や木切れを譲ってもらって俺や弟達とで手作りする。
義母さんが生きていた頃からある家具は修繕して大事に使っている。
新しくお店で買い揃えることは殆どない。
テーブルなどは簡単に出来るが、問題はベッド。
子供…特に男児は身体が大きくなるから、子供用のベッドはすぐに使えなくなる。
大人になっても使えるように大きく、そして大人になるまで持つように頑丈なベッドが必要なのだ。
義母さんが生きていた頃よりも孤児は増え、その都度新しくベッドを自作してきた。
俺が使っているベッドは孤児院で一番大きく、頑丈な作りになっている。
これからその……セックスをするには都合が良いというのが理由の一つ。
もう一つの理由は
「あなたの匂いがするお部屋であなたに抱かれたいです♪」
という、サーシャの希望があったからだ。
俺の部屋のドアを開けて、二人して入る。
部屋の中はチリ一つなく綺麗に整っている。
あまり使うことが無い分、汚れにくいというのもあるが、俺が留守の間にもサーシャや弟妹達が掃除してくれているのだろう。
週に一度程度しか帰って来れない自室には、ベッドと着替え入れ以外は何も無い。
私物の大半は兵舎に置いたままだが……レスカティエがこんなことになってしまったんだ。
これといって大した物も無いし、すっぱり諦めるとしよう。
……おそらくもう、俺には必要の無い物だろうしな。
「〜♪」
ぽふん………っ
ベッドを前にして、俺の後ろにいたサーシャが背に抱きついてきた。
背に頬ずりしながら、脇から通した両手で腹から胸板を愛おしそうにまさぐる。
「サーシャ……」
「ふふっ……ごめんなさい♪
これからあなたに抱かれるのだと思うと……うふふふっ……♥」
腹をまさぐっていた手が、器用にシャツのボタンを外す。
サーシャの手に急かされるようにして、シャツを脱がされた。
先に脱がされたズボンと下着、ついでに靴は礼拝堂に置いてきた。
どうしても勃起が治まらず、穿きなおすことが出来なかったのだ。
シャツを脱がされれば、もう全裸だ。
纏う物がなくなった俺を、彼女の腕が抱き締める。
背に押し付けられる乳房越しに、サーシャの早鐘のような心臓の鼓動が伝わる。
「やっと、あなたに抱いて貰える……やっと、あなたと愛し合える………っ」
俺を抱き締める腕に力が篭もる。
彼女の細腕には見合わないような、少し痛いくらいの強い力で。
痛みに声を挙げそうになるかならないかで、ふっと拘束が弱まった。
振り返ると、俺を見上げる彼女に唇を奪われた。
驚いたが、彼女を抱き返して、俺からも唇を押し付けた。
半目で開けられた瞳は、期待と興奮で熱く潤んでいる。
俺を見つめるその瞳は、目を閉じずに見つめかえさねばならない気がした。
「んふ……。
私も、脱ぎますね?
これからあなただけのものになる、私のカラダを見てください……♪」
キスを切り上げ、サーシャは俺から一歩離れてまず帽子に手を掛ける。
紅い瞳を思わせる意匠の宝石があしらわれた帽子を脱ぎ、次に首の襟元に指を掛ける。
俺を見つめながら、俺に見せ付けるように僧衣を脱いでいく
黒い炎を思わせる意匠のストッキングを残して、一糸纏わぬ姿になったサーシャ。
薄暗い部屋に射し込む、紅い月の光に照らされて艶かしく輝く裸体。
やや朱のさした白い肌は、触れたらきっと柔らかくて心地良いだろう。
細身の身体に不釣合いな美巨乳はバランスが悪そうに見えてその実、重力に逆らい垂れることなく美として鎮座している。
黒く染まった羽根が後ろに生えた細い腰が、余計に美巨乳を大きく、美しく見せていた。
目に眩しい白い太ももを包む闇色のストッキングは、彼女の肌の美しさを更に引き立てている。
閉じられた脚の間……彼女の秘所から透明な蜜がとろとろと溢れている。
サーシャの、愛液。
俺を求めて分泌されている……これからすることを否応無しに思い起こさせるそれに、生唾を飲み込んだ。
俺の反応に満足したのか、蕩けた瞳に期待を浮かべてサーシャは微笑む。
自分の手を濡れた股間に差し込んで、その手を俺に見せるように差し出した。
愛液を掬くった指先が、月の光に照らされててらてらと光る。
「見て、ください……私の身体……
あなたに抱かれ、愛され、奉仕するためだけにある『あなたの女』の身体です……♥
堕落神に帰依した瞬間から、ずっとあなたを求めて、蜜が溢れて止まらないのです……♥」
見せ付けた後、その手は勃起した俺のペニスに伸ばされた。
しなやかな指先が亀頭を包んで、優しくも執拗に愛撫して、愛液を塗りたくる。
うっ、と小さく呻く。
限界を超えて屹立したペニスは赤熱し、滑る愛液もさして熱くは感じない。
……はずなのに、愛液を塗りたくられた亀頭が甘く痺れて加熱される。
塗られた瞬間は熱くないのに、まるで何かしらの薬液が染み込むように熱が発生するのだ。
…そういえば、サーシャに口淫奉仕してもらった時もそうだった。
過度に充血したペニスのほうが口の内より温度が高いはずなのに、サーシャの口内はまるでスープみたいに熱かった。
魔物の体液にはなにか、快感をもたらす媚薬めいた成分でも含まれているのかもしれない。
だが同じ熱でも、唾液と愛液ではもたらす熱の種類が違う。
唾液が染み込むような甘い痺れを与えるのに対し、愛液はまるで神経を活性して敏感にさせるような作用があった。
愛液を塗りたくられた亀頭は、ペニスが震えた僅かな振動すらも敏感に感じ取れるようになっていた。
「ん………♥」
裸体を押し付けて、サーシャが抱きつき、唇を重ねる。
彼女のお腹をペニスが突いて刺激されるが、今はそれを無視して、キスを受け入れる、
俺が彼女の身体を抱き返すと、彼女の尻尾が胴に巻き付いてきた。
ちゅ……るっ………ちゅるるっ……
重ねた唇を押し割って、サーシャの舌が侵入してきた。
……今度は躊躇うことなく、舌を突き出して彼女と舌を絡めた。
サーシャが嬉しそうに目尻を下げるのが、密かに嬉しかった。
ゆっくり、でも執拗に舌を絡めあう。
彼女は俺の舌に甘い唾液を塗りつけるように。
俺は甘い唾液の滴る舌にしゃぶりつくように。
頭が甘さで熱くなる。
が、ペニスが膨張する鈍い痛みがそれに溺れることを許さない。
もっとだ、もっともっと気持ちよいことがある……。
更なる、そして至高の快感を求める欲動。
射精したい。
ペニスを、サーシャの最も神聖な場所に突き立てて、思いっきり射精したい。
欲望で練りに練られた精液の塊を、サーシャの一番奥深くに注ぎ込みたい。
サーシャを内側から、俺一色で染め上げてしまいたい。
欲動に押されるまま、俺もサーシャの舌を吸い返す。
「ちゅっ……ん……♥」
喜悦の声を漏らし、サーシャは俺のキスを受け入れる。
二人してキスを貪り合って、もつれ合いながらベッドに倒れこんだ。
大きさと頑丈さだけが売りのベッドがギシリと音を立てて俺達を受け止めた。
キスをしたまま、サーシャが身を捩り、俺の下側に身体を移動させる。
俺がサーシャに覆い被さる体勢だ。
惜し気もなく大きく脚を広げて、俺の身を受け入れようとする。
「ぷぁ……っ♥
さぁ……一つに、なりましょう……?」
名残惜しかったがキスを止めて、頷く。
いつまでもキスをしていたくもあったが、勃起したペニスが快感を欲しがって猛り狂っていた。
それに、俺自身も……サーシャと更に深く強い繋がりが欲しかった。
シーツに手を着いて身を起こし、膝立ちで彼女を見下ろす体勢になる。
サーシャの手が大きく開いた自らの脚の付け根……切れ目のような女性器を指で開く。
くぱぁっ……と小さな音を立てて、愛液の滴る桃色の花びらが開いた。
息を呑んだ。
生まれて初めて、絵ではない実際の光景として見る女性の内側。
艶やかな美しいピンク色の、皮を剥いた果実のような瑞々しい膣肉。
滴る愛液は熱を帯びて、小さく湯気が立っている。
見ているだけで、脳が蕩けてしまいそうだ…。
本で見た女達のものなど比較にもならない。
いや、同列に考えることすらも無礼に思ってしまう程の神聖なモノ。
これから……この中に…ペニスを入れるんだ……。
「もう……我慢できません……っ
は、早くいらしてください……っ」
切羽詰まったサーシャの懇願に、我に返る。
ビクビク震えて暴れるペニスを掴んで固定する。
そして導かれるままにその秘所に滑り込ませようとして――
僅かに残った理性が、彼女に詫びる。
「ごめん、サーシャ……
初めてだけど、優しく出来そうに無い」
大人しく白状する。
今も欲望に押されて、ケダモノに成り下がりかねないほどの獣欲が彼女を求めている。
そんな状態で口や乳房の奉仕以上の快楽を叩き込まれて、自分を保てる自信は全く無い。
童貞のガキにそんな精神力なんて望むべくも無いだろうが、彼女にとって神聖な“はじめて”を奪う側としては、男らしくリードしてあげられないことが申し訳なかった。
……ガキが何を、と思うかもしれないが俺にだって男としての意地くらいはあった。
俺の言葉に、サーシャは一瞬呆気に取られたようだが、すぐに優しく微笑む。
その微笑みは、心なしかさっきまでの笑みよりも輝いているようにも思えた。
「ありがとうございます……♪
……でも、心配しないで?」
――あなたが私にしたいことが、私があなたにしてほしいこと、だから
「あなたが望むことを、全て私にして欲しいのです
あなたの欲望の全てを、私は全部受け止めたい……
あなたが求めるものが、私だけでありたい…………
あなたの欲望の全てを、私にください♥」
サーシャの許しを受けて、最後の理性が欲動に呑み込まれた。
猛るペニスを手で固定し、先走りで濡れた先端を、愛液で濡れた花弁に宛がう。
にちゃっ……
ペニスに強烈な熱さが伝わってくる。
花弁はまるで唇のように蠢き、催促するように亀頭に張り付く。
そして花弁の中心の小さな…小指どころか針くらいしか入らないのではないかと思う穴に先端が触れた。
「いくよっ……」
「来て、ください……っ」
息を吸って、止める。
ゆっくりと、しかし力を込めて――腰を、突き出した。
ちゅっ……ちゅちゅちゅぅ……っ
熱い秘肉の、小さな穴を押し広げて亀頭が進む。
小指ほどの太さもない穴は窮屈だが柔らかく、心地良い抵抗を返しながら俺を受け入れる。
固めのゼリーの詰まった狭い筒の中を突き進むかのよう。
先程の『おそうじ』に負けず劣らず亀頭を圧迫し吸引する。
亀頭が収まりきらないうちに、先端が薄い壁にぶつかる。
それはサーシャの、純潔の証。
彼女が俺に捧げてくれたそれを、ひと思いに貫くことで……受け取る。
―ぷつっ
――ず、ちゅんっ…!
「く、ぅぅぅ………っ!!」
「あぁぁっ………ぁぁぁぁぁぁぁ………っっ♥」
堅いと思っていたその壁は、腰を突き出すだけで意外なほどあっさりと貫通した。
突き出した勢いは殺がれることなく、ペニスを侵入させる力になった。
大した抵抗も無く、すとん、とペニスがほとんど呑み込まれた。
「く、お……っ!?」
「きゃあぅん……っ♥♥♥」
肉竿が7割ほど進んで、亀頭の先端が肉で包まれた軟骨みたいな感触にぶつかって、停まる。
柔らかい膣内の中で突然硬い感触に当たって、俺は電撃のような快感に呻き、サーシャは少女のような愛らしい悲鳴を挙げる。
抵抗が緩かったのは挿入したその瞬間だけ。
俺を受け入れた途端、膣壁が待ち侘びたように蠢き、ペニスに吸い付いてくる。
熱い熱量を持った膣肉と、分泌された熱い愛液がペニスに纏わり付いて絡みつく。
膣壁は微細な肉の突起…ヒダでビッシリと敷き詰められているかのよう。
ヒダの一つ一つが、亀頭の先端から裏側からカリ首とその少し下側までに隙間無く吸い付き、くすぐる。
亀頭はくすぐり、竿にはぴったりと張り付いて圧迫する。
膣の入り口はペニスが通過するときは緩かったのに、通過し終わったペニスの根元を歯の無い唇で噛み付くかのように締め上げる。
窮屈な締め付けで根元だけは俵締めにされ、ペニスを快感で追い詰める。
「――――――〜〜〜〜!!!!」
口と胸で併せて四度も射精したのにあっという間に射精感がせりあがって来た。
ペニスの膨張と膣肉の締め付けで尿道が閉じて、暴発は免れたものの既に限界の一歩手前だ。
全方位から感じる膣の感触と愛液の熱さで、動かずとも攻め立てられる。
愛液がペニスの細胞一つ一つに染み込んで、溶かされて熱せられて、蕩かされて燃やされるかのような熱さ。
勃起して、火傷しそうなほどに熱くなったペニスよりもなお熱い。
媚薬みたいな愛液の溢れる膣の中……
無数の肉ヒダが刺さらない注射針として愛液を注入するかのように、ペニスに愛液を染み込ませる。
限界と思われていたペニスの温度に、更に更にと熱量が追加されていく。
ただ膣内に納まっているだけで一秒おき、一瞬おきに快楽が上乗せされ続ける。
―こ、これが…サーシャの、ナカなの、か………っ!?
気持ちいいだろうとは思っていた。
女の中にペニスを容れるのはとても気持ちが良いのだと、経験は無くとも知識として知っていた。
実際に体験してみて……それが間違いだと知った。
気持ちが良い、なんてものじゃない。
良過ぎる。
極上だの最高だの……そんな言葉では到底足りない。
俺が知り得た、想像し得た快感の遥か上を行く快感。
全ての意識がこの快楽を甘受することだけに奪われる。
初めての口内射精のときと同じく、サーシャを気遣うことすら出来ない。
思考など不可能、我慢も無理。
射精せずに済んだのは、たっぷりと奉仕してもらって何度も射精した後だったから。
口と胸の奉仕を体験した後でなければ、多分挿入した瞬間に果てていただろう。
だが射精しなかったお陰で、ゆっくりとだが意識が戻ってくる。
この恐ろしいほどに気持ちが良い膣の中で射精したいという欲望が、意識を忘我から引き上げてくれた。
そうなって初めて、サーシャを気遣う。
「ぁ……ぁぁあ……っ♥」
サーシャは小刻みに震えながら目を半開きにして、口をぱくぱくさせていた。
潤んだ瞳は焦点がぼやけ、口からは溢れた唾液が一本の筋になって零れている。
意識を取り戻す前の俺と同じような状態…忘我の中に居るようだ。
「サーシャ…っ
大丈……夫っ?」
サーシャに声を掛ける。
快感に追い詰められながらの言葉だったので、不自然に途切れてしまった。
「……ぁ、は……あぁぁぁ……っ」
ぼやけていた瞳の焦点が戻る。
熱く甘い吐息を吐き出して、調息する。
俺を見上げるその瞳は蕩けていたが、それに何か……
戸惑いか、悪戯を見つけられた子供みたいな色が混じる。
「………ちゃぃ、ました………」
小さく微笑んで、囁くように唇が動く。
「イっちゃい……ました……♥」
「え……?」
「あなたのオチンチン……入れてもらっただけで、イっちゃいました♥」
蕩けた、蕩けきった淫靡な笑みを浮かべて微笑んだ。
…意味が分からず固まる俺の頬に手を当て、撫でながらサーシャは言葉を紡ぐ。
「あなたにご奉仕しているあいだずっと……
イくの、我慢していたんです……
あなたのオチンチン舐めれるの嬉しくて
あなたの精液、とっても、美味しくて……
あなたにお射精してもらう度に、私も達してしまいそうだったのです……♥」
―――あなたに、抱いてもらえるのが嬉しくて
繋がっただけで、イっちゃいました―――♥
胸から湧き上がってきた得体の知れないモノが、頭に全身に巡って、かぁっ…と熱くなる。
彼女を思い切り貪りたいという激しい欲望と共に、温かな…優しい何かが胸にぽぅっと灯る。
「私、幸せです……♥
あなたが私を選んでくれて……あなたの、恋人にしてもらえて……
大好き、ですよ……♥」
感謝と、歓喜と、悦楽と――そのほかにも俺が推し量れない色々な悦びに満ちた笑みで、サーシャは微笑んだ。
微笑んだその瞳から、一粒の涙が落ちる。
哀しみではなく、喜びが溢れて流れ出た、涙。
――俺と、一つになったことを、喜んでくれた証。
胸に灯った温かさが、静かに爆発した。
快楽を求める欲望をも飲み込んで、音も無く燃え上がる。
その温かさに満たされて……自分が情けないことをしていたのに気付く。
「サーシャ」
愛する彼女の名を呼ぶ。
順番が無茶苦茶になってしまったが、今更と思われるかもしれないが、言わなければならないことがある。
「いまさらで、ごめん
大好きだ、愛してる、サーシャ」
童貞のガキだったとは言え、情けないことだ。
サーシャはあれだけ俺に向けて愛を言葉にしてくれたというのに、俺はまだ彼女に愛を伝えていない。
異性間で言う『愛している』という言葉の重さは分かっているつもりだ。
その重さを分かっているから…その言葉を言えばどうなるかを分かっていたから、尻込みをして口に出すことが出来なかった。
……大好きだった女の子の代わりなんかじゃない。
魔性の魔力で頭を弄られたから……力尽くで無理矢理押し倒されたからじゃない。
俺は、サーシャが愛しいから、サーシャを抱くんだ。
サーシャを愛することを、誰かのお陰とか、誰かのせいにしてはいけない。
サーシャの微笑みが、満面の素敵な笑みへと変わる。
タイミング外れで恰好のつかない告白だったが、彼女は俺の言葉を理解して受け入れてくれたようだ。
……そう思ったのだが
「足らないです」
「……え?」
笑みのまま、サーシャに駄目出しをされてしまった。
「一度くらいじゃ、足りません。
私はいっぱい、あなたに好きだと言いました。
……もっといっぱい、愛を囁いてくれなくっちゃ、嫌ですから、ね……♥」
ずぐんっ、と胸に衝撃が迸った。
その言葉だけで、射精しそうになった。
花弁を開いてペニスを導いていた彼女の腕が、俺の背を捕まえて抱き寄せる。
息が掛かるほど二人の顔が近付く。
チュッ…、と軽く唇にキスをされた。
「あなたの愛を言葉にして囁かれるだけで、私はまた達してしまいそうです♥
私と繋がったまま、たくさん愛を囁いてください………♥♥」
俺を受け入れるために大きく開いていた脚が、俺をがっちりと捕まえる。
腰に巻きついた尻尾がさらに密着を強めようと胴を締め付けてきた。
サーシャの望むとおり、繋がったまま睦言を口にしよう。
少し気恥ずかしいが、彼女が俺にしてほしいことは俺が彼女にしたいことでもある。
彼女の望みの前には俺の羞恥心なんて塵に等しい。
唇を突き出せばキスができるくらいの至近距離で、目を真っ直ぐに見つめて視線を重ねる。
潤んだ深紅の瞳はやはり何かの魔力が宿っているのか、目を合わせるだけで何処かふわふわした気分になる。
理性とか我慢とか…心の中の堅いものが解されていくようだ。
「……愛してる………好きだ、サーシャ……」
口にして、変化が起こる。
言葉にして口から出した瞬間、胸で爆発した得体の知れない温かなものが炎上した。
ただ言葉にしただけだと言うのに胸の内で燃え上がり延焼する。
変化が起こったのはサーシャも同じ。
一言聞いた瞬間、ペニスを包んでいた膣壁がきゅうっと締まり、圧迫される。
締め付けは強くなっても、ペニスをくすぐるヒダはざわつきを止めずに刺激を与え続ける。
「…愛、してる……っ」
膣壁の圧力が増す。
ヒダの愛撫はそのままに、ペニスを奥へ奥へと導こうと吸引する力が強くなる。
射精寸前だったペニスがじわじわと追い詰められる。
「っ……愛してる…大好きだ……」
「んっ……♥ もっ…と……っ」
ねだられて、胸の灯がさらに燃え上がる。
サーシャに何かをねだられるのは、とても嬉しい。
もっと彼女の望みに応えたい。
もっともっと、彼女に望まれたい。
「好きだ……好きだ……っ
好きだ……サーシャ……っ」
「きゅ、ふっ………!」
燃え上がった胸の灯に押されるまま愛を連呼する。
女たらしの、気障な台詞なんて俺には思い付かない。
自分の胸の内にあるものを、飾りつけもせずそのまま吐き出す。
「好きだっ……愛してる、好きだ……サーシャ、好きだ……っ!」
「はいっ……はい………っ!」
瞳から目を逸らさず、ひたすら彼女に愛を囁くことにのみ注力する。
一言を口にするたびに胸の灯が燃える。
抱き締められた腕に力が篭もる。
心にこびり付いていたわだかまりが、胸の灯に燃やされて、サーシャで満ちる。
ペニスが締め付けられる。
サーシャの体温と俺の体温が伝播し合い、蕩けあって混ざり合う。
思考が鈍化し、サーシャを愛する愛欲にのみ従う存在に成り果てる。
腰は振っていない。その必要も無い。
ただ繋がったまま抱き合い、見つめあい、愛を口にするだけで燃え上がり続ける。
激しい快楽は無いものの、身も心も、そして魂も重ね合い満たされていく果てしない幸福感。
激しい快楽ではないが故の、たまらなく優しい安心感。
「愛してる、サーシャっ……!愛してる……愛し、てる……っ」
「はひ……っ!私も、愛しています……っ!!
大好きです……っ!愛してますっ……!!」
彼女と繋がっている下半身が、小さく痙攣する。
何が起こっているのか分からず、震えに身を任せる。
過熱したペニスがさらに熱くなって―――
――ぷしゅっ……
「あぁ……!はぁぁぁ………っ♥」
「あ、うぁっ………?」
ペニスから尿でも漏らすように精液が噴き出した。
勢いは無く、量も数滴程度だが……愛を囁き合っただけで射精してしまった。
サーシャの膣内に納まって、腰も振らずに抱き締めあって、愛を言葉にして伝え合っただけ。
ただそれだけで、射精してしまった。
「あ……あ、ぁ……?」
射精の快楽は知覚できなかった。
精液が漏れたことは、鈴口から液体が漏れた感触で分かったが、鮮烈な射精感は無かった。
愛の言葉を口にして増産された精液が、容量を超えて溢れただけなのかもしれない。
ペニスに感じる重たさは未だに精液が充填され放出の時を待っているのだと分かる。
尿道には放出し損なった精液が早く射精させろと渋滞を起こしている。
動かなくても快感を齎す膣内で、膨らみ続ける射精欲動。
ペニスに感じる圧迫感は、痛みにも等しかった。
「は…ぁ、ぁぁぁ……♥
――好き、です…… す、き……ぃ……♥」
サーシャは……焦点がぼやけた瞳で俺を見つめていた。
俺と同じように愛を口にして興奮が極まり、射精された衝撃で再び達してしまったのかもしれない。
俺の名前と、俺への好意とを震える唇で呟き続ける。
半端な射精で火が点いた欲動が、暴走する。
「……サーシャ……っ!」
―ず、ぷ…っ!
「ひっ♥
……あぁぁっ!?」
サーシャの許しも待たずに、腰を突き出した。
最奥に辿り着いても納まりきらなかったペニスを全て彼女の膣内に納めてしまおうと、亀頭で子宮を押し込む。
軟骨で出来た子袋のような子宮は変形するのか、亀頭で押されて窪むような感触が返ってくる。
柔らかい膣の中で唯一固いそれを押して、ペニスに甘い電撃が奔る。
「ああっ!ああぁぁぁぁっっ♥」
サーシャは瞳を見開いて、甘い悲鳴を挙げる。
俺の暴走を咎めるどころか進んで受け入れるかのように、俺を拘束する腕と脚と尻尾に力が込められる。
更に更に密着しようと、俺を痛いくらいの力で抱き寄せた。
―ずちゅ……ちゅちゅっ……
サーシャの膣内が、俺のペニスに押し込められて形を変えていく。
ペニスを根元まで丸呑みしようと愛液を零し、卑猥な音を立てて俺を受け入れる。
子宮が亀頭に押されて窪み、膣壁が肉幹に吸い付いてしゃぶり、花弁がまさしく唇のように甘噛みしてくる。
腰を振って抽挿…はできない。
彼女の両腕両脚、そして尻尾に強く抱き締められて、一瞬すらも腰を引くことができない。
俺を最後まで受け入れようと、もう逃がさないと、俺を抱き寄せる。
それに逆らうことなく、ペニスを押し込む。
「く、うぅぅ……っ」
食いしばった歯から、快感の呻きが漏れる。
膣壁はヒダの一つ一つが吸盤付きの舌のようにペニスに吸い付いて纏わりつく。
ペニスのカリと、その内側と裏側にまで隙間無くビッシリと吸い付いて、全方位から追い詰める。
肉幹の胴回りには膣肉が巻きついてきて、圧迫して締め上げられる。
亀頭の先端に返ってくる、子宮を押し上げる固い手応えがペニス全体に与える刺激を倍加させる。
ゆっくり、ゆっくりと子宮を押し込めながら膣内を突き進み、そして遂に……
俺のペニスが、根元までサーシャの膣内に呑み込まれた。
サーシャの中にペニスを納め、あるべき形へと成ったことで改めてペニスがその機能を発揮する。
愛するサーシャを、愛しいメスを孕ませる為に、精液を捧げる。
―ぶゅ…っ
――ぶしゅっ……ぶしゅぅぅぅぅぅぅ……っ
「うぉ、ぉぉぉ………」
「はぁぁ♥ あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ♥♥♥」
射精の勢いはさほどでも無い。
だがまるで、クリームの充填器で注入するかのように大量の精液を膣内に吐き出す。
ゆっくりと時間を掛けた、只管に穏やかで優しい、長い長い射精。
「ぉ、ぉ、ぉ、ぉ―――――」
自分の中の命を彼女に直接注ぎ込む感触は、快楽…などという言葉ではとても言い表せられない。
許容量を遥かに超えた快感で下腹部の感覚は無くなってしまった。
感じるのは彼女の膣内の熱さと、その熱さに向かって子種を注ぎ込む射精感。
ペニスが膣肉に蕩けて溶けて、混ざって取り込まれて、彼女の一部になってしまったような気がする。
「ぁぁぁぁぁぁ………♥♥♥」
俺の下では、愛するサーシャが白い咽喉を晒して、甘い嬌声を挙げながら精液を受け入れている。
尻尾と脚が万力のように俺を拘束し、俺にもっと貫かれようと抱き締める。
ピンク色の乳首が充血して硬くなり、密着している俺の胸板に指先で突くような感触を返す。
ペニスに押し上げられた子宮は亀頭にぴたりと密着し、針穴のような小さな口で吸い付く。
放出された精液を飲んでいるのかもしれない。
膣の肉ヒダも同様。
まさしく舌のように、子宮に入らず膣内に充填された精液を、ペニスに張り付きつつ舐めて貪る。
まるで独立した生き物のように蠕動し、もっと精液を寄越せといわんばかりにペニスを追い立てる。
射精し、子宮を精液で浸し、膣に充填し、膣壁のヒダに舐め採られる。
小便もかくや、というほどの大量の精液は零れることなく、サーシャに飲み干されていった。
俺達は小さく呻き声を挙げながら、この優しくも長大な快楽に身を曝し続けた。
長かった射精が終わる。
快楽の波が引き、徐々にではあるが混濁した意識が戻る。
人間であれば頭がおかしくなるような快感に身を曝し、命に関わるような大量の射精をしたというのに、俺の意識は完全に回復し、肉体は疲労すら感じなかった。
射精直後の倦怠感も無ければ、自己嫌悪を伴う冷静な思考も戻ってこない。
射精したばかりなのに、睾丸は即座に重みを取り戻し、再度の射精への欲望と――
――サーシャに対する、湧き上がって口から吐き出しそうなほどの愛おしさが燃え上がる。
余韻に浸って小さく開いている彼女の唇に、被せるようにしてキスをした。
「あ、む……♥
ちゅ、じゅっ………♥」
すぐさま、サーシャの舌が俺を迎え入れ、甘い唾液を貪り合った。
無言でずっとキスを愉しんでいると、ペニスに新たな快感が奔った。
膣壁が出された精液を食べ終えたのか、再起動してペニスを愛撫し始めたのだ。
しかし――
「ん、くお……っ!?」
その快感は、膣内射精する前よりも強かった。
膣壁の肉ヒダはびっしりと生えた繊維のように、隙間無くペニスに纏わりついて絡み付いてきた。
今も絡み付いてくることに変わりはないが、カリの返しのところに裏筋と、感度の良い部分に一際強く吸い付いてくる。
それだけでなくペニスの弱点を探るかのように、独りでに蠢いて肉幹をグニグニと揉み解す。
変化があったのは膣の感触だけではなかった。
サーシャの身体から立ち昇る、甘い体香。
淡く、優しく包み込まれるようなその香りが、濃度を増して質量を持った…ような気がする。
温かな雲のように、俺の身体を包み込んで皮膚に沁みこんでくる。
深化した快感にペニスが硬度を増し、精液が睾丸で増産される。
「あンっ……♥
ふ、ふふ……どう、ですか……?
私のおまんこ……すごいでしょう……?」
絶頂の余韻と、膣内で硬度を増したペニスの快感に喘ぎながらも、サーシャが囁く。
この変化が何なのか、彼女は知っているのだろうか。
「あなたに抱かれるたび、精液を戴くたびに、私の身体があなたに馴染んでいくのです♥
あなたが愛してくれた数だけ、私は、よりあなたを愛することのできる力を得るのです♥」
快感に浸った、満面の素敵な笑顔を浮かべて、陶然と語る。
嬉しくて堪らない、これからが楽しみで仕方がない……そんな喜びと期待に溢れた言葉。
「これが、魔物……これが、私なのです……♪
愛する男性を、愛するあなたを、どこどこまでも果てしなく愛することが出来る……」
俺を抱き締めていた脚と尻尾に力が込められる。
射精直後で敏感になったペニスを、膣内射精で快感を増した膣が慈悲深くも容赦無く襲う。
うっ、と小さく呻く。
「二人でもっと、もっと気持ちよくなりましょう……♥
私はあなたに堕ちますから……あなたも私に堕ちてください……♥♥」
俺に組み敷かれたまま腰を左右に揺らす。
ぐちゅり、ぐちゅりと音を立ててペニスと膣壁が擦れる。
ペニスが快楽で過熱するような感覚に反射的に腰が引けそうになったが、俺を抱き締める彼女の脚と尻尾がそれを許さない。
「う、うぅぅ……!」
「んっ♥ ……私の中でいっぱい、良くなってくださいね……♥」
親愛を示すように軽くキス。
俺を有無を言わせない抱擁で拘束しながら、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
密着しながらでは大きく動けないが、腰を揺らす程度の動きでもペニスに与えられる快感は大きい。
―ぐちゅ、くぷっ…ちゅ、にゅぷ……
ペニスと膣が擦れ合って卑猥な水音を立てる。
無数のヒダはペニスに絡み付いては吸い付き、肉幹を締め付け、絞り、擦る。
カリ首や裏筋は特に重点的にねちっこく。
亀頭には窪んだ子宮がぴったりと押し付けられ、こりこり、つるつる、ぬるぬるとした異なる感触で責め立てられる。
「おぉ、ぉぉぉ……っ」
「ああぁ♥ あなたの、気持ち良さそうな顔……♥
もっといっぱい私の中で気持ち良くなって……たくさんお射精してくださいね……♥♥」
愛おしくて堪らないとばかりに、顔中にキスをされる。
唇、頬、鼻、額、また唇………軽く啄ばむように、何度も何度も。
揺らされる腰は膣壁をペニスに擦りつけ、尿道に残っている僅かな精液すらも搾り出すようだ。
全身に感じる快感に精液が増産され、あっという間に射精の準備が調う。
「サーシャっ……俺、また……っ!」
「ああ……♥ いい、いいですよ……っ!
私のナカで好きなだけお射精してください……!!」
ゆっくりとしていた腰の動きが深く重く、強くなる。
強く押し付けられる子宮と、一層強く締め付ける膣壁が絶頂を迫る。
挿入してから二回目、いや、三回目の立て続けの射精が始まった。
―ぷしゅ、ぅぅぅぅぅぅ……っ!
「う、お………っ!?」
「は、あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ…………♥♥」
二回目の射精からほとんど間を置かずに、再びの射精。
深くも穏やかな快感で煉られた精液は、スプレーのようにサーシャの子宮に噴き掛けられる。
俺は何かの力に引っ張られるように背を海老のように反らして腰を突き出していた。
腰を、ペニスを突き出して、より彼女の深い場所で精を捧げるための体勢。
―ぷしゅっ……ぷしゅ……っ!
生産された精液が、与えられた快楽の対価とばかりに、サーシャに捧げられる。
圧縮される時間が短かったためか、粘度は低く、サラサラした感触の精液。
尿道を走る感触は小便というには重く、精液というには軽い。
激しくはないが全身にじわりと広がる優しい快感を俺に齎した。
「あ、ぁぁ、はぁぁぁ♥♥」
膣内射精を受けて、サーシャは熱い吐息を吐き出す。
目で見開きながらも瞳は蕩け、俺にキスをして濡れた唇が瑞々しく光る。
口から吐き出される快感の吐息は音色だけでなく香りも甘く、少し吸い込んだだけで俺の頭を蕩かす媚薬になる。
歓喜に震えるその表情も、身体の震えに合わせてプディングのようにぷるぷる震える美巨乳も、視覚に強烈な刺激を与えた。
彼女のか細く伸びた嬌声は、彼女が俺の射精を受けて悦んでくれていることを表し、サーシャを喜ばせられた歓喜を齎す。
ペニスに感じる快感は言うに及ばず、だ。
視覚も、嗅覚も、聴覚も、触覚も、その全てで…その全てが……
サーシャを感じ、サーシャに支配され、サーシャで満たされる。
「ん、むっ……」
「は、む♥……ちゅ、じゅるっ……♥」
残る味覚でもサーシャを感じるために、唇をキスで塞いで舌を突き出した。
迎え出てくれた舌を舐めしゃぶり、サーシャの味のする唾液を味わった。
甘露…とはこんな味のことを言うのかな……。
サーシャに支配された頭で、そんなことを考えた。
射精を終え、長々とキスを貪り合っていると、腰に巻きついていた彼女の尻尾が解かれた。
尻尾の先端が掌のようにペタリとシーツに置かれ、俺の身体ごと身を起こした。…便利だなあ。
膝立ちになっている俺に抱きついて、対面座位の体勢になる。
サーシャの意図を理解し、キスを続けたまま膝立ちしていた足を彼女の下へ投げ出し、崩れた胡坐をかく。
彼女もキスを止めないまま、俺の足の上に腰を下ろした。
俺はサーシャの腰を抱き、サーシャは俺の肩の上に腕を回して抱き合う。
豊満な美巨乳が胸板に押し付けられてぐにゃん、と形を変える。
柔らかい乳房のなかで唯一硬い、充血した乳首をぐりぐり押し付けられて、ちょっとくすぐったい。
体勢が変わって、挿入が浅くなり亀頭と子宮が離れてしまったが、膣の締め付けは強くなった。
「ぁむ、ちゅっ、ちゅ……」
「んむ、♥ ちゅ、じゅっ……♥」
ずっとキスし続けて少し息苦しいが、鼻から吸い込むサーシャの香りが堪らなく心地良くて、キスの甘味に病み付きになってキスを切り上げられない。
ペニスは……一瞬すらも萎えることなく、サーシャの中でガチガチに硬くなっている。
硬くなればなるだけ感度は上がり、快楽を与えられれば与えられるだけ、睾丸には重みが溜まっていく。
ひょっとしたら、インキュバスには与えられた快楽を精液に変換する能力でもあるのかもしれない。
「んん……♥ んん……♥」
キスをしながらサーシャが左右に腰を揺らす。
全身を密着させながらの浅い運動だが、茹る全神経のなかで唯一敏感になったペニスには電気のような快感が奔る。
がっちりとペニスを締め上げる膣壁は窮屈極まりないが、同時に崩れたゼリーのような滑りもあり、締め付けながらもニュルニュル滑って複雑な快感を齎す。
窮屈で、繊細で、そして熱い。
激しく腰を振られたら瞬殺もあり得るが、浅い運動であればじっくり愉しむことも出来る。
射精までのスパンが長くなる分、睾丸に感じる重みはどんどん増していくようだが……。
―ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……
結合部から水音が零れる。
サーシャは規則正しいリズムで腰を揺らす。
一動作ごとに重たい快感がペニスに奔り、精液の材料として睾丸へと降りてくる。
精液が生産され、ペニスが膨張する。
射精が……近い。
「んんぅ………♥♥」
零距離で見つめあうサーシャの瞳が、とろんと垂れ下がる。
このまま、射精しろ……ということらしい。
揺すっていた腰が停まり、そして体重を掛けてきた。
下がってきた子宮が亀頭に押し付けられて、再び子宮と亀頭のキスが始まる。
「ん、むっ………」
しかし対面座位では結合は浅く、正上位のように子宮を突き上げることが出来ず、ペニスを根元までサーシャの中に納めることも出来ない。
キスと抱擁が楽しめるのは嬉しいが、彼女の一番深い場所での射精……
あの、サーシャにドロドロに溶けてしまう感覚を味わいたかった。
……だが、その欲望を行動に移す前に、愚息が限界を迎えた。
―ぶびゅ、ぶびゅるるるるるるるる…………っ!!
「ん、んんん―――ッ!!」
「んんぅ……!ん―――――――ッ♥♥♥」
口付けたまま、サーシャが嬌声を挙げる。
じっくりと時間を掛けて煉られた精液は粘度が濃く、ゼリーのように噴き出した。
亀頭とキスした子宮を押し返さんばかりの勢いで噴射。
子宮にたたきつけられ跳ね返った精液が、膣内を巡り、ペニスに絡み付いていた肉ヒダが一斉にそれを舐め取る。
圧縮されたゼリーが尿道を駆け抜ける感触は、それだけでも快楽だった。
無意識に腰を突き上げ、サーシャの身体を抱き締め、溜まっている精液を吐き出す。
強烈な快感にペニスが曝され、腰がガクガクと震える。
……だが、やはり浅い位置での射精だったせいか、僅かに出しそびれた精液が残尿感のように残ってしまった。
「ん、ふぅー…っ! んふぅぅーー……っ!」
「んん……、んふ……っ♥」
ココに至っても俺達はキスを止めず、口付けたまま調息する。
吸い込むサーシャの体香は俺を心地良く癒してくれはするが、興奮も齎してしまいクールダウンには向いていない。
出し損ねた精液が残っていたことと併せて、絶頂を迎えた直後だというのに新たに快楽が欲しくなってしまう。
唇を唇で塞ぎながらの調息は時間が掛かり、終えたときにはもう二人して更なる快感が欲しくなってしまっていた。
涎を口の端から零しながら、どちらともなく再び舌をしゃぶり合う。
「じゅ、ちゅる……♥」
しなだれかかりながら、身体ごとやんわりと押し倒される。
口付けたまま、抱き合ったまま、繋がったまま、女性上位の体勢へと移行した。
「んんっ……あふ……♥
ふふふっ……♥」
ずっと重ねていた唇を離し、淫靡な笑みで笑うサーシャ。
身体を密着させた状態で、腰だけを揺らす。
今度は左右ではなく、上下に。
―ず、ちゅ……
「あん……ん……♥」
「おお……っ」
射精しても全く硬度が落ちないペニスを、精液を吸って脅威を増した膣壁が擦る。
サーシャの言のとおり射精の度、俺の形を覚えてより俺に馴染む膣壁の肉ヒダ。
さらに繊細に、緻密に、そして執拗にペニスに纏わりつく。
隙間なく亀頭にカリ首に肉幹に絡みつき、全体をくすぐりながら、サーシャの腰の動きに合わせて上へ上へ……
ペニスが引き抜かれ、花弁に亀頭が呑み込まれた位置で停まり、ゆっくりと腰を下ろす
そしてサーシャが腰を下ろすと同時に、ヒダがぞわぞわと蠢き、ペニスに張り付いてしゃぶりついて……
膣全体で吸引するように、ペニスに吸い付いて圧迫する。
サーシャがストンと腰を下ろせば、その振動が伝播して、ゾクゾクと背筋に寒気みたいな刺激が奔る。
「あぁぁ……っ♥
いっぱい……いっぱい、良くなって、ください、ねぇ………♥♥」
自らも快楽に震えながら、悦楽と慈愛の混ざり合った笑みを俺に向ける。
襲い掛かる優しくも凄まじい快感に、返事も返せずコクコク頷く。
「ふふ……あなたの、気持ち良さそうなおカオ……
もっと、見せて下さいね♥♥」
うっとりと俺を見つめ、腰を上下させる。
勢いはそれほど強くないが、じっくりと、奉仕するように。
―ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……
対面座位で吐き出しそびれた精液が、サーシャの膣に扱かれて、尿道を昇る。
火傷しそうな熱さを伴って鈴口から漏れ出し、すかさずヒダに舐め採られる。
数滴程度の精液すら燃料にしてしまうのか、膣壁の感触がじわりじわりと変化する。
複雑に、そして感触を変化させつつ責め立てる膣は俺に慣れることを許さない快楽を与え続ける。
増産された精液がペニスを膨張させ、限界が近付く。
「………サーシャ……っ」
「んあっ……イ、きそう……なんですね…っ?」
俺が白旗を揚げると、サーシャは軽く唇にキスをして、身体を起こす。
騎乗位になって、俺を笑顔のまま見下ろす。
「じゃあ、激しく動きますね……♪
いっぱい…私のナカでお射精してくださいね……♥」
俺の肩に手を置いて、ゆっくり腰を引いて―――
―――一気に下ろした。
「うおお………っ!?」
「あ、ン……っ!!」
二人して、いままでなかった強烈な快感に喘ぐ。
膣壁を勢いをつけて一気に押し進み、子宮を突く快感は電撃となって突き抜けた。
数分は保ちそうだった限界が、一気に残り数十秒のところまで縮められてしまった。
「いき、ますよぉ……!!」
調息する間も与えられず、サーシャが追撃を開始する。
柔らかくも張りのある尻を打ちつけながら、腰を大きく振る。
徐々に徐々に、速度を速めながら。
ぱちゅんっ…ぱちゅんっ…ぱちゅんっ…
ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!
ぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっ!!!
「ああっ♥ああっ♥ああ、ああああ―――っっ!!!」
「う、おあぁぁぁぁぁぁぁ―――っっ!!!」
二人して咆哮する。
たたきつけられる快楽が、ペニスの奥を圧縮し、撓み、撓み、撓み―――
―――暴発する。
―ぶびゅ、
――どびゅるるるるるるるるるるるるるる―――っっっ!!!!!
「か、ぁ―――っ!!」
「あああっっ♥♥
あああああぁぁああぁああぁっぁあああああああああ―――ッ♥♥♥♥」
今までで一番濃くて、多くて、激しい勢いでの射精。
愛するサーシャの膣を満たし、彼女の子宮を精液で溺死させんばかりに、精液を撒き散らす。
サーシャは絶叫しながらも決して逃げず、そればかりか腰をぐりぐりと俺に押し付けて、精液を搾り出す。
視界が真っ白に染まる。
溜め込んだ精液を全て吐き出すまでの間じゅう、気が触れるような快楽に身を曝す。
長く、長く、永遠にも思える数秒間を、終えるまで。
調息を終えても、まだ俺達は繋がったままだった。
いや、もう離れたいなどとは思わない。
新たな快楽を得ようと、再び愛し合う。
「ふふっ……うふふふっ……」
不意に、微笑む彼女の瞳に、涙が浮かぶ。
「サーシャ……どうしたの…?」
その涙が哀しみからくるもので無いことは分かるが、突然のことに驚いて尋ねてしまう。
「ふふ……ごめんなさい……嬉しくて、つい…」
瞳に涙を湛えたまま、俺を見下ろす。
「ずっと、あなたを見ていたのです。堕落神に帰依する前からずっと…ずっと……」
―あなたが欲しかった。
――欲しくて欲しくて仕方なかった。
―――あなたを独り占めしてしまいたかった。
あなたが私ではない誰かを想っていたことは分かっていた。
悲しかったけれど、諦めようとも思った。それがあなたの望みならばと……。
でも、堕落神に帰依して……私はあなたを誰よりも愛することができるのだと知った。
そして……あなたは私を受け入れてくれた―――
「ありがとう……私を選んでくれて………
ありがとう……私の、夢を叶えてくれて
大好きです………愛していますよ…………」
満面の笑みで笑って、涙が一粒、俺の顔に落ちた。
満ち足りた、溢れ出る歓喜で零れ落ちた、喜びの涙。
俺は―――今まで、何をしていたんだろう。
こんなに、こんなにも、彼女は俺を求めてくれていたのに―――
我侭で一方的な恋の残骸に未練たらしくしがみついて、彼女の想いに気付きもしなかった。
そんなので……俺はサーシャの味方でありたい、理解者でありたいと…勝手に思い込んでいた。
つくづく、情けないことだ。
―でも。
これからは、違う。
俺はこれから、真にサーシャのモノになる。
俺を想ってくれた、選んでくれたサーシャに、俺の凡てを捧げ尽くす。
サーシャが俺を選んで良かったと、俺の妻になって良かったと胸を張れるように。
愛するサーシャに、愛されるに足る男になるように。
―愛するサーシャに、恥を掻かせてはならない。
へし折られて燻っていた、意地が、心が、形を変えて息を吹き返す。
彼女を欲する欲望の火と、彼女を愛する情愛の灯に、それぞれ燃料となって注がれる。
得体の知れない力が、湧き上がって来る。
いつまでもサーシャの優しさに甘えているな。
愛し返せ。
サーシャが俺に向けてくれた愛に負けないくらい、彼女を。
―――男を、見せろ。
俺の部屋を選んだ理由は二つ。
孤児院の運営は決して楽ではなく、倹約が生活の大前提になる。
お金を掛けずにできることはなるべく自分達の手で……が基本だ。
一番分かりやすい例が、テーブルや椅子、ベッドなどの家具類。
木工店から端材や木切れを譲ってもらって俺や弟達とで手作りする。
義母さんが生きていた頃からある家具は修繕して大事に使っている。
新しくお店で買い揃えることは殆どない。
テーブルなどは簡単に出来るが、問題はベッド。
子供…特に男児は身体が大きくなるから、子供用のベッドはすぐに使えなくなる。
大人になっても使えるように大きく、そして大人になるまで持つように頑丈なベッドが必要なのだ。
義母さんが生きていた頃よりも孤児は増え、その都度新しくベッドを自作してきた。
俺が使っているベッドは孤児院で一番大きく、頑丈な作りになっている。
これからその……セックスをするには都合が良いというのが理由の一つ。
もう一つの理由は
「あなたの匂いがするお部屋であなたに抱かれたいです♪」
という、サーシャの希望があったからだ。
俺の部屋のドアを開けて、二人して入る。
部屋の中はチリ一つなく綺麗に整っている。
あまり使うことが無い分、汚れにくいというのもあるが、俺が留守の間にもサーシャや弟妹達が掃除してくれているのだろう。
週に一度程度しか帰って来れない自室には、ベッドと着替え入れ以外は何も無い。
私物の大半は兵舎に置いたままだが……レスカティエがこんなことになってしまったんだ。
これといって大した物も無いし、すっぱり諦めるとしよう。
……おそらくもう、俺には必要の無い物だろうしな。
「〜♪」
ぽふん………っ
ベッドを前にして、俺の後ろにいたサーシャが背に抱きついてきた。
背に頬ずりしながら、脇から通した両手で腹から胸板を愛おしそうにまさぐる。
「サーシャ……」
「ふふっ……ごめんなさい♪
これからあなたに抱かれるのだと思うと……うふふふっ……♥」
腹をまさぐっていた手が、器用にシャツのボタンを外す。
サーシャの手に急かされるようにして、シャツを脱がされた。
先に脱がされたズボンと下着、ついでに靴は礼拝堂に置いてきた。
どうしても勃起が治まらず、穿きなおすことが出来なかったのだ。
シャツを脱がされれば、もう全裸だ。
纏う物がなくなった俺を、彼女の腕が抱き締める。
背に押し付けられる乳房越しに、サーシャの早鐘のような心臓の鼓動が伝わる。
「やっと、あなたに抱いて貰える……やっと、あなたと愛し合える………っ」
俺を抱き締める腕に力が篭もる。
彼女の細腕には見合わないような、少し痛いくらいの強い力で。
痛みに声を挙げそうになるかならないかで、ふっと拘束が弱まった。
振り返ると、俺を見上げる彼女に唇を奪われた。
驚いたが、彼女を抱き返して、俺からも唇を押し付けた。
半目で開けられた瞳は、期待と興奮で熱く潤んでいる。
俺を見つめるその瞳は、目を閉じずに見つめかえさねばならない気がした。
「んふ……。
私も、脱ぎますね?
これからあなただけのものになる、私のカラダを見てください……♪」
キスを切り上げ、サーシャは俺から一歩離れてまず帽子に手を掛ける。
紅い瞳を思わせる意匠の宝石があしらわれた帽子を脱ぎ、次に首の襟元に指を掛ける。
俺を見つめながら、俺に見せ付けるように僧衣を脱いでいく
黒い炎を思わせる意匠のストッキングを残して、一糸纏わぬ姿になったサーシャ。
薄暗い部屋に射し込む、紅い月の光に照らされて艶かしく輝く裸体。
やや朱のさした白い肌は、触れたらきっと柔らかくて心地良いだろう。
細身の身体に不釣合いな美巨乳はバランスが悪そうに見えてその実、重力に逆らい垂れることなく美として鎮座している。
黒く染まった羽根が後ろに生えた細い腰が、余計に美巨乳を大きく、美しく見せていた。
目に眩しい白い太ももを包む闇色のストッキングは、彼女の肌の美しさを更に引き立てている。
閉じられた脚の間……彼女の秘所から透明な蜜がとろとろと溢れている。
サーシャの、愛液。
俺を求めて分泌されている……これからすることを否応無しに思い起こさせるそれに、生唾を飲み込んだ。
俺の反応に満足したのか、蕩けた瞳に期待を浮かべてサーシャは微笑む。
自分の手を濡れた股間に差し込んで、その手を俺に見せるように差し出した。
愛液を掬くった指先が、月の光に照らされててらてらと光る。
「見て、ください……私の身体……
あなたに抱かれ、愛され、奉仕するためだけにある『あなたの女』の身体です……♥
堕落神に帰依した瞬間から、ずっとあなたを求めて、蜜が溢れて止まらないのです……♥」
見せ付けた後、その手は勃起した俺のペニスに伸ばされた。
しなやかな指先が亀頭を包んで、優しくも執拗に愛撫して、愛液を塗りたくる。
うっ、と小さく呻く。
限界を超えて屹立したペニスは赤熱し、滑る愛液もさして熱くは感じない。
……はずなのに、愛液を塗りたくられた亀頭が甘く痺れて加熱される。
塗られた瞬間は熱くないのに、まるで何かしらの薬液が染み込むように熱が発生するのだ。
…そういえば、サーシャに口淫奉仕してもらった時もそうだった。
過度に充血したペニスのほうが口の内より温度が高いはずなのに、サーシャの口内はまるでスープみたいに熱かった。
魔物の体液にはなにか、快感をもたらす媚薬めいた成分でも含まれているのかもしれない。
だが同じ熱でも、唾液と愛液ではもたらす熱の種類が違う。
唾液が染み込むような甘い痺れを与えるのに対し、愛液はまるで神経を活性して敏感にさせるような作用があった。
愛液を塗りたくられた亀頭は、ペニスが震えた僅かな振動すらも敏感に感じ取れるようになっていた。
「ん………♥」
裸体を押し付けて、サーシャが抱きつき、唇を重ねる。
彼女のお腹をペニスが突いて刺激されるが、今はそれを無視して、キスを受け入れる、
俺が彼女の身体を抱き返すと、彼女の尻尾が胴に巻き付いてきた。
ちゅ……るっ………ちゅるるっ……
重ねた唇を押し割って、サーシャの舌が侵入してきた。
……今度は躊躇うことなく、舌を突き出して彼女と舌を絡めた。
サーシャが嬉しそうに目尻を下げるのが、密かに嬉しかった。
ゆっくり、でも執拗に舌を絡めあう。
彼女は俺の舌に甘い唾液を塗りつけるように。
俺は甘い唾液の滴る舌にしゃぶりつくように。
頭が甘さで熱くなる。
が、ペニスが膨張する鈍い痛みがそれに溺れることを許さない。
もっとだ、もっともっと気持ちよいことがある……。
更なる、そして至高の快感を求める欲動。
射精したい。
ペニスを、サーシャの最も神聖な場所に突き立てて、思いっきり射精したい。
欲望で練りに練られた精液の塊を、サーシャの一番奥深くに注ぎ込みたい。
サーシャを内側から、俺一色で染め上げてしまいたい。
欲動に押されるまま、俺もサーシャの舌を吸い返す。
「ちゅっ……ん……♥」
喜悦の声を漏らし、サーシャは俺のキスを受け入れる。
二人してキスを貪り合って、もつれ合いながらベッドに倒れこんだ。
大きさと頑丈さだけが売りのベッドがギシリと音を立てて俺達を受け止めた。
キスをしたまま、サーシャが身を捩り、俺の下側に身体を移動させる。
俺がサーシャに覆い被さる体勢だ。
惜し気もなく大きく脚を広げて、俺の身を受け入れようとする。
「ぷぁ……っ♥
さぁ……一つに、なりましょう……?」
名残惜しかったがキスを止めて、頷く。
いつまでもキスをしていたくもあったが、勃起したペニスが快感を欲しがって猛り狂っていた。
それに、俺自身も……サーシャと更に深く強い繋がりが欲しかった。
シーツに手を着いて身を起こし、膝立ちで彼女を見下ろす体勢になる。
サーシャの手が大きく開いた自らの脚の付け根……切れ目のような女性器を指で開く。
くぱぁっ……と小さな音を立てて、愛液の滴る桃色の花びらが開いた。
息を呑んだ。
生まれて初めて、絵ではない実際の光景として見る女性の内側。
艶やかな美しいピンク色の、皮を剥いた果実のような瑞々しい膣肉。
滴る愛液は熱を帯びて、小さく湯気が立っている。
見ているだけで、脳が蕩けてしまいそうだ…。
本で見た女達のものなど比較にもならない。
いや、同列に考えることすらも無礼に思ってしまう程の神聖なモノ。
これから……この中に…ペニスを入れるんだ……。
「もう……我慢できません……っ
は、早くいらしてください……っ」
切羽詰まったサーシャの懇願に、我に返る。
ビクビク震えて暴れるペニスを掴んで固定する。
そして導かれるままにその秘所に滑り込ませようとして――
僅かに残った理性が、彼女に詫びる。
「ごめん、サーシャ……
初めてだけど、優しく出来そうに無い」
大人しく白状する。
今も欲望に押されて、ケダモノに成り下がりかねないほどの獣欲が彼女を求めている。
そんな状態で口や乳房の奉仕以上の快楽を叩き込まれて、自分を保てる自信は全く無い。
童貞のガキにそんな精神力なんて望むべくも無いだろうが、彼女にとって神聖な“はじめて”を奪う側としては、男らしくリードしてあげられないことが申し訳なかった。
……ガキが何を、と思うかもしれないが俺にだって男としての意地くらいはあった。
俺の言葉に、サーシャは一瞬呆気に取られたようだが、すぐに優しく微笑む。
その微笑みは、心なしかさっきまでの笑みよりも輝いているようにも思えた。
「ありがとうございます……♪
……でも、心配しないで?」
――あなたが私にしたいことが、私があなたにしてほしいこと、だから
「あなたが望むことを、全て私にして欲しいのです
あなたの欲望の全てを、私は全部受け止めたい……
あなたが求めるものが、私だけでありたい…………
あなたの欲望の全てを、私にください♥」
サーシャの許しを受けて、最後の理性が欲動に呑み込まれた。
猛るペニスを手で固定し、先走りで濡れた先端を、愛液で濡れた花弁に宛がう。
にちゃっ……
ペニスに強烈な熱さが伝わってくる。
花弁はまるで唇のように蠢き、催促するように亀頭に張り付く。
そして花弁の中心の小さな…小指どころか針くらいしか入らないのではないかと思う穴に先端が触れた。
「いくよっ……」
「来て、ください……っ」
息を吸って、止める。
ゆっくりと、しかし力を込めて――腰を、突き出した。
ちゅっ……ちゅちゅちゅぅ……っ
熱い秘肉の、小さな穴を押し広げて亀頭が進む。
小指ほどの太さもない穴は窮屈だが柔らかく、心地良い抵抗を返しながら俺を受け入れる。
固めのゼリーの詰まった狭い筒の中を突き進むかのよう。
先程の『おそうじ』に負けず劣らず亀頭を圧迫し吸引する。
亀頭が収まりきらないうちに、先端が薄い壁にぶつかる。
それはサーシャの、純潔の証。
彼女が俺に捧げてくれたそれを、ひと思いに貫くことで……受け取る。
―ぷつっ
――ず、ちゅんっ…!
「く、ぅぅぅ………っ!!」
「あぁぁっ………ぁぁぁぁぁぁぁ………っっ♥」
堅いと思っていたその壁は、腰を突き出すだけで意外なほどあっさりと貫通した。
突き出した勢いは殺がれることなく、ペニスを侵入させる力になった。
大した抵抗も無く、すとん、とペニスがほとんど呑み込まれた。
「く、お……っ!?」
「きゃあぅん……っ♥♥♥」
肉竿が7割ほど進んで、亀頭の先端が肉で包まれた軟骨みたいな感触にぶつかって、停まる。
柔らかい膣内の中で突然硬い感触に当たって、俺は電撃のような快感に呻き、サーシャは少女のような愛らしい悲鳴を挙げる。
抵抗が緩かったのは挿入したその瞬間だけ。
俺を受け入れた途端、膣壁が待ち侘びたように蠢き、ペニスに吸い付いてくる。
熱い熱量を持った膣肉と、分泌された熱い愛液がペニスに纏わり付いて絡みつく。
膣壁は微細な肉の突起…ヒダでビッシリと敷き詰められているかのよう。
ヒダの一つ一つが、亀頭の先端から裏側からカリ首とその少し下側までに隙間無く吸い付き、くすぐる。
亀頭はくすぐり、竿にはぴったりと張り付いて圧迫する。
膣の入り口はペニスが通過するときは緩かったのに、通過し終わったペニスの根元を歯の無い唇で噛み付くかのように締め上げる。
窮屈な締め付けで根元だけは俵締めにされ、ペニスを快感で追い詰める。
「――――――〜〜〜〜!!!!」
口と胸で併せて四度も射精したのにあっという間に射精感がせりあがって来た。
ペニスの膨張と膣肉の締め付けで尿道が閉じて、暴発は免れたものの既に限界の一歩手前だ。
全方位から感じる膣の感触と愛液の熱さで、動かずとも攻め立てられる。
愛液がペニスの細胞一つ一つに染み込んで、溶かされて熱せられて、蕩かされて燃やされるかのような熱さ。
勃起して、火傷しそうなほどに熱くなったペニスよりもなお熱い。
媚薬みたいな愛液の溢れる膣の中……
無数の肉ヒダが刺さらない注射針として愛液を注入するかのように、ペニスに愛液を染み込ませる。
限界と思われていたペニスの温度に、更に更にと熱量が追加されていく。
ただ膣内に納まっているだけで一秒おき、一瞬おきに快楽が上乗せされ続ける。
―こ、これが…サーシャの、ナカなの、か………っ!?
気持ちいいだろうとは思っていた。
女の中にペニスを容れるのはとても気持ちが良いのだと、経験は無くとも知識として知っていた。
実際に体験してみて……それが間違いだと知った。
気持ちが良い、なんてものじゃない。
良過ぎる。
極上だの最高だの……そんな言葉では到底足りない。
俺が知り得た、想像し得た快感の遥か上を行く快感。
全ての意識がこの快楽を甘受することだけに奪われる。
初めての口内射精のときと同じく、サーシャを気遣うことすら出来ない。
思考など不可能、我慢も無理。
射精せずに済んだのは、たっぷりと奉仕してもらって何度も射精した後だったから。
口と胸の奉仕を体験した後でなければ、多分挿入した瞬間に果てていただろう。
だが射精しなかったお陰で、ゆっくりとだが意識が戻ってくる。
この恐ろしいほどに気持ちが良い膣の中で射精したいという欲望が、意識を忘我から引き上げてくれた。
そうなって初めて、サーシャを気遣う。
「ぁ……ぁぁあ……っ♥」
サーシャは小刻みに震えながら目を半開きにして、口をぱくぱくさせていた。
潤んだ瞳は焦点がぼやけ、口からは溢れた唾液が一本の筋になって零れている。
意識を取り戻す前の俺と同じような状態…忘我の中に居るようだ。
「サーシャ…っ
大丈……夫っ?」
サーシャに声を掛ける。
快感に追い詰められながらの言葉だったので、不自然に途切れてしまった。
「……ぁ、は……あぁぁぁ……っ」
ぼやけていた瞳の焦点が戻る。
熱く甘い吐息を吐き出して、調息する。
俺を見上げるその瞳は蕩けていたが、それに何か……
戸惑いか、悪戯を見つけられた子供みたいな色が混じる。
「………ちゃぃ、ました………」
小さく微笑んで、囁くように唇が動く。
「イっちゃい……ました……♥」
「え……?」
「あなたのオチンチン……入れてもらっただけで、イっちゃいました♥」
蕩けた、蕩けきった淫靡な笑みを浮かべて微笑んだ。
…意味が分からず固まる俺の頬に手を当て、撫でながらサーシャは言葉を紡ぐ。
「あなたにご奉仕しているあいだずっと……
イくの、我慢していたんです……
あなたのオチンチン舐めれるの嬉しくて
あなたの精液、とっても、美味しくて……
あなたにお射精してもらう度に、私も達してしまいそうだったのです……♥」
―――あなたに、抱いてもらえるのが嬉しくて
繋がっただけで、イっちゃいました―――♥
胸から湧き上がってきた得体の知れないモノが、頭に全身に巡って、かぁっ…と熱くなる。
彼女を思い切り貪りたいという激しい欲望と共に、温かな…優しい何かが胸にぽぅっと灯る。
「私、幸せです……♥
あなたが私を選んでくれて……あなたの、恋人にしてもらえて……
大好き、ですよ……♥」
感謝と、歓喜と、悦楽と――そのほかにも俺が推し量れない色々な悦びに満ちた笑みで、サーシャは微笑んだ。
微笑んだその瞳から、一粒の涙が落ちる。
哀しみではなく、喜びが溢れて流れ出た、涙。
――俺と、一つになったことを、喜んでくれた証。
胸に灯った温かさが、静かに爆発した。
快楽を求める欲望をも飲み込んで、音も無く燃え上がる。
その温かさに満たされて……自分が情けないことをしていたのに気付く。
「サーシャ」
愛する彼女の名を呼ぶ。
順番が無茶苦茶になってしまったが、今更と思われるかもしれないが、言わなければならないことがある。
「いまさらで、ごめん
大好きだ、愛してる、サーシャ」
童貞のガキだったとは言え、情けないことだ。
サーシャはあれだけ俺に向けて愛を言葉にしてくれたというのに、俺はまだ彼女に愛を伝えていない。
異性間で言う『愛している』という言葉の重さは分かっているつもりだ。
その重さを分かっているから…その言葉を言えばどうなるかを分かっていたから、尻込みをして口に出すことが出来なかった。
……大好きだった女の子の代わりなんかじゃない。
魔性の魔力で頭を弄られたから……力尽くで無理矢理押し倒されたからじゃない。
俺は、サーシャが愛しいから、サーシャを抱くんだ。
サーシャを愛することを、誰かのお陰とか、誰かのせいにしてはいけない。
サーシャの微笑みが、満面の素敵な笑みへと変わる。
タイミング外れで恰好のつかない告白だったが、彼女は俺の言葉を理解して受け入れてくれたようだ。
……そう思ったのだが
「足らないです」
「……え?」
笑みのまま、サーシャに駄目出しをされてしまった。
「一度くらいじゃ、足りません。
私はいっぱい、あなたに好きだと言いました。
……もっといっぱい、愛を囁いてくれなくっちゃ、嫌ですから、ね……♥」
ずぐんっ、と胸に衝撃が迸った。
その言葉だけで、射精しそうになった。
花弁を開いてペニスを導いていた彼女の腕が、俺の背を捕まえて抱き寄せる。
息が掛かるほど二人の顔が近付く。
チュッ…、と軽く唇にキスをされた。
「あなたの愛を言葉にして囁かれるだけで、私はまた達してしまいそうです♥
私と繋がったまま、たくさん愛を囁いてください………♥♥」
俺を受け入れるために大きく開いていた脚が、俺をがっちりと捕まえる。
腰に巻きついた尻尾がさらに密着を強めようと胴を締め付けてきた。
サーシャの望むとおり、繋がったまま睦言を口にしよう。
少し気恥ずかしいが、彼女が俺にしてほしいことは俺が彼女にしたいことでもある。
彼女の望みの前には俺の羞恥心なんて塵に等しい。
唇を突き出せばキスができるくらいの至近距離で、目を真っ直ぐに見つめて視線を重ねる。
潤んだ深紅の瞳はやはり何かの魔力が宿っているのか、目を合わせるだけで何処かふわふわした気分になる。
理性とか我慢とか…心の中の堅いものが解されていくようだ。
「……愛してる………好きだ、サーシャ……」
口にして、変化が起こる。
言葉にして口から出した瞬間、胸で爆発した得体の知れない温かなものが炎上した。
ただ言葉にしただけだと言うのに胸の内で燃え上がり延焼する。
変化が起こったのはサーシャも同じ。
一言聞いた瞬間、ペニスを包んでいた膣壁がきゅうっと締まり、圧迫される。
締め付けは強くなっても、ペニスをくすぐるヒダはざわつきを止めずに刺激を与え続ける。
「…愛、してる……っ」
膣壁の圧力が増す。
ヒダの愛撫はそのままに、ペニスを奥へ奥へと導こうと吸引する力が強くなる。
射精寸前だったペニスがじわじわと追い詰められる。
「っ……愛してる…大好きだ……」
「んっ……♥ もっ…と……っ」
ねだられて、胸の灯がさらに燃え上がる。
サーシャに何かをねだられるのは、とても嬉しい。
もっと彼女の望みに応えたい。
もっともっと、彼女に望まれたい。
「好きだ……好きだ……っ
好きだ……サーシャ……っ」
「きゅ、ふっ………!」
燃え上がった胸の灯に押されるまま愛を連呼する。
女たらしの、気障な台詞なんて俺には思い付かない。
自分の胸の内にあるものを、飾りつけもせずそのまま吐き出す。
「好きだっ……愛してる、好きだ……サーシャ、好きだ……っ!」
「はいっ……はい………っ!」
瞳から目を逸らさず、ひたすら彼女に愛を囁くことにのみ注力する。
一言を口にするたびに胸の灯が燃える。
抱き締められた腕に力が篭もる。
心にこびり付いていたわだかまりが、胸の灯に燃やされて、サーシャで満ちる。
ペニスが締め付けられる。
サーシャの体温と俺の体温が伝播し合い、蕩けあって混ざり合う。
思考が鈍化し、サーシャを愛する愛欲にのみ従う存在に成り果てる。
腰は振っていない。その必要も無い。
ただ繋がったまま抱き合い、見つめあい、愛を口にするだけで燃え上がり続ける。
激しい快楽は無いものの、身も心も、そして魂も重ね合い満たされていく果てしない幸福感。
激しい快楽ではないが故の、たまらなく優しい安心感。
「愛してる、サーシャっ……!愛してる……愛し、てる……っ」
「はひ……っ!私も、愛しています……っ!!
大好きです……っ!愛してますっ……!!」
彼女と繋がっている下半身が、小さく痙攣する。
何が起こっているのか分からず、震えに身を任せる。
過熱したペニスがさらに熱くなって―――
――ぷしゅっ……
「あぁ……!はぁぁぁ………っ♥」
「あ、うぁっ………?」
ペニスから尿でも漏らすように精液が噴き出した。
勢いは無く、量も数滴程度だが……愛を囁き合っただけで射精してしまった。
サーシャの膣内に納まって、腰も振らずに抱き締めあって、愛を言葉にして伝え合っただけ。
ただそれだけで、射精してしまった。
「あ……あ、ぁ……?」
射精の快楽は知覚できなかった。
精液が漏れたことは、鈴口から液体が漏れた感触で分かったが、鮮烈な射精感は無かった。
愛の言葉を口にして増産された精液が、容量を超えて溢れただけなのかもしれない。
ペニスに感じる重たさは未だに精液が充填され放出の時を待っているのだと分かる。
尿道には放出し損なった精液が早く射精させろと渋滞を起こしている。
動かなくても快感を齎す膣内で、膨らみ続ける射精欲動。
ペニスに感じる圧迫感は、痛みにも等しかった。
「は…ぁ、ぁぁぁ……♥
――好き、です…… す、き……ぃ……♥」
サーシャは……焦点がぼやけた瞳で俺を見つめていた。
俺と同じように愛を口にして興奮が極まり、射精された衝撃で再び達してしまったのかもしれない。
俺の名前と、俺への好意とを震える唇で呟き続ける。
半端な射精で火が点いた欲動が、暴走する。
「……サーシャ……っ!」
―ず、ぷ…っ!
「ひっ♥
……あぁぁっ!?」
サーシャの許しも待たずに、腰を突き出した。
最奥に辿り着いても納まりきらなかったペニスを全て彼女の膣内に納めてしまおうと、亀頭で子宮を押し込む。
軟骨で出来た子袋のような子宮は変形するのか、亀頭で押されて窪むような感触が返ってくる。
柔らかい膣の中で唯一固いそれを押して、ペニスに甘い電撃が奔る。
「ああっ!ああぁぁぁぁっっ♥」
サーシャは瞳を見開いて、甘い悲鳴を挙げる。
俺の暴走を咎めるどころか進んで受け入れるかのように、俺を拘束する腕と脚と尻尾に力が込められる。
更に更に密着しようと、俺を痛いくらいの力で抱き寄せた。
―ずちゅ……ちゅちゅっ……
サーシャの膣内が、俺のペニスに押し込められて形を変えていく。
ペニスを根元まで丸呑みしようと愛液を零し、卑猥な音を立てて俺を受け入れる。
子宮が亀頭に押されて窪み、膣壁が肉幹に吸い付いてしゃぶり、花弁がまさしく唇のように甘噛みしてくる。
腰を振って抽挿…はできない。
彼女の両腕両脚、そして尻尾に強く抱き締められて、一瞬すらも腰を引くことができない。
俺を最後まで受け入れようと、もう逃がさないと、俺を抱き寄せる。
それに逆らうことなく、ペニスを押し込む。
「く、うぅぅ……っ」
食いしばった歯から、快感の呻きが漏れる。
膣壁はヒダの一つ一つが吸盤付きの舌のようにペニスに吸い付いて纏わりつく。
ペニスのカリと、その内側と裏側にまで隙間無くビッシリと吸い付いて、全方位から追い詰める。
肉幹の胴回りには膣肉が巻きついてきて、圧迫して締め上げられる。
亀頭の先端に返ってくる、子宮を押し上げる固い手応えがペニス全体に与える刺激を倍加させる。
ゆっくり、ゆっくりと子宮を押し込めながら膣内を突き進み、そして遂に……
俺のペニスが、根元までサーシャの膣内に呑み込まれた。
サーシャの中にペニスを納め、あるべき形へと成ったことで改めてペニスがその機能を発揮する。
愛するサーシャを、愛しいメスを孕ませる為に、精液を捧げる。
―ぶゅ…っ
――ぶしゅっ……ぶしゅぅぅぅぅぅぅ……っ
「うぉ、ぉぉぉ………」
「はぁぁ♥ あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ♥♥♥」
射精の勢いはさほどでも無い。
だがまるで、クリームの充填器で注入するかのように大量の精液を膣内に吐き出す。
ゆっくりと時間を掛けた、只管に穏やかで優しい、長い長い射精。
「ぉ、ぉ、ぉ、ぉ―――――」
自分の中の命を彼女に直接注ぎ込む感触は、快楽…などという言葉ではとても言い表せられない。
許容量を遥かに超えた快感で下腹部の感覚は無くなってしまった。
感じるのは彼女の膣内の熱さと、その熱さに向かって子種を注ぎ込む射精感。
ペニスが膣肉に蕩けて溶けて、混ざって取り込まれて、彼女の一部になってしまったような気がする。
「ぁぁぁぁぁぁ………♥♥♥」
俺の下では、愛するサーシャが白い咽喉を晒して、甘い嬌声を挙げながら精液を受け入れている。
尻尾と脚が万力のように俺を拘束し、俺にもっと貫かれようと抱き締める。
ピンク色の乳首が充血して硬くなり、密着している俺の胸板に指先で突くような感触を返す。
ペニスに押し上げられた子宮は亀頭にぴたりと密着し、針穴のような小さな口で吸い付く。
放出された精液を飲んでいるのかもしれない。
膣の肉ヒダも同様。
まさしく舌のように、子宮に入らず膣内に充填された精液を、ペニスに張り付きつつ舐めて貪る。
まるで独立した生き物のように蠕動し、もっと精液を寄越せといわんばかりにペニスを追い立てる。
射精し、子宮を精液で浸し、膣に充填し、膣壁のヒダに舐め採られる。
小便もかくや、というほどの大量の精液は零れることなく、サーシャに飲み干されていった。
俺達は小さく呻き声を挙げながら、この優しくも長大な快楽に身を曝し続けた。
長かった射精が終わる。
快楽の波が引き、徐々にではあるが混濁した意識が戻る。
人間であれば頭がおかしくなるような快感に身を曝し、命に関わるような大量の射精をしたというのに、俺の意識は完全に回復し、肉体は疲労すら感じなかった。
射精直後の倦怠感も無ければ、自己嫌悪を伴う冷静な思考も戻ってこない。
射精したばかりなのに、睾丸は即座に重みを取り戻し、再度の射精への欲望と――
――サーシャに対する、湧き上がって口から吐き出しそうなほどの愛おしさが燃え上がる。
余韻に浸って小さく開いている彼女の唇に、被せるようにしてキスをした。
「あ、む……♥
ちゅ、じゅっ………♥」
すぐさま、サーシャの舌が俺を迎え入れ、甘い唾液を貪り合った。
無言でずっとキスを愉しんでいると、ペニスに新たな快感が奔った。
膣壁が出された精液を食べ終えたのか、再起動してペニスを愛撫し始めたのだ。
しかし――
「ん、くお……っ!?」
その快感は、膣内射精する前よりも強かった。
膣壁の肉ヒダはびっしりと生えた繊維のように、隙間無くペニスに纏わりついて絡み付いてきた。
今も絡み付いてくることに変わりはないが、カリの返しのところに裏筋と、感度の良い部分に一際強く吸い付いてくる。
それだけでなくペニスの弱点を探るかのように、独りでに蠢いて肉幹をグニグニと揉み解す。
変化があったのは膣の感触だけではなかった。
サーシャの身体から立ち昇る、甘い体香。
淡く、優しく包み込まれるようなその香りが、濃度を増して質量を持った…ような気がする。
温かな雲のように、俺の身体を包み込んで皮膚に沁みこんでくる。
深化した快感にペニスが硬度を増し、精液が睾丸で増産される。
「あンっ……♥
ふ、ふふ……どう、ですか……?
私のおまんこ……すごいでしょう……?」
絶頂の余韻と、膣内で硬度を増したペニスの快感に喘ぎながらも、サーシャが囁く。
この変化が何なのか、彼女は知っているのだろうか。
「あなたに抱かれるたび、精液を戴くたびに、私の身体があなたに馴染んでいくのです♥
あなたが愛してくれた数だけ、私は、よりあなたを愛することのできる力を得るのです♥」
快感に浸った、満面の素敵な笑顔を浮かべて、陶然と語る。
嬉しくて堪らない、これからが楽しみで仕方がない……そんな喜びと期待に溢れた言葉。
「これが、魔物……これが、私なのです……♪
愛する男性を、愛するあなたを、どこどこまでも果てしなく愛することが出来る……」
俺を抱き締めていた脚と尻尾に力が込められる。
射精直後で敏感になったペニスを、膣内射精で快感を増した膣が慈悲深くも容赦無く襲う。
うっ、と小さく呻く。
「二人でもっと、もっと気持ちよくなりましょう……♥
私はあなたに堕ちますから……あなたも私に堕ちてください……♥♥」
俺に組み敷かれたまま腰を左右に揺らす。
ぐちゅり、ぐちゅりと音を立ててペニスと膣壁が擦れる。
ペニスが快楽で過熱するような感覚に反射的に腰が引けそうになったが、俺を抱き締める彼女の脚と尻尾がそれを許さない。
「う、うぅぅ……!」
「んっ♥ ……私の中でいっぱい、良くなってくださいね……♥」
親愛を示すように軽くキス。
俺を有無を言わせない抱擁で拘束しながら、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
密着しながらでは大きく動けないが、腰を揺らす程度の動きでもペニスに与えられる快感は大きい。
―ぐちゅ、くぷっ…ちゅ、にゅぷ……
ペニスと膣が擦れ合って卑猥な水音を立てる。
無数のヒダはペニスに絡み付いては吸い付き、肉幹を締め付け、絞り、擦る。
カリ首や裏筋は特に重点的にねちっこく。
亀頭には窪んだ子宮がぴったりと押し付けられ、こりこり、つるつる、ぬるぬるとした異なる感触で責め立てられる。
「おぉ、ぉぉぉ……っ」
「ああぁ♥ あなたの、気持ち良さそうな顔……♥
もっといっぱい私の中で気持ち良くなって……たくさんお射精してくださいね……♥♥」
愛おしくて堪らないとばかりに、顔中にキスをされる。
唇、頬、鼻、額、また唇………軽く啄ばむように、何度も何度も。
揺らされる腰は膣壁をペニスに擦りつけ、尿道に残っている僅かな精液すらも搾り出すようだ。
全身に感じる快感に精液が増産され、あっという間に射精の準備が調う。
「サーシャっ……俺、また……っ!」
「ああ……♥ いい、いいですよ……っ!
私のナカで好きなだけお射精してください……!!」
ゆっくりとしていた腰の動きが深く重く、強くなる。
強く押し付けられる子宮と、一層強く締め付ける膣壁が絶頂を迫る。
挿入してから二回目、いや、三回目の立て続けの射精が始まった。
―ぷしゅ、ぅぅぅぅぅぅ……っ!
「う、お………っ!?」
「は、あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ…………♥♥」
二回目の射精からほとんど間を置かずに、再びの射精。
深くも穏やかな快感で煉られた精液は、スプレーのようにサーシャの子宮に噴き掛けられる。
俺は何かの力に引っ張られるように背を海老のように反らして腰を突き出していた。
腰を、ペニスを突き出して、より彼女の深い場所で精を捧げるための体勢。
―ぷしゅっ……ぷしゅ……っ!
生産された精液が、与えられた快楽の対価とばかりに、サーシャに捧げられる。
圧縮される時間が短かったためか、粘度は低く、サラサラした感触の精液。
尿道を走る感触は小便というには重く、精液というには軽い。
激しくはないが全身にじわりと広がる優しい快感を俺に齎した。
「あ、ぁぁ、はぁぁぁ♥♥」
膣内射精を受けて、サーシャは熱い吐息を吐き出す。
目で見開きながらも瞳は蕩け、俺にキスをして濡れた唇が瑞々しく光る。
口から吐き出される快感の吐息は音色だけでなく香りも甘く、少し吸い込んだだけで俺の頭を蕩かす媚薬になる。
歓喜に震えるその表情も、身体の震えに合わせてプディングのようにぷるぷる震える美巨乳も、視覚に強烈な刺激を与えた。
彼女のか細く伸びた嬌声は、彼女が俺の射精を受けて悦んでくれていることを表し、サーシャを喜ばせられた歓喜を齎す。
ペニスに感じる快感は言うに及ばず、だ。
視覚も、嗅覚も、聴覚も、触覚も、その全てで…その全てが……
サーシャを感じ、サーシャに支配され、サーシャで満たされる。
「ん、むっ……」
「は、む♥……ちゅ、じゅるっ……♥」
残る味覚でもサーシャを感じるために、唇をキスで塞いで舌を突き出した。
迎え出てくれた舌を舐めしゃぶり、サーシャの味のする唾液を味わった。
甘露…とはこんな味のことを言うのかな……。
サーシャに支配された頭で、そんなことを考えた。
射精を終え、長々とキスを貪り合っていると、腰に巻きついていた彼女の尻尾が解かれた。
尻尾の先端が掌のようにペタリとシーツに置かれ、俺の身体ごと身を起こした。…便利だなあ。
膝立ちになっている俺に抱きついて、対面座位の体勢になる。
サーシャの意図を理解し、キスを続けたまま膝立ちしていた足を彼女の下へ投げ出し、崩れた胡坐をかく。
彼女もキスを止めないまま、俺の足の上に腰を下ろした。
俺はサーシャの腰を抱き、サーシャは俺の肩の上に腕を回して抱き合う。
豊満な美巨乳が胸板に押し付けられてぐにゃん、と形を変える。
柔らかい乳房のなかで唯一硬い、充血した乳首をぐりぐり押し付けられて、ちょっとくすぐったい。
体勢が変わって、挿入が浅くなり亀頭と子宮が離れてしまったが、膣の締め付けは強くなった。
「ぁむ、ちゅっ、ちゅ……」
「んむ、♥ ちゅ、じゅっ……♥」
ずっとキスし続けて少し息苦しいが、鼻から吸い込むサーシャの香りが堪らなく心地良くて、キスの甘味に病み付きになってキスを切り上げられない。
ペニスは……一瞬すらも萎えることなく、サーシャの中でガチガチに硬くなっている。
硬くなればなるだけ感度は上がり、快楽を与えられれば与えられるだけ、睾丸には重みが溜まっていく。
ひょっとしたら、インキュバスには与えられた快楽を精液に変換する能力でもあるのかもしれない。
「んん……♥ んん……♥」
キスをしながらサーシャが左右に腰を揺らす。
全身を密着させながらの浅い運動だが、茹る全神経のなかで唯一敏感になったペニスには電気のような快感が奔る。
がっちりとペニスを締め上げる膣壁は窮屈極まりないが、同時に崩れたゼリーのような滑りもあり、締め付けながらもニュルニュル滑って複雑な快感を齎す。
窮屈で、繊細で、そして熱い。
激しく腰を振られたら瞬殺もあり得るが、浅い運動であればじっくり愉しむことも出来る。
射精までのスパンが長くなる分、睾丸に感じる重みはどんどん増していくようだが……。
―ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……
結合部から水音が零れる。
サーシャは規則正しいリズムで腰を揺らす。
一動作ごとに重たい快感がペニスに奔り、精液の材料として睾丸へと降りてくる。
精液が生産され、ペニスが膨張する。
射精が……近い。
「んんぅ………♥♥」
零距離で見つめあうサーシャの瞳が、とろんと垂れ下がる。
このまま、射精しろ……ということらしい。
揺すっていた腰が停まり、そして体重を掛けてきた。
下がってきた子宮が亀頭に押し付けられて、再び子宮と亀頭のキスが始まる。
「ん、むっ………」
しかし対面座位では結合は浅く、正上位のように子宮を突き上げることが出来ず、ペニスを根元までサーシャの中に納めることも出来ない。
キスと抱擁が楽しめるのは嬉しいが、彼女の一番深い場所での射精……
あの、サーシャにドロドロに溶けてしまう感覚を味わいたかった。
……だが、その欲望を行動に移す前に、愚息が限界を迎えた。
―ぶびゅ、ぶびゅるるるるるるるる…………っ!!
「ん、んんん―――ッ!!」
「んんぅ……!ん―――――――ッ♥♥♥」
口付けたまま、サーシャが嬌声を挙げる。
じっくりと時間を掛けて煉られた精液は粘度が濃く、ゼリーのように噴き出した。
亀頭とキスした子宮を押し返さんばかりの勢いで噴射。
子宮にたたきつけられ跳ね返った精液が、膣内を巡り、ペニスに絡み付いていた肉ヒダが一斉にそれを舐め取る。
圧縮されたゼリーが尿道を駆け抜ける感触は、それだけでも快楽だった。
無意識に腰を突き上げ、サーシャの身体を抱き締め、溜まっている精液を吐き出す。
強烈な快感にペニスが曝され、腰がガクガクと震える。
……だが、やはり浅い位置での射精だったせいか、僅かに出しそびれた精液が残尿感のように残ってしまった。
「ん、ふぅー…っ! んふぅぅーー……っ!」
「んん……、んふ……っ♥」
ココに至っても俺達はキスを止めず、口付けたまま調息する。
吸い込むサーシャの体香は俺を心地良く癒してくれはするが、興奮も齎してしまいクールダウンには向いていない。
出し損ねた精液が残っていたことと併せて、絶頂を迎えた直後だというのに新たに快楽が欲しくなってしまう。
唇を唇で塞ぎながらの調息は時間が掛かり、終えたときにはもう二人して更なる快感が欲しくなってしまっていた。
涎を口の端から零しながら、どちらともなく再び舌をしゃぶり合う。
「じゅ、ちゅる……♥」
しなだれかかりながら、身体ごとやんわりと押し倒される。
口付けたまま、抱き合ったまま、繋がったまま、女性上位の体勢へと移行した。
「んんっ……あふ……♥
ふふふっ……♥」
ずっと重ねていた唇を離し、淫靡な笑みで笑うサーシャ。
身体を密着させた状態で、腰だけを揺らす。
今度は左右ではなく、上下に。
―ず、ちゅ……
「あん……ん……♥」
「おお……っ」
射精しても全く硬度が落ちないペニスを、精液を吸って脅威を増した膣壁が擦る。
サーシャの言のとおり射精の度、俺の形を覚えてより俺に馴染む膣壁の肉ヒダ。
さらに繊細に、緻密に、そして執拗にペニスに纏わりつく。
隙間なく亀頭にカリ首に肉幹に絡みつき、全体をくすぐりながら、サーシャの腰の動きに合わせて上へ上へ……
ペニスが引き抜かれ、花弁に亀頭が呑み込まれた位置で停まり、ゆっくりと腰を下ろす
そしてサーシャが腰を下ろすと同時に、ヒダがぞわぞわと蠢き、ペニスに張り付いてしゃぶりついて……
膣全体で吸引するように、ペニスに吸い付いて圧迫する。
サーシャがストンと腰を下ろせば、その振動が伝播して、ゾクゾクと背筋に寒気みたいな刺激が奔る。
「あぁぁ……っ♥
いっぱい……いっぱい、良くなって、ください、ねぇ………♥♥」
自らも快楽に震えながら、悦楽と慈愛の混ざり合った笑みを俺に向ける。
襲い掛かる優しくも凄まじい快感に、返事も返せずコクコク頷く。
「ふふ……あなたの、気持ち良さそうなおカオ……
もっと、見せて下さいね♥♥」
うっとりと俺を見つめ、腰を上下させる。
勢いはそれほど強くないが、じっくりと、奉仕するように。
―ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ……
対面座位で吐き出しそびれた精液が、サーシャの膣に扱かれて、尿道を昇る。
火傷しそうな熱さを伴って鈴口から漏れ出し、すかさずヒダに舐め採られる。
数滴程度の精液すら燃料にしてしまうのか、膣壁の感触がじわりじわりと変化する。
複雑に、そして感触を変化させつつ責め立てる膣は俺に慣れることを許さない快楽を与え続ける。
増産された精液がペニスを膨張させ、限界が近付く。
「………サーシャ……っ」
「んあっ……イ、きそう……なんですね…っ?」
俺が白旗を揚げると、サーシャは軽く唇にキスをして、身体を起こす。
騎乗位になって、俺を笑顔のまま見下ろす。
「じゃあ、激しく動きますね……♪
いっぱい…私のナカでお射精してくださいね……♥」
俺の肩に手を置いて、ゆっくり腰を引いて―――
―――一気に下ろした。
「うおお………っ!?」
「あ、ン……っ!!」
二人して、いままでなかった強烈な快感に喘ぐ。
膣壁を勢いをつけて一気に押し進み、子宮を突く快感は電撃となって突き抜けた。
数分は保ちそうだった限界が、一気に残り数十秒のところまで縮められてしまった。
「いき、ますよぉ……!!」
調息する間も与えられず、サーシャが追撃を開始する。
柔らかくも張りのある尻を打ちつけながら、腰を大きく振る。
徐々に徐々に、速度を速めながら。
ぱちゅんっ…ぱちゅんっ…ぱちゅんっ…
ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!ぱちゅんっ!
ぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっぱちゅんっ!!!
「ああっ♥ああっ♥ああ、ああああ―――っっ!!!」
「う、おあぁぁぁぁぁぁぁ―――っっ!!!」
二人して咆哮する。
たたきつけられる快楽が、ペニスの奥を圧縮し、撓み、撓み、撓み―――
―――暴発する。
―ぶびゅ、
――どびゅるるるるるるるるるるるるるる―――っっっ!!!!!
「か、ぁ―――っ!!」
「あああっっ♥♥
あああああぁぁああぁああぁっぁあああああああああ―――ッ♥♥♥♥」
今までで一番濃くて、多くて、激しい勢いでの射精。
愛するサーシャの膣を満たし、彼女の子宮を精液で溺死させんばかりに、精液を撒き散らす。
サーシャは絶叫しながらも決して逃げず、そればかりか腰をぐりぐりと俺に押し付けて、精液を搾り出す。
視界が真っ白に染まる。
溜め込んだ精液を全て吐き出すまでの間じゅう、気が触れるような快楽に身を曝す。
長く、長く、永遠にも思える数秒間を、終えるまで。
調息を終えても、まだ俺達は繋がったままだった。
いや、もう離れたいなどとは思わない。
新たな快楽を得ようと、再び愛し合う。
「ふふっ……うふふふっ……」
不意に、微笑む彼女の瞳に、涙が浮かぶ。
「サーシャ……どうしたの…?」
その涙が哀しみからくるもので無いことは分かるが、突然のことに驚いて尋ねてしまう。
「ふふ……ごめんなさい……嬉しくて、つい…」
瞳に涙を湛えたまま、俺を見下ろす。
「ずっと、あなたを見ていたのです。堕落神に帰依する前からずっと…ずっと……」
―あなたが欲しかった。
――欲しくて欲しくて仕方なかった。
―――あなたを独り占めしてしまいたかった。
あなたが私ではない誰かを想っていたことは分かっていた。
悲しかったけれど、諦めようとも思った。それがあなたの望みならばと……。
でも、堕落神に帰依して……私はあなたを誰よりも愛することができるのだと知った。
そして……あなたは私を受け入れてくれた―――
「ありがとう……私を選んでくれて………
ありがとう……私の、夢を叶えてくれて
大好きです………愛していますよ…………」
満面の笑みで笑って、涙が一粒、俺の顔に落ちた。
満ち足りた、溢れ出る歓喜で零れ落ちた、喜びの涙。
俺は―――今まで、何をしていたんだろう。
こんなに、こんなにも、彼女は俺を求めてくれていたのに―――
我侭で一方的な恋の残骸に未練たらしくしがみついて、彼女の想いに気付きもしなかった。
そんなので……俺はサーシャの味方でありたい、理解者でありたいと…勝手に思い込んでいた。
つくづく、情けないことだ。
―でも。
これからは、違う。
俺はこれから、真にサーシャのモノになる。
俺を想ってくれた、選んでくれたサーシャに、俺の凡てを捧げ尽くす。
サーシャが俺を選んで良かったと、俺の妻になって良かったと胸を張れるように。
愛するサーシャに、愛されるに足る男になるように。
―愛するサーシャに、恥を掻かせてはならない。
へし折られて燻っていた、意地が、心が、形を変えて息を吹き返す。
彼女を欲する欲望の火と、彼女を愛する情愛の灯に、それぞれ燃料となって注がれる。
得体の知れない力が、湧き上がって来る。
いつまでもサーシャの優しさに甘えているな。
愛し返せ。
サーシャが俺に向けてくれた愛に負けないくらい、彼女を。
―――男を、見せろ。
12/08/09 22:43更新 / ドラコン田中に激似
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