連載小説
[TOP][目次]
前編

とある山の中腹に建てられた神社がある。
都にある名の知れた寺社のようには大きくはない、鬱蒼と茂る山林の中にひっそりと存在している小さな神社。
だが百足を象った銀の装飾の施された立派な鳥居に、古いが良く手入れされて大切にされてきた境内と小綺麗な拝殿。

拝殿の奥では、全裸の男に大人の胴ほどの大きさの異形が絡みついていた。
袈裟懸けに、腹にぴったりとその身を張り付かせ、紫色の粘液を滴らせて男の全身に愛おしげに、そして執拗に粘液で濡れた身体を擦り付ける。
自分の全身を使って、これから愛で食べる獲物に蜜を塗りつけるかのように。

「んんぅ……
   あぁ、ん………っ」

異形は男に身を絡みつかせているが、その全てが人ならざる姿をしているわけではない。
巨大な百足の胴をしているが、その上に乗るのはやや暗い印象を受ける妖艶な女。
黒に紫を溶かし込んだような艶やかな長い髪に、細身の白い肌。
入れ墨のような紫色の模様が、その白い肌をいっそう艶めかしく見せる。
彼女は百足の脚で男に上体に巻き付いて、人間の身体で男の下半身に抱きついていた。

「んふ…… あん……
        れぇる……っ」

百足の胴の上は人の姿をしているが、人にはない器官も彼女には存在する。
際だっているのは頭部に生える百足の触覚と、首回りに生えた顎肢。
彼女は拘束した男の下腹部に顎肢の牙をごく浅く突き立てて、ゆっくりと、じっくりと自らの持つ淫毒を男の身体に注ぎ込んでいた。

催淫と強壮の作用を持つ毒の効果で、男の一物はばかり怒涛し先端から先走りを止めどもなく流し続ける。
彼女はその零れでる先走りを一滴も無駄にせぬと、執拗に先端を舌で舐め、唇で包み、しゃぶって吸い付く。

「ちゅぅ…… ちゅぅ………っ
      う、ふふ………あぁむ……♥」









いきなりこんな場面で失礼。
私の名は成忠(なりただ)。姓は、伊達。
この地の領主である伊達家の次男にあたる。
一応、この亘理(わたり)神社にて神主を務めさせていただいている。

首に生えた顎肢で淫毒を送り込みながら、小さな口で私の一物をしゃぶっている百足の化生は
この神社の巫女であり、御神体でもあり、そして私の妻である大百足……亘理だ。



我が伊達一族は日の国(大陸の人間は“じぱんぐ”と呼ぶ)が戦乱の世だった時代に同じ姓を持つ主君に仕え、戦乱の世が終わるとこの地に根を下ろし領地の発展に寄与してきた。
この地は土の氣が豊かで作物が良く育ち、近くの山からは質の良い銀が採れ、それが我らが領地を支える大切な産業となっている。

今でこそ人と妖が共に生きる平和な土地だが、ご先祖様が流れてきた当時は住処を巡って人と妖達が争っていた。
その妖の中でも特に勢力が強かったのが日の国で『怪物』とされている百足の妖――“大百足”だった。
土地を巡っての血で血を洗うような争いが長く続いたが、その争いはある日突然に終わる。

日の国を含めたこの世の全ての妖が、妖艶な美女にその姿を変えたのだ。
大陸の向こうで妖の王の代替わりが起こったためと伝えられているが、私の生まれる何百年も昔の話であるから、詳しくは分からない。
ともあれ、妖が人の言葉を解し、人の命を徒に奪うことが無くなって我々の争いは終わりを迎えた。

そして人と妖の、武力に頼らない交流が始まったのだ。

ご先祖様は大百足を始めとする妖たちと和解し、共に生きる道を選んだ。
山の中腹に建てられた我が亘理神社は、人と妖が力を合わせて建立した共存の証だ。
領地の豊穣を祈願する信仰の場でもあり、人と妖が共に手を取り合って生きる祈りの標でもある。

領主の一族である我が伊達家には、山の神となった大百足の一族との取り決めがあった。
大百足に限ったことではないが、妖は子を成すために人間の男を必要とする。
伊達家の男は、家督を継ぐ者以外は大百足を始めとする妖の夫として家を出ることになっている。

妖との間に生まれる子は全て女子で、しかも必ず妖であるため、血を絶やさぬために家督を継ぐ者は人の子を成さなくてはならない。
(我が領地、我が一族に限らず、豪族や貴族にはそういった義務としての制約があるものなのだ)
次男坊である私は、家督を継いだ兄が兄弟の中でも特に優秀で、若くして既に世継ぎにも恵まれたことで後継者としては御役御免となり、亘理の夫として亘理神社へと婿入りを果たした。

神社と同じ名を持つ我が妻、亘理とは幼馴染でもあった。
いずれは夫婦になるかもしれない間柄ということで幼い頃から頻繁に顔を合わせ、ごく自然と思い合うようになっていたが、お互い永らく触れ合うことは許されず悶々とした苦しい思いをした。
兄の身に何かあったときは私が家督を継がねばならない為、後継者が決まっていない内に妖の夫になることは禁じられていたのだ。
男の身体に妖の妖力(大陸では魔力と呼ぶらしい)が入り込んでしまうと、その男は人の子を成せなくなってしまうという。
身に妖力を宿してしまったら、人間の女と交わっても生まれてくる子が妖として生まれてしまうばかりか、交わった女を妖に変化させてしまうのだ。

血を残す義務がある以上、軽率な行いは許されなかった。

時は流れ、兄が無事に家督を継ぎ、しかも兄の後を継ぐ世継ぎにも恵まれたことで、私は晴れて亘理と夫婦になれた。
私を後継者の責から早々と解き放ってくれた兄には、頭が上がらない。





夫婦となった私達は、祭事の時を除いてほとんど日がな一日、神社の中で交わり続けている。
今日も目が覚めて、夜も明けきらぬ内から気を失うまで続く交わりの始まりだ。

下準備にと亘理は百足の脚で私の上体を拘束し、腹に首の顎肢を浅く突きたて淫毒をゆっくりと流し込みながら一物をしゃぶっている。
大百足の毒には麻痺の効果以外に、獲物に強烈な快楽を与える効能がある。
一思いに毒を流し込んでしまうとその衝撃で精を放ってしまうことすらあるのだ。

しかし、毒とは正しく使えば薬にも用いることができる。
こうしてゆっくりと時間を掛けて流し込めば、一晩中交わり続けられるほどに一物を昂ぶらせてくれる強壮剤にもなる。
私の一物は既にはち切れんばかりに屹立し、先走りを溢れさせていた。
注入された毒はじんわりとした鈍い快感へと変わり、一物を膨らませる力として蓄えられつづける……。

「ぺちゃ…… ふふふ……っ 
    もう少し、ですね……♥」

亀頭を口に含んでいた亘理が、粘つく唾液を零しながら唇を離す。
元々が物静かな性格の我が妻だが、大百足という種族の性質なのか、交わりの際には愛撫も抽挿もひどくねちっこい方法を好む。
私の身体を身動きが取れぬよう拘束し、一物が破裂寸前になるまで淫毒と口淫で私をねぶって焦らし、追い詰める。
そうして私が連続で射精してしまうほどに昂ぶったその時に、膣と子宮で一物を飲み込み、精液を貪るのだ。


ぴちゃ……ぴちゃ……ぴちゃ……


自身の唾液と私の先走りで濡れた、真っ赤な舌先で鈴口を猫のように舐める。
先走りを舐め採り、尿道をくりくりと舌先で突き刺激する。
空いている手は私の金玉をやんわりと包み、転がすように弄ぶ。

「もう少し、もう少し……
    うふ、ふふふ…………っ」

私に、そして欲情している自分自身にも言い聞かせるように亘理は呟く。
口でしゃぶるだけでは辛抱堪らなくなってきたのか――


―自らの艶やかな長髪を手に取り、筆のようにして竿をくすぐる。

――慎ましい乳房を寄せて、愛しい男根を挟み込もうとする。

―――充血して硬くなった乳首を亀頭に擦り付ける。


思いつく全ての方法で、私の一物を愛でる。


「ふふ……」
屹立する一物の根元を手で固定し――入れ墨のような模様に、亀頭を擦りつけた。

「ぐ、うっ………うう!!」

一物に触れたぞくりとする刺激に思わず、呻く。
刺激は軟膏のように一物の肉に染み込み、さらに一回り屹立を大きくさせた。
亘理は私の反応に満足したのか、妖艶な笑みを浮かべて一物を撫で擦る。


亘理の身体に浮かぶ模様は、入れ墨ではない。
顎肢と同じ、体内の淫毒を分泌する毒腺だ。
敏感な亀頭に少量とは言え強烈な淫毒を塗りつけられて、一物の我慢が限界を迎える。

「わ、たり……っ!! もう、でる……!!」

尻の奥から、毒の刺激に引き吊り出された精液が鈴口目掛けて昇る。
せりあがって来る力に為す術もなく、腰をがくがくと震わせた。

「ああっ……!! 待って…!
    せめて、わたくしの口に……!!」

慌てて、亘理が亀頭を口に咥える。
私の精液を一滴たりとも無駄にしたくないと、亀頭のくびれに唇をぴたりと吸い付かせ、舌先で鈴口を突く。
射精を待つ間、玉を揉み転がすことも忘れない。

「ぐ、おおぉぉぉぉ…………っっ!!」

頭の中が熱暴走を起こし、身体が力んで息が止まり…射精が始まる。






―ビシャ………っっ!!!
尿道を矢のような勢いで精液が登り、そして亘理の口内にほとばしる。

―ビュルルル………っっ!!!
「んう……ッッ♥♥♥」

鈴口を突く舌に叩き付けられた、愛する夫の灼熱の甘露。
焦らしに焦らされて放出された精液の量は多く、舌に跳ね返って歯に上顎に……口内に満ちる。
口の中に精液を充填されていく悦びに亘理の脳は熱く蕩け………


……ついうっかり、成忠の腹を浅く刺していた顎肢を、深く突き入れてしまった。


「うぐ、うおおおぁぁぁぁ……ッッッ!?!?」


保護の妖力によって痛みは無い、だが太い異物感がずぶりと、腹の中に突き立てられた。
同時に、それまで緩々と流し込んでいた毒も、大量に流し込まれる。
射精の最中に大量の淫毒を流し込まれ、毒に押し出されるように、精を吐き出した。

―ブビュビュビュルルルルルルルルルルルルルルッッッッッ!!!!!

「んぶぅ……っ!!!!」

いきなり量を増した射精に、亘理の頬がぷくりと膨らんだ。
突然の事に目を白黒させるが、それでも一滴も零さぬと、次から次へと吐き出される精液を受け止め…
嚥下する。

「ごきゅ……ごきゅっ……ん、ごく……っ」

亀頭は唇で包んだまま、荒い鼻息で呼吸しながら口内の精液を飲み下す。
膨らんだ頬が元に戻るほどに飲み込んだら、今度は口を窄めて亀頭そのものを吸引。

―ずず……っっ

「おおおお、おおぉぉぉぉ………」

最後の一滴を吐き出すまで続く射精に、成忠はひたすら呻く。
尿道を吸引される刺激に、勃起は一瞬たりとも萎えることを許されなかった。
むしろ淫毒を流し込まれて、より一層雄々しく屹立してしまう。



「ちゅうぅぅぅ……
    ……ん、はぁぁぁ♥♥」

精液を飲み終えた亘理が顔を上げる。唇と亀頭の間に、白濁の糸が生まれ、切れた。
百足の脚と人の身体の境界……男を受け入れるための女唇は、夫を求めて疼き、愛液を溢れさせている。
あまりの愛液の量に、前貼りのように女唇を隠している符がふやけてしまった。

精液を口で受け止めるのは快感ではあるが、子宮で受け止める訳ではない以上、これで満足できるわけではない。
それどころか、精液に満たされた胃と口に嫉妬して、余計に疼き、そして飢えてしまう。
もう、辛抱の限界だ。

「はぁ、はぁ………な、りただ……ぁ……♥」

ふやけた符を毟りとり、愛する夫の名を呼ぶ。

「はぁぁ……は、ぁぁぁぁ……っ」

射精の衝撃から、成忠は未だに復帰できていなかった。
荒い呼吸で調息し続け、亘理の言葉に返事も出来ない。

しかし成忠の一物は、湯気が立つほど赤々と勃起し、女を貫かせろと猛っている。
快楽に悶える夫に愛しさと、自分を求める夫の一物に粘つく欲望が燃え上がる。

精の香りの残った唇をぺろりと舌なめずり。
このまま、動けない愛するこの男をたっぷりと犯してしまおう。

亘理は夫を捕まえたまま百足の脚をわきわきと動かして、身を捩る。
長い脚と胴で夫を拘束したまま、覆い被さる。
己の下には、はぁはぁと呼吸している夫の唇。
しゃぶりつきたい衝動が湧き上がってきたが、それをしてしまうと攻守が逆転していまうので我慢する。
今のところは。


「さぁ……いきますよ
   わたくしだけの、成忠………ぁ♥♥」


女唇に夫の一物を宛がって、ゆっくりと腰を下ろした……。

12/11/04 21:53更新 / ドラコン田中に激似
戻る 次へ

■作者メッセージ
個別企画がちょっと詰まったので息抜きに別企画。

「皆様が読みたいエロを納期を決めて、尚且つダラダラ書かんとトータル1万文字以内で読みやすいように書いていこう」企画第一弾。

10日間の内、5日間くらいは執筆に使えると思って10日という納期を設けたのに、実質2日間しか筆を持てないよナンテコッタイ
でもズルズルと納期を延ばしたら月を跨ぎかねないのでこのまま逝くぞオラァ!

低クオリティすいましぇーん、ごめんなしゃーい……

続きは明日の夜に投稿。
本番は次回に持ち越しでゴワス。
一転攻勢(ペース握ってたけどうっかりキスして…)は次回ネ☆

726兄貴へ
意見、要望、オイコレジャネーヨがあったら感想欄でお願いします。
可能な限り、何とかします。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33