・・・今日は焼き芋でもするか。
「ジパング・・・ジパング・・・。」
現在、私東雲龍紀は一刻も早くジパング・・・もとい、元の日本に帰らなければ成らない。理由は多々ある。
@今の生活では私は『ヒモ』だから。
収入ゼロ(そういえばここの奴らどうやって金を調達しているのだ?)。生活にも無気力ではないが、このままでは生徒会に帰れたときに『生徒会長が・・・。』なんて、不憫な眼で見られてしまう。
A純粋な貞操の危機
昨日は散々スピアに夜這いされた。追い出しても、頭を外に投げ捨ても、再び現れ、しまいにはバフォ様に『一日だけ同衾してやるのじゃ』などと言われた(結局していないが)。あの幼女許すまじ。
B・・・これが最も重要なのだが―
「あの本とって、お義兄ちゃん!」
―義理の妹まで来てしまったことだ。マズイ、非常にマズイ。いや、知られてまずいことはないが、如何せん教育に悪い(マリアとか、マリアとか、マリアとか、スピアとか)。うちの義妹は影響されやすいし。
「?、どうしたの?」
なにより、クォーターの私と違って、義妹は純日本人だ。私もこの髪と眼のせいで、幼少期には苦労した。
「何で頭をなでるの?」
墨を流したように真っ黒な髪。私も純日本人ならこの髪が手に入ったのに・・・。何故、四分の一しかない血が、私に限って濃く出るんだ?嫌がらせか?
「くすぐったいよ、お義兄ちゃん。」
まあ、今ではこの髪も私のトレードマークだし、そこまで気に病んでいるわけでは―
「聞いてる?お義兄ちゃん。」
「うむ?」
ああそうだ、えーっと何の話を・・・?
『『『ジーッ・・・』』』
「殺気!」
勢いよく後ろを振り向く。すると誰かが慌てて退散して行った。・・・ガシャガシャ音がしているから、ばればれだが。
「はあ・・・」
どちらにせよ、早々に義妹を帰す必要が出てきた。タイミングが良いのやら悪いのやら・・・。
「おーい。お義兄ちゃん?」
「ああ、あの本だったな。」
そうだそうだ。早く本を―
『大好きおにいちゃん 〜近親相姦のススメ〜』
「「・・・・・・。」」
・・・・・・ふむ。
「・・・今日は焼き芋でもするか。」
「待って!待ってお義兄ちゃん!」
「えーっと、アルミホイルはどこだっけかな?」
「冗談だよ冗談!マイケル・ジョーダンだよ!」
「・・・いや、紙飛行機大会でも開くか。」
「やめて!変に復元可能な希望を持たせないで!生殺しの分、たちが悪いよ!」
まったく、うちの義妹は相変わらず、心臓に悪い冗談を言う。今度説教する必要があるな。
「とってくれてありがとう!あっちで勉強するね!」
「勉強して何をする気だ。そもそも、さっき『世界が違うなら、勉強もないんだー!』って目の前で万歳していただろう。」
「が、学校の勉強いがいにも、学ぶことってあるんだよ?」
「そんな本で何が学べる?少なくとも、その本の内容は学ぶ必要はない。」
「ほ、ほら、知ってて困る知識はないじゃん?」
「だからといって、知る必要のない知識もある。」
「うう・・・。」
義妹から本を没収。まったく、いつになく渋ったが、一体何なのだ?
―うう。せっかく、おにぃちゃんに会えたのに・・・。
さっき、おにぃちゃんの机から見つけた本を見てみる。
『魔物娘図鑑・改』
・・・内容は、魔物の説明だけど、ところどころに、えっちな説明がある。ま、まさかおにぃちゃんの、よるのオカズに・・・!?
「・・・・・・。」
おにぃちゃんはさっき、凄い豪華なドレスを着た、凄い美人さんに連れられて、どっかいっちゃった。・・・まさか、おにぃちゃんのカノジョさん!?
「・・・きになる。」
というか、気にならないほうがおかしい。
『見に行こうよ。』
はひ!私の中の悪魔さん!駄目です。大事な用件だったら邪魔しちゃ駄目です。
『おにぃちゃんが取られちゃうよ?』
あう、天使さんまで・・・。
「・・・・・・。」
『『行こうよ』』
・・・そうですね、百聞は一見にしかずっていいますし。
『使い方違うよ。』
待っててね、おにぃちゃん!
―「つまり、私の『魔道武具』ができたのか?」
「ああ、実践を兼ねてテストしてほしい。きっとお前に見合ったモノになっているはずだ。」
一体どんな感じに仕上がったのだろうか。少なくともクロから貰ったあれ(結局、部屋においてある。)よりはましだろうが。
「待たせたな。」
ついたのはいつも鍛えている、地下の広場。ここで、バフォ様の相手をする代わりに、鍛錬用の魔道人形を提供してもらっている。
「じゃじゃーん!これはクロの自信作だよ!」
「・・・・・・。」
「そこで残念そうな顔をするな。」
・・・脳裏に、殴ると殴った回数をカウントするガントレットが蘇った。
「大丈夫!渾身の出来だから!」
そういって取り出したものは―
「・・・革靴?」
「ああ、お前は基本のスタイルは格闘・・・拳を使っているが、実際にはお前はいざという時に足技を多用している。」
確かに・・・でも―
「私の今の装備も革靴だが?」
「あのな・・・曲がりなりにもサイクロプスが作ったんだぞ?それに、新しいのと買い換えると思えばいいだろう。」
「なるほど。」
「そこそこ、納得しない。」
これで、蹴った瞬間にカウントしたら、本格的な説教タイムだ。
「やってくれ、カプリ。」
「うむ。」
バフォ様が鎌を振り上げた瞬間、見慣れた魔道人形が現れた―
―・・・今日は天気がいい。愛する夫を誘って、川に散歩に行くのも乙なものかもしれない。・・・まあ、本当は『びきに』なるものを買ったので、夫へのサービスが狙いだけど。夫の部屋はもともと書庫で、私が一番この部屋を疎ましく思っていたけれど、今となっては一番いたい場所。この間はベッドをお借りしちゃったし。・・・いい匂いだった。
『うう、おにぃちゃん・・・。』
・・・そうだ。今朝いきなり夫の義妹もこの世界に来てしまっていたんだ。・・・ここは、義理の兄の嫁として、元気付けてあげよう。
「・・・・・・。」
まずは様子見。そーっとドアを開けて・・・―
『・・・スゥスゥ・・・ハフゥ・・・おにぃちゃぁん・・・。』
「・・・・・・。」
・・・いくら義理でも、兄弟を好きになることなんて普通無い。そう、今のは眼の錯覚―
『・・・クンクン・・・いい匂い・・・。』
・・・うっとりしてる。まあ、本当にいいにおいだからわからなくもない。うんうん、生き物として、女として仕方ない。
『あうぅ!・・・おにぃちゃん・・・。』
・・・だからといって、人のベッドの上で自慰に耽るのはどうかと思―
ズウゥゥン!
「・・・・・・!」
「きゃっ!な、なに!?」
・・・今のは、地震!?一体何が!
―「・・・ヌシは手加減というものを知らんのか!?」
「まあ、たいした威力ではあったが。」
先程、思いっきり震脚をしたら、天井からすごい量の埃が降ってきた。少しはクロのことを見直したよ。
「名づけて『驚天動地の靴(ガイア・ブーツ)』!」
「・・・ブーツじゃないぞ、これ。」
「どちらにせよ、大きく戦力アップじゃな!」
確かにコレはなかなかに強力な『魔道武具』だが―
「助けてええぇぇ!おにぃちゃああん!!」
「ゴフッ!」
鳩尾に、地味に、リアクションが、取れないぐらい、はいって・・・。
「ふえ!?おにぃちゃん!?おにぃちゃーん!」
・・・私の義妹は普段『お義兄ちゃん』ではなく、『おにぃちゃん』って呼んでいるのか・・・。そんなことを考えながら、私の意識は闇に落ち―
「―ない・・・?」
おかしい。あれほど意識が揺さぶられたのに無事とは。
「おまえ、自分が何を装備しているかよく見てみろ。」
なにって・・・ああ、『黒き帳』か。
「おそらくそれはSランク以上の『魔道武具』だろうな。」
「そんなバカな!」
何故そんな代物が我が学園に!?
「おにぃちゃぁん、じしんだよぉう・・・。グスッ。」
「「「・・・・・・。」」」
「何だねキミたち、その目は。」
「・・・うむ、地震じゃあ!こわいのじゃああぁぁ!」
「ウソだ!感心していただろキサマ!」
「おい、地震から主を守るのは従者の仕事だぞ?」
「いつから私はお前の従者になったのだ!?」
「こわああい!」
「ニコニコしながら言っても、説得力の欠片もないぞ!」
「・・・きゃー。」
「お前はどっからわいて出たんだスピア!いいから離れろ!」
一喝でようやく離れる魔物たち。全く、人を何だと思っているのだ!?
「おい、タツキ。これを見ろ。」
「?、どうした?バハムート。」
最近見ていなかったが、どこに行っていたんだ?
「その昔、ジパングと交流のあった砂漠の王の遺跡が、見つかったらしい。もしかしたら、帰る手段が見つかるかもしれないぞ。」
「な、見せてくれ!」
フムフム、パトラ王の遺跡か。確かに、そう書いてある。これは行ってみる価値ありだ。
「うまくいけばな。」
「どういう意味―ああ、そうか。」
砂漠は非常に環境が厳しいところだ。当然ここにいる誰の手も借りるわけにはいかない(借りるつもりもないが)。言うまでもなく、義妹を連れて行くわけにもいかないし何より―
「砂漠には、また別の魔物がいるんじゃったな。」
そう、ギルタブリルがいるし、遺跡内にはマミーやスフィンクス。運が悪ければアヌビスとの戦闘にもなるだろう。だが―
「―それが行かない理由にはならないな。」
むしろ、自己を高めるいい機会だ。
「・・・私も行く。」
「スピア?」
どういうつもりだ?砂漠は危険だと―
「・・・用事が終わったら、そこで観光。気分はハネムーン。」
「結婚してないからね!?あと、そんな理由でついてくるの!?とりあいず礼は言うけどさ!」
何だと思っているんだ、このデュラハンは。
「あら、私もいこうかしら。」
「マリア!?」
なんだ!?コイツはコイツで何を企んでいるんだ!?
「ほら、ギルタブリルの毒って、すごい、良いらしいし。」
結局、自己満足のためか。まあ、らしいといえばらしいが。
「なら、私も行こう。」
「クロも!?」
「うん、自分の『魔道武具』の本領発揮を見てみたいからね。」
なんだ、案外まともな理由だった。
―こうして、私、東雲龍紀をリーダーに、スピア、マリア、クロの四名は、砂漠にある『パトラ王の遺跡』へ向かったのだった。
現在、私東雲龍紀は一刻も早くジパング・・・もとい、元の日本に帰らなければ成らない。理由は多々ある。
@今の生活では私は『ヒモ』だから。
収入ゼロ(そういえばここの奴らどうやって金を調達しているのだ?)。生活にも無気力ではないが、このままでは生徒会に帰れたときに『生徒会長が・・・。』なんて、不憫な眼で見られてしまう。
A純粋な貞操の危機
昨日は散々スピアに夜這いされた。追い出しても、頭を外に投げ捨ても、再び現れ、しまいにはバフォ様に『一日だけ同衾してやるのじゃ』などと言われた(結局していないが)。あの幼女許すまじ。
B・・・これが最も重要なのだが―
「あの本とって、お義兄ちゃん!」
―義理の妹まで来てしまったことだ。マズイ、非常にマズイ。いや、知られてまずいことはないが、如何せん教育に悪い(マリアとか、マリアとか、マリアとか、スピアとか)。うちの義妹は影響されやすいし。
「?、どうしたの?」
なにより、クォーターの私と違って、義妹は純日本人だ。私もこの髪と眼のせいで、幼少期には苦労した。
「何で頭をなでるの?」
墨を流したように真っ黒な髪。私も純日本人ならこの髪が手に入ったのに・・・。何故、四分の一しかない血が、私に限って濃く出るんだ?嫌がらせか?
「くすぐったいよ、お義兄ちゃん。」
まあ、今ではこの髪も私のトレードマークだし、そこまで気に病んでいるわけでは―
「聞いてる?お義兄ちゃん。」
「うむ?」
ああそうだ、えーっと何の話を・・・?
『『『ジーッ・・・』』』
「殺気!」
勢いよく後ろを振り向く。すると誰かが慌てて退散して行った。・・・ガシャガシャ音がしているから、ばればれだが。
「はあ・・・」
どちらにせよ、早々に義妹を帰す必要が出てきた。タイミングが良いのやら悪いのやら・・・。
「おーい。お義兄ちゃん?」
「ああ、あの本だったな。」
そうだそうだ。早く本を―
『大好きおにいちゃん 〜近親相姦のススメ〜』
「「・・・・・・。」」
・・・・・・ふむ。
「・・・今日は焼き芋でもするか。」
「待って!待ってお義兄ちゃん!」
「えーっと、アルミホイルはどこだっけかな?」
「冗談だよ冗談!マイケル・ジョーダンだよ!」
「・・・いや、紙飛行機大会でも開くか。」
「やめて!変に復元可能な希望を持たせないで!生殺しの分、たちが悪いよ!」
まったく、うちの義妹は相変わらず、心臓に悪い冗談を言う。今度説教する必要があるな。
「とってくれてありがとう!あっちで勉強するね!」
「勉強して何をする気だ。そもそも、さっき『世界が違うなら、勉強もないんだー!』って目の前で万歳していただろう。」
「が、学校の勉強いがいにも、学ぶことってあるんだよ?」
「そんな本で何が学べる?少なくとも、その本の内容は学ぶ必要はない。」
「ほ、ほら、知ってて困る知識はないじゃん?」
「だからといって、知る必要のない知識もある。」
「うう・・・。」
義妹から本を没収。まったく、いつになく渋ったが、一体何なのだ?
―うう。せっかく、おにぃちゃんに会えたのに・・・。
さっき、おにぃちゃんの机から見つけた本を見てみる。
『魔物娘図鑑・改』
・・・内容は、魔物の説明だけど、ところどころに、えっちな説明がある。ま、まさかおにぃちゃんの、よるのオカズに・・・!?
「・・・・・・。」
おにぃちゃんはさっき、凄い豪華なドレスを着た、凄い美人さんに連れられて、どっかいっちゃった。・・・まさか、おにぃちゃんのカノジョさん!?
「・・・きになる。」
というか、気にならないほうがおかしい。
『見に行こうよ。』
はひ!私の中の悪魔さん!駄目です。大事な用件だったら邪魔しちゃ駄目です。
『おにぃちゃんが取られちゃうよ?』
あう、天使さんまで・・・。
「・・・・・・。」
『『行こうよ』』
・・・そうですね、百聞は一見にしかずっていいますし。
『使い方違うよ。』
待っててね、おにぃちゃん!
―「つまり、私の『魔道武具』ができたのか?」
「ああ、実践を兼ねてテストしてほしい。きっとお前に見合ったモノになっているはずだ。」
一体どんな感じに仕上がったのだろうか。少なくともクロから貰ったあれ(結局、部屋においてある。)よりはましだろうが。
「待たせたな。」
ついたのはいつも鍛えている、地下の広場。ここで、バフォ様の相手をする代わりに、鍛錬用の魔道人形を提供してもらっている。
「じゃじゃーん!これはクロの自信作だよ!」
「・・・・・・。」
「そこで残念そうな顔をするな。」
・・・脳裏に、殴ると殴った回数をカウントするガントレットが蘇った。
「大丈夫!渾身の出来だから!」
そういって取り出したものは―
「・・・革靴?」
「ああ、お前は基本のスタイルは格闘・・・拳を使っているが、実際にはお前はいざという時に足技を多用している。」
確かに・・・でも―
「私の今の装備も革靴だが?」
「あのな・・・曲がりなりにもサイクロプスが作ったんだぞ?それに、新しいのと買い換えると思えばいいだろう。」
「なるほど。」
「そこそこ、納得しない。」
これで、蹴った瞬間にカウントしたら、本格的な説教タイムだ。
「やってくれ、カプリ。」
「うむ。」
バフォ様が鎌を振り上げた瞬間、見慣れた魔道人形が現れた―
―・・・今日は天気がいい。愛する夫を誘って、川に散歩に行くのも乙なものかもしれない。・・・まあ、本当は『びきに』なるものを買ったので、夫へのサービスが狙いだけど。夫の部屋はもともと書庫で、私が一番この部屋を疎ましく思っていたけれど、今となっては一番いたい場所。この間はベッドをお借りしちゃったし。・・・いい匂いだった。
『うう、おにぃちゃん・・・。』
・・・そうだ。今朝いきなり夫の義妹もこの世界に来てしまっていたんだ。・・・ここは、義理の兄の嫁として、元気付けてあげよう。
「・・・・・・。」
まずは様子見。そーっとドアを開けて・・・―
『・・・スゥスゥ・・・ハフゥ・・・おにぃちゃぁん・・・。』
「・・・・・・。」
・・・いくら義理でも、兄弟を好きになることなんて普通無い。そう、今のは眼の錯覚―
『・・・クンクン・・・いい匂い・・・。』
・・・うっとりしてる。まあ、本当にいいにおいだからわからなくもない。うんうん、生き物として、女として仕方ない。
『あうぅ!・・・おにぃちゃん・・・。』
・・・だからといって、人のベッドの上で自慰に耽るのはどうかと思―
ズウゥゥン!
「・・・・・・!」
「きゃっ!な、なに!?」
・・・今のは、地震!?一体何が!
―「・・・ヌシは手加減というものを知らんのか!?」
「まあ、たいした威力ではあったが。」
先程、思いっきり震脚をしたら、天井からすごい量の埃が降ってきた。少しはクロのことを見直したよ。
「名づけて『驚天動地の靴(ガイア・ブーツ)』!」
「・・・ブーツじゃないぞ、これ。」
「どちらにせよ、大きく戦力アップじゃな!」
確かにコレはなかなかに強力な『魔道武具』だが―
「助けてええぇぇ!おにぃちゃああん!!」
「ゴフッ!」
鳩尾に、地味に、リアクションが、取れないぐらい、はいって・・・。
「ふえ!?おにぃちゃん!?おにぃちゃーん!」
・・・私の義妹は普段『お義兄ちゃん』ではなく、『おにぃちゃん』って呼んでいるのか・・・。そんなことを考えながら、私の意識は闇に落ち―
「―ない・・・?」
おかしい。あれほど意識が揺さぶられたのに無事とは。
「おまえ、自分が何を装備しているかよく見てみろ。」
なにって・・・ああ、『黒き帳』か。
「おそらくそれはSランク以上の『魔道武具』だろうな。」
「そんなバカな!」
何故そんな代物が我が学園に!?
「おにぃちゃぁん、じしんだよぉう・・・。グスッ。」
「「「・・・・・・。」」」
「何だねキミたち、その目は。」
「・・・うむ、地震じゃあ!こわいのじゃああぁぁ!」
「ウソだ!感心していただろキサマ!」
「おい、地震から主を守るのは従者の仕事だぞ?」
「いつから私はお前の従者になったのだ!?」
「こわああい!」
「ニコニコしながら言っても、説得力の欠片もないぞ!」
「・・・きゃー。」
「お前はどっからわいて出たんだスピア!いいから離れろ!」
一喝でようやく離れる魔物たち。全く、人を何だと思っているのだ!?
「おい、タツキ。これを見ろ。」
「?、どうした?バハムート。」
最近見ていなかったが、どこに行っていたんだ?
「その昔、ジパングと交流のあった砂漠の王の遺跡が、見つかったらしい。もしかしたら、帰る手段が見つかるかもしれないぞ。」
「な、見せてくれ!」
フムフム、パトラ王の遺跡か。確かに、そう書いてある。これは行ってみる価値ありだ。
「うまくいけばな。」
「どういう意味―ああ、そうか。」
砂漠は非常に環境が厳しいところだ。当然ここにいる誰の手も借りるわけにはいかない(借りるつもりもないが)。言うまでもなく、義妹を連れて行くわけにもいかないし何より―
「砂漠には、また別の魔物がいるんじゃったな。」
そう、ギルタブリルがいるし、遺跡内にはマミーやスフィンクス。運が悪ければアヌビスとの戦闘にもなるだろう。だが―
「―それが行かない理由にはならないな。」
むしろ、自己を高めるいい機会だ。
「・・・私も行く。」
「スピア?」
どういうつもりだ?砂漠は危険だと―
「・・・用事が終わったら、そこで観光。気分はハネムーン。」
「結婚してないからね!?あと、そんな理由でついてくるの!?とりあいず礼は言うけどさ!」
何だと思っているんだ、このデュラハンは。
「あら、私もいこうかしら。」
「マリア!?」
なんだ!?コイツはコイツで何を企んでいるんだ!?
「ほら、ギルタブリルの毒って、すごい、良いらしいし。」
結局、自己満足のためか。まあ、らしいといえばらしいが。
「なら、私も行こう。」
「クロも!?」
「うん、自分の『魔道武具』の本領発揮を見てみたいからね。」
なんだ、案外まともな理由だった。
―こうして、私、東雲龍紀をリーダーに、スピア、マリア、クロの四名は、砂漠にある『パトラ王の遺跡』へ向かったのだった。
11/05/03 11:42更新 / ああああ
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